ブラジルの2つのトップスタートアップがアメリカに移る理由とは? | SEO Japan

SEO Japan - 2011年9月21日(水) 22:05
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日本のネット業界も最近はスタートアップ・中堅・大手問わず”シリコンバレー進出”がブームになっているようですが、さて数年後に成功事例は出てくるでしょうか?今回は成長中の巨大市場として注目されているブラジルの有力スタートアップ2社がアメリカ進出した件に注目してみます。日系人も世界最高レベルで多く古くから日本との親交も深いにも関わらずほぼ地球の裏側にあり気軽に行けないせいかイマイチ注目度が低いブラジルですが、ネット界隈もどうやら盛り上がっているようです。 — SEO Japan Googleで“the American dream(アメリカンドリーム)”と書き始めると、以下のようなサジェスチョンが表示される:“the American dream is dead(アメリカンドリームは死んだ)”。それにもかかわらず、ブラジルで最も将来有望な2つのスタートアップ、EverWriteとDeskMetricsは、本社をデラウェア州に置いてアメリカに移ろうとしている。なぜ彼らはブラジルを離れることを決めたのだろうか? グローバルな野望を持った2つのスタートアップ 確かに、ブラジルのスタートアップエコシステムはここ数年で急激に成長していて、この新興国における市場機会は外国人投資家から多くの注目を集めてきた。それでも、ブラジルでビジネスを経営することは閑職ではない。会社を始めるには何ヶ月もかかるし、それを閉めるのも同じ位かかる。ブラジル人ミュージシャンTom Jobimが、“ブラジルは初心者向きではない”と指摘したことは有名だ。そこら中に官僚制度があふれていて、専門的な助けがしばしば必要とされている。残念ながら、この国はいまだにスタートアップのニーズと一般的なテックに精通した専門の弁護士や会計士が欠けているのだ。 それでも、成長している巨大なブラジル市場に興味のある人達にとっては苦労する価値があるがある中、EverWriteとDeskMetricsのようなスタートアップにとっては事情が違う。確かに、彼らは、Googleブラジルのリサーチセンターが置かれている街、Belo Horizonte出身ではあるが、彼らには外国のクライアントとグローバルな野望がある。彼らのウェブサイトは、英語で書かれ‘dot-com’URLが使用されており、そのグローバルな視点が反映されている(ブラジルのウェブサイトは、通常‘.com.br’で終わる)。 それは位置関係だけが全てではない。彼らが参入する市場はどちらも国外だ。EverWriteの事業は、パブリッシャーがユーザーの需要に適合したコンテンツを作成するのを支援することだ。このパブリッシャーは、必ずしもブラジル人ではない―実際のところ、EverWriteのターゲット市場はアメリカである。DeskMetricsに関しては、“デスクトップソフトウェアのためのGoogleアナリティクス”(過去の記事参照)と評されている―これもまた、かなり国際的な市場だ。 海外に進出することだけが全てではない。例えば、市場としてのブラジルは、いくつかの例外を除いて、DeskMetricsにとってはあまり興味深いものではない。CEOのBernardo Portoによると、この国で作られたソフトウェアの大部分が、彼らのスタートアップには関係のないマネージメント関連なのだ。さらには、文化的な障害もあるとBerardoは言う。海外のテック会社は多くの変数を測定することを好むが、ブラジルの会社は当て推量に頼りすぎるのだ。さらに、巨大なIT企業でさえいまだにクラウドコンピューティングに慎重で、運営費がかさむインターナルサーバーを好む。その結果、DeskMetricsの最大のクライアントは、アメリカやヨーロッパを拠点とするソフトウェアエディター、例えばAdobeのライバルNitro PDFになったのだ。 外国のクライアントとブラジルの投資家を扱うのは易しいことではない DeskMetricsがクライアントに請求をしなければならない時に問題は発生する。ブラジルでドル建ての支払いを受け取ることは、アメリカ国内に銀行口座を持たない比較的小さな企業にとっては非常に複雑なことなのだ。さらに、高い手数料と両替率の両方が原因となってとても高くつく。ブラジルで課せられる税金に加え、それはDeskMetricsの実行可能性を危うくするようなレベルに達する。このことがBernardoに、できるだけ早くアメリカに移ってアメリカで銀行口座を開く必要があると気付かせることとなった。しかも彼は、DeskMetricsがアメリカで法人化したら支払うつもりでいるクライアントを信用したのだった。 たぶんDeskMetricsはデラウェアで法人化するだろうが、オフィスは恐らくニューヨークに置かれるだろう。Bernardoにとって、これは、この移転がスタートアップのありふれた展開でも“シリコンバレーでアメリカンドリームを夢見ること”でもないことを示すもう1つの象徴なのだ。この会社がアメリカに移るつもりなら、それはやむを得ない。ニューヨークとういう場所の選択は合理的でもある。DeskMetricsはすでにそこにいるスタッフメンバーにとって重要なのだ。Bernardoは、ボストン市民であるSteve Hazeltineがブラジルに住んでいた時に彼と出会った。Bernardoに英語のクラスをする代わりに、SteveはDeskMetricsで働くこととなった。今彼は、ニューヨークでこのスタートアップのセールスとビジネス開発のマネージャーを担当しており、会社をそこに移すことに尽力することになるだろう。 実際には、ビザを獲得することが大変なため、Bernardo自身はアメリカには移らないかもしれない。彼は、一時的かもしれないがチリに移る可能性の方が高い。彼のスタートアップは、最近のStart-Up Chileの申請に参加したのだ(私達の記事参照)。彼はまだ、この会社がこのプログラムの参加に選ばれるかどうか分かっていないが、彼は、他のグローバルなスタートアップと交流し、他の文化を学ぶことにとても興味を持っている。 DeskMetricsのブラジルを去ることへの興味は、クライアントに関心を向けるこに勝る。それはさらに、スタートアップが拡大に必要な資金を集めることを簡単にする。すでにブラジルのエンジェルから200,000USドルを集め、最近になって収益分岐点に達したが、今では拡大のために100万USドル以上を求めている。Bernardoによれば、このような額はアメリカの投資家から集めるほうが簡単なのだ。しかしながら、アメリカの投資家は通常アメリカの会社に投資することを好む。なぜなら、彼らはブラジルの法律システムをよく知らないからだ―それもまたDeskMetricsがアメリカで法人化する理由である。 アメリカでの法人化を助けたインターネットの存在 Diego Gomesは、友人のBernardoよりもさらに先を行っている。彼の会社、EverWriteは、正式なデラウェアのC Corpだ。さらに、この会社はなんとかシリコンバレー銀行(SVB)に口座を開くこともできた。Diegoは今、自分と共同設立者のEdmar Ferreiraが、将来の投資家やクライアントにより近いシリコンバレーに移るためのビザを獲得する過程にある。 この過程の中で、Diegoはオンラインで利用できる情報の量と質に大変に感銘を受けた。彼は、自分に必要だったリソースの大部分をウェブ上で見つけたのだ。Ryan Robartから受けた支援がかなり意義深かったと彼は言っている。弁護士のRyanは、法人化とその他のスタートアップの法律問題に特に集中した専門的ブログStart-Up Lawyerを運営している。彼はDiegoにデルウェアで会社を始める方法についてアドバイスを提供した。 DiegoとBernardoは共に、弁護士の助けを借りて物事を適切に行うことがいかに重要であるかを主張している。DeskMetricsのようにすでにブラジルでお金を集めた会社では、特にだ。それでも、EverWriteが受けた支援の全てが、プロフェッショナルから少なくとも支払い請求可能なものからだったわけではない。Diegoは、Quoraをよく利用した。そして、Q&Aウェブサイトはアメリカで法人化することに興味のある外国人の集まる場所だと指摘している。 ブラジルを諦めないこと DiegoとBernardoがブラジル市場を支持していないことを意味するわけではない。DiegoはブラジルのテックブログWebholic(以前はReadWriteWeb Brasilとして知られていた)の共同設立者だ。2009年に始まったポルトガル語で書かれたこのウェブサイトは、この国でスタートアップエコシステムを作ることに貢献してきた。Bernardoはローカルシーンを発展させることにも貢献している;彼は、ABSの共同創設者の1人でもあり、最近、Samba TechのCaetanoと一緒にBrazilian Startups Associationを作った(過去の記事参照)。 つまり、Bernardo PortoとDiego Gomesは、ブラジルが最終的に最善な結果に変化することに期待を寄せているのだ―しかし、差し当たり、アメリカに移ることが、彼らの会社にとって最も理にかなうことなのだ。 あなたはどうだろう?もし今ブラジルのスタートアップを経営していたとしたら、アメリカに移るだろうか? この記事は、The Next Webに掲載された「Why are two of Brazil’s top startups [...]
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