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広告に頼りすぎずにECサイト運営をするには? 「PESOモデル」を活用した体系的なPR+その施策の方法を理解しよう | 広告に頼りすぎない! ECのPR戦略を徹底解説

1ヶ月 1 週間 ago
ECサイト運営で重要な、ショップ・商品・ブランドのPR。「広告費をたくさんかけられない」といった課題解決につながる実践的なPR施策を解説します

「SNS投稿を頑張っているけれど、今のままで良いのかわからない」「広告に費用をかけても、相応の効果が得られるか不安で利用していない」など、ECサイトを運営するなかで、効果的なショップの宣伝や集客に悩んでいる事業者さんも多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではPRを体系的に理解し、ECサイト運営に役立つ実践的なPR施策について解説します。

PRを体系的に理解する「PESOモデル」とは?

近年はデジタル環境の進化やSNSの浸透により、情報発信の選択肢が増えました。以前は、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといったマスメディアが中心でしたが、今は企業や個人が自ら情報発信できる時代になりました。

企業が自社で運営するウェブサイト、ブログ、SNSアカウントは、それ自体が情報を発信するメディアとしての機能を持っています。個人が運営するブログやSNSアカウントも情報の発信源となり、時にはマスメディアを上回る影響力を持つこともあります

情報発信が手軽になった一方で、単発的に発信するだけでは効果が限られてしまいます。大切なのは、それぞれのメディアを連携させ、相互に作用させることです。そうすることで、発信の効果を最大化できます。その考え方をわかりやすく整理したのが「PESOモデル」で、メディアを4つの種類に分けています。

  • Paid Media(ペイドメディア/広告):広告費を支払って、情報を掲載するメディア
  • Earned Media(アーンドメディア/メディア掲載・口コミなど第三者発信):第三者の評価や信頼を獲得して取り上げられるメディア
  • Shared Media(シェアードメディア/SNSなどの共有メディア):ユーザー間の共有や拡散が中心となるメディア
  • Owned Media(オウンドメディア/自社メディア):自社で所有・管理し、自由に情報発信するメディア
GMOペパボ PR PESOモデルとは
「PESOモデル」に含まれるメディア

これらの内、どれか1つだけに偏ってもPRの効果は十分に発揮されません。相互に連携することで相乗効果が高まり、結果的に中長期的なブランド価値の向上や認知拡大につながるのです。

Earned Media(アーンドメディア)で信頼を築く

アーンドメディアは、メディアの記事、口コミ、SNS投稿などを通じて、第三者の視点で自社の商品やサービスが紹介される領域です。広告とは異なり、客観的な情報として受け止められやすく、高い信頼性が得られるため、消費者の関心や購買意欲につながりやすいという特長があります。

取り組みやすい方法の1つが、プレスリリースの配信です。「やり方がわからない」「大きな会社が実施するものだと思っている」「費用が高い」といった理由から、まだ着手していない人も多いのではないでしょうか。プレスリリースは、ショップの規模に関わらず配信することが可能です。

「PR TIMES」「valuepress」などの配信サービスを利用するほか、地域の新聞社、フリーペーパー、専門メディアなどに直接リリースを送ることも可能です。新商品発売の背景や開発ストーリー、地域色や社会性を含む話題はメディアが関心を持ちやすいテーマで、意外な広がりが生まれることもあります。

他にも、ECサイトのレビュー機能を活用して、ユーザーのリアルな声を集めることもアーンドメディアの重要な施策です。レビューやコメントは、メディア向け資料、自社サイトでの商品やサービスの実績・支持の裏付けとして活用でき、PR活動を後押しする強力な材料となります。次に紹介するシェアードメディアの発信ネタとしても活用できます。

GMOペパボ PR レビューツールの活用事例 UZUiRO
レビューツールの活用事例(画像は「UZUiRO(ウズイロ)」のサイトからキャプチャ)

Shared Media(シェアードメディア)で共感を広げる

シェアードメディアは、SNSを通じてユーザーが主体的に情報を共有してくれる場です。企業が直接コントロールするのではなく、共感や話題性によって自然に広がっていくという特長があり、うまく活用すれば、費用をかけずとも大きな拡散が期待できます。その方法の1つに「SNS投稿キャンペーン」や「ハッシュタグ活用」があります。

ECサイトの特集ページと組み合わせて、「父の日ギフト」や「うちの人気No.1商品」などのテーマを設け、それに関連したキャンペーンを実施し、ユーザーが自然に投稿したくなる仕掛けを作ることが重要です。

ほかにも、アーンドメディアで紹介した「商品購入後のレビュー投稿」をSNSやショップページで二次活用することも効果的です。ユーザー発信のコンテンツは、共感の輪を広げる貴重な資産になります。

Owned Media(オウンドメディア)で深掘りする

オウンドメディアは、自社がコントロールできる領域です。ECサイトのブログ、特集ページ、メルマガが含まれます。近年では商品ページをコンテンツ化しているショップも多く、商品ページに生産者インタビューや動画などを掲載して、SEO効果を得る取り組みも見られます。

GMOペパボ PR 商品ページにレシピを掲載して、コンテンツとしても発信している かわしま屋
かわしま屋」さんは商品ページにレシピを掲載して、コンテンツとしても発信しています
(画像は「かわしま屋」のサイトからキャプチャ)

SNSとは違った「深さ」のある情報発信が可能になるので、メディアが取材ネタを探している際にたどり着いてもらえることもあるでしょう。

メディア掲載実績をサイト内に掲載することもおすすめです。メディア掲載情報が更新されていると、メディア側にとっても「情報が整理されている」「信頼できるショップだ」という安心感につながります。さらに、サイト訪問者にとっても「注目度の高い商品・ブランドである」という印象を与えることができ、購入意欲の向上にも効果的です。

ただし、メディアによっては記事の全文転載やロゴの使用に制限がある場合があります。そのため、不安な場合は掲載前に必ずメディアに確認を取り、掲載可能な範囲で紹介するようにしましょう。

GMOペパボ PR テレビで紹介された商品を特集ページに掲載 かごしまぐるり
テレビで紹介された商品を特集ページにまとめて掲載している「かごしまぐるり」さん
(画像は「かごしまぐるり」のサイトからキャプチャ)

Paid Media(ペイドメディア)を効果的に活用する

ペイドメディアは広告です。ショップが行っているさまざまなPRとの組み合わせによって、費用対効果を最大化できます。

たとえば、メディア掲載記事を広告配信(XやInstagramの広告)として展開することで、PR効果をより多くのターゲットに届けることができます。また、SNS投稿などによって興味を持ちサイトを訪問したユーザーに対して、広告で再アプローチして購買を促進するリターゲティング施策も有効です。PRと広告を組み合わせ、ユーザーとの接触回数を増やすことで、購買率の向上が期待できます

PR効果を最大化する3つのヒント

ECサイトのPRを成功させるために、次の点を意識して取り組むことが重要です。

ストーリーテリングを重視する

単に商品スペックや価格の情報を発信するだけではなく、「なぜこの商品を作ったのか」「どのような思いが込められているのか」「どんなお客さまに届けたいのか」といった背景やストーリーを語ることで、購入者やメディアの関心を惹きやすくなります

物語性のある商品は、消費者の共感を呼びやすく、自然とシェアされたり、話題作りのきっかけになったりします。ストーリーが共感を生むことで、商品紹介を超えたブランド価値の醸成にもつながるでしょう。

長期的な視点を持つ

PRは短期的に売り上げへ直結することもありますが、基本的には長期的に効果を発揮する取り組みです。単発で大きな成果を生む場合もありますが、本質は継続的な発信を通じて、ブランドの認知を少しずつ積み上げていくことにあります。

認知から信頼獲得、購買、ファン化というパーチェスファネルの流れを意識し、長期的なブランド価値の向上をめざすことが重要です。一時的な売り上げよりも、継続的なブランド信頼の積み上げがリピート購入や口コミ効果を生む原動力になります

カラーミーショップ GMOペパボ パーチェスファネル
長期的なブランド向上をめざすために、パーチェスファネルの流れを意識する

効果を測定し、改善する

PR施策の効果は必ず測定しましょう。ECサイトの訪問数、売り上げの変化、SNS上での言及数、エンゲージメント(いいね、コメント、シェア)などを確認し、何が効果的だったのか、改善点を見つけたら次回の施策にしっかり反映させていきましょう。効果測定を重ねることで、自社にとって最適なPRの型やタイミングが見えてきます。

広告に頼りきらないEC運営へ

多くのEC事業者は、広告やSNS投稿には積極的に取り組んでいる一方で、プレスリリース配信などのPR活動には、まだ手をつけられていないのが実情です。

だからこそ、今から取り組めば競合との差別化にもつながりやすくなります。またPRを考えることで自社ECを改めて見直すこともできます。

  • 他店にない強みはどこか
  • 商品が生まれた背景
  • なぜECを立ち上げようと思ったのか

今ある情報を振り返り、自社の強みやストーリー、PRにつながる要素を整理することから始めてみましょう。整理を進めるうちに、自社ECサイトに不足している機能や、追加すると効果的な機能に気づけることもあります。

たとえば、レビュー機能、ブログ機能、特集ページ、DMなどまだ手つかずだった施策があるかもしれません。こうした取り組みを「PESOモデル」に沿って少しずつ積み重ねていくことで、着実にPR活動を強化していけます。

次回は、実際にEC事業者がどのようなPR活動をしているか、その事例をご紹介します。

ECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」では、ECサイトと同一ドメイン下で「WordPress」を運営できる機能「WPオプション」を無料で提供しており、これからメディア運営を始める方も取り組みやすい環境が整っています。

興味をお持ちの方はぜひ一度ご覧ください。詳しくはこちら

石川 あずみ

ヘアケア・スキンケア商品「ツバキ」「ウーノ」などのファイントゥデイ、スタンダード市場へ株式を上場

1ヶ月 1 週間 ago

ヘアケア・スキンケア商品「ツバキ」「ウーノ」などのファイントゥデイホールディングスは11月5日、東証スタンダード市場に株式を上場する。

ファイントゥデイホールディングスの前身は資生堂グループのパーソナルケア事業。2021年7月に欧州の大手投資ファンドであるCVCキャピタル・パートナーズの傘下に入る形で分離独立、ファイントゥデイ資生堂として事業を開始した。2023年にファイントゥデイへ商号変更、2025年1月に持株会社制へ移行した。ヘアケア、スキンケア、ボディケア製品の生産・販売などの事業を展開している。

ファイントゥデイホールディングスの前身は資生堂グループのパーソナルケア事業。2021年7月に欧州の大手投資ファンドであるCVCキャピタル・パートナーズの傘下に入る形で分離独立、ファイントゥデイ資生堂として事業を開始した。2023年にファイントゥデイへ商号変更、2025年1月に持株会社制へ移行した。ヘアケア、スキンケア、ボディケア製品の生産・販売などの事業を展開している
ファイントゥデイの変遷図(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

主なブランドはヘアケアの「fino」、「TSUBAKI」、スキンケア「SENKA」、男性向け化粧品の「uno」、中国・香港で展開しているボディケアブランド「KUYURA」、制汗剤の「エージーデオ24」。研究開発から生産、マーケティング、販売が一体となったビジネスモデルで、日本を含めアジア16か国・地域で展開する。

2024年12月期の売上高は前期比7.2%増の1073億9500万円、当期純利益は同93.2%減の9億8800万円だった。

鳥栖 剛

白衣ECのクラシコ、グロース市場へ株式を上場。ビジネスモデルと成長の可能性は?

1ヶ月 1 週間 ago

白衣ECのクラシコは11月5日、東証グロース市場に株式を上場する。

クラシコは2008年の創業。医療現場で働く医師や看護師などの医療従事者をターゲットに、白衣・スクラブ(上下分かれた医療ウェア)・患者衣・周辺小物などのメディカルアパレル商品の企画、開発、販売を手がける。

オリジナル白衣のEC販売を始めたのは創業した2008年12月。オリジナルブランドの白衣やスクラブ、患者衣の販売を、ECと実店舗によるBtoB、BtoCで展開している。

常設の実店舗は東京・大阪・名古屋・横浜の4か所、全国でポップアップストアを展開。海外販売も進めており、越境ECと代理店を通じたグローバル展開を2025年8月現在で、日本を含む14の国と地域で展開している。海外向けの公式オンラインストアのほか「Tmall」に出店。グローバル会員数は8万200人でリピート率は51.9%を誇る。

白衣を取り巻く市場は、国内・グローバルともに成長していると説明。新興国の医療インフラの整備に伴い、医療従事者人口の増加、メディカルアパレルの需要が増加すると見られているという。

白衣ECのクラシコは11月5日、東証グロース市場に株式を上場する
クラシコのグローバル会員数は8万人を超える

クラシコの2024年10月期の売上高は前期比26.8%増の30億6100万円、経常利益は5500万円(前期は1億7500万円の赤字)、当期純利益は2800万円(前期は1億1900万円の赤字)。

上場による調達資金は海外展開、広告宣伝、新商品開発、人材採用、借入金の一部返済に充当する予定としている。

従業員数は86人、平均年齢は36.9歳、平均勤続年数は3年、平均年収は557万5000円。

クラシコは、7月に入院セットの販売など入退院前後に関わるサービスを提供するエランの連結子会社になっている。エランは医療情報専門サイトを運営するエムスリーの連結子会社。

鳥栖 剛

店研創意の「ストア・エキスプレス」がレビュー投稿数4.9倍、CVR1.64倍に成功したレビュー施策とは?

1ヶ月 1 週間 ago

店舗やオフィスの設計・施工から什器・備品の製造販売までを一貫して手がける店研創意は、自社ECサイト「ストア・エキスプレス」でレビューマーケティング施策を実施したところ、レビュー投稿数が従前の4.9倍に増えたという。

店研創意はレビュー施策を始めた5月よりも以前、ECシステムの標準のレビュー機能を利用していたものの「レビューがほとんど集まらない」「商品ごとのレビュー内容など、傾向分析が難しい」といった課題を抱えていた。

加えて、「レビューを広告クリエイティブやECサイト内でも活用し、CVRを向上させたい」「レビューの内容を商品開発や配送などの関係部署に共有し、改善サイクルにつなげたい」「TOPページに新着レビューウィジェットを表示し、コンテンツとして活用したい」「レビューの質を担保したうえでより多くの顧客の声を集め、購入検討者の不安解消につなげたい」といった考えもあった。

5月にecbeing傘下のReviCoが提供するレビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo」を導入。自社ECサイトでは次のような改善効果が見られた。

  • 月間レビュー投稿数が4.9倍に増加(2025年6月〜8月の3か月間と前年同期間の比較)
  • レビュー投稿時、「業種」の設問を用意し回答を得ることで、同業者のレビューを参考にできる仕様にアップデート
  • レビューを閲覧したユーザーのCVRが、非閲覧ユーザーと比較して、1.64倍増
  • 管理画面でレビューを社内共有するため、「商品要望」「物流・配送」、「商品機能(良い)」などのラベルを付与。レビューの活用を推進
  • トップページに自動更新の新着レビューウィジェットを設置
トップページの新着レビューウィジェット例
トップページの新着レビューウィジェットの例
  • 幅広い商品にレビューが集まり、カテゴリなどの商品一覧ページに商品ごとの星評価や件数が増加
商品一覧ページのレビュー活用例
商品一覧ページのレビュー活用例
  • 商品の魅力をスタッフが投稿し、商品ページに表示できるフローを確立
スタッフレビューの活用例
スタッフレビューの活用例
  • 全体のレビュー投稿数のうち、「ReviCo」が運用するレビュー投稿キャンペーンの応募率が50%超

導入後は投稿数が飛躍的に増加し、従来1か月かかっていた件数を1週間で獲得できるようになった。今後はレビュー分析やデータ活用を一層進め、サイト全体の信頼性およびCVR向上につなげていく。(店研創意 ストアエキスプレス事業部 通信販売部 プロモーションチーム 山口 紀子氏)

大嶋 喜子

【GEO調査】取り組む上での課題は「知識・ノウハウ不足」。86.4%が「生成AIを意識した対策が必要」

1ヶ月 1 週間 ago

ZETAが実施したアンケート調査「GEOの認知・関心度」によると、回答者の約9割が「生成AIを意識した対策が必要」と回答した。調査期間は2025年8月19日~20日、調査対象はマーケティング・PR関連業務を担当している男女103人。

約9割が「生成AIを意識した対策が必要」

生成AIによる検索(「ChatGPT」「Gemini」など)を意識した対策を行っているか聞いたところ、「一部対策している」「今はしていないが、今後対策したい」(いずれも41.7%)が最多で、次いで「明確に対策している」(14.6%)だった。回答者の86.4%が生成AI対策を前向きにとらえていることがわかった。

ZETA GEOの認知・関心度に関する調査 生成AIを意識した対策に関する調査結果
生成AIを意識した対策に関する調査結果(n=103、出典:ZETA)

GEOへの取り組み、92.3%が意欲的

生成AI経由のWeb流入に関して「変化は感じない」と回答したユーザーのうち、92.3%が「前向きに検討中」、7.7%が「現時点で予定はない(将来的には取り組みたいと考えている)」と回答した。生成AI経由のWeb流入の影響を実感する前から、GEOへの取り組みに意欲的な傾向が見られた。

ZETA GEOの認知・関心度に関する調査 GEO(生成AI最適化)への取り組み予定に関する調査結果
GEO(生成AI最適化)への取り組み予定に関する調査結果(n=22、出典:ZETA)

59.4%が「GEOへの知識・ノウハウが不足している」と回答

GEOに取り組む上での課題について聞いたところ、最多は「知識・ノウハウが不足している」(59.4%)で、次いで「社内リソースが足りない」(48.4%)「効果の測定が難しい」(43.8%)だった。GEO対策において、人材・知識・検証体制の面で課題を感じているユーザーが多いことがわかった。

ZETA GEOの認知・関心度に関する調査 GEO対策の課題に関する調査結果
GEO対策の課題に関する調査結果(n=64/3つまで選択可、出典:ZETA)

調査概要

  • 調査名称:GEOの認知・関心度に関するアンケート調査
  • 調査期間:2025年8月19日~20日
  • 調査対象:マーケティング・PR関連業務を担当する男女103人
  • 調査方法:インターネット調査
藤田遥

ワコールが始めたアクティブでいたい“令和の新シニア世代”応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」とは

1ヶ月 1 週間 ago

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した。

現代のシニア世代は、心身ともに若々しく毎日を楽しむアクティブシニアが増加、価値観が多様化していると言われている。ワコールは顧客調査や顧客インタビューなどを通してシニア市場を分析したところ、自分らしさを大切にしていることが判明。企業とのコミュニケーションも、従来の一方的な情報発信や画一的な商品提案ではなく、「共感」や「参加」を求めていることがわかったという。

「ACTIEVA」では商品開発に加え、カタログマガジン、Webサイト、ポップアップショップ、セミナーなどを通じて多面的なコミュニケーションを展開していく。

現代のシニア世代の企業とのコミュニケーションの考え方の変化に応じ、

  • 共感(=生活者の想いや不安に寄り添う情報発信)
  • 共創(=一緒に体験し、学び合えるアクティビティの提供)
  • 共生(=日常に溶け込み、長く寄り添う商品の開発)

という3つの視点を軸に、「令和の新シニア世代」が求めるコミュニケーションを実現するため、「ACTIEVA」を立ち上げた。

カタログマガジン

ワコールと「令和の新シニア世代=アクティーバ女子」をつなぐ、コミュニケーションツールとして発行。商品を紹介するカタログ機能のほか、健康やファッションなど、アクティーバ女子が気になる話題をピックアップした誌面で構成する。10月発行の創刊号は、おでかけシーズンの到来をテーマにした「おでかけ時のお悩み解決」や「おしゃれでらくちんなファッションアイテム」を特集。11月から全国の一部百貨店・量販店にて配布予定。

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した
カタログマガジン創刊号の表紙

公式サイト

2025年10月にオープンする。カタログマガジンをベースにした内容を掲載し、発行にあわせて随時アップデートする。シニア層にとってデジタル上での課題でもあった購買時の不安や戸惑いを解消するため、読み物コンテンツなどでの理解促進や「ワコールウェブストア」での商品検索・購入サポートなども行う。

ポップアップ

「ACTIEVA」の世界観を体感できる場としてポップアップショップを大分トキハ本店にオープン。「ワコール推しアイテム」をセレクトして展開する。大分トキハ店は10月23日から11月26日までの展開予定。11月中旬からは全国の一部百貨店・量販店の既存売場にて、カタログマガジン「ACTIEVA」と連動したコーナーも順次展開予定としている。

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した
ポップアップショップの展開イメージ

セミナー

アクティーバ女子と直接交流できる場としてセミナーを順次開催する。長年にわたり女性のからだを研究し続けてきたワコールの研究結果をわかりやすく紹介。今日からできる簡単エクササイズなどを提案する。希望者には「ワコール推しアイテム」の試着体験も用意する。

商品も開発、尿もれ対策パンツを発売

10月23日には、市販の吸水パッドと併用して着用する「おでかけ楽パンツ」を発売。アクティブシニアの悩みの1つである尿もれへの不安を軽減し、外出をより安心して楽しめる商品という。全国の取扱店舗、ワコールウェブストアをはじめとするECサイトで展開する。

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した
「おでかけ楽パンツ」

ワコールがシニア世代に対して実施したアンケート調査によると、「新しくはじめたいことは?」という質問への回答の1位は「運動・ダイエット」(34%)、2位が「旅行」(22%)だった。

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した
旅行などが新しくはじめたいことに

一方で、約3割(28.8%)は1年以内に尿もれを経験しており、そのなかの約2人に1人が「おでかけ時にトイレが間に合うかどうか」という不安を感じているという。

ワコールは10月2日、自分らしくアクティブでいたい令和の新シニア世代」の応援活動プロジェクト「ACTIEVA(アクティーバ)」を始動すると発表した
2人に1人が尿もれに不安

そこで、紙おむつに抵抗感のある方でも着用しやすい、下着に近いアイテムとしてパッド併用型のパンツを企画。尿もれの不安を軽減して外出を楽しめるよう、「おでかけ楽パンツ」を開発したという。

鳥栖 剛

【Z世代・Y世代女性の購買行動】気になった商品は「即購入せず悩む」が約6割、良し悪しの判断はZ世代「一般人のSNS」、Y世代「レビュー・口コミ」

1ヶ月 1 週間 ago

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表した。

衝動買いではなく、成分や効果を確認して類似商品と比較したり、本当に必要かよく考えてから購入する買い物スタイルは近年、「ロジカルショッピング」や「ロジカル買い」と呼ばれている。調査では、買い物の仕方やトレンドに変化が起きているなか、どのような基準で買い物をしているのかを調べた。 その結果、特にスキンケアや食品・飲料について成分や素材をチェックしてから購入する女性が多いこと、成分や素材まで見るようになったきっかけ、参考にしている情報源などが明らかになった。なお、調査は15~28歳を「Z世代」、29~44歳を「Y世代」と定義し、世代別で回答を比較した。

成分や素材のチェック

気になった商品は即購入せず悩むかどうかを質問したところ、「悩む」が21.8%、「どちらかというと悩む」が41.0%だった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
気になった商品を即購入するのは4割弱

悩む理由は、価格、服では素材、化粧品では成分、食べ物では産地・添加物などさまざま。成分や素材をチェックする割合は7割以上に達した。チェックする理由は「納得して購入できる」「安心なものを選びたい」と続いた。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
7割が成分や素材をチェック

特にどのようなカテゴリの商品をチェックしているかを質問、世代別で比較したところ、1位は両世代で「スキンケア」(Z世代:40.0%/Y世代:45.2%)、2位は「食品・飲料」(Z世代:36.0%/Y世代:44.8%)だった。Y世代は「衣類・ファッション小物(40.8%)」「日用品(31.2%)」でもチェックする割合が多かった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
成分素材をチェックするカテゴリはスキンケアがトップに

成分や素材をチェックする理由は「納得して購入できるから」(41.7%)がトップだった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
チェックする理由は「納得して購入できる」がトップ

成分や素材をチェックしない人にもその理由を聞いたところ、1位は「見ても良し悪しを判断できないから」(34.3%)だった。「SNSやネット情報、口コミで十分判断できるから」という回答も22.1%に上り、他者目線での情報も活用して買い物している傾向も見られた。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
チェックしない理由のトップは「見ても良し悪しを判断できない」

成分や素材をチェックするようになったきっかけ

成分や素材をチェックするようになったきっかけも聞き、世代別で比較した。Z世代では「使っているものが合わないと感じたから」が29.1%で1位。「家族の影響で」(21.4%)、「SNS上の一般人の影響で」(17.6%)、「タレントやインフルエンサーの影響で」(12.6%)、「タレントの中でも『推し』の影響で」(9.9%)と続いた。

Y世代も1位はZ世代と同じ「使っているものが合わないと感じたから」(38.2%)だったが、2位は「使っているものの効果に納得いかなかったから」(25.3%)となり、Y世代の方が、自身の経験から行動を変える傾向にあるようだった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
成分や素材をチェックする理由は「使っているものが合わないと感じた」がトップ

成分や素材チェックの情報源

どんな情報源を参考に判断しているのかも調査した。Z世代では「一般人のSNS投稿」(41.2%)、「インフルエンサーのSNS投稿」(36.8%)が上位にありSNS投稿を重視している。「商品のレビュー・口コミ」はZ世代で40.1%、Y世代では49.4%。Z世代・Y世代共に比較的多くの人がレビューなどを活用している。Y世代では「過去の自身の経験から」(33.1%)と回答した割合も3割以上いた。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
SNSが情報源のトップに

質と価格の安さどちらを取るか

見た目や味には差がないとき、「価格がやや高いが質が良いもの」か「少しでも価格が安いもの」どちらを選ぶか聞いてみたところ、およそ半々という結果となった。カテゴリでは、「コスメ・スキンケア」は質の良さ、「ファッションアイテム」は価格の安さを取る回答者がやや多かった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表

成分や素材、質を調べることにどれくらい時間をかけているかを商品カテゴリ別で聞いたところ、それぞれ約半数が数十分~数時間程度だった。時間をかけている人が比較的多いのは「サプリメント」、少ないのは「食べ物」だった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
成分や素材を調べる時間は「食品」が一番長いという結果に

店舗で気になる商品を見つけた時、成分をネットで「必ず調べる」という割合は13.2%。「調べることが多い」(40.2%)も含めると半数以上だった。。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
店頭で見つけた商品の成分をネット調べるのは5割強

さらに、コスメ・スキンケア商品を購入する際に「質の良さと価格の安さどちらを重視するか」の調査結果との相関を見たところ、商品の成分を調べる時間を取っている人ほど、最終的に質が良いものを選んでいるという傾向が見られた。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
成分を調べる時間を取る人ほど、最終的に質が良いものを選んでいる

コスメ・スキンケア・ヘアケア一式当たりの予算

世代別で、普段使いしているコスメ・スキンケア・ヘアケア一式当たりの予算も聞いた。コスメ一式の平均予算はZ世代が6541円、Y世代が5972円、スキンケア一式の平均予算はZ世代が5330円、Y世代が6230円。Z世代はコスメ、Y世代はスキンケアによりお金をかけている。ヘアケア一式の平均予算はZ世代が3386円、Y世代が3056円だった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
Z世代とY世代では化粧品類の予算に差がみられた

「ロジカルショッピング」の認知度

「ロジカルショッピング」という言葉の認知度も調べた。「ロジカルショッピング」「ロジカル買い」という言葉の意味を知っている割合は5.8%にとどまった。「聞いたことはある」(15.4%)を含めても約2割。「ロジカルショッピング」といった流行を意識せず、自分に必要なものを都度検討して買い物をしていることがわかった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
ロジカルショッピングの認知度は約2割に

最後に、これからの秋冬の季節に向けて、ベースメイク・ポイントメイクやスキンケア、ヘア・ボディケアにおいて重視する成分は夏と変えるか聞いた。その結果、半数近くが変える予定であることが判明。具体的には「乾燥しやすかったり、季節の変わり目で肌が荒れやすかったりするので、保湿力のある製品を使うことを徹底」「ヘアケアは重めのオイルに変える。保湿効果の高いスキンケアに変える」「夏は美白、冬はエイジングケア」「冬はシートマスクを使用する頻度を増やしている」といった声があがった。

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは10月6日、全国の女性500人を対象に実施した「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」の結果を公表
秋と冬で重視する化粧品類の成分を変えるのは4割だった

eBay Japanは「ネットショッピングでは、販売ページ上で商品の情報を詳細に確認できるほか、複数の商品を比較しやすく、また成分や素材について気になる点はその場で調べることができます。『ロジカルショッピング』における利便性という観点からも、ネットショッピングの需要は高まっていくのではないか」と調査を総括している。

調査概要

  • 調査名:「Z世代・Y世代女性の購買行動に関する調査」
  • 調査期間:2025年7月29~31日
  • 調査対象:15~28歳の女性250人、29~44歳の女性250人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査会社:ネオマーケティング
鳥栖 剛

ビデオリサーチ、「CTV広告データ」を提供

1ヶ月 1 週間 ago

ビデオリサーチは、コネクテッドテレビ(CTV)におけるビデオ配信プラットフォームの広告接触を把握できるサービス「CTV広告データ」の提供を開始。テレビ視聴率と同一のパネルで計測しているため、テレビとCTVを横断した分析もできる。

https://www.videor.co.jp/press/2025/250925.html

noreply@blogger.com (Kenji)

【中小企業の広告でのAI活用】本格導入は6%、AI導入で広告予算平均23%削減や業務効率化といった効果を期待

1ヶ月 1 週間 ago

AmazonのAmazon Adsは9月30日、中小企業における広告でのAI活用に関する独自調査「AI in Advertising」の結果を発表した。

調査は中小企業でBtoCマーケティングの決済者300人を対象に2025年6月に実施。調査の結果、中小企業の多くは依然としてAI導入に対する壁を感じている一方、広告予算削減や業務効率化において高い効果を期待していることが明らかになった。

AIツールの認知と導入状況

中小企業のマーケティングに携わる決裁者の広告分野におけるAIツールの認知率は65%だった。特に「AI画像生成ツール」(87%)、「AI広告コピー制作ツール」(77%)といったクリエイティブ制作に直結する領域で認知度が高い一方、AIの本格導入は6%にとどまった。

AmazonのAmazon Adsは9月30日、中小企業における広告でのAI活用に関する独自調査「AI in Advertising」の結果を発表
AIの本格導入は6%にとどまった

AI導入の課題

多くの企業が試験導入や計画段階(26%)にとどまっており、33%は検討すら始めていない状態。AI導入に踏み出すことができない理由として、半数以上の企業が「導入・運用コストへの不安」(51%)を抱えている。「仕組みや効果への理解不足」(32%)、「AI出力結果への信頼性の問題」(20%)も課題にあがっている。

AmazonのAmazon Adsは9月30日、中小企業における広告でのAI活用に関する独自調査「AI in Advertising」の結果を発表
広告分野の課題としては導入・運用コストなどがあげられた

AI活用への期待

AI導入によって広告予算の平均23%削減効果が期待されるほか、AIツールの導入を検討している企業の77%が「広告キャンペーンのパフォーマンス向上を確信している」と回答した。

また、導入を検討している企業の98%が「今後1-2年でAIがビジネスに影響をもたらす」と予測。具体的には「人員増加なしでの業務拡大」(40%)、「市場トレンドへの迅速な対応」(33%)、「新規オーディエンスの開拓」(29%)、「マーケティングROIの改善」(29%)といった成果を期待していることがわかった。

AIの活用シーンはすでに明確になりつつあり、「ビジュアル作成」(38%)、「インサイト分析」(37%)、「広告コピー作成」(33%)といった日常業務の効率化や質的向上に直結する活用への関心が高まってるようだ。

AmazonのAmazon Adsは9月30日、中小企業における広告でのAI活用に関する独自調査「AI in Advertising」の結果を発表
AI導入によって広告予算の平均23%削減効果が期待される

調査概要

  • 調査名称:AI in Advertising
  • 調査実施機関:Amazon Adsの委託によりOpiniumが実施
  • 調査期間:2025年6月12~23日
  • 調査対象:日本の中小企業におけるBtoCマーケティング決済者300人/製造業、商業・小売業から教育・文化事業に至るまで、様々な業界のサンプルを含んでいる。
鳥栖 剛

STRACT、各EC販路の商品データを最適化する「PLUG Commerce Gateway」を提供。欠損はAIが自動で生成・補完

1ヶ月 1 週間 ago

ショッピングアシストアプリ「PLUG(プラグ)」のSTRACTはこのほど、EC事業者向けに商品データ管理を支援するサービス「PLUG Commerce Gateway(プラグ コマース ゲートウェイ)」の提供を10月末をめどに開始すると発表した。AIを活用し、各EC販路への商品情報の自動生成、在庫の自動連携といった機能を搭載。現在、テスト運用の段階で複数の事業者が利用しているという。

「PLUG Commerce Gateway」は導入企業の自社ECサイトへの送客を強化する
「PLUG Commerce Gateway」は導入企業の自社ECサイトへの送客を強化する

「PLUG」は、オンラインショッピングにおける最安値検索、割引クーポンやキャッシュバックなどを検索できる消費者向けショッピングアシストアプリ。現在、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Qoo10」などの主要ECモール、2200以上のECサイトと接続している。

「PLUG Commerce Gateway」はEC事業者向けのサービス。EC事業者の隠れた課題となりやすい煩雑な商品データ管理にアプローチし、スムーズなデータ連携と商品管理をAIで支援する。EC事業者の工数削減、売上アップに貢献し、EC企業のエンドユーザー(消費者)には質の高い買い物体験を提供するという。主な機能は次の通り。

  • データ連携:複雑な設定プロセスを排除し、直感的な操作で即座に連携する
  • AI自動最適化:各ECモールの特性に合わせた商品画像・説明文を自動生成
  • データ補完:欠損情報をAIが自動で生成・補完し、データセットを構築
  • データ自動更新:初回設定後は人的介入なしで自動的に最新状態を維持

EC事業者は最短当日で「PLUG」を通じて各EC販路へ商品情報の掲載を始められるという。商品データの欠損はAIが自動で生成・補完。各ECモール・プラットフォームのアルゴリズムに最適化された商品画像をAIが自動で最適化する。これにより、EC事業者は消費者に注目されやすいデータを常に提供でき、購買率アップを図ることができるという。商品データはリアルタイムで更新。80万人超の「PLUG」アクティブユーザーにリーチできるとしている。

最短当日の掲載が可能
最短当日での掲載が可能

「PLUG Commerce Gateway」を導入することで、EC企業は工数・コスト削減が見込まれるという。初期設定や日々発生する数十時間~数か月の手動作業を5分程度に短縮できるほか、代理店への業務委託も不要となる。

「PLUG Commerce Gateway」にユーザーが登録・ショップ申請すると、審査はSTRACTが即日対応。EC事業者が「Google Merchant Center」などから商品データを接続すると5分程度で連携が開始される。

初期費用、固定費は無料。「PLUG」経由で商品が売れた場合のみ、販売手数料を成果報酬として徴収する。

EC事業者にとって工数削減・コスト圧縮を見込む
EC事業者にとって工数削減・コスト圧縮を見込む

AI活用が進む現代はデータが重要。商品データの切り口からEC事業者向けのソリューションを提供する。「PLUG」は、大手ECモールよりも一段上のレイヤーにポジションをとり、EC全体をアグリゲートしていくイメージ。エンドユーザーの購買により近いところをとっていく。

STRACT代表 伊藤 輝 代表取締役社長
STRACT 伊藤 輝 代表取締役社長
大嶋 喜子
高野 真維

オムニチャネル、OMO――買い物時のストレスフリーな体験提供のために取り組んでいますか?【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

1ヶ月 1 週間 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年9月6日~10月5日のニュース

「『オムニチャネル』『OMO』はもうオワコンでしょ」と思っている皆さん、こんにちは! 実装していない・できていないのに、流行り廃りもありません。いまや「オムニチャネル」「OMO」は大手中堅企業では当たり前になってきたため、メディアでもあまり大きな話題として扱われなくなってきたイメージがあります。「ネッ担」でも月1くらいのペースでしか見かけていません。それであれば焦る必要すらある?! トレンドを追いかけてばかりで、自分たちのビジネスにそのトレンドがさまざまな理由でつながっていないことにいつも「焦って」いませんか? 「ハイプ・サイクル」で言えば、今は無理でも技術の成熟が訪れる時に向けてきちんと準備しておきましょう!

(ハイプ・サイクル:ガートナーが提唱する、イノベーションが登場してからメインストリームに至るまでの「成熟度」「妥当性」「採用率」を図示したもの。イノベーションは過度にもてはやされる期間を経たのちに幻滅期を迎え、最終的には特定の市場や分野でその重要性や役割が理解される段階を踏みながら進化するという説)

お客さまに何も意識せず・当たり前に完了する仕組み作りが大切

「オムニチャネル」「OMO」「ユニファイドコマース」における決済の違いを解説! 押さえて起きたいメリットと課題 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14524

OMO:オンライン・オフラインを意識しない決済体験を提供する

(中略)

顧客が「オンラインで買ったのか、店舗で買ったのか」を意識することなくスムーズに購買できる点が大きな魅力です。

「OMO:オンライン・オフラインを意識しない決済体験を提供する」、このフレーズが個人的にめちゃくちゃパンチがありました。

3~4年前に「ボーダレス」という言葉を使っていましたが、OMOもオムニチャネルも「意識させない体験」が重要だと思っています。意識させてしまった時点で、一瞬止まってしまう=ストレスだと思いますし、今回の記事で言うと決済体験でもありますよね。

少し話がそれるかもしれませんが、お店で食事をした時に決済方法がわからないことがたまにあると思います。あれってすごくもったいないし、食事後にいつも「もやもや」してしまう。そういう状況があると思うと、支払い体験は買い物をする上で重要なことです。

その部分を「ストレスフリーにする」としっかり見ていることがすごいと思いました。この感覚は真似したいですね。

ユニファイドコマース:チャネルを意識しないシームレスな決済体験がポイント

(中略)

基盤そのものを統合して管理することが重要なポイント

日本はいろいろなサービスが分裂していますし、各企業がオールインワンを考えていて、アンエコシステムではあるので、なかなか統合しにくいなぁと思っています。中小企業がしっかりと統合するためには、ベンダーサイドの意識も変えていく必要があるのではないでしょうか。シームレスな仕組みを実現するために、裏側でしっかりとつなげていくということですね。

しっかり仕組み化して、そのデータをマーケティングにも役立てていく。けれど、大事なことは買い物をしてくれるお客さまに対して、何も意識せず・当たり前に・完了する仕組み化をきちんと考えて設計することですね。

EC事業者が考えるべきポイントは「投資の優先順位を決めること」

自社のリソースや成長段階に応じて、どこに重点を置くかを見極めることが、持続的な競争力を築く上で不可欠となります。

そして重要なのはやはりここです。私は中小企業で働いてきたので、基本的に主語をそこに置いていますが、「そうは言ってもねぇ」と考える気持ちはよくわかります。今回も事例で出てきたのは、「スターバックス」「TSIホールディングス」「無印良品」ですし。しかし、どのようなモノが自分たちにどういう体験を与えているのか――まずは自分たちが既存の世の中の仕組みを使って、日々意識して体験することが重要だと思っています。

その上で、実店舗構えているお店は、前回話をしたクロスポイントなどにも是非アンテナを立ててみてください。

また、今回出てきた「意識しない決済体験」「オンライン・オフラインを意識しない」、この辺りはすべてストレスのない体験の話かと思います。商品ページやサイト構築の時もそうですが、買い物時のストレスフリーな体験について、日々しっかり考えてもらえるとうれしいです。

要チェック記事

「カラーミーショップ」、『スワイプ型LP』作成機能を発表 スマホ・SNS時代の新たなスタンダードへ | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/16050

「ページの上部は見られているが、下の方まで見られていない」――スマートフォンが登場してから、どのショップさんでも課題になっています。機能はそろっても、やはり商品画像の部分が重要ですね。

法人間取引に特化したBtoB-EC構築プラットフォーム「makeshop BtoB byGMO」、GMOメイクショップが提供 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14838

B2Bのお客さまが多い「makeshop」ならではの、特化型カートですね。B2Bや越境は以前からありますが、今後はさまざまな商材において、攻められていない売り場が重要になりそうですね。

全国一律420円で荷物が送れるヤマト運輸の「こねこ便420」とは? 特長+ネコポスなどとの違い+今後の展望を担当者に聞いた | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14612

小型品の配送は右往左往していますが、「『こねこ便420』は価格が10円安く、補償額の設定がある」ことが、他との大きな違いですかね。それにしても420円って随分高くなったなぁ。

楽天9月スーパーセールが不振だった件と、年末に向けてどう巻き返すかという話 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/250922-rakuten-september-sale-review/

ジャンル毎に違うかもしれませんが、伸びている会社でも芳しくなかったところがあったみたいですね。ふるさと納税のポイントショック! ただ皆さん同じ状況だったので、10月からはまた「よーいドン」ですね。

海外拠点で失敗しない! 物流会社選びの実践ステップと採点法 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2509/22/news015.html

カートの情報はあれど、海外物流の作り方はあまり情報がないですもんね。海外進出を考えているショップさんは、是非参考にしてみてください。

EC物流調査:75%以上が「翌日配送」にこだわらず、カゴ落ちの最大要因は「想定外の送料」と判明 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/73060

2025年の「楽天新春カンファレンス」でも「『あす楽』は実は……」という話がありましたが、「配送スピードならAmazonで、それ以外は別のお店で」という頭になっていますよね。ただ送料だけは、なかなか「出かける労力」とイコールにはならないですね。

「全体像が見えないと、自分の業務も見えてこない」AIの使い手になって、販促業務の効率を高め続けています。|「EC運営ステップアップコース」卒業生インタビュー | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/250915-ecoloco/

全体像を把握するというのは、前職でも重要視していました。パートさんが多かったので、全体像を見て、自分が今何をしていて、どういう意図で仕事をしているのかは、何をするにも重要なポイントかなと。

今週の唸った・刺さった・二度見した

「カッコいい」とか「頭が良い」って何?千葉雄喜が日米ラップに思う事を告白!「肉を食うのやめた」のはナゼ?今読んでいる本は「吉本ばなな」“自分の系譜”と語る「めっちゃ影響を受けた」人物とは?【落合陽一】 | NewsPicks /ニューズピックス(YouTube)
https://youtu.be/sC2bLmyXyAo?si=4QdH97rkiJhS4zWP

アメリカのラップって言う正解があって、その正解をやってるっていう、人が多い感じが多い気がする。なんかこうであるべきとか、こういう人がいるからこうやってる。

前回に続いてラッパーのお話ですが、今回は「チーム友達」でも有名な千葉雄喜さんのインタビューに出てきた一節。今回は誰かに教えたいというものではなく、一人で勝手に「は!」っと我に返った一言です。

まがりなりにもデータを扱っていて、コンサルティングという職業なので、どうしても自分のなかで世の中の普通・正解を保とうとする「守り」があり。それは、自分が何かを始める時の一歩目もそうです。気付いたらいつも正解を探している気がするなかで、「確かに」と納得したインタビュー。正解があって「それを」と言うこともあるけれど、「そうではないモノを作っていく」ことが正解になる時もあるよね、と。

歳をとるのは良いこともあるけれど、忘れてしまう「攻め」の気持ちをふとしたきっかけで思い出させてもらえるのは良いですよね。

今回もラッパーを紹介しましたが、これは刺さる人・刺さらない人がいるとは思います。価値や正解を再度考えさせられたインタビューでした。それではまた来月。最後までご拝読ありがとうございました。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

中林慎太郎

ベガコーポレーションの「LOWYA」、渋谷に体験型ストア。「インテリアの楽しみ方を自由に発見し、体験できる、他にはないコンテンツの数々を企画」

1ヶ月 1 週間 ago

家具販売のベガコーポレーションは12月、家具・インテリアブランド「LOWYA」初の体験型ストア「LOWYA渋谷宮益坂店」を期間限定でオープンする。

「LOWYA」では2023年にリアル店舗「LOWYA九大伊都店」をオープンし、現在では全国10か所に実店舗を展開。今回は、東京都・渋谷区の宮益坂下交差点に面する「りそな銀行 旧渋谷店」を改築し、1階・2階のフロアを活用した体験型ストア「LOWYA渋谷宮益坂店」をオープンする。

「LOWYA渋谷宮益坂店」は、「インテリアを、自由気ままに。」というビジョンを体感できるブランド初の体験型ストア。トレンドが集まる渋谷ならではの商品の陳列、ユーザーがインテリアの楽しみ方を自由に発見し体験できる、他にはないコンテンツの数々を企画しているという。詳細は11月頃に発表予定としている。

店舗概要

  • 店舗名:LOWYA渋谷宮益坂店
  • 住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目20-11 渋谷協和ビル1階・2階
  • 開業時期(予定):2025年12月
  • 店舗面積(予定):約660平方メートル(約200坪)
鳥栖 剛

自社ECの売上が昨対176%を達成! バッグ小売り「サックスバー」がOMOに成功したワケとは | E-Commerce Magazine Powered by futureshop

1ヶ月 1 週間 ago
OMO推進で飛躍的に自社ECの売り上げを拡大した東京デリカ。実店舗と自社ECの会員データ、ポイント共通化、店舗受取(BOPIS)などを実施して新規顧客獲得、リピーター増加につなげています

消費者の行動が多様化している時代に、小売企業はお客さまとどのようなコミュニケーションを取るべきなのでしょうか。その問いに対する答えの1つとして、OMO(Online Merges with Offline)を推進している企業があります。バッグ小売りの国内最大手※1サックスバー ホールディングスの中核子会社で、全国に539店舗を展開している東京デリカです。

2018年にOMOを本格的に開始し、実店舗と自社ECサイトの会員統合、ポイントの共通化、店舗受取(BOPIS)、オンラインとオフラインが連動したキャンペーンなど、買い物体験の向上につながる施策を次々と導入。実店舗やECサイトの役割を“商品を売る場所”から“価値を届ける場所”へと進化させ、一貫性のあるブランド体験を提供してきた結果、自社ECサイト「SAC’S BAR ONLINE STORE(サックスバーオンラインストア)」の売上高が前期比176.1%※2に拡大するなど大きな成果を上げています。

今回のインタビューでは、東京デリカが取り組んでいるOMOの全体像やOMOを実現した方法のほか、新規会員獲得につながった施策、リピート購入を促進するCRM、在庫最適化によって機会損失を削減した方法などを紹介します。

OMOの取り組みが小売企業にどのような変革をもたらすのか、その一端をご覧ください。

この記事では、次の内容を紹介しています

  • 東京デリカが推進しているOMOの概要
  • OMOに取り組んでいる理由と、これまでの成果
  • 会員データの統合、ポイント共通化、店舗受取(BOPIS)などを実現した方法
  • 新規会員獲得およびリピーターの増加につながった施策
  • アプリダウンロード100万件超を達成した方法

※1 出典:NIKKEI COMPASS「日経NEEDS業界解説レポート 鞄専門店」 / フットウェアプレス「2024年版 靴・バッグ・資材 売上ランキング260社」

※2 出典:株式会社サックスバー・ホールディングス 2025年3月期 決算説明会資料

株式会社東京デリカは「SAC’S BAR」など複数のショップブランドを持ち、合計539店舗(2025年3月末時点)を展開している

【取材にご協力いただいた方】

東京デリカ 第3商品部 デジタルマーケティング室
SAC’S BAR公式webサイトショップマスター 岡部 友貴氏

【インタビュアー】

フューチャーショップ 取締役 安原 貴之

東京デリカの事業概要とECの現状

フューチャーショップ 安原(以下、fs安原): はじめに、東京デリカさんが手がけている事業について教えてください。

株式会社東京デリカ 岡部さん(以下、岡部さん):弊社はバッグや財布、雑貨類などの小売りを行っている企業です。店舗数は2025年3月末時点で合計539箇所。「SAC’S BAR(サックスバー)」「GRAN SAC’S(グランサックス)」「LAPAX(ラパックス)」「DOUX SAC’S(ドゥサックス)」など、コンセプトが異なる複数のショップブランドを展開しています。

fs安原:EC事業の現状をお聞かせいただけますか?

岡部さん:2025年3月期のEC売上高は27億8500万円でした。現在運営しているネットショップは自社ECサイトとECモールを合わせて約10店舗です。EC売上高に占める自社ECサイトの割合は約1割ですが、伸び率は前期比76.1%増で、ECモールと比べて高い成長率を維持しています。

fs安原:自社ECサイトの運営やフルフィルメントは、どのような体制で行っているのでしょうか。

岡部さん:「SAC’S BAR ONLINE STORE(サックスバーオンラインストア)」の運営は私が所属している第3商品部 デジタルマーケティング室が担当しています。

サイト運営や商品登録、ランディングページの制作、ささげ、モデル撮影、販促企画、UI改善などは社内で行い、制作業務の一部や広告運用は外部パートナーと連携しています。在庫管理や出荷業務などのフルフィルメントは、千葉県内にある自社倉庫のEC専用エリアで行っています。

なお、ECモールの店舗運営やフルフィルメントは、自社ECサイトとは別の部署が担当しています。

フューチャーショップ 東京デリカ サックスバー サックスバーオンラインストア
自社ECサイト「SAC’S BAR ONLINE STORE(サックスバーオンラインストア)」は2015年に「futureshop」でオープンした。2020年からは「futureshop omni-channel」で運用している

東京デリカが推進しているOMOの現在地

fs安原: 近年はOMOを推進していますね。これまで、どのようなことに取り組んできたのでしょうか。

岡部さん: 2018年にOMOを本格的に開始し、さまざまな施策やサービスを導入してきました。

たとえば、実店舗に在庫がない商品を店頭のタブレット端末で注文し、実店舗に取り寄せたりお客さまの自宅に直送したりする「リアル店舗EC」を2018年に開始しました。

2020年には「futureshop omni-channel」を導入し、実店舗と自社ECサイトの会員データの統合、および、ポイントの共通化を行いました。

そして2023年には、自社ECサイトの受け取り方法として店舗受取(BOPIS)を導入したほか、実店舗の在庫を自社ECサイトやアプリに表示する機能も実装しています。

そのほか、実店舗ごとにSNSアカウントを運用し、店舗スタッフがコーディネートを発信するなど、オンラインとオフラインが融合した、さまざまな取り組みを進めています。

fs安原:実店舗とECが連動したキャンペーンも実施していますね。

岡部さん:はい。毎月開催している大型イベント「鞄祭(かばんさい)」は、実店舗と自社ECサイトのどちらで購入してもポイントが10倍貯まり、対象商品は10%オフになります。

イベント以外の期間も、人気商品や新着アイテムなどをECサイト・アプリ・SNSなどで発信し、同じ商品を店頭のPOPで訴求するなど、実店舗とオンラインの連動を意識しています。

フューチャーショップ 東京デリカ 東京デリカが推進しているOMO

購買行動の変化に対応してOMOを開始

fs安原:OMOを推進している理由を、お聞かせいただけますか?

岡部さん:一言で表現するならば、お客さまに、より良い買い物体験を提供するためです。

お客さまの購買行動が多様化し、実店舗とECを併用するお客さまが増えたことで、実店舗とECを分けた運営体制では対応しきれない場面が増えました。

現代の消費者は、オフラインとオンラインを行き来しながら買い物をします。実店舗で実物を見た上で、家に帰って、じっくり考えてからECサイトで購入するお客さまもいらっしゃるでしょう。あるいは、ECサイトで商品を注文し、会社帰りなどに実店舗で商品を受け取りたいというお客さまも少なくありません。

お客さまが、いつでも好きな場所で買い物ができるように、ECと実店舗の境界をなくし、自然にサックスバーのどこかで買い物ができる体験を理想として、OMOを推進しています。実店舗・EC・アプリ・SNSといったチャネルの垣根を超えて顧客接点を創出し、ブランド体験の一貫性を高めていくことを重視しています。

fs安原:OMOを開始する前は、どのような課題があったのでしょうか。

岡部さん:自社ECサイトと実店舗の会員情報が一元化されていなかったために、販促の精度が上がりにくく、施策の一貫性を保てないことが課題でした。

また、ECと実店舗で在庫が分断されていたため、実店舗には在庫があるのにECサイトでは「完売」と表示されるなど、販売機会を逃すケースも多かったです。

fs安原:そういった課題は、OMOを推進してきたことで解消できたでしょうか。

岡部さん:はい、着実に解消が進んでいます。

販促施策に関しては、実店舗と自社ECサイトの会員情報を統合したことで、チャネルをまたいだCRMやキャンペーンの展開、セグメント配信などが行えるようになりました。

また、リアル店舗ECや店舗在庫の表示機能などを導入した結果、在庫の偏在による機会損失を防ぐことができています。

東京デリカ 第3商品部 デジタルマーケティング室 SAC’S BAR公式webサイトショップマスター 岡部 友貴 氏
東京デリカ 第3商品部 デジタルマーケティング室 SAC’S BAR公式webサイトショップマスター 岡部 友貴 氏

OMOは「実店舗とECの双方に好影響」

fs安原:OMOは、売り上げにもつながっているでしょうか。

岡部さん:実店舗とECの双方に好影響を与えているという実感があります。

たとえば、実店舗で買い物をしたお客さまが、貯まったポイントを自社ECサイトで使うためにEC会員に登録するなど、実店舗とECの相乗効果が生まれています。さらに、そのEC会員に対してEC限定クーポンを継続的に配信し、リピート購入につなげるといった施策も奏功しています。

店舗受取(BOPIS)や店舗在庫の表示機能を導入したことで、お客さまの来店機会を生み、接客や、ついで買いのチャンスにもつながっています。店舗受取(BOPIS)の対象は主にプライベートブランド商品です。店舗に在庫がなくても販売できるため、在庫リスクを抱えることなく販売機会を得られるメリットも大きいと考えています。

fs安原:店舗受取(BOPIS)の売り上げは、実店舗とECのどちらに計上しているのでしょうか。

岡部さん:自社ECサイトで決済した場合はEC売上として計上し、実店舗で決済した場合は店舗売上になります。なお、リアル店舗ECはすべて店舗売上です。

フューチャーショップ 取締役 安原 貴之
フューチャーショップ 取締役 安原 貴之

アプリ会員の獲得に店舗スタッフが貢献

fs安原:OMOを推進する上で、アプリ会員を増やすことも欠かせませんね。

岡部さん:おっしゃる通りです。アプリは会員証やポイント管理、店舗検索、ネットショップ、実店舗で使えるクーポンの配信など、さまざまな機能が集約されており、お客さまとの“接点”としての役割を担っています。

fs安原:アプリ会員を増やすために、どのような施策を打っているのでしょうか。

奥村さん:実店舗でのPOPの掲出や、店舗スタッフによる案内がメインです。実店舗で買い物をしたお客さまが店頭でお支払いする際に、アプリをダウンロードするとポイントが貯まり、そのポイントをECと実店舗のどちらでも使えることを説明しています。

フューチャーショップ 東京デリカ サックスバーのアプリでは新着アイテムや各種クーポン、スタッフコーディネートなど多彩なコンテンツを発信している
アプリでは新着アイテムや各種クーポン、スタッフコーディネートなど多彩なコンテンツを発信している

fs安原:店舗スタッフさんの貢献が大きいのですね。

岡部さん:そうですね。店舗スタッフの役割はアプリの案内にとどまらず、店舗受取のお客さま対応、ECサイトへのコーディネート投稿、実店舗ごとのSNS運用など、オンライン・オフラインを問わず広がっています。

fs安原:ECへの貢献度を考慮した人事評価制度などはあるのでしょうか。

岡部さん:2025年度から、人事評価制度の再構築に着手しました。現在は新制度への移行準備段階にあり、OMO領域における貢献度を含めた評価指標の策定も検討していくことになると考えています。

フューチャーショップ 東京デリカ

ツール導入効果とリピート促進の成功事例

fs安原:会員さんのリピート購入に効果があった施策をお聞かせいただけますか?

岡部さん:futureshopのデータ分析機能や「b→dash」などのツールを活用し、購買データや属性データなどにもとづくセグメント配信やレコメンドに取り組んだ結果、リピート購入の促進につながっています。

具体的には、お誕生日特典クーポンの提供、ポイントの有効期限を知らせるリマインドメール、カートに残った商品を通知するカゴ落ちメール、閲覧履歴やお気に入り登録にもとづく商品提案など、さまざまなセグメント配信を行ってきました。

今後は、お客さま1人ひとりに最適な体験を提供するパーソナライズ施策も強化していく方針です。レコメンドの精度向上を図るとともに、メールやアプリのプッシュ通知を活用したセグメント配信の精度も磨き、LTVの最大化を図っていきたいと考えています。

fs安原:新規のお客さまの購入促進につながった施策はあるでしょうか。

岡部さん:たとえば2024年夏に「unisize(ユニサイズ)」を導入した結果、バッグやスーツケースなど容量感やサイズ感が可視化され、サイズに関する購入前の不安や疑問の解消につながっています。「unisize」を導入してからサイズに関するお問い合わせの件数が大幅に減りました。サイズで失敗したくないと考えるお客さまがECサイトで購入する心理的ハードルを下げることができたと考えています。

フューチャーショップ 東京デリカ 「unisize」を活用し、バッグやスーツケースなどに収納できる物を可視化することで、容量やサイズ感をイメージしやすくした
「unisize」を活用し、バッグやスーツケースなどに収納できる物を可視化することで、容量やサイズ感をイメージしやすくした

ECはブランドやサービス価値を広げる中核チャネル

fs安原:東京デリカさんのビジネスにおいて、EC事業は今後どのような役割を担っていくと考えていますか?

岡部さん:EC事業は、自社のブランドやサービス価値を広げる中核チャネルの1つに位置づけています。実店舗とECのどちらが優位という考え方ではなく、顧客視点で最適な接点を柔軟に提供していくことが重要だと捉えています。

そして、ECは単なる販路ではなく、LTV最大化やファン化の基盤としての役割が、より強く求められていくと考えています。

fs安原:最後に、自社ECサイトの抱負や、中長期の目標をお聞かせください。

岡部さん:Z世代をターゲットとしたSNS施策やインフルエンサーマーケティング、スポーツや他業種とのコラボレーションなど、さまざまな施策を通じて新規顧客の獲得と認知度向上をめざします。プライベートブランド商品も拡充し、独自性をさらに高めていきたいです。

SNSマーケティングを活用した海外ECの強化や、店頭の購買データを活用したCRM施策の強化も計画しています。アプリの利便性向上や会員限定イベント、プレゼント企画なども通じて、顧客ロイヤルティの向上と商品・サービスのレベルアップも図ります。

2027年3月期までにアプリのダウンロード数を累計180万まで増やし、グループ全体でEC売上高を50億円超に引き上げることが目標です。

フューチャーショップ 東京デリカ

編集後記

バッグ小売りのリーディングカンパニーとして、OMOという新たな挑戦を続けている東京デリカさま。全国に539店舗を展開している強みを生かし、店舗受取やリアル店舗ECなどのサービスを展開することで、ブランド体験をより良いものへと進化させている企業姿勢が印象的でした。

さまざまな施策を通じて、ECと実店舗の好循環を生み出している同社の取り組みは、多くの事業者さんにとって示唆に富むものではないでしょうか。「より良い買い物体験を提供するために、やるべきことは、まだまだある」と熱を込めた岡部さん。東京デリカさんの、さらなる飛躍から目が離せません。

この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

E-Commerce Magazine

値上げラッシュで8割が家計への負担を実感。「ネットを使った購入を始めた」人は14.1%

1ヶ月 1 週間 ago

カウシェが実施した「物価上昇に関する消費者意識調査」によると、回答者の約8割が家計負担を実感しており、物価上昇によって「ネットを使った購入を始めた」という割合は14.1%だった。

調査対象はカウシェの買い物アプリ「カウシェ」を利用するユーザー1053人(全国)。調査期間は2025年9月25〜26日。

99%が家計負担を実感

帝国データバンクの発表によると、2025年10月は2025年で2番目に多い値上げ月となり、2025年全体の値上げ品目数は2年ぶりに年間2万品目を超えた。

カウシェはこうした状況を背景に調査を実施。値上げによる家計への負担を感じているかを聞いたところ、最も多かったのは「とても感じている」で81.6%、続いて「多少感じている」が17.7%、「あまり感じていない」が0.8%だった。「とても感じている」「多少感じている」を合わせると99%が家計負担を実感している。

値上げによる家計への負担を感じているか
値上げによる家計への負担を感じているか

節約の中心は食費

家計のやりくりで一番削ったものは「食費・外食費」が最多で47%、続いて「趣味・レジャー」が30.1%だった。生活に欠かせない支出のなかでも、まず食卓から見直す動きが見られた。

家計のやりくりで一番削ったもの
家計のやりくりで一番削ったもの

「米」と「野菜」の値上げが最も影響

最も値上げの影響を感じる食品は、「米」が最多で63.8%、続いて「野菜」が14.6%、「お菓子・飲料」が7.1%だった。

最も値上げの影響を感じる食品
最も値上げの影響を感じる食品

価格メリットを重視した消費行動にシフト

生活の中で値上げによって変えたことを聞いたところ、最も多かったのは「まとめ買い・特売を意識するようになった」で57.5%、続いて「賞味期限間近品などを買うようになった」が48.8%、「外食を減らした」が47.3%、「規格外野菜・訳あり品を買うようになった」が43.2%だった。

「ネットを使った購入を始めた」は14.1%だった。

生活の中で値上げによって変えたこと
生活の中で値上げによって変えたこと

生活者の“節約疲れ”と“前向きな工夫”

最近、値上げで困ったこと・工夫していることについて聞いたところ、「安い時に必要な分だけ買うようにしている」「備蓄米に移行してみている」「見切り品を利用している」「パンや麺に切り替えたり、雑穀や麦を混ぜてかさ増ししている」といったコメントがあがった。

調査概要

  • 調査期間:2025年9月25日〜26日
  • 調査方法:インターネット調査 
  • 調査対象:お買い物アプリ「カウシェ」を利用するユーザー1053人(全国)
大嶋 喜子

AIと専門審査スタッフで不正対策を強化するKDDIグループのECモール「au PAY マーケット」、不正レビュー30万件削除、チャージバックリスク99%超削減

1ヶ月 2 週間 ago

auコマース&ライフは、KDDIと共同で運営するECモール「au PAY マーケット」での生成AI活用による模倣品対策、不正レビューや不正決済への取り組みなど2025年上半期の取り組みをまとめた「安心・安全への取り組みレポート」を公開した。AIと専門審査スタッフを組み合わせた独自の監視体制で不正対策を強化している。

auコマース&ライフは、KDDIと共同で運営するECモール「au PAY マーケット」での生成AI活用による模倣品対策、不正レビューや不正決済への取り組みなど2025年上半期の取り組みをまとめた「安心・安全への取り組みレポート」を公開した。AIと専門審査スタッフを組み合わせた独自の監視体制で不正対策を強化している
AIと専門審査スタッフを組み合わせて不正対策を強化

模倣品対策

ブランド模倣品によるユーザーの被害を未然に防ぐため、生成AIによる網羅的な自動検知と、専門審査チームによる最終チェックを組み合わせた新たな監視体制を構築。100万点を超える商品のなかからAIが模倣品の疑いがある商品を高速で抽出し、審査業務の生産性を700%向上させたという。 取り組み前と比較して検知から出品停止までの時間が10倍短縮、ユーザーの被害を未然に防ぐことにつながっている。また、ブランド権利者やメーカーとの連携を強化し、正規品に関する多角的な情報の共有を受けることで、審査精度を高めている。

不正レビュー対策

レビューの信頼性を守るため、監視システムを刷新。不正レビューの検知サイクルを短縮し、判定基準を厳格化した。その結果、2024年以降で累計30万件の不正レビューを検知・削除、さらに不正レビューの発生件数は前年比で約80%削減を実現した。レビュー投稿の前提となる「やらせ注文」の対策も進め、同約77%の削減に成功したという。

不正決済対策

不正決済を抑制するため、決済手段の審査対象を拡大した。これまでクレジットカードに限定していた監視対象を、他の決済手段にも拡大。AIと専門スタッフによる24時間365日のモニタリング体制で、不正利用による店舗の金銭的負担(チャージバック)のリスクを、年間で約99%以上削減した。

買い物体験の向上施策

ユーザーの買い物体験向上に向けて、EC運営が初めての店舗向けに一部機能を制限した「トライアル店舗」制度を導入。auコマース&ライフ側で出品商品に不具合や問題がないかを細かくモニタリングする。また、2024年から新規出店全店舗を対象に「アクティブサポート」を導入。専属スタッフが出品から受注対応までを伴走型で手厚くサポートしている。これにより、出店審査から運営サポートに至るまで、店舗品質を向上させるための体制を強化してる。

その他、365日体制でユーザーの声(VOC)やSNS投稿をモニタリングし、市場の動向や社会的な関心事をいち早く把握する体制も構築。問題が顕在化する前に、関係省庁とも緊密に連携し、対応方針を迅速に策定・実行する同時に、ユーザーや店舗へ向けて速やかに情報を発信している。

たとえば、政府備蓄米の販売では食料の安定供給に貢献。ゲーム機「Nintendo Switch 2」の販売においては転売対策を講じユーザーへの公正な販売機会を提供したという。

鳥栖 剛

丸井グループ、社会価値と企業価値を両立させる新世代の「ソーシャル・イントラプレナー」育成を目的に一般財団を設立

1ヶ月 2 週間 ago

丸井グループは10月1日、ソーシャルインパクトと利益の両立をめざす社内起業家の育成を目的に一般財団法人「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立、活動を開始した。代表理事は丸井グループの青井浩CEOが務める。

丸井グループは社内起業家の可能性に注目。社会価値と企業価値を両立させる新世代の「ソーシャル・イントラプレナー」を育成し、「活力ある社会と働く人の幸福に貢献したい」としている。

ソーシャル・イントラプレナー育成財団の理事で丸井グループ社外取締役のピーターD.ピーダーセン氏と社内起業家の本多達也氏が主催する「ソーシャル・イントラプレナー・スクール」と連携。中学、高校、大学向けに社内起業家として活躍する人材を派遣し、講座やワークショップを実施することで人材育成を進める。本多氏は同スクールの校長も務める。

社会人向けには、これまで丸井グループが主体となって実施してきた「ソーシャル・イントラプレナー・フォーラム」、ソーシャル・イントラプレナームーブメントを起こすための発起人集団「JASII(Japan Social Intrapreneur Initiative)」と連携し、社内起業家をめざす人たちを支援する。

「JASII」は、ソーシャル・イントラプレナーを広めるためにさまざまな組織から集まった集団。参加メンバーや所属企業の強みを生かし、「人材育成」「マッチングプラットフォーム構築」「メディア発信」などを軸に活動している。

丸井グループも社内起業家の育成に取り組むことで企業価値を向上、財団と連携することでソーシャル・イントラプレナーを社会的なムーブメントに育てていきたいとしている。

日本では過去10年ほどで起業家支援の取り組みが大きく前進した。一方、もう1つの起業家である社内起業家はほとんど注目されることがなかった。イノベーション創出の担い手である起業家と社内起業家の両方が活躍する社会こそが活力のある社会だとすると、現状の起業家偏重の傾向は、可能性の半分にしか働きかけられていないことになる。加えて、そもそも起業家は個人主義を重んじる欧米人に向いていて、チームワークや和を重んじる日本人には社内起業家の方が向いているとも考えられる。(青井代表理事)

丸井グループは10月1日、ソーシャルインパクトと利益の両立をめざす社内起業家の育成を目的に一般財団法人「ソーシャル・イントラプレナー育成財団」を設立、活動を開始した。代表理事は丸井グループの青井浩CEOが務める
青井代表理事

財団の評議員には、丸井グループ取締役専務執行役員CFOの加藤浩嗣氏、品川女子学院の漆紫穂子理事長、早稲田大学大学院ビジネススクールの東出浩教教授、元丸井グループアドバイザーの小澤杏子氏が就いた。監事は丸井グループの飯塚政和財務部長が務める

鳥栖 剛

データ活用を習慣化する土台作りはとってもシンプル。毎日5つのデータ項目を確認+「改善・施策」「理由・特筆事項」を記載するだけ! | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

1ヶ月 2 週間 ago
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載19回目】

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。19回目の連載は「データ活用を習慣化させる土台」をテーマに解説します。

ここをクリックで連載の目次を表示
強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

データ活用を習慣化させるためにはどうすれば良い?

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは! 今回もよろしくお願いします! 前回の続き、すごく楽しみにしていました。

石田

ネッタヌ君、こんにちは~。こちらこそよろしくね。

前回は、とあるショッピングモールに呼ばれて、データを見て「何が読み取れますか?」って相談された話をしたよね。で、僕が「これじゃ何もわかりません」と答えたっていう話だった。

ネッタヌネッタヌ

そうでしたね。数字そのものじゃなくて「変化」と「背景」が大事っていう話、印象的でした。

石田

そして前々回は、データ活用の原理原則の話をしたよね。「的当てゲーム理論」と「データは宝の地図ではなくコンパス」という話。仮説を立ててお客さまに投げてみて、反応を見て次に生かす。そんな試行錯誤を支えるのが「データ」の役割なんだ。

今回からはいよいよ本題。こうした考え方をどうやってECのマーケティングチームに浸透させていくか、 つまり「データを見るという行為をどうやって日々の習慣にしていくか」「行動につなげていく文化をどう作るか」について話していきたいと思う。

ネッタヌネッタヌ

ついに実践フェーズですね!

5つのデータ項目を見える化して認識できるようにする

石田

まず、データ活用をチームや会社の習慣として根づかせるために、最初に必要なのは「決まったデータを定期的に確認する仕組み」を作ることなんだ。特にECのマーケティングにおいては、「売上の公式」をベースにデータを見ることが重要だね。

ネッタヌ君、「売上の公式」って覚えている?

ネッタヌネッタヌ

えーと、「売上=セッション数×コンバージョン率×客単価」でしたよね?

石田

その通り! 僕はこの4つのデータ項目に「受注件数(=セッション数×コンバージョン率)」を加えた5つを基本指標として確認することを推奨している。

  • 売り上げ
  • セッション数(アクセス数)
  • 受注件数
  • コンバージョン率(転換率)
  • 客単価

この5つのデータ項目を、チームで「見える化」し認識できるようにする。そうすると、データが自然に「温度」としてチームに染み込んでくるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

確かに、継続的にデータを見ていると、なんとなくデータの呼吸がわかってきそうです。

石田

なぜこの5つのデータ項目かっていうところを少し深掘りするね。

ネットショップを運営する上で一番大きなデータって「売り上げ」だよね。で、その売り上げを因数分解すると「受注件数×客単価」になる。さらにその受注件数は「セッション数×コンバージョン率」で構成されるわけだ。

つまり、売り上げを支えている要素を段階的にブレイクダウンしていくと、自然とこの5つの項目になるわけ。

最初から細かいデータに注目しない! 大きなデータから確認しよう

ネッタヌネッタヌ

ツリー構造みたいに分解できるんですね。

石田

そうそう。たとえばセッション数をひとつ取っても、オーガニック検索(自然流入)や広告、SNSなど、いろいろな流入元があるけれど、いきなり細かく「SNSからの流入が~」みたいな話から始めると「木を見て森を見ず」の状態になる。まずは「大きなデータ」から見ていくことが大事

ネッタヌネッタヌ

やっぱり最初に枝葉を見ちゃうと迷子になりますよね。

石田

そう。逆にやってはいけないのが、最初から細かすぎるデータに注目しすぎること。たとえば「深夜2時以降に購入している40代女性のCVRが20%です」とか言われても、そのセグメントが全体の売り上げにどれほど影響を与えているのか、まずは全体像を知らないと判断できないでしょ?

ネッタヌネッタヌ

それ、マーケ初心者がやりがちですね……僕も昔ならやっていたかも。

石田

だから「まずは太い幹から」。大きいところを見て、大きいデータを動かすにはどうするかを考える。大きなデータが動いたときに、どんな背景があるのか。そこから次の改善のヒントが見つかるってわけだ。

だから、5つのデータ項目に絞ってスタートするのが一番おすすめ。もし増やしたとしても6つか7つまで。それ以上になるとチームでの運用やチェックが回らなくなるし、そもそも継続できなくなる。

ネッタヌネッタヌ

なるほど、量を確認しすぎると逆に習慣にならないんですね。

EC内製化 大きなデータから確認する。細かすぎるデータに注目しすぎないように注意
大きなデータから確認する。細かすぎるデータに注目しすぎないように注意

日次でデータを見る+改善施策・特記事項・次の一手を書き込む

石田

そう。習慣化がテーマだから「シンプルであること」は絶対条件

じゃあ次に、「どうやってこのデータを見る習慣をチームに根づかせるか?」という話に入ろう。 ここでのポイントは「月次」じゃなくて「日次」なんだ。

ネッタヌネッタヌ

えっ、月次じゃだめなんですか? 月次レポートってよく聞きますけど。

石田

もちろん、月次をやめるべきって意味じゃない。実際にマーケティング会議や営業会議で、月の振り返りとしてデータを見ている会社は多いよね。「先月の売り上げはいくらで、セッション数はいくつ、CVRはいくつ、客単価はこうでした。今月はこの施策でいきます」みたいな会議ね。

でも、それだけだとデータを活用する「習慣」にはならない。データを「温度」として感じるには、もっと頻繁に、もっと近い距離感でデータを見ていかないといけない

ネッタヌネッタヌ

「温度」っておもしろい表現ですね。

石田

だから「日次」でデータを見ることを習慣化するわけだ。そしてそのために必要なのが「数値管理表」。 これはECMJでも活用しているシンプルなエクセルベースの管理表で、 毎日主要な5つのデータ項目を記録し、データの変化と「気づき」を書き込むものなんだ。

で、ここがポイント。データだけじゃなくて「テキスト」を入れることが大事なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

テキスト? メモ的な?

石田

うん。データだけでは見えないことを書く欄を用意しておく。たとえば「A商品のメルマガを配信」「SNSで新商品の告知を開始」みたいな実施した改善施策を書いておく欄だ。

ネッタヌネッタヌ

なるほど、行動の記録ってことですね!

石田

その通り。それに加えてもう一つ大事なことは、僕が「理由・特筆事項」と呼んでいる欄。 これは、自分たちの改善施策以外の「あったこと、起こったこと」を書いておく欄なんだ。

ネッタヌネッタヌ

ん? たとえばどんなことですか?

石田

たとえば「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」のモール主導のキャンペーン。 あるいは、お客さまがまとめ買いしてくれたとか、めずらしい問い合わせがきたとか、突発的な出来事全般。

ネッタヌネッタヌ

あー、それって確かに自分たちの施策とは別ですよね。

石田

そう。だからエクセルにデータ項目以外の3つの欄を加える。

  • 改善/施策(自分たちがやったこと)
  • 理由/特筆事項(その日に起こった出来事、あったこと)
  • ではどうするか(次の一手、改善アイデア)

「ではどうするか」の欄が次の行動への接続線になる。考えを言語化し、次の仮説につなげる場所。ここについては、次回以降のコラムで伝えていくね。この数値管理表の入力を毎日繰り返すと、チームの「データ活用の筋力」がどんどん上がっていくわけだ。

ネッタヌネッタヌ

まさに「見る→考える→動く」のループですね!

EC内製化 日次で「5つのデータ項目」「改善・施策」「理由・特記事項」「次の一手」を書き込む
日次で「5つのデータ項目」「改善・施策」「理由・特記事項」「次の一手」を書き込む

きちんと情報を残すためにも日次でやることが重要

石田

そのとおり。そしてどうして「日次」でやることが重要なのか、その理由も少し深掘りしておこうか。

ネッタヌネッタヌ

お願いします! なぜ毎日なんですか?

石田

理由はね、月次でやると「埋められない情報」が出てくるからなんだよ。特に「理由・特筆事項」って欄、これは1か月も経ったら情報が追えなくなってしまうんだ。たとえば「お客さまからこういう電話があった」とか「こういう問い合わせがあった」とか、 そのときメモしておかなければ絶対に思い出せない。

ネッタヌネッタヌ

たしかに……メモしていなければ1週間でも忘れますよね。

石田

そうそう。ただ「理由・特筆事項」には、お客さまが抱えている潜在的な課題だったり、世の中のニーズの変化だったりが現れている可能性がある。だから、ちゃんと情報を残しておかなければいけない。

「改善・施策」も「理由・特筆事項」も、どちらもデータの裏側にある「要因」なんだ。この要因を毎日記録しておくことこそ、「データ活用力」の核心なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。データだけじゃなくて、その「背景を記録する」ために毎日やるってことなんですね。

石田

数値管理表を毎日入力すると、1か月に1回の振り返りに比べて、31倍データを見ることになるじゃない。1年なら365回 vs 12回だよね。この繰り返しの差が、「感覚の差」になる。

毎日見るからこそ、データと要因の関係が肌で感じられるようになるんだ。これまでデータ活用のポイントとして話した「データの変化と背景を読む力」、 「的当てゲーム理論としての仮説→試行→検証のサイクル」、 「コンパスとしてのデータの使い方」――これら全部が磨かれていく。

ネッタヌネッタヌ

わあ……すごく納得しました。

石田

ね、すごくシンプルでしょ? やることは「毎日、5つのデータ項目と『改善・施策』『理由・特筆事項』を書く」だけ。

でも、それを毎日やるかやらないかで、チームの「データ活用力」はまったく違ってくる。 続けることが力になる、まさにその代表例だよ。

ネッタヌネッタヌ

よーし! 僕もまずは今日から、自分のチームでやってみます!

石田

じゃあ、ここからの話はネッタヌ君が数値管理表の入力を実践した1か月後にしよう。

ネッタヌネッタヌ

わかりました!

石田

頑張ってね!(はたしてできるかな。フッフッフ)

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

石田 麻琴

自転車のあさひ、OMO強化でEC化率は18.7%(前年同期比2.1ポイント増)、EC売上高は83億円【2025年中間期】

1ヶ月 2 週間 ago

「サイクルベースあさひ」を運営するあさひの2025年3-8月期(中間期)におけるEC売上高は、前年同期比11.7%増の83億7800万だった。EC化率は同2.1ポイント増の18.7%で、OMO強化によりEC化率が拡大した。

「サイクルベースあさひ」を運営するあさひの2025年3-8月期(中間期)におけるEC売上高は、前年同期比11.7%増の83億7800万
EC化率は目標を上回って推移(画像はあさひのIR資料から編集部がキャプチャ)

全社売上高は459億円で同1.1%減。営業利益は同21.1%減の37億5600万円、純利益は19.4%減の26億3000万円。

新車販売が低調ななかOMOの強化でEC売上高が増加、EC化率は目標値16.9%を上回る水準を達成した。OMO戦略としてEC商品の受け取り拠点にもなる実店舗の拡大などを推進。CRM戦略として「サイクルベースあさひ公式アプリ」を通じたコミュニケーションなどの強化を進めている。直近3年間の中間期のアプリ会員数の年平均成長率は33%。

2026年2月期のEC売上高は前期比11%増の141億円を計画。EC化率は同0.9ポイント増の16.9%を目標とした。利便性の高いWEBサイト構築や店舗・物流網を活用したOMO戦略をさらに推進し成長につなげる。全体としてもOMOとCRMの連携を強化し、リユース、パーツ、修理・メンテナンスの販売増加をめざす。

鳥栖 剛

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