月間100万PV超えのメディア運営者が語る、クラウドとレンタルサーバーの選び方
自社の商品がSNSでバズった! テレビで話題になった! 今がビジネスチャンス!――なのに、サイトがアクセス集中で表示されない!?
こんな悪夢はWeb担当者として何とか避けたいもの。サイトへのアクセス数が利用中のサーバーの制限を超えることで起きてしまう「503エラー」は大きな機会損失につながる。そこで最近では、サーバーリソースの拡張性が高く、503エラーへ対応しやすい「クラウド」への関心が高まっている。
しかし、だからといって、「全部クラウドにしてしまえばいい、と単純に考えるのは危険」と専門家は警鐘を鳴らす。
本記事では、Web集客コンサルタントとして、多くのWebサイトを制作・運用し続けてきたウェブライダーの松尾氏と、過去、最大で月間180万PVを稼ぐ人気ブログ「ホームページを作る人のネタ帳」を手掛けた山田氏に、企業のWebサイトにおけるサーバー選びのポイントについて、Web担当者Forum編集長の四谷が聞いてみた。
松尾茂起氏
株式会社ウェブライダー 代表取締役。Web集客コンサルタントとして、多くの中小企業のWebサイトを改善し続けてきた。検索エンジン・SNSからの集客を得意とし、過去、多くの“バズ”を生み出す。著書に『沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』など。
山田氏(@yamada_nt)
最大で月間180万PVを誇る人気サイト「ホームページを作る人のネタ帳」の管理人。その傍らでWebサイト制作の仕事を請け負って、さまざまなレンタルサーバーを使い比べていた実績がある。その経験を活かし、2019年からKDDIウェブコミュニケーションズに所属。
“バズる”経験を持つWeb制作のプロ
――松尾さんと山田さんは、これまでWeb制作のプロとして成果を挙げてきたそうですね。
松尾 はい。私が代表を務めるウェブライダーは2010年の設立以来、Web集客のコンサルティングとコンテンツ制作を両輪に事業を展開しています。SEOだけでなくSNSによる集客も得意としており、特に2010から2013年にかけては、リアルタイムに1,000~2,000アクセスを集める、いわゆる“バズる”コンテンツ作りを何度も成功させてきました。
Webマーケター向けに制作したコンテンツ「沈黙のWebマーケティング」「沈黙のWebライティング」は書籍化もされました。
山田 私は個人で始めたブログ「ホームページを作る人のネタ帳」が月間60~180万PVを稼ぐようになって、2011年に思い切って脱サラしました。ブログとは別にWebサイト制作の仕事も引き受けており、複数のレンタルサーバーを“つまみ食い”して使い比べていた時期もありました。
しかし、2018年末から2019年にかけてSEOの風向きが変わり、当時のコンテンツでは今後、続けるのは難しいと感じるようになり、そこからレンタルサーバーの提供側に回りました。
“知っている人が使う”前提なのがクラウド
――お二人にまずお聞きしたいのが、Web制作でのクラウドの利用についてです。最近では、Amazon Web Service(AWS)などのクラウドの普及により、制作会社からクライアントへのクラウドの利用提案も増えているようですが、思うように運用できなかったとの話も耳にします。
松尾 そもそもクラウドは、レンタルサーバーと使い勝手が異なりますし、管理画面一つとっても全然違います。たとえば、レンタルサーバーは、素人でも操作できる画面が用意されていますが、AWSは知識がない人にとっては難しいと感じるかもしれません。
山田 そうですね。クラウドは現状、「仕組みを知っている人が使う」のが基本になっています。ソーシャルアプリ開発などではクラウドで開発することが一般的ですが、Web制作となると、クラウドに詳しい制作者やデザイナーはそう多くありません。
松尾 エンジニアであっても、新たにAWSの知識が必要で、その習得は現場にとって面倒なだけでなく、私のような経営者にとっても、教育コストがかかるので悩ましいです。外部に運用を任せる手もありますが、特にECサイトなどでは顧客情報など個人情報も管理していますので、できれば内部で運用したいですよね。
山田 AWSのエンジニアを新たに雇おうにも、難しいのが現状です。
松尾 さらにレンタルサーバーは、独自ドメインでメールも使えて、各種登録も管理画面で簡単に行えます。もちろんAWSでも、メール用のソリューションはありますが、設定も含めて自身で組み合わせなくてはならず、工数がかかります。
クラウドとレンタルサーバーどっちを選ぶ?
――では、AWSなどのクラウドではなく、レンタルサーバーを選んだほうがいいということですか?
松尾 いえ、一概にそういうわけではありません。当社では両方を使い分けています。たとえば、弊社のウェブサービス「文賢」や莫大なアクセスが見込まれるサイトなどはクラウドで作ることが多いです。
ただし、それなりに大量のアクセスが見込まれる場合でも、状況によって専用サーバーを借りて作る選択肢もあります。レンタルサーバーでも、専用サーバーならかなりのトラフィックをさばけるんです。
一方で、コーポレートサイトや検証用のテストサイトなど、サクッと立ち上げて、大量のアクセスが見込まれないサイトは共用レンタルサーバーで作ることが多いです。要は使い分けです。
――安易に「流行ってるからクラウド」みたいな選び方はしないほうがいいんですね。
松尾 そうですね。特に、社内にクラウドを扱える人材が見当たらないのなら、クラウドではなくレンタルサーバーを採用した方が無難だとは思いますね。
先に話があったとおり、AWSは知識がないと使いこなせず、Web業界ではそうした人材が圧倒的に不足しています。「クラウドがいいですよ」と安易に進めてくる制作会社もありますが、それを鵜呑みにしてクラウドを選ぶとどうなるか。Web制作会社との契約終了後、サイトに不具合が発生しても自社では対応しきれず、とはいえ頼る先もなかなか見つからない、見つかっても対応費用が高額など、地獄を見ることにもなりかねません。
クラウドは本当に“安い”のか
――でも、クラウドはレンタルサーバーに比べて安いのでは?
松尾 うーん、料金面でクラウドが絶対に安いとは言えません。クラウドは、使った分だけ払う「従量課金」が基本で、アクセスが跳ねれば利用料もかさみます。さらに、見落とされがちですが、サーバーとの間でデータをやりとりする転送量に応じても課金されます。
対してレンタルサーバーは「定額制」で、サーバーとデータをやりとりする転送量に関しても、一定量を超えなければ課金されない事業者もあります。通信量が多いサイトほど、そういった転送量に課金されないレンタルサーバーの方がコスト面で有利になってきます。
玉石混合のレンタルサーバー、どう選ぶ?
山田 ただ、レンタルサーバーは玉石混交なことが悩ましいですよね。私の経験でも、品質が良くないレンタルサーバーだと、数十程度の同時アクセスでも簡単にサイトが“息をしなくなって”(503エラーが起きて)しまいます(笑)。しかも、それは使ってみるまでわからない……。
松尾 おっしゃる通り。当社も苦い経験があります。10年ほど前に某メディアさまの依頼で作ったコンテンツが、うまくTwitterでバズったものの、Webサイトが大量アクセスによって、503エラーになってしまいました。拡散したタイミングでコンテンツが表示されないのは、マーケティング的に最悪です。結果、大きな機会損失になってしまいました。半ば成功していただけに悔しかったですね。
その事件以来、安定したレンタルサーバー選びにシビアになりました。503エラーとまではいかなくても、ストレスなくコンテンツを見てもらうためにも、高い性能や安定性は欠かせないと身に染みたからです。
そんな時に試したサーバーが、KDDIウェブコミュニケーションズのレンタルサーバー「CPI」だったんです。
高い安定性を実現できる“理由”
――CPIを使ってみての感想はどうでしたか?
松尾 大手キャリアのKDDIグループが提供するからには、堅牢性や信頼性などにある程度は期待していましたが、いざ実際に使ってみて「値段だけの価値はある」と納得できました。
当時、かなりのトラフィックを集めた自社サイト用に専用サーバーを借りたのですが、安定性は抜群で、大量のアクセスが飛んできても問題なくさばくことができました。以後、クライアントがサーバー選びに悩んでいる時は、共用タイプ、専用タイプのいずれもCPIブランドのものを中心にオススメしています。
山田 高くご評価いただきありがとうございます。実は、この安定性の高さには理由があります。
共用レンタルサーバーの「CPI レンタルサーバー シェアードプラン『SV-Basic』」では、サーバー1台に対するドメイン数を制限しているんです。
他社ではユーザーに割り当てたサーバー領域を、ユーザー自身がマルチドメインでサイトを追加して利用することも多く、サーバーで稼働するサイトが管理できず、気がつくと膨大な数になってしまいます。その結果、それぞれのサイトが成長するに従ってアクセスが増大し、同時接続数や処理能力に起因する不具合が発生しがちです。
しかし、当社では契約者ごとのドメインを1つに限定しているため、そうした症状が仕組み的に発生しにくいのです。Webとメール、コントロールパネルのサーバーを分けて個別に処理を行うことで、互いに影響を受けにくくしている工夫もあります。その結果、前プランの「ACE01」とベンチマークで比較し、静的コンテンツでは1.8倍もパフォーマンスがあがっています。
また、専用タイプの「マネージド専用サーバー『CHM-Z』」では、高スペックなサーバーの採用はもちろん、複数台での構成が可能なことでも安定性の向上を図っています。ロードバランサーを導入する事で、瞬間アクセスを安定して処理するための負荷分散を行う事ができます。設定によっては、サーバー自体がなんらかのトラブルでダウンしても、すぐに別のバックアップサーバーに切り替えたりと、柔軟にトラブルを想定した仕組みが導入可能です。
24時間365日、迅速なトラブル対応
山田 もう一つ、セキュリティの高さも専用サーバーの強みです。常時SSLによる全サイトのHTTPS化を追加のコスト負担なく行えることに加え、専用ファイアウォールや、不正侵入検知(IDS/ADS)、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)などのセキュリティ機能も利用でき、企業のセキュリティポリシーに沿ったかたちで利用できます。
さらに、クラウドとの料金比較の話がありましたが、CPIは転送量が無制限なので、トラフィックが増えても、追加で課金されません。そんなサービスは極めてまれです。
松尾 CPIのサポートの手厚さはとても気に入っています。標準のサポートが手厚いはもちろん、専用・共用を問わず、24時間365日の電話やメールによるサポートが、月額わずか900円で利用できるのが嬉しいですね。夜中でも連絡がつくため、トラブルの迅速な解消に役立っています。
山田 制作会社にとても好評なのが、サーバー障害時に当社側の作業状況をおよそ2時間ごとにメールで通知していることです。
これは制作会社の方から直接お聞きした話ですが、制作会社が面倒を見ているクライアントのサイトがダウンしたとき、当然クライアントには「何が起きたの?」「いつ復旧するの?」と尋ねられる。状況がわからなければクライアントに説明のしようがありませんよね。でも2時間ごとのメールによって状況が把握しやすいため、クライアントにも見通しなどを伝えやすく助かっているという声をいただいています。
松尾 弊社も一度サービスが止まったことがあり、問い合わせたところ、すぐにサーバーの再起動をしていただいたことがあります。あの時の迅速な対応は本当に助かりました。
私もレンタルサーバーで何度かトラブルを体験しましたが、事業者によっては、問い合わせをしても全然、返事がこなかったりするんですよ。
CPIでは、サーバーに何かあっても、電話がすぐつながるし、何度も問い合わせなくても2時間ごとに必ず進捗の報告があるというのは、心理的に安心できます。
制作会社に大人気の「SmartRelease(スマートリリース)」
――運用側にはありがたい配慮ばかりですね。
山田 ありがとうございます。あとは、独自の「SmartRelease(スマートリリース)」というサービスも好評をいただいています。Web制作会社なら、本番環境にファイルをアップする前に、テスト環境にファイルをアップして、動作確認を行なってから本番にアップするというフローが存在すると思います。まず、この本番環境と全く同じテストサーバーを用意するというのが第一の課題です。意外と面倒なんですよね。
松尾 そもそも全く同じテストサーバーを作るというのが大変ですよね。サーバー側の環境を揃えるというのは、共用サーバーだと中身が明かされていない事が多いので、特に難しい課題です。
山田 次にテストサーバーにFTPでファイルをアップした後、本番環境にもFTPでファイルをアップするのですが、ここで通信エラーが発生する事もあります。そうなると一部のファイルだけアップされてしまい、結果的に本番サイトの表示がおかしくなるという経験をした方は多いと思います。
SmartReleaseはこのワークフローを変えてくれるもので、CPIの共用サーバーにはこのテストサーバーが最初から用意されています。テストサーバーにファイルをアップして、確認が終わったら、管理画面からのボタン操作で簡単に本番環境に反映されます。本番環境にFTP接続を行わなくても良いので、通信エラーの心配がなくなるんですよ。
松尾 本番環境と同じテストサーバーを用意してくれるだけでもかなり助かりますね。
山田Web制作を受注した時に、クライアントに表示確認をしてもらうと思いますが、これもテストサーバーに鍵をかけて見せるだけで完了するので、確認フローもだいぶ楽になります。SmartReleaseは共用サーバーをご契約の方ならどなたでも無料でご利用可能なサービスなので、一度はぜひ触ってみてほしいです!
自動バックアップを30世代分保存
山田 さらに、「毎日、自動でバックアップを取っている」こともオススメしたいポイントです。「SV-Basic」では、30世代分まで保存しています。万一の際のリストアに要する時間もわずか5分程度です。専用サーバーの「マネージドプラン CHM-Z」でも、3日に1度、3世代をバックアップしていますので、最大9日前までは復旧できます。
松尾 「自動で」なのがいいですよね。バックアップは大切な反面、「サーバーは壊れない」との変な過信から作業を忘れてしまいがちです。これはサーバーに限らずクラウドでも、SSDが壊れたら復旧できないなんてこともあります。また、FTPでのアップロード時には、マウス操作を誤ってファイルがどこかに消えてしまうなんてのはよくあること。ですが、バックアップが自動的に行われるとなれば安心できます。
山田 そうなんです。意外と「うっかり消しちゃった」「大事なファイルがどこかに行ってしまった」などの問い合わせ、多いんですよ。
CPIは今後も、制作側の手間やリスクなど、Webに携わる幅広い人のために利便性を高めていきます。まずは無料トライアルからご検討いただけたらと思います。
――本日はどうもありがとうございました。
KDDIウェブコミュニケーションズのレンタルサーバー「CPI」は、大容量・高速回線で、共用サーバーから専用サーバーまで、サイトの規模に応じた柔軟なプランを提供するホスティングサービス。
今なら、2020年4月23日までの受付で、共用サーバー「SV-Basic」を使い放題の無料トライアルを提供している。
- 「503エラー」でビジネスチャンスを逃したくない
- 大容量で安定したサーバー環境を探している
- クラウド運用に不安がある
- サポートが充実しているサーバーを使いたい
- 制作・開発を快適に行いたい
こんな方は、ぜひ一度、無料トライアルからチャレンジしてみてはいかがだろうか。
聞き手・四谷の編集後記
実際にサーバーを触ることもありませんし、選んだこともない私ですが、今回の対談を通じて、「レンタルサーバー」と「クラウド」の違いがわかるだけなく、「安いもの」と「高いもの」それぞれの特長が理解できたなと思います。
CPIのサーバーは、「金額だけの価値がある」と松尾さんが言っていたように、自社サービスの肝となるWebサイトでは「安心して使える」を基準に選びたいですし、「有事の際のサポート」も気にしたいポイントですよね。むしろ、「有事が起きない」「煩わしさを感じない」サーバーと出会えると、サイトを使う人、サイトのコンテンツを作る人、サイトのエンジニア…すべての人が幸せなんだな、と。
気になった方は、2020/4/23まで無料で使えるトライアルがあるそうなので、ぜひお試しください。
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