ECビジネス・DX化で成果を出し続けている企業とは? ecbeing林社長が語る共通点 | ネットショップ担当者フォーラム

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コロナ禍でもECを伸ばしているワークマン、TSIが展開するアパレルブランド「ナノ・ユニバース」、ナラカミーチェの事例、DX推進に成功している企業の共通点などを、ecbeingの林雅也代表取締役社長が解説
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明暗がわかれ、二極化が進んだと言われる昨今のEC業界。ECサイトの構築実績で1400サイトを超えるecbeingの林雅也代表取締役社長は「DX化を推進できない売り場は質の高い購買体験を提供できず、リピート購入につながらない。コロナによって初回購入は伸びても、2年目は伸び悩んでいる」と指摘する。成果を出す企業は何を行っているのか? ECサイト戦略で成功している企業の事例や、ecbeingが推進する取り組みについて林社長に聞いた。写真:吉田浩章

コロナ2年目に入ってEC業界で二極化

コロナ1年目は多くの EC事業者が伸びていたが、2年目になると伸び悩み下降した企業が増えている。EC業界が二極化してきたと感じる。(林社長)

コロナ禍が始まった当初こそ、デジタルを入り口にした企業に顧客が流れていったが、徐々に消費者側のリテラシーも向上し、満足できない売り場から離脱していったケースも少なくないようだ。そういった中であっても、受け入れ態勢が整っている売り場は、継続的に顧客の維持・拡大を遂げている。明暗を分ける要因は、「DX化の進み具合と関係がある」と林社長は述べる。

消費者が1回その店で買って、「いまいちだな」と思ったら、次は当然ながら他のお店で買うようになる。DX化を推進できない売り場は質の高い購買体験を提供できないため、リピート購入につながらない。コロナによって初回購入では伸びても、2年目は伸び悩んでいるのだろう。(林社長)

ecbeingの林雅也代表取締役社長
ecbeingの林雅也代表取締役社長

そうした状況下で、「ecbeing」を活用することで、コロナ禍にあってもECサイト戦略で成功している企業の事例を3つ紹介する。

●ワークマン

実店舗と融合した施策を展開しているのが、作業服を扱うワークマンだ。ワークマンはECサイトを展開するにあたり、店舗網の活用を推進。その一環で商品の店舗受け取りを強化している。

最近ではキャンプ用品の扱いを始めたが、テントなどのアイテムは場所をとるので店に置けないこともある。物理的なスペースの制約がないECサイトで展開することで、消費者はネットで購入して店舗受け取りを選択すれば、送料がかからずに購入できる。

●ナノ・ユニバース

TSIが展開するアパレルブランド「ナノ・ユニバース」では、Web上で「来店予約サービス」を展開。「試着予約」と「スタッフ予約」から成り、消費者は試着したいアイテムや接客を希望するスタッフを選択して来店日時を指定すると、スムーズに試着や接客を受けることができる。

ただ単に買うだけであればネットで間に合う今のご時世に、わざわざ店まで行くからには、ちゃんと店員さんに選んでほしいという消費者のニーズを汲んだサービスと言える。(林社長)

●ナラカミーチェ

レディースアパレルを扱うナラカミーチェは、「百貨店内で使えるワンタイムECサイト」を展開する。店頭に在庫がなかった際にその場で来店客のスマホを使って商品を注文し、後日自宅に配送する仕組み。決済は百貨店のレジで行うため、百貨店に売り上げを計上することができる。従来は目当ての商品が店頭にないと取り寄せとなるため、顧客は後日再来店する必要があった。同サービスを使うことでそうした手間を削減できる。

できる企業とできない企業の差は「推進力」

DX推進やEC事業の強化ができている企業とそうでない企業の差はどこにあるのか。林社長は「最終的には企業の推進力」と指摘する。

多くの企業はデジタル戦略の立案はできている。ただ、実現のためにドライブをかけていくには、企業のデジタル部門に推進力が必要になる。その上で、仕組みを構築した後に社員にきちんと使ってもらったり、リテラシーを高めて判断のスピードを高めたり、リアル店舗があるところは店舗スタッフに協力してもらったりといったことが必要になる。(林社長)

つまり社内でデジタル化やEC戦略について共有し、店舗含めて全社的な取り組みにこぎつけるかどうかが、事業の成否をわける鍵になりそうだ。

もっとも、そうした企業文化を醸成するのは簡単ではない。時間もかかるだろう。そこで突破口になるのがツールの活用だ。事業の状況を分析して数値化することで、社内での共有や現状を可視化することが可能になる。ecbeingでも、そうした展開を後押しするツールを提供し、利用企業を増やしている。

ecbeingのDX支援ツール「ゼクスタントCDP」

企業のデジタルマーケティング展開を視覚的にサポートするために、ecbeingが提供しているオムニチャネル分析ツールが「Sechstant(ゼクスタント)CDP」。ECと実店舗の顧客情報や購買データのほか、アクセスログを外部ストレージに蓄積し、数値を可視化する機能を搭載。これによってネットとリアルを横断した総合的なマーケティング分析を手軽に行うことが可能になり、施策立案の最適化や売り上げの向上につなげることができるという。

「ゼクスタントCDP」の管理画面
「ゼクスタントCDP」の管理画面イメージ

「ゼクスタントCDP」では、店頭でアプリのダウンロードを促し、それがECの購入となってLTVの向上につながっているかなどを分析することも可能。

「ゼクスタントCDP」の分析をもとに、たとえば「店頭でアプリを登録しているがECは利用していない人」を抽出し、キャンペーンを打ったりすることができる。キャンペーンのコストはかかるが、ECの会員が増えてLTVが高まれば最終的に採算が取れる。これは点で見てもわからない。そういうところを可視化できるのが「ゼクスタントCDP」の強み。(林社長)

「ゼクスタントCRM」で施策面も強化

「ゼクスタントCDP」は分析が強みとなるが、ecbeingでは分析結果をもとに施策につなげることができるツールとして「ゼクスタントCRM」も提供している。

分析後のアクションとして、マーケティングオートメーション(MA)ツールを入れるというケースがあるが、MAツールを導入したものの運用できていない企業は多い。高額なコストをかけた割に使い切れていない。ただ、企業側としてはセグメントしたメール配信や、LINEの配信をしたい。アプリのプッシュ通知もしたい。そうしたニーズを踏まえて「ゼクスタントCRM」の提供に至った。(林社長)

「ゼクスタントCRM」は「ゼクスタントCDP」による分析を踏まえ、シナリオを実行する。たとえば購入7日後のフォローメッセージ、ポイント失効30日前のリマインドメール、誕生月のクーポンの配信といった自動シナリオを設定できる。このほかにABテスト機能やメール開封結果分析機能、ページアクセス分析機能、購買分析機能を実装している。

「ゼクスタントCDP」のイメージ
「ゼクスタント」では分析と施策の両方が可能

林社長によると、「ゼクスタントCDP」と「ゼクスタントCRM」ともに導入が増えているという。その背景として、小売業界でCRMへのニーズが高まっていることが影響。「ゼクスタント」を使うことで、時間や手間をかけずに分析から施策までが可能になる。そうした点が受けて、導入社数の拡大につながっている。

「ecbeing」の年間流通総額が6000億円を突破

「ecbeing」の2020年における流通総額は6392億円。2019年の流通総額が4742億円のため、2020年の伸び率は34%増となっている。なお、2021年の流通総額は集計中だが、1~9月の段階で5800億円に達しており、1年間では8000億円程度まで拡大する見通しだ。

「ecbeing」の流通総額と受注件数
「ecbeing」の流通総額と受注件数

ecbeingでは、主力サービスである「ecbeing」に加え、レコメンドや店舗予約などのマイクロサービスも強化し、導入企業のニーズを汲み取りながら日々改良を続け、より良いシステムを作り上げている。

企業が生活者に喜ばれる商品やサービスを提供し、業績を伸ばしていくのが理想。そのために必要な手段として我々はシステムを提供する。そのシステムを企業側がしっかりと使いこなすには、やはりサポートが重要になる。当社ではサポートのスタッフとして、開発500人、デジタルマーケティング200人の体制を整えている。(林社長)

ecbeingは2022年4月に100人の新卒採用を行った。人材を確保してサポート体制をさらに手厚くしていく構えだ。

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オリジナル記事:ECビジネス・DX化で成果を出し続けている企業とは? ecbeing林社長が語る共通点
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朝比美帆
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