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オルビスが通販・EC出荷で物流ロボット導入。出荷能力は1.3倍、27%減の省人化、コストは18%減を実現

5 years 11ヶ月 ago

ポーラ・オルビスグループのオルビスは、通販・EC向け出荷作業の主要拠点「オルビス東日本流通センター」の通販用出荷ラインに自動搬送ロボットなどを導入、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する取り組みを始めた。

新たに採用したのは小型AGV(自動搬送ロボット)を最大限活用した出荷システムで、名称は「T-Carry system」。1オーダーに対して1台のAGVを割り当て、集荷から検査梱包まで一連の流れをロボットが自動化する。

オルビスは、通販・EC向け出荷作業の主要拠点「オルビス東日本流通センター」の通販用出荷ラインに自動搬送ロボットなどを導入、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する取り組みを始めた
集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する「T-Carry system」

従来は手作業だった封函、方面別仕分けを、全配送箱サイズ9種を自動判別する日本最速クラスの自動封函機、自動方面別仕分け機で行う。合計330台のAGVが、AI(人工知能)技術を活用した制御システムから指示を受け、集荷から検査・梱包作業場所まで最適なルートで走行し、循環する。

出荷能力は旧出荷ラインで1時間あたり1800件だったが、ロボット導入で従来比1.3倍の2400件に拡大。人員は89人から65人と27%削減、コストは18%削減(1件当たり出荷作業費)、消費電力は40%削減(年間15万7920KW相当)できるという。

「T-Carry system」は、パートナーである椿本チエインと協働し、2018年から検討を重ねて開発した。AGVは制御技術に優れたZhejiang LiBiao Robot製。ロボットサービスプロバイダーであるプラスオートメーションから導入し、一部改良して採用した。

オルビスが導入した小型AGV(自動搬送ロボット)
導入した小型AGV

グループのDECENCIA(ディセンシア)の通販商品の出荷作業も統合、「T-Carry system」からの出荷を9月14日に開始する。

グループの中でもECを主軸に展開するオルビスとディセンシアの出荷作業を統合することで、近年ニーズが高まる物流のオートメーション化、スマート化のシナジー効果を発揮していく。

新型コロナウイルスの影響でEC市場の伸長が加速する中、物流施設のオペレーションは複雑化、業界内の労働力不足は深刻さを増している。オルビスは最新テクノロジーの積極活用によって物流システムの自動化、省人化を促進し、環境負荷と物流現場の負担を軽減する。

主力のECチャネルの物流基盤を持続可能な形で強化し、生産性および顧客利便性のさらなる向上と、社会課題の解決に取り組んでいくとしている。

石居 岳
石居 岳

ジャパネットたかたやランクアップのリモートワーク事例。成功のカギは「コミュニケーション」と「やる気喚起」 | 通販新聞ダイジェスト

5 years 11ヶ月 ago
リモートワークは、社員同士の信頼関係の構築やモチベーションの維持など課題も多い。「YouTube」を使った朝礼や料理教室、テーマ毎のオンライン飲み会、社員の「インスタグラマー」化など、ジャパネットやランクアップの取り組みを紹介

新型コロナウイルスの感染拡大を機に変化を見せた働き方。緊急事態宣解除後もリモートワークを継続する通販実施企業も多い。様々な利点がある一方、事業を推進していく上で重要な社員同士の信頼関係が築きにくくなったり、働くモチベーションが低下するなどのデメリットもある。

第2波到来が懸念される中で今後、ますます不可欠な働き方になりそうだが、十分に機能させるには社員間のコミュニケーション促進ややる気の喚起などがカギとなりそうだ。注目すべき各社の取り組みからそのポイントを見ていく。

研修や飲み会もオンラインで実施

ジャパネットホールディングスでは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月から従業員の半数以上がリモートワーク体制に移行。4月14日から5月29日までのリモートワーク下において、社員間のコミュニケーション促進やモチベーションの維持をサポートすべく、様々な取り組みを行った。

YouTubeを利用した朝礼を実施

その1つが”朝礼”だ。木曜を除く毎日、午前9時から30分間にわたって動画共有サイト「ユーチューブ」を活用して全社朝礼のライブ動画を配信した

朝礼ではジャパネットグループ会社10社のそれぞれの部門ごとに役員や部門長が今、取り組んでいること。また、これから取り組もうとしていることなど現状や方向性などを報告したり、同社グループの産業医からコロナの感染予防のための情報提供などを行ない、毎回、朝礼終わりに俳優でフィットネスインストラクターとしても知られる美木良介さんによる5分ほどのトレーニング動画(録画)を配信するもの。

朝礼は毎回、発表内容について髙田旭人社長とも検討しながら決定し、前日の夕方に翌日配信分のリハーサルを実施するなど力を入れており、従業員からも「各社が取り組んでいることがよく分かった」「会社の動きを知ることができた」「在宅だったが会社とのつながりを感じることができた」などの声が寄せられたという。

料理研修などリモートワークを活かしたオンライン研修

”朝礼”に加え、リモートワーク中の従業員に向け、外部の専門家などを講師として招き、研修を実施。社員向けの研修はこれまでも毎週木曜日に実施してきたが、同期間はオンライン配信形式として、「最高品質のWEB会議術」などテーマに在宅勤務の環境下で有効となる研修を行った。

特に「睡眠マネジメントで仕事力10倍!」をテーマとした睡眠研修などが従業員からは好評だったよう。同研修では実際に寝転がり、自分に合った枕の調整方法などをその場で実践するなど、在宅環境だからこそ実行できる内容だったことなどが受けたようだ

また、外出自粛で増えた自炊をサポートすべく、実施した料理研修なども好評だったよう。同研修は料理研究家を招いて主菜の「ジンジャーチキン」のほか、副菜の「ベビー帆立とピーマンの和え物」、汁物「オクラとワカメのみそ汁」の3品の作り方を1時間の配信時間の間に東京・麻布の事務所で実際に料理をしながら紹介した。料理番組さながらの内容で社員からも反響が高かったようだ。

通販新聞 リモートワーク オンライン料理教室 ジャパネットホールディングス ZOOM
「ジャパネットホールディングス」が行ったZoomを利用した料理研修の様子

「オンライン飲み会」はテーマ毎に開催

仕事面でのモチベーションアップのための施策だけでなく、自由参加の「オンライン飲み会」も積極的に実施した。毎週月・水・金の週3回実施し、例えば「鉄道を愛する者~鉄オタの会~」や「日本酒好きの会」「英語を勉強したい人の会」など開催日ごとに2~3つのテーマを設定。テーマ別に興味のある従業員が入退室や飲食を自由な環境で集まり、2時間程度を目安に開催した。

期間中は合計22回、全47テーマのオンライン飲み会が催された。オンライン飲み会の効果については「拠点やグループ会社、勤続年数などの垣根を超え、オンラインならではの交流ができ、また在宅業務でこもりがちになる環境へのリフレッシュとなった」(同社)とし、社員同士のコミュニケーションの促進に一定の効果があったという

ジャパネットホールディングスでは6月から段階的にリモートワークを解消し、現時点では原則、出社勤務となっていることから現状、リモートワークは継続していないが、今回のコロナ禍におけるリモートワークに対応して実施した各種の施策によって「所属会社以外の動きなども知ることができ、全グループ会社それぞれで困難なことがありながらも、みんなでがんばろうという想いを共有できた」(同社)などと、その効果を感じているようだ。

「オンライン部活」や「ランチ会」で社員の家族含め交流に広がり

ランクアップは、会社が積極的にサポートすることで、テレワークで希薄になりがちな社員間のコミュニケーションの活性化を図る。

社内ではこれまで、手芸部や英語部、頭脳ボードゲーム部、バレーボール部など多くの部活動が行われていた。活動費として1人2000円を補助。ランチ会は1人1000円を支給していた。

新型コロナの感染拡大を受けた2月のテレワーク移行後は、「Zoom」を活用した「オンライン部活」、「オンラインランチ会」を開始。活動費の補助も継続し、オンライン部活では自宅から活動に参加することで、社員の子供や母親を交え交流が活性化するなど、広がりが出始めている。外出自粛の中、自宅で過ごす時間が充実したものになっているという。

通販新聞 リモートワーク オンライン部活 オンラインランチ会 ランクアップ ZOOM コミュニケーション活性化
「ランクアップ」が行った「オンライン部活」の様子

朝5時~22時の間で小刻みに勤務できる「スーパーフレックス制度」も導入。子育てと仕事の両立を図りやすいようサポートする。

通販新聞 リモートワーク ランクアップ スーパーフレックス制度 子育てと仕事の両立
「ランクアップ」は「スーパーフレックス制度」を導入し、子育てと仕事の両立をサポート

月1回、3時間ほど行っていた全体会議もオンライン開催に変更。会場の確保が不要になり、出退室を自由にした。こうした状況を受けて、開催回数を月2回に変更。より効率よく情報共有が進むなど、プラスの効果が得られている。毎朝行う朝礼もオンラインで開催。子育て中の社員が多いことから子供を交えて「オンラインラジオ体操」も行う。

通販新聞 リモートワーク オンラインラジオ体操 ZOOM ランクアップ コミュニケーション活性化
「ランクアップ」が行った「オンラインラジオ体操」や「オンラインランチ会」の様子

社員が自社製品を紹介する「インスタグラマー」に

一方、休止を余儀なくされたのが、「会える通販」の名称で行う顧客との交流イベントだ。18年9月に開始。愛用者のロイヤリティ向上を図り、全国で新製品お試し会や美容イベント、岩崎裕美子社長自ら参加する食事会を行ってきた。昨年は約1000人の顧客と交流を図り、直接、さまざまな要望を聞くことで製品開発に活かしてきた。

こうした接点を持つことが難しくなる中、毎週金曜日に公式インスタグラムでライブ配信を開始。社員自ら製品紹介や使用方法の説明を行い、顧客の質問に答える双方向のコミュニケーションを図っている。4月には、岩崎社長自らが愛用製品や顧客の質問に答えるライブ配信も行った。「会える通販」もオンラインで開催することで、全国各地から参加が可能になるなど、より幅広い地域の顧客との接点が増えている

外出自粛の影響を受けたSNS利用の時間増を追い風に、社員全員を「インフルエンサー」にするプロモーションも始めた

社員全員がインスタグラムの企業用アカウントを開設。「インスタグラマー」として自社製品の紹介などを行う。

通販新聞 リモートワーク 社員のインスタグラマー化 インフルエンサー ランクアップ
「​​​​​ランクアップ」社員のInstagram画面

投稿内容は自由だが、社員のプロフィールURLから製品購入に至った場合は、一定の成果報酬を付与する制度を導入。業務時間に運用に充てる時間を設けたり、インスタグラムと相性のよい写真素材を提供して、社員のモチベーションにつなげている。

社員のフォロワー数は平均4600人、総フォロワー数は約25万人に達している。中には、3万人近いフォロワーを抱える社員もいる。製品を愛用する社員自ら使用方法のポイント等を発信することで、より親しみやすいプロモーションが実現できるとみる。顧客の声を直接聞けるコミュニケーションツールにもなっている

化粧品ブランド「マナラ」の主要顧客層は40代以降の女性層。今後、インスタグラムなどSNSの活用を強化することで、20~30代の女性層など若年層へのアプローチも強化していく。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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スターバックス、ZARAのデジタル戦略などに学ぶWithコロナ時代を勝ち抜くための実店舗&モバイル戦略 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

5 years 11ヶ月 ago
モバイル活用、優れた店舗戦略を組み合わせれば、小売事業者は競争激しい市場で成功し続けることができます。スターバックス、ZARAのモバイル戦略を踏まえ、実店舗が成功するモバイル活用法を解説します

実店舗を持つ企業は、店舗でのカスタマーエクスペリエンス(CX)とデジタル上のカスタマーエクスペリエンスの統合を加速させています。そのカギを握るのがモバイルです。

アメリカでは消費者のeコマースシフトが4~6年早まった

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費者の購買パターンが劇的に変わる中、実店舗を持つ多くの企業は、収益向上のためにモバイルへの切り替えを検討しています。

アメリカの消費トレンドを調査したAdobe社のレポートによると、新型コロナウイルスの大流行によって、消費のeコマースシフトが4~6年早まったと推定されています。5月のオンライン購入の総額は、前年比77.0%増の825億ドルという驚異的な数字を記録しました。

モバイルの成長は、EC全体を上回る

eMarketer社の調査(2019年)を見ると、世の中の動向を追っている企業は、モバイルショッピングへ対応への移行を始めていたのがわかります。回答した消費者の50.0%以上が過去1か月以内にモバイルアプリを使って商品やサービスを購入したことがあることが判明。モバイルのコンバージョンがオンラインショッピング全体のコンバージョンよりも成長していることを示しています。

1か月以内に米国のスマホ/タブレットユーザーが起こした行動について eMarketer社の調査
1か月以内に米国のスマホ/タブレットユーザーが起こした行動について(eMarketerの「Smartphones Will Account for More than One-Third of Ecommerce Sales in 2019」より編集部が作成)

最近までオンラインよりも実店舗に重点を置いてきた小売事業者にとって、モバイルへのシフトは難題となることも。ただ、多くの事業者にとって、実店舗はブランドのDNAと魅力を表現する大事な存在です。一般的に、オンラインが消費者が店舗や商品に接触する最初の場所がモバイルになっているため、モバイルが実店舗とデジタルの強力な架け橋になり得る可能性があるからです。

物理的な体験とオンラインでの存在感を組み合わせることができる小売事業者は、Withコロナ時代を生き抜くための最高の武器を備えていると言えるでしょう。

アプリ、オムニチャネル、再エンゲージメントでコロナ危機を乗り越える

アプリEC市場は新型コロナウイルスに直面しても、概ね持ちこたえており、人々は自粛生活を送りながら、これまで以上にアプリを利用するようになりました。

しかし、eコマースアプリは新型コロナウイルス拡大初期の数週間、嵐をうまく乗り切ることができませんでした。アプリのマーケティングを行うAdjust社が発表したアプリのトレンドレポートによると、2020年3月までのeコマースアプリのインストール数は前週比12%減。企業が広告を控えたため、3月から4月にかけて有料インストール数は35%減少しました。

しかし、Adjust社の最新データによると、これらの数字が新型コロナウイルス以前の水準に近いところまで上昇しています。経済がより活発な活動に向けて準備を進める中、デジタル広告費が全体的に回復している証でしょう。また、新型コロナウイルス発生の初期段階に、業界に不安が蔓延する中でもマーケティング予算を安定的に確保していた企業の中には、インプレッションあたりのコスト減を成長の追い風にできた企業もありました。

特にアメリカでは、大規模小売事業者はオムニチャネルを活用することで、競合他社よりもうまく困難を乗り切ってきました。その回復力は、新しい環境への適応に苦労している中小企業とは対照的です。これらの大手小売企業は、モバイル技術を利用してコンバージョンを促進しながら、大規模な倉庫や店舗の利点を活用することで、今後の成功を確実なものにしています。

また、企業はユーザーの再エンゲージメントに焦点を当てることで、ビジネスを前進させています。Adjust社のデータでは、3月の最終週と7月の第1週を比較すると、お気に入りのECサイトに戻ってきた消費者は世界全体で27.5%の増加でした。広告が再開され、消費者の購買意欲も戻ってきた証拠でしょう。この数字は3月単体の再来訪率43%を下回っていますが、消費者が購買意欲を取り戻すために、リターゲティング広告が大きく寄与していると言えます

アナリティクスを使用して顧客との関わりを深める

データはデジタルが持つ最も大きなアドバンテージであり、データから得られるインサイトで、ビジネスの戦略全体を強化することができます。モバイルデータは今まで独立して取り扱われていましたが、現在ではモバイルが企業にとって消費者との最も近いタッチポイントであることが多くなってきています。アメリカの一般的な消費者は、毎日4時間モバイルデバイスを利用していますが、そのうち88%の時間がアプリに費やされています。この数字が、今後数年で急上昇することは間違いありません。

2018-2022年に米国人が1日にアプリとブラウザで費やした/費やすであろう平均時間の比較 eMarketer調査
2018-2022年に米国人が1日にアプリとブラウザで費やした/費やすであろう平均時間の比較(eMarketer「The Majority of Americans'Mobile Time Spent Takes Place in Apps」より編集部が作成)

パーソナライズされたコンテンツに対する消費者の需要は常に高まっており、消費者の関心を引くモバイル広告を作成するためにも、データは不可欠です。モバイル広告は、人口統計学的データや心理学的データ、以前の行動(閲覧したアイテムなど)に基づいて作成したり、消費者がマーケティングファネル内のどこにいるかに合わせてカスタマイズしたりすることができます。

また、ロックダウンと経済再開を経験し、消費者の行動は急速に進化しています。コンサルティング企業McKinsey社が行ったアメリカの消費者意識調査によると、新型コロナウイルス拡大期間中に61%のアメリカ人がオンラインで買い物をしたことがあり、その内の31%がオンラインショッピングを初めて利用しました。このような消費者は従来の買い物に慣れているため、継続的にエンゲージメントを促し、価値を示すことが非常に重要です。

産業別に見た、デジタルアクセス数に対するユーザーのデジタル活用度合いについて
産業別に見た、デジタルアクセス数に対するユーザーのデジタル活用度合いについて(McKinseyDigitalの「The COVID-19 recovery will be digital: A plan for the first 90 days」より編集部が作成)

どんなクリエイティブな商品やメッセージが消費者の心に最も響くかを分析することで、ブランドはキャンペーンをさらに改良していくことができます。

実店舗とデジタルの橋渡しに成功したブランドから学ぶ

モバイル施策を始めたばかりの小売事業者にとって、モバイルマーケティングは困難に見えるかもしれません。しかし、かつては実店舗中心だったブランドがデジタルへの移行を成功させ、今ではモバイルがこの2つの世界の架け橋となり、店舗での物理的なカスタマーエクスペリエンスとデジタル上のカスタマーエクスペリエンスの統合を加速させている例は数多くあります。

Starbucksは、新型コロナウイルス流行の中でも売り上げを急増させるため、「ピックアップのみ」の店舗開設を急ぐ一方で、ドライブスルー、道端でのピックアップ、デリバリーなどのサービスを提供するため、400店舗を再構築しています。

StarbucksのCEOケビン・ジョンソン氏と、ファイナンス担当のパトリック・グリスマー氏は次のように投資家たちに語りました。

この戦略は、新型コロナウイルスの結果として加速しました。モバイル注文の利便性の向上、非接触型のピックアップ、店内混雑の緩和など、急速に進化する消費者の嗜好と一致しており、これらすべてが自然とソーシャルディスタンスを可能にしています。(StarbucksのCEOケビン・ジョンソン氏と、ファイナンス担当のパトリック・グリスマー氏)

スペインのファッション大手ZARAも同様に、eコマース事業への投資を倍増させ、今後3年間でオンラインサービスに10億ドルを投入してデジタル販売を強化する予定です。1,200 店舗を閉鎖する計画と合わせて、ZARAは2022年までに全体の売り上げの25%をオンラインで生み出すことを目標としています。

ZARAの親会社であるInditexe社のCEOパブロ・イスラ氏は、声明の中で次のように述べています。

2022年までの最大の目標は、お客様がどこにいても、どんなデバイスを使っていても、どんな時間帯でも、スムーズなサービスが提供できる、完全に統合された店舗の実現を加速させることです。(Inditexe社のパブロ・イスラCEO)

◇   ◇   ◇

モバイルは消費者にリーチし理解するための方法を、従来の実店舗型の小売事業者に提供しています。また、最も個人的で普遍的なチャネルであるモバイルは、カスタマージャーニー、好み、閲覧に関する重要なデータを提供してくれます。モバイルの活用と、優れた店舗戦略と組み合わせることで、小売事業者は競争の激しい市場で成功し続けることができるのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
Digital Commerce 360

日本BS放送株式会社は、2020年9月1日付で下記のとおり組織変更・執行役員および局長の人事異動を行うことを発表した。

5 years 11ヶ月 ago
日本BS放送株式会社は、2020年9月1日付で下記のとおり組織変更・執行役員および局長の人事異動を行うことを発表した。【組織変更】(1)営業部門の強化を目的として「営業局」と「営業開発局」を「営業局」...

メルカリの国内流通総額は27%増の6259億円。新型コロナで「エンタメ・ホビー」の需要が増加【2020年6月期】

5 years 11ヶ月 ago

メルカリが発表した2020年6月期連結業績によると、国内流通総額は前期比27.7%増の6259億円だった。

MAU(マンスリーアクティブユーザー)は2019年6月期の1357万人から、2020年6月期は1745万人に増えた。

メルカリが発表した2020年6月期連結業績によると、国内流通総額は前期比27.7%増の6259億円
メルカリの国内流通総額(GMV)の推移

米国事業の流通総額は736億円(期中平均為替レート1ドル=108.16円で換算)で、合算すると6995億円。2019年6月期比で流通総額は31.8%増えた。

なお、連結の売上高は762億7500万円(前期比47.6%増)、営業損失が193億800万円(前期は121億4900万円の損失)、当期純損失は227億7200万円(前期は137億6400万円の損失)。

商品カテゴリー別の構成比を見ると、構成比に変化が見られる。2019年6月期は「レディース」が最も高い構成比だったが、2020年1-3月期(第3四半期)と2020年4-6月期(第4四半期)では「エンタメ・ホビー」がトップ。「レディース」は2番目となっている。

メルカリ国内流通総額の商品カテゴリー別の構成比
3Qと4QのGMVにおける商品カテゴリー別の構成比

メルカリは、新型コロナウイルス感染症拡大によるライフスタイルの変化で、カテゴリー構成がアウトドア向けからインドア向けにシフトしていると説明。「GMV(流通総額)のカテゴリー構成比がアウトドアからインドア向けに変化も、四半期後半にかけてレディースが復調傾向」(メルカリ)としている。

瀧川 正実
瀧川 正実

リアル店ならではのサービスを――アダストリアが店舗で全ブランドを試着予約できる新サービス「.st CONCEPT」開始

5 years 11ヶ月 ago

「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などのアパレルブランドを展開するアダストリアは、アプリ上で全ブランドの試着予約とプライベートフィッティングサービスを特定店舗で受けることができる「.st CONCEPT(ドットエスティコンセプト)」を開始する。

テスト展開として9月1日から、「GLOBAL WORK(グローバルワーク)イオンモール成田店」で開始し、順次全国に展開する。サービス開始に先駆け、公式専用アプリの配信を8月25日から開始した。

「.st CONCEPT」は、約20ブランドの商品をアプリ上で試着予約し、予約した対象店舗で試着や相談ができるフィッティングサービス。ブランドの垣根を越え、予約対象店舗でさまざまなブランドのアイテム試着などをできるようにするのが特長だ。

試着して気に入った商品はその場で購入することができ、スタッフによるスタイリングアドバイスを受けることができる。来店後にアプリからスタッフへ質問をすることも可能。

アダストリアは、アプリ上で全ブランドの試着予約とプライベートフィッティングサービスを特定店舗で受けることができる「.st CONCEPT(ドットエスティコンセプト)」を開始
コンセプトは「いろんなブランドのアイテムをアプリで選んで店舗で試着できる」(画像は「.st CONCEPT」のWebサイトからキャプチャ)

全国にリアル店舗を展開しているアダストリアだが、地域によって展開するブランドが限られている。一方で、「いろいろなブランドを楽しみたい」「試着をせずにECで買うのは不安」という地方在住客は一定層、存在する。アダストリアはリアル店舗の在り方を見直し、マルチブランドを生かしながらリアルな場で顧客とのコミュニケーションを図るサービスとして「.st CONCEPT」を開発した。

「.st CONCEPT」はリアル店舗の存在意義が問われる今だからこそ、リアル店舗ならではのサービスと、アダストリアの特長であるさまざまな顧客を主役としたマルチブランドを掛け合わせることで、都心だけではなく全国の顧客に寄り添ったコミュニケーションサービスの提供をめざす。(アダストリア)

アダストリアは当初、2020年2月期の重点施策として、オムニチャネルサービスの導入を予定。ECで購入した商品の店舗受け取り、Web上での試着予約などを予定していた。

しかし、ECサイト「.st(ドットエスティ」が2019年8月のリニューアルでシステムの不具合が発生。オムニチャネルサービスの導入時期の延期を余儀なくされた経緯がある。

アパレルで進むEC商品のフィッティングサービス

試着予約は、さまざまなアパレル企業がスタートしている。

シップスは2019年11月、自社ECで気になった商品をリアル店舗で試着できる「店舗取り置き・試着サービス」を開始。実店舗の在庫状況を確認できる機能は以前からあったが、試着予約機能を実装することで顧客の利便性を高めた。

AOKIは2020年7月、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取れる「店舗受け取りサービス」、店舗で取り置いて試着できる「取り置き予約サービス」の提供を、ビジネスカジュアルブランド「ORIHICA(オリヒカ)」の全店舗に導入した。

石居 岳
石居 岳

物流ロボットが働く次世代物流センターの中はどんな様子? 省人化や生産性向上を実現する「Xフロンティア」【現場レポート】 | 物流女子の旅

5 years 11ヶ月 ago
SGHDの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」では、自動棚搬送ロボット「EVE」や無人搬送ロボット「OTTO」、自動梱包機など最新技術が稼働。一般的に必要とされる人員の半分で物流業務を行っています【物流女子の旅:連載3回目】

SGホールディングス(SGHD)の次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」5階にある中小EC事業者向け「シームレスECプラットフォーム」(SGHD傘下の佐川グローバルロジスティクスが運営、SGL)では、AI搭載の自動棚搬送ロボット「EVE」、無人搬送ロボット「OTTO」、商品サイズに合わせた箱を自動作成して梱包する自動梱包機など、最先端テクノロジーが稼働しています。

約2万1156平方メートル(約6400坪)という広大なフロアで稼働するスタッフは、通常100人以上必要なところわずか約50人。省人化や生産性向上を実現している「シームレスECプラットフォーム」を見学してきました。

ピッキングエリアまで商品棚を運ぶロボット「EVE」

倉庫内で広いスペースを占めているのが自動棚搬送ロボット「EVE」の稼働エリアです。「シームレスECプラットフォーム」では、「EVE」本体を46台、専用の棚を1328棚導入し、最大70万点の商品を保管。出荷頻度が比較的高い商品のピッキングに使用しています。

自動棚搬送ロボットEVE Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
自動棚搬送ロボット「EVE」(撮影:藤田遥)
自動棚搬送ロボットEVE QRコード Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
「EVE」が移動時に読み取っているQRコード。床に一定間隔で貼ってあります(撮影:藤田遥)

スタッフの経験値が問われず、ミスの防止にも

「EVE」は床に貼り付けたバーコードを本体下部にあるセンサーで読み取り、導線に沿って移動する仕組み。センター内での主な役目は、商品が入った棚を「ステーション」と呼ばれるピッキング作業場まで運ぶこと。

「EVE」が稼働しているようす

「EVE」がステーションに到着すると、スタッフは商品のピッキング作業を行います。その際、ステーション内のモニターにどれが対象商品か表示されるので、スタッフはその指示に従って棚から商品をピッキング。それらの商品に貼り付けられているバーコードを専用機械で読み取り、カゴに入れていきます。

自動棚搬送ロボットEVE ステーション Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
スタッフが商品のピッキングと、カゴへの移し替えを行う「ステーション」。カゴ下のランプが点灯するため、スタッフはどのカゴに商品を入れたら良いか一目で分かる(画像はSGL提供資料より編集部がキャプチャ)

カゴを収納する棚にはランプが付いており、スタッフが一目でどのカゴにピッキングした商品を入れればいいのかがわかるようになっています。

こうした自動化によるメリットを、SGLの堀尾大樹氏(EC Logi Tokyo 所長)は次のように言います。

商品棚やカゴの位置をモニターやランプで表示することで、作業に慣れていないスタッフでも一定の品質で作業ができますし、商品の取り間違いや入れ間違いなどのヒューマンエラーも防止できます。(堀尾氏)

自動棚搬送ロボットEVE 案内モニター ミス防止 Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
ステーション内のモニター。ピッキング対象商品の位置を表示する(撮影:藤田遥)

「EVE」でスタッフの移動時間を大幅に減し業務を効率化

堀尾所長によると、倉庫内作業の中で最も時間が割かれているのは、「倉庫内を人が移動する時間」。「EVE」の使用で、商品をピッキングするために倉庫内を歩き回る時間やスタッフの人数を削減でき、効率化・省人化につなげています。通常のオペレーションと比べて処理数は3~4倍になるとのことです。

ピッキングした荷物の運搬は「OTTO」にお任せ

ピッキングした商品は検品のために別エリアに運ぶ必要があります。そのときに活躍するのが自動搬送ロボット「OTTO」で、14台導入しています。

自動搬送ロボットOTTO Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
自動搬送ロボット「OTTO」(撮影:藤田遥)

エリア間の移動を効率化

商品の入ったカゴを専用の台車にセットし、ステーション内にある専用パネルで「OTTO」を呼ぶと、ステーションまで台車を取りに来てくれます。

台車を所定の位置に置いておくと「OTTO」が台車の下でスタンバイ。「OTTO」が来たことを確認し、パネルで指示を出すと検品作業エリアまで運びます。

「OTTO」が稼働しているようす

「OTTO」の最大走行速度は2.0m/s、平均走行速度は1.5m/s。約150mのエリア間搬送を行うため、人力より搬送能力が向上します。

周囲に注意を促しつつ、自動でルートを決めて移動

「EVE」は導線に沿って移動をしますが、「OTTO」は導線がなくても移動できます。「OTTO」内に組み込んだ倉庫マップや走行距離などから自動でルートを判断し、走行するのです。

障害物などへの衝突を回避する機能が備わっており、走行ルート上に閉まっているシャッターなどがあれば、それを避けて別ルートで走行します。荷物の搬送時も、照明と音を発することで周囲の作業スタッフに注意喚起を行うなど、安全性を考慮した設計になっています。

商品サイズを自動で判断! 自動梱包機

検品作業後の梱包は、イタリア製の自動梱包機を使用します。自動梱包機は商品の3辺を自動で計測。サイズに合わせた段ボールを自動で作成・梱包。1時間で800ケースも作成できるそうです。

自動梱包機稼働のようす

サイズに合わせて適切なサイズの箱を作るため、緩衝材が不要になるそうです。緩衝材が削減されれば、環境問題への配慮や、商品を受け取った人が緩衝材を処分する手間の軽減にもつながります

また、4種類までと数は限られていますが、納品書やチラシなども自動で投入できます。その他、配送伝票のバーコードを読み込むことで企業を判断し、外装に企業ロゴや文字などの印字も可能。

自動梱包機 梱包後 Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
自動梱包機によって梱包された内部。少し隙間を持たせているのは、商品がぶつかってしまった際の衝撃が直接商品に伝わらないようにするため(撮影:藤田遥)

全てロボットに頼らず、あえて“マンパワーによる余力”を残す

商品棚やエリア間の配送、梱包までロボットで行っていますが、あえて人の手で行う場所も確保しています。

「EVE」稼働エリア外に、人の手で商品をピッキングする商品の保管エリアを設置しています。季節要因などで、急に商品数が増えたときに備えて保管場所に余裕を持たせるためです。

壊れ物などの緩衝材が必要な商品などに対しては、人手による作業場を設けています。またそれぞれの作業場所にはトラブル予防のためのカメラを設置。商品が入っていないなどのクレームが来た場合、撮影映像から検証を行います

梱包所 手動 Xフロンティア ECプラットフォーム SGL
手作業で梱包するエリア。専用の台を設けています(撮影:藤田遥)

今後は自動倉庫「AUTOSTORE」も導入予定

2021年3月ごろには、「AUTOSTORE」を導入予定です。

「AUTOSTORE」とは、格子状に組まれた「グリッド」と呼ばれる支柱内に商品の入った専用のコンテナを収納し、その上を縦横無尽に動くロボットがコンテナをピッキングしてスタッフがいるワークスペースに運ぶシステムを導入した自動倉庫のこと。

自動倉庫AUTOSTORE Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
2021年3月ごろ導入予定の「AUTOSTORE」イメージ図(画像はSGL提供資料より編集部がキャプチャ)

通常の棚はある程度高さが決まっているため、商品の保管数が制限されます。しかし「AUTOSTORE」は床から天井近くまで商品を収められるなど、高い収納力が特長です。

保管効率が良いので、比較的保管期間の長い商品や出荷頻度が低い商品に使用予定です。

◇◇◇

最先端のテクノロジーが導入された「シームレスECプラットフォーム」はまさに圧巻。技術の進歩によって、人手不足など物流の課題解決や資材削減による環境問題への配慮、作業効率化で商品の受注から発送までのリードタイムを短縮するなど、さまざまな面に恩恵をもたらす仕組みになっていることを感じました。

藤田遥
公文 紫都
藤田遥, 公文 紫都

リピート客やファンを生む「良いお買い物体験」とは? SHOPLIST、ビタブリッド、サイクルスポットの責任者が鼎談【前編】

5 years 11ヶ月 ago
「良いお買い物体験」とは? 「SHOPLIST.com by CROOZ」のCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」のビタブリッドジャパンの3社の責任者による鼎談【前編】
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ECサイトでの「顧客体験」「カスタマーエクスペリエンス」が継続客の創出、つまりリピート客や顧客のファン化につながると言われる昨今。小売・EC企業はどんなことに取り組めばいいのか? そもそも、「良いお買い物体験」とは何なのか? 今回、そんな解を求めて、ファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営するCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンの3社の責任者による鼎談が実現。コロナ禍の状況の中、リモートでの開催となった本鼎談、小売・EC企業に求められる「良いお買い物体験」について語り合ってもらった(この企画は「Amazon Pay」によるスポンサードの下、鼎談が実現しました)。

CROOZ SHOPLISTから鼎談に参加したのは開発部の稲垣剛之氏。2011年7月にクルーズへ中途採用で入社。「CROOZblog」のメインエンジニア、ディレクターを経験し、「SHOPLIST.com by CROOZ」オープン直後から開発面の責任者を担当している。

CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
CROOZ SHOPLISTはファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」の企画・運営会社。サービス開始後8年目となる2020年3月期における「SHOPLIST」事業の売上高は約245億円

サイクルスポットは関東圏に実店舗を108店展開。近年ECに力を入れている。参加した販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏は、前職ではアメリカンスポーツの輸入販売を手がけるセレクションインターナショナルに従事。クリエイターからマーケターへ、そしてシステムの開発なども手がける。EC強化を進めるサイクルスポットへは2019年にEC責任者として入社した。

サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
関東で100店舗以上を展開するサイクルスポットのEC責任者

スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパン。執行役員 西守穣氏は創業メンバーの1人で、主にフルフィルメントなどを管掌する。単品通販のEC専業企業として2014年に設立。2020年2月期のEC売上高は前期比31.0%増の85億3700万円と急成長している。

ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンは2014年に設立。2020年2月期のEC売上高は前期比31.0%増の85億3700万円

取り扱う商品、ビジネスモデルも三者三様の3者による鼎談から、小売・EC企業に求められる「良いお買い物体験」の解を探っていく。

稲垣剛之氏(以下、稲垣):「SHOPLIST.com by CROOZ」はレディースからメンズ・キッズに至るまで10~40代をターゲットにさまざまなファッションブランドを購入できる通販サイト。現在950ブランド超を扱っています。ビジネスモデルはファッションブランドから商品を仕入れて、集客から決済、カスタマーサポート、物流業務を当社が担う直販モデルを採用しています。私はECサイトのプロダクト開発を担う部署を管掌しています。

小林礼武氏(以下、小林):「サイクルスポット」は関東圏に実店舗を108店展開している自転車屋が運営するECサイトで、私はその責任者をしています。他のECサイトとは大きく異なり、店頭受け取りが9割以上を占めるようなECビジネスを展開しており、個人宅に“発送しない”ケースが圧倒的に多いんです。

西守穣氏(以下、西守):スキンケア製品「ビタブリッドC」を中心に、単品通販というビジネスモデルで化粧品・サプリメントのECを展開しています。自社ECサイトで販売する割合は99.9%。一般的な総合ECモールでの売り上げはほぼゼロに等しい状況です。ビタブリッドジャパンのビジネスは単品通販なのでリピート購入が前提。ECサイトは回遊するような設計にはなっていないため、リピート顧客は「マイページ」で継続購入するユーザーがほぼ9割。私はシステムから物流フルフィルメント、お客さまセンター、CRMを管掌しています。

「良いお買い物」体験とは何ですか?

ECサイトにおけるお買い物の時短ニーズの増加、スマホシフト、ECと実店舗の買い物の横断など消費者のニーズが多様化している中、リピート購入やファン化につながる「良いお買い物体験」とはどんなことを指すのか? ECビジネスの責任者として考える「良いお買い物体験」とは――。

CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏 サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏 ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
鼎談はオンラインで実施した

小林:「良いお買い物体験」をめざす方向として“感動体験”の提供があげられますが、それは「違う」と思っていますストレスフリーなお買い物の提供が、「良いお買い物体験」の実現をめざす時にやるべき最初のステップなのではないかと考えているんです。ただ、ストレスフリーなお買い物体験というワードが指す範囲は広い。「納得できる価格」「商品が探しにくくない」「自分で支払いたい手段で決済できた」「問い合わせしたらすぐに返答があった」――などなど、僕はお客さまがまったく嫌な思いをせずに商品を購入できるようにすることが、「良いお買い物体験」を実現するためのやるべき第1フェーズだと考えています

そして、第2フェーズの中にファン化ということが入ってくる。ファン化を促進するための取り組みとして、「同梱物の梱包」「お客さまに喜ばれるカスタマーチームの構築」などがあげられるでしょう。サイクルスポットは今、第1フェーズに取り組んでいる途中。「良いお買い物体験」を提供するための基礎、つまりストレスフリーなお買い物環境をまずは構築し、お客さまにストレスなくお買い物いただける環境を用意すること。それが「良いお買い物体験」を提供するためのベースになると思っているんです。

僕の私見ですが、お買い物体験に感動して商品を継続して購入するユーザーは1割も満たない9割以上のお客さまは、ストレスフリーな“普通の買い物”ができることを望んでいると思っているんです。その仮説に基づき、いまは土台作りを進めています。

小林氏が責任者を務めるサイクルスポットのECサイト
小林氏が責任者を務めるサイクルスポットのECサイト

稲垣:「SHOPLIST.com by CROOZ」が最初に力を入れたのは「商品力」「アイテム数」。お客さまがECサイトに訪問した際に、求めていた商品がなければそこで離脱してしまいます。感動体験も重要ですが、なによりも重要なのは、お客さまは「商品を買いに来ている」ので、商品ラインナップをまずは拡充すること。その課題を解決するにはどうすればいいか。「SHOPLIST.com by CROOZ」はたくさんのブランドに出店していただき、しっかり在庫を確保していくことに注力しました。第1フェーズとしてしっかりやらなければならないことでしたね。

第2フェーズは配送です。注文後、数時間後に手元に届くのが理想ではありますが、お客さまがほしいと思った時に適切なタイミングで商品を届けることが重要だと考えています。たとえば、注文から3日以内にはお手元に商品が届くような状態にするなど、お客さまのもとへ商品が届くまでの配送日数を社内でも重要指標として置いています

ストレスフリーという観点で言えば、ECサイトもアプリも利用者の方、全員が「使いやすい」と思う設計にするのは難しいと考えていますので、「使いやすい」ではなく、「ストレスがない」「使いにくくない」という点に重点を置いています。ECサイトが重くてお買い物に時間がかかることは致命傷ですし、アプリで言えば“落ちない”というのが「良いお買い物体験」の基盤として重要になります。

こうしたことに力を入れていった上で、ECの課題としてあげられている「商品の実物に触れることができない」を解決するための商品情報提供(クチコミやコーディネート情報など)、サイト内検索、レコメンド、決済などの充実が「良いお買い物体験」につながるのではないかなと思っています

稲垣氏が開発を担当している「SHOPLIST.com by CROOZ」
稲垣氏が開発を担当している「SHOPLIST.com by CROOZ」

西守:小林さん、稲垣さんがおっしゃっていることと、ビタブリッドジャパンが考えている根っこは一緒です。ただし、単品通販のモデルは基本的にサイトの使い勝手それ自体は「良いお買い物体験」に直接はつながっていないな、と感じています「良いお買い物体験」は“商品の良さ”が前提だと思います。単品通販の定期購入モデルでは、お客さまと長くお付き合いした結果であるLTV(顧客生涯価値)を最重要視していますが、残念ながらお客さまとの接点が失われる理由の99%が「解約」によるものです。では、なぜ解約するのか? WebサイトやCRM、顧客対応、梱包などがどんなに素晴らしくても、商品が良くなければ継続いただけません。効果を実感できなければ継続していただけません。「良いお買い物体験」と「商品の良さ」は切っても切り離せない関係だと思っています。逆を言えば、当社が成長できているのも「商品が良い」と思ってくださる方が、解約される方を上回っているからだと思います。

一般的な話として、私個人で「良いお買い物体験」って何だろうと考えましたが、2つの方向性があるのではないかと思いました。1つ目が、「買いやすい価格」「検索したときにほしい商品が上位に出る」「使っている決済手段がある」などのストレスなくお買い物できる環境を作ること。2つ目が、バルミューダ、バーミキュラなどに代表される、コアなファンが定着するような突き抜けた商品力を追求する方向性です。

どちらの方向性も「良いお買い物体験」を提供できることは間違いないです。ただ、バルミューダ、バーミキュラのような尖った商品を企画・開発することはなかなか難しい。ビタブリッドジャパンはストレスフリーで「良いお買い物体験」を実現していく方が現実的と思っています

また、売り上げが伸びると顧客数が増加、マイページへのログインリクエストが増えてECサイトのスピードが遅くなる時期がありました。私は、サイトのスピードが遅くなるのは、野球で言えば簡単なフライを取れないような、絶対にやってはいけないミスと同じことだと思っています

西守氏が執行役員を務めるビタブリッドジャパンのECサイト
西守氏が執行役員を務めるビタブリッドジャパンのECサイト

小林:いろんな業種によって、必要なファクターは異なるでしょう。共通しているのはファクターとなる基礎をいかに作っていくか。これが重要になると思いますね。

西守:商品という切り口で気になるのが「ライブコマース」。皆さんはどう思いますか? 「ライブコマース」は私たちが普段提供しているものと違う世界観があると感じていまして、中国では成長チャネルと言われていますが、日本ではあまり浸透していない。お買い物をエンターテイメントにしている新しい「良いお買い物体験」とは言われているものの、私はまだ着手する気持ちになれていないんです。

小林:個人的な意見ですが、日本人は衝動的に商品を買わない傾向が強いと感じています。また、「ライブコマース」に適したジャンル、適さないジャンルがはっきりわかれているのではないでしょうか

稲垣:プロモーション手法としては良いと思います。ただ、商品の魅力をきちんと伝えられるテレビショッピングのようなコンテンツ配信ができれば、継続的にお買い物をするサイクルができあがるのではないでしょうか。現在のところ、ライブコマースは瞬間的にユーザーを集めて購入してもらうといった手法になっているため、継続的な購入につながるかが疑問です。ですが、ブランドから商品を仕入れ、販売するというビジネスモデルのSHOPLISTでも、「ライブコマース」を利用し商品の魅力を伝えることは可能であると考えます。さらに、PB(プライベートブランド)のような、オリジナル商品であればその商品の製造から完成に至るまでの、より細部の魅力もお客さまに伝えることが可能になると思います

西守:新しい「良いお買い物体験」として位置付けられるほど成熟した販売手法として成り立っていないというイメージですよね、残念ながら今のところ。

「良いお買い物体験」を提供するために実践してきたこと

買い物カゴの改善、決済の拡充など、ECサイトを運営している企業は「良いお買い物体験」を提供するため、さまざまな改善に取り組んでいる。CROOZ SHOPLIST、サイクルスポット、ビタブリッドジャパンはどのようなことに注力してきたのか――。

小林:サイクルスポットは仕入れ商品を販売していますが、その取扱商品の質は間違いなく良い。事業規模は小さくないので価格競争には負けない体力があります。ただ、競合の大手流通傘下の自転車販売店などとの競争は避けられない部分がありますので、物流がカギを握っていると考えています。つまり、納期のスピード化が目先の改善点です。「SHOPLIST.com by CROOZ」さんでは注文から3日以内に商品を届けるとお話をしていましたが、自転車のリードタイムは約2週間。お客さまからのお問い合わせも「いつ手に入りますか?」というものが50%以上なんです。

ほかにも改善点はあります。UI(ユーザーインターフェイス)やサーバーも僕が着任するまでボロボロでした。顧客データの活用もそうですね。年間10万人のお客さまが店舗を利用していますが、その大半のデータを紙で管理している状態。これまで顧客DBをネットに活用したことがないんです。それをオンライン、オフラインでのマーケティングに生かしていかないといけないですね。

サイクルスポットでは在庫がある場合でも、商品の配送に10日前後を要している
サイクルスポットでは在庫がある場合でも、商品の配送に10日前後を要している

西守:ビタブリッドジャパンはまず商品ですね。サプリ商材で言えば、消費者への浸透度が高まってきている機能性表示食品への対応は喫緊の課題です。認証を取得しなければ勝負の土俵にあがれません。商品力を磨き、他社よりも優れているモノを提供できるようにすることが大きな課題です。

次にあげるのはマイページの改善です。最もアクセス数が多い「マイページ」の使いやすさは最重要事項なので、サイトスピードを含め日々改善を進めています。単品通販のビジネスモデルでは、LP(ランディングページ)を除くと「マイページ」が最もアクセスされるページなんです。むしろ、最初の1回以外、回遊してくれない方がほどんど! だからこそ、「マイページ」の使い勝手やクロスセル提案力を改善していくことが特に重要なのです。

また、改善というつながりで、エントリーフォームの最適化(EFO)の話を。EFOは、「良いお買い物体験」というよりも、「良いコンバージョン体験」のために日々の改善は避けられないところ。私は「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と捉えています。そのため、頻繁に他社のEFOはチェックするようにしています。まだ表には出せていませんが、新しい仕組みもいろいろと仕込んでいます。

「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と考えるビタブリッドジャパン。いかに効率的にお買い物できるか――という観点で、EFOに取り組んでいる
「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と考えるビタブリッドジャパン。いかに効率的にお買い物できるか――という観点で、EFOに取り組んでいる

ビタブリッドジャパンのビジネスモデルは単品通販の定期購入ですので、お客さまから「外箱の大きさに対して商品が小さいのでもっと箱を小さくしてほしい」「段ボールなどはゴミになるのでどうにかしてほしい」といったクレームが届きます。こうした要望にお応えするのも「良いお買い物体験」につながるところですね。

稲垣:商品の品ぞろえなどECビジネスを展開する上で当たり前のところに加え、「サイト内検索の精度」「レコメンド」「アイテム情報の提供」の3点は重点的に取り組んでいかなければならないポイントです。

「SHOPLIST.com by CROOZ」は80万点超の商品を扱っているので、消費者が探した商品をピンポイントで提案できるようにするサイト内検索の精度向上はとても重要になります。また、目的買いではなく、“なんとなく商品を探している”お客さまに対しては、膨大な商品点数の中から興味・関心の高そうな商品を提案し回遊性を高めるレコメンドの重要度も増しています。

また、「SHOPLIST.com by CROOZ」で扱っている商品は、他のファッションECサイトでも販売されているケースが多い。そのためには、「SHOPLIST.com by CROOZ」へ訪問、そして購入する意味を提供していかなければなりません。そのため、その商品がどんなモノなのか、どんな価値があるのかという情報提供はとても重要になってきます。一般的にファッションECで購入につながらないネガティブ要因は商品を手に取ることができないことです。サイズ、コーディネートなどの情報をしっかりと提供することにより、お客さまの不安を解消したいと思っています。

アパレルでは、週の着用回数が顧客満足度に直結します。「サイト内検索の精度」「レコメンド」「アイテム情報の提供」は強化しなければならないところ。リアルのお買い物体験にどれだけ近づけることができるか――テクノロジー、利便性の高い決済手段の拡充などがカギになってきます。

「SHOPLIST.com by CROOZ」では、人工知能(AI)技術を活用した画像解析レコメンド機能を導入している
「SHOPLIST.com by CROOZ」では、人工知能(AI)技術を活用した画像解析レコメンド機能を導入している
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今回の記事では「良いお買い物体験」に必要なことなどについて鼎談しました。後編は9月2日(水)公開予定です。次回もお楽しみに。

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瀧川 正実
瀧川 正実

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