◆本コラムのサマリ
前編では、自社の製品・サービスがターゲットとするユーザを考慮することの重要性と、サイトの構造の考え方について紹介しました。
今回は、サイト制作にあたっての注意点および進め方をご紹介します。
製品やサービスの魅力を伝え、ユーザをビジネスゴールに導くには、ユーザ像やユーザニーズを明らかにし、ユーザシナリオを考慮することがウェブサイト制作において重要ですが、これらに加え、サイトの形式面にも踏まえておくべきポイントがあります。
文化や言語、ユーザの行動特性の違いから、英語のケースでは以下の点が形式上のポイントとなります。
(1) 英文のネイティブチェックは必須
(2) 先進的なイメージ訴求も重要
(3) コンテンツエリアは適度な横幅を確保する
(4) 文章量を削りすぎない
(5) リンクは左寄せで配置する
(6) 「問い合わせリンク」はヘッダに設置する
これは実際にビジネス上でネイティブユーザに接する機会がないと認識しづらいのですが、企業のグローバルサイトでは非常に重要です。
日本人でもある程度のスキルがあれば日本語を英文化することは可能です。しかし、どうしてもネイティブが見ると拙い英語となっていることがあります。
例えば、日本語サイトのコンテンツを以下のように英訳したとしましょう。
「基本的にサポートサイトを本社で運用し、各国はそこへアクセスする。」
→The headquarter administer a support website, each country access to it, basically.
ネイティブスピーカーからすると、以下の点で疑問を感じるでしょう。
グローバルサイトでは、ユーザの最初の接点が企業ウェブサイトであることも少なくありません。その場合、ユーザの印象は接するウェブサイトによって形成されることになります。そのため、サイトの英文品質の低さは企業イメージや信頼性の低下に直結し、ビジネス機会を逃す結果となってしまいます。
同様の観点で、ヨーロッパのサイトではアメリカ英語ではなくイギリス英語の表現とする必要があります。
海外の大手サイトでは画面全体にわたるブランドパネルや、動きのある画面など、新しい見た目の要素が日本よりも早く実装される傾向にあります。
ニューヨークやシンガポールで実施したBtoBサイトのユーザ行動観察調査では、ユーザの多くがブランドパネルが小さいサイトに対して「古い」という印象を持ちました。
必ずしも先進性の訴求が重要ではない業種でも、過剰とならない範囲で画面全体を使ったブランド訴求や動きのあるコンテンツなどを採り入れるとネガティブな印象を持たれることは少ないでしょう。
ただし、先進性を追求するあまりファイルサイズが大きくなってしまうと回線速度が遅い地域では不便になります。そこで、SAMSUNGサイトのようにファイル容量が小さいバージョンも用意すると良いです。

アメリカ人やオーストラリア人、シンガポール人などを対象としたユーザ行動観察調査において、英文コンテンツの横幅がやや狭いサイト(3カラムで英文のエリアが380ピクセル程度)を閲覧した20代から30代のユーザが、「狭い」、「右側のエリアが邪魔だ」という反応を示しました。
新聞といった紙メディアよりインターネットに慣れ親しんだユーザにとっては、英文エリアの幅が狭いと読みづらく、印象を損ねてしまう恐れがあります。
New York Timesのサイトでも、トップページは細めのカラムが存在する新聞調のレイアウトですが、記事ページでは横幅が広く取られています。この程度の幅を確保すれば問題はないでしょう。

日本語のサイトの場合、「文章は少なめとする方が良い」と言われます。(ニュースサイトに代表されるような読み物メインのサイトについてはやや事情は異なります)
ディスプレイ上で文章を読む速度は印刷した文章と比べて25%遅くなるという調査結果もあることから、日本語のサイト設計の際はユーザの「斜め読み」を踏まえた構成にすることが少なくありません。
しかし、アルファベットをベースとした言語の場合、文字の構造が単純で視認性が高いため、文章量が多くてもユーザはしっかりと読んでいきます。日本語の場合より文章が多めのページ構成となってもそれほど問題はありません。

日本のサイトでは、あるカテゴリ内のリンクを一部だけ表示して「その他はこちら」というリンクをエリアの右下に配置することがあります。
しかし、英語サイトでこの配置にすると、ユーザが気づかない場合があります。
英語圏のユーザの場合、右寄せとなっているコンテンツに慣れていないため、リンクは左寄せとする方が良いでしょう。

海外サイトでは、ヘッダ部分に「Contact Us」というリンクが配置されているものが多くあります。
問い合わせがサイトのゴールとなるBtoBサービスを対象にアメリカで実施したユーザ行動観察調査においても、問い合わせ時にはヘッダを探すユーザが多く存在しました。
コンテンツエリア内にContact Usへのリンクを設置することも重要ですが、最終ゴールが問い合わせとなるBtoBサイトの英語版では、ヘッダに「Contact Us」リンクを設置することは必須となります。

グローバルサイトを制作する場合、本社内のみならず、海外担当部署や現地法人との調整が発生します。現地法人においてサイトの運用に手が回らないところでは本社側の案に従って運用負荷が軽減されることを望む傾向にありますが、独自にウェブサイトに力を入れているアメリカやヨーロッパは、日本側から単純にサイト構成案を提示してもまとまりません。
アメリカではウェブサイトが充実していないと会社自体が信頼されないという固有の背景があり、現地法人側も試行錯誤を重ねて培ってきた経験とウェブサイト運営に対する自負があります。また、ヨーロッパでは美術的な面が重視される傾向も加わってきます。
この点は各企業ごとの事情にもよりますが、グローバルサイトリニューアルにおいては、プロジェクト初期からアメリカやヨーロッパなどの主要地域の担当者を巻き込み、また運用面を含め具体的な実現イメージを共有しながら進めることが成功の秘訣です。
企業のグローバルサイト(海外事業向けサイト)については、日本語サイトをそのまま英訳するだけでは不十分です。利用者となる各国のユーザをそれぞれ分析しユーザシナリオを考えてウェブサイトのコンテンツ、サイト構造、必要な言語を検討しなければ成果をあげるサイトとすることはできません。
また、ユーザが外国人であるがゆえに、サイトの形式面でも日本向けサイトとは異なる注意点を意識しなければなりません。
これらの点を踏まえたうえで、早い段階から社内や現地法人と調整し進めていくことが、グローバルサイトの成果創出を実現するカギとなるのです。
11月の第4木曜日なので、感謝祭当日は11/26。






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