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売上アップ、ユーザーの利便性向上、離脱率の改善などに効果的といわれるECサイトのソーシャルメディア活用について、押さえておきたい3つのポイントを解説

ECサイト運用におけるソーシャルメディアの有効性が議論されるなか、「ソーシャルログイン」が注目を集めている。ソーシャルログインとはソーシャルメディアのアカウント情報を使って簡単にサイトの会員登録やログインができる機能で、これを実装することによってECサイトにアクセスするユーザーの利便性を向上させると同時に、離脱率を改善することができるようになる。さらにはソーシャルデータの活用によってマーケティングの可能性を拡大させるなど、ECサイトにさまざまなメリットがもたらされる。写真◎Lab

予約7割増、会員登録率5割増。ソーシャルログインがもたらすメリット

ネットショップがソーシャルメディアを活用して自社ECサイトの売り上げを伸ばすためには、3つのポイントがある。

  • ECサイトにソーシャルログイン機能を実装
  • ソーシャル機能を活用したECサイトのオウンドメディア化
  • Yahoo! ID、楽天IDとの連携

ソーシャルメディアマーケティング支援などを手がけるフィードフォースのセールスチーム統括の喜多宏介取締役は、EC企業がソーシャルメディアを活用するためのポイントを説明。まずは、ソーシャルログインの効果について次のように力説した。

ソーシャルログインの機能があればECサイトの利便性は大幅に向上し、離脱率の改善につなげることができる。実際、私たちの顧客のなかにはソーシャルログインを活用し、会員登録率が50%、予約のCVRが70%向上した例もある

ソーシャルログインとECサイトの親和性は高いのか? 喜多氏は「ECサイトのための“売上貢献重視”のソーシャルメディア活用術~ソーシャルログインを軸とした“ECサイトのソーシャル化”最前線~」と題した講演で、「新規会員登録率UP」「CV数向上」「購入頻度の向上」といったECサイトの成果に貢献するソーシャルメディア活用法、目的に合わせた事業展開のポイントを披露した。

ソーシャルログインは、FacebookやTwitterなどのソーシャルアカウントを使って簡単にサイトの会員登録・ログインができる機能。SNS上に登録している情報を使用することから煩雑なフォーム入力を行うことなく会員登録が完了できるほか、ID/パスワードを入力せずにワンクリックでサイトにログインすることが可能になる。

ソーシャルログインの例
ソーシャルログインを使った会員登録を行うゴルフダイジェスト・オンラインの例
フィードフォースが考えるソーシャルログインの導入メリット
ソーシャルログインの導入メリット

ソーシャルログイン実装によるメリットには、会員登録やCVRのアップといった成果のほか、マーケティングの可能性を広げることができると喜多氏は話す。

ソーシャルログイン対応することでプロフィール、友達数、ステータス(未婚・既婚)、写真、興味・関心などSNSに登録しているさまざまな情報を参照できるようになる。その興味や関心、友人数、プロフィールといったSNSのさまざまな情報を自社のデータベースに取り込み、自社が有するサイト行動情報やCRMデータと掛け合わせることで、サイト内のレコメンドなどマーケティング施策の精度向上にもつなげられる
※Faebook上のデータを取得する場合、項目によってFacebook社の承認が必要になるケースがある。

フィードフォースの喜多宏介取締役
フィードフォース
セールスチーム
セールスチーム統括
喜多宏介取締役
SNS活用の新たな打開策「オウンドメディアのソーシャル化」

近年、さまざまな企業がFacebookページを開設しているが、運用状況は厳しくなってきている。今後もFacebookページの運営を続けていくべきか悩んでいる企業は少なくない。というのも、オーガニックリーチ(宣伝しない投稿が何人に読んでもらったかを示す数)の激減、プラットフォーム・ポリシーの改定にともなう「いいね!」を条件としたインセンティブ付与の禁止などルール改定が行われたからだ。

だが喜多氏は、「Facebookページの運用をやめてしまうのではなく、新たな打開策として『オウンドメディアのソーシャル化』を検討してほしい」と提案する。

フィードフォースが考えるソーシャルメディア活用の位置付け
ソーシャルメディア活用の位置付け

「オウンドメディアのソーシャル化」とは、ソーシャルメディアを活用してコンバージョンを高めるマーケティング手法だ。ソーシャルログインをはじめとしたソーシャル連携機能を自社サイトに実装することで、新規会員数やCVRの向上、ソーシャルIDとCRMを連携してソーシャルデータを活用した顧客分析やターゲティングを行い、マーケティング精度や広告効果をアップすることが可能になる。

なかでもソーシャルログインはオウンドメディアをソーシャル化するための重要な施策となる。

私たちの顧客のなかには、Facebookページと広告を連動させることで効果を上げることができると考え、FacebookのIDと自社IDの紐付けを行えるようにソーシャルログインを実装したところがある。

その結果、新規会員登録率はスマートフォンユーザーで1.38倍向上。新規会員登録のCVRもソーシャルログイン経由の場合、PCユーザーで1.4倍、スマホユーザーで2.9倍アップさせることができた

この他にも、ソーシャルログイン経由の滞在時間、離脱率にも改善が見られるなど、サイトパフォーマンスの向上が実現できたと喜多氏はその効果を話す。

ソーシャルログインを活用したECサイトでの発信CVRの変化
ソーシャルログインを活用したECサイトではCVRが向上するという

「このようなサイトの利便性やCVRの向上以外にも、ソーシャルログインは自社CRMデータと外部データを連携させるための手段にもなる。会員登録をソーシャルログイン化することで、SNS連携したユーザーが行うサイト外での活動の一部を把握することが可能となる」と喜多氏は言う。

また、あるサイトの通常会員とFacebookページファン会員の違いを検証したところ、Facebookページファン会員には、以下のような特徴が見られたという。
※Facebookの仕様変更により、2015年4月30日までのみ有効な調査方法

①リピート来訪率は2倍以上
②平均来訪回数は3倍弱
③平均予約回数は1.56倍
④平均購入回数は1.97倍

この結果から、Facebookページのファンの方がより多くのアクションをしてくれることが分かり、このECサイトは、これからもFacebookページの運営を強化していくという判断ができた。今後は既存顧客と似た属性を持つFacebookユーザーなど、顧客化が期待できる層に広告を打っていくことで、広告精度の向上につなげていく考えだ。

国内ではYahoo!、楽天との連携が重要になる

続いて喜多氏は、日本国内でのソーシャルログイン利用率について言及。フィードフォースが同社のオウンドメディアソーシャル化支援サービス「ソーシャルPLUS」を用い、国内のソーシャルログインの利用率を調査したところ、Yahoo! IDが56%で国内シェア1位となったことを報告した。

ECサイトのソーシャルログイン利用率
ECサイトのソーシャルログイン利用率

海外のソーシャルログイン利用率調査では、Facebookのシェアが1位だが、日本国内では「Yahoo! ID」が一番利用されており、海外とは傾向が大きく違うことがわかった。つまり、国内環境や自社サイトの属性や特性に合わせて、どのソーシャルログインに対応するのか選択する必要がある

今回の調査結果を踏まえて喜多氏は、国内ECサイトがソーシャルログインを実装していくにあたり、Yahoo! IDおよび楽天の「楽天ID決済 かんたん登録オプション」との連携を進めていくことが重要であると指摘。そのメリットを次のように話す。

「両者はリーチできるユーザーが多い。Yahoo!の月間アクティブユーザー数もは2700万人、楽天の会員総数は9556万人に達する。また、郵便番号や住所、電話番号などソーシャルメディアでは得られない商品購入など必要な情報が取得できる。さらにYahoo!ウォレットや楽天ポイントなど、決済連携でCVアップも期待できるので、購買意欲が高いユーザーにアプローチできる。そのほか、外部ポイントサービス連携で購買頻度のアップが期待できる」と喜多氏は指摘する。

このようにソーシャルログインは多くのメリットをECサイトにもたらすが、喜多氏は実装にあたって次のような課題をあげる。

  • 導入時の開発リソースの確保
  • 各SNS・IDの頻繁な仕様変更への対応

こうした課題は、喜多氏によるとフィードフォースの「ソーシャルPLUS」を活用することで、ソーシャルログインの導入を簡単に行うことが可能だという。「ソーシャルPLUS」は、オウンドメディアのソーシャル化を支援するASPサービスで、ソーシャルログインをはじめ、サイトを活性化するための必要な機能を提供している。

さらにフィードフォースは、ヤフーID連携テクニカルサポーターや、楽天ID決済の公式パートナーに認定されていることも大きな強みでもある、と喜多氏は強調する。

「国内ECサイトのソーシャルログイン実装、およびオウンドメディアのソーシャル化の支援について、フィードフォースが最も実績を有していると自負している。ソーシャルログインを活用し新規会員を増やしたい、ソーシャルデータを社内データと連携させCRMに活用したいと考えているなら、ぜひ私たちに相談してほしい」と喜多氏は述べ、講演を締め括った。

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伊藤 秀樹

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