スマートフォンECサイト企画のフレームワーク

どのようにスマートフォンECサイトを企画すればよいか
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今回はスマートフォンECサイトを企画するにあたり、集客(サイト訪問のユーザ導線)や、スマホユーザ特性を踏まえた上で、どのようにスマートフォンECサイトを企画すればよいかについて記載しました。スマホEC取組にあたりご参考にしていただけましたら幸いです。

1.スマホECの集客(サイト訪問のユーザ導線)を考察

◆スマートフォンキャリア公式サイト

現段階ではPC本店サイトのスマートフォン対応という位置付けでスマホECを捉えている方も「スマホEC単体でどのようなユーザ導線を確立するのか」ということは検討しておく必要があります。

そこでまず検討しておくべきは、スマートフォンはモバイル端末であるためこれまでの携帯電話と同様にその流入元を牛耳るのはdocomoなどの携帯キャリアになる可能性も捨てがたいということです。今ではガラケーキャリア公式サイトは衰退傾向にありますが、11月より本格化する予定のdocomoのスマートフォン公式サイトなどの動きは今後のスマートフォンECのユーザ導線を考える上では切れないどころか、しっかりと視野に入れてスマホECの参入を検討する必要があります。

この携帯キャリアポータル(スマートフォン公式サイト)からのユーザ導線を考慮してみると、訪問ユーザの特性はこれまでのPCとは異なった特性(ユーザ層や利用特性など)が鮮明になるため、単純なPC本店サイトのスマートフォン対応というPC本店サイトへ訪問するユーザ向けのスマホECサイトとは異なります。これまでのPC本店サイトとは異なるスマホユーザの特性だけに焦点を合わせたスマホEC本店サイトを独立運営し、その特性に合わせてスマホEC本店サイトを進化させる必要性があります。

受注や商品情報などの一元管理できるものは基幹システムなどで連携を図り、PC本店⇔スマホ本店とのシステムを切り離し、システムがPC本店サイトと連携していることによる、スマホECの独自の進化が出来なくなる懸案を排除しておかなければ、今後訪れるスマートフォンECに乗遅れ、EC事業を退化させてしまいかねません。

話をもどしますが、スマートフォンキャリア公式サイトの登録にかかるコストも安価ではありませんので、費用対効果の検討は必要とおもわれますが、いずれにしてもdocomoスマートフォン公式サイトは注目であることには変わりません。ですから最低限スマートフォンECサイトは、このようなスマートフォン公式サイトも考慮する必要があります。

スマートフォンECはモバイルECであり、PC向けのECとは異なったユーザ特性を持つことを考慮してスマホEC本店サイトを進化させていくことが重要と言えます。図を見る

 ◆PC本店サイトからの導線

スマートフォンECサイトを開店した場合、真っ先に実施すべきユーザ導線は『PC本店サイト』へ訪れるスマホユーザをスマホECサイトへ誘導することです。スマホ利用者がPCサイトへ訪問してしまうことで、転換率(CVR)は大幅に低下し約0.2%(aiship調べ)となっています。スマホ端末でPC本店サイトへ訪問するユーザは日増しに増加し、スマホECサイトが無いことで大きな機会損失が発生しています。

対策は容易で、PCサイトへ訪問したスマホユーザのみスマホEC本店サイトへリダイレクトして誘導することで解決します。

上述でスマホEC本店の独立性を上げましたが、ここで問題となるのは、リピートユーザ(既にPC本店での会員)の場合PC本店で利用していたポイントや会員情報が利用できなくなることのユーザビリティ低下が考えられます。これらはEC事業者様の運営の合理性と顧客利便性もあるためどちらが良いとは一言では言えませんが、モバイルECマーケティングの重要要素を考慮するとスマホEC本店サイトが独立している方が良いという以下のような見解があります。

  • スマートフォンでもこれまでの携帯メールアドレスが中心に使われる。またメルマガ配信においてモバイル端末向け配信の方が、PCよりも転換率が約10~20倍高いことから、特にリピート性が高い商材を取扱うECサイトでは、スマホECサイトへ誘導したタイミングで新規会員登録を促し、携帯メールアドレスを得ることが、会員の将来価値が高まめる重要なポイントでもある。それゆえにスマホECサイトを独立運営するメリットがある。(ポイント持越しの不都合は新規会員登録のインセンティブで相殺する)
  • リピート性が低い商材を扱うECサイトの場合は上記のようなユーザビリティの考慮はあまり重要ではなくなるため、独立したスマートフォンECサイト運営には内部工数(運営の手間)意外の大きな阻害要因はない。
  • そもそもモバイル端末とPC端末を併用利用するユーザが相対的に少ないため、PCサイトとスマホサイトの相互利用を大きく意識する必要は無い。
  • 一度スマホECサイトで購入したユーザを極力自社PCサイトには誘導せず、スマホECサイトのブックマークをするなどで訪問回数を高めることができる。そこでモバイル端末は比較しにくいメディアでもあるため競合他社への流出も抑えられることで、顧客の囲い込み並びに商品単価向上を図れる。ゆえにPC本店とスマホ本店を切り離し、十分充実したユーザビリティが高いスマホ本店を構築し、PC本店顧客⇒スマホ本店顧客への不可逆性のユーザ導線を作ることが重要。

◆最低限のスマホECサイトのLP(ランディングページ)

PC本店サイトからスマホユーザをリダイレクトする場合重要なポイントが、「どのPC本店ページに訪問したユーザをどのスマホ本店ページへリダイレクトするのか?」という点です。これは追求するときりがありませんので、まずはgoogleアナリティクスなどでPC本店サイトへ訪問している上位のランディングページ(始めに訪問者が訪れるページ)の上位から数ページを実施すればよいでしょう。

「TOP含む上位5ページをスマホECでもLP化」というように主要ページのリダイレクトをまずは実施すればよいでしょう。ここでPC本店がBtoC商材、BtoB商材が混在している場合は、モバイル端末利用者の上位のランディングページに絞る必要があります。

またこのことを考えると、必然とスマホECサイト構築を実施する場合にこれらのランディングページ構築は必須となります。

◆リスティング広告と自然検索

現段階ではスマホECにおける費用対効果が高い集客媒体は少ない状態であり(今後はパワーを持つメディアが出るであろう)、まず費用対効果が高い集客はgoogleやyahoo!のリスティング広告となります。

そこで重要なのは、単純なことですがスマホユーザはスマホページに誘導するということです。現状リスティング広告に出稿されているECサイトのほとんどが、スマートフォンリスティング広告においてもPCページへランディングさせてしまっている状況です。

上述しましたが、スマホ端末利用者をPCページへランディングさせてしまうとCVRは0.2%程度しか出ません。要はスマートフォンLPが無い場合はスマートフォンリスティング広告の費用対効果が非常に悪いという状態です。

にもかかわらず、リスティング広告を外部委託されている事業者様など、スマホユーザをPCページへランディングさせ、結局コンバージョンに至らず無駄な広告費用を払っているケースが散見されます。

スマホECサイトの必要性はスマホユーザのユーザビリティ向上です。googleのリスティング広告(Y!も予定)ではスマホリスティングを分けて管理できるため、費用対効果がよいスマホECページへ誘導することは必須となります。

また自然検索からの流入については、上述「最低限のスマホECサイトのLP(ランディングページ)」で記載したことを実施していれば自然とユーザ導線が確立できるはずです。現状検索エンジンの上位にインデックスされるECサイトのページはこれまでPCサイトを主体に運営しているECサイトの場合、そのドメイン配下のページであり、PCサイトの上位のランディングページ=検索が多いワードで上位にインデックスされている下層ページとなっている場合が多いためです。

ですからこの上位のランディングページに対応したスマホECのランディングページを構築して、スマホユーザをリダイレクトさせることでユーザ導線が確立出来ます。

また独立したスマホECサイトを構築する場合は新たにモバイル本店の独自ドメインを付与することも可能なので、その際はこれまでのPC本店とは異なった検索ワードでのSEO対策を実施し、モバイルEC本店独自でもSEO対策を実施することも重要でしょう。

いずれにしても、以前の記事(高いスマホECの転換率)で公開していますが、完全なスマートフォンECサイトの平均転換率(CVR)は3.4%もあります。理論値で考えるとリスティング広告や自然検索のLPをPCページからスマホ専用ページへ変更すると、約17倍もスマホ端末での購入者数が増加することになります。

またスマートフォンEC平均転換率3.43%はモバイルEC平均転換率1.77%やPCEC平均転換率1.71%と比較しても約2倍であるため、単純に2倍購入されやすい端末ともいえますのでLPのスマホ最適化を実施することはユーザ導線の費用対効果を高める上で非常に重要なポイントになります。

◆その他の集客媒体

上述しましたが、スマホではまだ強烈なパワーを持つメディアが少ないこともあり、スマホメディアからの集客の費用対効果は悪いのが現状です。そのような中であることもあり、多くのメディアと連携しているアドネットワークはスマホユーザのアクセスが得られているようです。しかしオーバーレイ広告での無駄クリックにより費用対効果が悪いなどの情報もあるために、注意も必要となります。

アフィリエイトにおいてはそのネットワーク内のスマートフォントラフィックが伸長しているために、これまで同様に有効な集客手段となります。リスティング広告のように媒体側でLPの振分を実施しているアフィリエイトは良いのですが、基本的にネットワーク内にPCユーザとスマホユーザが混在していることもあるため、これらの集客導線からも同様にPC向けLPとスマホ向けLPを用意して、ECサイト側でもアクセス端末の振分(リダイレクト)を実施しておく必要があります。

またスマホECでもQRコード利用が一般化してきていることなど、雑誌などのリアル系の広告媒体はスマートフォンECとの親和性が高まってきています。場合によりWEB広告よりも費用対効果が高いケースもあります。これはPCでのECではあまり考えられなかった、雑誌閲覧者をダイレクトにモバイルECサイトへ誘導するユーザ導線です。ここでもユーザ誘導先のLPがCVRを高めるポイントともなります。

◆モバイルユーザ特性からみるランディングページの重要性

スマホユーザは

  • 入力の手間を嫌う
  • ページ遷移にストレスを感じる

という特性を持ちます。またその反面「目的意識が強い」傾向があります。

このような特性を考慮すると、例えばリスティング広告においてはPC以上にLPが重要となります。

例えば、ユーザ自らが検索し、インデックスされている広告文をクリックしたその先のページの上部コンテンツが一致していないと、「この先に自分が求めるものがあるだろうか?」という心理的不安に陥ります。目的意識は強く「早くたどり着きたい」と思っている半面、ページを遷移するストレスがあるためです。そしてその何割かのユーザは、またインデックスに戻って「すぐに目的にたどり付けそうなサイト(ページ)」を探します。

しかしその反面、広告文⇔小さなブラウザでのLPの上部が一致しているとPC以上のCVRが期待できます。目的意識が強いからこその現象です。

PCサイトではファーストビューで多くの情報を訴求できましたが、スマートフォンではそれが難しいために、伝えたい情報を整理して、しっかりとユーザ導線に合わせてLPを分け、ユーザ導線に合わせたファーストビューを構成することがCVRを向上させるためには重要となります。

2.スマホECサイト企画のフレームワーク

前述してきたスマホECのユーザ導線を考慮した場合のスマホECサイト企画のフレームワークは以下のようになります。スマートフォンEC企画構築のご参考にしていただけましたら幸いです。

コンセプト

PC本店のスマートフォン対応として捉える方が多いが、スマホEC本店は“モバイル端末ユーザ”に対してのECサイトであるため、モバイルユーザ特性やユーザビリティを最大限考慮したPC本店とは異なるコンセプト設定が必要。

◆EC運営のプラットホーム

スマートフォンECサイトはモバイルユーザ特性に合わせた進化が必要なため、PC本店とは切り離し、独自に進化できる独立したEC運営プラットフォームを利用する必要性がある。PC本店との一体運用において、その進化が阻害される要素を排除しておかなければ、スマートフォンECがメインストリーム市場でそのEC事業は退化する危険性がある。

◆ターゲットユーザ

スマートフォン端末を利用して、自社商品を購入しようとしているユーザであるため、必然とPC利用者とは異なる場合がある。自社商品の購入見込み者のうち、スマートフォン端末を利用している人・今後スマホ端末を利用してサイトへ訪問するであろうターゲットユーザを明確にする必要がある。

◆商品構成

上記のコンセプトやターゲットユーザを明確にした場合、次のような理由でPC本店とは商品構成が異なる。

⇒自社商品でもモバイル端末利用者に焦点を当てた商品構成とする。

⇒PC本店でBtoB商材・BtoC商材が混在している場合は、主にBtoC商材(個人消費向け)を中心とした商品構成とする。(スマートフォンECのメインターゲットは個人消費)

⇒PCに比べブラウザサイズが小さいため、小さい画面で最大限に訴求できる商品カテゴライズや商品ラインナップの再検討も必要。

◆サイト構成やデザイン

上述を考慮したサイト構成やモバイルユーザの特性を十分考慮したページデザインを実施すると共に、小さな画面でCVRを最大限高めるためにPC以上に細分化したLPが重要。また既存ECサイトでの上位ランディングページの構築は必須。

スマートフォンショッピングカートASP『aiship(アイシップ)』 岩波)

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掲載元のブログではわかりやすい画像つきで公開しています。
■aishipスマートフォン&モバイルEC事例・ノウハウ集
http://www.aiship.jp/knowhow/archives/1281
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