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楽天グループの国内EC流通総額は2.8兆円で11%増【2023年中間期】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

3 years 1ヶ月 ago
楽天グループは決算説明会資料で、Zホールディングスなどが公表している流通総額をベースにした国内ECのプレゼンスを掲示。楽天グループのECは圧倒的な成長で競合他社を圧倒しているとした

楽天グループの2023年1-6月期(中間期)連結業績における国内EC流通総額は2兆8700億円で前年同期比11.1%増だった。2023年4-6月期(第2四半期)は1兆4542億円で同10.0%増。

売上高にあたる国内EC売上収益は4216億7700万円で同12.8%増。国内ECのNon-GAAP営業利益(FRSに基づく営業利益から、楽天グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したもの)は、同2.4%増の414億7200万円。

楽天の2023年中間期の業績
国内EC流通総額など(画像はIR資料からキャプチャ)

国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、Rakuten24などの日用品直販、Car、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパー、クロスボーダートレーディングなどの流通額を合算した数値。2023年第1四半期から楽天チケットをモバイルセグメントから国内ECセグメントへ移管、2023年第2四半期には国内EC流通総額の定義などを一部見直ししたため、遡及修正を実施している。

楽天グループは、国内ECをコアビジネスと成長投資ビジネスに区分けしており、コアビジネスは2兆6773億円で同11.5%増、成長投資ビジネスは1927億円で同5.5%増。コアビジネスは、「楽天市場」の流通総額に加え、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ドリーム、Open Commerce、Hunglead、BIC、Home life Direct、Carなど。成長投資ビジネスは、Fashion 1st Party、C2C 、楽天西友ネットスーパー、物流事業、ビューティー、クロスボーダートレーディングなど。

楽天の2023年中間期の業績 ビジネスポートフォリオマネジメント
ビジネスポートフォリオマネジメント(画像はIR資料からキャプチャ)

連結業績は売上収益が同9.5%増の9728億円、営業損失は1250億8700万円(前年同期は1987億3000万円の損失)、四半期純損失は1369億7100万円(同1794億3800万円の損失)。

楽天グループは決算説明会資料で、Zホールディングスなどが公表している流通総額をベースにした国内ECのプレゼンスを掲示。楽天グループのECは圧倒的な成長で競合他社を圧倒しているとした。

楽天の2023年中間期の業績 日本における楽天国内ECのプレゼンス
日本における楽天国内ECのプレゼンス(画像はIR資料からキャプチャ)
瀧川 正実

フリークアウト、UUUMにTOB

3 years 1ヶ月 ago

フリークアウト・ホールディングスがUUUMに対して株式公開買い付けを開始。UUUMの上場を維持するため買付上限を設けながら、連結子会社化を目指す。買付価格である727円は発表前日の終値と同額でプレミアムはないが、フリークアウトが算出した理論株価(500円)より40%以上高く、また直近の平均株価より高い。この発表後、フリークアウトの株価は20%急落。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2308/10/news164.html

後払い決済サービスのネットプロテクションズ、台湾やベトナムなどアジア圏での事業拡大を計画

3 years 1ヶ月 ago

「NP後払い」や「atone」などの後払い決済(BNPL)サービスを提供するネットプロテクションズは、アジア圏での事業を拡大する方針を発表した。

アジア新興国の金融機関、信販会社、プラットフォーマーなどの事業者に対し、後払い決済サービスを導入していく。

アジアでの事業展開方針
アジアでの事業展開方針

ネットプロテクションズの国内BNPLの累計取引件数は4.4億件超。アジア全体ではBNPLを手がける事業者が増加傾向にあり、BNPL市場は今後急成長すると見ている。

後払い決済サービスの今後の展開
後払い決済サービスの今後の展開

アジア各国市場での展開

台湾市場は、投資資金を大きく増加し、規模拡大を加速させていくフェーズと捉えている。展開スピードを加速するため、さまざまな企業との連携を検討していく。

ネットプロテクションズは2018年に台湾拠点を設立。2000年からグローバル向け後払い「AFTEE」を提供している。「AFTEE」はクレジットカード不要で誰でも後払い決済が可能なサービス。会員数は100万人超で、ECサイトでの導入数も堅調に推移しているという。

台湾におけるサービス導入の実績
台湾におけるサービス導入の実績
台湾での今後の展開
台湾での今後の展開

ベトナム市場では、2022年に子会社を設立。現在の加盟店数は10~20店舗という。

こうしたアジア展開について、海外事業責任者の角元友樹氏は次のように話している。

アジアにおけるBNPLの利用拡大は大きなポテンシャルがある。大手を含めてさまざまなプレーヤーの新規参入が予想される。

台湾では投資に注力して規模拡大を図りたい。ベトナムでは、台湾で構築した「AFTEE」をローカライズし、2023年6月からBNPLの提供を始めた。ベトナムに進出した目的は新興国向けのBNPLを構築すること。ベトナムで「AFTEE」の改善を進めて、アジアの新興国に横展開していきたい。(角元氏)

◇◇◇

BNPLは、海外では分割やクレジットカードの代用としてのニーズが高いが、日本ではカード情報を渡さずに手軽に決済ができる利便性にメリットを感じて利用している層が多いという。

グローバルにおける地域ごとのBNPLのニーズ
グローバルにおける地域ごとのBNPLのニーズ

コロナ禍を契機にECを利用する人が増えたことや、若年層を中心にBNPLの利用は増加傾向。BNPLのニーズは成長し続けており、今後も利用拡大が見込まれる。

BNPLの利用拡大の理由
BNPLの利用拡大の理由
高野 真維

「くらしDIY」で多様な暮らし方の実現をめざすカインズが着目。決済サービス「Amazon Pay」で実現した新規会員獲得、EC売上向上の秘密

3 years 1ヶ月 ago
カインズのEC売上を押し上げた「Amazon Pay」。ゲスト購入の利便性が向上し新規顧客の増加を導いたという。「Amazon Pay」の導入効果や、会員連携などの今後の施策を解説する
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「利便性を高めて顧客体験を向上させ、ECサイトの売上高を高める」――。この戦略を掲げてECサイトの利便性を改善、ゲスト購入の増加による売上アップ、新規顧客の獲得、カゴ落ち率の改善などを実現したカインズのEC事業。その舞台裏をデジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏に取材した。

カインズ デジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏

「Amazon Pay」導入早々、効果を実感

ネットで検索した顧客はカインズのECサイトにたどり着くものの、これまでは会員登録やゲスト購入での情報の入力が手間と思われ、離脱されることが少なくなかった。田島氏は、「Amazon Pay」はこうしたわずかなためらいを解消でき、「Amazonアカウントで買えるなら、今買ってしまおう」と、その場での購入につながる可能性を高めることができる決済手段と考えている。「いち消費者としての自己の体験からも、『Amazon Pay』は利用率が高いだろうと想像できた」(田島氏)という。

一方で、検討段階では「新たな決済手段を導入するだけでは、コンバージョン率は変わらないのではないか」といった意見や、決済手数料(物販は3.9%)だけを見るとクレジットカードなどよりも高く感じられるため、「『Amazon Pay』の利用が増えると収益が悪化するのではないか」といった懸念の声がなかにはあったという。しかし、ECの利用率は高まるという直感があり、導入に踏み切った。

田島氏は実際、過去に決済手段を増やしたときに、顧客数が増加したようなデータを得られなかったため、こうした声もあがって当然と思っていた。こうしたネガティブな意見や懸念は導入直後、一気に吹き飛ぶことに。「コンバージョンなどの数字が向上し、導入後すぐに説得力のある状況が作り出せた」(田島氏)のだ。

田島氏自身は、「Amazon Pay」を導入すれば利便性が向上し、数字面でプラスの効果を生み出すことは確信していたものの、早々に出た効果は想定以上だったようだ。

ゲスト購入増加が後押ししてECの新規顧客数が拡大。ゲスト購入の需要に気付くきっかけに

「Amazon Pay」の導入後の目標は二段階にわけて設定した。第一段階は新規顧客獲得とし、まずは買い物で利用できるようにする。第二段階をリピート購入の促進とし、「『Amazon Pay』利用者にカインズの会員登録を促し、会員連携を実現する」と設定した。

第一段階の目標である新規顧客数については、「Amazon Pay」導入後早々に効果が表れ、それによりEC全体の売上アップにつながったという。

カインズのECサイトでは会員登録して購入する方法と、非会員でも購入できるゲスト購入の2通りの利用方法を採用していた。「Amazon Pay」の導入により、ゲスト購入の利用者が増加。その内訳を見ると、カインズのECサイトを初めて利用する新規顧客が占める割合が増えていったのだ。

購入画面の一例。「Amazon Pay」のボタンの視認性向上により買いやすい導線を実現
購入画面の一例。「Amazon Pay」のボタンの視認性向上により買いやすい導線を実現

「Amazon Pay」導入は2023年3月15日。約3か月後の6月現在、カインズのECサイトでは「Amazon Pay」によるゲスト購入が全体の約1割を占めている。そのうち、95%が新規顧客。ゲスト購入による新規顧客が純増したことで、結果的にECの全体売上を約5%アップできたという。「見える形で数値が動いたのは、当初想像していた以上の効果だった」(田島氏)

「Amazon Pay」の導入後、ゲスト購入を利用する新規顧客が増えたことで、EC売上が拡大したカインズ。この結果を受け、ゲスト購入の利便性を向上させることの重要性に気付いたと田島氏は話す。

これまでは会員になったお客さまの利便性にフォーカスし過ぎてしまい、ゲスト購入の利便性にあまり重きを置いてこなかったことが反省点だと感じた。「Amazon Pay」の導入後、さまざまな数値で良い効果が表れたことから、非会員のお客さまからゲスト購入に対するニーズがこれほどにもあったのかと気付くことができた。お客さまの裾野は間違いなく広がった。

カインズ デジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏
カインズ デジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏

注文完了までの簡単なプロセスが顧客のライト層に有効

顧客にとっての「Amazon Pay」のメリットはまず、購入ステップが少ないことがあげられる。他の一般的な決済による購入ステップは、注文者情報や配送先、支払い方法などを入力し、注文内容を確認した後に注文確定となるが、「Amazon Pay」はAmazonアカウントでログインして注文内容を確認するだけの、簡単なステップで注文が完了できる。このため、新規の顧客には特に優しいプロセスだと言える。

カインズのプライベートブランド商品はここ数年、テレビなどのメディアで取り上げられる機会が多く、メディアで知った商品を購入するためにECサイトを訪れるユーザーが数多くいる。しかし、たまたまテレビで知って欲しくなった商品を購入するために、一から会員登録をして購入するのはハードルが高く、ECサイトに来訪したものの商品を購入せずに去っていくユーザーも少なくなかった。

カインズのオリジナル商品の一例
カインズのオリジナル商品の一例

カインズはこの点を課題として捉えながらも、非会員の購入の利便性向上に重点的に取り組めていなかったため、課題解決にまでは至っていなかったという。「Amazon Pay」の導入でゲスト購入の利便性が高められたことにより、ライトなユーザー層に対してかなり有効なアプローチができるようになったという。

そのため、「『Amazon Pay』が使える状況であること自体がお客さまにとってのサービスアップにつながる」(田島氏)と捉えている。

また、運用する側の視点としても、管理画面が使いやすく、AmazonのIDへのデータ連携やレスポンスも早く注文確定処理がスムーズであることを評価している。

ストレスを感じるような連携の遅さなどがない作業性が担保されている点は、さすがだと実感した。(田島氏)

「Amazon Pay」はマーケティングツール。決済手数料は売上アップのマーケ効果を含む

「Amazon Pay」の決済手数料は3.9%(デジタルコンテンツは4.5%)とクレジットカードに比べてやや高い印象がある。

しかし、「Amazon Pay」は単なる決済手段ではなく、マーケティング効果が含まれるものと田島氏は捉えている。

お客さまの利便性向上に直結し、売上アップにもつながった。「Amazon Pay」の決済手数料はマーケティング費用を含んだコストとして考えているため、決して回収できない手数料ではなく、むしろ、新規顧客獲得効果など合理的な判断として導入して良かったという結論が出ている。(田島氏)

カインズ デジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏

「Amazon Pay」をフックとした会員登録率の引き上げを計画

カインズは「Amazon Pay」やAWS(アマゾン ウェブ サービス)を利用しているほか、2023年7月10日には「Amazon.co.jp」への出品も開始した。事業拡大に向け、Amazonの展開するサービスを幅広く有効活用している。

今後、「Amazon Pay」を活用した施策として、次の2点を強化していく計画だ。

  • 「Amazon Pay」がカインズのECサイトで利用できることの告知
  • 「Amazon アカウント」との連携によるカインズカード会員獲得と会員登録率の引き上げ

Web広告のCPA(顧客獲得単価)は年々高騰しており、広告による新規顧客の獲得がより一層難しくなっているなか、獲得単価を考えた上でも「Amazon Pay」が利用できる旨を、サイトに来訪した顧客にしっかりと告知することは有効な策になると考えている。

2023年6月には、ECサイトのヘッダー部分に「Amazon Pay」の利用を促すバナーを設置した
2023年6月には、ECサイトのヘッダー部分に「Amazon Pay」の利用を促すバナーを設置した

そして、第2段階として、「Amazon Pay」で購入した顧客がカインズのECサイトに会員登録できるよう、Amazonアカウントとカインズ会員の連携に向けた開発を、優先度を高めて取り組んでいるところだ。会員連携により、カインズから自発的にリーチ可能な会員を増やし、売上増を目標に据えている。

デジタルでも店舗同様の顧客体験に注力

1989年の創立から、実店舗をメインに事業を拡大してきたカインズだが、4~5年前からは全社的に、デジタルを通した顧客体験を向上させる取り組みも強化している。

顧客体験の向上のため、実店舗では当たり前に行っていることがさまざまある一方で、数年前までのECは、小さなチームだけで運用しているようなものだった。会社をあげてデジタルに力を入れるようになったことで、「店舗でここまでやっているから、ECでも同じ考えでお客さまの利便性を上げないといけないよね」という会話ができるようになったと思う。

2年前からのECサイトのリニューアルも、お客さまにとってより買いやすい場にするためだった。正直なところ、当初は決済の強化策まで手が回っていなかったが、今は「Amazon Pay」を活用した施策を、優先度を高めて取り組んでいる。(田島氏)

カインズ デジタル戦略本部eコマース部長・田島和修氏

カインズでは2019年から、ECで注文した商品を希望の店舗で取り置き、店舗で受け取れるサービス「CAINZ PickUp」を開始。現在は注文件数の約3分の1を店舗受け取りが占めている状況という。

ECサイトに来訪した新規顧客が店舗に訪れる機会がますます増えると想定。今後は「Amazon Pay」が、カインズのオムニチャネルにも寄与していくと期待している。

EC注文品の店舗受け取りサービス「CAINZ PickUp」
EC注文品の店舗受け取りサービス「CAINZ PickUp」
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朝比美帆
吉田 浩章

アウトドアブランド「finetrack」がグローバルECストアを開設、その特徴とは?

3 years 1ヶ月 ago

アウトドアブランド「finetrack(ファイントラック)」を展開するfinetrackはこのほど、グローバルECストアを開設した。

finetrackは「MADE IN JAPAN」を重要視しており、商品生産に関わる全ての工程を日本国内で実施している。海外は北米で自社ブランドを展開していたが、グローバル市場での本格的な販路拡大、認知度拡大に向けて越境ECに対応する。

ファイントラック finetrack アウトドア EC Lingble 越境EC グローバル

海外からアクセスした消費者の居住地に合わせて、デザイン、販売価格、言語などを自動でローカライズして表示する仕組みを採用した。決済手段は100種類以上のグローバル決済を導入。カスタマーサポートはオペレーターによるチャットの返信またはメールで、多言語で24時間対応する。

グローバルECストアは、アクセスしたユーザーの居住地によってUIをローカライズ。日本国内からアクセスした場合、国内向けのサイトに自動転送される(画像はfinetrackの国内向けブランドサイトから編集部がキャプチャ)
グローバルECストアは、アクセスしたユーザーの居住地によってUIをローカライズ。日本国内からアクセスした場合、国内向けのサイトに自動転送される(画像はfinetrackの国内向けブランドサイトから編集部がキャプチャ)

FacebookやInstagramなどのSNSを用いて、英語で海外ユーザーに向けた情報発信を実施。「finetrack」のブランドコンセプトや、「finetrack」が体現する日本の繊維技術の高さをグローバル市場へ訴求する。並行して、クリック課金型広告などトラッキング可能なWebマーケティングで、コンバージョン獲得もめざす。

◇◇◇

finetrackは、グローバルECストアにLingble Pte. Ltd.(Lingble)のプラットフォームを活用した。

Lingbleは、クライアント企業の海外市場でのマーケティングを策定、実行、最適化まで継続的に支援する「プレミアム・マーケティングサービス」を提供している。これまで、日本製商材のグローバル展開を支援した実績があり、ブランディングに重点を置いたマーケティン支援にも強みがある。これが利用の決め手だったという。

「プレミアム・マーケティングサービス」について、Lingbleの原田真帆人CEOは次のようにコメントしている。

グローバルECの事業運営を車の運転にたとえると、EC開設のためのプラットフォーム、すなわち「車」の提供だけにとどまらず、その運営、つまり「運転」も一緒にやるイメージです。クライアント企業に代わり、競合企業の分析や市場調査も入念にやります。「海外の至るところに自社のファンがいる」というように、自社のブランドが世界中から愛されるようになるサポートをします。(Lingble 原田CEO)

高野 真維

商品詳細ページ作りに生成AIを活用するメリットとは? 多店舗の効率的な運用管理、収益UPに直結するマーケティングなどを実現 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

3 years 1ヶ月 ago
米国で歯磨き粉の小売業を営むColgate社の事例から、生成AIツールを活用した商品詳細ページを解説します。効率的かつコンバージョンアップに期待が持てるページ作りとは?

コンバージョンを自然に高められる商品詳細ページを作ることはできるのでしょうか。米国で歯磨き粉の小売業を手がけるColgate(コルゲート)は、Eコマースのデータ分析ツール開発事業を行うProfitero(プロフィテロ)と共同で、独自のプロジェクトを進めています。目的はコンバージョンアップにつながる商品詳細ページを作成すること。Colgateの事例を詳しく解説します。

記事のポイント
  • 生成AIツールの導入で商品詳細ページを最新の状態に維持している
  • Profiteroの生成AIツール導入企業は、Webサイト上で生成AIボットに詳細な質問ができる
  • 生成AIツールの導入で、数週間から数か月間かかっていたデータ分析の時間を大幅削減

商品詳細ページに生成AIを導入するメリットとは

10以上の出店モールで商品詳細ページ約1000を運用管理、その課題をAIで解決

歯磨き粉で著名な小売事業者のColgateは、何百もの商品詳細ページの管理に生成AIを活用しています。戦略・実行担当グローバル・デジタル・コマース・ディレクターを務めるトッド・ハッセンフェルト氏は、自社が展開する商品の詳細ページについて、次のように説明しています。

米Amazon、米国スーパーマーケットチェーンのWalmart(ウォルマート)やAlbertsons(アルバートソンズ)、食品や日用品のECを展開する米Thrivemarket(スライブマーケット)、食品の即日配達サービスを手がける米Instacart(インスタカート)など、10以上のECモールでそれぞれ数十のSKUを出品しているため、商品詳細ページは合計で1000近くあります。

Colgate 戦略・実行担当グローバル・デジタル・コマース・ディレクター トッド・ハッセンフェルト氏
Colgate 戦略・実行担当グローバル・デジタル・コマース・ディレクター トッド・ハッセンフェルト氏

これらの商品詳細ページをいつも最新の状態に保ち、なおかつ各ブランドサイトのターゲットとなる消費者の共感を得られるようにするには、社内で複数人のリソースが必要となります。これを省力化するため、商品詳細ページの最適化をサポートする新たな生成AIツールを試験的に導入しています。

ColgateのAmazonでの販売ページ(画像は編集部がAmazonでの販売ページからキャプチャ)
ColgateのAmazonでの販売ページ(画像は編集部がAmazonでの販売ページからキャプチャ)

Colgateはすでに、Profiteroのデジタルシェルフ(編注:消費者がインターネット上でブランドと関わりを持ち、商品を調べたり購入したりするデジタル体験)の技術を活用し、これらのページを管理しています。その技術は、Colgateなど8社の小売企業が試験的に運用している生成AIツール「Ask Profitero」です。

商品詳細ページの課題をAIが指南

このAIツールを使うと、小売事業者は、サイト内の全商品ページに関する課題およびその解決方法などを、生成AIのチャットボットに質問できます。

たとえば、ColgateがWalmartの販売サイトでマウスウォッシュのコンバージョン率を向上させたいとします。その場合、生成AIのチャットボットに「このカテゴリーで売り上げを伸ばすために最適なテキストの長さは?」と質問できるのです。

生成AIのチャットボットは質問に対し、そのECサイトの特定カテゴリーにおいて最適なテキストデータの量を回答します。(ハッセンフェルト氏)

生成AIのチャットボットは商品の新しいキャッチコピーを提案し、なぜその言葉を提案したのかを事業者に説明することもできます。

消費者が特定のキーワードを入力したときに、商品がECモール内の検索結果でどれくらい上位に表示されているかといったデータに基づき、生成AIはこうした回答を導き出しています。

Profitero CEO ブライアン・ウィナー氏
Profitero CEO ブライアン・ウィナー氏

データ分析を効率化する生成AI

商品の検索結果データは常に知り得ることができるものの、分析には時間がかかります。これを効率化するためにProfiteroのソフトウエアを使用しているブランドは全世界で4000以上。データ分析の改善に役立っているそうです。

Profiteroのクライアント企業の一例(画像はProfiteroのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
Profiteroのクライアント企業の一例(画像はProfiteroのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

生成AIツールは、Profiteroのソフトウエアから迅速にインサイト(編注:消費者の潜在ニーズを分析すること)を取得するのに役立っています。たとえば、生成AIのチャットボットに対して「全ブランドのミントのトータルホワイトニング歯磨き粉の売り上げは?」と聞くことができます。

消費の在庫切れに関するデータを取得し、「ある商品が特定の小売店でどれくらいの頻度で在庫切れになっているか」「30日間のうち何日間在庫切れになっているか」などを調べることもできます。(ハッセンフェルト氏)

AIが評価やレビューの要約作業を簡素化

Colgateはこのほかにもう1つ、生成AIツールの活用法として構想していることがあります。消費者による商品評価、レビューの傾向を簡単にまとめるようにすることです。

生成AIに「この製品に対するレビューの傾向は何ですか?」と質問し、評価の高いレビューの多くが「風味が良い」など特定の特徴を強調した場合、それらの情報を活用して商品詳細ページをアップデートできるようにしました。

このように、効果的な販促が期待できる商品詳細ページを作成することは、オンライン販売だけで重要になるわけではありません。ハッセンフェルト氏は、商品詳細ページは店舗での販売においても重要だと指摘します。

消費者は店頭で買い物をしながら頻繁にスマートフォンをチェックし、商品詳細ページで商品情報を詳しく調べているかもしれません。また、店内の看板や販促物から商品の詳細情報を取得することもあります。

消費者がいつでも商品の最新情報を確認できる環境を用意しておくことが、さらに大きな売り上げを狙える可能性があるのです。(ハッセンフェルト氏)

手作業の時間とリソースを削減、迅速なマーケティングを実現

ハッセンフェルト氏は、生成AIツールの導入で、手作業で分析に費やす時間を数週間から数か月節約できると見込んでいます。

通常、1つの商品SKUのコンテンツや、コンテンツのバリエーションを複数のプラットフォーム用に作成するには、膨大な時間がかかります。作成後も、Colgateが何かに変更を加え、それによってコンバージョン率がどのように改善されるかを確認したい場合、変更を実施して分析するまでにかかる時間は数か月にのぼることもあると言います。

ColgateはAIツール導入によって人的なリソースを減らすことができますが、従業員数の削減は計画していません。なぜなら、従業員の負担が従来よりも軽減されることによって、より迅速なマーケティングができるようになると期待しているからです。

生成AIに期待するCVRアップ

Colgateがこの生成AIツールを使うもう1つの目標は、コンバージョン率の向上だとハッセンフェルト氏は話します。

たとえば、2%のコンバージョン率を3%に引き上げることは、各商品で1000ドルから1万ドルの収益アップに相当するインパクトです。このようなコンバージョン率の引き上げは、AIツールから実用的なインサイトが得られれば可能になるはずです。(ハッセンフェルト氏)

AIを活用したリアルタイムなマーケティング戦略を構想

短期的な全体の目標は「商品に関連して消費者から得られたデータの分析結果を、迅速に実行できる施策に反映し、特にコンバージョン率と売り上げ向上のために得られたインサイトに基づいてマーケティング戦略を打つこと」(ハッセンフェルト氏)

加えて、「長期的には、データから消費者のトレンドを見つけ、リアルタイムにインサイトを得るための情報源を当社のマーケティングチームに提供したいと考えています」とハッセンフェルト氏は言います。

AIの活用によるトレンドのキャッチアップや、消費者の動向にリアルタイムなマーケティングを計画する(画像はColgateの自社ECサイトから編集部がキャプチャ)
AIの活用によるトレンドのキャッチアップや、消費者の動向にリアルタイムなマーケティングを計画する(画像はColgateの自社ECサイトから編集部がキャプチャ)

Colgateは米国本社のスタッフ約10~20人が、このAIツールの活用に従事しています。さらに、マーケティング、ブランディング、カスタマーサービス、ロジスティクスなど、グローバルのさまざまな支社から7~10人の従業員を追加して、機能横断的なチームを編成しています。

Profiteroは「ChatGPT」利用2か月で生成AIを開発

ProfiteroのウィナーCEOによると、ProfiteroはこのAIツールを、人工知能コンソーシアムOpenAIの言語モデルに基づいて自社で構築したそうです。「ChatGPT」が利用可能になってから、Profiteroは約60日間でAIツールを開発したと言います。

Profiteroはすぐに、より迅速で優れたインサイトを提供してクライアント企業に役立つツールを開発しました。問題は、それをどのように導入してもらうかです。(ウィナー氏)

Profiteroは2023年6月、ユーザー・カンファレンスでこのAIツールを発表し、β版でクライアントとの協業を開始しました。

開発したAIツールに「このインサイトは適正です」または「このインサイトは的外れです」といったフィードバックを行い、AIツールを微調整するために、当社に協力してくれるクライアントを探していました。(ウィナー氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん、白川久美さん、中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

ヤフー、トレンド分析を提供

3 years 1ヶ月 ago

ヤフーは、ヤフーのビッグデータを分析できる「DS.INSIGHT」の新機能として、急上昇トピックやトレンドを分析できる「DS.INSIGHT Trend」を提供する。検索数が上昇している、もしくは上昇しそうなトピックを可視化し、トレンドを予測できる。

ヤフー・データソリューション、急上昇トピックやトレンドを可視化分析できる「DS.INSIGHT Trend」を提供開始
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2023/08/08b/

広告にも「コミュニティノート」

3 years 1ヶ月 ago

X(ツイッター)の広告に、広告メッセージを否定するような「コミュニティノート」が追加される事象が散見される。痛快。

「広告費払ってウソばらされるの面白すぎ」 コミュティノートが広告ツイートを斬る
https://www.cyzo.com/2023/08/post_352521_entry.html

コミュニティノート
https://communitynotes.twitter.com/guide/
https://twitter.com/i/communitynotes/

ラジオ広告もインプレッションで価格設定

3 years 1ヶ月 ago

首都圏ラジオキー局5社が、ラジオ広告の新しい販売方法「TRA(TargetingRadioAD)」の実証実験を開始した。放送と配信(radiko)を合わせた毎分聴取率「ラジオ365データ」を活用してインプレッションベースの価格設定を導入。出稿計画時にインプレッション数を想定でき、放送後には実際の結果を確認できる。番組ごとのターゲット含有率の算出も可能。

https://www.advertimes.com/20230726/article428228/

ヤフーの小澤社長が退任/「Yahoo!ショッピング」の粗利率が22ポイント改善【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

3 years 1ヶ月 ago
2023年8月4日~2023年8月10日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ヤフー社長でeコマース革命旗振り役の小澤社長が退任、「LINEヤフー」では顧問に

    小澤隆生氏は現在、Zホールディングスの取締役 専務執行役員CGSO(Chief Group Synergy Officer)E-Commerce CPO、ヤフーの代表取締役社長

    2023/8/4
  2. ヤフーのショッピング事業取扱高は8%減で「想定内での着地」。「Yahoo!ショッピング」の粗利率は22ポイント改善

    ショッピングについては「想定内での着地」と言う。一方、収益性は大幅位に改善している

    2023/8/7
  3. 【台風6号の配送への影響】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便は沖縄・鹿児島の一部地域宛て荷物の預かりを停止

    8月3日までに日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便は、沖縄県全域、鹿児島県の一部地域への荷物の預かりを停止したと発表している

    2023/8/4
  4. 【機能性表示食品で初】にさくらフォレスト措置命令を下した背景+変わる消費者庁の調査体制

    消費者庁はさくらフォレストが展開する機能性表示食品に対し、景表法の優良誤認があるとして措置命令を下した。機能性表示食品の届出表示そのものを不当表示と判断した消費者庁。この処分は業界内で混乱と反発を招いている

    2023/8/7
  5. デサントのCVR30%増加と直帰率40%減少を実現した顧客満足度の高いECサイト改善とは

    スポーツ用品メーカーのデサントジャパンが、公式通販サイト「DESCENTE STORE(デサントストア)オンライン」にZETAが提供するEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」とレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を導入した理由、今後の取り組みを紹介する

    2023/8/9
  6. 佐川急便が始めた海外向けECをトータルサポートする「SAGAWAの海外通販まるごとサポート」とは

    マーケティング、販路紹介・出品支援、在庫管理・保管、国際物流までをトータルでサポートする

    2023/8/4
  7. 物流費が上がり続ける今、「送料無料」と「返品無料」あなたの会社はどちらを選ぶ?【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年7月31日~8月6日のニュース

    2023/8/8
  8. SNSのシェアで割引購入+商品は工場直送で低価格販売+ターゲットは20~30歳代のアパレルECサイト「12HiTOE」とは?

    KENTOSHI(ケントウシ)は、開設したECサイトで、ほしい商品をユーザーが割引購入できるシステムを採用。ソーシャル上のユーザーの行動で割引率がアップする仕組みとは

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    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    藤田遥

    アマゾンジャパン、「Amazon プライム」会員費を値上げ。年会費は4900円から5900円、月額は500円から600円に

    3 years 1ヶ月 ago

    アマゾンジャパンは8月10日、有料会員「Amazon プライム」の会員費を引き上げると発表した。プライム会員向けにメールで通知した。日本での値上げは4年ぶり。

    年会費は従来の4900円(税込)から1000円引き上げて5900円(税込)に変更。月額プランは従来の500円(税込)から600円(税込)と100円値上げする。 学生向けの会員制プログラム「Prime Student」は年会費を2450円(税込)から2950円(税込)に、月会費を250円(税込)から300円(税込)へ引き上げる。

    新規会員は8月24日から、既存会員は9月24日以降の更新から適用する。

    アマゾンジャパンは「プライム関連プログラムの充実、デジタルコンテンツのセレクション拡大、配送スピードの向上、そしてよりご満足いただけるプライム会員限定セールの提供をめざす」としている。

    値上げに関するメール(会員向けメールからキャプチャ)

    日本では2007年に「Amazon プライム」を年会費3900円でスタート。2019年に初の値上げを実施し、年会費を1000円引き上げて4900円にしている。

    米国では当初、年会費79ドルで提供されていた「Amazon Prime」は段階的に値上げされており、2018年には年会費を99ドルから119ドルに引き上げ。2022年には139ドルに値上げしている。

    米国での値上げ理由は、プライム会員特典の継続的な拡充、賃金や交通費の上昇をあげた。2018年以降、無料で当日配送を利用できる地域が48都市から90都市以上に拡大。プライム無料配送の対象商品も50%以上増えたとしている。

    瀧川 正実

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