検索キャンペーンのパフォーマンス維持・改善には、広告文の追加が欠かせません。ただ、毎月コンスタントにコンバージョンを獲得しているキャンペーン、例えば製品名やサービス名の指名検索のキャンペーンでは、ずっと同じ広告文で運用していることも多いのではないでしょうか。
今回は、突然にパフォーマンスが下がってしまった指名検索キャンペーンに広告文を追加したことによってコンバージョン数を+40%アップさせた実例をご紹介します。
コンバージョン数が-40%に
下記は、あるBtoB向けIT関連企業の製品名検索キャンペーンのコンバージョン獲得推移です。
獲得の増減はある程度あるものの、平均値を下回っても-15%前後程度の獲得数をキープしていましたが、ある月、平均値を-40%下回る結果となってしまったのです。
原因調査の手始めに同期間の表示回数とクリック数を確認しました。
コンバージョン数が下がってしまった月の表示回数もクリック数も減少しておらず、単純に表示回数とクリック数が減った分、コンバージョン数が落ちたというわけではないことがわかりました。
次にしたことは、Google広告の「オークション分析」の確認です。
すると、製品名の略称のキーワードに、競合他社やIT製品の比較サイト以外に、今までは出てこなかったある教育関連企業のドメインがありました。
実際に検索してみたところ、その教育関連企業が、製品名の略称とまったく同じ名前で新サービスを展開し、広告配信を始めていたことが判明しました。コンバージョン数減少の原因は、教育関連企業の新サービスを調べている人が多く流入しているためだったのです。
なぜ、クリックされてしまうのか
教育関連企業のサービスとは、まったく違うものを訴求しているはずなのに、どうして広告をクリックされてしまうのか、そう疑問に感じ、入稿している広告文を改めて確認してみることにしました。
何本か入っている広告文のうち、もっとも表示回数が多いのは下記のような広告文でした。
この広告文は、コンバージョンもよく取れる「良い広告文」という認識でした。
しかし今回、教育関連企業のサービスを調べている人がこの広告文を見たら、という視点で見てみると、見出し2や説明文で製品に関する文言が入ってはいるものの、広告見出し1の「製品名略称《公式サイト》」が大変にまぎらわしく、誤認してクリックしてしまいそうです。そこで、新しい広告文を追加することにしました。
見出し1のみで差別化できる広告文
追加したのは、広告見出し1に製品の正式名称と、例えば「BIツール」や「基幹業務システム」などのような製品を端的に表す用語を入れ、教育関連企業のサービスとは違う、と広告見出し1のみで判断できるような広告文です。
下記のグラフは、新しい広告文の追加前後1ヶ月の表示回数とコンバージョン数の変化を表したものです。
広告文の追加前1ヶ月は、「製品名略称《公式サイト》」の表示回数が多いものの、コンバージョンにはなかなか結び付かない状況が続いていました(①)。
新しい広告文を追加したところ、「製品名略称《公式サイト》」と新しい広告文の表示回数が同じくらいになり、コンバージョン数も増えていきます(②)。
その次の週には、表示回数が「製品名略称《公式サイト》」から新しい広告文へと逆転し、コンバージョン数の獲得もさらに増加していったのです(③)。
結果的には、広告文を追加した月はパフォーマンスが下がる前月までの平均値まで回復し、その翌月は平均値から+40%のコンバージョン数を獲得できました。
「良い広告文」を過信し過ぎない
今回のケースは、やや特殊ではありますが、長く掲載している「良い広告文」のコンバージョン数がある日突然減少した…そんなことはどんなアカウントにも起こり得ることだと思います。
今ある「良い広告文」を過信し過ぎず、拡張テキスト広告のアップデートや、レスポンシブ検索広告なども始まっているこのタイミングで、いくつか広告文を追加してみて新しい「良い広告文」を見つけてみてはいかがでしょうか。
インターネット広告代理店にて不動産関連のWebプロモーションに従事、その後アユダンテに入社。スーツにヒールがトレードマーク。気風のよさと、きめ細やかな気配りの人。片岡仁左衛門の追っかけというニッチな趣味を持つ。
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