省令は違憲の恐れも。医薬品の通信販売事業者が自主フォーラムを開催し意見交換
3月4日、「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」の施行をめぐって、医薬品の通信販売に関わる事業者(医薬品ネット販売推進協議会、NPO法人日本オンラインドラッグ協会(以下、JODA)、社団法人日本通信販売協会、ヤフー株式会社、楽天株式会社)が、一般用医薬品の通信販売継続に向けた自主フォーラムを開催した。
今回、議論となっているのは2009年6月に施行予定の当該省令によって、インターネットやその他通信販売など、対面販売以外での医薬品の販売が一部商品を除き※規制されることである。
フォーラム開催の趣旨が説明された後に、楽天株式会社代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏から、2月24日に厚生労働省で開催された「第1回 医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の報告が行われた。
三木谷氏は検討会を振り返り、結論ありきの検討会だったと語る。
「一般医薬品の販売という国民の生命・健康に関する重大な事項に関し、省令で規制を設けるのは非常に危険。違憲性が高いのではないか。また、省令の改正までに行われた検討会は、通信販売事業者と消費者が不在という状況。一部の専門家だけで議論されており、すべて国民の意見を聞き入れているとは、はなはだ言い難い」
と非難した。
同じく、検討会に出席したJODA理事長の後藤玄利氏からは、検討会に提出したガイドラインの説明がされた。このガイドラインは、改正薬事法公布以前の2006年4月から厚生労働省に提出し続けてきたものである。
「報告会の参加社19名のうち、私と三木谷氏を含む通信販売賛成派はわずか4名。公平とはいえない状況であった。また、議論の進展のために、楽天と共同で作成した通信販売での医薬品販売の安全性を高めるためのガイドラインを提出したが、説明する機会も与えてもらえなかった」
と語る。
このガイドラインはネット販売での安全・安心を担保するために、想定される懸念事項に対した対応方針を示している。以下にその一部を抜粋した。
- 使用者の状態を適切に把握するために、問診前に購入者が使用者であるかの確認を行う。購入者と使用者が異なる場合には、使用者の立場になって回答する旨を促す。
- 使用者の年齢、性別の申告を義務付ける。
- 使用者の状態について、禁忌事項に該当するか否かをチェックボックスなどでの項目別の申告を義務付ける。
- 禁忌事項への該当があれば、医薬品の注文自体を受け付けない。
- 使用上の注意を明示し、内容を読んで理解した旨の申告を義務付ける。
- 使用者の状況に即して、適切な情報を提供するための資料とする。
- 購入者の質問に対しては、専門家本人が回答する。
- 電子メール、電話、FAXなど、状況に応じて適切な手段で双方向のやりとりを実現する。
- 質問があった場合には販売前に回答する。
- 市販薬を用いた処置が不適切と考えられる場合は、受診勧奨を行う。
- 回答にあたる専門家は氏名を明らかにし、その実現性を確認できるようにする。
3月2日時点で、楽天には72万人を超える通信販売での医薬品販売継続を求める署名が集まっていて、早い段階で100万に達する見込みだという。
「すべての国民に平等に、安全に医薬品を届けるために」をスローガンとした今回のフォーラムでは、実際に医薬品の通信販売事業を生業としている販売事業者や消費者、弁護士などから広く意見を聞き入れる方針で行われた。
JODAは、今後も精力的に厚生労働省に再改正を働きかけていく方針で、次回行われる検討会含め改正法施行までの動きが注目される。
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