Web担向け書籍の内容を特別公開

ソフトバンク藤平氏「経営判断に有効な指標をDomoで導出、AIによる未来予測まで実現したい」

経営判断に有効な指標をDomoで導き出し、AIによる未来予測まで実現したい
『最強のデータ経営』

書籍『最強のデータ経営』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。

CHAPTER 2-2
ソフトバンク [デジタルメディア統括部 統括部長 藤平大輔氏]

経営判断に有効な指標を導き出し、AIによる未来予測まで実現したい

適切な経営判断のため、客観性の高いデータをリアルタイムに活用する。こうしたニーズを満たすべく、ソフトバンクはDomoの導入を決定した。取り組みを主導する藤平大輔氏は、現場の業務から経営層の予測までを視野に入れている。

写真撮影:蔭山一広(panorama house)

法人向けの戦略事業とマーケティング部門で導入

モバイルからインターネット、エネルギー、ロボットなど幅広い分野において事業を展開しているソフトバンクグループ。2016年には3兆3,000億円で半導体設計大手のArm〈※1〉を買収するなど、積極的にビジネスを拡大している。

※1 英国ケンブリッジを拠点とする企業。モバイル端末向けのCPUなどを得意分野とする。

同グループの中心的役割を担う企業であるソフトバンクにおいて、法人向けの戦略事業を担う部門、およびマーケティングを担う部門でDomoが採用された。導入を決めた理由として、デジタルメディア統括部統括部長の藤平大輔(ふじひら だいすけ)氏は次のように語る。

「ソフトバンクという会社は、数字を大事に考える社風があります。ただ、現時点ではExcelベースのものが非常に多く、分析したい項目が同じでも、部署によって参照すべき数字が異なることがあります。Domoを活用することで、そうした数字を統一したものにしたいと考えています」

将来の見通しを立てる売上予測値などは、部署や人によって当然ながら幅がある。一方、すでに結果が出た実績値であっても、集計する人によって分析の切り口が変わってくるのもよくあることだ。だからこそ藤平氏は、そうした意図的な数字ではなく、その根拠となった数字そのものを見て議論できることが重要だと説明する。

「ソフトバンクの会議では、数字を基にした積極的な議論を交わしています。このとき『なぜその数字になっているのか?』を担当者に聞き、その根拠を答える場面がよくありますが、嘘ではないにしても、どうしてもその人の主観が入ってくる。しかし、本当に知りたいのは、大もとにある客観的な数字です。それを担当者ではない人の違った目線から見れば、数字の解釈が変わることも十分に考えられますし、それがよいアクションをもたらすことも期待できます。それがDomoで実現したいことの1つになります」

ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 プロダクト&マーケティング統括 コミュニケーション本部 デジタルメディア統括部 統括部長

藤平大輔

ソニー株式会社を経て、2004年10月にソフトバンクBB株式会社(現ソフトバンク)入社。 その後、ソフトバンクホークスやSBギフト等の新規事業の立ち上げを行う。2014年より現職に就任し、デジタル分野での広告戦略を牽引。株式会社マイクロアド、株式会社ジーニーの社外取締役も務める。

主観の入らない、大もとにある数字で議論をスタートすることが最初の目的

部門横断のダッシュボード構築まで視野に入れて選定

ソフトバンクではDomoの導入以前にダッシュボードの構築を目的としたBIツールを導入し、実際にいくつかの場面で活用している。それにもかかわらず、Domoの導入に踏み切った理由はどこにあるのだろうか? 藤平氏が理由として挙げたのは、ツールとしてのパフォーマンスだ。

「BIツールでダッシュボードを構築し、Web関連の膨大なデータを扱うマーケティング用途での利用にもトライしました。しかし、速度面で期待するようなパフォーマンスが得られませんでした」

そこでソフトバンクでは、マーケティングデータの分析やダッシュボードの構築を行うためのツールの選定を開始。1年ほどの時間をかけ、いくつかの観点から評価が行われた。

「法人向けの戦略事業とマーケティングの両部門で導入することを想定しつつ、最終的には、会社全体の部門を横断した経営ダッシュボードを作ることまで視野に入れました。マーケティングにおいて広告出稿のROI〈※2〉を測る上では、最終的な成果として『契約数』を見ることになります。そして、それに至るまでの中間KPIを考えると、お客さまの来店数やインセンティブといったさまざまな数値があります。そういった多様な説明変数が入ってくることを考えつつ、現場と経営の両面で使えるダッシュボードを目指したわけです」

※2 「Return On Investment」の略。投資利益率を意味する。

数字をきれいに見せるだけのツールでは意味がない

こうした観点で導入すべきツールを比較していくと、徐々に差が見えてきたと藤平氏は述べる。

「営業向けなのか、マーケティング向けなのか、さらには『経営層までもが使いやすいダッシュボードを構築できるのか?』という点では、Domoのアドバンテージがはっきり出たと感じています。データをきれいに表示するダッシュボードツールはいくらでもありますし、私たち自身で作ることもできるでしょう。しかし、きれいに見せることがゴールではないですし、その先につながらなければ意味がありません。私としては、経営層が違和感なく使えるダッシュボードを構築し、さらには業績などの予測支援ができるところまで持っていきたかったのです」

このように判断が行われた結果、最終的に選ばれたのがDomoだった。決め手となったのは次のような点だ。

「Domoはさまざまなシステムからデータを取得することが可能であり、データの参照や分析についても、営業やマーケティングだけではないさまざまな切り口があります。そこがもっとも惹かれた点でした」

最強のデータ経営:経営判断に有効な指標を導き出し、AIによる未来予測まで実現したい

経営層が違和感なく使えて、業績などの予測支援ができるところまで持っていきたい

分析チームが自発的に行動しビジネスに深く関わるきっかけに

このように選定されたDomoを利用して分析を担当するチームは、どのようなメンバーで構成されているのかも気になるところだ。

「現時点では、データに強い人たちです。そうした人的リソースについて、ソフトバンクには大いに素地があります。もともと営業やマーケティングの数字を徹底的に分析する部隊があり、そのメンバーが中心になってDomoの利用を進めています」

ソフトバンクの社内においては、Domoの導入以前からデータ分析に専門的に取り組むチームが存在していた。そしてDomoを導入したことで、彼らの分析に対するモチベーションはさらに上がったという。

「データ分析の部隊は、どうしても『ほかの部署から依頼されたことに対応する』ことに終始してしまいがちです。Domoにしても、当初はそのような形で利用されていました。しかし、あるイベントで他社のDomo利用事例について見聞きできる機会があり、それを境に、メンバーに主体的なモチベーションが生まれてきたと感じています。その企業ではDomoが依頼に対応するだけでなく、分析者の自発的・能動的な活動にも使われており、『これまでできなかったことがDomoであればやれるのではないか?』という気づきが得られました。データ分析に対して受け身の姿勢ではなくなった点も、Domoを導入した効果の1つであると言えそうです」

Domoの価値は単にデータを見るだけでなく、それを分析して次のアクションにつなげられる点にある。これは分析チームがより深くビジネスに関わるということであり、それがモチベーションアップにつながっているということだろう。

その数字が良いのか悪いのか"目利き"の力も養われていく

取材時点では、データ分析を行う現場へのDomoの展開に向けた検証が進んでいる段階だが、Domoを利用する中で、社内にはすでにいくつかの変化が生まれているようだ。その1つとして藤平氏が語ったのは、分析を行うメンバーたちによるデータの"目利き"である。

「与えられた数字を分析するというよりも、自分たちでその数字を判断し、それがビジネスにおいて良いのか悪いのかを考えるようになったことで、データの"目利き"ができるようになってきたのではないかと思います。社内の有象無象の数字を自分たちで取得してDomoで分析することで、これまでにはない知見が得られ、スキルアップにつながっていくと考えています」

一方、藤平氏が課題として説明するのは、経営判断のために有効な指標を導き出すためにかかる労力だ。

「膨大なデータを集約することにより、分析すべき指標も非常に増えてきます。それらを可視化したダッシュボードを作るだけなら簡単ですが、私たちが目指しているのは、さまざまなデータを組み合わせて"経営指標と言える数字"をDomoで生み出していくことです。これは単純な計算で導き出せるものではなく、さまざまな数字の組み合わせを考えていくことが求められます。現時点では、その数字の組み合わせにこだわってしまう部分があり、労力がかかっていると感じています」

Domoによって数多くのデータを一元的かつ複合的に見られるようになったことから、それらの組み合わせで生まれる有効な指標を見つけ出すことに苦労している、というわけだ。しかし、その試行錯誤を経て、藤平氏の言う"経営指標と言える数字"を導き出すことができれば、経営における意思決定のスピードを早めたり、企業全体の効率性を高めたりするうえで、さまざまなメリットが生まれるのは間違いない。

ソフトバンクにおいて分析の負担が増しているのは、そうした大きな目標を掲げているからと言えるのではないだろうか。

広告のリアルタイムな成果を迅速なアクションに結びつける

ソフトバンクでは営業とマーケティングにおいて、どのようにDomoを利用していくのだろうか。ファーストステップとして藤平氏が考えているのは、各部門における指標のリアルタイムでの可視化だ。

「法人営業であればCRMツールに入力する数字、コミュニケーション本部であればデジタルマーケティングのデータをリアルタイムで可視化する。それが第一歩だと考えています。例えば、私たちが現時点で出稿しているデジタル広告はどのような成果に結びついているのか、CPA※3はどうなのかといったことを、月次や週次ではなくリアルタイムで把握する。そのうえで『昨日はこうだったから今日はこうしよう』と、迅速なアクションに結びつけていきたいと考えています」

※3 「Cost Per Acquisition」の略。購入・契約などの顧客獲得にかかった費用を意味し、「獲得単価」とも呼ぶ。

藤平氏はその一例として、デジタル広告の前年度の実績と今年度の目標・実績を俯瞰できるダッシュボードを見せてくれた。今年度の実績には予測に基づく見込みが含まれ、予算と着地点が比較できるようになっている。

デジタル広告全体のダッシュボード

このようにDomoを使い始めつつ、徐々にレベルを上げていきたいというのが藤平氏の狙いだ。また、具体的なゴールとして「マーケティングに投じている予算が経営指標にどうフィットしているのかを見える化したい」と話し、Domoへの期待を次のように表現した。

「デジタル広告などのさまざまなキャンペーンの成果について、これまでは外部の広告代理店などから提出される各種レポートを見て判断していました。しかし、今後はレポートとしてではなく、生のデータをDomoに集約して一元的に見られる環境を作りたい。それが1つのチャレンジです」

例えば、SNSで展開したキャンペーンでは、投稿ごとの反響がDomoで把握できるようになっている。数字そのものをDomoに集約する理由として説明されたのは、ドリルダウンによって基のデータにすばやくアクセスできることだ。

SNS投稿サマリーのダッシュボード

「私たちの会議では、数字がExcelで説明されることはほとんどなく、集計された内容がPowerPointでまとめて説明されます。ただ、集計された内容の裏側が気になることもあり、その場合はExcelを立ち上げて基の数字を探すことになります。それは非常に無駄な作業です。しかし、Domoであればダッシュボードからドリルダウンして、基のデータにすばやくたどり着ける。これは会議を進める上で、非常に大きなメリットだと思います」

週次や月次ではなくリアルタイムで把握し、迅速なアクションに結びつけたい

Domoの導入を機に既存のCRMの利用を見直し

法人営業の部門においては、すでにCRMツールも導入されている。藤平氏は、このCRMツール上の数字のあり方もDomoで改善したいと考えている。

「数年前に導入しましたが、CRMツールに入力された数字が"独り歩き"してしまうことがあると感じていました。現場のメンバーとしては、営業訪問件数や売り上げなどの数字を入力すれば、仕事が終わった気になる。管理側としても、入力された数字を見ていればいい。この繰り返しでCRMツール上の数字が"独り歩き"していきますが、望ましい姿ではありませんよね。数字を入力・確認するだけではダメで、次のアクションにつなげなければならない。CRMツールの中にある数字の把握・分析にも、Domoを使おうと考えています」

CRMツールに限らず、ツールへの数字の入力を業務の一環とするのは管理側の都合であり、現場のメンバーとしては面倒な作業だという感覚に陥りやすい。そのため藤平氏は、数字を入力することが営業担当者にとってもプラスの価値が生まれる形にしたいと展望を述べる。

「現場のメンバーが数字を入力することで、自身の営業活動に役立つ、あるいは業務を効率化できる。そういった方向に持っていけるのが理想的です。例えば、自分が担当している案件だけではなく、ほかの人の案件はどうなっているのか、同じ業種で比較するとどうなのか。そういったことを個々のメンバーがDomoで把握できるようにすれば、個人活動である営業の業務に客観性を持たせられます。管理側にとっても、そうしたデータから個々のメンバーをサポートすることも可能になるでしょう」

現場が義務感で数字を入力するのではなく、1人ひとりの業務にもプラスになる形に

AIと組み合わせることで高度な予測を実現したい

こうした現場の業務での活用に加え、DomoとAIの連携に基づく未来予測、さらには高度なデータ分析への取り組みも視野に入っている。藤平氏は「ソフトバンクではAIに対して多くの投資を行っている」と強調したうえで、DomoとAIの連携についての展望を次のように語る。

「もはやデータを見るだけのダッシュボードでは、何も生まれないと感じています。ダッシュボードを見て予測すると言っても、実際に予測しているのは人ですよね。しかし、人が予測するよりも、AIが予測したほうが正確になってきている。DomoとAIをうまく組み合わせることで、Domoの利用範囲を拡大していきたいのです。これは非常に面白い試みになると期待しています」

さらに、高度なデータ分析については、実店舗に関する指標とデジタルマーケティングにおける指標の掛け合わせが想定されている。

「スマートフォンなどの商品はオンラインショップでも販売していますが、実店舗でご契約いただくことがほとんどです。そうすると、契約数の中間KPIとして重要になるのは『来店数』ということになります。来店数はすべてのソフトバンクショップで捕捉していますが、Web上のマーケティングデータとの紐付けはまだ不十分です。これが実現すれば、デジタル広告から実店舗への来店に結びついた『来店単価』といった指標を求めることが可能になるでしょう。これにソフトバンク独自の需要データも組み合わせて分析するなど、今までにない取り組みも進めていきたいと考えています」

数多くのデータを持つだけでなく、それをビジネスにおける意思決定に役立てる風土をもともと持つソフトバンクにおいて、今後Domoがどのように利用されていくのか。実店舗とデジタルマーケティングの連携、AIによる未来予測といった取り組みの成果を期待したい。

『最強のデータ経営』
  • 杉原 剛 著
  • 発行:インプレス
  • ISBN:978-4-295-00484-4
  • 価格:2,000円+税

データ活用が企業の競争力に直結する時代にエグゼクティブやリーダーが知るべき「Domo」(ドーモ)とは?

近年では、膨大かつ多種多様なデータを活用し、スピーディーな業務遂行や意思決定に役立てることが競争優位をもたらします。

本書では、そのもっとも先進的な解決策として、ビジネスのためのオペレーティングシステム(OS)、「Domo」を提案。

ビジネスに必要なデータや機能をクラウド上のプラットフォームに統合・一元管理し、あらゆる社員が同じデータにアクセスすることを可能にし、デジタルでつながったビジネスを実現します。花王、ソフトバンク、ソニー・インタラクティブエンタテイメント、シスコシステムズなど、国内外の先行事例への取材も収録。データドリブンな組織の実現と、経営の最適化について解説していきます。

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