創業100年を超えたヤマトグループのイノベーションの歴史などを資料や体験などを通して学べる「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」。個人向け宅配を全国に浸透させ、通販・EC市場の成長を古くから支えてきたヤマトグループの歴史を映すレガシーの役割が期待されるミュージアムの見どころを、館長を務める白鳥美紀氏にミュージアム設立の経緯などを踏まえて聞きました。
ヤマトグループ100周年を記念して設立
ヤマトグループは2019年11月29日に創業100周年を迎えました。
白鳥氏は2012年から100周年記念事業を担当。事業内容を決めていく中で「歴史をきちんとレガシーとして残せる物を作りたい」と考えところ、必然的に「歴史館」という案があがったそうです。
ミュージアムが入居するヤマトグループのビルも事業の一環として2019年10月にリニューアルオープン。「『つなぐ』をテーマとした『YAMATO NEXT 100』の発信地」というコンセプトで建設するビルだったことから、「ミュージアムを新しいビル内に設立する」構想を立て、オープンに向けた準備を行ったそうです。
「クロネコヤマトミュージアム」の名称は親しみやすさを込めて
ミュージアムの名称を、「資料館」ではなく「歴史館」にした理由について、「『ヤマトグループの歴史を展示する箱物』としてオープンしたから」と白鳥氏は言います。
おそらく皆さんの中では「クロネコヤマト」の方が馴染みがあるので、愛称として「クロネコヤマトミュージアム」と付けました。(白鳥氏)
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コーポレートコミュニケーション戦略立案推進機能マネージャー ヤマトグループ歴史館 館長 白鳥美紀氏
見た人が一番印象に残ったところが見どころ
ミュージアムの見どころについて、白鳥氏は「見ていただいた方が一番印象に残っている展示が見どころ」「一番というのは決めていない」と言います。
子どもたちは宅急便体験コーナー、経営者なら2代目社長の小倉昌男氏に関する展示コーナーや経営理念など、立場や年齢などによって興味を持つ部分が異なる、というのが理由です。
ただ1つ、ミュージアムを見る上で「私たちと一緒に歩んで下さったお客さま自身の歴史を重ねてご覧いただきたい」と白鳥氏は話します。
ミュージアム内の展示はヤマトグループの歴史だけでなく、各時代に起こった多くの出来事の写真や年表も展示しています。
また、ミニシアターで放映している映像も、ある家族4世代が歩んだ100年に、ヤマトグループ100年の出来事を重ね、「ヤマトグループが人々とともに歩んだ」ストーリーになっています。
年配の方はオイルショックの展示を見て「昔もトイレットペーパーを買うために並んだことがあったんだよ」とお話されていたりしますね。
皆様にはヤマトグループの歴史を学びつつも「ああ、懐かしいな」と、当時の出来事を振り返りながらご自身の歴史と重ねてご覧いただけたら嬉しいですね。(白鳥氏)
全てのお客さまに「感謝の気持ち」を伝えたい
多くの人に訪れてほしいというミュージアム。ヤマトグループの歴史や物流を学んでほしいという思いはもちろんですが、ミュージアムを通して一番伝えたいことは「感謝の気持ち」だと白鳥氏は言います。
日ごろ宅急便を利用してくださっている方、取引のある企業、きめ細かい宅急便ネットワークに欠かせない取扱店、全てのお客さま1人ひとりに感謝の気持ちを伝えたい。
私たちだけでは長い歴史を築くことはできず、常にお客さまの存在があり、ともに歩んできた結果、100年という歴史が刻まれました。
「ありがとうございます」と「これからもよろしくお願いします」という気持ちを伝えることが、このミュージアムの役割だと思っています。(白鳥氏)
その気持ちはミュージアムだけでなく、社員に配布した100周年記念誌にも現れています。
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記念誌の右上には「100年ありがとう」の意味を込めた記念ロゴ。「お客さまとともに歩んできた」感謝の気持ちを表すために「100年の歴史」ではなく「100年のあゆみ」と記載したそう
年齢などを問わず幅広い方に見てほしい
7月のオープン以降、1か月半で約1,300人が来館。来館者のメイン層を決めているのか尋ねたところ「幅広い方々に来ていただきたいので、ターゲット層などは特に決めていない」とのこと。
それぞれ関心・興味を持っていただける点や「自分ごと化」していただける点が違いますので、さまざまな方に来ていただきたいと思っています。(白鳥氏)
予想より多かった、親子連れでの来館
来館者のメイン層などは全く決めていませんでしたが、8月23日時点で来館者のうち180組ほどが親子連れだったと言います。
品川駅から徒歩10分ほどの場所にあるミュージアムですが「人通りの多い場所でもないので、ふらりと立ち寄るような立地ではない」と考えていたため、予想より親子連れが多いことに白鳥氏は驚いたそう。
ホームページでご覧になったとか、「宅急便の車に乗れる」という評判を聞いてお越し下さったようです。お子さまにたくさん来ていただけて嬉しいです。(白鳥氏)
ヤマトグループ社員研修の一環として見てほしい
白鳥氏は「ヤマトグループの社員にもミュージアムを見に来てほしい」と思っているとのこと。
2019年に発行した100周年記念誌をヤマトグループ社員に配布しており、それを読んだ上で企業の原点である経営理念や創業の精神などをあらためて学んでほしいと言います。
「小倉康臣や小倉昌男が会社や宅急便を作ったことは簡単なことではなかった」ということを学び、会社の歴史や出来事を振り返る場所にしてほしいと思っています。(白鳥氏)
新型コロナウイルスの影響でまだ実現できていませんが、ミュージアムが入居するビルの別フロアには研修施設があるため、社員研修の一環としてミュージアムを訪れてほしいそうです。
多くの人が楽しめるイベントを行っていきたい
まだ展示しきれていない資料などもあるため、テーマを設けた企画展や、子どもが参加して一緒に物作りを楽しめるようなイベントを行っていきたいとのこと。
新型コロナウイルスの影響でなかなか実現のタイミングが難しいですが、年間を通してご来館した皆さまに楽しんでいただけるようなイベントや企画展を行っていきたいと考えています。(白鳥氏)
また、子ども向けのパンフレット作成も進めているそうです。
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ミュージアムで配布しているパンフレット。英語版や中国語版も用意されています
ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム
- 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日・年末年始 ※月曜日が祝日の場合は開館、翌営業日を休館。臨時休館日などあり
- 所在地:〒108-0075 東京都港区港南2丁目13-26 ヤマト港南ビル6F
- 電話番号:03-6756-7222
- ※入館無料で予約なしの自由見学。アテンドツアーを希望の場合や10名以上で来館の場合は事前予約が必要
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オリジナル記事:「小倉昌男の宅急便作りは簡単なことではなかった」。ヤマトグループ100年のあゆみを学べる「クロネコヤマトミュージアム」に込めた思い | 物流女子の旅
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