レポート『対デジタルプラットフォーマー規制強化に伴う地方企業への悪影響』を発表

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2020年11月12日(木)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科岩本研究室
規制強化が5年間で最大6.47兆円の売上を損失させる可能性を試算


慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授は、試算レポート『対デジタルプラットフォーマー規制強化に伴う地方企業への悪影響』を発表しましたことをお知らせいたします。

レポートの詳細については、下記URLよりご確認ください。
https://www.tiwamoto.jp/report/

<レポートサマリー>
● デジタルプラットフォーマーへの規制強化によって地方企業の売上(デジタル広告経由)が、5年間で最大6.47兆円が毀損される可能性。
● プラットフォーマーへの過度な規制はむしろデジタル広告出稿市場の萎縮を招き、ひいては地方企業等の売上毀損に繋がるなど、デジタル広告によって現状恩恵を受けている地方企業にも大きなネガティブ影響がもたらされかねないため、慎重な検討が必要。


<国内外で加速する「プラットフォーマー規制」の動き>
昨今、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)に代表される大規模なデジタルプラットフォーマーへの規制を検討する動きが国際的に加速している。近年、日本でもデジタルプラットフォーマーへの規制強化が検討されてきた。2020年5月には、巨大IT企業に取引の透明性向上や情報開示を求める「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が成立。2021年春の施行を目指し、現在、要件の詳細が議論されている段階だ。

<規制強化で懸念される地方企業への悪影響>
一方で、規制対象となるプラットフォーマーを中心としたIT業界からは、「過度な規制は、技術革新(イノベーション)や新たな挑戦を阻害する」「経済にも悪影響をもたらしうる」と懸念する声が多く聞かれる。
特に大きな懸念の一つとして挙げられているのが、「プラットフォーマーへの広告出稿によって商圏を広げ、売上を獲得している地方企業への悪影響」だ。デジタル広告は、TV・新聞・雑誌等のマス広告と異なり少額からでも出稿・運用できるため、広告予算に限りがある中堅以下の企業に大きな恩恵をもたらしてきたとされる。仮に規制強化によってプラットフォーマー側の対応コストが増大し、そのコストが広告出稿側に一部転嫁されることになった場合には、予算規模が限られる中小企業や地方企業ほどデジタル出稿に踏み切りづらくなる事態が予測される。そういった状況下では、地方企業がリアル商圏を超えてデジタル広告経由で獲得してきた販売機会の一部が失われ、売上が毀損されてしまう可能性が高い。
昨今のコロナ禍で無数の中小/地方企業が苦境を強いられている現状下では、それらの企業にとっての選択肢が狭まることで、最悪の場合、再興への道が阻まれるような事態にもなりかねない。
2021年春より施行予定の新法の詳細は未だ検討中であり不明だが、プラットフォーマーへの過度な規制はむしろデジタル広告出稿市場の萎縮を招き、ひいては地方企業等の売上毀損に繋がりかねないため、慎重な検討が求められる。

<規制によるネガティブ影響は5年間で最大6.47兆円>
今回は、今後プラットフォーマーに規制がかかった場合において、現在デジタル広告を活用している地方企業の売上にどの程度のネガティブ影響が生まれうるのか、いくつかの前提を置いた上で試算を行った。(※試算方法の詳細は、レポートを参照。)
試算の結果、規制強化によって毀損される可能性がある地方企業の売上(デジタル広告経由)は、5年間で計0.98兆円~最大6.47兆円となった。


<今後の議論に向けて>
現状の大規模プラットフォーマーは国内外の市場を先導するイノベーターであり、それゆえ今回の規制強化がイノベーションにある種の「冷や水」を浴びせることになる可能性についても言及しておきたい。常に変化し続ける市場環境に迅速に対応し、未解決の課題に挑み続ける企業こそが市場にイノベーションを起こしうるのだとすれば、そういった企業のモチベーションやリソースが過度な規制により削がれるようなことは極力避けるべきだろう。
直接の規制対象となるプラットフォーマーに加え、デジタル広告を通じて新たな機会を獲得している利用企業や消費者の声・ニーズも汲んだ上で、新法施行に向けて建設的な議論が進むことを期待したい。

【執筆者プロフィール】
岩本 隆(慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授)
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より現職。
外資系グローバル企業での最先端技術の研究開発や研究開発組織のマネジメントの経験を活かし、DIでは、技術系企業に対する「技術」と「戦略」とを融合させた経営コンサルティングや、「技術」・「戦略」・「政策」の融合による産業プロデュースなど、戦略コンサルティング業界における新領域を開拓。KBSでは、「産業プロデュース論」を専門領域として、新産業創出に関わる研究を実施。
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