電通デジタルが10月7日に公表した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」によると、ECと実店舗を行き来する慎重な商品検討やリセールバリューを加味した購入など「リスクヘッジ購買」が広がっているほか、情報収集で「企業の公式サイト」の利用頻度が増加していることがわかった。
「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」は、主要商品(13カテゴリー29商品)をベースに、認知・比較検討・購買・購買後の各フェーズにおいて、ユーザーがどのようなチャネルに触れ行動をしているのかを調査。5月23日~27日にインターネット調査を実施した。調査対象は全国の20~69歳。スクリーニング調査が1万人、本調査は4350人を対象とした。同調査は2022年から実施しており、今回が3回目。
最近の買い物に対する意識
消費者の25.5%がオンラインでの購入が増えたと回答。また「中古品を購入するようになった」(8.8%)「将来売却することを考えて購入する」(4.8%)とリセールへの関心も高まっている。電通デジタルでは「購入後も価値が保たれる商品を見極める行動は、生活者のリスクヘッジを考えた購買傾向の強まりを示している」と分析している。
買い物意識ではリセールへの関心が高まっていることがわかった
購買行動の各フェーズにおけるオンラインと実店舗の比率
比較検討フェーズではオンラインチャネルを利用する消費者が半数を超えた。第1回調査から割合はあがっており、2022年の50.0%から2023年には52.2%、2024年には55.7%と、3年で5.7ポイント増。比較検討においてオンラインチャネルの重要性が増している。
「商品認知」と「購入場所」については実店舗が依然として6割超に
オンラインと実店舗における最高支出金額
1万円未満では実店舗が多く、1~5万円の価格帯ではオンラインが増える傾向が見られた。5万円以上は、オンラインと実店舗で大きな差はなかった。高価格帯の商品購入における選択基準に両者の違いはないことがわかった。
1万円以上の支出ではオンオフに大きな差はなかった
検討要素の多い商品の購買行動
検討要素の多い商品では、オンラインと実店舗を行き来しながら慎重に購買している。電化製品の場合、オンラインと実店舗を行き来する生活者は5.9ポイント増の26.9%。検討を経て購入する割合も2.7ポイント増の89.5%だった。「商品スペックや詳細情報を把握した上で実物を確認し購買リスクを軽減したいという生活者のニーズが読み取れる」(電通デジタル)と考察した。
電化製品はオンオフ横断して慎重に検討する消費者が26.9%に
家電に関しては、店舗購入が前年比15.2ポイント増の55.4%。購買プロセスとしては公式サイトを中心にオンラインで事前に情報を収集し、最終的に店頭で実物を確認して購入するという行動が多い。
家電の購入場所は実店舗が半数以上に
企業の公式サイトの役割
消費者の情報収集において「企業の公式サイト」の利用頻度が増していることもわかった。「認知」段階においては前年比2.5ポイント増。比較検討で最も役に立ったチャネルでは3回連続首位で前年比0.7ポイント増の26.5%となった。
比較検討において最も役立った場所のトップは「企業の公式サイト」に
公式サイトで購入する理由
「公式サイトだと安心だから」(12.5%)がトップに。電通デジタルは「生活者は、公式サイトを通じて確かな商品情報に加えて、安全性や信頼性を求めており、ここでもリスクヘッジ購買の傾向が見て取れる」と結論付けている。
公式サイトで購入する理由のトップは「安心」となり、「リスクヘッジ購買」の傾向がみられる
リスクヘッジ購買におけるモールECとポイント4>
公式サイトの活用が増加している一方で、ECモールも引き続き主要購買チャネルとなっている。その理由として「ポイントを貯めたいから」(37.3%)「貯まっているポイントを使いたいから」(27.3%)が上位にあがった。依然としてポイントに基づく購買行動は根強い。また、96.2%の消費者が何らかのポイントを集めており、ポイントを意識した購買行動が続いている。
電通デジタルではポイントを重視する購買行動も、経済的メリットを追求する行動で「生活者がリスクを分散させ、購買行動に安心感を求める『リスクヘッジ購買』の一環として捉えることができる」とまとめている。
ECモールを使う理由は「ポイント」関連が上位となった
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オリジナル記事:情報収集で「企業の公式サイト」の利用頻度が増加、消費行動はリスクヘッジ購買が顕著に【ECと店頭を横断した購買行動調査】
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