ディスプレー型のリターゲティング広告配信事業を世界130カ国以上で展開しているCriteo(クリテオ)。行動履歴などに基づいてユーザーの興味や関心を分析し、個人に最適化した広告を表示することで高い成果を上げている。天野 耕太 シニアセールスディレクターがその仕組みと活用法を解説した。 写真◎Lab
セミナーのポイント
- サイト離脱率は98%。離脱者を呼び戻すこができればEC売上は伸びる
- クリテオのリターゲティング広告がCVR約2倍を実現する3つの理由
- ︎アプリやメールを使ったリターゲティング広告が有望
CRITEO株式会社 シニアセールスディレクター 天野 耕太 氏
まず、クリテオの広告配信事業について簡単に触れておきたい。クリテオは、クリック課金型のリターゲティグ広告配信システム「CRITEO(クリテオ)」を世界130カ国以上で展開している。独自の人工知能をベースにしたアルゴリズムとエンジンを使い、cookieの情報を活用してユーザー一人一人の嗜好や興味に合わせ、最適なバナー広告を自動的に表示するのが特徴だ。
クリテオが配信するバナーの例
例えば、あるECサイトの“A”という商品のページを閲覧したユーザーが購入せずに離脱したとする。そのユーザーに対して、クリテオの広告枠に“A”のバナーや、関連性の高い商品のバナーを表示し、クリックさせて直接商品ページに呼び戻す。
その際、「コンバージョン率が高いユーザー」や「客単価が高いユーザー」などを予測し、優先的に広告を表示することもできる。
クリテオのリターゲティング広告はカゴ落ちしたユーザーの潜在需要を掘り起こし、商品ページに直接誘導するため、バナーのデザインが固定されている一般的なリターゲティング広告と比べて費用対効果が優れている場合が多い。
現在、クリテオの広告主は9,000社以上、契約の継続率は90%を超えているという。日本ではヤフーやリクルートグループのほか、多くの通販会社が利用している。
広告配信先はYahoo! JAPANをはじめさまざまなメディアの広告枠を確保しており、日本のインターネットユーザーの約92%にリーチできる配信ネットワークを持つ(2015年9月時点)。
【クリテオの広告配信事業の概要】
- 広告パブリッシャー……11万サイト以上
- 月間リーチ数……11億回
- 広告主数……9,000社以上
- 広告主の継続率……90%以上
- サービス展開国……130カ国以上
- 日本のインターネットユーザーへのリーチ率……約92% (2015年9月時点)
パーソナライズ(個人に最適化)されたリターゲティング広告の実現、すなわち、最適なユーザーに、最適な商品を、最適なタイミングで届けることを実現する(天野氏)。
サイト離脱率は98%。離脱者を呼び戻すこができればEC売上は伸びる
天野氏はECサイトを訪問するユーザーの行動の特性について、同社の広告配信事業で培ったデータをもとに解説した。
同社の調査によると、ECサイトを訪問したユーザーのうち、実際に商品を購入するのはわずか2%にとどまり、98%は商品を購入せずに離脱するという。
商品を購入したユーザーのうち、当日中に購入するのは46.2%、2日目〜1週間以内に購入するのは16.7%、購入まで1週間以上検討し、サイトを複数回訪問してから購入したユーザーは37.2%だった。
つまり、サイトを訪問した当日に購入するユーザーは全体の1%以下。この結果を見れば、ECの売上を伸ばすためには、ECサイトから離脱したユーザーを、いかに効率的に呼び戻して購入に結びつけるかが重要であることは明白だ。
クリテオのリターゲティング広告がCVR約2倍を実現する3つの理由
クリテオが提供するリターゲティング広告の特徴は、
- ユーザーに最適なバナーを自動で生成
- 独自のエンジンとアルゴリズム
- 国内ユーザーの92%にリーチする配信ネットワーク
の3つが上げられる。天野氏は3つの特徴について、それぞれ具体的に解説した。
1.ユーザーに最適なバナーを自動で生成
クリテオのリターゲティング広告は、サイトの閲覧履歴やインターネット上の行動履歴などに基づき、機械学習によってユーザー一人一人に最適な広告を自動で生成する。
広告の素材を登録しておけば、ユーザーごとに最適なバナーのサイズやレイアウト、文言、色などを機械が自動的に選択し、1つの広告枠に対して最大2,240パターンの広告を作り出す。
複数のバナーを出し分けながら、最も費用対効果の高いバナーへと絞り込んでいくことで、効率的な広告運用が実現する。
2.独自のエンジンとアルゴリズム
ユーザーごとに表示内容が異なる動的なバナー広告を可能にしているのが、クリテオ独自の人工知能をベースとしたエンジンとアルゴリズムだ。
広告主のサイトにタグを埋め込み、ユーザーのさまざまな情報を収集して分析と予測を行う。ユーザーが閲覧した商品、閲覧ページ、カートに残った商品の有無、コンバージョンの有無など、無数の情報を網羅的に分析し、商品に対するユーザーの興味の深さを計る。
このエンジンは急速に進化しており、2015年冬の時点で、「購入確率が高いユーザー」や「客単価の高いユーザー」を高い精度で予測できるという。
広告主がバナーの表示/非表示でABテストを行ったところ、クリテオのリターゲティング広告経由でECサイトを再訪問したユーザーは、それ以外のユーザーと比べてコンバージョン率が約2倍に向上した。
エンジンとアルゴリズムは進化を続けており、2015年には、コンバージョンレートが高いと予測されるユーザーや、購入単価が高いと予測されるユーザーに優先的に広告を配信する仕組みを実現した。広告の対費用効果をさらに最適化できるよう改善を続けている。
3.国内ユーザーの92%にリーチする配信ネットワーク
クリテオはYahoo!JAPANをはじめ、多くのオンラインメディアと提携しており、日本最大級の広告配信ネットワークを構築している。
掲載メディアは朝日新聞などのニュースサイト、食べログ、mixi、OKWaveなど幅広い。GoogleやFacebookなど外部との提携ネットワークも持つ。2015年9月時点で同社のリターゲティング広告は日本のインターネットユーザーの約92%にリーチしているという。インターネットユーザーの10人中9人は、1カ月間に1回以上、クリテオの広告を見ている状況だ。
アプリやメールを使ったリターゲティング広告が有望
クリテオは近年、スマートフォンをターゲットとした広告配信を強化してきた。特に、パソコンやスマートフォン、メールなどを統合的に活用し、ユーザーの需要を喚起するクロスデバイスのマーケティング施策に注力しているという。ユーザーがパソコンで閲覧した商品をスマートフォンサイトでもレコメンドしたり、ユーザーがスマートフォンで閲覧した商品の広告をPCサイト向けに配信したりする。
2015年に同社が実施した調査によると、パソコン経由で商品を購入したユーザーの約33%は、購入を検討している段階でスマートフォンなどのモバイルデバイスを使ってECサイトにアクセスしていたという。こうした消費行動の変化を受け、同社はモバイル対応を加速している。
2016年はメールを活用したリターゲティング広告や、スマートフォンアプリに対する広告配信の仕組みを一層強化していくという。
当社はこれまで、主にWebサイトのバナー広告を配信してきたが、今後はユーザーの閲覧履歴に基づいてパーソナライズされたメール広告の配信も強化していく。
欧米ではすでにリターゲティングメールは有効な手段の1つとして活用されており、メールの開封率は34%、メールに記載されたリンクのクリック率は35%、CVRも5.9%と高い実績を上げている。
EC業界では現在、顧客一人一人に最適化したプロモーション施策を行う「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」を推進する動きが広がっている。メールやアプリを網羅したクリテオのリターゲティング広告は、EC事業者の販促施策を劇的に改善させる可能性を秘めている。
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オリジナル記事:ユーザーに最適な広告を自動で生成。CVR約2倍を実現するCriteoのリタゲ広告
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