第3回 課題解決へ導くAdobe Analyticsツール紹介

データ取得から分析を行うの効率的かつ高度な分析ツール紹介
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第3回 課題解決へ導くAdobe Analyticsツール紹介

Adobe社が提供するAdobe Analyticsは、その多機能性と分析ツールの豊富さが際立つWeb分析ツールです。第1回では、Reports&AnalyticsのUIや指標の定義、集計方法、第2回では取得データの定め方をご紹介いたしました。
第3回では、実際にデータ取得~分析を行うにあたり、より効率よく、高度な分析を行う為のツール活用方法をご紹介いたします。

■こんな悩みを抱えていませんか?

第2回でご紹介した通り、サイト分析にはサイトゴール(KGI)を数値として明確にし、KGIを構成する各要素(KPI)を分析することが王道とお伝えしました。

王道プロセスを推進する際の良くある現場の悩み

  • 悩み1:データを取得し、現状を資料に纏めるだけで工数が逼迫し、分析に割く時間が足りない。
  • 悩み2:KGI/KPIから改善箇所は見えてきたが、具体的な原因と改善施策が中々見えてこない。

悩みの発生原因

  • 原因1:Reports&Analyticsはあくまで分析ツールであって、報告書作成ツールではない。
  • 原因2:サイト全体に対するKGI/KPIはあるが、施策に対するKGI/KPIが未設計。

原因に対する推奨する対策

  • 対策1:エクセル上で報告用の表、グラフを用意、エクスポートデータを貼るだけで自動更新させる。
  • 対策2:上記対策1で全体像を効率よく把握し、KPIを細分化、導線ユーザ属性別に深堀する。

対策1では、報告書作成はエクセルに任せ、エクセル側で自動更新できるように、分析ツール上でデータ配列を整えておく形です。

対策2は、サイト全体像を日本地図としてイメージください。日本地図上では、東京への「流入」はどの地域が多いのか俯瞰的に見る事ができます。ではある地域からの流入が少ない理由はなぜでしょう?鉄道網が途切れているのかもしれません、その場合、どこかに鉄道を新設することで改善が見込める可能性があります。しかし、この仮説を立証し実行に移すには、日本全図ではなく、その地方に拡大した地図が必要です。

上記2つの対策は、Adhoc Analysis(旧Discover)と言うツールが強力にサポートします。

■Adhoc Analysisとは?

Adhoc Analysisとは、Adobe Analyticsの1ツールで、Reports&Analyticsの上位互換とも言える非常に強力な分析ツールです。
データソースは他のAdobe Analyticsツールと同様ですが、各データとセグメント間の無制限の掛け合わせや、同一画面上での比較、レポートの自在なカスタマイズ等、様々な角度でのデータ分析を実現可能です。
また1レポートで大量のデータを一括ダウンロードも可能です。

一方で、Reports&AnalyticsとはUI設計自体が大きく異なり、ツールの存在は認識しているものの、実際に活用している現場はまだまだ少ないようです。まずは簡単にAdhocの概念をご説明致します。

■Adhoc Analysisの概念 プロジェクト~ワークスペース~レポート

図1の様にAdhoc Analysisを立ち上げると、まずプロジェクト選択画面が表示されます。このプロジェクトと言う概念はReports&Analyticsには存在しない為、まずここでつまずくユーザが多いようです。
このプロジェクトですが、「フォルダ」だと捉えてください。

図1 プロジェクト選択画面
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次にプロジェクトを立ち上げると図2の初期画面が立ち上がります。色々と選択できる項目がありますが、まずは上部赤枠のワークスペースと記載されている部分にご注目ください。このワークスペースは「プロジェクト=フォルダ」内のエクセルブックと捉えてください。

図 2初期画面
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さて、この「ワークスペース=ブック」内に、図2オレンジ枠のレポートと言うタブがあります。この「レポート」はエクセルで言うワークシートに相当し、各ワークシートに実際のデータが含まれます。各ワークシート上でドラッグ&ドロップで必要なデータをテーブル組みし、グラフが上部に自動反映される形式です。

まとめると、以下になります。

  • プロジェクト=フォルダ
  • ワークスペース=エクセルブック
  • レポート=エクセルワークシート

上記の様にAdhocの用語をエクセルと同様と捉えることで、どういった概念かイメージできるかと思います。
またこの概念により、Reports&Analyticsと違いAdhoc Analysisは調査分析データをツール上で保管/管理でき、かつ直観的に表組できる優位性が見えてきます。

■データ取得高速化の例

いよいよ本題のAdhoc Analysisを用いた高速データ取得事例に移ります。

一例として、図3の導線で構成されるサイトがあったとします。このサイトのKGIを会員登録数増で、CV=会員登録に向けて、各導線/画面の改善を繰り返しており、分析担当者は導線/画面毎のアクセス数/遷移率を定点観測し、図3の導線マップに数値を都度記載していくミッションを担うとします。

図3 導線図一例
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この場合、Reports&Analyticsで取得すると、複数のレポートを都度生成しダウンロード、エクセル等で加工を施す必要があり、分析前の作業で工数が発生します。しかし、Adhocを使えば、必要なデータを全て一つのレポートで一括取得、ダウンロードができ、かつ事前にエクセルで仕込みを行えば、次回以降のマップへの数値更新反映をわずか5分で実現可能です。

実際の手法ですが、下図4の様にまずAdhoc Analysis上で必要なデータのテーブル組みを行います。赤枠①はTOPのPV,UU,青枠②はTOPを経由した検索一覧のPV,UUです。この状態でダウンロードを行うと、エクセルファイルで下図5の並びで出力されます。

図4 Adhoc上のテーブル
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図5 エクセル出力後の状態
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後は別のエクセル上で、図3のマップを用意し、数値は先ほど取得した①や②を関数で取得します。定点観測時に更新する際は、Adhocから出力するファイルの日付を変更し、前回のファイルに上書きすることで、マップ上の値の自動更新が可能です。またLOOKUP関数等と組み合わせることで、エクセル上で選択した期間のデータに切り替えることも可能です。

以上、Adhocでは一つのレポート内で、テーブルとして一括に大量データが取得できる点をお伝えしました。
これにより、サイト全体像の中でどの部分に改善の余地があるか当たりをつけることや、施策効果がサイト全体に与えた影響を俯瞰的に見ることが効率よく実現できます。
結果、Adhocを使いこなすことで、悩み1「データを取得し、現状を資料に纏めるだけで工数が逼迫し、分析に割く時間が足りない。」の解決が見込めます。

■ボトルネック特定に向けて

さて、ここまでで分析の時間を確保しました、ここからは、悩み2「KGI/KPIから改善箇所は見えてきたが、具体的な原因と改善施策が中々見えてこない。」についてです。

結論からお伝えします、Adhoc Analysisは具体的な施策の提示はできません。
施策を打ちだすのはあくまで人です。
しかし、Adhoc Analysisを用いることで、施策のヒントを効率よく発見することはできます。

まずおさらいになりますが、サイト改善を実施する最終目的はサイトのゴール=KGIの数値向上となります。KGIの構成要素としてKPIが存在し、そのKPIに対して施策を打っていきます。

しかし、このKPIですが、例えば一口に検索エンジンからの流入と言っても、どのキーワード(以下KW)による流入か、ユーザの年齢、性別等さらに細分化されます。KPIとしてさほど悪い数値では無いものの、さらに数値を挙げてサイトを成長させる場合、全体最適よりも、むしろこれら細分化された層に対しての部分最適を行うことで効果が見込める場合があります。

具体例として、旅行サイトで、流入の数値は悪くないが、直帰が多いと言う課題を全体像から見出したとします。流入を細分化してみると、検索エンジンから”ヨーロッパ 旅行”と言うKWが多いものの、直帰が目立ちました。LPを見てみると、キャンペーンバナーとして国内旅行を謳っていました。この場合、KW”ヨーロッパ”を含むユーザに対してのみヨーロッパ特集等のバナーを打ち出す等、母数が大きく(=サイト全体に与える影響度高)かつ改善が見込める箇所に特化して施策を打ち出すことができます。

上記例の様に、施策に関してはKPIをさらに深堀し、影響度高かつ改善効果大の小さな部分最適から進めていくことを推奨致します。この際、どこが影響大かつ改善効果大なのかを見いだす為にAdhocの一括データ取得&無限セグメント機能を活用します。

前述の通り、Adhoc Analysisではエクセルのテーブルの様に、一つのレポートで複数のディメンション/指標を取得できます。さらに各ディメンション/指標に対して、個別にセグメントを充てることも可能です。データ取得高速化例の場合、TOPのUUをさらに細分化して、年代別x性別UUとして、テーブルで表示可能です。
これら細分化データを並べてみると、どこがサイトに与える影響度高、かつ改善効果大なのかが一目で比較可能となります。

以上、悩み2「KGI/KPIから改善箇所は見えてきたが、具体的な原因と改善施策が中々見えてこない。」についても、Adhocは非常に有効なツールです。
但し、こちらの悩みについて、Adhoc Analysis自体が解決するわけでは無く、あくまで人がKPIをさらに分解することで仮説立て、その仮説を元にデータ取得を高速で行う形です。

まとめると、Adhocを活用すると、煩わしいデータ取得作業を短縮化でき、高度な分析さえも効率良く進められることです。Adhocと言うツールの存在そのものがAdobe Analyticsを使用する優位性の一つとも言えます。悩み1,2を抱えているご担当者様、是非一度Adhoc Analysisをお試しください。



次回について

機能面、運用面等様々な角度から「Google Analytics(無料版)とAdobe Analyticsの比較」をご紹介いたします。


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