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消費者がECで買う理由とは? 注目すべき“10の事実” | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

消費者は、「最安値で購入したい」「すぐに届けてほしい」「洗練されたショッピング体験をしたい」と考えています。しかし彼らがECサイトでの購入に踏み切るのは、そのような明確な理由だけではありません。それ以外にもあまり知られていない理由もあると、『Digital Commerce 360』の消費者インサイト・アナリスト、ローレン・フリードマン氏は言います。注目したい10の事実についてご紹介します。
1,047人への調査からわかった「消費者がECを選ぶ理由」
オンラインでもオフラインでも、コンバージョンの成功事例は似たような内容になります。消費者は、価格、配送スピード、洗練されたショッピング体験に期待しています。『Digital Commerce 360』が2021年に調査会社の「Bizrate Insights」と共同で実施した調査では、対象者となった1,047人のEC利用者から予想通りの結果が得られました。
今回の記事では、すでにわかっていた結果すべてを取り上げるのではなく、小売事業者にとって興味深い、隠れたインサイトとその理由を紹介します。調査で得られた結果のなかには、環境問題への関心のように高まりを見せるものもあれば、カーブサイドピックアップ(車中受け取り)のように、今後も続くであろう行動の変化をもたらすものもあります。
質問1:オンラインで買い物をする際に、どのような条件がそろうと注文をする可能性が高いですか?
【回答1】自分にとって重要な課題(環境、政治など)を支援している場合:13%
気候変動が政治的な問題となり、これが喫緊の課題であると認識されているため、消費者は購入を検討する企業の行動にますます注意を払うようになっています。そして、伝統的な企業とデジタルネイティブなブランド両方が、この問題に取り組んでいます。ウェビナーやネットを見ると、環境問題に関するメッセージの発信がこれまで以上に積極的になっていると感じます。
靴のD2Cブランド「Allbirds」はその一例で、2021年12月に発売予定の新しい植物性レザーを事前発表、消費者は事前登録することで、詳細を通知してもらうことができます。環境への配慮は、これまで以上に重要になっているのです。

【回答2】分割払いで注文できる場合:13%
2020年は誰にとっても厳しい1年であり、購入した商品の代金を一度に支払える消費者ばかりではありませんでした。購入資金を調達しなければならない消費者も増えました。クラウドコンピューティングサービスを提供する「Salesforce」によると、オンライン注文での「今すぐ購入、後払い」の利用は、ホリデーシーズンに109%増加したそうです。
ファッションブランド「Urban Outfitters」のECサイトでは、消費者に後払いサービスの「Afterpay」が紹介されるとともに、利用方法が明確に説明されています。『Digital Commerce 360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース」によると、40.7%の小売事業者が「Affirm」や「Klarna」などの、後払いサービスを採用しています。

【回答3】商品のデモンストレーションを含む動画がある場合:13%
(調査結果では)コンバージョンに対する動画の影響度合いは限定的でしたが、動画はニッチな性質だからこそ、実はとても価値が高いと言えます。動画への投資はカテゴリーごとに行うべきで、商品やカテゴリーに関する情報提供やイメージ訴求を動画で行います。
動画は消費者の商品選定に役立つと同時に、購入後に活用できるツールにもなり得ます。住宅リフォーム・建設資材の小売りチェーン「The Home Depot」のDIY動画の事例は、消費者にいかに素晴らしい体験を提供できるか、そしてそれがいかにブランドの差別化につながるかを表す素晴らしい例です。

【回答4】他では手に入らない限定商品の場合:17%
限定商品はマージンがより高い傾向にあるため、小売事業者にとってメリットがあります。調査対象の消費者の17%が、限定商品を注文しています。また、『Digital Commerce 360』の「2021年のパフォーマンスとコンバージョン」の調査では、33%の小売事業者が「コンバージョンを最適化するために限定商品が非常に重要である」と回答しており、独自の商品を持つことは常に良い取り組みであると言えるでしょう。
コモディティ商品を避けることで、消費者が価格で比較することがなくなり、結果的にコンバージョン率を高めることができるため、限定商品を用いたウィン・ウィンの関係と差別化は、常に考えておくべきです。高級デパートの「Neiman Marcus」は、限定商品である旨を商品ページに表示し、消費者にわかりやすく知らせています。

【回答5】カスタマーサービスに簡単にアクセスできる場合:26%
消費者は、自分の質問に答えてくれる小売事業者を高く評価します。高級百貨店の「Nordstrom」はそんな消費者の願いを叶える機能を提供しています。商品のトラッキングから返品、残高の支払いまで、消費者のニーズに合わせたサービスを展開しています。
また、「Nordstrom」はフリーダイヤルやライブチャットでの問い合わせ機能を提供しており、カスタマーサービスの対応が残念な企業が多い中、同社は顧客中心のサービスを展開しています。

質問2:サイト内での体験以外で、オンライン注文につながる可能性が高いのは次のうちどれですか?
【回答1】バーチャルアポイントメントを含むカスタマーサービス担当者と対話ができる場合:7%
現在、これを購入理由に挙げる消費者の数は少ないですが、実はこれが小売事業者にとって変革をもたらすツールになると確信しています。
過去数か月間、10以上の小売店でバーチャルアポイントメントを試しましたが、そのほとんどがポジティブな経験でした。サービスレベルが高く、実店舗での忙しなく知識のない店員とのやりとりでは得られなかったブランドとのつながりを築くことができました。私のニーズに焦点を当てた情報が提供され、実験目的でなければ、私は確実に商品を購入していたでしょう。
中には、連絡先を登録しておくことを勧めてくれたスタッフもいて、一歩進んだ対応をしてくれました。アウトドア用品店「REI」のバーチャル・アウトフィッティングでは、消費者がオンラインで予約すると、知識豊富な販売員がショッピングのシナリオを専門的に案内してくれます。「REI」のサービスは、最高のカスタマーエクスペリエンスの1つでした。

【回答2】興味のある商品がソーシャルメディア広告に掲載されている場合:9%
成長しているソーシャルメディア広告は、特にInstagramのようなサービスを頻繁に利用する若いオーディエンスにとっては最適です。オンライン購入につながる可能性の高い広告に関して聞いたところ、14%が「Instagram」と回答しました。
最近私は、Instagramでオンデマンドフィットネスサービスの「Mirror」のスポンサー広告を見つけましたが、以前にヨガウェアブランド「lululemon」(※編注:Mirrorは2020年lululemonに買収され傘下に入った)のサイトで同じ商品を見たことがあったので、特に気になりました。
『Digital Commerce 360』が105社の小売事業者を対象に行った「2020年デジタルマーケティング調査」によると、76%の小売事業者が5段階評価で最も効果があったのは「Eメール」で、次いで61%が「ソーシャルメディア」と回答しました。つまりソーシャルメディアで、コンバージョンの向上も期待できるということです。
【回答3】カートに残っている商品をお知らせするメールがある場合:16%
調査対象者の97%が「かご落ちしたことがある」と回答しています。小売事業者は長い間、このような消費者にアプローチして、購買に結び付けようとしてきました。すぐに購買に結びつかないことも多いですが、消費者の28%が「ショッピング中に気が散って購入を完了できなかった」と答え、44%が「後で購入するために、カートに商品を残しておきたい」と考えていることからも、かご落ちした消費者へのアプローチは役立つと思います。
週末私は、化粧品や香水などを取り扱う専門店「Sephora」で複数の商品を「予約」注文しました。翌日、店舗で商品をピックアップする予定だったのですが、「かごに商品が入っています。注文しますか?」というメールが届きました(なぜ私の予約注文が反映されていないのか不明ですが)。Sephoraのメールで私が注目したのは、Sephoraのロイヤルティプログラム「Beauty Insider」のポイントが注文に使えることでした。
これまでは、ポイントを商品と交換することはできても、ギフトカードのように利用することはできませんでした。商品を店舗に受け取りに行ったとき、新人の店員の場合、ポイント交換をするのに時間がかかっていため、ギフトカードのように使える割引とリマインドのメールは助かりました。Sephoraにとっても、オーダーが増える良い施策です。

【回答4】ライブチャットでのやりとりがある場合:16%
ライブチャットは、消費者がオンラインで購入する理由の上位には入っていないかもしれませんが、リアルタイムの情報にアクセスできることは非常に重要です。急いでいるとき、最終的な決断をするために、小売事業者に連絡を取るのにこれ以上の方法はありませんし、プロモーションコードがいつ、どのように使えるのかも理解することもできます。
ファッションブランド「Aldo」 の例は、ライブチャットを積極的に提案し、消費者にライブチャットが「最も早く連絡が取れる方法」であることを知らせている点が新鮮です。また、カスタマーサービスの真摯な姿勢を示すと同時に、消費者にも節度を守った態度を依頼している率直な案内は、称賛に値すると思います。

【回答5】注文した商品を店頭で受け取ることができる場合:19%
「オムニチャネルのオプションが購入につながった」と答えたのは5人に1人でしたが、コロナ禍ではこのオプションの存在が特に重要で、消費者に新しいショッピング方法を提供したのは事実です。ペット用品店の「Petco」が良い例です。
私は、ペット用の塩を買うときは通常ホームセンターチェーンの「Menards」を利用しますが、「Petco」でカーブサイドピックアップを利用すると、25%オフという大きな割引があったので、これを利用してある時、「Petco」での購入を試してみました。今後、さらに多くの小売事業者がカーブサイドピックサービスを提供し、私のように時間に追われる消費者にとって、定番サービスになることを期待したいと思います。

『Digital Commerce 360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース」によると、実店舗を持つ398の小売事業者のうち、40.7%がカーブサイドピックアップを提供しています。
◇ ◇ ◇
もちろん、消費者を納得させて購入してもらうには、価格や配送などの基本的な要素は常に大切です。同時に、カスタマーサービスや充実したコンテンツも購買に結びつくため、小売事業者の方々には常に注目していただきたいと思います。
さらに、これらの取り組みをモニタリングすることで、環境に配慮した商品の購買、バーチャルアポイントメントへの要望、郊外でのピックアップの利便性など、消費者の行動の変化が見られるかもしれません。今現在のコンバージョンにはインパクトが少ない要素でも、将来的に重要な収益の原動力になる可能性があります。
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オリジナル記事:消費者がECで買う理由とは? 注目すべき“10の事実” | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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ミクシィが始めた生鮮食品などのデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」とは

ミクシィは4月1日から、スマートフォンアプリを通じて生鮮食品などを注文できるデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」を始める。
「mikuma」は、決められた商品を選ぶ一般的なデリバリーサービスと異なり、「生鮮食品はオーガニックなものを選ぶ」「肉や魚の特定の切り方を要望する」など、ユーザーの好みに合わせた商品をショッパー(配達員)にリクエストできるデリバリー事業という。

1点から注文でき、1時間単位での受け取り指定など、ユーザー目線の便利なサービスを展開する。スタート時の対応エリアは、東京都内5区(千代田区・港区・目黒区・渋谷区・品川区)。
「mikuma」のショッパーが配達する仕組みで、最短1時間で配達。自転車で商品を届けるため、1回の購入重量は8キログラムに制限する。料金は、商品代金、基本配送料550円、手数料として商品小計の10%が必要。
スタート時の注文可能な店舗は7ブランド8店舗。「ナショナル麻布」、フランス発の冷凍食品店「Picard(ピカール)」、パリのパン職人エリック・カイザー氏による世界的なブーランジェリー「MAISON KAYSER」などの店舗から注文できる。
ミクシィによると、厳選された食材を使用したレストラン顔負けの料理、食べたことのない外国産の冷凍食品を活用した簡単なホームパーティーなど、コミュニケーションが弾む楽しい食卓を演出するとしている。
デリバリーサービスは、ミクシィのライフスタイル事業の一環。家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」など、コミュニケーションに重きを置いたサービスを展開している。
アプリの対応機種は、iOS13.0以降(iPhone4, iPhone5シリーズは除く)。
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オリジナル記事:ミクシィが始めた生鮮食品などのデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」とは
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コアウェブバイタルとページエクスペリエンス シグナルについてよくある質問の第2弾をGoogleが公開
【お知らせ】Yahoo!プレミアム広告はYahoo!広告 ディスプレイ広告(予約型)に刷新されます
「Yahoo! JAPAN 媒体資料」最新版のお知らせ(2021年3月改訂版)
「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向

転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するパーソルキャリアの転職支援サービス「クリーデンス」が発表したアパレル・ファッション業界の最新版「業界動向」によると、「EC・通販関連」などの求人数が増加している。
2019年12月~2020年2月までの求人数と2020年12月~2021年2月までの求人数を比較すると、「生産管理」「プレス・販売促進」「EC・通販関連」「人事・総務・経理・財務」で前年よりも求人数が大きく増えた。
業界全体のデジタル化やEC化、余剰在庫を生まないための生産管理など、長年抱えてきた業界の課題をコロナを契機に解消しようとする流れが生まれてきたことが要因。

アパレル・ファッション業界の「EC・通販関連」について、2019年6月~8月の求人数を100とした場合、2020年12月~2021年2月の求人数は169.2%。2020年9月~11月期と比べると12.3ポイント増加した。

これまでは、EC基盤を固めるために即戦力となるハイクラス人材を求める企業がほとんどだったが、現在は、育成を見越して未経験でも挑戦できる求人も増加しており、二極化傾向にあるという。
また、アパレル業界はWebやデジタルに精通するスキルを持つ人材が少ないため、「EC・通販関連」は唯一、求人数が転職希望者数を上回ったとしている。
ただ、アパレル業界は他の業界よりも年収が低い傾向にあることが課題。「クリーデンス」は、「人事制度や条件などを見直し、自社のニーズに合う人材をいかにスピーディーに採用できるかが、今後業界にとって重要な課題となる」としている。
「プレス・販売促進」も、デジタルマーケティングやECに特化した販売促進を担うポジションでの採用需要も引き続き高い状況にある。EC売上が好調に推移し、業績が回復している企業では、ECサイトのプロモーションを強化するアシスタント、ECで購入した顧客に対してカスタマーサービスを行うスタッフを契約社員で募集するようになっているという。

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オリジナル記事:「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向
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RKB毎日ホールディングス、代表取締役の異動を発表 2021年6月予定
電通、グループ・クリエーティブ・ディレクターの眞鍋氏が「2020年クリエイター・オブ・ザ・イヤー」を受賞
RKB毎日ホールディングス、テレビスポット収入が好調で2021年3月期通期の予想を上方修正
この先の小売・ECに求められるユニファイドコマース戦略とは? 2020年の振り返りから2021年以降のEC業界をecbeing林社長に聞く

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、小売り、ECを取り巻く環境は激変、消費者と事業者側のデジタル化が一気に進んだ。「店舗とECが一体となり顧客に最適な買い物体験を提供するユニファイドコマースの時代が来る」。こう語るのは、ECサイトの構築実績が1300サイトを超えるecbeingの林雅也代表取締役社長だ。2020年のEC業界を振り返りながら、2021年以降のマーケティングで重要視すべきトレンド「ユニファイドコマース」など、「ecbeing」が注力する施策や今後の展望に迫る。写真◎吉田 浩章
EC事業の課題が「企業全体」の課題に変化
2020年は最新テクノロジーが使われるようになった年といえるだろう。(林社長)
コロナの影響でこれまであまり日の目を見てこなかったテクノロジーが広く使われ始めた年となった2020年。たとえば、チャットの活用、オンライン接客、ライブコマースなど、長らく利活用の検討を進めていた企業で一気に導入が進んだという印象が林社長にはある。

2020年のもう1つのトレンドは、ECビジネスが「全社的な課題や重要販路になった」ということ。たとえば投資面。従来はEコマース事業単独への投資だったのが、企業全体の成長をにらんだ上でのデジタル・ECへの投資に変化してきた。
有店舗企業であれば、実店舗とECの両チャネルを踏まえた投資に変わってきており、ECが全社的な課題になってきているのだ。
実際、企業における売上構成比でもECが占める割合は上昇している。実店舗の来店客に対してもECへの誘導接客が加速。店頭で買わなくてもECサイトで購入、逆にECサイトで購入せずに店舗で商品を受け取る――。多様化する消費行動の中にはECが組み込まれており、こうした環境の変化に企業側が対応を急いでいる。つまり、ECが全社的に重要なポジションに変化したことを意味するのだ。

従来はEC事業部の業績が悪くても、全社的には10%程度の影響ですんでいた。それが今ではその様相が大きく変化した。EC事業部が失敗すると、全社的なインパクトがあり、全社売上に影響を与えてしまう。そういう意味では、ECが「企業全体」の課題として取り組まれるようになった。(林社長)
2020年のEC業界を振り返るecbeing 代表取締役社長 林雅也氏
ECの存在感が増す中、ecbeingでも2020年は案件が拡大。多くの企業と取引を進めるなかで、ある傾向が顕在化したという。
どの企業もEC売り上げは伸びているが、以前から取り組んでいたところとそうでないところで明暗がわかれたと感じる。アメリカの場合、2020年はこれまでにオムニチャネルに投資をしていたところとそうでない企業では結果がはっきり出た年と言われている。ウォルマートのように地道にオムニチャネルへの投資を実行していた企業と、そうでない企業との間で明暗がわかれた。それは日本も同じ状況。(林社長)
具体的には、日本ではコロナ以前からスマホアプリやLINEなどデジタルツールを活用していた企業は、コロナ禍でも顧客と接点を持つことができている。そのため、店舗の来店客が大幅に減るなかでも、ECサイトへの顧客誘導が比較的スムーズに進んだ。一方、デジタルでの顧客接点を持たない企業は、厳しい状況に直面しているようだ。
2021年、小売り・EC事業者は「ユニファイドコマース」を押さえるべき
そうしたなかで、林社長が2021年のトレンドとして注目するのが「ユニファイドコマース」だ。
「ユニファイドコマース」とは、オムニチャネルで実現した統合プラットフォームをベースに、リアルタイムに顧客を理解し、顧客ごとにパーソナライズした情報や買い物体験を提供することで、ブランド価値を向上させるというもの。アメリカではオムニチャネルに次ぐ新たなマーケティング手法として、数年前から重要視されている。

ECと店舗を掛け合わせた「ユニファイドコマース」が注目され始めた背景には、オーバーストア(店舗過剰)や人口減少、購買行動の変化といったことがあげられる。以前のようにどんどん路面に店を出せば儲かるという時代は終わった。これはコロナ以前からあった現象と言える。
人口が増えて商圏が広がっていくのであれば、店舗数を増やすという戦略は有効だ。しかし、人口が減少し消費行動が変化している今、「顧客1人ひとりを大事にすること」が求められる。顧客ごとに深掘りして丁寧に接客しなければ、これからは生き残れない。その傾向がこのコロナ禍でより顕著になったというわけだ。
その証拠に、TSIが展開しているアパレルブランド「ナノ・ユニバース」などのようにコロナ禍でもデジタル投資を他社に先がけて進め、ファンとの接点を構築している企業の業績は好調に推移している。

以前であれば、デジタル化を推し進める企業に対して「先に進み過ぎている」という指摘もあったが、今ではコロナ禍で幅広い世代がデジタルを使うようになっている。その意味で「ユニファイドコマース」の土台は作られてきていると言える。(林社長)
林社長は「市場規模が縮小する中で、1人ひとりの顧客を大事にすることは、顧客ニーズだけでなく、企業側の事情としても合致している」と語る
TSIが進める「ユニファイドコマース」は「店舗とECが一体化したブランド体験の提供」

「ナノ・ユニバース」「マーガレットハウエル」などのアパレルブランドを展開するTSIでは、「店舗とECが一体化したブランド体験の提供」を目的に、「ユニファイドコマース」による事業構造改革を進めています。
TSIが掲げる「ユニファイドコマース」は、「店舗とECを横断して、顧客の趣味嗜好を統合し、それらのデータを統合して、お客さま1人ひとりに合ったOne To Oneサービスを提供すること」。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費行動や消費への価値観が大きく変わりました。デジタル化の加速、不要不急の消費控え、エシカル消費の台頭――。こうした環境の変化に対応するためにTSIが2020年に立ち上げたのが「ユニファイドコマースプロジェクト」です。新型コロナ収束後の世界を見据え、「ユニファイドコマース」の実現に向けた構造改革を進めています。
さまざまなブランドを抱えるTSI全社で一気に構造改革を進めるのではなく、「ナノ・ユニバース」で「ユニファイドコマース」を先行開発。2022年以降に他ブランドへの横展開を予定しています。
「ナノ・ユニバース」で進めている主なサービス開発は、「ECから店舗へとつながる新たな顧客導線の創出」「店頭スタッフのデジタルサービス活用」です。

店頭スタッフのデジタルサービス活用
「ナノ・ユニバース」ではECプラットフォームに「ecbeing」を採用しており、標準連携している「STAFF START」を2021年1月に導入。店頭スタッフによる自社ECサイトやSNS上でのデジタル接客を通じたコーディネート販売を強化しています。
さまざまなコーディネートに触れてもらうことを目的に、TSIではグループのECモール「MIX.Tokyo」をリニューアルし、コーディネート投稿からコーデやアイテムを探せるモールへと移行しました。

ECから店舗へとつながる新たな顧客導線の創出
「ナノ・ユニバース」では、ECで「カートで商品を購入するか」「店頭で商品を試着してから購入するか」を選べる取り組みを始めました。もちろん、「店頭で商品を試着してから購入」については在庫を引き当てて、店頭で試着できるようにしています。ECの課題の1つに、コーディネート商材の選びにくさがありますので、それを解決する目的があります。

3月からは来店時の接客にスタッフを指名予約できる「接客予約」もスタート。「美容院のようにスタッフを指名できる」。こんな取り組みも始めました。

「ナノ・ユニバース」のアプリには、店舗でチェックインすると、来店スタンプがたまる機能があります。チェックイン機能だけではなく、来店者に店舗での売れ筋商品、スタッフお薦め商品をレコメンドできるようにする取り組みも始めています。
上記の取り組みはごく一部。チャネルレスなOne to Oneサービス、TSIの強みであるリアル販売員をデジタルサービスに活用した体験の融合で、「ユニファイドコマース」を実現したいと考えています。
「ユニファイドコマース」で重視されることは「人間味」
今後、「ユニファイドコマース」がEC業界に浸透していくと考える林社長。コロナ以前から取り組んでいた企業と、後発企業との間で二極化が進むことが予想される。先んじて投資していたところと、今から着手する企業とで差が出るのは当然だろう。
とはいえ、後発企業の中にも全社的な意識が変わり、巻き返しするところが出てくる可能性がある。
従来に比べて、ECの施策が行いやすくなっている。以前はEC担当者だけが運営していたのが、コロナ禍で店舗側もデジタル施策に相当取り組んだ。その結果、デジタルに対する土壌ができた。今後は企業が持っている人材力や総合力が発揮されるのではないか。(林社長)
アフターコロナを見据えた動きはすでに始まっている。そして、この「人材力」「総合力」が、「ユニファイドコマース」を推進する上でカギになりそうだという。

というのも、「ユニファイドコマース」ではデータを集めて、1人ひとりの趣味嗜好に合わせてパーソナライズするマーケティングも重要になる。ただ、そのためにはユーザーに届けるコンテンツがなければ成立しない。そのコンテンツを制作して、顧客ごとに1to1でひも付けるという作業は、ECビジネスだけではデータが不足するため、全社的な総合力がどうしても必要になる。店舗や企業の総合力を発揮しコンテンツを作成し、それを顧客にひも付ける。それができなければ、そもそもパーソナライズは実現できない。
「ユニファイドコマース」でもう1つ重要な要素となるのが、「人間味」や「ぬくもり」といった要素だ。
消費者の中には、顧客データをもとに機械的にパーソナライズされることに抵抗感を抱く人もいる。自動配信のメッセージよりも、訪れたことがある店舗から届く案内に親近感を持つ人も少なくないだろう。
そのように店舗などリアルの部分でフォローすることで、顧客に安心感を持ってもらう。システムですべてを遂行するのではなく、企業が持つ総合力を使い、ECと店舗を掛け合わせることで、「ユニファイドコマース」の課題である「人間味」を打ち出すことも有効になる。
そうした点を強化する狙いから、ecbeingは店舗スタッフのデジタル接客や販売促進への貢献度の可視化をサポートするツール「STAFF START(スタッフスタート)」の標準連携を2021年1月から開始。「ecbeing」を利用する企業はテンプレートを活用すれば、最短1か月で「STAFF START」を導入できる。

マイクロサービスの拡充に注力
企業が「ユニファイドコマース」に舵を切る上で課題となるのが、テクノロジーの進化、多様化する消費行動への対応だ。そのため、消費体験の向上、買い物しやすい仕組み作りなど、システム面での環境整備が重要になる。
ecbeingではこうした点をシステム面からサポートするためのマイクロサービスに注力している。マイクロサービスは、すべての機能を1か所のシステムにまとめる従来型のシステム設計に対して、各サービスをそれぞれ独立して構成するもの。世の中の時流に合わせて常に新しい最適なサービスが利用できるようになるのがメリットだ。
ecbeingが提供するマイクロサービス群の1つ、デジタルマーケティング活動を視覚的にサポートする「Sechstant(ゼクスタント)」。「Sechstant」はECに特化したマーケティング分析ツールで、「ecbeing」を導入する多くの企業で「Sechstant」が使われている。林社長は「Sechstant」が広く使われる理由として以下の2点をあげる。
- データの統合が手軽に行えること(データを整備してまとめあげるために手間と時間がかかるが、「Sechstant」であればそこをショートカットできる)
- 分析結果をビジュアライズして表示する(データを可視化してわかりやすく見せることで理解しやすくなる)
「Sechstant」には「ユニファイドコマース」を行う上で必要な機能を多く実装している。たとえば、Web広告の実店舗でのコンバージョン分析や、EC・店舗の購買データ統合分析、流入チャネルごとのF2転換分析などを簡単に行うことができる。店舗単位やエリア単位で顧客データを分析できるため、ある店舗で新規客が獲得できていなかったり、新規獲得ができていても離脱が多かったりといったことを把握することも可能だ。

Googleアナリティクスと連携した分析もできる。Webサイトのイベントページや特集ページ、あるいはメルマガ経由で、実店舗の売り上げにつながるにはタイムラグがある。ユーザーがあるページを見てから1週間くらい、店舗の該当商品の売り上げを追うことで「特集ページを公開したことで、店舗の売り上げがアップした」などの分析も可能になる。(林社長)
「Sechstant」の効果を生かすためには、店舗とECをつなぐ手段(ツール)が必要になる。今までは、その役割をスマホアプリが担ってきたが、昨今ではLINEでもスマホアプリと同様のことが実現できる。
一定規模の人にダウンロードしてもらわないと費用対効果が合わないスマホアプリに比べて、LINEは多くの人に使われている。加えて、登録も簡単で、会員証に使えたり、プッシュ通知が打てたり、ECと連携できたりと、多くのメリットがある。アプリの開発はコストや時間がかかるが、LINEミニアプリは手軽に導入ができ、ユーザーにとっても利便性が高い。
このLINEミニアプリを簡単に導入するために、ecbeingではLINEアプリ上で使えるEC事業者向けのマイクロサービス「ecbeing LINEミニアプリ オプション」も提供。このマイクロサービスを利用することで、EC事業者は簡単にLINEミニアプリを導入することができるようになる。
LINE公式アカウントでの友だち登録や会員登録機能、ECサイト購入、ECキャンペーン、店舗クーポン配布機能などを、このマイクロサービスは備えている。クーポンの配布やイベントの招待などのメッセージをLINE経由で配信できるほか、メールを開封していないユーザーをセグメントしてLINEでメッセージを送る機能も備えている。

システムは「魔法の道具」じゃない、導入後の使い方が重要
2021年のトレンドになると予想される「ユニファイドコマース」。その新たな時代に求められるシステム作りとはどのようなものだろうか。
林社長は「そもそもシステムというのは『導入後が大事』という側面が強い。その意味では、システムは決して『魔法の道具』ではない。ただ導入しただけではうまくいかない。勝負を決めるのは、導入後にどのように使うかが重要」と強調する。
導入後、その企業の戦略に合わせて、どうシステムを使いこなすかが問われる。ecbeingでは、導入後のサポート体制も強みだ。

EC業界は、技術やトレンドの進化が速い。企業が施策を行う際に、自社ですべてをこなすのは難しい。そこでecbeingのマーケティング部隊と共同でチームを作り、導入したツールを使いこなす。これにより、一層の効果が見込まれる。
開発エンジニアもツールを企業ごとに最適な形でブラッシュアップ。「ecbeing」自体も、企業の要求に合わせてカスタマイズする――。この結果、「ecbeing」導入企業のオリジナリティやサービスが向上するといった正のサイクルが生まれていくのだ。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:この先の小売・ECに求められるユニファイドコマース戦略とは? 2020年の振り返りから2021年以降のEC業界をecbeing林社長に聞く
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ユナイテッドアローズ、子会社のフィーゴ社をユニオンゲートグループに売却

ユナイテッドアローズは3月31日付で、子会社でイタリア製バッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」のフィーゴを、バッグブランド「BRIEFING(ブリーフィング)」などを展開するユニオンゲートグループに売却する。
近年の市場環境の変化で、両社のシナジー効果を生み出しながらフィーゴの継続的な成長をめざしていくことは難しいと判断。ユニオンゲートグループへの譲渡を決めた。
フィーゴは1987年4月設立。革製品・紳士服・婦人服・雑貨などの企画・輸入・販売を手がけている。2020年3月期の売上高は24億円。ユナイテッドアローズは2005年、フィーゴの全株式を取得、子会社化している。
ユニオンゲートグループは、バッグやゴルフアパレルのブランドを展開。「BRIEFING」に加えてレザーアイテムを中心としたライフスタイルブランド「FARO(ファーロ)」も手がけている。

ユニオンゲートグループはフィーゴの株式取得で、「BRIEFING」「FARO」といった取り扱いブランドに「Felis」を加える。米国製を軸とした「BRIEFING」、日本製が中心の「FARO」に、イタリア製の「Felisi」といったブランド構成とする。ブランドの多様化、バランスの取れたブランド展開が可能となる。また、ECやデジタルマーケティングの強化も進める。
ユニオンゲートグループはフィーゴの株式取得を皮切りに、米国・アジアを中心とした海外事業展開を強化し、グローバルでブランドビジネスを拡大する計画。今後は2021年1月に設立したBRIEFING USAに続き、BRIEFING TAIWANを設立する予定。現地での直営店開業も含めたビジネス展開を進めていく。
2021年5月上旬の北米でのビジネス展開を計画。「BRIEFING」「FARO」「Felisi」の3ブランドで、米国・アジアでのビジネスを拡大していく。
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オリジナル記事:ユナイテッドアローズ、子会社のフィーゴ社をユニオンゲートグループに売却
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エアークローゼット天沼社長と寝具メーカー「西川」社長が語る「メーカーの新しい販売チャネル」「コロナ禍のお試し消費」

エアークローゼットが実施した「airCloset Mall 1周年トークセッション」(3月18日)で、天沼聰代表取締役社長兼CEOが「airCloset Mall(エアクロモール)」の役割や「購入前に試せるニーズ」について分析。また、寝具メーカー西川の西川八一行代表取締役社長をゲストに迎え、コロナ禍における消費、両社の展望について語った。そのトークセッションをお伝えする。
ライフスタイルに適した商品との出会いを提供
「エアクロモール」は、マットレスや美顔器など購入ハードルが高い商品を月額料金でレンタルし、ユーザーが納得するまで継続利用できるサービス。使用して気に入った商品は購入できる。
「商品の返却期限なし、いつでも購入・返品可能」「オンラインで簡単に注文、コンビニで返却できる」「メーカー公式の体験サービス、メンテナンスと商品補償」という3つの特徴がある。

「返却期限なし」「簡単注文・返却」はエアークローゼットの月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」と共通するが、「エアクロモール」は「メーカー公式」という異なる点がある。天沼社長は「メーカー公式であることで、メンテナンス面も含めてユーザーに安心した体験を提供できる」と考える。
「エアクロモール」のユーザーは約7割が女性で、平均年齢は30代後半~40代前半。人気商品の1位は「寝具・マットレス」、「美顔器」「脱毛器」「一眼レフカメラ」と続く。「使用することで価値が伝わる商品が人気」という。

コロナ禍で進む「お試し消費」
天沼社長と西川社長の対談では、コロナ禍で加速している「お試し消費」を中心にディスカッション。「エアクロモール」連携でメーカーが得るメリットについても語った。
選択肢が広がるのは必然だった
「お試し消費」が進む状況について、天沼社長は「選択肢が広がるのは必然だった」と説明。従来までの消費行動は「必ず来店して自分で購入する商品を探して決める」というものだった。しかし、「Eコマースの登場などにより、新しい選択肢が増えるのではないか」と天沼社長は予想する。
コロナ禍により、家での体験を見直す機会が増え、マットレスなどもどうするか検討するようになる。そのとき、「家で試して買う」という体験は納得感が増すため、どんどん広がっていき、「お試し消費」が新しい選択肢になるのは必然ではないだろうか。(天沼社長)
体験することでブランドに安心感を持ってもらえる
創業455年目となる西川は、寝具の販売だけでなく、40年ほど前から日本睡眠科学研究所をスタート。「良い睡眠をとる環境はどのようなものか」など「睡眠科学」の研究を行い、寝具においても科学的・物理的面からアプローチしているという。
研究成果を反映した商品を「エアクロモール」を通じてユーザーに体験してもらうことで、西川社長は「『良い物は良い』と理解してもらう良い機会を得た。商品を体験してもらうことで、ブランドに対する安心感を持ってもらえる」と語る。
「エアクロモール」での体験をきっかけに、店舗での販売につながるケースも出ている。店舗ではマットレスだけでも幅広いバリエーションがある。さらに枕など寝具全般を含め、睡眠環境作りから提案でき、長期顧客につながったという。
ブランド価値の向上と複合的に商品を購入してもらえる、最終的に購入単価が上がることにつながり、生涯購入額が上がるという結果が出ている。(西川社長)
一般的に店舗とレンタルはトレードオフの関係にあると言われているが、西川の「エアー」シリーズは順調に売り上げを伸ばしているという。西川社長は「体験の感想が口コミとして広がり、そこから安心を得て商品の購入につながる流れができているのではないか」と分析する。

メーカーにとって「新しい販売チャネル」になる
エアークローゼットの原点には、「多くの情報や物が溢れるなか、どうしたら人々が限られた時間の中で自分のライフスタイルに適した物、本当に気に入る物に出会えるか」という考えがある。
原点を踏まえ、ユーザー、メーカー、エアークローゼット全員が良い関係を構築できるサービスを考えるなかで「エアクロモール」は生まれた。天沼社長は「メーカーにとって、『エアクロモール』はシンプルで新しい販売チャネルだと捉えてもらいたい」と言う。
「エアクロモール」は「商品のレンタル」という新たなチャネルとして、既に商品やブランドを知っている顕在層(顧客)、テレビや雑誌、SNSなどでメーカーの商品を知る潜在層それぞれに対し、販売促進が行えるという。
顕在層に対しては、「知っている商品を購入する以外の方法=レンタルがある」という情報の提供につながる。潜在層に対しては、これまで認知できていなかった層への商品やブランドのアプローチが可能だ。(天沼社長)
エアークローゼットの代表取締役社長兼CEO 天沼聰氏

「体験してから買う」という新しい判断基準を創造
従来の購入方法はCMや口コミを見る、店頭で見て購入するといったものだ。しかし、CMでは商品の良い面が取りあげられ、口コミでは「良い」と思う判断基準が人によって異なるため、失敗リスクがある。また、店頭で見てから購入する場合も、商品を実際に見て店頭で試すことはできるが、自宅などで実際に使うと「予想と違った」というギャップが発生する可能性がある。
「エアクロモール」は、実際に商品の使い心地や機能を体験してから購入することで、実体験に基づいた購入判断が可能になるという。
消費行動が多岐に渡るなか、所有経験をしてから商品を購入するという新しい選択肢を提供したい。購入のきっかけ作りに貢献し、メーカーのファンになるという体験を「エアクロモール」を通じて提供したい。(天沼社長)
「継続して利用することで価値を感じられる商品は、店頭だけの訴求では本質的な価値がわかりにくい」と天沼社長。そのため、「エアクロモール」のキーポイントは、マットレスや美顔器など、「店頭では見るが、なかなか試せない商品がラインナップにあること」だ。
「エアクロモール」は「体験を届けるプラットフォーマー」
「エアクロモール」はサービス開始以降、四半期ベースで前年同期比50%増の売り上げ成長を続けているという。達成要因について、天沼社長は「『エアクロモール』はあくまでも体験を届けるプラットフォーマーに過ぎない。価値ある商品を提供しているメーカーのおかげだ」と言う。
毎月追加している商品は全て「メーカー公式の商品」として提供している。「体験したユーザーがメーカーのファンになってもらうことを、一番の価値として提供している」と強調する。
商品体験で上位商品の購入につながるケースも
エアークローゼットは「エアクロモール」会員にアンケートを実施。調査の結果、96%が「買う前に試すECは初めてだった」と回答し、77%が「まずはレンタルして使ってみたかった」と回答した。
良かった点については、「試してみないと効果がわからない商品が試せること」が1位で、2位は「メーカー公認なので安心できること」だった。この結果を受け、天沼社長は「メーカーは商品を使用することで『ファンになること』を意識するが、ユーザーも長い付き合いを意識しているのだと感じた」と分析する。

「購入せず、試せて良かった点」についてのコメントでは、「試した上で価格帯が上の別のモデルを購入した」「管理面も含めて多面的に検討できる」といった意見があったという。

こうしたコメントは「エアクロモール」のサービスに生かすとともに、メーカーに対するフィードバックとして、商品提案にもつなげられるという。「試して納得してもらう、納得したからこそ長くメーカーのファンになる場を提供していきたい」(天沼社長)。
サービスを横断した取り組みやファン同士の交流を検討したい
今後の展望について、西川社長は「『エアクロモール』と連携している各ブランドのファン同士が交流していくことが大事」と言う。また、サービスを横断して、マットレスのように長期的に体験する商品と、短期的にレンタルで切り替えていく商品を連結していくことで、「非常に面白い取り組みになるのではないか」と考えている。

たとえば、現在弊社が取り組んでいるIoT寝具でユーザーの体調や気分を読み取り、それにマッチする洋服やアイテムを提案する。そうしたことができれば、新しいワクワクする感動をユーザーに提供できるのはもちろん、ユーザーの強い味方になってくれるのではないか。(西川社長)
天沼社長は「メーカーと一緒に公認で、という点に一番こだわりを持っている」とし、今後商品数を増やしていくと述べる。また、それ以上に「現在連携しているメーカーの商品体験や魅力の伝え方を改善し、よりファン作りを強化したい」と語る。
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オリジナル記事:エアークローゼット天沼社長と寝具メーカー「西川」社長が語る「メーカーの新しい販売チャネル」「コロナ禍のお試し消費」
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ネットイヤー、トライバルメディアハウスを売却
ネットイヤーグループは、連結子会社のトライバルメディアハウス(TMH)の株式を、TMH代表取締役社長の池田紀行氏、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、クオラスなどに売却する。
子会社の異動(株式譲渡)のお知らせ
https://www.netyear.net/e/wp-content/uploads/2021/03/0e571e01a60fb022ad4d5e2415865e34.pdf
NTTデータと共に進める「攻めのDX」 石黒不二代氏が語るネットイヤーグループの成長戦略とは?
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/2103/29/news136.html
バナー広告のクリック率は通常の3倍。コロナ危機意識の啓発企画「#ようせいです」はなぜ必要だったのか
「超PayPay祭」最終日の取扱高が前回比で約1.8倍、単日ベースで過去最高を記録

ヤフーが2021年3月1日~28日に実施した大規模キャンペーン「超PayPay祭」で、PayPayボーナスなどの付与率が最も高くなる最終日(3月28日)の取扱高(「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」の合算)が、前回の「超PayPay祭」最終日(2020年11月15日)と比較して約1.8倍となった。単日における過去最高を記録したという。
3月27日、28日は「楽天市場」の「お買い物マラソン」が実施されていたこともあり、出店者からは「注文がものすごく伸びている」「パンク状態」「(配送業務のことを考えると)やばい」といった嬉しい悲鳴もあがっていた。
「コジマPayPayモール店」「Joshin web」「ヤマダデンキ PayPayモール店」などの家電量販店では、自動調理鍋や食洗器などの調理家電や液晶テレビや洗濯機などの高額家電が好調。「LOHACO PayPayモール店」ではビールやお米、「ZOZOTOWN PayPayモール店」ではTシャツやスニーカーが売れたという
商品ランキングTOP10(全体)※3月28日単日の集計
- 1位:ダイソン Dyson V7 Slim サイクロン式 コードレス掃除機
- 2位:美顔器 デンキバリブラシ
- 3位:ケノン 脱毛器
- 4位:AirPods Pro
- 5位:popIn Aladdin 2
- 6位:ファンケル 大人のカロリミット
- 7位:マイクロソフトSurface Pro 7
- 8位:コンタクトレンズ メダリスト ワンデープラス
- 9位: ReFa BEAUTECH DRYER
- 10位:ReFa FINEBUBBLE S シャワーヘッド
「超PayPay祭」は、11月11日を「いい(11)買物の日」に制定し、2015年から実施してきた毎年大規模セールが前身。2020年に名称を「超PayPay祭」に変更。2020年10月から11月にかけて実施した前回の「超PayPay祭」をさらに拡充した今回は、ヤフー、ソフトバンク、PayPay、Zホールディングスと経営統合したLINEが、オフラインとオンライン、双方で大規模セールなどを約1か月にわたり展開した。
Zホールディングスが2月3日に発表した2020年4-12月期(第3四半期累計)連結決算によると、ショッピング事業の取扱高は前年同期比54.0%増の1兆943億円。アスクルBtoB事業やリユース事業などを含めたeコマース取扱高は同28.3%増の2兆4104億円だった。
2020年10-12月期(第3四半期)のショッピング事業の取扱高は同33.7%増の3947億円。eコマース取扱高は同33.0%増の9182億円。

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オリジナル記事:「超PayPay祭」最終日の取扱高が前回比で約1.8倍、単日ベースで過去最高を記録
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テレビCMでアクセスも新規訪問客も急増、見込み客を顧客に変えた菓子EC「cotta」のマーケティング&サイト改善事例

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、新規顧客とサイトアクセス、売り上げが“爆増”したECサイトがある。菓子・パン作りの材料や道具のネット通販などを手がける株式会社cottaが 運営するECサイト「cotta(コッタ)」だ。巣ごもり消費を捉え、2020年9月期の売り上げは2ケタ増。その後も右肩上がりで売り上げが伸びているという。「cotta」では何が起きたのか? 新規顧客急増の背景、アクセス増をコンバージョンにつなげる施策など、売り上げ“爆増”の裏側を取材した。写真◎吉田 浩章
ネット通販、レシピ、BtoB、メディアなどを展開する業界最大級のECサイト「cotta」
「cotta」は菓子・パン作りの材料や道具のネット通販、菓子やパンのレシピコンテンツを展開する日本最大級のECサイトである。月間アクセス数は約2900万PV(2020年2月時点)、会員数は119万人(2020年9月時点の個人、法人、モール、ゲスト会員の合計会員数)、SNSフォロワーは87万人(Facebook、Instagram、Twitter、LINE、Pinterest、YouTubeのフォロワー数の合計)にのぼる。

cottaの2020年9月期連結売上高は前期比22.8%増の78億6000万円。cotta単体では現在、主に4事業を手がけており、最も業容が大きいのはBtoC事業。個人顧客や個人店を対象としたECサイト「cotta」を運営し、菓子やパン作りに必要な食材、道具、ラッピングアイテムを販売。2020年9月期のBtoC売上は33億円で前年比56%増と大幅に拡大した。

このほか、「cotta」と同一のプラットフォーム上で運営する法人会員向け「cotta business(コッタビジネス)」などのBtoB事業を展開。全国の菓子・パン店・飲食店などに、食材から道具までをワンストップで販売している。
3つ目はメディア事業。月間アクセス数約2900万PVのトラフィックを活用し、クライアント企業のプロモーションやPRを支援するサービスや、自宅にいながら受講できる菓子・パンの通信講座、一流のパティシエや料理研究家によるオンラインレッスンを手がける。

ECサイト「cotta」が業界最大級と評されるゆえんの1つに、PB(プライベートブランド)商品の展開があげられる。成長が鈍化した2013年。仕入れ商材の販売がメインだったcottaは「商品力」の不足に気付く。独自性のある商品をそろえるために、オリジナル商品の開発を強化。このPB商品が2020年の新規顧客、売上増の“起爆剤”となる。
現在約3万点のアイテムを販売しているが、その約半分はPB商品だ。自社でイチから企画して製造・加工しており、売上高に占めるPB比率は年々上昇。お客さまが繰り返し買い物する大きな要因となっている。新規顧客も同様で、最初に購入する商品のジャンルにおいてもPB比率は高い。新規顧客獲得という意味での入口商品、かつLTV(顧客生涯価値)向上につながる重要な商材になっている。(cotta EC事業マネージャー・黒須則彦氏)

1年で49万人の新規会員増加、「新たな気付き」「攻めの戦略」「課題」を得たTVCM
消費行動の大きな変化が起きた2020年。cottaは巣ごもり消費などの需要を獲得するため、初の試みとなるテレビCMに着手した。このテレビCMは、「新たな気付き」「攻めの戦略」を採用する契機となった一方、顕在化した課題の解消など、ビジネス面での大きな転換期となる。
話をテレビCMに戻そう。マスマーケティングの効果は絶大的で、BtoC事業の新規会員は1年で49万人増加。2020年9月期末時点の累計会員数は119万人まで拡大した。
初のテレビCMは2020年1~2月、福岡県を対象にテストマーケティングの位置付けで実施。その後に行った消費者アンケート調査によると、テレビCMで「cotta」を認知して「使ってみたい」という顧客層は、既存顧客層の7.3倍に増加。テレビCM実施後の「cotta」の認知率は、放送前9.0%から25.9%に向上した。
cotta初のテレビCMは九州の一部地域で放映したほか、インターネットでも配信した。テレビCMはバレンタイン商戦でのcottaの認知度向上を図る狙いもあり、バレンタイン需要期(1/20~2/14)における新規会員登録件数は過去最高を記録。「売り上げも順調に推移するなど、一定の効果を得ることができた」(黒須マネージャー)

テレビCMは認知度の向上やアクセスの増加につながったが、想定よりも売り上げは伸びなかったという。つまり、新規訪問客の伸びに対して、計画よりもコンバージョンにつながった件数は少なかった。
黒須マネージャーはメンバーとその分析を急いだ。出した仮説は、新規のアクセスが増えても「買いやすい商品がないからコンバージョンにつながっていないのではないか」。そこで、新規訪問者をコンバージョンにつなげるためのキット商品が必要と判断。そして、巣ごもり消費が加速した2020年5月の緊急事態宣言中、1万人にパンキットを無料進呈するキャンペーンを実施した。
cottaにとって初のパンキット商品。大きな反響があった。その影響を受けて2020年9月、再度無料パンキットのテレビCMを実施。約25万人の新規会員を獲得した。
2020年夏のテレビCMにおける新規の会員登録数は約25万人で、商品購入にもつながった。ブランド認知度は向上し、製菓材料通販カテゴリにおける純粋想起率は大手通販サイトを抑え1位となった。その後、「cotta」の指名検索も上昇した。テレビCMを実施する前からデジタルマーケティングの投資は増やしているが、マスマーケティングの影響を受けて刈り取りが促進できており、テレビCMの効果は大きいと感じている。(黒須マネージャー)

バケツに穴が開いている状態の「cotta」。真水がほぼ出てしまう課題
cottaのテレビCMは、「菓子作りをしたい」という気づきのない潜在ユーザーに対して菓子作りニーズを喚起、顕在化したユーザーをコンバージョンにつなげるという戦略だ。
だが、テレビCMでアクセス数や新規会員ボリュームは増えたものの、一定のコンバージョン獲得、継続利用といったLTVの向上といった点には大きな課題が残った。この先、2024年9月期までに約25億円のマーケティング投資を計画するcotta。テレビCMで浮き彫りとなった課題解消は急を要した。
cottaは中期経営計画で売上高100億円の会社をめざすことを掲げた。テレビCMでニーズを創造し、デジタルマーケティングでコンバージョンにつなげ、CRMでLTVを引き上げる戦略を策定。これは、これまでの戦略からの大きな転換となった。テレビCMがきっかけで浮かび上がった課題の1つが「サイト内検索」。「cotta」はバケツに穴が開いている状態で、テレビCMで真水をどんどん入れても、その多くが出ていってしまう状況。すぐにふさぐ手立て対策を考えた。(黒須マネージャー)
cotta EC事業マネージャー・黒須則彦氏
2020年8月まで使っていたサイト内検索は、「既にAIを活用したものを導入しており、検索性能としては悪くはなかった」(黒須マネージャー)。だが、安定性に欠けており、障害が頻発。2020年2月にテレビCMを行った際も、サイト内検索で障害が発生した。気づいてから復旧までは相応の時間を要し、サイト内検索が未稼働の状態でテレビCMの放映が続いた。
この反省点を踏まえ、「安定している『サイト内検索サービス』を実装したかった」(黒須マネージャー)。ただし大前提として、ユーザーの検索ワードに対して正しい検索結果を返すリクエストの精度も重要視し、サービスを選定した。
サイト内検索は、表示ロジックのチューニングなどの負担が大きい。「なぜこの検索ワードでこの商品が表示されないのか」など、気軽にサービス提供企業に問い合わせした場合の対応力などは重要視した。コミュニケーションのしやすさや回答の精度は、導入後の運用や今後の機能追加を考えた場合、とても重要だと感じていた。(黒須マネージャー)
「サイト内検索サービス」の選定を始めたのは2020年3~4月。「サイト内検索」を提供するベンダー各社のサービスを比較検討、実際に各社のサービスを導入している企業のECサイトを使うなどの検証を行った。検索の精度や正確性、それを裏付けるロジックなどを比較・検討した結果、NTTレゾナントの「goo Search Solution(グーサーチソリューション)」の導入を決めた。
選定期間は約2か月。導入決定後の開発着手から4か月で新しいサイト内検索をローンチした。

「goo Search Solution」でCTR、CVRの大幅改善を実現
「goo Search Solution」は、導入するECサイトに蓄積するユーザーの行動ログを学習し、検索結果を常時最適化するのが特徴だ。またポータルサイト「goo」で24年間にわたって蓄積した「表記ゆれ辞書」が利用できるほか、導入企業のログからも自動でサイト独自の「表記ゆれ辞書」を生成。人の手では対応できない部分の表記ゆれまでサポートする。
どのようなECサイトでも、サイトの特性やユーザーの行動はすべてログに蓄積される。このユーザーの行動ログをAI(人工知能)が解析することで、「サイトの特性を反映した」検索結果の提供が可能だ。検索の基本である高速レスポンス、サイト独自の仕様や新機能などの要望に柔軟に対応している。

「goo Search Solution」を導入した「cotta」では、ゲスト購入、会員購入、レシピコンテンツ、ラッピング、法人会員向け「cotta business」というKPIの5項目すべてで、サイト内検索結果からのCTR(クリック率)が改善。特にレシピコンテンツでは導入前(2020年9月)の45.7%から2021年2月には54.3%へと8.6ポイント改善している。
上述のKPI5項目のCTRは、右肩上がりで改善し続けている。これは「goo Search Solution」の導入から数か月経過し、AIが「どのキーワードで検索された時」に「何の商品を出すべきか」を学習し続けその効果が顕著に表れてきているのだ。
従前のサイト内検索でも、AIを活用していたため、その精度に大きな差異はないと考えていた。しかし、検索エンジンを入れ替えたその成果は、想定とは異なり大きく改善したのだ。「goo Search Solution」ではAIがすべてサイト内検索の表示結果を最適化しているため、cotta側で手運用を一切していない。スタッフの作業を増やすことなく、コンバージョンに直結する数値を改善――。こんな理想的なECサイト運用を実現した。

個人、法人に適した検索結果を表示するパーソナライズを実現
ECサイトの「バケツの穴」をふさぎ、買い物体験の向上を実現するために「goo Search Solution」を選定したわけだが、cottaは他のECサイトよりも優れたCX(カスタマー・エクスペリエンス)を追求するため、ユーザーごとに検索結果を最適化する「パーソナライズ機能」も導入した。
パーソナライズ機能は、「cotta」を使う個人ユーザーや個人店、法人会員でそれぞれ、サイト内検索の表示結果が変わるという。
訪問者の購入や閲覧の履歴から興味や関心を分析。たとえば、個人客、法人もしくは個人店が同じキーワードで商品を検索しても、ユーザーごとに表示される商品が異なるのだ。
菓子屋さん、パン屋さん、カフェ、飲食店など、cottaが重視している業種・セグメントごとに分類、検索した結果を学習させるという提案を受け、採用した。同じワードをサイト内検索に入れても、分類した業種・セグメントごとにコンバージョンしやすい上位表示する仕組みを構築した。機能としても見え方としても同じ「サイト内検索」だが、確実に成果が変わっている。(黒須マネージャー)
たとえば小麦粉。個人ユーザーが小麦粉を「cotta」のサイト内検索で探した場合、1kgや2.5kgのサイズの小さい商品が上位表示される。これが個人店や法人会員になると、25kgなど大きなサイズの小麦粉が上位表示されるのだ。

「パーソナライズ機能」を導入した結果、コンバージョン率(CVR)は大きく改善。法人会員向け「cotta business」では、2020年9月に3.0%だったCVRが2020年12月に4.8%へと改善した。

こうした「goo Search Solution」の「パーソナライズ機能」を活用するcottaの取り組みについて、NTTレゾナントの北岡恵子氏(スマートナビゲーション事業部)は次のように話す。
同じサイトを訪れるユーザーでも、年齢や性別、場合によっては地域や趣味嗜好などで消費の傾向は異なる。こういったサイトの特性に合ったセグメントごとの傾向を把握しサイト内検索サービスへ反映すると、コンバージョンに影響が出てくる。(NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏)
NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏
CVに大貢献のレシピコンテンツ、「鮮度」よりも出会いを創る「おすすめ度」が重要
cottaのECサイトには、コンバージョンに寄与する競合にはない特徴がある。それはレシピコンテンツだ。サイト訪問者のコンバージョンに貢献している全体のコンテンツの内、レシピが占める割合が圧倒的に高いという。

「cotta」のユーザー行動で一般的なのは、特定商材の目的買いではなく、「何を作ろうか」と考えてECサイトを訪問、レシピを確認してから材料や道具を買うというもの。「何か作ろうか」というユーザー行動を解決するのがレシピコンテンツであり、すぐにその目的を実現する場としてECが機能し、コンバージョンに大きく寄与しているという。
「goo Search Solution」は商品だけではなく、レシピコンテンツにも実装。キーワードに適したコンテンツを検索結果として表示できるようにしている。「cotta」のレシピコンテンツを軸とした商品購入導線に、「goo Search Solution」導入が大きな変化をもたらした。
「goo Search Solution」の実装でレシピの活用法が大きく変わった。以前のレシピは、鮮度が重要だと考えていたため新着順で記事を表示していた。既存のお客さまには、新しいレシピとの出会いが重要だと考えてきたためだ。テレビCMによって新規訪問者や顧客が急増。その人たちにとって大事なのは「出会い」。総合的に考えて、鮮度よりも「作ったら喜んでもらえるレシピ」との出会いが重要ではないかと考えた。コンテンツに関するデフォルトの表示順を、新着順から「goo Search Solution」の推奨する「おすすめ順」に変えた。(黒須マネージャー)
「小麦粉」でサイト内検索した際のイメージ
その効果として上述したレシピコンテンツにおけるCTRの8.6ポイント改善にもつながった。「キーワードと関連する良いコンテンツ(ユーザーの行動を喚起するコンテンツ)が上位に表示されるようになった。会員層が広がりそのユーザーニーズに対応できた」(黒須マネージャー)

また、「cotta」におけるロイヤルカスタマー創出の道筋も見えてきた。
テレビCM起点で展開しているキット商品はあくまで新規顧客を獲得するための入り口商品であり、それだけではロイヤルカスタマー化しない。テレビCM、キット商品の開発、サイト内検索サービスの改善などから見えてきたことは「体験の重要性」だった。
自分でイチから菓子やパンを作り、家族や友人に喜んでもらえる経験がロイヤルカスタマーにつながることがわかった。cottaにとってはこの体験の提供が極めて重要になる。キット製品などをきっかけに訪問してきたユーザーが「何か作りたい」といった時に、最適なレシピコンテンツを提供。興味・関心などを想起し、ほしい商品はサイト内検索ですぐに表示される、購入できる――。こんな体験の提供がロイヤルカスタマー化には重要になる。(黒須マネージャー)
「cotta」で扱う商品アイテム数は3万点超、レシピコンテンツもある。そのため、ユーザーは「目的の商品やレシピへすぐにたどり着きたい」「買い物で失敗したくない」といった消費心理が働いているのだろう。それを踏まえ北岡氏はこう説明する。
ロイヤルカスタマー化の実現には、ECサイトでの細かな気配りも重要になる。3万点以上の商品、加えてコンテンツが掲載されていると、その実現は容易ではない。大幅なリソースを増やすことなく買い物体験を向上するECサイトの実現には、AI活用が1つの手段となるだろう。(北岡氏)

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消費者が選ぶ価値が高いブランドランキング、1位はYouTube、2位にGoogle、3位にユニクロ、4位に無印良品【2021年】

日経BPコンサルティングが実施したブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2021」によると、消費者が選ぶブランドイメージでYouTubeが1位を獲得、2位にはGoogle、3位にはユニクロが入った。YouTubeの1位は2年連続。
企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1000ブランドを対象に、一般生活者が評価。「フレンドリー」「コンビニエント」「アウトスタンディング」「イノベーティブ」という4指標から総合力を算出した。
YouTubeはブランド力を構成する要素のなかで、イノベーティブ(革新性)とコンビニエント(利便性)への評価が高い。イノベーティブランキングでは1000ブランド中、3位で、コンビニエントランキングでは5位だった。これらの因子を維持したことが首位獲得につながった。

2位のGoogleは前回6位から順位を上げた。テレワークや遠隔学習の普及がChromebook、ビデオ会議ツールのGoogle Meetがさらなる追い風に。自粛でGoogle Playなどモバイルアプリ全体の総ダウンロード数は30%近い伸びを見せた。
さらに、人工知能(AI)を活用して新型コロナウイルスの感染者数などを予測する取り組みが日本でも2020年11月からスタート。その結果、フレンドリー(親近性)、アウトスタンディング(卓越性)、コンビニエント(利便性)の指標が向上した。
ユニクロ(3位)はコロナ禍でも売り上げが好調。ルームウエアやヒートテック毛布が売れ筋で、ECの販売も伸びた。4位は無印良品で、5位ソニー。EC専業系ではAmazonが7位、楽天市場は80位だった。
総合力が最も伸びたのはワークマンで、2020年中も店舗数を増やしてきた。カジュアルウエアを求める新規客が増加しており、主力の作業着では空調ファン付きのジャケットなどがヒットした。「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」といった新規業態も注目された。

「ブランド・ジャパン」は国内で使用されているブランドを一般生活者とビジネス・パーソンが評価する日本最大規模のブランド価値評価調査プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が21回目となる。一般生活者編は企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1000ブランドを対象に調査した。
調査概要
- 調査期間:2020年11月10日~12月6日
- 調査対象:18歳以上の男女
- 調査方法:Web調査
- 回収数:4万1000サンプル
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