いまだ根強い「就職差別」、SNSアカウントを調査された人は何パーセントぐらい?【連合調べ】

採用選考過程で「不適切だと思う質問や発言をされた」人は19.5%。

日本労働組合総連合会(連合)は、「就職差別」に関する調査結果を発表した。最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の15歳~29歳の男女1,000人が回答している。前回の調査は2019年に実施。

出生地、家族、生活環境、人生観、宗教、政治信条などはそもそも質問不可

採用選考にあたっては、「応募者の人権を尊重する」「応募者の適性や能力のみを基準として行う」のが原則であり、関係ないことを質問したり採用基準にしたりすることは、就職差別につながるおそれがある。そのため「職業相談票(乙)」「全国高等学校統一用紙」「厚生労働省履歴書様式例」などが用意されているが、大卒者の54.4%が「会社独自の履歴書を提出するように求められた」と回答した(前回62.6%)。

また全回答者では「戸籍謄本(抄本)本の提出」30.8%、「健康診断書の提出や応募した会社が手配した健康診断の受診」52.0%を求められること多い。これらは場合によって職業安定法で違法となる。

全回答者に、「応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められた内容」を聞くと、「性別」80.5%が特に多く、「本籍地や出生地に関すること」43.6%、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」37.2%、「生活環境・家庭環境などに関すること」24.8%、「人生観、生活信条に関すること」20.4%、「労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること」18.9%、「思想に関すること」16.6%などが上位だった。

またいずれの内容も最終学歴が中学校卒業の回答者ほど、記入を求められた割合が高かった。これらの内容も「性別」以外は採用活動時に収集してはならない情報とされている。

同様に「採用試験の面接で質問されたことがあるもの」では、「転勤ができるかどうか」43.3%、「残業や休日出勤ができるかどうか」42.8%、「家族に関すること」37.7%、「性別」28.6%、「本籍地や出生地に関すること」28.3%などが上位。「結婚の予定」「思想」「性的指向」などが聞かれているケースも多い。

実際に不適切な質問・発言を受けたことがある人は約2割

具体的に「採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされた」という人は19.5%。特に女性で「女性だからどうせ辞める」「恋人はいる?」「かわいいね」といった発言を受けた人が多かった。またコロナ感染歴などを理由とした不快な発言も、近年では見られるようだ。

業種では「医療、福祉」14.9%がもっとも高く、「サービス業(他に分類されないもの)」13.8%、「建設業」13.3%、「情報通信業」10.3%などが上位だった。

「応募書類・エントリーシートの提出や採用面接において、知られたくないあるいは企業に示す必要がないと思うこと」では、「他社の選考状況」37.7%が特に高く、「趣味・特技」18.0%、「顔写真」16.2%がそれに続いた。女性は「他社の選考状況」43.2%が全体より高い。

近年、求職者個人の匿名のSNSアカウントを調査する、いわゆる「SNS裏アカ調査」が行われるケースも多いが、新たな就職差別につながる可能性もある。そこで「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがあるか」を聞くと、「ある」は11.7%存在した。

実際に「企業からSNSアカウントを調査されたことがあるか」は「ある」10.7%。さらに「企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがあるか」は、「ある」65.8%と大きく上昇。通知した上であれば調査は問題ないとしている企業が多いようだ。

調査概要

  • 【調査対象】最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の15歳~29歳の男女
  • 【調査方法】インターネット調査(実施機関:ネットエイジア)
  • 【調査時期】2023年4月1日~4日
  • 【有効回答数】1,000サンプル(男性491s、女性498s、その他11s)(中学校31s、高等学校214s、専門学校・短期大学161s、四年制大学・大学院588s、その他6s)
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