企業ホームページ運営の心得

人の心を動かすコンテンツの作り方。反響ゼロのサイトが意識していないこと

人の心を動かすコンテンツを作るには、だれかを思い描くこと。“みんな”はだれでもありません
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の396

カーネギーではないが

すべての文章は「人を動かす」ためにあります。営業日報は活躍を上司にアピールするためですし、処罰感情の軽減を狙うのが反省文です。悲恋を描いた小説は泣かせるためにあり、広告に添える文章は「買わせる」狙いがあります。物理的な行動というより「心を動かす」のです。「便所の落書き」だって「笑わせる」ために書かれており、ブログを含めたコンテンツも同じです。

ところが、世の中にある文章の大半は人を動かすことを意識していません。広告系のコンテンツに限定しても、「買ってください」というお願いばかりで心の動きを意識せず、その結果、苦心惨憺の末に書き上げたコンテンツが「役立たず」となることもしばしば。「売れない」には価格や競合などの諸条件がありますが、「まったく反響がない」のであれば、「人を動かす」ことを意識していない文章だといってよいでしょう。

婚活の想像と現実

人を動かす文章を書くコツは、具体的な「だれか」を思い描くことです。

あなたが「婚活サイト」の紹介文を書くことになったとします。「素敵な出会いがあなたを待っています」とはよくあるキャッチコピーですが、これで人を動かすことは困難です。平凡だからという理由もありますが、30代と70代では、出会いに求める「素敵」が異なることをご存知でしょうか。

婚活サイトの経営者に聞くと、20代や30代は価値観や趣味の共有など、「人生のパートナー」を求める傾向が強いのに対して、高齢者になればなるほど、即物的な利益を求めるといいます。本サイトに適当な言葉ではないので自主規制しますが、いわゆる「現役」な高齢者ほど婚活サイトを積極的に利用し、デートを通じて互いを知り、交流を深める過程を望まず、「結論」を求める理由は「先が短い。手間暇掛けていられない」。これを聞いたとき、やたら納得した自分がいました。

イメージという魔物

この経営者の話は、漠然とした「お年寄り」のイメージとは正反対であり、現場にコンテンツが眠っているという一例です。そして「これからは高齢者=シニアもWebの時代だよ」と、経営者は目の奥を光らせニヤリと笑います。

60歳以上を高齢者とするなら、すでに彼らはWebに慣れ親しんでいる世代です。特に「団塊の世代」は、ブームに乗りたがる性質があり、尚かつ競争が大好きです。同期や同級生がパソコンを始めたと聞けば、夜の目も寝ずにキャッチアップします。また、「Windows 95」が大ブームとなったころの彼らは40代半ば、実務の上での「現役」でした。「パソコンは苦手」と逃げ切れたのは、もう少し上の世代です。そこから、いま、積極的にWebを利用する「高齢者」は決して少数派ではなく、これはWeb担当者の「新常識」です。

話を戻せば、30代なのか、シニアを対象とするのかはもちろん、性別や環境まで含めた具体的なターゲットを想定しなければ、心を動かす文章は書けないということです。

欲しいを刺激する

具体的なターゲットが浮かべば、人を動かす文章を書くことは簡単です。婚活サイトなら、まずは初婚か再婚か、再婚なら子供の有無、かつての結婚生活における不満や不安など、ターゲットを取り巻く状況を「脳内対話」や、ブレインストーミングでピックアップします。

  • 想定したターゲットを取り巻く状況
    小学校にあがったばかりの娘がいて妻とは死別の四十代の男性。収入は人並み以上にあり、生活の苦労はないが、娘の将来を思えば「女親」が必要なのではないかと考えている。

あとはこれらの解決が可能であることを語れば、高確率で人を動かすことに成功します。もちろん、自社のサービスで提供できることに限りますが、婚活サイトに登録する女性から母性溢れるユーザーを探すのはそれほど困難なことではない、とは先の婚活サイトの経営者談です。

具体的だからこそ

具体的に示すとこうです。

大人の婚活にとって大切なことは、お二人の相性だけではありません。情熱にすべてを委ねることができる若者とは異なり、大人は多くの想い出を抱え、守るべき家族があるものだからです。当サイトでは、最愛のお嬢さんやご子息、ご家族の幸せも考えた出会いの機会を提供致します。

婚活するのだからみな大人とは、現代においては野暮な話ですが、「大人の婚活」とすることで、一定以上の年齢層がターゲットであることを暗示します。そのうえで「二人の相性だけでは」と、家族やしがらみを匂わせます。続く「情熱にすべてを委ねる」で、駆け落ちも辞さないと一途に思い込むことができた若き日との違い強調し、「想い出」と「家族」で現実問題と対峙させます。そしてそのままズバリ、娘や息子、家族というキーワードでダメ押します。

実践ではここからサイトの特徴や体験者の声を盛り込んでいきます。また、ネガティブな連想を誘う言葉を排除するのも重要な実践テクニックです。

人を動かすとは

絞り込むと「それ以外の客が離れる」と反論する人もいますが、そもそも文章以前の話として、1つの婚活サイトが、すべての結婚希望者のリクエストを実現できるわけがありません。サイト訪問者の希望と、提供しているコンテンツの適合も同じく、お酒と料理の最適な組み合わせを意味する「マリアージュ」的な取り組みは「LPO」などで改善できるとしても、「ぜんぶ」の閲覧者の選べないのは「婚活」と同じです。

だから、対象となるのが閲覧者の1%だとしても、意中のその人の心を動かすことが大切だということです。これは、たった1人のパートナーを口説き落とす「恋愛」に似ています。

また、読者というのは提示されたシチュエーションに自分を投影するものです。先の例では娘や息子を、愛犬や愛猫に置き換えて読む40代のバツイチ男性もいることでしょう。むしろ、具体的に記述すればするほど、読者は自分の環境に置き換えた状況を想像しやすくなるのです。小説でいうところの「感情移入」です。感情移入とは「心が動く」、すなわち「人を動かす」です。

今回のポイント

文章は人を動かすためにある

たった1人のだれかに伝えるために書く

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