Amazonは2022年末までに、電気自動車メーカーRivian社の電気自動車を100以上の都市で運行する予定です。現在、配送車両をガソリン燃料から電気技術に移行させようとしている企業は、Amazonだけではありません。
アマゾンの会員サービス「Amazon Prime」で荷物を届けるとき今後、配送車が停車する音が聞こえくなるかもしれません。
その理由は、オンライン小売業界の巨人であるAmazonが、EVスタートアップのRivianがオーダーメイドで製造した、全電気配送トラックの最初の1台を使ったサービスを正式に開始したからです。最終的には、10万台の電気トラックが活用されるようになるでしょう。
Alexa(アレクサ)を搭載し、経路情報や最新の天気情報にハンズフリーでアクエスできる(画像は編集部が追加)
Amazonは1年以上前から、Rivian社のプロトタイプをテストしてきました。このほどボルチモア、シカゴ、ダラス、カンザスシティ、ナッシュビル、フェニックス、サンディエゴ、シアトル、セントルイスなどの市場で、このEVトラックを使って正式に事業を開始したと発表しました。
3談の棚がある荷物室は開け閉めしやすいドアで仕切られている(画像は編集部が追加)
2022年末までに100都市へ拡大。その後もEVトラックの保有台数を増やしながら、成長につなげます。また、欧米の自動車メーカーStellantisのトラック部門であるRamにも小規模の発注を予定しています。
Rivian社がオーダーメイドで製造した配送トラック(編集部が追加)
環境面でのメリット
この動きは、「Amazon Prime」や競合他社が直面している一部批判への対処に役立つでしょう。米国の消費者はオンラインショッピングを受け入れていますが、道路を徘徊する大量の配送トラックは、地球温暖化ガスやその他の有害な排気ガスを大量にまき散らしています。
EVトラックの利用開始を「重要なマイルストーン」と位置付けたAmazonのアンディ・ジャッシーCEOは、声明のなかでこう言います。
気候変動の影響と戦うには、絶え間ない革新と行動が必要であり、Amazonは環境への影響を最小限に抑える新しい方法を発明する、という情熱を共有する企業と提携していきます。
Amazonは2019年2月、Rivianから電気トラックの小規模な台数を購入する計画を初めて発表し、その後すぐに2030年までに購入するトラックの数を10万台に拡大するとしています。
これは、2021年12月に納入を始めたピックアップ「R1T」とスポーツ・ユーティリティ・ビークル「R1S」という2つの小売向け商品ラインの開発にも着手していた新興のEVメーカーRivianにとって、大きな一歩となりました。
Amazonは、Ford Motor社を含む著名な支援者たちとともに、Rivianに投資する計画を発表。その後、Ford Motor社はRivian社への出資比率を引き下げ、新商品の共同開発計画も断念しましたが、現在も約8690万株(9.7%)を保有しています。
写真下:Amazonは現在、Rivianと共同開発した電気自動車配送トラックの第1段を使用しています
大きなEVトラック市場
配送車両をガソリン燃料から電気技術に移行させようとしている企業は、Amazonだけではありません。市場調査会社のBlueWeave Consultingが2021年1月に発表した調査によると、EVトラックの世界市場は2021年に214億ドルへ到達。2028年末までの年平均成長率は14.6%で、市場規模は423億ドルに達すると予測されています。
一方、多くの新興企業やレガシー自動車メーカーが現在、そのビジネスを巡って争っています。
UPSとFedExも電動化を進めています。FedExはすでにGMの子会社PrideDeopから数台の電気トラックを購入。また、UPSはガソリンエンジン搭載のトラック車両を購入する計画に対する批判に屈しました。UPSは現在、その膨大な保有車両の40%を電気自動車にすることを計画しています。
Amazoがタッグを組んだRivian社の競合
FordとGeneral Motorsは、新しいEVトラックの子会社を立ち上げ、かなりの受注を獲得していると言います。一方、Mercedezは、欧州のAmazonに自社のEVトラックを提供する契約を締結しました。
Walmartは7月、EVスタートアップ企業のCanooから4500台の配送バンを購入することに合意。さらにこの取引を1万台まで拡大する可能性があると説明し、Canooを救済しました。その数週間前、Canooは投資家に対して、2021年後半に予定通り生産を開始するための十分な資金がないと警告していたばかりだったからです。
Amazon側は、新しいRivianのトラックは環境に優しいだけでなく、ドライバーの仕事をより簡単かつ安全にするはずだと説明します。このトラックは、ドライバーが荷物を預けに行くときに自動的にロックされ、戻ってくると開錠されます。
バルクヘッドドアは手動式ではなく、電動式にすることで、より簡単に荷物を手に取ることができるようになりました。また、外側のドアは衝突に耐えられるように強化し、キャビンエリアは人間工学に基づいたデザインに変更しました。
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オリジナル記事:電気自動車の導入を急ぐAmazonなど環境問題に取り組む米国のEC関連企業のいま | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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