ユーザー体験とコンテンツが肝心 - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#6
この記事は、『検索エンジン最適化の初心者ガイド』をセクションごとに書き直していく過程のエントリだ。この構想については、概要を見てもらえば、もっとよくわかるだろう。
「素晴らしい」サイトが検索結果の上位にランキングされる
理由とそのメカニズム
検索エンジンはつねに、可能なかぎり「最高」の結果を返すことで、検索結果をより良いものにしようと取り組んでいる。「最高」というのは主観的なものだが、検索ユーザーを満足させるページやサイトについて、検索エンジンには上手い考えがある。通常、そうしたサイトには、いくつかの特徴が共通している。
- 使いやすく、ナビゲーションが良好で、わかりやすい
- クエリに直接関係し、実用的な情報を提供している
- きちんとした技術をもって設計され、最新のブラウザに対応している
- 質が高く、合法的で、信頼の置けるコンテンツを提供している
検索エンジンは、人間と同じようにテキストを「読ん」だり、画像を「眺め」たり、ビデオを「視聴」したりすることができない。したがって、コンテンツの順位を決定するのに、サイトやページに関するメタ情報(metaタグではないよ)を利用する。
ここでいうメタ情報とは、たとえばリンク。検索エンジンは、ウェブのリンク構造が支持票と人気の代わりになると、早い段階で気づいた。つまり、より質の高いサイトや情報は、有用性に乏しく質の低いサイトに比べ、多くのリンクを獲得しているというわけだ。以来、リンク解析アルゴリズムは大きく進歩して今に至るが、これらの原則は生きている。
1つの例として、すばらしい新規サイトが、ウェブ上でどのように人気を獲得していくのかを見てみよう。
この新規サイトが提供するコンテンツを巡る好意的な関心や盛り上がりは、すべて機械的に解釈可能な(そしてアルゴリズム的に価値のある)リンクの集合という形で反映される。タイミング、リンク元、アンカーテキスト、被リンクの数などは、すべてこの新規サイトが検索エンジンにおける関連クエリに対して持っている潜在能力(たとえば順位)の算定材料となる。
さて、それではサイトがそれほどすばらしくなかった場合を考えてみよう。つまり、月並みで、強い印象も与えない、どこにでもあるサイトの場合だ。
価値の低いウェブサイトには、人々の関心や注意を惹きつける力がない。したがって、どんなにマーケティング活動をがんばっても、あっという間に誰にも顧みられないサイトになってしまいがちだ(そしてリンクも張られない)。
ビジターも獲得できないようなサイトに、時間とエネルギーを注ぎ込もうと思う人なんて誰もいないし、検索エンジンだって、質が高く有用なリンクがあり、検索ユーザーに価値をもたらしそうなサイトでなければ、そのサイトのコンテンツを上位にランク付けする可能性は低い。
検索エンジンのランク決定に及ぼす
ユーザビリティとユーザー体験の影響
検索エンジンが直接考慮できる変数は、キーワードの配置、リンク、サイト構造など数に限りがある。しかし検索エンジンは、リンクのパターンを手がかりに、対象のサイトに関してかなり多くの事柄を推定する。
ユーザビリティとユーザー体験は、検索エンジンの順位決定において成功をつかみ取るための「2次的な」影響要素だ。この2つは、間接的ではあるが、サイトの対外的な人気にかなり大きなプラスの影響をもたらす。検索エンジンはこれを、より高い品質を示す要素と解釈する可能性がある。これは、「出来の悪いサイトには誰もリンクを張りたがらない」現象とも呼ばれている。
神経の行き届いた訴求力のあるユーザー体験を上手く作り出せば、訪問した人に必ず良い印象を与えることができ、共有したり、ブックマークしたり、再び訪問したり、リンクを張ったりしようという気になってもらえる。これは、検索エンジンにも徐々に伝わり、高い順位獲得に役立つ。
検索エンジンで成果の出るコンテンツの作成
「すばらしいコンテンツ」を作成すること、というのはSEO界で最も頻繁に繰り返されるアドバイスかもしれない。言い古されたことではあるのだが、それでも魅力的で有用なコンテンツは、検索エンジン最適化を行ううえで欠かせないものであることに変わりはない。
検索エンジンで行われる検索は必ず、探す、学ぶ、解決する、買う、修正する、対応する、理解するなど、何かしら意図を伴っている。検索エンジンは、そうしたユーザーの意図をできるだけ最高の形で満足させるべく、検索結果にウェブページを並べるのだから、検索者のニーズを満たす、最も充実度の高い完ぺきなコンテンツを作ることが、検索結果で上位を得る大きなチャンスをもたらすんだ。
検索ユーザーの意図は多岐にわたる。その種類を順に見ていこう。
- ナビゲーション型の検索
ナビゲーション型の検索は、特定のウェブサイトに直行する意図をもって実行される。
ユーザーが正確なURLを知らないこともあるので、その場合、検索エンジンは(できれば)正しいサイトに案内する「ホワイトページ」として機能する。
- 情報探索型の検索
情報探索型の検索というカテゴリには、非常に多種多様なクエリが当てはまる。
具体的には、「何とか地方の天気予報」や「どこそこに行く地図と道順」とか、「映画『アイアン・マン』でトニー・スタークと軍務を共にする男の名前」、あるいは「火星旅行に一体どれくらいの時間がかかるのか」、といったものだ。このカテゴリに共通するのは、本質的に商業性がなく、非トランザクション指向の検索が主体だということだ。情報そのものが目的で、クリックして読むという行為以上のやり取りは必要ない。
- 商業的調査型の検索
商業的調査型の検索は、純粋な調査と商用目的を持った調査の境界線上にまたがって位置する。
たとえば、ニューメキシコ州のアルバカーキで、新作Tシャツの販売に協力してくれる潜在パートナーを求めるとか、英国で販売を目的としたノートパソコン用のバッグを製造してくれる会社を見つけるとか、近々購入予定のデジタルカメラについて、皆が推奨するベストブランドを調査するといったことが、このカテゴリに当てはまる。
直接トランザクションが発生するわけではなく、商品やサービス、金銭のやり取りに結びつかないかもしれないが、純粋に情報だけを求めているわけでもない。
- トランザクション型の検索
トランザクション型の検索は、必ずしもクレジットカード決済や電信送金が発生するわけではない。Cook's Illustratedの無料体験アカウントに登録するとか、Gmailのアカウントを作成する、パーキングチケットの支払いを済ませる、あるいは地元のステキなメキシコ料理店(シアトルだったらCarta de Oaxacaがお勧め)を探す、といった目的の検索は、いずれもトランザクション型の検索に当てはまる。
これらの意図を満足させるか否かは、コンテンツを用意する君次第だ。創造性や良質の文章をはじめ、具体例、画像、マルチメディアの使用はすべて、検索ユーザーの目的にぴたりと合致するコンテンツの作成に役立つ。その結果として何が得られるのか。それは、満足感を得た検索ユーザーだ。彼らはクエリの意図が満たされたと理解し、君のサイトにおける活動や、君のサイトに対するリンクを通じ、好感度の高い体験に報いてくれる。
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