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資生堂が「ライブコマース」「Webカウンセリング」でオンライン接客を本格スタートする理由

5 years 4ヶ月 ago

資生堂は7月22日から、国内でライブコマースを開始する。

世界88の国と地域で展開している「SHISEIDO」を、ビューティーコンサルタント(BC)が化粧品や美容法を紹介するライブ映像を配信。消費者がリアルタイムでBCとコミュニケーションしながら商品を購入できるライブコマースを行う。

第1弾として、三越伊勢丹ホールディングスの化粧品オンラインストア「meeco」で展開。併せてオンラインWEBカウンセリングも実施する。

ライブコマースのイメージ

「meeco」での展開は、「オフライン」と「オンライン」の強みを融合させたオムニチャネルモデルを取引先各社と協働で構築する目的。新型コロナウイルス感染症拡大で増えている「非接触型」購買ニーズを、取引先各社と開拓していく。

BCがリアルタイム映像で化粧品の特長や使用法を紹介し、それを見た消費者はチャットでBCに質問するなど双方向のコミュニケーションを行い、「meeco」で購入できるようにする。7月22日の初回は、マスク着用による肌荒れや、夏にひんやりと気持ちよく美肌に導くスキンケアを紹介する。

「SHISEIDO」は中国市場でBCが出演するライブコマースを推進しており、中国におけるブランドECの売り上げは好調に推移している。これを受け、国内でのライブコマースを本格展開することにした。その第1弾として、「SHISEIDO」ブランドの国内初となるライブコマースを実施。オンラインWEBカウンセリングも「meeco」で開始する。

今後、資生堂全体でオフラインとオンラインを融合させたBCの顧客応対を行っていく方針で、ライブコマース、オンラインWEBカウンセリングの対応プラットフォーム、ブランドを拡大していくという。

資生堂は5月、新型コロナウイルスが経済に与える影響と、想定される経営シナリオを公表。ワーストシナリオとして、経済回復は2~3年後の2023年までかかると見ている。

資生堂が想定する、新型コロナウイルスが経済に与える影響と経営シナリオ
COVID-19が経済に与える影響と想定される経営環境シナリオ(画像は資生堂の決算説明会資料からキャプチャ)

ワーストシナリオを見据えて、中長期の新ビジョン・戦略を再構築。構造改革を通じて、デジタルを駆使した事業モデルへのシフトなどを含む2023年以降の新ビジョンの実現をめざす。

デジタルを駆使した事業モデルへのシフトは、オムニチャネルやD2C、ビューティーテックなどの事業を強化するとしている。

資生堂が想定する、新型コロナウイルスが経済に与える影響と経営シナリオ
ワーストシナリオへの対応を機会として捉え抜本的な構造改革を実行する(画像は資生堂の決算説明会資料からキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

Gunosy(グノシー)がネット通販事業に本格参入、ECを新たな収益の柱へ

5 years 4ヶ月 ago

情報キュレーションアプリ「グノシー」のGunosyがネット通販事業に参入する。

「グノシー」の「クーポンタブ」を切り出して展開しているクーポンアプリ「オトクル」内で、日用品ECのテスト販売を始めた。

また、8月28日開催予定の定時株主総会で、定款の第2条に「インターネットを利用した各種商品の販売及びEC(電子商取引)サイトの開設並びに運営」を加えることを付議。ECの本格展開に備えての準備を進めている。

Gunosy(グノシー)がネット通販事業に本格参入 定款の変更案
定款の変更案(画像はIRニュースからキャプチャ)

クーポンを中心に、抽選プレゼント、ポイント、お得な買い物情報などのコンテンツを配信している「オトクル」は、広告収益を中心とした「グノシー」に次ぐ第2の収益の柱を創造するための新規領域事業の1つ。

Gunosy、は新型コロナウイルスの影響によって広告主の予算不透明化、広告市場を含めた景気の長期低迷リスクが顕在化していると説明。「グノシー」を中心とした既存領域は収益性向上に注力し、新規領域への積極投資に方針転換した。

「広告収益によるマネタイズを検証中。ユーザーロイヤリティが高く、既存メディアと比べても投資対効果は良好」(Gunosy)という「オトクル」。今後はEC領域への投資を強化し、新たな収益の柱となる事業をめざすとしている。

Gunosy(グノシー)がネット通販事業に本格参入、ECを新たな収益の柱へ
「オトクル」のKPI状況(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

「オトクル」内にECコンテンツを追加。ECサービス「とくまろ商店」として、日用品を数量限定でお買い得価格にて販売するテストマーケティングを始めている。

Gunosy(グノシー)がネット通販事業に本格参入、ECを新たな収益の柱へ 「オトクル」と「とくまろ商店」
ECサービスについて(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

 

瀧川 正実
瀧川 正実

商品リッチリザルトの構造化データをカテゴリページにマークアップしてはいけない、Googleがガイドラインをより明確に

5 years 4ヶ月 ago
商品リッチリザルトの構造化データは、単一の商品ページだけにマークアップし、複数の商品を並べた一覧ページやカテゴリページにはマークアップしないようにすることを Google はガイドラインで今までよりも明確化した。
Kenichi Suzuki

SEOの知識にクイズで挑戦! あなたは正解できる? robots.txt初級+中級【海外&国内SEO情報ウォッチ】

5 years 4ヶ月 ago
Web担当者Forum の連載コーナー「海外&国内SEO情報ウォッチ」を更新。知っておいて損はない(でもちょっとマニアック)SEO の知識にクイズで挑戦! あなたは仕様を理解して robots.txt を書き、Googlebot をちゃんとコントロールできるか!?
Kenichi Suzuki

伊藤園が新ECサイト「CHAGOCORO」をスタート、目的は「生産者と消費者をつなぐ」

5 years 5ヶ月 ago

伊藤園は7月17日、お茶の生産者と消費者をつなぎ、リーフ茶の消費・認知拡大をめざす新しい通販ページを立ち上げる。

農林水産省が展開する「令和2年度 国産農林水産物等販売促進緊急対策事業 品目横断的販売促進緊急対策事業におけるインターネット販売推進事業」に参画し、運営するもの。

日本では近年、生産者の高齢化等を背景に、茶農家や茶栽培面積などの減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大が直撃。こうした生産者を支援するため、在庫滞留や売上減少などが顕著な食材の販売促進支援を目的とした、農水指定の対象品目の送料を補助する事業に参画。自社で運営するサイト「CHAGOCORO(チャゴコロ)」内に、新しく通販ページを立ち上げる。

「HAGOCORO」は、お茶を通じた出会いと文化を発信するコミュニティーメディア。茶農家やカフェ・レストランオーナー、アーティストといった人たちの、「お茶との関わり」「お茶へのこだわり」などを紹介するコラム、作家・吉本ばななさんの「お茶との想い出」をテーマとしたエッセーの連載などを展開。10~30代における、お茶への関心拡大を目的としている。

通販ページでは、農水省支援事業の対象品目である“お茶”の生産者の人たちが作った国産リーフ茶を、伊藤園が送料を負担して販売。7月下旬からは、茶器なども購入できるようにする。今秋までに購入者限定サービスとして、「CHAGOCORO」登場者と購入者をオンラインでつなぎ、直接コミュニケーションできる場の提供も計画している。

伊藤園は7月17日、お茶の生産者と消費者をつなぎ、リーフ茶の消費・認知拡大をめざす新しい通販ページを立ち上げる
販売する商品のイメージ

伊藤園はこの取り組みを通じて、“生産者-事業者-消費者間の双方向のつながり”を生み出し、“お茶をいれる”市場拡大につなげていく。

伊藤園は公式ECサイト「健康体」を2004年に開設。「健康体」は自然のおいしさにこだわった、限られた数量しか生産できないオリジナル製品などを取り扱っている。

石居 岳
石居 岳

大塚家具がサブスクリプションEC、「airRoom」通じて家具を定額レンタル

5 years 5ヶ月 ago

大塚家具が家具・インテリアのサブスクリプションサービスを始めた。

家具・インテリアのサブスクリプションサービスを運営する「airRoom」とElalyと提携。「airRoom」を通じて大塚家具の家具・インテリアのレンタル販売をスタートした。

大具家具がElalyに商品を供給。Elalyが月額制で大塚家具の家具を利用者にレンタルする。ソファ、ダイニングセット、テレビボードベッドなど約70種類からレンタルを開始し、ニーズに合わせ商品を追加する。月額料金は数千円台で、商品ごとに異なる。

「airRoom」は、人気家具ブランドの商品を月額定額で利用できる家具・インテリアのサブスクリプションサービス。

単身赴任者、若年層といった短期間のみ使える家具が必要というニーズがある。「家具をそろえたいが、仮住まいなので高価なものは手を出しづらい」「質の良い家具を使ってみたいが、まだ早いかなと思ってしまう」といったユーザーに、経済的な負担を抑え、品質の高い家具を定額料金で利用できるようにする。

大塚家具のEC売上高は2020年4月期で4億9500万円(16か月の変則決算)。前の期と比較可能な2019年1~12月期(第4四半期累計)におけるEC売上高は、前年同期比7.8%減の3億6600万円。減収要因としてシステム更新の遅れをあげている。

大塚家具のEC売上高は2020年4月期で4億9500万円(16か月の変則決算)
大塚家具のEC売上高推移(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

大塚家具はECの集客チャネルとしてバーチャルショールームを開設したほか、自社ECサイトの利便性改善などを通じてEC事業の強化を図っている。

瀧川 正実
瀧川 正実

2020/5広告業売上、全体では前年同月比30.9%減、マス4媒体は同27.8%減、ネット広告は同18.5%減

5 years 5ヶ月 ago
2020/7/16の経済産業省の特定サービス産業動態統計調査から。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html

全体では前年同月比で30.9%減。統計の確認できる1989年1月以降で最悪の記録となった先月をさらに更新。

テレビは27.3%減、新聞は29.0%、雑誌は41.5%減。インターネット広告は18.5%減。屋外広告は9.1%減。交通広告は32.3%減。折込・ダイレクトメールは63.2%減。

インターネット広告は二けたのマイナスに。マス4媒体は8カ月連続ですべてマイナスと、2019年10月の消費増税以降の不調が続いている。雑誌のマイナスは61カ月連続、折込み・ダイレクトメールは42カ月連続マイナスといった状況。

また、すべての分類でマイナスとなった先月は、2009年9月以来の出来事だったが、それが2カ月連続となった。


noreply@blogger.com (hiromi ibukuro g)

LINEですぐにオンライン接客+簡易ECを開始できるメーカー向け「ECサイト要らずD2C」スキーム、空色が提供へ

5 years 5ヶ月 ago

ECサイトを作らずに、LINEを通じてD2Cをすぐに始めることができるメーカー向けの新サービスを、オンライン接客ツールの空色が提供する。現在、大手メーカーとともに実現に向けた準備を進めている。主に新型コロナで影響を受け、ECでの新規販路開拓をめざすメーカーなどが対象。「ECサイト要らずD2C」と言えるそのスキームの概要とは? 空色の中嶋洋巳代表自ら、ネットショップ担当者フォーラム編集部に語った。

LINEアカウントがあればすぐにD2Cを開始できる

空色が新たに提案するスキームは、LINEアカウントがあれば、空色のオンライン接客ツールと組み合わせることで、D2Cをスタートできるというもの。ECサイトを開設しなくても、ECが担う商品情報の提示やレコメンド、また決済を、LINEを利用したオンライン接客の中でまかなう。

そのため、ECサイト開設に必要な初期投資がかからない。決済方法はクレジットカード決済、もしくは代引き決済で対応するため、ECサイトをスタートするために必要となる様々な手続きや準備などを省くことができる。

この仕組みはLINEアカウントのリッチメニューと、空色のオンライン接客ツールを組み合わせて実現する。

中嶋氏は、新サービスのポイントとして、以下の4つをあげる。

1. LINEアカウントを作る(または既存アカウントを利用)

新規、または既存のLINEアカウントを利用する。流通会社を通じて間接的に顧客と向き合うメーカーにおいても、店頭販売に注力しているスタッフを抱えているケースは多い。そういった販売スタッフの知見を生かし、LINE上で顧客の悩みや商品に関する相談を受け付け、販売につなげる

顧客情報はLINEのチャット内で確認。クレジットカード払いや代引きサービスを提供する決済会社と組み合わせることで決済を行い、既存の物流を通じて配送する。商品購入後のアフターフォローもチャットで行うことで、顧客との継続的な関係を構築する。

LINEを利用したオンライン接客イメージ(画像:空色提供)

2. 空色のオンライン接客ツールと連携(AIを活用した一部応対の自動化)

LINEと空色のオンライン接客ツールを連携し、LINEを簡易なデジタルチャネルにする。すでに空色では、様々な業界でのチャット接客実績がある。これまでに空色が蓄積した 「顧客のさまざまな悩みと、悩みに応対する接客ログデータ」を活用し、一部応対をAIで自動化する。

AIで対応が難しい会話は有人接客と組み合わせることで顧客満足を高め、購買の意思決定を支援。販売スタッフの接客キャパシティを拡大し、24時間接客可能な体制を実現する。継続的なオンライン接客の品質向上と、会話ログデータのマーケティング活用は空色が支援を行う。

AIチャットボットによる接客自動化を行った場合のイメージなど(画像:空色提供)

3.  販売スタッフに接客してもらう(必要であればオンライン接客トレーニングからオンラインチャネルの運営支援を空色でサポート)

LINEを活用することで、サイトがなくても、商品画像や使い方動画など、メーカーが持つさまざまなコンテンツを接客の延長で紹介できる。

4. クレジットカード払いか代引き払いで決済

LINE接客では、クレジットカードか代引きにて決済を行う。ユーザー企業が、他のモバイルペイメントやコンビニ受け取りなどを希望する場合は、拡張も可能。なお空色が決済サービスを提供するのではなく、既存の決済サービス等を利用する。

すでに、顧客宅にフライヤーを送っている企業であれば、LINEアカウントを紹介するQRコードをつけるだけでプロモーションすることもできる。

中嶋氏はサービス開始の背景について、次のように説明する。

「D2C」という言葉が広がるなかで、いざメーカーが始めるにはハードルが高いと思われがちだ。しかしこの仕組みであれば、LINEアカウントさえあればサイトがなくても、すぐに始められる。LINEアカウントを開設し、たくさんの「友だち」を抱えているものの、そのメリットを生かしきれていない企業も多い。そうした企業にもぜひ活用してもらいたい(中嶋氏)。

コロナ禍でリアルの販売チャネルが縮小し、ECで直販を模索するメーカーらが対象

コロナ禍でリアルの販売チャネルが縮小し、急遽、新たな販路としてEC参入を検討せざるを得ない状況に追い込まれたメーカーは少なくない。しかし、ある程度本格的なECサイト開設をめざすのであれば、時間もコストもかかることから、「すぐにスタート」とはいかないのが実状だ。

また、秋から冬にかけて新型コロナウイルス第2波、第3波が襲う可能性もあり、再び緊急事態宣言発令による、リアル店舗閉鎖といった状況に陥ることも考えられる。そうした状況下でも、サイトを開設せずにD2Cが始められ、さらに休業中の店舗スタッフがデジタル接客にあたれる空色の新サービスは活躍する可能性が高い。

公文 紫都
公文 紫都

送料値上げ時代も「全品送料無料」を維持するEC売上約20億円企業の配送対策事例 | 通販新聞ダイジェスト

5 years 5ヶ月 ago
楽器の通販サイト「chuya-online」はネット販売開始時から全品送料無料を行っている。商品の郵便配送や自社で開発した価格決定システムの導入、楽天市場送料無料ラインへの対応など全品送料無料を維持する工夫についてプラグインの社長高尾太郎氏が語る

ここ数年の宅配会社の運賃値上げを受けて、送料無料施策を取りやめたり、送料を値上げしたりする通販企業が目立つ。また最近では「楽天市場」が打ち出した「3980円以上の購入で全店の送料を無料する施策」が大きな波紋を呼んだ。そんな中で楽器の通販サイト「chuya-online」を運営するプラグインは、ネット販売の開始時から全品送料無料施策を続けている。

送料無料でも収益が取れる、価格決定システムを自社で開発

同社の高尾太郎社長は「2002年頃に『ヤフーオークション』からスタートしたが、落札金額に送料を加えて計算するのが面倒だったので、メール便を活用することで送料無料とし、主にギターの弦やピックを販売していた。翌年に『楽天市場』に出店したわけだが、送料無料は顧客にとってもわかりやすいので、収益をしっかり取れるような計算式を考えた」と明かす。

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「chuya-online」楽天市場店の配送表示(画像は「chuya-online」楽天市場店サイトから編集部がキャプチャし追加)

送料は商品サイズや配送地域によって変わってくるが、例えば60サイズの商品であれば「地域ごとにどれだけの数を出荷したか」を踏まえて平均値を導き出し、これを送料の基準値とする。その上で、仕入れ値や各仮想モールに支払う売り上げからのロイヤリティー、クレジットカード手数料を引くと利益額が概算できる。

同社では販売価格を入力することで粗利が自動的に算出できる、価格決定のためのシステムを自社で開発した。右側にはサイズを入力する欄もあり、これをもとに発送方法が自動的に選択されるため、発送方法のデータベースから送料の基準値が自動的に入力される。同社はバイヤーが価格を決める仕組みのため、「残利益」を考えながら値段を決めていく。販売する全商品の価格をこのソフトを使って決めるため、「送料などの経費がかさんで赤字が出ているのに商品を売り続ける」ということは起きないという。

chuya-online 価格決定システム 自社開発 高尾太郎 通販新聞 価格決め
価格決定システムの画面

現在、ロイヤリティーとカード手数料は計9%として計算しており「おおむねどの仮想モールもカバーできる」(高尾社長)。同社の場合、消費者への分かりやすさを重視するため、同一型番の商品は自社サイトも仮想モールも同価格で販売しており、自社サイトで購入された場合は利益の絶対額が大きくなる仕組みだ。

現在の価格決定システムが稼働を開始したのは14年のこと。それまではエクセルを利用して同様の計算を行い、販売システムに反映させていたが、システムに組み込む形で計算ができるようにした。

高尾社長は「08年頃はそこまで厳密な計算はしていなかったが、当時はまだ運賃が安く、価格競争も今ほど厳しくなかったので大きな問題は起きなかった。その後、アマゾンの台頭と運賃値上げも重なり、細かく計算しないと利益を出せなくなってきた。『送料無料にするのが厳しい』と言っている店舗は、08年頃の考え方で止まってしまっているのではないか」と指摘する。同社ではアマゾンの販売価格をクローリングしており、追尾最低価格と最高価格を設定しておくことで、自動的に追尾した値付けをする仕組みも導入している。

郵便配送は「エラー率を考慮すると効率が良い」

また、最近では商品の発送に定形郵便と定形外郵便を活用している。追跡番号が発行されないのが消費者にとっての不安点となるが、「2年ほど前から使っているが非常に精度が高い。今年5月の実績でいえば、2万5835件郵便で商品を発送し『届かなかった』という問い合わせは19件。その後の調査で届いていたのが分かったのは、このうち11件。本当に届かなかったのは8件であり、エラー率を考えたら効率はとても良いと感じている」(高尾社長)。

chuya-online 高尾太郎社長 全品送料無料 宅配クライシス施策 通販新聞
「chuya-online」を運営するプラグイン社長の高尾太郎氏

レビューを見ると、郵便での商品発送を初めて経験する消費者は不安に感じることもあるようだが、「きちんと届く」ことが分かっている2度目以降の利用者は安心して購入している

商品が届かなかった顧客に対しては代品を郵送する。もちろん、消費者が二重に商品を受け取っている可能性もあるが、必要経費と考えて割り切っているという。

楽器の通販サイト「Chuya-online」を運営するプラグインでは、2年前から商品の発送に定形郵便と定形外郵便を活用している。全品送料無料施策を続けている同社だが、宅配便やヤマト運輸の「メール便」、日本郵便の「ゆうパケット」も値上がりしたのが導入のきっかけだ。10年前と比較すると50%ほど運賃が上がっている。「当社の場合、ギターの弦やピックのように、封筒に入る商品が多いので試してみようということになった。事故率も少なく、結果としては、コスト増を抑えてサービスレベルを維持するために役立っている」

自社サイトの売上比率を上げる

10年前と比較すると50%ほど運賃が上がっている。商品価格については「基本的には維持している。楽器の場合、アマゾンというプライスリーダーがいるので、採算が合うなら価格で対抗し、合わない商品はアマゾンより高くして販売している」(高尾社長)。

アマゾンの場合、売れる商品を中心に扱っているため、同社では「ロングテール」にあたる部分を重視。高尾社長は「売れ筋が20%、ロングテールが80%を言われるが、昔と違い今のアマゾンは売れ筋を重視している。当社は『1年に1度しか売れない』というような商品も揃えるようにしている」と話す。

仮想モールのロイヤリティーとカード手数料は計9%として計算しているが、昨年の消費増税前は10%としていた。商品価格を据え置いたため、いったんは8%に設定していたが現在は9%に。いずれは10%に戻すという。全体の売れ行きや顧客数をみながら徐々に上げていくイメージという

この合計値は自社サイトと仮想モールに出店する全店舗を踏まえた概算値で、「9%ならお釣りが来るだろう」という計算で設定している。高尾社長は「10%に戻しても全体の粗利率を28%に戻せば余裕を持った経営ができる。現在は1%ほど下回っているので上げていきたい」という。将来的には粗利率を30%まで高めることで、運賃値上げや仮想モールのロイヤリティー値上げなどに対処したい考えだ。今夏には自社サイトの刷新を予定しており、自社サイトの売り上げ比率を高めることで経費に占めるロイヤリティーの割合を下げる

送料無料にできそうな商品を突破口に、単品を積み重ねる

「楽天市場」が打ち出した「3980円以上の購入で全店の送料を無料する施策(送料無料ライン)」が大きな波紋を呼んだ。特に「商品価格を送料に上乗せしにくい店舗」からの反発は強かった。

高尾社長は「当社は型番商品を扱っているので、全店舗に当てはまるわけではないが」と前置きしながら、「『送料無料ライン』への対応が難しいという店は、月次データを見て『売り上げと運賃がこれだけだからできない』と考えているのではないか。当社の場合、ミニマムから積み上げていく。つまり『この商品を送料無料で利益を出すにはどうすればいいか』というところから始めて、最終的に全体で送料無料ができるようにしていく。できそうな商品を突破口にして、単品を積み上げていけば光が見えてくると思う」と助言する。

chuya-online 楽天市場店 送料無料統一施策 送料無料ライン 39ショップ 高尾太郎 通販新聞
送料無料ライン対応ショップのみ対象となるイベントに参画(画像は「chuya-online」楽天市場店サイトから編集部がキャプチャし追加)

2020年3月期の売上高は約20億円。新型コロナウイルス感染拡大による“巣ごもり需要”を受けて、4月売上高は前年同月比40%増、5月売上高は同50%増だった。新型コロナの影響で実店舗が休業していたこともあり、楽譜などが良く売れたという。「4月末に物流がパンク寸前となり、在庫のない取り寄せ品を買えないようにするなど、受注を絞らざるを得なかった」(高尾社長)。新規客が目立ち、全体の80%近くを占めていた。

物流倉庫は本社と同じく北九州市に構えている。今後は、来期にも物流を一部外注化することで顧客へのリードタイムを短くしたい考えだ。物流代行サービスとしてアマゾンの「フルフィルメント by Amazon」や楽天の「楽天スーパーロジスティクス」などの活用を検討しているが、「通常時は問題ないが、出荷が急増したときに対応できなくなる、ということがあると困るので、そうなったときに自社で振替発送できるような仕組みを考えたい」(高尾社長)という。

さらには国内で流通している楽器やパーツ類を全て展開する通販サイトを目指す。メーカーと協力し合うことで「紙のカタログには載っているがウェブでは扱っていない商品」なども販売できるようにしていく。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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検索結果1位のクリック率は25%超。Google検索のCTR最新調査データ

5 years 5ヶ月 ago

SEOによる流入予測を立てる際に重要になってくるのは、検索ボリュームと順位別のクリック率(CTR)です。「1位が21.12%、2位が10.65%、3位が7.57%...」というデータを見たことがある方は多いと思いますが、これはInternet Marketing Ninjasが2017年に出した調査データでした。2020年現在で3年ほど経っており、データとしては古くなってきた頃合いですが、この度シストリックス社から最新の調査データが発表されました。今回は検索結果(SERP)のレイアウトがCTRにもたらす影響についての調査データを紹介した記事であり、参考となる内容となっています。 続きを読む

投稿 検索結果1位のクリック率は25%超。Google検索のCTR最新調査データSEO Japan|アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ に最初に表示されました。

新型コロナ対応休業支援金・給付金/家賃支援給付金/利用者の多いECモール【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 5ヶ月 ago
2020年7月10日~16日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 休業者が給付金(1日あたり1.1万円の上限)を直接申請できる「新型コロナ対応休業支援金・給付金」の郵送受付をスタート

    「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」は、新型コロナウイルス感染症、そのまん延防止措置の影響で、勤務先の中小企業から休業させられ、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった労働者に対して、支援金・給付金を支給する制度

    2020/7/10
  2. 最大600万円の賃料支援を企業・個人が直接申請できる「家賃支援給付金」のWeb申請・会場での申請支援がスタート

    「家賃支援給付金」は、5月の緊急事態宣言の延長などで売り上げの減少に直面する事業者の事業継続を下支えすることを目的に、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金を支給する制度

    2020/7/14
  3. アマゾンvs楽天vsヤフー。EC利用者、利用回数はどこが多い? 一番見られているモールは?【ニールセン調査】

    ニールセン デジタルの調査結果。PCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルで最も利用者数が多かったのはAmazonだった。5253万人が月に平均44回利用(閲覧のみの利用も含む)し、GRP(世帯を対象にした延べ視聴率)は1836%

    2020/7/10
  4. 良品計画が無印良品とIDEEの家具・インテリア用品のサブスクECをスタート。月額800円から利用可能

    良品計画は7月17日から、無印良品とIDEE(イデー)の家具・インテリア用品を月額800円からレンタルできるサービスを開始する。契約期間は1年単位で1年~4年の間で選択できる

    2020/7/13
  5. ユニクロのEC売上高が1000億円を超える勢い。コロナ禍の3-5月期(3Q)は47%増の281億円、3Q累計で約806億円

    2019年8月期連結決算の「国内ユニクロ事業」EC売上高は前期比32.0%増の832億円。今期は3Q累計で前期実績に近いEC売上高に達しており、2020年8月期はEC売上高1000億円を突破する可能性が高い

    2020/7/13
  6. コロナ禍でEC売上25%増のアダストリアが行ったオンライン接客事例、3つのポイント

    「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などのアパレルブランドを展開するアダストリアは、コロナ禍でもEC売上は拡大。自社ECサイト「.st(ドットエスティ)」に注力するため、オンライン接客に注力しました。そのポイントとは?

    2020/7/13
  7. 「ShopifyはAmazonキラーなんかじゃない!」――「Shopify」と「Amazon Pay」の組み合わせがEC成功のカギだ

    EC企業のブランディングなどを支援するフラクタの河野貴伸社長に聞く、「買いやすいECサイト作り」「成功するためのブランディング」など“ECサイト運営で重要視すべき勘所”

    2020/7/15
  8. 通販大手のジャパネット、プロサッカーに続き長崎からプロバスケットのBリーグ参入を表明。「地域に根差したクラブ運営を」

    ジャパネットHDは2017年5月にV・ファーレン長崎をグループ会社化し、プロサッカーリーグに参入。2024年のスタートを目標に、オフィス・商業施設・ホテル・マンションなどを併設した「長崎スタジアムシティプロジェクト」を進めている

    2020/7/13
  9. EC利用者もショップ数も急増中! コロナが引き起こしたデジタルシフトを調査データと事例で追う【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年7月6日〜12日のニュース

    2020/7/14
  10. TSI ECストラテジー元社長の柏木氏に聞く「これからのEC・アパレル業界」「小売業のDX」「最新リテールテック」

    トランスコスモスに転職した、「ナノ・ユニバース」「東京スタイル」などを傘下に持つTSIホールディングスグループのEC専門会社TSI ECストラテジー元社長の柏木又浩氏。「EC業界・アパレル業界」「注目していること」について聞きました【インタビュー後編】

    2020/7/15

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

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