データで見るコロナ禍のチャネルシフト――全世代でEC利用が増加、高齢者のEC利用が定着、業種別デジタルシフトなど | ネットショップ担当者フォーラム

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三井住友カードと顧客時間は、新型コロナウイルスの影響による消費行動の変化を、キャッシュレスデータ分析サービス「Custella(カステラ)」を用いて調査した。

5月の大型連休中に消費が停滞したものの、緊急事態宣言が全面解除された後は緩やかに上昇傾向。外出自粛や緊急事態宣言をきっかけに増加したECモール・通販の利用は宣言解除後も多く、全世代でデジタルシフトが進んでいる。調査期間は2020年1月1日~6月7日。

緊急事態宣言解除後、決済金額は上昇傾向

緊急事態宣言発令以降、クレジットカードの決済金額は減少。例年は消費が活性化する5月の大型連休では大きな消費が起きなかった。なお、5月25日の緊急事態宣言宣言解除をきっかけに決済金額は上昇傾向に転じている。

クレジットカードの決済金額の推移 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後クレジットカード決済金額の推移(3/22~6/7)
全世代でEC利用が大幅に増加 緊急事態宣言解除後もEC・通販利用は多い

外出自粛や緊急事態宣言をきっかけに増加傾向になった「ECモール・通販」の利用は、宣言解除以降も堅調に推移。三井住友カードと顧客時間は以下のように分析した。

外出自粛や実店舗の休業を要因としたEC利用の伸長もあるが、「これまでECを利用しなかった消費者が外出自粛や実店舗の休業を要因としたEC利用を通じ、便利さに気付いた」といった背景も、「ECモール・通販」増加の一因だと考えられる。(三井住友カード、顧客時間)

一方、「ECモール・通販」以外のリアル消費は緊急事態宣言後、大幅に減少。クレジットカードの決済金額は4月20日からの1か月間、3月末と比べると半分程度の水準となった。

クレジットカードの決済金額の推移 ECと実店舗別 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後【EC・リアル別】クレジットカード決済金額の推移(3/22~6/7)
EC利用の決済比率が36%まで増加

カテゴリ別の分析では、2019年には20%弱だった「EC」のクレジットカード決済金額比率は2020年3月から増加。4月~5月には36%に拡大した。緊急事態宣言解除後の6月1週目は32%だった。

2019年では「衣」「食」「住」のシェアは各月でほぼ横ばいに対し、2020年4月~5月は「衣」のシェアが低下して「食」が増加。6月1週には「衣」のシェアが15%に急回復した。

カテゴリ別決済金額のシェア 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後カテゴリー別の決済金額シェア推移
高年齢層のデジタルシフトが定着化

高年齢層におけるECのクレジットカード決済金額シェアは、4月~5月の23%をピークに6月以降は21%と若干減少傾向にある。しかし、新型コロナウイルスによる消費影響がほぼなかった2月の13%と比較して数字を伸びており、今後も高年齢層のデジタルでの消費が定着する可能性がある。

カテゴリー別の決済金額シェアの推移 性別・年代別 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後【性別・年代別】カテゴリー別の決済金額シェア推移
業種で分かれるデジタルへのチャネルシフト

従来からデジタルチャネルの比率が高い「衣服小売」「家電量販店」は3月以降、デジタルチャネルの決済件数が大幅に増加し、4月の決済件数では半数を占めた。

一方、スーパーやホームセンターはコロナ禍の中でもでチャネルシフトの変化が見られなかった。

クレジットカード決済件数の推移 業種・チャネル別 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後業種/チャネル別 クレジットカード決済件数の推移(1月~5月)
「家中生活の充実」から「家外」消費に変化 緊急事態宣言解除後、「スポーツブランド」などが大きく伸びる

緊急事態宣言前後で消費対象にも変化があった。業種別に前年同月比の伸び率を見ると、4月~5月では「ホームセンター」(1位)、「ECモール・通販」(2位)、「玩具・娯楽品」(3位)などが上位。しかし、6月1週目には「スポーツブランド」(1位)、「美容品」(3位)、「靴」(6位)などが大きくランクアップし、「家中」から「家外」へ消費が変化している。

4月~5月と5月~6月1週目を比較すると、「ホームセンター」が1位から8位、「ECモール・通販」が2位から9位、「玩具・娯楽品」が5位から10位となり、外出自粛要請による特需状態を経て落ち着いた推移となった。

業種別伸び率ランキング 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後 家中消費 家外消費業種別詳細 前年同月比伸び率ランキング推移(増加業種)
在宅勤務で「スポーツブランド」需要が高まる

「スポーツブランド」の伸長は、外出自粛要請発出当初から20代~30代を中心に見られた傾向だった。在宅勤務によってスーツなどのビジネスウェア着用の機会が減り、機能性の高いスポーツブランドの服を着て過ごす需要が高かったことがSNSからも確認できたという。

5月中旬以降は段階的な緊急事態宣言解除に比例し、スポーツ関連検索が増加。フィットネスクラブの営業再開なども伴い、スポールブランド消費の需要が高まったと見られる。

スポーツ関連検索数 調査 三井住友カード 顧客時間 新型コロナウイルス 緊急事態宣言前後 スポーツブランド需要 在宅勤務スポーツ関連検索数(Google トレンドより)
ECは当たり前に利用するチャネルに

調査結果について、三井住友カードと顧客時間は次のように考察している。

大型連休期間までの経済活動は停滞傾向が見られたが、段階的な緊急事態宣言解除以降は各業種で回復の兆しを垣間見ることができる。

特にEC サイトの利用(消費行動のデジタルシフト)はこれまで以上にその勢いを増し、消費者にとって性別や年代を問わず当たり前に利用するチャネルとして定着しつつある

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オリジナル記事:データで見るコロナ禍のチャネルシフト――全世代でEC利用が増加、高齢者のEC利用が定着、業種別デジタルシフトなど
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藤田遙
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