イケアの日本法人イケア・ジャパンは、「IKEA Tokyo-Bay」の倉庫を国内イケア店舗で初めてオートメーション化した。
ピックアップ業務の集約化のため、「IKEA Tokyo-Bay」倉庫内に自動倉庫型ピッキングシステムを導入。11月24日に稼働した。従業員が店内を歩き回って商品をピッキングする従来の方法と比べて、発送までの作業効率は約8倍に向上するという。
IKEA Tokyo-Bay倉庫内に導入した自動倉庫型ピッキングシステム
従来、関東圏の4つのイケアストア(大型店舗のIKEA新三郷、IKEA Tokyo-Bay、IKEA立川、IKEA港北)で担っていた小物配送のピックアップ業務を「IKEA Tokyo-Bay」に集約、効率の良い商品発送を実現する。
ロジスティクス業務の効率化をめざした取り組みの一環。関東全体を1つのマーケットとして捉え、店舗間でのシームレスな連携をめざしている。
小物商品をロボットが自動でピックアップ
「Tokyo-Bay」倉庫内に導入した自動倉庫型ピッキングシステムの名称は「AutoStore(オートストア)」。店舗とECの在庫は分けず、原則同一とする。
「オートストア」の導入によって、顧客の雑貨や小物類のオーダーに合わせて、ピッキングロボットが高密度保管自動倉庫から商品を自動でピックアップすることが可能になる。
ピッキングロボットは現在、25台が稼働している。「オートストア」導入に伴う投資額は非公開。
「オートストア」内では25台が稼働し、小物商品の自動ピッキングを行っている
自動ピッキングは従業員の働きやすさ向上にも寄与
「オートストア」の導入は、倉庫内の従業員が働きやすさ向上にもつながるという。ロボットは従業員が待つポートまで商品を運ぶため、従業員は従来のピックアップ作業がなくなる。
ポートは人間工学を考慮したデザインになっており、従業員がポートで商品を持ち上げるときの身体への負荷を軽減する。業務をしやすいスペースになっているという。従業員の働き方も改善することで、イケアのオムニチャネル化のを成長をさらに促す狙いだ。
自動ピッキングされた商品はポートに運ばれる。従業員の作業効率改善につながるという
ポートは人間工学に基づいたデザインになっており、従業員が作業しやすい
イケア・ジャパン カントリーカスタマーフルフィルメントマネジャーのシュテファン・ホーファは、次のように話している。
日本のイケアストアは物流拠点として、店舗だけでなくECの顧客をを満足させるカスタマーフルフィルメントとしての役割を担っている。日頃から顧客とコワーカー(従業員)のニーズを把握することに努めてきた。
「オートストア」の導入により、コワーカーがより働きやすい環境を整えることができた。効率化の向上によって、彼らが顧客の買い物をサポートする業務の時間が増えることで、より顧客に満足してもらえるカスタマーサービスを提供できるようになった。(シュテファン・ホーファ氏)
「オートストア」は発送効率の向上と従業員の働きやすさを兼ね備える
全国の10拠点以上の商品受取りセンターを計画
2023年末までに、追加で日本全国の10拠点以上で商品受取りセンターを開設する。
現在の商品受取りセンターは、札幌市、岡山市、高松市、広島市、静岡市、浜松市の全国6か所。このほか、IKEAポップアップストアも積極的な展開を予定している。
イケアは昨今、オムニチャネル化の加速に力を入れている。ECサイト(IKEAオンラインストア)上のオーダー増加を中心とした購買行動のニーズに対応するためだ。店舗、EC、ポップアップストアなどそれぞれのタッチポイントをつなぎ、総合的にアプローチしていきたい考え。
温室効果ガス排出量を15%削減へ
イケアは2030年までに、製品輸送による温室効果ガスの絶対排出量を2017年と比較して15%削減することをめざしている。イケア・ジャパンは現在、6台のEV車を使用しており、今後さらにEV車の数を増やしていく計画だ。車両の充電でも再エネ電気のみを使用しているという。
イケア・ジャパンの親会社であるIngkaグループは、イケア店舗を運営している31か国すべてで、2025年までにゼロエミッション車によるラストワンマイル配送100%をめざす。
なお、「オートストア」は、酸素低減システムを備えており、空気中の酸素濃度をコントロールした防火設備になっている。「オートストア」の運用は再生可能電気100%。イケア・ジャパンでは、2018年以来店舗および本社にて100%再エネ電気のみを使用している。「オートストア」もその流れをくむ。
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オリジナル記事:イケアが物流業務の自動化で作業効率が8倍に。店舗の倉庫内にロボット自動倉庫システム「オートストア」で実現
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