ウェブディレクトリの価値に疑問を投げかけた先週の「Whiteboard Friday」のビデオは、SEO関係のコミュニティにちょっとした議論を巻き起こした。
今になって思うと反発は予想されて当然だったんだよね。SEOフォーラムの多くには、自分がウェブディレクトリを構築している人、お金を払ってウェブディレクトリに登録している人、ウェブディレクトリの広告を販売している(あるいはアフィリエイトリンクを提供している)人がいっぱいなんだから、すぐにわかってもよさそうな話だったんだ。インターネットマーケティング担当者の行動に影響を与えるかもしれないブログ(たとえばSEOmoz)が、汎用的な有料登録のウェブディレクトリを好意的に扱えば、自分の利益になると情熱を傾ける人はたくさんいる。
だけど、僕が考える「質の低い」ディレクトリを必死に擁護する主張は、悲しいかな、ソースに問題があって信用できるものではない。Stephan Spencer氏やBill Slawski氏が、あるいはもっと説得力のあるところで、Matt Cutts氏やEytan Seidman氏が、たとえ汎用のディレクトリを支持するとしても、僕はまったく異なる見解を持つだろう。でも、経験から言わせてもらうと、ディレクトリによるリンクビルディングのゲームに関わっていないこうしたSEO関係者は、主要な検索エンジンの関係者らと同様に、ディレクトリを使ったリンクビルディングの価値について、全般的に批判的な見方を持っている。
なぜそうしたディレクトリに価値がないのか、マーケティング担当者にわかってもらうために、今日は検索エンジニアの視点からこの問題を解説してみたいと思う。ただその前に、僕が「質の低いディレクトリ」というときに何を言わんとしているのかを、きちんとわかっておいてもらいたい。
ディレクトリの価値を判断する10のポイント
僕がディレクトリの価値を判断する基準を以下に掲載しよう。
選別的か
登録のリクエストがあったサイトの品質や、サイトをディレクトリに入れる価値を、編集者が慎重に検討していて、簡単には登録できない。Yahoo!やDMOZが選別的なディレクトリの良い例だ(ただ、DMOZはえり好みが過剰なことも多く、僕などはかつて、エディタのご機嫌取りが戦略の中心になってしまった。その意味で、DMOZは完璧な選択肢だとは言えない)。ほかに、Nature.comの推奨リンクや、Forbes.comのBest of The Webのように、登録要件がさらに厳しいディレクトリもあるし、Emily Chang氏のeHubやBusiness.comのように、チェックが緩めのディレクトリもある。僕の見方だけど、こうしたディレクトリは総じてそれなりに高い価値を提供する。検索エンジン用ではなく、人間が使うためのディレクトリか
検索エンジンの順位上昇に役立つことを主目的としたディレクトリは、どんなディレクトリであっても疑ってかからなければならない。リストが人間の訪問者の役に立つように考えられていると、検索エンジンがそのリンクを重視する可能性はずっと高い。そうでない場合、サイトはもともと操作的なものではないという主張が、非常に苦しいものになる。わかりやすい一般的な経験則を挙げてみよう。ディレクトリの所有者がSEO関係のフォーラムやブログやコミュニティで、SEOの顧客に対する売り込みを活発に行っていたら要注意だ。こうしたディレクトリのリンクがすべて質が低いとは言わないけど、危険信号であることは間違いない。良質なサイトからリンクを獲得しているか
編集者の目から見て、しっかりとしたソースから質の高いリンクをたくさん獲得しているディレクトリは、被リンクがすべて、ディレクトリのリストやSEO中心のコミュニティからのものだったり、購入したリンクやアフィリエイトリンクだったりするディレクトリよりも、はるかに高い価値を持っている可能性が高い。ディレクトリが獲得している被リンクをみる場合、僕は量より質を重視する。ありがたいことに、Yahoo! Site Explorerはより価値の高いリンクを、価値の低いリンクより先に表示してくれる傾向があって(必ずしも価値の高い順ではないけど)、少なくともリンクの価値をざっと把握するのにいくらか役に立つ。特化しているか
一般に、ディレクトリは特化が進むほど価値が高まる。確かに、汎用のディレクトリであってもLibrarian's Internet Indexのようなすばらしいディレクトリもあるので、これが必ずしも真だとは言いきれない。しかし、化学工学分野の企業だけのディレクトリや、環境に優しい旅行先に的を絞ったユニークなディレクトリがあったとしたら、おそらくかなりの価値があると考えられる。信用度の高いドメイン名上に存在するか
ディレクトリが独自のドメイン名で作られているとすれば、それは質が低い目印である可能性がある(ここでも、当てはまらないものはたくさんある)。一方、信用度が高く、良い順位を獲得していて、知名度も高いサイトと同じドメイン名にあるディレクトリは、例外なくと言っていいくらい価値をともなっている。独自に構築したディレクトリか
DMOZのレイアウトや構成のクローンを作るという、よくある製法に従ったディレクトリでは(ODPのディレクトリをそっくりそのまま頂いたあとで、登録でてこ入れをしたとしても)、やはり低い価値しかもたらさない。一方、「ディレクトリ」ソフトウェアを使わずに、最初から最後まで独自に構築した完全に唯一無二のディレクトリというのは、影響力を得る傾向がある。利用者にとって便利か
自分がインターネット初心者で、関心のあるおもしろいコンテンツを求めてネットサーフィンをしているのだと想像してみよう。そのディレクトリの構成、コンテンツ、リンクはあなたに価値をもたらしているだろうか。「当然!」と自信を持って答えられないならば、そうではないのかもしれない。質の低いサイトやディレクトリへ手当たり次第にリンクを張っていないか
質の低いスパム的なサイトへリンクを張っているディレクトリというのは、検索エンジンに最も目をつけられやすいものの1つだといえる。検索エンジンにマークされると、そのドメインからの、PageRankやリンクジュースの受け渡しがすぐさまシャットダウンされる。MSNでコマンド「linkfromdomain:ドメイン名」を実行して、そこに挙がった数十ページの項目に目を通してみよう。自分のサイトからはリンクを張らないようなドメインが並んでいたら、そのディレクトリは思ったほどの値打ちがない可能性が高い。良い検索順位を獲得できているか
サイトが持つリンクの価値を探るものとして、この方法にはいろいろと議論があるらしい。しかし、僕の意見として、また経験からも言うのだけど(どちらも実際のサイトから学んだ)、ページがリンクの価値を(どの程度)渡せるのかを判断する際、ターゲットとしている語句/フレーズでページが獲得できる検索順位よりすぐれた指標は、ないと言える。タイトルタグで良い順位を獲得できなければ、ほぼ間違いなく信用を失っている。タイトルタグで良い順位を獲得していれば、サイトの順位を押し上げるのに役立つページだと考えてまず間違いない。この基準について過去に僕と議論したことのある人で、僕の主張を論破したという証拠を示せる人がいたら、ぜひ示してほしいし、僕が間違っていることがわかったら喜んで訂正する。でもそれまで、僕はあくまでこの主張を堅持する。実際に見ればそれとわかる
こんな基準はがっかりさせるかも知れないけど、質が低いディレクトリの多くには、鋭いSEO関係者なら「感じ取れる」共通の特徴が確かにいくつかある。たとえば、Bob Mutch氏のディレクトリやAviva Directory、あるいはStrongest Linksなどにアクセスして登録されているものに目を通していると、自分が検索エンジンのエンジニアだとしたら重視するだろうディレクトリなのか、どちらかといえば重視しないディレクトリなのか、第六感がどうしても身に付いてくる。
価値の高いディレクトリの例
僕の言わんとするところをさらによくわかっていただくために、今夜は検索結果ページをいくつか探って、取り上げた基準の例証となるディレクトリを見つけておいた。おそらく価値の高いと思われるディレクトリの例を以下に示そう。
カリフォルニア大学アーバイン校の古典学者向けリソースのディレクトリ
The William & Gayle Cook Music Libraryによるインターネット音楽の国際的なリソース
Refdesk.comのクイックリサーチ・リンク集
ミズーリ植物園の植物学関連リンク集
価値の低いディレクトリの例
続いて、リンクジュースに乏しいのではないかと疑われるディレクトリの例をいくつか挙げておこう(今はリンクジュースを出しているかもしれないけど、この先はどうなるかわからないものだ)。
tenthyear.com
smittyzweb.com
kwikgoblin.com
Yahoo!あるいはGoogleの検索エンジニアの立場になって考えてみてほしい。リンク1つの購入に20~50ドルかかるこうした汎用のディレクトリを、あなたの検索エンジンのアルゴリズムで重視するに足る、もっともな理由が思いつけるだろうか? 質の低いディレクトリのオーナーがよく言う弁解がある。ディレクトリはウェブ上のコンテンツの整理に役立っているというものと(すこし説得力がある)、サイトのオーナーが「高い順位を獲得するために努力する」用意があることをディレクトリが示すというものだ。でも僕に言わせれば、この2つの弁解はいずれも次の見方ほどに説得力がない。それは、こうしたリンクを重視すれば検索結果の質が全般的に下がることになるので、ユーザーはリンクの重要度をきちんと判断している別の良質な検索エンジンに流れてしまう、という見方だ。
まとめよう。リンクビルディングのキャンペーンでは、時間、労力、費用をどこに使うのかに気を配ることだ。慎重を期して、先を読みながら行動すること。できたばかりのPR6のディレクトリが、リンクの価値をある程度提供しているように見えても、長い目で見たときに、さまざまな検索エンジンで品質評価チームの先を行き続ける可能性はどのくらいあると考えられるのか、それをよく検討しなければならない。
追伸:明日は、今日Yahoo!(サンタクララ)とGoogle(マウンテンビュー)を訪問した話について書くつもりだよ。(笑)
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