[若手マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

顧客視点を得るために何をすべきか ――「自分は自社サービスを誰よりもよく知っている」という意識をまず捨てよう

若手マーケターコラム、今回はSTORES.jpの加藤千穂さん。顧客視点でサービスを伝えることの大切さ、難しさについて。
STORES.jp 加藤千穂

こんにちは、STORES.jp広報の、加藤“えんじぇる”千穂です。

変化の激しい業界で働くものとして、日々のインプットは非常に大事。ということで、仕事柄関連する本も読んでいます。最近印象に残ったのは、西口一希さんの『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』です。

マスで考えるのではなく、たった1人の顧客(N=1)を徹底的に理解することで、有効な打ち手を見つけ出して拡大展開するという、西口さん独自のマーケティング論を紹介した本ですが、データと個別インサイトをうまく活用していて、どうすれば実践できるのかもわかりやすく、何度も読み返しました。私も大きく影響を受けて、自社の理解を深めるために、そして、ユーザー個別のインサイトを深掘りするために、「N1インタビュー」を実施してみました。

私がインタビューをしたのは、STORES.jpの存在は知っているけど、現在は、別のサービスを利用してネットショップを運営されている方。なぜSTORES.jpを知っているのに、利用してもらえないのか、サービスに何が足りないのかを知りたくてお話を伺いました。そのインタビューを通して感じたのは、PRを担当するものとして、自分が携わるサービスを顧客視点で説明することの難しさでした。私は日々、自分が携わるサービスと競合サービスの違いを意識し、いかに強みを打ち出せるかばかり考え、打ち出しているつもりでしたが「そもそも違いがわからない」と言われたのです……。

今回は、顧客視点で自分が携わるサービスを伝えることの大切さについて、考えたいと思います。

意見を言いやすい環境を作って、企業と顧客がWin-Winなデータ収集を実現

「顧客視点」を持ってPRやマーケティングを行うには、顧客の声を聞くことはとても大事です。当然、サービスや商品へのロイヤリティが高い顧客の声を聞くことは大事ですが、それと同じく、離反した顧客の声を聞くことも、私たちが気付いていないサービスや商品の欠陥を知ることにも繋がり、改善点を見つける上で重要ですよね。

でも、離反した顧客がわざわざ意見を言うことなど、ほぼありません。実際、我が身を振り返っても、気に入らなくなった商品は、買わなくなるだけですし。

ところで、2019年7月に実施された、森永製菓のTwitter投稿キャンペーン「#ベイクを買わない理由」をご存じでしょうか?

森永製菓のチョコレート専用アカウント森永チョコレート(@MorinagaChoco)で7月29日に告知され、同社のチョコレート菓子「BAKE(ベイク)」を買わない理由を1つ100円(Amazonギフト券で支払い)で募集したところ、1日であっという間に4万ツイートが集まったキャンペーンです。

100円支払うという強いフックがあるにせよ、4万もの意見を集めることができたのは、ホントにすごい。このキャンペーンでは、徹底的に「商品が売れない……」という自虐に振り切ったクリエイティブを軸に、顧客が意見を言いやすい環境を作りあげていたことも、とても印象的でした。

「よかったよ」といいう声をいただくこともとてもありがたいことですが、そればっかりを集めても、私たち自身が自社製品に対して偏った理解を持つことになりかねません。

このキャンペーンのように、顧客がいろんな意見を言いやすい環境を整えることも、顧客視点を得るために大事なことなのかもしれないと思いました。

顧客はこちらが伝えようとしていることを理解していない

自分が携わるサービスや商品のことを深く理解することはマーケティングに欠かせませんが、その理解は中にいるからこそだ、ということは常に念頭に置く必要があります。何が言いたいかというと、「顧客は、決して、私たちほどにサービスや商品の詳細など、知りはしないし、知ろうとも思っていない」と認識しておく必要があるということです。

なぜそう思ったかというと、先日、私自身が、それを痛感する出来事に遭遇したからです。

私は、株式会社クラシコムが運営する『北欧、暮らしの道具店』が好きで、よく見ているのですが、あるとき、同サイト内にあった、キリンの缶チューハイ「本搾り」の記事広告に目が留まりました。目に留まった理由は、タイトルに惹かれたからです(私は食いしん坊です)。

記事では、「本搾り」が「果汁」と「お酒」だけで作られていることなどが、編集部員同士で持ち寄り食事会をするという設定の中でナチュラルに説明されていましたが、私はそれを読んで、初めてキリン「本搾り」が、果汁入りだということを知ったのでした。これまで何回も飲んだことがあるのに。

キリンの担当者の方がこれを読んだら、「パッケージにあんなに大きく書いてあるのに……」とか、「Webサイトでも、無添加とか果汁とか強調しているのに……」とか、「マス広告で大沢たかおさんがあんなに力説しているのに……」と思うかもしれません。

しかし、現実に、そういった基本施策の部分はまったくスルーしてしまい、『北欧、暮らしの道具店』という第三者的な媒体によって強調されたことで、やっと商品特性を理解したという、私のような例もあるのです。顧客に自分が携わっているサービスや商品を正しく理解してもらうことは本当に難しいことだと日々感じていますが、実は私自身もそうした顧客のひとりであったことを思い知った、強烈な体験でした。

それにしても、『北欧、暮らしの道具店』に掲載されている記事広告は、どれも読者目線で提案してくれている感じがあり、丁寧な広告だと感じています。クライアント的に伝えたいことをきっちり押さえつつ、読者にとってのメリットを掛け合わせるのが絶妙で、読むたびに、「はー、素晴らしいなー」と感心しております(回し者ではありません)。そして、キリンさん! そんな『北欧、暮らしの道具店』のよさをわかっていらっしゃいますね。羨ましいです(一読者でも、キリンさんがたくさん出稿されていることはよ~くわかります)。

どうすれば思い込みを振り払えるか

マーケティング担当者は、日々常に、自分が携わるサービスや商品のことを伝えるために、あの手この手で、さまざまなチャネルを通じて発信しています。だからこそ、こんなにいろいろ発信しているのだから、みんな、ウチのサービスのこと、知っているはず! という思い込みにとらわれていたりしませんか?(少なくとも私はそうです。)先日、その思い込みのままにアンケートを実施したところ、「あれ、思ったよりも、『STORES.jp』って、全然知られてない……」と衝撃を受けたばかりです(涙)。

自分の肌感覚と実際のデータに大きな乖離があるとわかったのは、改善点が明確になったということで喜ぶべきことなのですが、アンケートは予算がないとできないものなので、そう頻繁には実施できません。となると、自分の肌感覚のほうを磨いていく必要があります。そのためには、日常、どう意識して過ごせばいいのか、その心がけを考えてみました。

1. 何も考えずに過ごす日を作る

マーケティングのことはもちろん、何もかも考えず、ぼーっと過ごす1日があったとします。その日は、どれくらいの情報に接触して、どれくらい印象に残っているでしょうか。

普段なら、何を見ていても、仕事に関連する情報に敏感に反応し、“事例集め脳”が働いてしまいますが、何も意識することなく過ごすと、SNS、ニュースアプリ、ブラウザ、TVやラジオ、電車内広告など、さまざまな媒体からとてつもない情報を浴びているはずなのに、私個人が関心のあるものにしか興味を示さなくなることに気がつきます。

そんな風に情報が溢れている中では、製品やサービスに目をとめてもらうことすら難しい。さらに、その名前を知って、理解してもらうことは、もっとハードルが高いことを改めて痛感させられるはずです。

2. 個人相手にヒアリングしてみる

冒頭で紹介した「N1インタビュー」のように、個人にヒアリングすることで自身の視点がいかに偏っているかを知ることができます。ヒアリング相手は、家族や友人など、身近な人から始めるといいと思います。

最近は、ネットで何かを販売している人に会うと、「STORES.jp」を使っているかいないか関係なしに、いろいろ質問攻めにしてしまいます。自分の頭で考えていただけでは考えもつかなかったことを聞くことも多く、ヒアリングの大事さを感じます。

3. 自分の世界を広げる

閉じられた世界の中にいると、思い込みはより強くなると思います。例えば私の場合だと、日常の中で接する相手は夫、娘、保育園の先生、ママ友、職場の仲間がほとんどです。共通言語や共通認識がある関係性の中は居心地がよく、その中での常識が世間の常識のように感じてしまいます。が、もちろんそんなことはありません。

自分の世界を広げ、違和感のある環境に身を置くことで、思い込みを振り払えるのではないでしょうか。物理的に実施するのが難しければ、Twitterでまったく趣味嗜好が違う人をフォローしてみる、Instagramで興味のないタグの投稿を見る、まったく知らない分野の雑誌を読むなど、手軽にできる方法でもいいと思います。自分が知らない世界があると強く意識することが大切だと感じます。

◇◇◇

共通するのは、先入観を捨てるということ。一マーケターとしての視点と一顧客としての視点をうまく切り替える手段を持ち、顧客視点なマーケティングを進めていきたいと思います!

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