今さら人に聞けないWebの仕組み

サイト構成表を作るとサイトの成績表がわかる? 入手方法も紹介【第10回】

SEO施策を考えたり、サイトのページ管理に必要不可欠な「サイト構成表」。今回は、その重要性と、入手方法を紹介します。【第10回】

前回の「サイト作りに欠かせない「階層構造」とは? 「サイト構成図」って何?【第9回】」では、Webサイトを作るときに必要なサイト構成図の話をしました。

今回は、Web運営を自律的に行うために必要な、サイト訪問者の誘導や、SEO、コンテンツ作りなどを管理するための「サイト構成表」について解説します。

サイト構成表は、サイト全体の構成と、どの階層にどんなページがあるのを管理するために必要です。さらに、メタデータを書き込むことでSEOのためのコンテンツ作りを考えたり、ページのアクセス数を書き込んで成績表を作ってページを改善したりと役立つので、しっかり作成しておきましょう。

〔図10-1〕サイト構成表を見ればどんなページがどれだけあるか一目瞭然

 

サイト構成表には何が書いてある?

では、これから作る「サイト構成表」には、何が書いてあるのでしょうか? 階層構造には以下のようなものが書かれています。

  • ページ
  • 内容
  • URL
  • タイトル
  • 階層構造
  • ディスクリプション
  • キーワード

サイト構成表では、「人が考えている順番」にページを並べます。これはサイトの階層構造をわかりやすくするためです。

「人が考えている順番」とは、「トップページが最初にあって、次が製品情報、その次が会社情報、採用場があって、最後にお問い合わせ」と、グローバルナビゲーションに並んでいる順番のことです。

プログラムがサイトを自動巡回して、ページにリンクが出てくる順番に情報を取得していく、というロボット型のプログラムを利用すると、グローバルナビゲーションよりも先に出てくる「サイトマップ」や「English」といったリンクを先に読んでしまうことがあります。

小さなリンクがサイトの右上に掲載されていることもありますね。あの部分を先に読むと、「あれ、製品情報がなかなか表に出てこないな」「ずっと英語版のページが続いてしまう」ということになります。

それを、「人が考えている順番」つまり、1番がトップページ、2番がグローバルナビゲーション上の先頭項目のように並べていきます。そうすると、URLの階層構造が整理され、どんな内容かわかりやすくなります。

人がWebサイトを見るときの順番を想定

ページの情報の他に、「ページタイトル」や「メタ」を書くのが一般的ですが、どんな項目を入れて充実させるかは自由です。Googleアナリティクスから取り込んだアクセスデータを入れれば、サイトの構成に基づいてページの成績表も作れます。

サイト構成表をSEOに活かすには? ページとキーワードを一括管理

サイト構成表はSEO施策を考えるときにも活用できます。どのページにどのキーワードで集客して、さらにどのページに誘導するか、という戦略マップを作成できるからです。

多くのWeb担当者が「SEOについて学びたい」と言いますが、SEOは、自然検索からの訪問者を増やすことが狙いです。検索した人がサイトにたどり着くためには、その人が読みたい情報がサイトに書かれている必要があります。そのため、サイト構成表があると、自社のサイトにどんなページがあって、そこに何が書かれているのかを正確に把握できるのです。

SEOを学ぶには、まずは自社サイトの把握から!

なぜこんなにもサイト構成表の作成をおすすめするかというと、検索者を集めるために重要な内容が、サイトに書かれていないことがとても多いからです。いくつか例を紹介します。

採用したい会社と求人を探す検索者

たとえば、採用を重視していて、人材を募集している化粧品会社があるとします。化粧品会社に転職したいと考える人は、「化粧品メーカー 求人」といった検索をします。

ところが、自社のサイトに「化粧品メーカー」と書いている会社はほとんどありません。また、仕事についての情報は「採用」という言葉を使って出しているので、「求人」を探している人の検索結果には表示されず、みんな求人ポータルサイトに行ってしまいます。

検索している人が探すキーワードと、会社側のキーワードが違う

自社の主力商品のキーワードがない

商品情報も同様です。自社のブランド名を押し出すあまり、ユーザーが探している言葉を使っていないことが多いです。

たとえば、「テレビ」を検索すると、検索結果の上位には「Yahoo!テレビ」や「価格.com」、「テレビ局」などが出てきます。ソニーやパナソニックなどの家電メーカーはなかなか出てきません。

「自動車」を検索すると、会社名に「自動車」が入っている、「トヨタ自動車」や「三菱自動車」、「日産自動車」は検索上位に出てきますが、ホンダやスバルは出てきません。

有名な企業なら、検索で出てこなくても思い浮かぶ人は多いでしょう。しかし、他の企業ではそうもいきません。自然検索で来てくれるのは「会社名で検索した取引先だけ」という状態になってしまいます。

この状態をサーチコンソールで見て、「Webはそういうものか」と思い込んでいる会社も多いのですが、実際には「取りこぼし」が発生していることに気がついていないだけです。

「取りこぼし」を防ぐためにも、サイト構成表を活用しましょう。

なかなか発見されない中小企業とちゃんとキーワードを入れている中小企業

たとえば、下の図のサイト構成表には、ページの一覧と、それぞれのページで重視されているキーワードが書かれています。

〔図10-2〕サイト構成表にはページとキーワードが整理されている

スクロールしながら、ページタイトルの欄を縦に見ていくだけで、「あれ、うちのサイトには『テレビ』ってキーワードがぜんぜん出てこないんだな」と気づくことができます。

次は、「キーワード一覧」を作って、構成表に追加してみましょう。Excelで、「テレビ」「エアコン」「洗濯機」などと言葉を並べてみるだけです。そして、Excelのオートフィルターを使えば、それぞれの言葉がどのページに使われているかを特定することができます。

どんな情報をどれぐらい発信してきたか、次は何を発信すべきか? を知る

サイト構成表は、膨大な数になってしまうニュースの管理にも役立ちます。

たとえば、1件のニュースを1ページずつ使って発信していれば、サイト構成表にはすべてのニュースが記載されます。時間軸で並んだニュースを表でスクロールしながら一覧すれば、これまでにどんなニュースを発信してきたか把握できるでしょう。

そうすると、「2年前に出したこのニュース、去年、今年と発信してなかった」といった課題が見つかることもあります。また、「年末年始はこの話題でいこう」「バレンタインならこれ」と1年を通した情報発信の計画も立てられるのです。

次の発信を考えるのはニュースだけではありません。読み物のコンテンツをつくる場合にも、企画のもとになります。「このテーマは今までコンテンツにしていなかったな」ということも、サイト構成表を見れば考えやすいでしょう。

逆に、サイト構成表をきちんと作っていないと、こんなことがあります。

制作会社さんから新しいコンテンツ提案があり、作成してもらったら、以前も同じようなテーマでページをつくっていて中身がかぶっていた。

前の担当者が作ったページだから知らなかった……!

笑い話のようですが、よくあることです。もったいないので、サイト構成表を作って、しっかりと防ぎましょう。

サイト構成表はどう手に入れる?

ここまで、サイト構成表の大切さをお伝えしてきましたが、膨大なページのサイト構成表を作って欲しいと、企業のWeb担当者さんに言えば、返ってくるのは「何千ページもあるのに今さら作る暇はない!」という答えです。

確かに0からつくるのは気が遠くなりますね。でもご安心を! 簡単な方法が3つあります。

サイト構成表を作る簡単な方法
  1. 制作会社にもらう
  2. サイト構成表作成ツールを使う
  3. Googleアナリティクスから作る

それぞれについて説明します。

1. 制作会社にもらう

1つ目は、制作会社にもらう方法です。サイトを作る人が、「何ページ作るか」管理していないことはありません。

制作会社では、サイト構成表を使って、ページタイトルづくりで言葉が被らないようにしたり、進捗管理をしたりしています。納品時の確認にも使うので、リニューアルを担当した制作会社はたいてい、管理表を持っています。

リニューアル作業の途中で、進捗管理表として制作会社からサイト構成表を送ってもらっているWeb担当者も多いでしょう。「そんなものもらっていない」という方は、前の担当者からの引継ぎが上手くいっていない、忘れてしまったなど、理由はいろいろ考えられます。

しかし、制作会社はきっと捨てずにサイト構成表を持っていますので、関係が切れてしまって連絡できない場合でない限り、メールで聞いてみましょう。

サイト構成表を頼むと、「もう古い表だし、ページも変わっているから」と渋られることもあるでしょうが、可能なら「最新の状態でもらいたいです」と頼んでみましょう。

(サイト構成表を最新の状態にするのは制作会社さんにとっても手間です。無理は言わず、何かのお仕事を出したついでのタイミングでお願いするのが良いでしょう)

ただし、制作会社からもらうサイト構成表にも2つの課題があります。

制作会社のサイト構成表 2つの課題点

課題点① 必要な情報が足りない

URLの表記の方法やタイトル、メタなど記載されている情報項目が制作会社によって違うので、必要な情報が足りない場合があります。この場合には自分で情報追加をしなければなりません。情報追加の仕方は次のGoogleアナリティクスの項でご説明します。

課題点② ページが丸ごと抜けている可能性がある

リニューアルはサイトの全ページを対象にしているとは限りません。ページ数が膨大になるので「2010年より前のニュースは対象外」とか「新しいデザインに移行するのは3階層目までで、4階層以降は当面変更しない」といった限定をしている場合があります。そういう場合も、自分で情報追加をする必要が出てきます。

2. サイト構成表作成ツールをつかう

2つ目は、サイト運営を支援するツールを使う方法です。

多くは、ロボットがリンクをたどって情報を集めてくるもので、検索エンジンがやっていることとあまり変わりません。システム部門があれば、自前で作成することも可能です。

良いツールを見極めるためには、そうやって取得した情報が、「人間が考えるサイト構成を再現してくれているか」を知る必要があります。

ロボットプログラムは、トップページのURLから情報を見に行き、トップページのHTMLソースを上から順番に読み、リンクに出会ったらそのリンク先の情報を取りにいく、という動作を繰り返します。

ただし、この方法にも課題があります。たとえば、ページの最上部にはよく、以下のようなリンクがあります。

  • サイトマップ
  • 初めての方へ
  • ENGLISH(言語設定)

ロボットがENGLISHから先にデータ取得すると、Excelの情報が半分英語になり、できあがった表が見づらくなってしまいます。

ちゃんとグローバルナビゲーションを理解して、「人にとって見やすい順序」で取得情報を並べてくれるツールになってほしいものです。

エクセルの形にサイト構成表を作成できるものは、梅ちゃん堂「Website Explorer」(ダウンロードソフト)や、HARMONY「Site Map On」(ネット上のサービス)などがあります。

3. Googleアナリティクスからつくる

サイト構成表を簡単に作る3つ目の方法は、Googleアナリティクスから作る方法です。「全ページが表として表示されるもの」と言われると真っ先に思い浮かぶのがGoogleアナリティクスですね。

〔図10-3〕Googleアナリティクス「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」

計測タグが入っているなら、この「すべてのページ」の表には、普段忘れているようなページも全部表示されています。一度に最大5000行まで表示してくれるので、仮に5万URLあるような大きなサイトでも10回データを落とせば全ページのリストがつくれます。

〔図10-4〕セカンダリディメンション

さらに、同じ「すべてのページ」の表で「セカンダリディメンション」という機能を使い、「ページ タイトル」を指定すれば、どのページがどんな内容かも理解できるので、非常に便利です。Googleアナリティクスの「すべてのページ」は1回でもアクセスがあったURLを表示するので、次のような課題があります。

  • 初期状態ではページビュー数の多い順なので、あとで並べ直さないとサイト構成を表に反映できない
  • Googleアナリティクスの計測タグが入っていないページは現れないので、大昔のコンテンツが出てこない可能性が高い
  • データ取得期間中に1回でも見られたページしか記録されないので、0ページビューのページはリストに出てこない
  • パラメータがついたURLは別のものとして表示されるので、ユーザーごとにパラメータをつけるECサイトなどでは、URLが多く記録されてしまう

たとえば、トップページにユーザーパラメータがつくと、

  • /index.html
  • /index.html?userid=aaaaaaaa
  • /index.html?userid=bbbbbbbb

これが全部別のURLとして扱われるのが一般的なので、URL数がとんでもない数に枝分かれしてしまいます。このパラメータを無視して、同じページはまとめて集計するという設定方法もありますので、これはGoogleアナリティクスの教則本でご確認ください。

ここまでは、簡単にサイト構成表を作る方法を紹介してきました。しかし、サイト構成表は一度実際に自分の手で作ってみることをおすすめします。

次回は、ゼロからサイト構成表を作る方法を詳しく解説します。

第11回に続く

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