ユナイテッドアローズ、アダストリア、バロックジャパンリミテッド、TSIホールディングスのアパレル企業4社が、「アパレル物流研究会」の発足、これまでの取り組みと、今後の展望を発表した。
「アパレル物流研究会」はこれまで、国内店舗向けの共同配送、ECモール向け共同配送、海外からの調達領域における共同輸送など、さまざまなPoC(概念実証)を実施してきたという。
ECモール向け共同配送の取り組み
PoCは2025年6月から8月現在にかけて実施。従前は各社それぞれが運送会社と契約し、ECモールへ商品を納品していたが、PoCでは各社の近隣拠点の商品を集荷し、運送会社で積み替え、それをそれぞれのECモールの物流拠点へ納品している。
具体的には、ユナイテッドアローズの茨城県拠点と、バロックジャパンリミテッドの埼玉県拠点の商品を、アダストリアの茨城県拠点・群馬県拠点にそれぞれ集約。アダストリアの商品を加えて集約した商品を運送会社で積み替え、ECモールそれぞれの拠点に配送している。

左側が従前、右側が実証中のECモール向け共同配送
一般的に、集荷・配送の時間調整やトラック・コンテナの積載率の確保は共同輸配送の課題とされている。研究会による複数のPoCを通じて、出荷元(各社物流拠点)や配送先(各社出店施設・物流拠点)ごとの荷量を十分に確保することで、輸送効率の改善が期待できるという点が明らかになったという。
物流拠点の地域、商材の種類、納品形態などの共通のニーズを持つ企業間では、新しいルートやメニューを開拓する可能性が広がることが検証されたとしている。
今後は参加企業が増えることでより良い成果が得られるという仮説の下、参加企業を増やしながら業界の課題解決に取り組む方針。
「アパレル物流研究会」とは?
研究会の発足は2023年10月。各社の課題共有と議論を通じ、企業横断での物流問題の解決に取り組むために4社が発足した。ファッション業界におけるロジスティクスの効率化とサステナビリティの実現をめざしている。目的は次の通り。
- 各社の課題を共有し合い、ファッション業界として共通の物流課題を明確にする
- 将来的な物流インフラの一部共通化に向けた協働・協業を視野に、議論・実験・検証・仕組化を行う
- 参加企業の拡大により、業界全体へメリットをシェアする
発足の背景には、2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働時間上限規制に伴う「2024年問題」、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)の超高齢化社会を迎えることで、労働力不足や社会保障費用の増大などが懸念される「2025年問題」がある。
アパレルは商材の特性上、生産・仕入れから販売までの流通経路が多岐にわたる。輸配送においては物流会社への依存度が高いことからも、各社単体での改善やリスクコントロールには限界があることも理由となっている。
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オリジナル記事:UA・TSI・アダストリア・バロックジャパン4社共同の「アパレル物流研究会」、物流インフラ共通化を推進。ECモール向け共同配送の取り組みとは
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