開封率メルマガの3倍超、若年層獲得の効果も! 澤井珈琲&白鳩の事例に学ぶLINE公式アカウント活用術 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2022年10月26日(水) 08:00
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LINEが提供している、企業が「LINE」上に自社アカウントを開設できる「LINE公式アカウント」のEC活用が進んでいる。澤井珈琲と白鳩の活用実績をまとめて紹介する

LINEが提供している、企業が「LINE」上に自社アカウントを開設できる「LINE公式アカウント」のEC活用が進んでいる。ヤフーとLINEが経営を統合したことを受けて、昨年から「PayPayモール」「ヤフーショッピング」(※「PayPayモール」と「ヤフーショッピング」は10月12日に統合した)に出店する店舗のアカウント開設を受け付けており、これまで3万超の店舗が利用しているという。メッセージの開封率は、メールマガジンと比較して4.6倍、クリック率は同3.3倍、1人あたりの購入金額は同1.4倍に達している。

8月31日に開催された、店舗や企業のマーケティング担当者と代理店を対象としたイベント「LINEローカルデー」では、「澤井珈琲」(運営は澤井珈琲)と「SHIROHATO」(同白鳩)の担当者が登壇し、自社におけるLINE公式アカウント運用方法などを紹介した。

「LINEローカルデー」に登壇した澤井珈琲の澤井理憲常務取締役兼銀座店店長(中央)と白鳩WEB事業部CRM課の森谷真夕子課長(右)
メルマガ比較でLINEは開封率3.3倍、クリック率1.7倍

澤井珈琲では、楽天市場店とPayPayモール店でLINE公式アカウントを活用している。

澤井珈琲の澤井理憲常務取締役兼銀座店店長は、「LINE」導入のきっかけについて「当社がECを始めた20年前は、メールを送れば送るほど開封率が高くなった。ただ、スマートフォンへの移行が進み、メルマガの開封率は年々下がっている。顧客とのコミュニケーションを取るために、『LINE』にチャレンジした」と話す。

澤井珈琲では、サイトとメルマガに「LINE」の友だち追加のためのバナーを掲載。発行するクーポンに関しては、メルマガ会員の15%割引に対し、『LINE』は20%割引と優遇している。

メールと違い、「LINE」の通知は仕事中でも開いてくれる。メルマガ読者もサイトへの来訪者も「LINE」の友だちになってもらうことで、次のアクションにつなげるため、「LINE」ではより強力な販促を打っている。(澤井珈琲 澤井常務)

こうした施策により、「PayPayモール」の「ズバトクキャンペーン」では3万人超の友だちを獲得。「楽天市場」・「PayPayモール」合算で友だち数は21万人を超えた

澤井珈琲の楽天市場店(画像は編集部がキャプチャして追加)

澤井常務は、「メルマガ会員は約70万人だが、『LINE』を始めて約4年で21万人という結果は大満足。『LINE』はアクセスや売り上げ増といった反応が凄いので、こちらとしても楽しみながら配信をしている」と話す。メルマガと比較した場合、開封率は3.3倍、クリック率は1.7倍に及ぶという。

セール日を意識した配信で「最後のひと押し」

メッセージ作成については、ファーストインプレッションで「何をしているのか」「何がお得なのか」が分かるよう工夫している。

「半額」など、短い文言で刺さる言葉を意識した上で、写真と画像を重視。また、クーポンについては価格帯で分けて複数配布している。

メッセージ配信のタイミングは、消費者がコーヒーを飲むことが多い朝や、仮想モールが開催する大型セールを意識。セールの前日や前々日に商品の良さをアピールして、当日の配信で最後のひと押しをするイメージという。

特に、「PayPayモール」においては、モール側がポイント増量施策を実施している日曜日にメッセージを配信しており、売り上げのうち68%が日曜日となっている。

澤井珈琲では、2021年11月からPayPayモール店の「LINE」アカウントの運用を開始。今年7月の「LINE」経由売り上げは2.3倍になったほか、2022年2月の大型セールにおいては、「LINE」経由で1500万円を記録した。

2022年4~7月における、1人あたり合計購入金額は、同社PayPayモール店の全体との比較で1.3倍となるなど、単価や購入回数増加につながっているようだ。

売り上げの上限値は顧客リストの上限値でもある。友だちが20万人から50万人、100万人と増えれば売り上げはさらに伸びる。より多くのユーザーに情報を届けるために、販売手法としての「コミュニケーション」をもっとアップデートしていかなければならない。(澤井珈琲 澤井常務)

今後は、友だち数をメルマガ発行部数と同じ水準の70万まで伸ばしていくほか、読み物としても活用する。

澤井常務は今後の「LINE」活用のビジョンについて次のように語った。

コミュニケーションツールとしての「LINE」は本当にすごい。これまで当社やってきたメルマガ配信は、もしかしたら一方的に「これがおすすめです」と押し付けるもので、乱暴な部分があったかもしれない。「LINE」を活用することで、顧客がより身近になるチャンスが生まれた。現状の20万人という友だち数は、本や雑誌の発行部数に匹敵する。「澤井珈琲をこうしたら楽しめる」など、当社の思いを伝えるコミュニケーションもしていきたい。(澤井珈琲 澤井常務)

【白鳩の事例】友だち追加直後のあいさつメッセージがLINE売上をけん引

白鳩WEB事業部CRM課の森谷真夕子課長は「メルマガの開封率が年々下がってきたこともあり、新たなコミュニケーションツールを探していた。『LINE』は顧客が気軽に使えるし、プッシュ通知などの即時性もあることから、開封率・送客率が期待でき、新たな販促ツールとして使えると判断した」と、「LINE」導入のきっかけを説明する。

白鳩のLINE公式アカウント(画像は編集部がキャプチャして追加)

白鳩でも、サイトとメルマガでのバナー掲載に加え、LINEの動画プラットフォーム「LINE VOOM」、さらにはLINEスタンプも活用して友だち追加につなげている。その際には、友だち追加の特典を紹介するページを見せることで、友だち追加後すぐにブロックするユーザーの数を抑えているという。

同社の場合、「LINE」を経由した売り上げのうち57%が、友だちに追加された直後に配信する「あいさつメッセージ」経由だ。

この数字は、新規の友だち限定クーポンを配布している影響が大きい。また、クーポン獲得後すぐにブロックされないように、特典の詳細をあいさつメッセージと一緒に送っている。顧客に対し、最初に「このアカウントと友だちになるとどんなメリットがあるのか」を分かりやすく提示することが大事だ。(白鳩 森谷課長)

白鳩では、「LINE公式アカウント」の機能である「リッチメニュー」(トーク画面下部に固定で表示されるメニュー)に注力しており、特に「ランキング」「新着アイテム」「セールアイテム」といったバナーの位置にこだわっているのだという。

同社が自社コンテンツで検証したところ、右上に配置した「セールアイテム」のクリック数が他と比較して約2倍であることが判明。「ユーザーの多くが、右手の親指でスマートフォンを操作するので、親指の届きやすい右上部分が押されやすいのではないか。そこで、クーポンやセールなど、一番タップしてもらいたい情報を右上に掲載している」(白鳩 森谷課長)。

配信のない日も買い物する顧客に育てる「2段階アプローチ」。若年層開拓で顧客の裾野を広げる効果も

白鳩では購入を後押しするために、2段階に分けたユーザーへのアプローチを行っている。

これは、仮想モールにおいては、セール開催前に買いたい商品に目星をつけ、セール当日に購入するユーザーが多いためだ。

そこで、1度目の配信では、まず買い物かごやお気に入りへの追加を促す。そして、PayPayモールにおける日曜日などのセール当日に2度目の配信を行い、着実に購入へとつなげている。リッチメニューは画面に随時表示しているため、配信のない日でも買い物かごへ商品を追加するユーザーが少なくないという。

LINEをフックにセール日に合わせたマーケティングを展開(画像は白鳩のPayPayモール店から編集部がキャプチャして追加)

PayPayモール店アカウントの友だち数は10万人を突破した。「LINE」経由の売り上げも伸びており、4~7月における1人あたり合計購入金額は、白鳩PayPayモール店の全体との比較で1.6倍に達したという。

白鳩ではすでに、「LINE」経由の売り上げはメルマガ経由の売り上げを大きく上回っており、特に若年層の購入が目立っている。白鳩の森谷課長は「当社の顧客は年齢層が高めだったが、『LINE』のおかげで、これまでアプローチできなかった若年層が獲得できた」と手応えを口にする。

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