[特集]アクセス解析 “超” 基礎講座
『Web担当者 現場のノウハウVol.8』の読者のために、データを入力するだけで簡単にアクセス解析レポートを作れる、エクセルのフォーマットをダウンロードできる形で用意した。自分なりにアレンジしてぜひ活用してもらいたい。このツールを使えば、アクセス解析ツールだけでは直接読み取れない、別の視点からウェブサイトを解析できる。
また、『Web担当者現場のノウハウvol.8』の特集p.32のステップ7で紹介した、上司への報告書向けのテンプレートも用意したのであわせて活用してもらいたい。
ページビューで見るウェブサイトの偏差値
各ページやディレクトリに「偏差値」をつけるエクセルのひな形を用意した(図1)。統計の言葉の中で、「偏差値」ほどブルブルっとくる言葉はないだろう。一度はこれで悩んでいるはずだ。
偏差値とは、ある数値が母集団の中でどれくらいの位置にいるかを表した数値である。平均値が50、標準偏差が10となるように規格化したものだ。本来、偏差値はホームページのアクセス状況にふさわしい指標ではない。しかし、Web担当者から各部署の担当に指し示す数値としてはショッキングで、こちらの意見を聞いてもらいやすい。これは、サイトの構造が担当者ごとにきっちりディレクトリ構造になっていればディレクトリ、そうでなければページ単位で使ってもらえればいいと思う。
これは上司に提出するフォーマットではなく、各事業部の担当者に配布する資料として作成しよう。エクセルには実際にあるサイトのデータをサンプルとして入力してあるが、どのサイトでも偏差値が際だって高いごく一部のページ(ディレクトリ)とそれ以外、という結果になるはずだ。各事業部の担当者に恨まれないように使ってほしい。
散布図を使って困ったページを見つける
次は、Web担当者が全体の中でカイゼンするべき「困ったページ」を見つけるときに使用するツールだ(図2)。
このエクセルの散布図は、グラフの横軸に「入り口回数」、縦軸に「1ページだけ見られたランキング」(直帰した率の高い順)をとってページの分布を見るものだ。
横軸の「入り口回数」が多いのは良いページとしよう。縦軸は直帰率なので低いほど良い。つまり、一番良いのは入り口回数が多くて直帰率が低い4のページである。このページは多くの訪問客を集めつつ、他のページに誘導している。一番悪いのは、対角にある入り口回数が低くて直帰率が高い2のページだ。真っ先にカイゼンすべきは、集客はできているが、直帰率の高い1のページだ。このままではもったいないので、LPOを実施するなどして、他のページにいってみたくなる工夫をこらそう。3のページは、直帰率は低いので、SEOやキーワード広告を実施して集客力をアップさせよう。4は理想的なページなので最後にマンパワーや予算が余ったら対処するようにしよう。
全部のページを一気にカイゼンすることは難しい。だから、このようにページにランキングをつけて、徐々に対策していこう。
上司への報告書をテンプレートでつくる
上司には定期的に報告するべきだが、そんなに詳しい情報を渡すこともない。これまでの各ステップで見た数字を1枚のエクセルのワークシートにまとめて見せるのがいいだろう。Web担の読者のために、多くのサイトで使える、報告用ワークシートを用意した(図3)。自由にダウンロードしてアレンジして使ってみてほしい。データをエクセル形式でダウンロードできるツールを使っている場合はそれをもとにアレンジしてもいい。
このテンプレートに掲載されている項目は以下のようなものだ。
-
おもな指標
- PV数
- 訪問者数
- PV/訪問者数(=1人が見たページ数)
- 日別訪問者数
ページビューの推移のグラフ
PV/訪問者数(=1人が見たページ数)のグラフ
-
製品毎の指標
- 製品がディレクトリになっている場合、ディレクトリごとのPV数
- 訪問者数
- PV/訪問者数(=1人が見たページ数)
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月に1回ぐらいの報告は、この程度のエクセルシートにしておこう。経営陣も、細かいことまで知りたいのではない。まずは自社の鏡ともいえるウェブサイトに月間何人が訪れ、1人あたり何ページくらい見ているのかという「ステップ1:サイト全体の状況をおおざっぱにつかむ」を定期的にやってもらい、自社のウェブサイトに関する興味を継続的にもってもらうことが大事だ。これからアクセス解析を始めるという場合は、上司が慣れてくれるまで、月1回のペースでこのシートを上司に提出しよう。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.8』掲載の記事に一部加筆を加えたものです。
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