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富澤商店のBtoB-ECサイト、1年で会員数約50%増に成功。会員数拡大につながっている施策とは?

2ヶ月 ago

製菓・製パン材料、器具専門店の富澤商店は9月24日、法人・個人事業主向けのBtoB-ECサイト「富澤商店 卸オンラインショップ」が開設3周年を迎え、累計約3万人に到達したと発表した。会員数は直近の1年間で約1万人増加したという。

サービス開始から3周年を迎えた「富澤商店 卸オンラインショップ」のトップページ(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)
サービス開始から3周年を迎えた「富澤商店 卸オンラインショップ」のトップページ(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)

会員数増加の要因

「富澤商店 卸オンラインショップ」では、業務用製菓・製パン材料・ラッピング材料を販売している。富澤商店は、同サイトの会員数増加の背景には次の施策や市場動向が影響していると解説している。

新規会員向け特典

ユーザーの会員登録後、初回注文が半額になるクーポンを提供。さらに、3回目の注文までは基本送料無料で配送している。

利便性向上施策

決済手段に「PayPay」を導入したところ、導入後は「PayPay」決済の利用比率が約20%に増加した。

商品ラインナップの拡充

取扱商品点数を増やし、さまざまなニーズへの対応を図っている。

市場動向・利用者層の拡大

カフェ・ベーカリー市場は回復・成長傾向にあり、利用者が増加している。また、個店を中心とした利用者の拡大が見られる。

LINE公式アカウントを開設

「富澤商店 卸オンラインショップ」は開設3周年を機にLINE公式アカウントを開設する。LINE公式アカウントの配信では、限定クーポン、簡単ログイン機能、業種別のおすすめ情報の発信などを通じて、ユーザーの利便性向上をめざす。

富澤商店が掲げるLINE ID連携のメリット(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)
富澤商店が掲げるLINE ID連携のメリット(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)

2025年9月は、アカウント開設を記念したクーポンを9月末までの期間限定で発行。10月1日からは、「お友達連携クーポン」として100円割引の特典を発行する。また、LINE IDの連携特典として9980円以上の購入で500円の割引を付与する。

このほか、LINE IDの連携有無にかかわらず、「富澤商店 卸オンラインショップ」の全会員を対象に、3周年を記念した全商品10%割引のキャンペーンを開催する。期間は10月1日~10月5日。

LINE連携を推奨するクーポン施策(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)
LINE連携を推奨するクーポン施策(画像は編集部が「富澤商店 卸オンラインショップ」から追加)
大嶋 喜子

老舗せんべい屋が売上1.5倍を達成したEC活用

2ヶ月 ago

煎餅専門店「煎餅工房さがえ屋」のぼんちがEC売上前年比1.5倍を実現するなど成長している。

「煎餅工房さがえ屋」は地域に根ざした米菓づくりを続けてきた創業1931年の老舗企業。EC事業の強化を進めていたが、いくつかの課題を抱えていた。

ECサイトの運営が特定の担当者に依存する体制になっており、担当者が休職・退職した際に、社内にノウハウが残らないというリスクがあった。

また、ECサイト運営の専門的な知識を持つスタッフが不足しており、「時代の変化に追いつくのがやっと」という課題を抱えていた。そのため、母の日などのギフト需要期に合わせた特集企画など、本来注力すべき施策に十分なリソースを割くことができず、貴重な販売機会を逃してしまっていたという。

「こだわり」が意図せず裏目に出てしまう場面もあった。ブランドの「高級感」と消費者にとっての「分かりやすさ」の両立が難しく、試行錯誤が続いていた。

煎餅専門店「煎餅工房さがえ屋」のぼんちがEC売上前年比1.5倍を実現するなど成長している
「煎餅工房さがえ屋」では大きく3つの課題を抱えていた

そこで、ブランドイメージを守ることを前提に、ギフト需要を狙った「母の日特集」など販売促進用のコンテンツを展開。特集ページの制作、PRにより新たな売り上げの機会を創出した。

煎餅専門店「煎餅工房さがえ屋」のぼんちがEC売上前年比1.5倍を実現するなど成長している
ギフト需要を狙い「母の日特集」を実施

また商品のこだわりを文章のみで伝えていたため、読みにくかったメルマガを顧客視点で再設計。テキストを絞り、ビジュアルで訴求する構成を提案・実装・配信。その結果、「読まれるメルマガ」へと変化し、メルマガからの購入が増加した。

これらの取り組みはECコンサルティングを手がけるこれからの支援の下で実現した。これからのECコンサルティングサービスの導入により、導入初年度でEC売上は前年比1.5倍を達成したという。

煎餅専門店「煎餅工房さがえ屋」のぼんちがEC売上前年比1.5倍を実現するなど成長している
これからが「煎餅工房さがえ屋」のEC運営を支援
鳥栖 剛

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」

2ヶ月 ago

博報堂のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」と博報堂買物研究所は9月17日、オンラインとオフラインを行き来する購買行動の利用実態・意識を聴取した「ECと実店舗のハイブリッド消費者調査」の結果を発表した。

「ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、かつECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者」を「ハイブリッド消費者」と定義。購買金額やボリュームは購買パネルを活用したWeb調査、買物意識やECと実店舗の横断体験は通常のWeb調査を実施、2つの調査からハイブリッド消費者の実態を探った。

「ハイブリッド消費者」は5割

ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、ECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者「ハイブリッド消費者」は男女20~69歳全体の52.3%。男女20~69歳全体のECでの日用品購入金額のうち81.8%を占めた。

生活者の半数が「ハイブリッド消費者」に該当する一方で、オンラインとオフラインを横断する際の体験には多くの不満を抱えている。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
「ハイブリッド消費者」は5割強

オンラインとオフラインの横断体験に多くの不満

「ハイブリッド消費者」にECと実店舗で不満を感じた経験の有無を聞いたところ、不満ありが50.2%。不満は特に女性の40代・60代に集中していた。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
「不満あり」は全体で5割を超えた

不満の内容は「欠品商品の入荷情報が不明」(54.4%)がトップ。「ポイントがEC/実店舗で非連携」(52.5%)」「ECと実店舗の価格差」(50.6%)が続いた。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
不満内容は「欠品商品の入荷情報が不明」がトップ

「ハイブリッド消費者」が求める顧客体験とは

魅力が高い体験についても聞いた。これによると「店舗受取/配送など受取方法を選べる」が69.7%とトップ。次いで「欠品商品の入荷通知」(67.4%)、「ECと実店舗のポイント連携」(67.3%)といったOMO・オムニチャネル体験が求められていることがわかった。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
OMO・オムニチャネル体験が求められている

「ハイブリッド消費者」のニーズが高いのは、オンラインとオフラインの垣根をなくすこと。「特定流通のハイブリッド消費者」は、顧客体験の向上をめざすOMO体験の実現によるパーソナライズされた体験を求めていることもわかった。

あらゆるタッチポイントで得られた顧客情報をリアルタイムで統合し、パーソナライズされた購買体験「ユニファイドコマース」への対応も重要になることが示唆されたという。

特定流通のハイブリッド消費者(ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物し、ECと実店舗がある流通大手15社の実店舗とECで1か月以内に買い物をした生活者)は、さらに先のユニファイドコマース体験に期待を寄せている。「ECサイトでのお試し予約」「AR機能を活用した自宅での試着」のようなOMO体験だけではなく、「パーソナライズされた提案」「ECと実店舗での商談内容の情報連携」など、ECと実店舗が完全に統合された体験を求めている。

調査概要:ECと実店舗のハイブリッド消費者調査①

  • 調査エリア:全国(沖縄を除く)
  • サンプルサイズ:購買パネル調査 2万8691s
  • 調査対象者:14~79歳男女かつマクロミル社QPR協力者
  • 調査時期:2025年3~4月
  • 調査手法:インターネット調査
  • 回収・集計方法:マクロミル社QPR協力者全数にアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
  • 調査委託先:QO
  • 購買データソース:マクロミル社QPR(消費者購買履歴データ)
  • 購買データ集計期間:2024年4月~2025年3月

調査概要:ECと実店舗のハイブリッド消費者調査②

  • 調査エリア:全国
  • サンプルサイズ:3000ss
  • 調査対象者:
  • ・共通条件:20~69歳男女かつECで月1回以上かつ実店舗で月1回以上の頻度で買物をしている人
  • 分析対象者①:ハイブリッド消費者・ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、かつECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者(1131ss)
  • 分析対象者②:特定流通のハイブリッド消費者・ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物を、かつECと実店舗がある流通大手15社の実店舗とECで1か月以内に買い物をした生活者(500ss)
  • 調査時期:2025年3月
  • 調査手法:インターネット調査
  • 回収・集計方法:マクロミルモニタに対してアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成×スクリーニング調査での調査対象者出現率に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
  • 調査委託先:QO
鳥栖 剛

Googleなど国内外の大手企業が登壇するリテールメディアを学べるオフラインセミナー「Retail Media Summit 2025」

2ヶ月 ago

アドインテは、オフラインセミナー「Retail Media Summit 2025」を2025年10月8日(水)・9日(木)の2日間で開催する。

▼「Retail Media Summit 2025」(10/8・9開催)

リテールメディア領域に特化したカンファレンスイベント

マーケター、ブランド広告主、リテールメディア推進、各企業のトップランナー陣が登壇。リテールメディアがマーケティングDXの中核的存在になるなかで、DX/AI時代ならではの新しいつながり方を解説する。

リテールメディア領域に特化したカンファレンスイベントは2024年にも実施、参加登録者数3600人、来場者数2000人を超えた。2025年は業界をリードする各企業の講演やセッションを通じて、リテールメディアの最新動向、先行ユースケース、ソリューション開発状況など多彩なコンテンツを用意している。

Retail Media Summit 2025

主な登壇者

  • イトーヨーカ堂
  • 味の素
  • 味の素AGF
  • Mizkan
  • イオンリテール
  • アサヒビール
  • カルビー
  • 花王
  • ツルハホールディングス
  • アンファー
  • フマキラー
  • ウエルシア
  • ロート製薬
  • セブン-イレブン・ジャパン
  • 東急ストア
  • Google

「Retail Media Summit 2025」について

  • イベント名:Retail Media Summit 2025
  • 日時:2025年10月8日(水)、9日(木)9:30~19:00
  • 会場:ベルサール新宿グランド(東京都新宿区西新宿8-17-3 住友不動産新宿グランドタワー1F)
  • 参加人数:先着1日1200人まで
  • 開催形式:オフライン
  • 参加費:無料(要事前予約)
  • 詳細と申し込みhttps://www.retailmedia-japan.com/
藤田遥

アパレルECの夢展望、中国発の格安EC「SHEIN(シーイン)」に出店

2ヶ月 ago

夢展望は9月24日、SHEIN Groupが展開するファッションなどの格安EC「SHEIN(シーイン)」に出店したと発表した。

夢展望は、ファッションジャンルである「地雷系」や「量産型」といったカテゴリーの海外市場の開拓とブランドの確立を視野に、160カ国にサービスを展開する「SHEIN」のネットワークを活用する。

越境EC支援のNEW WINDを運営パートナーに選定。主力ブランド「DearMyLove」を軸に販売を進める。

夢展望は経営戦略の重要な骨子の1つに海外展開を掲げている。2024年8月に越境EC事業を本格的に開始。現在は米国、中国、韓国、台湾エリアに展開している。

「SHEIN」は、グローバルに展開するオンラインファッション&ライフスタイルブランド。最先端のオンデマンド生産方式を活用したオリジナルブランドのアパレル商品、世界各地のサプライヤーと提携した多彩なアイテムを格安で販売している。英国調査会社のGlobal Dataによると、2024年の世界アパレル市場で「SHEIN」は、ナイキ、アディダスに次ぐシェア3位という。

夢展望は「SHEIN」が一定の顧客数を有する中東における市場開拓に期待をしているという。これまでの海外展開を通じて、「地雷系」や「量産型」といった日本独自のファッションスタイルは、海外においても一定層のユーザーから支持されると認識。「地雷系」や「量産型」というカテゴリーにおいてユーザーに最初に想起されるポジションの確立を図っている。中東では「地雷系」や「量産系」の認知度は低いものの、競合は少ない状況。早期の段階から中東に進出する機会を検討していた。

鳥栖 剛

Googleが開発したAI活用の課題を解決する決済プロトコル「AP2」とは? Salesforce、Shopify、Etsyなどが導入したその仕組みを解説 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2ヶ月 ago
AIエージェントの利用がテクノロジー企業や小売企業で進むなか、Googleは新たなAIエージェントの決済規格を発表しました。これまでのAI活用の課題解決につながる特性を持っています

Googleが発表した新たなAIエージェントの決済規格「Agent Payments Protocol(AP2)」は、すでにSalesforce、Shopify、Etsyなどが導入しています。透明性が高く、安心安全な取引につながることから、企業の信頼性、説明責任、セキュリティといったAI活用で課題になりやすい項目の解決にもつながるとGoogleは説明しています。

60社超が導入し始めている「Agent Payments Protocol」とは?

Googleは、ユーザーの代わりに自律的に動くソフトウェア「AIエージェント」がユーザーに代わってオンライン決済を処理できる近未来を見据えています。その新たなプロトコル(通信ルールや手順)である「Agent Payments Protocol」は、すでに60社以上の企業が導入しています。

Googleは9月16日に配信したリリースで発表した「Agent Payments Protocol」は、AIエージェントが消費者の直接的な操作を必要とせず、安全にオンライン取引を完了できるようにする標準規格です。

「AP2」の概要・有用性(動画はGoogleのニュースリリースから追加)

Googleは「AP2」について、「ユーザー、販売者、決済プロバイダーがあらゆる種類の決済方法を使って安心して取引できる、決済に依存しない枠組み」を確立するものだと説明しています。

発表時点で、初期の支持企業としてMastercard、PayPal、American Express、Coinbaseといった決済会社、さらにSalesforce、Shopify、Cloudflare、Etsyなどのテクノロジー企業が名を連ねています。

American Expressのデジタルラボ担当副社長ルーク・ゲブ氏はリリースでこのようにコメントしています。

AI主導のビジネスが拡大するなかで、それを提供する企業の信頼と、エンドユーザーへの説明責任はこれまで以上に重要です。「AP2」は顧客を保護し、次世代のデジタル決済を可能にするためのプロトコルであり、American Expressはその創出に貢献できることを嬉しく思います。

AIエージェントが担う役割、EC活用の状況と課題

ユーザーに代わり自律的に動く特性を持っているAIエージェントは、予約の調整、サブスクリプションの管理など、すでに幅広いタスクをこなしています。

GoogleがAIを活用した購買体験の向上を強化しているように、ECの分野でも、商品検索、比較、さらには決済の自動化までをAIでサポートする事例が増えています

「エージェントコマース」と呼ばれるこの新しい技術は、大規模言語モデルを搭載したエージェントがユーザーの意図を解釈し、行動に移すことを中心としています。

しかしながら、エージェントコマースが利便性を高める一方で、AI活用にあたってユーザーの承諾がきちんと得られているか、取引の正当性が保たれているか、企業の説明責任を果たせているか――といった課題も浮かんでいます。

従来の決済システムは、人が購入を承認することを前提に設計されています。しかし、昨今はAIエージェントがショッピングの一部を担うようになり、Googleは「安全で検証可能な取引を実現するために、業界全体で共有できる手引きが必要だ」と説明しています。

Googleが「AP2」に期待する信頼構築+ルール構築

そこで登場したのが「AP2」です。Googleは「『AP2』はAI主導の新しいビジネスを支える信頼の基盤を提供する」と言います。

さらにGoogleは「『AP2』が「AIエージェントと販売者の間で安全な取引を行うための共通言語」を確立し、エコシステムの断片化を防ぐ」と説明。このプロトコルは、クレジットカード、ステーブルコイン(仮想通貨の一種)、リアルタイムの銀行振込など複数の決済方法をサポートし、スケール可能な一貫した体験を提供するそうです。Googleは「AP2」が、金融機関にとっても、リスク管理を行う上で必要な明確なルールを構築する仕組みだとしています。

「AP2」 の仕組み

消費者行動に伴う「カートのマンデート」「意図のマンデート」

「AP2」の中心には「マンデート(委任状)」と呼ばれる、改ざん不可能な暗号署名付きのデジタル契約があります。

これらは暗号技術で署名され、改ざんが極めて難しい記録で、ユーザーが取引を許可したことを証明するものです。

各マンデートは、検証可能な証明書を伴っており、それを基にユーザーの行動やデータをトラッキングできるようになっています。

たとえば、ユーザーが「白のランニングシューズを探してほしい」とAIエージェントに頼むと、それは「意図のマンデート」として記録。その後、AIエージェントがショッピングカートを提示し、ユーザーが価格とアイテムを確認して購入を承認すると、「カートのマンデート」が発行され、価格や内容が確定されます。

企業が果たすべき説明責任をサポート

ユーザーが不在でもAIエージェントが条件(価格上限や日時など)を満たした際に、自動で購入するよう指示することも可能です。

たとえば、ユーザーが自分のエージェントに「100ドル以下でコンサートチケットを買って」と指示。その際、「意図のマンデート」が、価格上限やタイミングといった条件を定めます。その条件が満たされると、AIエージェントは自動的に「カートのマンデート」を生成し、購入を完了します。

いずれの場合も、一連のマンデートのつながりが、ユーザーの意図と決済実行を結びつけます。Googleは次のように説明しています。

この一連の流れ――ユーザーの「意図」から「カート」へ、そして支払いまで――は、後から取り消しできない記録として残ります。これによって「誰が承認したのか」「取引は本物か」といった重要な疑問に答えることができ、企業が果たすべき説明責任のための明確な基盤が築かれます

「AP2」の活用例

Googleは、「AP2」がどのようにECのビジネスモデルを変革する可能性があるのか、いくつかの事例を紹介しました。

条件に合う商品を自動で購入

たとえば、緑色の冬用ジャケットを探しているユーザーが「その色なら20%まで高くても購入して良い」と同意するケースです。AIエージェントは在庫状況を常にチェックし、ユーザーの条件に合う商品を見つけるとすぐに購入を完了します。

ユーザーのスケジュールに合わせた割引を提案

別の例では、特定の店舗で自転車を探しているユーザーが、自分の旅行日程をAIエージェントと共有します。AIエージェントが、その情報を店舗側のAIエージェントに共有すると、店舗のAIエージェントはユーザーの旅行日程に併せて、自転車、ヘルメット、荷台などを対象とした時間限定の割引を提案します。

横断的な組み合わせに対応

さらに複雑なワークフローも可能です。たとえば、週末旅行を計画しているユーザーが「航空券とホテルを合わせて700ドル以内で予約して」とAIエージェントに指示します。するとAIエージェントは航空会社やホテルのシステムを横断的に調整し、条件に合う組み合わせを見つけて、両方の予約を一度に完了します。

仮想通貨への対応と企業の利用

「AP2」はクレジットカードだけでなく、ステーブルコインや暗号通貨など幅広い決済方法に対応します。

GoogleはWeb3エコシステムでの利用を広げるため、仮想通貨や暗号資産の取引をサポートするCoinbase(コインベース)、MetaMask(メタマスク)、Ethereum(イーサリアム)、 Foundation(ファンデーション)などと共同で「A2A x402」という拡張プロトコルを立ち上げました。これはAIエージェント主導で暗号通貨決済を安全に行うための仕組みです。

また、複数のパートナーが「AP2」対応のAIエージェントを構築中で、Googleの「AI Agent Marketplace」に登場予定です。開発者はGitHub(ギットハブ)の公開リポジトリを通じてプロトコルにアクセスでき、その発展に貢献できます。

企業ユーザー向けには、クラウドサービスの調達やソフトウェアライセンスの調整を、リアルタイム使用状況に応じて自動化するなどの利用が想定されています。

Googleのエージェントコマース推進戦略+AIエージェント活用事例

「AP2」はGoogleが推進するエージェントコマース戦略の一部です。

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』が5月に報じたところによると、Googleは「エージェントチェックアウト」と呼ばれる新機能を開発中です。これは、ユーザーが設定した条件に基づいて、買い物の一部を自動化できる仕組みです。

この分野には、他の企業も次々と参入しています。

AIを活用した検索エンジン「Perplexity(パープレキシティ)」は、Google Chromeに対抗する新しいAIブラウザ「Comet(コメット)」を展開。このブラウザには、商品を検索・比較し、購入まで行えるエージェント機能が備わっています。

2025年初めには、Firmlyが提供する、AI商品検索やチェックアウト機能などのソリューション「Firmly.ai」のチェックアウト技術を統合し、さらにPayPalと提携して、検索中に直接決済できる仕組みも導入しました。

ロイターの報道によると、OpenAIも同様のエージェント機能を持つブラウザを開発中です。「ChatGPT」を開発したOpenAIは、eBayやEtsyと協力して「Operator(オペレーター)」というエージェントコマースツールのテストも行いました。一方、Amazonは独自のAIエージェント型ショッピング機能「Buy for Me」を導入しています。

「Buy for Me」の活用イメージ(画像はAmazonのニュースリリースから追加)
「Buy for Me」の活用イメージ(画像はAmazonのニュースリリースから追加)

この分野はまだ発展途上ですが、こうした多くの取り組みは最終的にAP2や類似の標準規格をサポートする可能性があります。業界全体が、AIエージェント主導の買い物を支える「安全でスケール可能な枠組み」の実現に向けて動いているのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

実店舗決済やEC決済などにも日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用へ。電算システム、JPYCと社会実装に向けた共同検討で合意

2ヶ月 ago

電算システムホールディングスのグループ会社である電算システムは9月17日、金融庁から日本初となる日本円建てステーブルコイン発行のライセンスを取得したJPYCと、暗号資産の一種である日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用した決済・送金・精算などの社会実装に向け、共同検討に関する基本合意書を締結した。

電算システムが全国のコンビニエンスストアやドラッグストアなどで構築してきた6万5千店超の収納代行・コンビニ決済ネットワークと、JPYCが発行する日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、BtoC・BtoB決済、企業間精算のユースケースを順次具体化していく。実店舗決済とEC決済などの各チャネルで横断的に使える設計を進め、社会実装を見据えたサービス化へと落とし込んでいく。

決済基盤に日本円ステーブルコイン「JPYC」を採用、外部サービスとの連携性や高度な拡張性を確保し、一般消費者にとっては、既存の支払い体験を大きく変えずに簡単・便利に使えるようにする。 QRコード、バーコードやタッチ端末を用いたレジでの支払い、オンラインでの簡単決済といった従来型のデジタル決済手段のUXはそのままに、ポイントやクーポンをステーブルコインと併用して支払う、制度適合性と技術的合理性を兼ね備えた決済体験の実現可能性について検討を進めていく。

キャッシュレス決済の普及が進む一方で、現金を前提とした手続きが残る領域、国境を跨ぐ取引では、コストや時間的ロスが顕在化している。特に、越境ECや訪日観光客など、多様なニーズに応える決済手段の整備は喫緊の課題という。こうした状況に対応するため、日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、銀行や資金移動業者による電子決済手段(ステーブルコイン)の発行が制度上可能になった。

同制度に基づき、JPYCは2025年8月18日付で資金決済法に基づく「資金移動業者」の登録を取得。日本初となる、日本円と1:1で交換可能な電子決済手段「JPYC」の発行、償還を2025年秋より開始予定。裏付け資産は現金、日本国債で保全され、Polygon、Avalanche、Ethereumといった複数のブロックチェーンに対応する予定だ。

電算システムはこうした制度整備と日本円ステーブルコインの登場を踏まえ、2024年5月7日にJPYCとの資本業務提携と業務提携に関する基本合意を公表、低コストな新決済・送金基盤の社会実装を掲げ、コンビニ払込票における「JPYC払い」や、EC・観光領域での活用検討を明示してた。今回の合意で協業関係を一段と深化させる。

今後、事業化を視野に要件定義・実証・運用設計を段階的に具体化し、日常的に使える仕組みへと拡張していく。少額・高頻度の支払い、請求・決済業務の効率化、ポイントやクーポンとの併用、自治体、観光、地域の利用シーンの創出など、生活者・事業者双方の利便性向上に資する領域を中心にJPYCの発行・償還サービスと接続したユーザー体験を順次設計していく。制度面・技術面に即した運用ルールを整え、継続的な業務活用と事業化をめざすという。

鳥栖 剛

スキンケア用品・化粧品の購入場所はドラッグストア61%、EC34%、スーパー14%。重視点は「肌との相性」57%、「使用感・使いごこち」が48%

2ヶ月 ago

マイボイスコムが実施した「化粧品」に関するインターネット調査によると、スキンケア用品・化粧品の購入場所は、「ドラッグストア」が最多で6割強、「インターネット通販」は約35%を占めた。

調査対象はマイボイスコムが運営するアンケートサイト「MyVoice」のアンケートモニター1万1684人で、調査期間は2025年8月1~7日。

購入場所は「ドラッグストア」が最多

スキンケア用品・化粧品使用者の購入場所は、「ドラッグストア」が最も多く61.9%、続いて「インターネット通販」が34.5%、「スーパー」が14.9%だった。

「インターネット通販」は女性で比率が高く、50~60代女性では各5割弱に上った。1か月あたりの購入金額が「4000円~1万円未満」の層では6割前後を占めた。

「ディスカウントストア」は女性10代・20代で、「コンビニエンスストア」は男性10代・20代で高い傾向だった。

スキンケア用品・化粧品使用者の購入場所(複数回答可)
スキンケア用品・化粧品使用者の購入場所(複数回答可)

女性の情報源はWeb、比較サイトが多い傾向

スキンケア用品・化粧品使用者の情報源は、「店頭のPOP」「テレビ番組・CM」「製品のパッケージ」が2割前後。過去の同調査と比べて「テレビ番組・CM」が微減傾向にあるという。

女性では「ブランド・メーカーのWebサイト・アプリ」「商品比較サイト」の比率が高かったという。女性10~30代では「SNS、YouTubeなど」「商品比較サイト」が上位2位となっている。

重視する主な点は「肌との相性」「使用感・使いごこち」「効能・効果」

スキンケア用品・化粧品使用者の重視点は、「肌との相性」が最多の57.2%、続いて「使用感・使いごこち」が48.8%、「効能・効果」が45.5%。「インターネットの口コミ・評判」は、女性若年層でやや高かったという。

6割弱が商品の安全性や環境配慮を重視

スキンケア用品・化粧品使用者のうち、選ぶ際に安全性や環境配慮で重視することがあるかを聞いたところ、「ある」が6割弱。女性の比率が高く、特に女性高年代層で顕著となっている。

重視すること(複数回答可)は、最多が「詰め替え・付け替え可能な容器」が23.0%、「合成香料・着色料が使われていない」が17.3%、「過剰包装がない、簡素なパッケージ」が15.1%だった。

スキンケア用品・化粧品を選ぶ際に安全性や環境配慮で重視すること(複数回答可)
スキンケア用品・化粧品を選ぶ際に安全性や環境配慮で重視すること(複数回答可)

6割弱が「普段スキンケアを行なっている」と回答

普段スキンケアを行っているかを聞いたところ、全体では6割弱、女性では9割強だった。男性は若年層で比率が高く、10~30代では5割前後、50~70代では3割前後。

行っているスキンケアは、「保湿ケア」が44.3%、「UVケア」が24.8%、「ハンドケア」「美白ケア」が各1割強だったという。

使っているものは「洗顔料」が最多

使用しているスキンケア用品・化粧品は、最多が「洗顔料」で55.4%、続いて「化粧水、ローション」が42.5%、「メイク落とし」が27.6%だった。女性では「洗顔料」「化粧水、ローション」「メイク落とし」、男性では「洗顔料」「シェービング用品」「化粧水、ローション」が上位となっている。

使用しているスキンケア用品・化粧品(複数回答可)
使用しているスキンケア用品・化粧品(複数回答可)

調査概要

  • 調査対象:マイボイスコムが運営するアンケートサイト「MyVoice」のアンケートモニター1万1684人
  • 調査方法:インターネット調査(ネットリサーチ)
  • 調査時期:2025年8月1日~7日
大嶋 喜子

アマゾン、西日本最大の物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の倉庫詳報。効率化+カーボンフリー推進の庫内を初公開

2ヶ月 ago

アマゾンジャパンは、2025年8月に稼働を開始した物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」を初公開した。延床面積は約12万5000平方メートルで、西日本エリア最大規模の物流拠点。ロボット導入による効率化、サステナブルな設備、働きやすい職場環境づくりなどが特長になっている。

建物1階のエネルギー消費量は従来比30%削減

カーボンフリーエネルギーの活用を積極的に進めており、地中熱ヒートポンプを利用した空調システムを導入。200本の地中熱交換器を使い、地下100mの安定した地中の温度を利用して建物の1階部分を冷暖房することで、低エネルギーで室温を快適に保っている。

これにより、建物の1階部分のエネルギー消費量は従来比で約30%の削減を見込む。この地中熱空調システムは国内で最大規模。Amazon全体でも先進的な取り組みという。

地中熱交換器のイメージ
地中熱交換器のイメージ
地中熱空調の配管。夏は地中で冷やされた水が、冬は地中で暖められた水が循環する
地中熱空調の配管。夏は地中で冷やされた水が、冬は地中で暖められた水が循環する

Amazon初の壁面太陽光発電設備

カーボンフリーエネルギー活用の一環として、建屋や駐輪場・駐車場の屋根上に加え、南側の壁面にも太陽光発電設備を設置している。世界各地のAmazonの物流拠点の中で、壁面太陽光発電を設置したのは「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」が初めて。

建屋南側に設置された太陽光パネル
建屋南側に設置された太陽光パネル
駐輪場や駐車場の屋根にも太陽光パネルを設置
駐輪場や駐車場の屋根にも太陽光パネルを設置

ここでの太陽光による合計発電容量は、日本全体の物流拠点に設置されているオンサイト型の太陽光発電設備として最大規模となる5.5メガワット。米国外のAmazonの拠点において最大の発電容量だという。

2.9メガワット時の蓄電容量を持つ蓄電池も併設し、夜間など太陽光が利用できない時間帯もカーボンフリーエネルギーを活用できるようにしている。

蓄電池により夜間でもカーボンフリーエネルギーを活用できる
蓄電池により夜間でもカーボンフリーエネルギーを活用できる

建物の基礎やオフィス部分には低炭素型のコンクリート素材を採用。雨水も積極的に利用しており、貯留槽にためた雨水を植物への散水、トイレの排水などに活用している。

日本で開発されたロボットが商品の入荷をサポート

Amazonでは、さまざまなテクノロジーで従業員の業務をサポートしており、「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の1階でも、ロボット「デパレタイザー」が商品の入荷業務をサポートしている。

「デパレタイザー」は、届いた商品が入った折り畳みコンテナをコンベアに下ろす作業を自動化する。北米や欧州でも類似したシステムを導入しているが、日本のフルフィルメントセンターに適した規模のシステムを日本のチームが独自に開発。安全と人間工学に基づいて設計されており、負担軽減と作業効率の向上を実現しているという。

商品が入った折り畳み式コンテナを荷台からコンベアに移動するなど、入荷業務をサポートする「デパレタイザー」
商品が入った折り畳み式コンテナを荷台からコンベアに移動するなど、入荷業務をサポートする「デパレタイザー」

ロボットが入出荷をサポート

「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の2〜4階は商品保管フロアとなっている。入荷した商品を保管棚に収納する「棚入れ」、注文があった際に商品を取り出す「棚出し」が行われている。

保管されている在庫は1900万点以上。1日あたりの最大の入荷および出荷はいずれも60万個以上となっている。ロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする「Amazon Robotics」エリアでは、ロボットが従業員をサポートしている。

「Amazon Robotics」エリアではロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする
「Amazon Robotics」エリアではロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする

棚入れ、棚出しは、「ドライブ」と呼ばれるロボットがサポートし、作業の効率化を図っている。

ロボット「ドライブ」。商品が保管されている棚「ポッド」を持ち上げて移動させる
ロボット「ドライブ」。商品が保管されている棚「ポッド」を持ち上げて移動させる

現在、「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」では、約3万1000台のポッドと約3500台の「ドライブ」を配備し、安全性と効率化に取り組んでいる。

作業ステーションは商品の保管のための棚入れと出荷準備のための棚出しの2種類
作業ステーションは商品の保管のための棚入れと出荷準備のための棚出しの2種類

働きやすい環境づくり

カフェテリアでは、カレーや、定食、丼もの、サラダや小鉢などを日替わりで提供しているという。構内ではレタスやエディブルフラワー(食べられる花)が栽培され、実際に提供されるサラダにも使われている。

カフェテリア
カフェテリア
構内で生産されているレタス
構内で生産されているレタス

授乳期間中の女性のためにマザーズルーム(搾乳室)を設置。ゆったりと座れる椅子やテーブル、冷蔵庫などが備えられている。このほか、宗教を問わず従業員が利用できる礼拝室なども設置されている。

マザーズルーム(搾乳室)
マザーズルーム(搾乳室)
施設内の礼拝室
施設内の礼拝室

梱包の簡素化を目的に、近年多く使われるようになった梱包資材である紙袋。「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」のエレベーターでは、Amazonで初めて紙袋のデザインを採用している。 

Amazonの紙袋がデザインされたエレベーター
Amazonの紙袋がデザインされたエレベーター
大嶋 喜子

ZOZOのAI活用推進策、OpenAIの企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」をZOZOグループ全社員に導入

2ヶ月 1 週間 ago

ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは9月22日、8月からOpenAIの企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」をZOZOグループ全社員を対象に導入したと発表した。

高度な自然言語処理能力を持つAIモデルが特長の「ChatGPT Enterprise」の活用により、新規事業・サービスの企画開発から日常業務の効率化まで幅広く支援し、さらなる価値創出をめざすとしている。

ZOZOは、グループ全社員を対象にした生成AI研修の実施や生成AIを活用した業務効率化ツールを開発。社内提供を進めるなど、生成AIの業務活用と社員のスキル向上に注力してきた。また、7月には全エンジニアに開発AIエージェントの導入を決定するなど、AI活用を強化している。

「ChatGPT Enterprise」の導入で、長い文章や複雑な議事録に対応し、スプレッドシートやCSVなどのデータを直接読み込ませて分析・可視化するなど、さまざまな部署・職種において生成AI活用の幅が広がるとしている。

さらに社内の生成AI活用を推進するため、業務に応じてカスタマイズしたワークフローをノーコードで組める「ChatGPT」内の機能「カスタムGPT」の参加型社内研修も実施。役員を含む全社員が「カスタムGPT」を実際に作成・利用し、公開された「カスタムGPT」の月間利用者数をチーム戦で競い合い、最終的に「総合優勝」と最終順位が確定する。

これまでは部署や個人ごとに生成AIの活用方法が分散していたが、全社的に「カスタムGPT」の作成を促すことで、ノウハウの共有や全社的な効率化につながるとしている。

鳥栖 剛

味の素とイングリウッドの冷凍食品ECでステマ疑い、消費者庁が改善計画を認定

2ヶ月 1 週間 ago

消費者庁は9月19日、味の素とイングリウッドが提供する冷凍宅配食「あえて、」においてステルスマーケティングの疑いがあったと公表した。 味の素とイングリウッドは違反疑義に対する是正の確約計画の認定を申請し、消費者庁はこれを認定。景品表示法違反認定を免れた。イングリッドについては冷凍宅配食「三ツ星ファーム」でもステマ疑いがあり、その案件についても是正の確約計画を認定し、消費者庁は認定している。

消費者庁によると、「あえて、」では第三者に対して商品の無償提供を条件に、Instagramへの投稿を依頼、その投稿を2024年5月10日から8月6日までの間、販売サイトに「使ってみた方の感想 Instagramでの投稿レビュー」としてPR表記をせずに表示しており、ステルスマーケティングの疑いがあるとした。

消費者庁は9月19日、味の素とイングリウッドが提供する冷凍宅配食「あえて、」においてステルスマーケティングの疑いがあったと公表
ステマ疑いとされた表示(画像は消費者庁の公表資料から編集部がキャプチャ)

認定された是正の確約計画の概要は次の通り。

  1. 疑われたステマ行為を既に行っていないことを確認することと、同様の行為を行わないことを取締役会などで決議すること。
  2. ステマ疑いの行為の内容について一般消費者に周知徹底すること。
  3. ステマ疑いの行為及び同種の行為が再び行われることを防止するための各種措置を講じること。
  4. 措置の履行状況を消費者庁に報告すること。

イングリウッド単独の「三ツ星ファームレストラン」では、2021年6月16日から2024年8月9日まで「あえて、」でのステマ疑い行為と同様の表示を実施していたほか、「ご好評につき3冠達成!」「プロの料理人がオススメする宅食ランキングNo. 1」「宅食サービス総合支持率ランキングNo.1」「ダイエット中の女性 が選ぶ食事サービスNo.1」「たくさんの方に選ばれています」など客観性のある調査に基づいていないエンブレムを表示しており、ステルスマーケティングの疑いがあるとした。

イングリウッドが認定された是正の確約計画の内容は、味の素とイングリウッドが提供する冷凍宅配食「あえて、」の確約計画の内容に加え、2021年6月16日から2023年2月9日までの間に商品を購入した一般消費者に対し、購入金額の一部を返金することが盛り込まれている。

味の素とイングリウッドは9月19日に「あえて、」のサイト上で、連名でお詫びを掲載。「今後は、この度認定を受けました各影響是正措置計画を確実に実行するとともに広告管理体制をより一層強化するなどし、引き続き法令順守の徹底を図り、企業の社会的責任に基づいた事業 運営に努めてまいります」としている。なお「三ツ星ファームレストラン」でも同様にお詫びを掲載し、返金の案内を出している。

鳥栖 剛

クラダシ、スイーツブランド「GREEN DOLCE」から第2弾商品を販売開始+未利用原料の卸事業を開始

2ヶ月 1 週間 ago

フードロスの削減などに取り組むクラダシは、食品ECサイト「Kuradashi」と「au PAY マーケット Kuradashi店」で、干し芋の未利用素材を活用したスイーツブランド「GREEN DOLCE」の第2弾商品の販売を10月1日からスタートする。同時に、同未利用原料の卸事業も開始した。

クラダシはスイーツブランド「GREEN DOLCE(グリーンドルチェ)」で、干し芋残渣(ざんさ)を活用するスイーツ4種類を発売する。干し芋残渣は、加工時に切り落とされるサツマイモの端の部分や厚くむかれた皮など。サツマイモ全体の約4割を占め、残渣として廃棄されているという。干し芋の国内生産量の約9割を占める茨城県では年間約2000トンが発生している。

「GREEN DOLCE」は、未利用素材を活用し、パティシエがスイーツを開発するブランド。第1弾は2025年5月に展開した。

第2弾となる今回は2名のシェフ監修の下、日興フーズで生じる干し芋残渣を、素材本来の甘みと風味を引き出した4種のオリジナルスイーツにした。

干し芋残渣を使用したスイーツのイメージ
干し芋残渣を使用したスイーツのイメージ

未利用原料の卸事業では、第2弾商品で干し芋をスイーツに活用する際に生じる干し芋残渣ペーストを、東京都内のファミリーレストランへ販売する。

クラダシは「GREEN DOLCE」を通して、さまざまな未利用素材を市場へ流通させフードロス削減に貢献するため、未利用素材の卸事業にも取り組んでいる。卸事業はその一環としている。

商品概要

  • 商品:干し芋残渣を使用したスイーツ4種
  • 販売開始日:2025年10月1日
  • 販売場所:「Kuradashi」「au PAY マーケット Kuradashi店」
大嶋 喜子

【437名調査】BtoB製品選定プロセスは生成AI普及でどう変わった?AI利用者64.5%が他ソースも確認、ただし最初の手段はWeb検索74.4%

2ヶ月 1 週間 ago

SEO Japanは、BtoB製品・サービスの選定や導入検討に関わる会社員・経営層437名を対象に、AI時代における検索行動の実態調査を実施しました。

本調査では、製品選定の初動で最も利用されるのは依然としてWeb検索(74.4%)である一方、5年前にはなかったAI検索(12.6%)が第2位に浮上。さらにAI検索を使う人の6割以上が他の情報源で再確認するなど、検索行動に変化が見られました。

調査結果(サマリー)

調査結果のサマリーは以下の通りです。

  • 製品選定時の情報収集で「最初に」使う手段:Web検索が74.4%で1位、AI検索が12.6%で2位
  • Google検索の利用方法:39.4%が「AI Overviews(生成AI要約)を参考」にしている実態
  • AI検索利用者の検証行動:64.5%が他の情報源で「必ず/ほぼ確認」しており、複数チャネルでの情報検証が標準化

調査サンプルの属性について

今回の調査対象者は、BtoB製品・サービスの選定や導入検討に関わる会社員・経営層437名で、以下のような属性分布となっています。

職業分布

  • 経営者・役員:55%
  • 会社員(事務系):21%
  • 会社員(技術系):19%
  • 会社員その他:5%

年齢分布

  • 50歳~59歳:38.3%
  • 60歳以上:27.7%
  • 40歳~49歳:17.9%
  • 30歳~39歳:11.6%
  • 20歳~29歳:4.5%

本調査の詳細結果資料は以下よりダウンロードできます。

BtoB製品選定における検索行動実態調査ダウンロード

Q1. 製品・サービス選定時の情報収集における各手段の利用頻度

「BtoB製品・サービス選定時の情報収集における各手段の利用頻度」について質問したところ、Web検索(Google、Bing等)を「必ず使う」が56.3%、「よく使う」が34.3%で、合計90.6%が利用していることが判明しました。

一方、AI検索(ChatGPT、Claude、Gemini等)については「必ず使う」が19.0%、「よく使う」が24.5%で、合計43.5%が利用しており、約半数近くがAI検索を活用している実態が明らかになりました。

その他の情報収集手段では、業界専門メディア・比較サイトが44.8%、YouTubeが42.8%の利用率となっています。

Q2. 5年前(2020年頃)と比べた各情報源の利用頻度の変化

「5年前(2020年頃)と比べて、各情報源の利用頻度がどう変化したか」という質問では、Web検索(Google、Bing等)について「大幅増加」が12.8%、「やや増加」が27.5%で、合計40.3%が増加したと回答しました。

これは、AIが普及した影響だけでなく、コロナ禍を経たデジタル化の加速なども背景にあると考えられます。

Q3. 製品選定で情報収集する際に「最初に」使う手段

「製品選定で情報収集する際に最初に使うことが多い手段」について質問したところ、Web検索(Google、Bing等)が74.4%で圧倒的1位AI検索(ChatGPT、Claude、Gemini等)が12.6%で2位という結果になりました。

業界専門の比較サイト(7%)、導入企業を検索(4%)が続く結果となり、初動の情報収集においてWeb検索の地位は依然として強固である一方、AI検索が新たな選択肢として確実に浸透していることが確認されました。

Q4. Google検索の利用方法について

「Google検索をどのように利用しているか」という質問(複数回答)では、「AI Overviews(生成AI要約)がある場合は参考にする」が39.4%でトップとなりました。

続いて、「より具体的な条件を入れて検索するようになった」(35.7%)、「検索結果の1ページ目しか見ない」(31.4%)、「検索後にAI検索でさらに詳細を確認する」(29.5%)という結果が得られました。

この結果は、GoogleのAI Overviews機能が約4割のユーザーに活用されており、検索行動に実質的な変化をもたらしていることを示しています。

Q5. 対話型AI(ChatGPT、Claude、Gemini等)の利用状況

「対話型AIを製品選定の情報収集で利用しているか」という質問では、「頻繁に利用している」が21.7%、「時々利用している」が35.2%で、合計56.9%が定期的にAI検索を活用していることが明らかになりました。

「試したことがある程度」(19.0%)を含めると、約76%がAI検索の経験を持っており、BtoB分野においてもAI検索の普及が進んでいることが確認されました。

Q6. 各情報収集手段の満足度比較

各情報収集手段の満足度について質問したところ、Web検索(Google、Bing等)が「満足」25.4%、「やや満足」53.3%で合計78.7%と最も高い満足度を示しました。

AI検索(ChatGPT、Claude、Gemini等)は「満足」14.2%、「やや満足」33.2%で合計47.4%となり、Web検索と比べて満足度に差があることが判明しました。

この結果は、AI検索が便利さを提供する一方で、情報の正確性や網羅性においてWeb検索に及ばない面があることを示唆しています。

Q7. AI検索で得た製品情報の検証行動

「AI検索で得た製品情報について、他の情報源でも確認しているか」という質問では、「必ず確認する」が30%、「ほぼ確認する」が35%で、合計64.5%が他の情報源での検証を行っていることが明らかになりました。

「重要な案件は確認する」(23%)を含めると、87.5%がなんらかの形で検証を行っており、AI検索への信頼度はまだ限定的であることが示されました。

Q8. 製品選定における情報の信頼性ランキング

「製品選定における各情報源の信頼性」について1位から6位まで順位付けしてもらったところ、「Web検索(Google、Bing等)で上位表示される比較記事」が43.5%で1位を獲得しました。

2位は「製品ベンダーの公式サイトや提供資料」(24.3%)、3位は「AI検索による分析・おすすめ情報」(12.1%)となり、AI検索は利用率の向上に比べて信頼性の評価はまだ発展途上であることが示されました。

Q9. 製品選定の各段階で主に使用する情報収集手段

製品選定プロセスの各段階で主に使用する情報収集手段について質問したところ、Web検索(Google、Bing等)が62%で圧倒的に多くAI検索が14%、公式サイトが12%、専門メディアが6%という結果となりました。

Q10. AI検索を「利用しない」または「避ける」ケース

「AI検索を製品選定で利用しないまたは避けるケース」について複数回答で質問したところ、以下のような結果が得られました。

  • 高額製品(1000万円以上):29.5%
  • セキュリティ関連製品(情報漏洩リスク):27.2%
  • 最新製品(AIの学習データが古い):22.7%
  • 業界特有の専門製品:22.4%
  • 法規制に関わる製品:15.8%

一方で、「特にない・すべての分野で利用する」と回答した人も31.6%おり、AI検索に対する姿勢が二極化していることが判明しました。

調査結果から見える新たな検索行動トレンド

1. ハイブリッド検索の定着化

今回の調査で最も注目すべき点は、Web検索とAIを併用する「ハイブリッド検索」が標準化していることです。多くのユーザーがAIで得た情報を他の情報源で検証しており、単一の情報源に依存しない慎重な情報収集スタイルが確立されています。

2. 信頼性格差の継続

満足度や信頼性において、Web検索(特にSEO上位サイト)への評価が依然として高く、AI検索は補助的な役割に留まっています。これは、BtoB製品選定という高額・重要な意思決定において、より確実性の高い情報源が求められることを反映しています。

3. 用途別使い分けの明確化

高額製品、セキュリティ関連、最新製品など、AI検索を避ける領域が明確になっており、ユーザーは用途に応じて情報収集手段を使い分けていることが判明しました。

調査結果に対するSEO Japanからのコメント

SEO Japan編集長 兼
Webコンサルティング事業部長
遠藤幸三郎

各案件の数値を見ていて、購買行動においてGoogleをはじめとするWeb検索行動の位置付けが変化しているのではないか?と感じることがあり、本調査をするに至りました。

5年前と比較して「Web検索増加」が4割を超え、想定よりもWeb検索とAIを行き来しながら、情報を探索し、さぐる・かためるを行っていることがわかりました。

インターネットアンケートによる収集のため、一定の偏りがあることは含めて捉えていますが、この結果は、BtoBマーケティングにおいてWeb検索とAI検索の両面で情報を正しく届けることが不可欠であり、プレゼンスを高める本質的かつ包括的な検索最適化戦略が必要であることを示唆しています。

各AIが検索エンジンのデータを活用していることから、単に順位を追う・記事を作るだけの表面的なSEOではなく、元来から言われていた広義のSEOに取り組む理由となるでしょう。

本調査の詳細結果資料は以下よりダウンロードできます。

BtoB製品選定における検索行動実態調査ダウンロード

調査概要

  • 調査名称:AI時代のBtoB製品選定における検索行動実態調査
  • 調査対象:BtoB製品・サービスの選定や導入検討に関わる会社員・経営層437名
  • 調査期間:2025年8月20日~21日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 対象エリア:全国
  • 実施機関:アイオイクス株式会社

本調査結果の取り扱いについて

調査内容をご紹介・引用・転載される際は出典元として「SEO Japan」を明記の上、当サイトへのリンク設定をお願いいたします。

例)「出典:SEO Japan

当記事内の画像・テキストは、記事への掲載、営業資料、イベント登壇資料、書籍などへの転載を含む商用利用について、個別のご連絡や許諾なくご自由にご利用ください。

seojapan

ギフトの購入場所、身内への贈り物はECサイトがトップ。友人・職場向けは実店舗が多い傾向

2ヶ月 1 週間 ago

エクスクリエが実施した「ギフトの購買行動に関する調査」によると、ギフトの購入場所について、両親・子ども・兄弟といった身内への贈り物では「ECサイト」が最も多く、友人や職場の人向けの贈り物は「実店舗(専門店)」での購入が多い傾向だった。

調査対象は全国15歳~69歳男女1200人、調査日は2025年8月28日。

ギフトに最も選ばれているのは「食品」や「スイーツ」

直近1年以内にギフトを贈った経験のある人に、どんな相手に何を贈ったのかを聞いたところ、ギフトには「食品・グルメ」と「スイーツ・お菓子」が多かった。次点で、身内や恋人には「ファッション関連」のギフトを選ぶ傾向があった。

「食品・グルメ」は、贈る相手が配偶者、自分の両親、配偶者の両親・親族が最も多い。

「スイーツ・お菓子」は、贈る相手が恋人・パートナー、子ども、兄弟・姉妹、同性の友人、異性の友人、職場・仕事関連が最も多くなっている。

相手別の贈答品(複数回答可)
相手別の贈答品(複数回答可)

主な購入場所はECサイト、専門店、百貨店・デパート

ギフトの購入場所について聞いたところ、配偶者やパートナーへの贈り物は「百貨店・デパート」での購入が最も多い。身内への贈り物は「Amazon、楽天などのECサイト」がトップで、友人や職場の人へは「専門店(実店舗)」での購入が多い傾向。ギフトを贈る相手によって購入場所に違いが見られた。

贈る相手別のギフトの購入場所(複数回答可)
贈る相手別のギフトの購入場所(複数回答可)

ギフト選びの困りごと、女性は「アイデア不足」や「相手の所有状況」男性は「ラッピング」

ギフトを贈る際に困ることを聞いたところ、男女共に「相手の好みがわからない」が最多の30.7%。性別で見ると、女性は次点で「何を贈ればよいかアイデアが浮かばない」が30.7%、「選択肢が多すぎて決められない」が24.9%だった。男性は次点で「何を贈ればよいかアイデアが浮かばない」が21.7%、「自分のセンスに自信がない」が20.7%だった。

ギフトを贈る際に困ること(複数回答可)
ギフトを贈る際に困ること(複数回答可)

3000円未満のギフトが好まれる傾向

直近1年以内にギフトをもらった経験のある人に、もらって負担に感じないギフトの金額を聞いたところ、全体では最多が「3000円未満」で29.0%、続いて「5000円未満」が26.8%、「2000円未満」が15.5%だった。

性別で見ると、女性で最も多かった回答は「3000円未満」30.3%、「5000円未満」30.3%だった。男性で最も多かった回答は「5000円未満」で31.3%、次点で「3000円未満」で27.1%だった

ギフトに貰う際に負担に感じない金額
ギフトを貰う際に負担に感じない金額

調査概要

  • 調査日:2025年8月28日
  • 調査手法:クロス・マーケティング「QiQUMO」を利用した調査
  • 調査対象:全国に住む15歳~69歳の男女1200人
大嶋 喜子

Googleの「AI モード」が登場! EC事業者が知っておくべき“AI時代”のSEOの本質とその対策 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

2ヶ月 1 週間 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年8月24日~9月19日のニュース

Googleは9月9日、新しい検索「AI モード」の提供を日本語でも開始しました。スタートから約2週間。Web上には「AIO(AI最適化)」「AEO(AIエージェント最適化)」「LLMO(大規模言語モデル最適化)」といったワードが増え、早くも「AI モデル対策」をうたったSEO対策の営業も出てきたと聞きます。「AI モード」を試された方はご存じの通り、「AI モード」の結果には「AIの回答には間違いが含まれている場合があります」と注意書きが添えられています。まだまだ発展途上の「AI モード」を含めたSEO対策はどうすればいいのか。進むべき道を考察します。

ECの読者さんが進むべき“SEO”対策

Google 検索における「AI モード」を日本語で提供開始 |Google Japan Blog
https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/ai-mode-search/

AIとSEOを取り巻く情報を収集・分析すると、SEOの基本原則は変わらず、「ユーザーのニーズに直接応えられるような、高品質で役に立つオリジナリティのあるコンテンツを、信頼できる人やお店が作成していくこと」に行き着きます。

生成AIが劇的に進化し、ECを含めた業務の改善や効率化につながった事例は増えています。検索での変化はどうでしょうか? 人々の調べ方、探し方の原則はそのまま、媒介するツールの置き換わりによって、ゆるやかに進化、変化していくような気がしています。

つまりはE-E-A-T(Googleがサイトやコンテンツを評価するための基準)、「専門性(Expertise)」「経験(Experience)」「権威性(Authoritativeness)」「信頼(Trustworthiness)」が重要で、Googleの掲げる概念は至極、当然のことだと再認識しているところです。

「何を言うか」よりも「誰が何を言うか」をGoogleが重要視していることを踏まえると、自分が何者かになるしかないと考えられます。

“小さいお店だから”“無名のブランドだから”といって歩を止めるのではなく、愚直に自分たちが「どこで何をしていて、それをどんな人たちへ届けようとしているのか、何を知っていて、何を解決できるのか」を丁寧に発信していくことが、真のSEO対策ではないかと思うのです。

私が「さこっち」というニックネームをハンドルネームとして使用するSNSのアカウントの数を調べたところ、部分一致も含め約250ほど確認できました。

「AI モード」で「さこっちとは誰のこと?」「さこっちって?」と聞いてみると、最上位に「代表的な人物としては、SEOコンサルタントの『酒匂雄二』さんがあげられます」のように生成されることが多いです。

私のXのアカウントは、敢えて本名を掲載していません。しかし、Googleは自社サイトのニックネームや会社名などとひも付けるため、オーガニック検索でも、会社のサイト、Xの私のアカウントが並んで表示され、その後には私ではない同名のInstagramのアカウントが並びます。

「AI モード」で「さこっちとは誰のこと?」と検索しました

起業当初「さこっちと名乗っているのに、さこっちで全然上位に出てこない。SEOをしているならさこっちで1位になれ」と言われたことがあります。確かにSEOを生業としている者として、せめて「さこっち」で1位にならねば!と、試行錯誤しました。

14年間在職した前職時代からECやSEO関連の登壇の機会がありましたが、起業して5年の今、酒匂雄二の上位表示は現職のものばかり。前職時代の情報は20位あたりでようやく出てくるようになりました。

この結果から、現在進行系の関連度、情報の鮮度などが評価されていることが考えられます。みなさんの“Now”を発信していくことが、お客さまに見つけてもらう“SEOのいろは”の“い”なのではないでしょうか。

この記事を読んでくださる多くの方がEC関連のお仕事をされていることでしょう。皆さんは、どんな顧客向けに、どんな商品やサービスを、その知識を提供できる何者なのか――ということを発信していますか?

  • Self=自分自身、会社やお店が
  • Entity=ちゃんと実在していることの
  • Optimization=最適化

これが、皆さんが進むべき“SEO”対策なのかもしれないですね。

要チェック記事

SEO関連

AI検索 vs Google検索 20代がAIより従来型を使う理由 | Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/81697

“調査で最も興味深いのは、利用場面による明確な使い分けが既に確立されていることだ”

“AI検索を「特に利用しない」層が50%と半数を占めており、検索利用はまだ途上段階”

“20代が目的に応じて最適なツールを見極める判断を行っている様子がうかがえる”

記事のアンケート母数は少ないですが、的を射ていると思います。

何年か前に「Z世代は検索エンジンを使わない」などと言われた頃、就活生向けのSNS講座を担当したことがあります。その際に「検索を使わないのではなく、検索以外も使う。用途によって使い分けているだけ」という言葉を聞いたことがありました。

たとえば、友達と行くお店は「TikTok」で検索し、「Instagram」でメニューなどの写真を見る、Googleマップの口コミを参考にして予約は食べログで――。就活に必要な情報はGoogleで、求人サイトの情報や経験者のブログを読むといった行動はまさに使い分けだなと感じました。

前回の記事で書いた通り、SEOのEを検索エンジンのEではなく、あらゆる場所「Everywhere」と捉えていく必要がありそうですね。

メディアがGoogleを提訴。「AI OverviewsのせいでWeb閲覧が激減」 | GIZMODE
https://www.gizmodo.jp/2025/09/google-ai-overviews-causes-a-decline-in-web-browsing.html

訴訟を起こしたのは、「Rolling Stone」や「The Hollywood Reporter」を傘下に持つ米国のメディア企業のPenske Media社です。メディアの訴えは確かに切実です。

“彼らの訴えはシンプルで、検索結果トップにAIによる記事要約が表示されると、ユーザーは記事本体を読む必要がなくなったため、トラフィックが減った”

“「Daily Mail」を運営するDMG Mediaは、AI Overviewsの提供開始以来、クリック率が89%も落ちた”

確かにアクセスの9割減は死活問題どころではない打撃ですが、AIOの影響と共に低品質なコンテンツがないか見直すなど、サイトの運営方針を刷新することも必要ではないでしょうか。しかし、Googleは一貫して下記の通り主張しています。

“AI Overviewsでは、ユーザーは検索をより便利だと感じ、より多く使うようになるので、それはコンテンツが発見される新たな機会となります。こうした根拠のない主張に対しては反論していきます”

私の周囲でも、「AI Overviews(AIO)」の登場で、確かに前年比で2~3割のアクセスが減少が認められるサイトは多く見聞きします。それでもコンバージョンが落ちているかと言われれば、そこまででもないというのが現状です。やはり質の高いコンテンツを提供し、ユーザーの興味関心を引くことに注力することも大切でしょう。

【順位計測ツールに影響あり】Googleが検索結果の表示件数の指定機能を停止 | ナイルのSEO相談室
https://www.seohacks.net/column/29216/

“Google検索では、検索結果のURLの末尾に「&num=100」という文字を付けると、検索結果を1ページに100件分のページリンクを表示させることができました”

“多くの順位チェックツールはこの仕組みを利用して、11位以降の順位もまとめて取得していたのです”

“ところが2025年9月11日頃から、この指定が効かなくなるケースが確認され始めています”

検索結果のURLに「&num=100」を追加することで、通常ユーザーが目にすることがないような検索結果の10ページ目、91~100位までをツールが表示させていたため、「Search Console」の表示回数が多く出されていたということですね。

私のクライアントでも、同様の状況は確認されており、この指定ができなくなった2025年9月11日前後の期間を比較すると5%~10%程度の減少がありました。

ランキングチェックツールを使っている方には影響が多少あると思われます。しかし、そもそも人が検索していない検索データであれば不要と思えるのですが、順位チェックは有用な側面があるので悩ましいところです。

いくつかのツールでは、すでに暫定的な対策を講じているようですので、お使いのツールのアナウンスや続報をチェックしてみてください。

それでも「AI モード」、AIO、生成AIなどの流入経路は多種多様になってきていますから、自社とお客さんのより相性の良い場所を見つけていく努力が必要ですね。

マーケティング関連

「こんな過疎町に……?」住民9割反対から“道の駅日本一”に なめことロイズが起こした逆転劇:地域経済の底力 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2509/05/news023.html

じゃらんの2024年「全国道の駅グランプリ」1位に輝いた宮城県大崎市の「あ・ら・伊達な道の駅」は開業から25年間、ほぼ右肩上がりの成長を続け、年間320万人の来場、年間売上20億円を誇る大人気の道の駅。

当初は北西7kmほど先にある鳴子温泉へ向かう途中のトイレ休憩場として活用され、その後、人気に火をつけたのが表題にある「なめこ」と北海道の有名チョコレートブランド「ロイズ」。最初の火付け役のなめこ生産者は、あと1年、道の駅の開業が遅れていれば廃業していたそうです。

“もうやめようかと思っていた時に、ダメ元でここに出品してみた”

まずは人を呼ぶこと、ECサイトでいえばアクセス獲得ですね。その次にそこに来る理由となる看板商品という大切なことが実践されています。

そして、発信をすることで不思議なめぐり合わせのようなことが起こる。これはSNSでの発信で出会う可能性が生まれることと似ていると感じました。

宝くじは買わないと当たる権利さえないのど同様に、やってみたからこそわかること、生まれるものはありますよね。

ところで、なぜ北海道のチョコが宮城で? ということも本記事をご覧ください。

何がどうつながるかわからないからこそ今から動いてみる、反対意見に流されないことの大切さを学ぶ記事でした。

店員がいない「無人書店」続々、人の目気にせずじっくり吟味…コスト削減しながら「24時間営業」も | 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/20250913-OYT1T50005/

日販によると、2016年~2021年で全国の駅、駅前立地の書店の出店数は約60店舗に対し、退店数は約120店舗だそうです。倍速で減り続ける書店の新しい可能性を示唆する無人書店の取り組みを興味深く読みました。

“行きたい時に行くことができて、好きな世界に浸れる。スマートフォン的な使い方ができる点が受けているのではないか。魅力的な本を集め、来店客の期待に応えたい”

とは、店主の言葉ですが、行きたいときにスマホやPCで好きな世界に浸れるということもECサイトに通じることかと感じました。

24時間いつでも利用できるECサイトのなかでも、巨大モールが持つ、欲しい商品を翌日配送してくれるスピードや価格面に対し、中小ECが立ち向かうことは至難の業。

お店とお客さんが好きなものや世界観を共有できる場所になれることこそが、個人や中小企業のECのあるべき姿ではないでしょうか。消費者行動論の専門家、慶応大学の白井美由里教授は、

“ただしセルフサービスは人によって好き嫌いがある。安心感や快適性などのサービス向上が今後の普及の鍵になるかもしれない”

と、結んでおり、自社にとってちょうどいい距離感や温度感をサイト上に育んでいくことが今後のECサイトには重要なポイントだと個人的には考えています。

オリオンビール、Tシャツで若者浸透 グッズ販売2年で3倍の30億円 | 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC04CZU0U5A900C2000000/

2025年9月25日に東京証券取引所への上場を予定しているオリオンビールのグッズ販売が3倍に成長しているという記事です。同社のアパレルグッズを購入した若者たちは、

“かわいいし、沖縄に行ったことがすぐにわかる。たくさん写真を撮りたい”

“ビール会社とは意識していない”

と話し、アパレル分野で認知が高まっている様子がうかがえます。

私が若い頃に流行したアパレルのロゴを調べてみると、海外のオイルメーカー、アーティストのアルバムジャケットだったりということがありました。ユニクロと企業のコラボTシャツでも、広く企業の商品ロゴなどが売り出されていますが、歩く広告塔たちによって「見たたことがある」と認知度が上がることはプラスですね。

小さなお店でも看板やロゴのグッズをオンデマンドで制作しているところもあります。当社も会社のロゴを入れたアパレルグッズがあります。「無名の企業のグッズを誰が買うねん」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現に有名な芸能事務所の社長が愛用しています。

自社を愛することを1人であろうと、こうしたグッズを身に着け、始めることは将来、オリオンビールのようなブランディングにつながるかもしれませんよね。

そうして私は今日も自社のロゴ入りパーカーとサコッシュを身につけ外に繰り出します。

今、みなさんにお伝えしたいこと

“なにかを成し遂げたいのなら、死ぬ気で働かないといけない時期が必ずあると思うんだ” | 岩井圭也 サバイブ!特設サイト(祥伝社)
https://www.shodensha.co.jp/survive/

これはベンチャー企業舞台にした小説「サバイブ!」からの一節。

就活中に難病に倒れ、退院を機に起業した主人公と仲間たちのお話。動画制作会社としてスタートしたものの決まったのは社名だけという、いかにも青春なテーマなのですが、実在するベンチャー企業をモデルに書き起こされた作品です。

流行語にもなった「倍返し」のような爽快復讐劇でもない本作は、創業から20年後に生き残っているベンチャー企業は0.3%という厳しい現実と夢とを垣間見させてくれる物語です。

2020年1月に創業した株式会社ユウキノインも9月で7期目を迎えました。中小企業庁のデータによればベンチャー企業の生存率は、5年後で約15%で10年後で6.3%と言われています。

7年であれば、その間の11%ほどでしょうか。当社も現時点でなんとか1/10に生き残ることができました。

この「ネッ担まとめ」を一緒に担当する石田さんは2011年に起業(すごい!)。中林さんは先日、法人を設立されました(おめでとうございます!)。

いつも読んでくださる読者の皆さんとも一緒に15年、20年と生存できるように頑張っていきたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願います。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

酒匂 雄二

Amazonが4日間開催する「プライム感謝祭」、あと払い(ペイディ)やメルペイ、リクルートポイントの利用でポイント還元などのキャンペーン実施

2ヶ月 1 週間 ago

アマゾンジャパンが10月7日から10日まで開催するAmazonプライム会員限定のセール「プライム感謝祭」で、「あと払い(ペイディ)」「メルペイ」「リクルートポイント」の利用でポイントを還元するキャンペーンなどを実施する。

あと払い(ペイディ)

キャンペーンページにエントリーし、「プライム感謝祭」の買い物で「ペイディ」を利用すると、合計支払い金額の最大3%のAmazonポイント(最大500ポイント)を還元。キャンペーンは通年で実施しており終了日は未定。「翌月払い」のみが対象となり、3・6回あと払いでの決済は対象外。還元ポイントの付与時期は2025年12月中旬を目途としている。

Amazonプライム会員限定のセール「プライム感謝祭」 あと払い(ペイディ)を利用すると最大3%のAmazonポイントを還元する
あと払い(ペイディ)を利用すると最大3%のAmazonポイントを還元する

メルペイ

キャンペーンページでエントリーし、「Amazon.co.jp」で「メルペイ」ネット決済を連携、初めて「メルペイ」(メルペイ残高・メルカリポイント・メルペイのあと払い)を利用して買い物をすると、決済金額の15%分のメルカリポイント(合計上限1500ポイント)を付与する。対象期間は9月16日から10月10日まで。還元ポイントの付与時期は2025年11月末頃。

Amazonプライム会員限定のセール「プライム感謝祭」 初めての「メルペイ」利用で最大15%還元する
初めての「メルペイ」利用で最大15%還元する

リクルートポイント

新たにAmazonアカウントとリクルートIDを連携し、エントリーしたユーザーを対象に抽選で最大1万リクルートポイントが当たるキャンペーンを実施する。キャンペーン期間は9月25日から10月21日まで。ポイントの付与時期は2025年11月末を目途としている。

Amazonプライム会員限定のセール「プライム感謝祭」 1万リクルートポイントが抽選で当たる
1万リクルートポイントが抽選で当たる
鳥栖 剛

「TikTok Shop」で売れるコンテンツ作りの基礎+プロモーションの実践ロードマップ+成功のための6ステップ

2ヶ月 1 週間 ago
2025年6月から日本国内でもスタートした「TikTok Shop」。黎明期の今こそ新興ブランドでも先駆者になるためのポイントを解説します

ついに日本でもスタートした「TikTok Shop」。アプリ内で発見から購入まで完結する“発見型EC”として注目され、リリース初日から登録セラー数が7800社を突破するなど、大きな話題を呼んでいます。「TikTok Shop」で成果を出す上で核となる「コンテンツ戦略」にフォーカス、これからファンを増やしたいブランドやEC担当者に向けて、実践的な戦略や成功のポイントを解説します。

新興ブランドでも勝てる余地は十分にある。「TikTok Shop」が広げる可能性

すでに「TikTok Shop」が運用されている海外市場では、驚異的な成長を遂げています。たとえば中国では、2024年の「抖音(Douyin)」全体のGMV(流通取引総額)が5480億ドルを記録。英英国やインドネシアでは、多くの「TikTok」発のブランドがGMVランキングにランクインし、大手企業をしのぐ成果を上げています。(参考:CHARM.IO「Top UK Beauty Shops on TikTok: Who’s Leading in Sales and Engagement」、FindNiche「Top 100 TikTok Shop in Indonesia 2025」)

このように「TikTok Shop」の最大の強みは、ブランドの知名度や広告予算の大小にかかわらず、発見を起点に購買へと自然につなげられる点にあります。つまり、まだ立ち上げ間もないブランドであっても、工夫次第で一気に注目を集め、売り上げを伸ばすことが可能なのです。特に日本国内では、黎明期である今こそ先行者としてのポジションを築きやすく、伸びしろの大きい段階と言えるでしょう。

PLAN-B TikTok Shop 「TikTok Shop」の利用について
「TikTok Shop」の利用について
(画像はTikTok「Introducing TikTok Shop」からキャプチャ)

すべての起点は「コンテンツ」

「TikTok Shop」で話題化や売上アップを狙うためには、何から始めるべきなのか。具体的な戦略とノウハウを解説していきます。

「TikTok Shop」を開設した直後にまず取り組むべきことは、「質にこだわったコンテンツを継続的に発信する」です。

その理由は、「TikTok」というプラットフォームが持つ独自の構造にあります。「TikTok」では、「コンテンツそのものの質」こそが成果を左右する最大の要素となっているからです。

「Instagram」「YouTube」のようにフォロワー数が投稿のリーチや評価に大きく影響するプラットフォームとは異なり、「TikTok」ではフォロワー数にかかわらず、良質なコンテンツがアルゴリズムによって選別され、多くのユーザーに届けられる仕組みがあります。

つまり、コンテンツそのものの力が、リーチやCV(コンバージョン)に直結する設計になっているのです。

この仕組みを正しく理解した上で、「TikTok」ならではの文脈やユーザーの期待に沿ったコンテンツを継続的に発信していくことこそが、「TikTok Shop」で成果を出す上で欠かせない“出発点”となります。

コンテンツ制作で押さえるべきポイント

「TikTok Shop」の特長を踏まえて、成果を上げるために重要なコンテンツ制作ポイントを整理しておきましょう。

ショート動画を軸に“露出の最大化”を狙う

「TikTok Shop」で商品を販売する方法は、主にショート動画、ライブコマース、ショップページの3つです。このうち、特に重視すべきなのがショート動画です。実際に、米国市場では売り上げの約半数がショート動画経由で発生しているというデータもあり、これはグローバル全体でも同様の傾向が見られます。

まずはショート動画を積極的に活用し、露出を最大化することが最優先となります。

PLAN-B TikTok Shop 米国における購入比率
米国における購入比率
(画像はFit Small Business「30 TikTok Shop Statistics to Know in 2025」を元にPLAN-Bが作成)

アカウント運用、インフルエンサー投稿、広告から始める

新興ブランドが「TikTok Shop」のプロモーションで取り組むべき施策は、大きく分けて次の3つです。

①アカウント運用:自社アカウントで商品の露出を狙う

まずは自社の公式アカウントを活用し、訪問したユーザーの購買意欲を刺激するコンテンツを準備しましょう。ここは唯一、費用をかけずに露出量を自社でコントロールできる領域です。

特に意識すべきなのは、「質にこだわりすぎるよりも、量を優先すること」。たとえば「まずは週3本投稿」を目安に、継続的にコンテンツ量を増やしていくことが大切です。

②インフルエンサーの投稿:影響力を持つインフルエンサーとのコラボで露出アップ

次に実施すべきなのは、インフルエンサーとのコラボレーションです。質の高いクリエイティブ制作に長けているインフルエンサーに商品を紹介してもらうことで、一気に露出を拡大することが可能です。

ただし、特に「TikTok」においては、単にフォロワー数が多いインフルエンサーに依頼すれば成果が出るというわけではありません。

では、どのようなインフルエンサーを選べばよいのでしょうか? その判断の参考として、私たちが月間3万件以上の投稿データを継続的に分析するなかで見えてきた、「成果を出せるインフルエンサー」に共通する要素を紹介します。

  1. 消費者目線で「気づき」をくれる:企業にはない視点や言葉選びで、商品の魅力をより自然に伝える力。投稿の切り口が新たな発見につながることもあります
  2. トレンドを敏感にキャッチする:SNSトレンドを素早く捉え、投稿に自然に取り入れられる感度の高さ
  3. 購買を促す「プレゼン力」がある:「なぜおすすめなのか」「どのような人向けか」などを、自分の言葉でわかりやすく語れる力
  4. フォーマット適応力を備えたコンテンツ表現力:各SNSに最適な形式・構成で投稿を作り上げる表現力
PLAN-B TikTok Shop 成果を出せるインフルエンサーの特長
成果を出せるインフルエンサーの特長

③広告運用:露出量をコントロールし接触を増加させる

最後に押さえたいのが、広告による露出のブーストです。「TikTok Shop」の広告ソリューション「GMV Max」を活用すれば、あらかじめ設定した利益水準を維持しながら広告配信を行うことができ、広告初心者にも扱いやすい設計になっています。

PLAN-B TikTok Shop 新興ブランドが「TikTok Shop」のプロモーションで取り組むべき施策

補足:アフィリエイト施策は“タイミング”が重要

「TikTok Shop」には、アフィリエイターとマッチングできる公募機能「TikTok Shop Affiliate」も用意されています。ただし、知名度が低い商品をアフィリエイターに紹介してもらうことはハードルが高いのが実情です。

なぜなら、アフィリエイターの多くは「売れやすい商品=人気がある商品」を優先的に選ぶからです。そのため、ある程度の認知を獲得したあとでアフィリエイターに選ばれる状況を作ることで、自発的な紹介が起こり、拡散効果が大きくなるという流れをめざすのが理想的です。

「TikTok」で売れる仕組みとは?

露出最大化のための戦略に焦点を当ててきましたが、ここからは、次のステップである「どうすれば売れるのか」について掘り下げていきます。

フェーズに応じて「認知型動画」と「販売型動画」を使い分ける

コンテンツの再生数や話題性が高くても 、それだけで売り上げにつながるとは限りません。「TikTok」で売り上げを伸ばすためには、動画の役割を明確に理解したうえで、フェーズに応じたコンテンツ戦略を設計する必要があります

動画には大きく分けて、次の2つのタイプがあります。

  • 認知型動画:興味喚起を目的としたコンテンツ
  • 販売型動画:購入行動を後押しする訴求型コンテンツ

具体的に、どのフェーズでどのようなコンテンツを届けるべきかについては後述します。フェーズごとの設計こそが成果を左右する重要なポイントであることを、ぜひ押さえておいてください。

「流行り」は偶然ではなく“演出”できる

今や「TikTok」は、トレンドの発信源として大きな影響力を持っています。実際に、「TikTokで話題だから」という理由で購入に至る、いわゆる“「TikTok」売れ”も頻発しています。

しかしこうした話題化は、すべてが偶然に起きているわけではありません。むしろ多くの場合、意図的に演出・コントロールされた結果なのです。

そのカギを握っているのが、「TikTok」独自の強力なレコメンドアルゴリズムです。ユーザーの興味・関心を精緻(せいち)に捉え、関連性の高いコンテンツを次々と表示する仕組みによって、「話題の商品」として意図的に認知され、購買へとつながっていく流れが生まれています。

ユーザーが商品などに7回接触すると記憶に残り、購買につながりやすくなるという「セブンヒッツ理論」があるように、「TikTok」のアルゴリズムも、そうした心理効果を後押しする構造を持っています。

この仕組みを踏まえると、多くのコンテンツをあらかじめ用意しておくことがいかに重要かわかります。接触回数を増やすことで、ユーザーに「話題の商品」として認知され、購買意欲を高める流れを意図的に生み出すことができるのです。

PLAN-B TikTok Shop 従来のインフルエンサーマーケティングとは異なる特長

「TikTok」でモノを売るためのロードマップ

最後に「TikTok Shop」で成果を上げるための全体戦略を、ユーザーの購買フェーズに沿って分解しながら紹介します。

プロモーションロードマップ:ユーザーフェーズ別の施策設計

「TikTok」で購買を生み出すには、ユーザーのフェーズから逆算したプロモーション、クリエイティブ戦略が欠かせません。

具体的には、下の図のようにまずは「知ってもらうこと」を出発点として、それぞれのユーザーのフェーズ(非認知/認知/興味・関心/比較検討)を踏まえ、「どのタイミングでどのようなコンテンツを届けるべきか」を段階的に設計していくことが、王道の戦略と言えるでしょう。

PLAN-B TikTok SHop プロモーションロードマップ

「TikTok Shop」成功のための6ステップ

「TikTok Shop」運用を成功に導くためには、次の6ステップを理解し、段階的に進めていくことが重要です。

①まずは「土台」を整える

どれだけプロモーション施策を行っても、公式アカウントやShopページが未整備のままでは購買につながりにくいのが実情です。ユーザーが安心して購入できるよう、アカウント情報や商品ページなどを整備しておきましょう

②クリエイティブ企画の立案

次に重要なのは、商品に合わせたクリエイティブの企画立案です。前述したユーザーフェーズ別のクリエイティブ戦略をもとに、投稿設計を行います。

③インフルエンサー、アフィリエイターを動かす

自社発信だけでは限界があるため、数を意識して複数のクリエイターを起用し、市場に多面的な投稿を増やすことで「話題性の演出」につなげていきます

④広告で加速させる

各投稿の効果を最大化させるため、広告を活用してインプレッション量と獲得効率を加速させていきます。

⑤顧客フェーズを分析し、PDCAを回し続ける

認知が必要なのか、最後の一押しが必要なのか、ユーザーのフェーズを見極めながら適切なクリエイティブを作り続けます。常にPDCAを回し、コンテンツと施策の精度を高めていくことが成長のカギです。

⑥クリエイターから “自発的に手が上がる”状態へ

一定の話題性と実績が出てくると、アフィリエイターやクリエイター側から「紹介したい」という動きが自然と出てくる段階に入ります。このタイミングでは、効率的な運用体制、レギュレーション整備、長期的な獲得継続のための工夫が必要になります。

まとめ

「TikTok Shop」は、従来の検索型ECとは異なり、知名度や予算に左右されにくく、新興ブランドでもコンテンツ次第で勝てる余地が十分にあります。

重要なのは「誰に・どのタイミングで・どのような形で、どれだけ届けるか」。つまり、コンテンツの量によって話題化を演出しつつ、ユーザーのフェーズに合わせた質と導線を掛け合わせることが、「TikTok」で成果を出すカギになります。

「TikTok Shop」にチャレンジする皆さんの一歩を後押しするヒントになれば幸いです。

森山 佳亮
細川 遥平

千趣会の「ベルメゾン」、AI搭載のレコメンド導入で顧客との関係性強化と売上維持を実現

2ヶ月 1 週間 ago

千趣会はECサイト「ベルメゾンネット」に、AI搭載のリアルタイム・レコメンドサービスを導入し、顧客とのエンゲージメント強化と売上維持を実現している。

リアルタイム・レコメンドサービスを導入し成果を出した

千趣会は過去に、リアルタイム・レコメンドサービスを導入していたが、多機能性のある「統合型マーケティングツール」へ切り替え。ただ、導入したところ、内部システムが複雑で連携がうまくいかない、カスタマイズに膨大な費用がかかるといった課題が発生したため、リアルタイム・レコメンドサービスを再度導入した。

導入後、「ベルメゾンネット」が大規模なシステム改修を実施する環境下でも、顧客とのエンゲージメントを実現。ECサイトへのアクセスが限られる状況下でも訪れるロイヤル顧客に対し、AIが1人ひとりのニーズを的確に捉えて商品を提案し続けた結果、レコメンド経由の受注額は高い水準を維持したという。

千趣会が導入したのはシルバーエッグ・テクノロジーが提供するリアルタイム・レコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」。

鳥栖 剛

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