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顧客満足度を向上させながら売上・利益もアップ! 「パーソナルプレシジョンCRM」を徹底解説

1 year 1ヶ月 ago
顧客1人ひとりに最適な商品を最適なタイミングで提案。「あなただけ」の提案で顧客の心をつかむ方法をシナブルが解説
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「データを活用したいがよくわからない」「顧客にレコメンド情報を送りたいが手間がかかり過ぎる」「施策の企画立案が思うようにできない」といった課題を抱える事業者は多いのではないだろうか。「EC Intelligence」を提供するシナブルの曽川雅史氏が、複雑な分析をしなくても顧客の行動データを活用して、LTVを向上させる「パーソナルプレシジョンCRM」について解説する。

シナブル CC&M部 執行役員 曽川雅史氏

行動をベースにした、自分に合った購買体験が求められている

購入履歴の把握は非常に大事。買う立場になればわかることだが、「自分が何を買ったかをわかった上で対応してほしい」と思っているユーザーが多い。お勧め商品は、購入履歴や興味のある商品を見た上で、各顧客に合わせて提案してほしいということだ。実店舗の接客では当然のようにされていることだが、Webでも同じことが求められている。(曽川氏)

シナブル CC&M部 執行役員 曽川雅史氏
シナブル CC&M部 執行役員 曽川雅史氏

ECサイトでは商品の品ぞろえや品質と同様に、ユーザー自身に適した商品やサービスをお勧めされる体験が重視されている。しかし、顧客の行動を理解していなければ、それぞれの顧客に合った購買体験は提供できない。

博報堂が「EC通販ですごいと感じたサービス・機能」について聞いた調査(2023年)によると、多くの機能やサービスと並んで「自分に合った商品をお勧めしてくれる」「自分に合うお得情報を提供してくれる」「商品を自動的に再注文してくれる」といった項目があがっている。これらは、顧客データや行動データから実施したCRMやOne to Oneマーケティングで実現できるパーソナライズサービスである。

EC通販ですごいと感じたサービス・機能
出典:博報堂「EC生活者調査2023」2023年6月27日
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/104716/

また、シナブルが20歳代と60歳代に「ネットショッピングをするときにあると便利だと思う機能」などを聞いた調査(2024年に実施)によると、20歳代では3位に、60歳代では2位に「お気に入りに登録した商品が値下げされたら通知が来る」がランクイン。どちらの年代でも30%以上が便利だと感じている。この通知機能はお気に入りに登録したという顧客情報・行動情報がなければ実現できない。

「ネットショッピングをするときにあると便利だと思う機能」
出典:シナブル「ECサイト利用時の意識調査」2024年8月29日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000059188.html

自分の行動をもとにサービスを最適化してほしい、「自分だけの」ということがうれしいと感じる消費者が多いことがわかる。顧客行動をベースにすると、満足度が向上すると言える。しかし、購買行動や興味を無視したコミュニケーションは嫌がられるとわかっていても、行動をベースにしたマーケティングの実施は難しく、なかなか取り組みが進んでいない状況だ。(曽川氏)

行動を基にしたショッピング体験を実現する「パーソナルプレシジョンCRM」とは

EC特化型のオールインワンMA/CRMツール「EC Intelligence」を提供しているシナブルが提唱するのが「パーソナルプレシジョンCRM」。「顧客に対して最適なキャンペーンと商品を最適なタイミングとチャネルで自動レコメンドを行って、顧客満足度を向上させながら売上・利益も向上させるCRM手法」と定義している。

一般的なCRMは、新商品や売れ筋商品など、売れ行きの良い商品をさらに売るアプローチを採ることが多い。一方の「パーソナルプレシジョンCRM」は、あまり売れ行きが良くないニッチな商品に対してもデータを使い、買う可能性が高い顧客にアプローチする

シナブルが提唱する「パーソナルプレシジョンCRM」の概要

ここで、「パーソナルプレシジョンCRM」で実際に成果を上げた事例をいくつか紹介しよう。

1つ目は、カートに入れたまま買っていないという行動をベースにしたカゴ落ちメール施策。通常のカゴ落ちメールは、定番メッセージとして「お買い忘れはございませんか?」という内容が多い。商品をカートに入れたまま吟味している場合は忘れているわけではないので、このメッセージに違和感を感じることもあるだろう。

そこで顧客が興味を持ちそうな、カートに入れた商品とよく一緒に見られている商品をメールで提案、件名も「◯◯さまへのおすすめ」に変えた。これだけで売り上げが30%伸びたという。

2つ目は、アパレルECでよく実施されている「あなたのためのパーソナルセール」だ。まず、売れ筋ではない商品や滞留在庫の商品をリストアップ。次に商品閲覧やカートイン、お気に入り登録といった情報から、その商品に興味を持っている顧客を抽出し、パーソナルなクーポンを送る。サイト全体でセールをしないので、利益率は大きく下がらない在庫商品と興味のある顧客をマッチングさせ、利益率を大きく悪化させることなく在庫をさばく取り組みである。

パーソナルセールの概要

「パーソナルプレシジョンCRM」のメリット・デメリット

ここで、「パーソナルプレシジョンCRM」のメリットとデメリットを押さえておきたい。

メリットは何と言っても分析が不要であるという点。顧客の抽出は行動履歴を基に設定するため、分析して絞り込む必要はない。また、施策を打つタイミングや商品の提示の仕方といった改善ポイントが絞りやすく、「誰に向けて施策を打つか」などはあまり考えなくてもよい。また、「このように文章を書けば売り上げが伸びる」というクリエイティブなアプローチではなく、どの商品を提示するかといった提案のため、企画やコンテンツのライティングはあまり関係ない

一方、デメリットはシステム投資が必要で費用がかかること。また、顧客のデータ収集などに時間がかかるので、すぐには実施できないことがあげられる。

「パーソナルプレシジョンCRM」を実施するための導入手順

パーソナルプレシジョンCRMを実施するにはどうしたら良いのだろうか。前提としてシステムは必要だが、導入には3つの手順がある。

  1. 行動履歴の収集。顧客IDをベースに、誰がいつどの商品を見たか、お気に入りに入れたか、カートに入れたかといった行動データを収集する
  2. 商品の相関情報の収集。商品と顧客のマッチングをするために、商品の相関情報を収集する
  3. CRMツールに商品情報を取り込む

そのため、「パーソナルプレシジョンCRM」では、データを見てレポートを作るといった分析は不要だ。

析は不要だが、たとえば「商品をいつ見た人に送るか」といったセグメントが必要になる。これが行動をベースにした「パーソナルプレシジョンCRM」のポイントだ。(曽川氏)

実際に「パーソナルプレシジョンCRM」を行う「EC Intelligence」の設定画面を見てみよう。

レコメンド商品を自動でリストアップ

商品の相関は自動で収集している。たとえば、「ベーシックTシャツ」を選んで「レコメンド」のボタンを押すと、常にトラッキングしている情報から相関性が高い商品を自動でリストアップ。この商品(この「ベーシックTシャツ」を購入した顧客が買う可能性が高い商品)をメールやLINEに差し込む。

セグメント機能では細かく条件を指定できる

「パーソナルプレシジョンCRM」で必須となるセグメント機能は、かなり細かく条件が指定できる。商品を閲覧した日をピンポイントで絞り込んだり、「今日から3日以内に見た人に絞る」といった指定も可能だ。

行動データと属性データのかけ合わせも可能

属性データとの掛け合わせもできる。たとえば、女性に男性用の商品を紹介するのを避けたい場合は、先ほどの行動データと属性データを組み合わせて顧客のセグメントを作っていく。このように柔軟な設定ができるため、行動をベースにした商品の提案がしやすい。

顧客ごとに違うおすすめ商品をメールやLINEに埋め込める

こうした過程で集めた商品情報を、顧客ごとに適したコンテンツでメールやLINEに差し込むことができる。内容は顧客によって自動で変わるため、コンテンツを考える必要はない

施策の結果を確認し、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくことが重要

このように、「パーソナルプレシジョンCRM」では、顧客の行動をベースに興味のある情報を提案するため、少なくとも嫌がられることはないという。顧客満足度の向上と売上アップに有効な施策と言える。

メールマガジンの大量一斉配信であっても、顧客が注文した商品とよく一緒に購入されている商品のレコメンドに置き換えたり、購入商品のカテゴリのランキングに差し替えたりといったパーソナライズも効果的だ。実際に、パーソナライズされているメールの解除率は低い。シナブルの調査では、EC全体が3%ほどであるのに対し、個別のパーソナルメールの解除率は1%以下となっている。

顧客がサイトをよく訪問するコンバージョンの多い時間帯に、興味のある件名で配信すると見られやすい。そのためには顧客の行動と関連性の高い情報を送るのが大きな鍵。(曽川氏)

「EC Intelligence」では、顧客の属性や購買データ、サイト内の行動やアンケート結果といった必要な顧客データを蓄積でき、顧客の検討プロセスに応じた施策をオールインワンで実施できるのが強みだ。

「EC Intelligence」の主な機能

実店舗の場合は、どの商品が見られたかなどのデータはなかなか取れない。また、ECモールの場合は外部ツールではデータをトラッキングできないことがある。だが、自社ECならデータが活用できるため、ほぼすべてのサイトでパーソナルプレシジョンCRMを実施できる

「分析は不要」と言ったが、施策を実施した後の結果の確認は大切で、思ったより数値が上がらない場合は、セグメントの仕方を変えるなどして改善する。PDCAサイクルを回して改善していくことが重要。シナブルではEC事業者の先にいる生活者が良い買い物体験ができるように、「EC Intelligence」を通じてサポートしている。(曽川氏)

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大村 マリ

コーセープロビジョンのリテールDX戦略、史上最多入場者数を達成したJリーグに学ぶマーケティング戦略【ECイベント11/19+20@東京】

1 year 1ヶ月 ago
EC事業の実績や豊富なノウハウを持つ担当者や有識者が登壇し、聴講者の通販・EC事業運営の学びにつながるセッションをお届けするオフラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」を来週11月19日(火)+20日(水)に開催。全50講演超のセミナーをすべて無料で聴講できます

ネッ担のオフラインECイベント「ネットショップ担当者フォーラム2024 秋」を来週11月19日(火)・20日(水)に、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催します。コーセープロビジョン、TSI、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、プラス、ヤマダデンキ、UA、ランクアップ、DHCなど著名な通販・EC実施企業が登壇し、ビジネスに役立つノウハウなど各社の事例を交えて解説します。

まだお申し込みをしていない方のために、編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋

見どころ⑭ コーセープロビジョンの成長戦略 ~“3G+Gift”~

16:15~17:15 C2-7 クロージング講演

少子高齢化、人口減少などが進む日本市場において、コーセープロビジョンはどのような成長戦略を描いているのでしょうか? 同社は成長のキーワードとして「3G+Gift」を考えています。

より一層存在の増すデジタルネイティブのZ世代を消費者、そして働き手として取り込むコーセープロビジョンが考えるリテールDX戦略について、コーセープロビジョンの命尾泰造代表取締役社長が解説します。

コーセープロビジョン株式会社 代表取締役社長 命尾泰造氏
コーセープロビジョン株式会社 代表取締役社長 命尾泰造氏
1970年東京生まれ、1994年中央大学経済学部経済学科卒、同年コーセーに入社。専門店、百貨店、ドラッグストアの営業職を経て、2017年よりコーセー 現DECORTÉ事業部で、販売企画、美容教育企画、事業戦略立案に従事。2023年1月より現職。2014年法政大学大学院経営学研究科マーケティングコース修了。

見どころ⑮ JリーグのtoCマーケティング戦略~「獲得型施策」と「関⼼想起型施策」の両立~

16:15~17:15 D2-7 クロージング講演

コロナ禍を経て、Jリーグは「60クラブがそれぞれの地域で輝く」「トップ層がナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く」という2つの成長戦略を掲げています。

そのなかで「toCマーケティング戦略」を策定し、各クラブと共に集客と関心度の最大化のためにさまざまなチャレンジをし続けています。成果として、Jリーグへの関心度は着実に高まり、2024年はリーグ戦における史上最多入場者数を更新しました。

「toCマーケティング戦略」の両輪である「獲得型施策」と「関心想起型施策」の双方の事例を用いて、戦略の概要を解説します。

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部部長 鈴木章吾氏
公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部部長 鈴木章吾氏
日本生活協同組合連合会、キリンホールディングス、野村総合研究所にて、一貫してtoCマーケティング領域に従事。現職では、Jリーグへの関心度と集客の最大化を図るべく、デジタルプラットフォームを活用したCRM・コミュケーション戦略を統括。
ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋

講師との名刺交換、抽選会なども実施! 2日目には懇親会も

イベントでは、参加特典として「ネットショップ担当者フォーラム2024 秋号」+オリジナルグッズをプレゼント(ご希望の方に後日郵送)。該当の講演聴講でもらえる抽選券を集めると参加できる抽選会の実施や、セッション後に講師との名刺交換の時間を設けています。

ネットショップ乱闘社フォーラム2024 秋 セミナー参加特典

2日目のイベント後には、Web担当者Forum創刊18周年、ネットショップ担当者フォーラム10周年を記念した「Web担創刊18周年&ネッ担創刊10周年 Meetup Party」を行います。 講師や通販・EC実施企業さんとのリアルな交流の場です。

また、第2回「ネッ担アワード」授賞者の紹介、プレゼント抽選会(ビンゴ大会)を予定しています。皆さまの参加をお待ちしております!

Web担創刊18周年&ネッ担創刊10周年 Meetup Party
◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

「Amazon.co.jp」がフリマアプリ「メルカリ」のスマホ決済サービス「メルペイ」を導入、「メルカリ」の売上金やポイントを使った買い物が可能に

1 year 1ヶ月 ago

アマゾンジャパンの「Amazon.co.jp」はこのほど、フリマアプリ「メルカリ」のスマホ決済「メルペイ」(運営はメルペイ)を決済方法に導入した。ユーザーは「メルカリ」の売上金やポイントなどを使い「Amazon.co.jp」で買い物ができるようになった。

「メルペイ」は、フリマアプリ「メルカリ」を軸としたスマホ決済サービス。「メルカリ」での売上金、銀行やATMからの残高チャージ、後払い決済サービス「メルペイスマート払い」を利用できる。非接触決済サービス「iD」とコード決済のいずれにも対応。JCBブランドのクレジットカード「メルカード」も展開している。

「Amazon.co.jp」では「メルペイ決済」を導入し、2024年10月下旬から利用可能な対象ユーザーを徐々に拡大。11月12日からはすべてのユーザーが利用できるようになった。

「Amazon.co.jp」がフリマアプリ「メルカリ」のスマホ決済サービス「メルペイ」を導入、「メルカリ」の売上金やポイントを使った買い物が可能に
「Amazon.co.jp」上のアカウント設定で簡単にメルペイを支払方法に追加できる

「Amazon.co.jp」での決済に「メルペイ」の残高払いや後払いが可能となる。なお、 売上金を利用するには所定の設定やポイント購入といった作業が必要になるという。

クレジットカード「メルカード」ユーザーが後払い決済「メルペイスマート払い」で決済した場合は、「Amazonポイント」と「メルカリポイント」の2重取りが可能という。そのほかAmazonとメルペイでは共同キャンペーンの実施も予定している。

「メルペイ」の本人確認済みアカウントを持つユーザーは、「Amazon.co.jp」のアカウント設定上の「お客さまの支払い方法」に「メルペイ」のアカウントを追加するだけで、クレジットカードなどの情報登録をせずに利用できる。

ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

ユナイテッドアローズのOMO戦略、TSIの買い物体験改善策、ディーエイチシー(DHC)会長CEOのセッション、ハルメクホールディングス社長による戦略など、あなたの会社経営やECビジネスに役立つセッションを多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

今年もリアル開催。デジタル戦略、SNS活用、OMO戦略等、ECビジネスの最新トレンド、ソリューションが集結
10/10 17:04 10672 11 18
鳥栖 剛

EC化率2割からコロナ後に9割へ。ビジネスモデルの大転換を遂げたエトワール海渡の桑原氏にEC化の裏側を聞いた | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

1 year 1ヶ月 ago
総合卸問屋のエトワール海渡の桑原惇氏(営業開発部 副部長)を、11/20に授賞式を開催する第2回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。ビジネスモデルの過渡期を乗り切り、BtoB-ECの定着に大きく貢献した本人にインタビューした。<第2回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第5弾>

企業を対象にアパレル、雑貨、食品まで幅広い商品を販売している総合卸問屋のエトワール海渡は、従来のショールーム型の商品提案から、BtoB-ECのビジネスモデルに大きく転換し、成果を上げている。その最前線でデジタルマーケティングをけん引し、デジタルを通じた新規顧客の獲得、獲得顧客のナーチャリング(顧客育成)を進めている営業開発部の桑原惇副部長に、社内外で注力してきた取り組みを聞いた。

株式会社エトワール海渡 営業開発部 副部長 桑原 惇 氏
株式会社エトワール海渡 営業開発部 副部長 桑原 惇 氏
2014年、エトワール海渡に入社。オリジナルタオルの営業としてキャリアをスタート。その後、レッグウェアやアパレルの営業を経験。2020年にEC化のプロジェクトメンバーを経て、法人営業に異動。2023年よりデジタルマーケティングを活用した新規営業も担当し、現在は法人営業と新規営業の業務全般、およびチームのマネジメントを担当。

2023年1月に刷新、BtoB-ECに本格的にかじを切る

売上比率はコロナ前の20%から90%に急拡大

――エトワール海渡の特長を教えてほしい。

エトワール海渡 桑原氏(以下、桑原氏)国内外多業種の小売店、約2万件と取引している総合卸問屋。取引している小売店は、エトワール海渡が運営するBtoB-ECサイトの会員となっている。2023年3月期の売上高は102億5700万円で、EC化率は約90%。取引サプライヤーは約2500社で、70万アイテムを展開している。

会員制のBtoB-ECサイト「ETONET(エトネット)」。ファッションを中心に多様なアイテムを取り扱う
会員制のBtoB-ECサイト「ETONET(エトネット)」。ファッションを中心に多様なアイテムを取り扱う

コロナ禍以前の2019年までは、売上高に占めるシェアは、ショールーム型の店舗が80%、ECが20%だったコロナ禍を契機に来店者が減少したことを背景に、ビジネスモデルをBtoB-ECに転換した。

BtoB-ECの取り組みは比較的早く、2006年に仕入専用のECサイトを開設。2012年に仕入専用オンラインストア「ETONET(エトネット)」をスタートした。「ETONET」は2023年1月にリニューアルオープン。ただの売り場ではなく、クライアントの利便性向上を図るため、特集企画、スタッフブログの掲載、SNSの連携などを進めている。

クライアントの商売に役立つさまざまなコンテンツを展開
クライアントの商売に役立つさまざまなコンテンツを展開

従前はショールーム型の店舗を都内に3つ構えており、店舗で在庫を保有。クライアントは商品をその場で直接購入、仕入れることができるビジネスモデルだった。現在、ショールームは1拠点のみで、在庫を置かないサンプル展示のみ。基本的にはECから注文、仕入れしてもらう形にしている。

「ETONET」の浸透、会員登録促進に注力

――EC事業における自身の役割や担当業務は。

桑原氏デジタルマーケティング全般を管掌している。特に、サイトを利用するユーザーとのコミュニケーション、デジタルマーケティング、デジタルを通じた新規顧客獲得、獲得顧客のナーチャリング、従前のショールーム型の販売に慣れていた既存顧客に「ETONET」の利用に慣れてもらうことに尽力している。また、「ETONET」会員登録の促進にも携わっている。

2014年に新卒で入社した後、2020年にBtoB-EC推進のプロジェクトメンバーとして選出され、EC化率アップや、クライアント企業のBtoB-EC利用の推進に取り組んできた。

自分を含め、社内では良くも悪くもデジタルマーケティングに関する知見や経験が少ないので、戦略の立案から実行までを現場で一気通貫に進められるところはやりやすい。

――ショールーム型の店舗で直接仕入れる従来の手法に慣れていた既存顧客に、BtoB-ECでの仕入れになじんでもらうためには苦労があったと思う。

桑原氏:当時はコロナ禍のため、対面でお伝えすることが難しかったので、オンラインでの説明に身骨を砕いた。「ETONET」をどのように使っていただくか、「ETONET」を通じた仕入れ作業をご負担なく業務のなかに組み込んでいただけるかを1件ずつ提案していった。

桑原氏は「ETONET」を使った仕入れの仕方の説明を重ねた
桑原氏は「ETONET」を使った仕入れの仕方の説明を重ねた

説明や提案に際しては、社内で大枠のフォーマットを作りつつ、クライアント企業によって提案内容や伝え方を調整し、改善を重ねた。

アフターコロナの現在も「ETONET」による仕入れはクライアントに定着しているが、一部の事業者からは「ショールームで直接仕入れをしたい」という声もいただいている。これを受けて、一部の商品についてはBtoB-ECチャネルにこだわらず、店舗で購入できる体制も整えている。

一部の商品はショールームからの直接仕入れに対応している
一部の商品はショールームからの直接仕入れに対応している

――従前のビジネスモデルからデジタル化が一気に進んだ。社外だけではなく、社内でもBtoB-ECのビジネスモデル浸透に苦心したときがあったのではないか。

桑原氏各部署で社内教育を行った。全社共通の教育動画コンテンツを作成し、動画を見れば日常業務が一通り行えるようにしたため、大きな問題は生じなかった。

EC専業企業とも取引開始。堅実に事業拡大

――EC事業における自身の実績やチャレンジについて教えてほしい。

桑原氏売り上げを伸ばし、EC化率を高めながらクライアントにECを使ってもらえるようになってきたことだ。従前は実店舗がある小売店としか取引していなかったが、2022年末からEC専業の事業者とも取引を始めた。口コミなどを見たクライアントが新しく申し込むことが多い。ネットを通じて認知を少しずつ拡大していることが、会社としても新たな取引先の開拓、ひいては事業拡大につながっている

認知拡大の一環として、2024年4月からはランディングページ(LP)を作成した。クローズドなECでは、せっかくEC専業の事業者との取引をスタートしていても新規会員が増えないと考えたからだ。LPは取扱商品の紹介や、取引することでどのような課題・悩み解決につながるかを表現した内容となっている。2024年6月からはリスティング広告なども活用し、認知拡大を図っている。

2023年上期と2024年上期を比べると、「ETONET」の新規登録数は約30%増となっており、LPの施策が効果として表れたと捉えている。

目標は新規会員獲得50%増

――BtoB-ECの今後の事業戦略や成長計画は。

桑原氏:LP、リスティング広告の運用を継続して、2024年下期は前年同期間比50%増の新規会員獲得を計画している。SEOとブログコンテンツで集客を並行して進めているので、そこからの流入も進めて新規獲得の最大化を図りたい。

◇◇◇

この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた桑原氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。

「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式は11月20日、16:15から「虎ノ門ヒルズフォーラム」にて開催。聴講無料、事前登録制です。ふるってご参加ください!

詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください。

インプレス ネットショップ担当者フォーラム ネットショップ担当者アワード
画像をクリックで「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式の詳細ページにアクセスします
松原 沙甫

ヤマダデンキのECと実店舗の連携策・AI活用、TSIの新たな買い物体験作り、ECで活躍できる人材など全50講演超のECイベント【11/19+20@東京】

1 year 1ヶ月 ago
EC事業の実績や豊富なノウハウを持つ担当者や有識者が登壇し、聴講者の通販・EC事業運営の学びにつながるセッションをお届けするオフラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」を11月19日(火)+20日(水)に開催。全50講演超のセミナーをすべて無料で聴講できます

11月19日(火)・20日(水)、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで大型オフラインECイベント「ネットショップ担当者フォーラム2024 秋」をリアル開催。ヤマダデンキ、TSI、プラス、ランクアップ、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)といった有名企業や有識者が登壇します。

店舗連携とAI活用、ECサイトのブランド統合や事業効率化、EC業界の人材育成やキャリア形成、toCマーケティングなどさまざまなテーマで50講演超のセッションをご用意しています。全公演無料で聴講できます!(事前登録制)

まだお申し込みをしていない方のために、編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋

見どころ⑪ EC業界で活躍できる人材とは? 著名EC有識者が“ぶっちゃけ”トーク
~中島郁氏、大西理氏、逸見光次郎氏、石川森生氏が語る~

13:25~14:10 C2-4 ゼネラルセッション

EC業界の人材育成における現状の課題や、活躍できる人材の特徴、担当者が自身のキャリアアップのために取り組むべきことなどを有識者が本音で語り合います。社内の人材育成や、自身のキャリアプランに悩みや関心を持つ方は必聴です。セッションでは、EC業界で活躍している個人を表彰する「ネットショップ担当者アワード」の見どころ、受賞者の注目ポイントについても解説。同日の夕方に執り行う、アワード授賞式も合わせてチェックしてください。

スマイルエックス合同会社 代表 大西 理氏
スマイルエックス合同会社 代表 大西 理氏
カタログ総合通販・株式会社セシールにてEC事業立ち上げ後、デジタルマーケティング全般に従事。その後、文具メーカー、化粧品通販、ファッション雑貨小売、アパレルなど複数の業界でECを中心にデジタルマーケティング/コミュニケーション/ブランディング/CRM領域のマネジメントなど幅広い領域を担当。現在はその経験を生かし、BtoC、BtoB問わず、EC/マーケティング領域の課題整理や事業支援、チーム育成などの企業支援に携わる。
株式会社CaTラボ 代表/オムニチャネルコンサルタント/日本オムニチャネル協会 理事 逸見 光次郎氏
株式会社CaTラボ 代表/オムニチャネルコンサルタント/日本オムニチャネル協会 理事 逸見 光次郎氏
1970年東京生まれ。学習院大学文学部史学科卒。1994年三省堂書店入社後、ソフトバンクでeS!Books(現セブンネットショッピング)を立ち上げ、AmazonジャパンBooksMD、イオンでネットスーパー立ち上げとデジタルビジネス戦略担当、カメラのキタムラで執行役員EC事業部長をつとめ、各社で店舗とネットの融合を推進し、独立して現職。小売・メーカー・銀行・飲食・広告代理店・SIerなどの支援を行いながら、日本オムニチャネル協会理事や事業会社の役員を兼務し、現場を重視した改善活動を行う。
ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社 CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生氏
ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社 CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生氏
新卒でSBIホールディングス入社、SBIナビ(現・ナビプラス)を創業、多くのマーチャントのECサイトグロースに携わる。その後、自身も事業会社の道に。ファッション通販サイト「マガシーク」のマーケティング部長、製菓製パンECサイト「cotta」を運営する株式会社TUKURU代表取締役社長、株式会社DINOS CORPORATION CECO(Chief e-Commerce Officer)を歴任。現在はオルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、株式会社RESORT 代表取締役CEO、トレンダーズ株式会社 社外取締役、ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー長&EC事業部責任者などを兼任する傍ら、複数の成長ベンチャーにハンズオンによるエンジェル投資を実施。常に実戦の中でEC事業の成長を再現し続けている。
ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁氏
ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁氏
ベンチャー⇒外資⇒老舗と通常と逆の経歴で新規事業/新組織を担当。関与は小売、EC、デジタル/リアル、メディア、サービス等。トイザらスでマーケティング部門/EC法人立上げ。ジュピターショップチャンネル役員(EC・マーケティング)、GSIcommerce/eBayEnterprise APAC代表/日本法人社長。三越伊勢丹ではコンサルでの関与後EC・オムニチャネル推進の役員事業部長に就任。複数のEC立ち上げ、大規模EC・オムニチャネル3社の事業責任者経験は珍しい。ベンチャー~大企業の新規事業、戦略、マーケティング、EC、小売、リアル・デジタルを実務視点で支援中。Babson College MBA

見どころ⑫ ヤマダデンキの店舗連携とAI活用によるEC展開、チームを作るリーダースタイル

13:25~14:10 D2-4 ゼネラルセッション

ヤマダデンキでは、AIや実店舗とECの連携した顧客サービスの実現に向けた取り組みを行っています。講演では、実際に施策を運用しているチームが注力していること、AI活用、店頭連携によって顧客体験を最大限引き上げるために実施していることなどをお伝えします。

株式会社ヤマダデンキ セグメント事業統轄本部 インターネット事業部 執行役員 事業部長 後藤 賢志氏
株式会社ヤマダデンキ セグメント事業統轄本部 インターネット事業部 執行役員 事業部長 後藤 賢志氏
秋葉原を始め5大都市圏に店舗展開している「TSUKUMO」で店長、エリア長を経験、事業譲渡後の株式会社 Project Whiteでは秋葉原本店店長、営業本部長を経て2018年に代表取締役社長。2021年7月より現職。2023年度に楽天市場で総合グランプリを獲得。現在も自社サイト「ヤマダウェブコム」の業績向上に貢献している。

見どころ⑬ TSIが進める新たな買い物体験作りの全貌
~ECサイトのブランド統合、事業効率化、顧客接点強化の取り組み~

13:25~14:10 E2-4 ゼネラルセッション

TSIホールディングスは中期経営計画「TSI Innovation Program 2027」のなかで、2024年2月期時点で28%のEC化率を、2027年2月期に35%まで高めることを目標に掲げています。その一環で、進めているのが30超のブランドを統合した「MIX. Tokyo」のリニューアルオープン。これまで、各ブランド、事業子会社単位でECを分散し、ブランド個性での囲い込みを進めてきたTSIは、なぜ改めて統合に向かうのか? そして、なぜそのEC基盤を「Shopify」へ移行するのか。変革のストーリー、これからのデジタル戦略を解説します。

株式会社TSI プラットフォーム本部 デジタルプラットフォーム部長 岸 武洋氏
株式会社TSI プラットフォーム本部 デジタルプラットフォーム部長 岸 武洋氏
国内アパレルブランドにて、店舗スタッフからキャリアスタート。営業、商品企画、CRM、EC事業等、幅広く経験。2015年に(株)TSI EC ストラテジーに入社し、自社ECサイトの刷新やアプリを軸にしたオムニチャネル推進等、グループ横断のデジタルマーケティングに従事。
組織統合に伴い(株)TSIプラットフォーム本部にてグループ横断のデジタル戦略を推進中。
モーターホーム株式会社 代表取締役/opportunity creator 髙野 一朗氏
モーターホーム株式会社 代表取締役/opportunity creator 髙野 一朗氏
大手セレクトアパレルに17年間ほど勤務。店舗スタッフから始まりマーチャンダイザーやEC事業責任者を経て、全社横断CRM事業の部署立上げと運営を7年ほど取り組む。独立後はアパレル企業を中心にコンサルティングを行いつつ、ファッションクリエイターをマネジメントするエージェンシー、モーターホーム株式会社を設立。
ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋
◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

「楽天市場」で国内外ブランドのダーマコスメを期間限定でお得に購入できるキャンペーン「ダーマコスメWEEK」

1 year 1ヶ月 ago

楽天グループ(楽天)は11月11日から、「楽天市場」において“特定の肌悩みを解決するために厳選された成分を配合した化粧品”の「ダーマコスメ」を特集したキャンペーンを始めた。キャンペーンは18日まで。対象商品を購入すると「楽天ポイント」の進呈率を5倍にするなどの特典を付与する。

ダーマコスメを特集した「ダーマコスメweek」では、「楽天市場」に公式出店している「LA ROCHE-POSAY」(ラ ロッシュ ポゼ)や「URIAGE」(ユリアージュ)、「BIODERMA」(ビオデルマ)など計11の国内外ブランドが取り扱う約3500点のダーマコスメを紹介する。

キャンペーン期間中に対象商品を購入すると、「楽天ポイント」の進呈率を5倍にする他、楽天が運営する公式Xアカウント「楽天市場コスメ部」をフォローして対象ポストをリポストすると、人気の「ダーマコスメ」詰め合わせ(3万3000円相当)を抽選で10人に進呈する。

「楽天市場」における「ダーマコスメ」の流通総額は、2023年から2024年にかけて約1.4倍に伸長。「ダーマコスメ」への興味・関心が高まっている。「楽天市場」では、ユーザーのニーズに適した「ダーマコスメ」を提案することを目的に、今回のキャンペーンを実施することにした。

松原 沙甫

LINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」、置き配や余裕のある配送日指定などで10円相当のPayPayポイントを付与

1 year 1ヶ月 ago

LINEヤフーは11月11日、「Yahoo!ショッピング」での買い物において、注文時に余裕のある配達日の指定や「置き配」で受け取るなど再配達削減につながる配送方法を利用したユーザーに、10円相当の「PayPayポイント」を付与する「再配達削減キャンペーン」を開始した。

キャンペーンの内容は3種類。「おトク指定便キャンペーン」は11月11日~30日、余裕のある配達日(3~7日)を指定した場合、10円相当の「PayPayポイント」が当たるくじ券を付与。「置き配キャンペーン」は12月1日~22日で、配送方法で「置き配」を指定した場合に10円相当の「PayPayポイント」を付与する。「1回受け取りキャンペーン」は12月23日~2025年1月10日に、ユーザーが1回の配達で荷物を受け取った場合に10円相当の「PayPayポイント」を付与する。各キャンペーンとも商品合計額が1000円以上の買い物が対象となる。

LINEヤフーは11月11日、「Yahoo!ショッピング」での買い物において、注文時に余裕のある配達日の指定や「置き配」で受け取るなど再配達削減につながる配送方法を利用したユーザーに、10円相当の「PayPayポイント」を付与する「再配達削減キャンペーン」を開始した
受け取り方法の選択イメージ

キャンペーンは、国土交通省が実施する「再配達率削減ポイント付与実証事業」の一環。荷物の受取方法や日時を消費者が自ら「選択」「確認」できる仕組みを構築し、協力内容に応じてインセンティブの付与も行うことで宅配便の再配達率を削減し、物流事業の負荷を軽減するのが目的。

「Yahoo!ショッピング」はこれまで、ユーザーが1回で荷物を受け取れるよう、配達日の指定注文や配送状況のステータスの確認、「置き配」や実店舗受け取りなど、多様な受取方法を呼びかけ、再配達削減に向けた取り組みを実施してきた。

その結果、「置き配」利用率は1.3倍に増加。「置き配」の受け取り拡大で、「Yahoo!ショッピング」での「宅配ボックス」売上が伸びており、9月度の売り上げは前年同月比で1.4倍となっている。

ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

ユナイテッドアローズのOMO戦略、TSIの買い物体験改善策、ディーエイチシー(DHC)会長CEOのセッション、ハルメクホールディングス社長による戦略など、あなたの会社経営やECビジネスに役立つセッションを多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

今年もリアル開催。デジタル戦略、SNS活用、OMO戦略等、ECビジネスの最新トレンド、ソリューションが集結
10/10 17:04 10672 11 18
松原 沙甫

自社の価格決定で需要と供給が決まる!? ニッチ&オンリーワン商材の強みをECで生かす【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

1 year 1ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2024年10月26日~11月8日のニュース

ECビジネスには商圏がありません。日本全国、世界中からの注文を受けることができます。たとえニッチな商品だとしても、全国のニーズを集めれば1つの市場になるわけです。今回は、2つのニッチな商材のECビジネスを紹介します。

業界は縮小していても、需要は確実にある

【オンリーワンの強み】石膏像EC『石膏像ドットコム』、国内市場の「需要と供給」を調整 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/12812

石膏像の市場は数十年の間に縮小し続けているが、いち早くECサイトを開設したことで、現在、国内の需要のほとんどを同社の石膏像が占めている。

(中略)

現在、卸販売の売り上げは全体の15%ほどで、大半を自社ECサイトで売り上げている。

「自社で顧客に直接、販売できるようになったことで、利益率はかなり上がった。卸値が1万数千円の商品が、5~6万円で販売できる」(同)と話す。

ニッチな商材こそECに向いていますよね。全国からニーズをECサイトに集めてくることができますし、直販を実現することで中間マージンを省くことができます。

「石膏像ドットコム」の場合、すでに国内の需要を占めていることから、販売価格を調整することで需要と供給のバランスも調整できることは驚きです。

石膏像が好きであれば素敵な生き方ですよね。

桐箱は、着物や美術品だけのものじゃない。キッチンの主役になる桐製品ブランド「KIRIFT(キリフト)」の立ち上げ秘話 | よむよむCOLOR ME by GMOペパボ
https://shop-pro.jp/yomyom-colorme/101703

―――ショップを開店し、最初に商品が売れた日のことを覚えていますか?

鮮明に覚えています! 受注通知がきたときには家族みんなで喜びましたね。
しかも、初めてのお客さまはとても丁寧な方で、「一生大事にします」と後日お手紙を送ってくださったんです。直筆のお礼状をいただく機会はなかなかないので、忘れられない嬉しい思い出になりましたね。

こちらは桐製品ブランドのECサイト。桐箱専門のメーカーは全国的にも数件しか存在しなくなっているとのこと。それでも「ライスストッカー(米びつ)」「ブレッドストッカー(パンの保管)」など、新しい商品を開発することで、受注や企業からのOEMも増えたようです。

ニッチな商材でも、そしてニッチな商品だからこそECサイトを頑張る意味がある。紹介した石膏像と桐箱のECサイトから、改めて学べることがある気がします。

「ネッ担まとめ」でも、こういった事例をたくさん紹介していきたいものです。

要チェック記事

楽天、PayPay、Vポイント 国内2.5兆円市場を制するのはどこか | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2410/27/news018.html

「PayPay」登場時のキャンペーンは衝撃的でしたが、今はもうあまりポイントを意識してないかも。

非日常を味わう岐阜の喫茶室。県外客を惹きつけた情報発信の秘訣|喫茶室 山脈 | PR TIMES MAGAZINE
https://prtimes.jp/magazine/kissa-sanmyaku-case-interview/102407

誰も知らなかった・気づかなかった場所に興味を持つことができる。SNSってやはりすごいですね。

「オウンドメディアは意味ない」なんてことはない。失敗しない運用のポイントと初期・中長期で見るべき成果を解説 | はてなビジネスブログ
https://business.hatenastaff.com/entry/2024/10/29/103000

今の時代、情報発信はナチュラルに行うものとして、あまり投資対効果とか言わない方がいいですね。

原稿料を上げたくなる「すごいライター」はここが違う | note | まむし@「誰も教えてくれない 編集力の鍛え方」出版
https://note.com/mamushimamu/n/n4aeab5df7334

締め切りよりも早くあげてくる人は、だいたいクオリティも良いことが多いです。

売上3倍成長のD2C企業、その秘訣は「割引販売なし」「直販のみ」「共感を得るブランドストーリー」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/13064

ブランドストーリーがいまいち読み取れませんでしたが、ちょっと面白くて気になります。

「人に頼ることは良くないこと?」実は仕事ができる人ほど頼るのが上手いという話 | ANAGRAMS
https://anagrams.jp/blog/people-who-are-good-at-their-jobs-are-also-good-at-relying-on-them/

子どもの頃の「自分で考えなさい」教育をいまだに引きずっている人が多そう。聞いた方が早いのにね。質問もできるし。

今週の名言

週休3日のスーパーが最高利益を更新し続ける訳 | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/833998

単なる「客」と「顧客」は違うものです。「客数」を増やしたかったら営業時間を延ばせばいいのですが、「顧客」を増やすためには、実は営業時間は関係ありません。

逆に言えば、一定以上の「顧客数」があれば、営業時間を増やす必要はない、むしろ減らしても問題ない、ということです。

この言葉、目からうろこでした。

たしかに「客数」を増やしたいならば、長時間たくさん働けばその絶対数は増えます。ただ、「顧客」がいるならば、ある程度お店のルールにお客さまが合わせてもらうことができる。その分「顧客」にアイデアに満ちた面白い商品やサービスを提供すればいい。

自社が求めるのは「客数」なのか「顧客」なのか。盲目的に「たくさん働く」という結論を出すだけの、思考停止状態にはなりたくないところです。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

石田 麻琴

フューチャーショップ、世界最大手のソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」の米VRChat Inc.とパートナーシップ契約

1 year 1ヶ月 ago

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは11月11日、米・VRChat Inc.と公式パートナーシップ契約を締結したと発表した。

VRChat Inc.は、世界最大級のソーシャルVRプラットフォームを運営する米国企業。バーチャル空間にアバターでログインし、多人数とのコミュニケーションなどが体験できるソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」を展開している。

「VRChat」内にはクリエイター・企業などが手がけたさまざまな「ワールド」と呼ばれる空間(仮想空間)を用意でき、交流などを楽しむことができる。デスクトップモードも用意されており、VRゴーグルなしでも楽しむことが可能。「VRゴーグルやゲーミングPCがないとプレイできない」といったハードルなく手軽にメタバース体験ができる。

フューチャーショップはVRChat社との公式パートナーシップ契約締結によって、「VRChat」上で展開している仮想空間「FUTURE 20th SQUARE」を中心としたメタバース×ECの可能性を模索し、未来のリテール体験を創造していくとしている。なお、フューチャーショップによるとVRChat社と日本のECプラットフォームがパートナーシップを結ぶのは今回が初という。

11月14日には「FUTURE 20th SQUARE」をリニューアルし、今後もさまざまな企画を予定している。「FUTURE 20th SQUARE」は2023年にオープン。「futureshop」を利用する「伊藤久右衛門」「格之進」「モロゾフ」などのブランドが同空間内にバーチャルポップアップストアを出店した。バーチャルポップアップストアを通じて、ECサイトや実店舗での購買行動につながる事例も登場したという。なお、初週で延べ1万人以上が来場した。

11月14日にリニューアルオープンする「FUTURE 20th SQUARE」は、ヨーロッパの伝統的なクリスマスマーケットを彷彿とさせる、クリスマスツリーを中心にした華やかな冬の街並みを再現。「伊藤久右衛門」「格之進」「エーデルワイスファーム」などがバーチャルポップアップストアを出店する。メタバース上で商品を作る・食べるなどの体験をし、そのまま実際のECサイトを閲覧できる。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは11月11日、米・VRChat Inc.と公式パートナーシップ契約を締結したと発表
リニューアルオープンする「FUTURE 20th SQUARE」の街並みの様子
ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

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鳥栖 剛

マンション内でのスムーズな配送をどう実現する? ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便が管理会社と実証実験

1 year 1ヶ月 ago

大和ハウスグループでマンション管理など建物管理サービスなどを手がける大和ライフネクストは11月11日から、「マンション内配送サービス」の実証実験を都内のマンションで開始した。

実証実験は、再配達率の削減に向けてマンションの管理員が宅配会社から一括で荷物を受け取り、管理員が宅配会社に代わって戸別配達を行うというもの。日本郵便株、ヤマト運輸、佐川急便が参画する。

大和ハウスグループでマンション管理など建物管理サービスなどを手がける大和ライフネクストは11月11日から、「マンション内配送サービス」の実証実験を都内のマンションで開始
マンションの管理員が宅配会社から一括で荷物を受け取り→戸別配達

分譲マンションでは宅配ボックス設置や置き配の活用など再配達率削減への取り組みが進む一方で、「宅配ボックスの空きがない」「マンションセキュリティ内に入れず置き配ができない」といった課題が顕在化している。居住者側にも「インターホン鳴動から訪問までの待機時間が長い」といった課題があるという。

大東文化大学の清水真人准教授による「2022年度 大手町・丸の内・有楽町地区駐車環境対策協議会フェローシップ研究助成 大規模マンション等における荷さばき(配送)の実態に関する研究」においても前述の課題を指摘。タワーマンションでは、配達員による各住戸への配達時間は1往復に30分程度かかっており、配達数も2往復はしているという。清水はこうした状況を踏まえ、配達員の時間的負担も大きいと指摘している。

「マンション内配送サービス」の具体的な流れは次の通り。

  1. マンション管理員が宅配会社からの冷蔵・冷凍・代引き・書留含む郵便物・貴重品など一部を除く荷物を全住戸分一括で受け取り。荷物はマンション内に設置する専用倉庫に格納
  2. マンション管理員が、宅配会社に代わって各戸に荷物を配達。不在の場合は、マンションごとの管理ルール内で宅配ボックス・置き配を活用
  3. 上記の方法でも配達できなかった場合は、管理事務室の専用倉庫で一時的に保管。管理員の業務時間内であれば管理事務室でいつでも受け取れるようにする。
大和ハウスグループでマンション管理など建物管理サービスなどを手がける大和ライフネクストは11月11日から、「マンション内配送サービス」の実証実験を都内のマンションで開始
不在の場合は宅配ロッカーや置き配を活用し再配達を削減する

オートロック付きマンションにおいて、これまで宅配会社がエントランスで配達先一戸ずつにインターホンを鳴らして配達していた荷物を、マンション単位で一括配送できるようにして再配達を削減する。居住者にとっては荷物受け取りにおける利便性・安心感の向上につながり、受け取れなかった荷物もマンション内で保管される。そのため、スムーズに再受け取りが可能となるメリットがある。

マンション管理会社は、管理ノウハウを生かした新たなサービス提供による顧客満足度や居住者の利便性の向上につながり、建物管理サービスにおける新たな付加価値を創出できる。大和ライフネクストは管理員が配送業務の一部を担うビジネスモデルの構築により、収益増加と社会課題への貢献につなげたい考え。

実証実験は2025年1月末までを予定。東京都中央区内の約200戸の分譲マンションで実施する。配送管理アプリを開発中としており、管理員は大和ハウスグループが開発中の専用アプリを使用し「宅配会社からの荷物の受け取り」と「居住者への荷物の配達」の記録を行うとしている。

ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

ユナイテッドアローズのOMO戦略、TSIの買い物体験改善策、ディーエイチシー(DHC)会長CEOのセッション、ハルメクホールディングス社長による戦略など、あなたの会社経営やECビジネスに役立つセッションを多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

今年もリアル開催。デジタル戦略、SNS活用、OMO戦略等、ECビジネスの最新トレンド、ソリューションが集結
10/10 17:04 10672 11 18
鳥栖 剛

解約率わずか3%のサブスクコーヒー「PostCoffee」の下村祐太朗CCOに聞く人気の秘訣 | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

1 year 1ヶ月 ago
コーヒーのサブスク通販を展開するPOST COFFEEの下村祐太朗CCOを、11/20に授賞式を開催する第2回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。サブスクサービスの離脱率改善や充実した顧客体験につながっている、POST COFFEEならではの顧客に長く愛されるサイト設計を本人にインタビューした。<第2回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第4弾>

コーヒーのサブスクリプションECを手がけるPOST COFFEEの下村祐太朗CCO(Chief Creative Officer)は、データドリブンにより顧客の好みに合わせたコーヒーの提案、チャートによる味わいや香りの可視化など、先進的な取り組みによって優れた顧客体験を実現している。下村氏に、サブスクで顧客に愛されるECサイト、サービス設計の工夫点を聞いた。

POST COFFEE株式会社 CCO 下村 祐太朗 氏
POST COFFEE株式会社 CCO 下村 祐太朗 氏
デザイン会社 HERETIC, inc.の取締役、デザイナー、アートディレクターを経て、2018年に国内最大級のコーヒー通販PostCoffee®を創業。Webデザインからグラフィック、UI/UX 、ムービーなどあらゆるクリエイティブを駆使し、PostCoffee®の世界観を構築する。過去には渋谷でMAKERS COFFEEというコーヒースタンドを立ち上げ、バリスタとして立っていた経験もある。

解約率が半分以下に改善。好みに基づく高精度の商品提案とは

スペシャリティコーヒーのサブスクを展開

――ECサイト「PostCoffee」の特長を教えてほしい。

POST COFFEE 下村氏(以下、下村氏):「PostCoffee」は、30万通りの世界中のコーヒーの組み合わせから顧客専用のコーヒーボックスをカスタマイズし、ポストに届けるサブスクリプションサービス、単品購入の大きく2通りに分かれる。

サブスクリプションサービスで展開するプラン
サブスクリプションサービスで展開するプラン
「PostCoffee」では単品購入もできる
「PostCoffee」では単品購入もできる

取り扱うコーヒーは「スペシャルティコーヒー」。コーヒーのなかでも品種、生産地などが特定可能で風味や個性が際立ち、高品質なコーヒーを指す。

サブスク会員は毎回異なるコーヒーを受け取り、新たなコーヒーの発見を楽しむことが
できるなど、「PostCoffee」は顧客の体験価値を高めることに重点を置いている。意識しているのは、お客さまが毎日使いたくなるようなECサイト作り。味わいたいコーヒーのカスタマイズ性の高さ、サイトのユーザーインターフェース(UI)、ユーザーエクスペリエンス(UX)にもこだわり、ロイヤルティ醸成を図っている。

「焙煎度」「味わい」などユーザーはさまざまな嗜好から好みのコーヒーを絞り込める
「焙煎度」「味わい」などユーザーはさまざまな嗜好から好みのコーヒーを絞り込める

――管掌する業務は。

下村氏:EC事業の運営、顧客対応、SNSアカウント運用、企画、商品開発まで、ECに関連する業務を広く管掌している。商品開発やデザインでは、お客さまによるレビューを参考に、ユーザー目線を心がけつつも、ニーズの掘り起しを常に考えている。

顧客の好みに合わせた提案で顧客体験価値アップ

下村氏顧客の購入履歴や好みに基づくデータドリブンにより、ユーザーは自身の嗜好を把握できる。新たなコーヒーを提案することも可能だ。顧客の嗜好に合わせたコーヒーを提供することで、最大限の顧客体験を創出している。

POST COFFEEが考える顧客体験価値の想像
POST COFFEEが考える顧客体験価値の想像

年間売上高は、サービスのローンチ当初と比べると約10倍に成長前年比20%増で推移している。ECの売上シェアはサブスクが約70%を占めており、サブスクを利用しているお客さまが単品購入も利用しているケースが多い。EC化率は約90%だ。

継続率アップにつながる施策が成功

――利用者からの反響はどうか。

下村氏:2018年の開設当初と比べて、サブスクリプションの解約率が大幅に下がった当初の解約率は7~8%くらいだったが、現在は半分以下の3%に改善している。

当初はお試し購入の人が多いことや、購入した商品が自分の求めていた味わいとは異なり、満足しなかったという理由が解約につながっていた。顧客の好みに基づく提案の精度を高めていったことが、解約率の改善に寄与してきたと思う。

また、ECサイトの入口に来てくれたユーザーのマインドセットも大切。「試しに買う」というよりは、「サブスクでコーヒーを始める」というマインドでユーザーに来てもらえるような導線作りにも力を入れた。

――顧客の購入履歴や好みに基づく商品提案とは。

下村氏:顧客の購入履歴や好みに基づき、そのデータを顧客ごとの「マイページ」に反映。「マイページ」には、好みの味わいが可視化できるようにコーヒージャーニーが記録されている。コーヒーの好みは12のカテゴリのなかから嗜好を把握することが可能だ。

コーヒー日記のように楽しめる「マイページ」
コーヒー日記のように楽しめる「マイページ」

サイト作りにも工夫を施している。コーヒーへの理解が深まるようなコンテンツを発信しており、コーヒーへの知識を深めたり、サイトに掲出している「コーヒー診断」によって好みに合いそうなコーヒーを提案したりしている。

――これまでの取り組みを振り返って、自身が注力してきた点を教えてほしい。

下村氏:「PostCoffee」の魅力や特長として推し進めてきたのは、データドリブンなマーケティング、1人ひとりの嗜好に合わせたコーヒーの提案を可能にしている点。「スペシャリティコーヒーのおいしさを広める」という大きな目標に根差している。近年は注文が一気に入ることも増えてきており、「皆が求めているモノを作れている」という満足感がある。

「スペシャルティコーヒー」という言葉はまだあまり知られていない。そこで「サブスクリプション型のコーヒーを利用する」という入口にして継続購入を狙い、手元のコーヒーが足りなくなれば単品購入も利用してもらう――という導線を作っている。今後は、よりスペシャリティコーヒーに関する認知を広げられるようにしていきたい。

――食品のなかでも特に「香り」「味わい」が重視されるコーヒーにおいて、それらが表現しにくいEC販路に挑戦した理由は。

下村氏「欲しいコーヒーがすぐに届く」という体験の提供を追求するためだ。EC販路は、その手段の1つだと考えている。ロースターから買うと、商品が手元に届くまで時間がかかることも多い。香りや味わいについては、たとえば商品詳細ページでは「酸味」「アロマ(香り)」などを可視化し、Webでは伝わりにくい味わいや香りを伝えている

商品詳細ページの一例
商品詳細ページの一例

リアル、オンラインの両軸で認知拡大に意欲

――オフラインの展開や、顧客との今後のタッチポイント創出の計画を教えてほしい。

下村氏グローバルで31社のコーヒーショップがパートナーとなっており、「PostCoffee」のコーヒーを卸売りしている。また、カフェ業態も手がけており、そこではさまざまなロースターのコーヒーが飲めるようになっている。今後は店舗展開を広げていきたい。これからはリアルの場での認知を広げるような施策を実施したいと考えている。

2024年10月は、一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会が東京ビッグサイトで開催したコーヒー業界最大級の展示会「SCAJ2024」にブースを出店した。いずれは当社が主催して、コーヒーにまつわるイベントを開催したい。いろいろなロースターが集まるコーヒーフェスのようなものが実施できたらと構想している。

「SCAJ2024」にブースを出店した「PostCoffee」
「SCAJ2024」にブースを出店した「PostCoffee」

オンラインでは、「楽天市場」「Amazon.co.jp」といったECモールにも出店している。ECモールも含めた顧客とのタッチポイントを創出していきたい。サブスクリプションサービスは、海外のお客さまからも引き合いがあるので、サイトの海外対応も視野に入れている。

――今後の目標値は。

下村氏:スペシャリティコーヒーの市場規模は248億円とされている。「PostCoffee」でも市場シェアをさらに広げて、現在の売上高から10倍の成長を目標にしていきたい。

◇◇◇

この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた下村氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。

「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式は11月20日、16:15から「虎ノ門ヒルズフォーラム」にて開催。聴講無料、事前登録制です。ふるってご参加ください!

詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください。

インプレス ネットショップ担当者フォーラム ネットショップ担当者アワード
画像をクリックで「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式の詳細ページにアクセスします
松原 沙甫

スマホを退屈にするアプリ「The Boring Mode」

1 year 1ヶ月 ago

ハイネケンが、スマートフォンを退屈にするアプリ「The Boring Mode」を日本でも提供。ハイネケンは、人と人が実際に交流することの大切さ、リアルが充実することの楽しさを改めて実感してもらうため、このアプリを開発した。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000124676.html

noreply@blogger.com (Kenji)

ウエルシア薬局、ECサイト「ウエルシアドットコム」の個人情報約4万件が漏えいした可能性。サポート詐欺の不正アクセスで

1 year 1ヶ月 ago

ドアラッグストア「ウエルシア薬局」を展開するウエルシア薬局は11月8日、従業員が業務に使用するパソコン端末がサポート詐欺による不正アクセスを受け、個人情報約4万件強が漏えいした可能性があると発表した。

公式ECサイト「ウエルシアドットコム」に携わる従業員が10月24日、サポート詐欺のWebブサイトへ誘導され、遠隔操作ソフトをインストールされた。これにより、不正アクセスを受けたことが判明した。

事実の判明後、従業員のパソコン端末のインターネットおよび社内ネットワークの接続を遮断した。漏えいした恐れがある顧客情報および従業員情報は次の通り。

顧客情報(氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、退会者、「ウエルシアドットコム」利用時の ID とパスワード、購入商品3万9805人分)。従業員情報は、ウエルシア薬局およびグループの従業員情報(氏名、所属組織、会社のメールアドレス931人分)で、合計4万736人分。

ウエルシア薬局は、今後の情報セキュリティに関わる社内での教育を徹底。また、個人情報を取り扱う業務プロセスの見直しおよび情報セキュリティ施策の強化を図ることにより、再発防止に努めるとしている。

ウエルシア薬局は関係する行政機関へ報告すると同時に、外部調査会社による被害状況と影響範囲の調査を開始。現在も継続して被害情報の確認を実施しており、実際に漏えいの事実および被害は確認されていないとしている。

なお、警視庁ではサポート詐欺対策について情報を公表しており、被害に遭った場合、「偽の警告画面を閉じる」「警告表示画面の指示に従わない」「クレジットカード会社等に連絡する」「偽のセキュリティ警告画面等を保存する」「警察に通報・相談する」――といった対処を呼びかけている。

3Dセキュア2.0導入後の課題解決方法などセキュリティも学べるECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

「3Dセキュア2.0導入後に出てくる多くの課題、サムソナイトの解決方法を大公開 ~不正対策+自社ブランドの信頼性+買い物体験の向上などを同時実現したアプローチ~」など、あなたのECサイトを守るセキュリティ関連の講演を多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

今年もリアル開催。デジタル戦略、SNS活用、OMO戦略等、ECビジネスの最新トレンド、ソリューションが集結
10/10 17:04 10672 11 18
松原 沙甫

LINEヤフーのショッピング事業が好調、再びプラス成長へ。eコマース取扱高は4.2%増の2兆円強

1 year 1ヶ月 ago

LINEヤフーの2024年4-9月期(中間期)連結業績におけるeコマース取扱高は前年同期比4.2%増の2兆963億円だった。

eコマース取扱高のうち、国内物販系の取扱高は同2.4%増の1兆4819億円。ZOZOや「Yahoo!ショッピング」、トラベル部門の取扱高増加が寄与した。

LINEヤフーのショッピング事業が好調、再びプラス成長へ。eコマース取扱高は4.2%増の2兆円強
ZOZOやYahoo!ショッピング、トラベルが好調(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

国内物販系取扱高の内訳は、「Yahoo!ショッピング」「LINEギフト」「ZOZOTOWN」「LOHACO」などによるショッピング取扱高が同4.5%増の8113億円。ZOZOが堅調に取扱高を拡大したほか、「Yahoo!ショッピング」では、前年度のふるさと納税制度の改正による駆け込み需要の反動減があったものの、純第2四半期(2024年7-9月)における取扱高が前年同期間比では2.0%増の着地となった。なお、ふるさと納税の反動減影響除く実力値としては同8.1%増だったとしている。

ショッピング取扱高は2023年3月期の純第3四半期から四半期ベースで5四半期連続のマイナス成長が続いていたが、2024年3月期の純第4四半期にプラス成長へ転換。今期は2024年4-6月期(純第1四半期)が前年同期間比6.1%、2024年7-9月期(純第2四半期)は同3.1%増と成長が続いている。

「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」「ZOZOUSED」によるリユース事業の取扱高は前年同期比2.2増の減の4775億円。「Yahoo!フリマ」の取扱高は好調な着地となったが、「Yahoo!オークション」は落札者数が伸びず取扱高が低調に推移した。その他(物販事業)の取扱高は同6.1%増の1930億円だった。

「一休.com」「Yahoo!トラベル」「Yahoo!ロコ」「出前館」などによる国内サービス取扱高は同10.3%増の3506億円。トラベルは「Yahoo!トラベル」「一休」の販促施策が奏功し純第2四半期(2024年7-9月)は、年同期間比22.3%増と高成長を果たした。

LINEヤフーの2024年4-9月期(中間期)における売上収益は、前年同期比6.1%増の9252億9300万円、営業利益は同48.7%増の1726億5900万円、中間利益は同662081増の1079億6800万円。コマース事業による売上収益は同3.5%増の4079億4100万円となった。

ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

ユナイテッドアローズのOMO戦略、TSIの買い物体験改善策、ディーエイチシー(DHC)会長CEOのセッション、ハルメクホールディングス社長による戦略など、あなたの会社経営やECビジネスに役立つセッションを多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

今年もリアル開催。デジタル戦略、SNS活用、OMO戦略等、ECビジネスの最新トレンド、ソリューションが集結
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鳥栖 剛

ネット広告で獲得したいのは新規顧客ではない! “リピート顧客になり得る見込み客”だ! 「逆算のマーケティング」で効率的・効果的な広告戦略を実現しよう | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

1 year 1ヶ月 ago
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載10回目】

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝える10回目の連載では、「逆算のマーケティング」をテーマに解説します。

強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座
  1. ECのマーケティングとは? 「売り上げを伸ばす」ってどういうこと? EC事業の内製化に大切なポイントを解説!
  2. 客単価が2倍=売り上げも2倍!はウソ? 事例に学ぶ売上の公式の「真実」とは
  3. コンバージョン率が高い=良いECサイト? 「割り算」で算出する数値には注意しよう!
  4. ECサイトのアクセス数アップのポイントは、自社にとって「エンゲージメント」が高いユーザーを意識すること
  5. ユーザーが自社を「選んでくれた理由」「知ってくれた理由」を分析しよう! 商品作り&顧客作りに重要なポイントを解説
  6. 「生の声」「問い合わせ」の情報を蓄積して、ユーザーへの提案の「解像度」を上げることが大切!
  7. 「なぜ売れたのか」疑問を持とう! ユーザーの目的からニーズを探るためには「情報管理」が重要になる
  8. 売れる理由を一番知っているのは誰? それは「お客さま」! ユーザーの声+客観的なデータから売るチャンスを創出しよう
  9. 再現性が高く「投資効果」が読みやすいネット広告戦略のポイントは? 広告代理店に依頼する時の注意点も解説
  10. ネット広告で獲得したいのは新規顧客ではない! “リピート顧客になり得る見込み客”だ! 「逆算のマーケティング」で効率的・効果的な広告戦略を実現しよう

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

広告戦略に重要な「逆算のマーケティング」とは?

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは! 前回に引き続き、今回も広告戦略の話ですよね。

石田

こんにちは! 前回は広告代理店さんとの関わり方を例に、広告戦略のポイントを解説したよね。お話した通り「自社主導」で広告代理店さんに動いてもらうことが重要なんだ。

ネッタヌネッタヌ

この1か月間考えて気づいたのですが、それってまさにこの「EC事業の内製化」の連載のテーマにもなっているところですよね。「自社のリソース」と「外部のソリューション」を組み合わせて、成果の最大化をめざす――。

石田

そして、それはECの事業主が主導して進めなければいけない。まさに「EC事業の内製化」とは「判断の内製化」である、ってとこだよね。

ネッタヌネッタヌ

なんか、上手くつながっていく……。

石田

ECの事業主、チーム、担当者のみなさんが「判断」できるようにならないとね。そして、今回は「逆算のマーケティング」を紹介したい。

ネッタヌネッタヌ

逆算のマーケティング!?

広告戦略を展開する目的は「事業拡大」だけれど……?

石田

広告戦略を「より効率的に、より効果的に」展開するために重要なのが、「逆算のマーケティング」なんだ。

前回、ネット広告の効果をより上げるために「広告代理店さんに共有した方が良い情報」を紹介したんだけれど、何だったか覚えている?

ネッタヌネッタヌ

さっき復習で前回のコラムを読みました。「去年の今頃、どの商品が売れていたか」「これからのECサイトの販売スケジュール」。このあたりの情報ですよね。

石田

そうそう、さすが。「去年の今頃、どの商品が売れていたか」の情報は、常に流れているトレンドのなかでの狙い目を予測するのに役立つ。また「前年に売れた商品」を把握することで、ネット広告を活用する際のリスクヘッジにもなるよね。

「これからのECサイトの販売スケジュール」の情報は、新作商品・販促企画に合わせたネット広告の掲載に役立つ。できれば販売スケジュールと違和感のない広告戦略を展開していきたいからね。

ネッタヌネッタヌ

たしかに、このあたりの情報を広告代理店さんへ共有せずに「ご提案をお願いします」って言うのは、広告戦略を「単に丸投げ」しているのに近いかも。

石田

そうなんだよ。そこでもう一歩踏み込んで考えたいのが、「逆算のマーケティング」だ。この「逆算のマーケティング」は、広告代理店さんと広告戦略を組み立てるケースだけでなく、自社内で広告運用をするケースでも必要になる考え方だ。

ネッタヌネッタヌ

広告戦略のベースとなる知識ってことですね。

石田

じゃあ、ネッタヌ君に質問でーーーす。広告戦略を展開するのは何のため?

ネッタヌネッタヌ

新規顧客を獲得するため!!

石田

それってホント? ちょっと月並みな答えを返しているだけじゃない?

ネッタヌネッタヌ

え? 広告活用はてっきり新規顧客獲得のためかと思っていました……違うのですか。じゃあ、売上獲得のため?

石田

うーん。新規顧客獲得のためも、売上獲得のためも間違いじゃないんだけれどね。

ネッタヌネッタヌ

じゃあ正解は?

石田

正解は……事業拡大のため!

ネッタヌネッタヌ

石田さん、それって当たり前じゃん。そんなのズルいって!!

石田

ちっちっち(人差し指を振る音)。まあ、ネッタヌ君、聞きなさいって。

ネット広告で獲得したいのは「リピーターになり得る新規顧客」

石田

たとえばさ、ネット広告で新規顧客を獲得したとして、リピーターになってもらえない可能性もあるよね。その場合はどうなる?

ネッタヌネッタヌ

確かにありますね。特にオファーが強めのキャンペーンを打ったときなどは、「たくさんの新規顧客を獲得できたけれど、実際ほとんどリピーターにはならなかった」という話はよく聞きます。

石田

売り上げも一緒だよね。強めのキャンペーンを打つとぶわーっと受注が入ってくるけれど、その後につながらないケースも多い。そうだとすると、広告戦略では新規顧客が獲得したいわけじゃないんだよね。

ネッタヌネッタヌ

あ、石田さんが言いたいことがわかった気がする。新規顧客が獲得したいんじゃなくて、「リピート顧客」を獲得したいってことか!

石田

ネッタヌ君、勘がするどい。そのとおり。新規顧客が欲しいんじゃなくて、リピート顧客に「なり得る」新規顧客が欲しいんだよ。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。言葉の表現、重要なところですよね。「広告戦略によって新規顧客を増やす」だと、単に「新規顧客数」が指標になる。これが「リピート顧客に『なり得る』新規顧客」というと、意味合いが違ってきますね。

石田

そう。だから、たとえば広告代理店さんに「新規顧客を増やす提案をお願いします!」と依頼すると、認識がズレる可能性があるんだ。だって、事業者側が欲しいのは「闇雲な」新規顧客ではなくて、リピート顧客に「なり得る」新規顧客でしょう。ここで「逆算のマーケティング」の考え方が必要になる。

EC内製化 ネット広告を活用して獲得したいのは新規顧客ではなく、「リピート顧客になり得る新規顧客」
ネット広告を活用して獲得したいのは新規顧客ではなく、「リピート顧客になり得る新規顧客」

「結果的にLTVの高いお客さま」が、自社ECサイトにどのように接触していたのかを分析

石田

「逆算のマーケティング」というのは、「実際に自社のECサイトの事業拡大に貢献してくれているお客さまを定義して、そのお客さまに近しいお客さまを集客しよう」という考え方なんだ。

「新規顧客、リピート顧客、ロイヤルカスタマーから逆算して、ロイヤルカスタマーになり得るお客さまを広告戦略で獲得しよう」という考え方だね。もちろん、完璧なロイヤルカスタマー候補の人だけを獲得するのは難しいから、「確率を上げよう」って話だね。

ネッタヌネッタヌ

そうか。「逆算のマーケティング」を実践するためには、自社のデータや情報が必要なのか。

石田

主に新規顧客として獲得したいお客さまは、たとえば次のようなお客さまじゃないかな?

  • LTV(顧客生涯価値)が高い
  • サービスの利用継続年数が長い
  • トータルでの利用金額が高い
  • トータルでの利用回数が多い
ネッタヌネッタヌ

そうですね。1回きりで終わりのお客さまではなく。

石田

ここからが「逆算のマーケティング」のポイントになるんだけれど、「『結果的にLTVが高いお客さま』は、当初自社のECサイトとどのような接触をしていたのか」を分析して考えることなんだよ。

ネッタヌネッタヌ

そうか! 理想とするお客さまが集まりやすい条件を探すのか!

石田

「結果的にLTVの高いお客さま」が最初に購入した商品、利用のきっかけになったキャンペーン、そのキャンペーンに誘導した広告、リピートしてくれている商品などの傾向を分析できると良いよね。あとは、顧客属性の共通点もあれば尚良いね。

ネッタヌネッタヌ

じゃあ、強めのキャンペーンが「結果的にLTVが高いお客さま」につながってない可能性も……。

石田

大いにあり得るわけだよ(笑)

EC内製化 「逆算のマーケティング」を展開し、効果が出ている部分を広げていく
「逆算のマーケティング」を展開し、結果的に効果が出ている部分を広げていく

「発信力が高いお客さま」も獲得したいお客さま

石田

「新規顧客として獲得したいお客さま」として、「LTV(顧客生涯価値)が高い」「サービスの利用継続年数が長い」「トータルでの利用金額が高い」「トータルでの利用回数が多い」――こんなお客さまを定義したよね。

この他にも「新規顧客として獲得したいお客さま」の定義を加えたい。従来だと「LTVが高い」が基本なのだけれども、現代的な観点というか――ネッタヌ君、イメージつく?

ネッタヌネッタヌ

なんだろう? ポジティブなレビューを書いてくれるとか?

石田

とっても良い線いってる。「新規顧客として獲得したいお客さま」として、「発信力が強いお客さま」っていう定義も加えられると思うんだ。

ネッタヌネッタヌ

たしかに、利用頻度はそこまで高くないけれど、SNSでの発信とかポジティブなレビューでECサイトに寄与してくれるお客さまは「新規顧客として獲得したいお客さま」になるかもしれない。

石田

商品だけではなくブランドの考え方にも共感してくれて、SNSやブログで情報を拡散してくれる、また実際の利用シーンなど第三者的なレビューをきちんと書いてくれる、こんなお客さまに囲まれるかどうかが、現代のECマーケティングのポイントとも言えるよね。広告戦略の過程で、ここまで考えられたらベターだね。

ネッタヌネッタヌ

広告戦略って、単に新規顧客獲得と売上アップだけじゃないんだぁ。

石田

もちろん新規顧客獲得と売上アップも目的なんだけれども、どうせお金を使うんだったら、より効率的・効果的に、副次的な効果も狙って戦略を組み立てたいよね。

ネッタヌネッタヌ

そのためには「逆算のマーケティング」を実践することが大切ですね。

石田

一般的に「広告で新規顧客を獲得して、そこからいかにリピーターに引き上げるか?」そこは商品やテクニック、施策改善次第という考え方だけれど、そもそも「リピーターになり得る」お客さまを獲得する方法も考えて実践した方が良いよね。

ネッタヌネッタヌ

広告予算が少ないネットショップは特に、ですね!

石田

今日はこのくらいで! では、次回のコラムをお楽しみに。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

石田 麻琴

アスクルを生んだ「プラス」社長が語る市場創造+差別化+変化を創る経営のヒント、「マナラ化粧品」ランクアップのファン作り、UAのOMO戦略など全50講演超のECイベント【11/19+20@東京】

1 year 1ヶ月 ago
EC事業の実績や豊富なノウハウを持つ有識者が登壇し、聴講者の通販・EC事業運営の学びにつながるセッションをお届けするオフラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」を11月19日(火)+20日(水)に開催。全50講演超のセミナーをすべて無料で聴講できます

11月19日(火)・20日(水)、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで大型オフラインECイベント「ネットショップ担当者フォーラム2024 秋」をリアル開催。コーセープロビジョン、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)、ユナイテッドアローズ、ヤマダデンキ、TSI、プラス、ランクアップといった有名企業が登壇します。

市場創造+差別化+変化を創る経営、ヒット商品を生む熱狂的なファン作り、アパレルのOMO戦略、店舗連携とAI活用、人材育成、Z世代を取り込むリテールDX戦略、toCマーケティングなどさまざまなテーマで50講演超のセッションをご用意しています。全公演無料で聴講できます!(事前登録制)

まだお申し込みをしていない方のために、編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋

見どころ⑧ 新たな市場を創るプラス流“イノベーション”~ターゲット市場攻略と差別化戦略~

10:30~11:15 C2-1 オープニング基調講演

人口減少、消費の多様化、市場の変化、テクノロジーの進化などが加速する激しい環境下で、「お客さまに選ばれ続ける会社」になるためのヒントを、アスクル生みの親であるプラスの今泉忠久社長と通販研究会(柿尾会)の柿尾正之氏とのセッション形式でお伝えします。

プラスは「メーカー → 卸 → 小売」という流通システムの変革を通じ、オフィスだけにとどまらず、介護福祉、学校・幼保園、地方自治体に向けたサービス事業を創造してきたイノベーションカンパニー。これまでの歩みを踏まえ、単なる物販ECの域を超え、特定市場固有の課題解決を目的とした差別化戦略によるプラスの市場創造経営を解説します。

今やレッドオーシャンとなったEC物販市場での差別化経営、顧客起点のマーケティングに興味・関心があり、経営マインドを持っている方、新たな市場を開拓したい方、新規事業にチャレンジする方、BtoB-ECにおいて小中学校、介護、地方自治体などの法人市場にリーチを考えている方は必聴です!

プラス株式会社 代表取締役社長 今泉忠久氏
プラス株式会社 代表取締役社長 今泉忠久氏
プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント、アスクルを経て、2013年プラスに入社。2016年取締役・人事統括部長として次世代人事制度の整備のほか、企業理念浸透をはじめ全社横断型プロジェクトのリーダーとして企業基盤の強化に従事。2018年常務取締役・流通カンパニーのプレジデントとして全国販売店チャネルの関係を強化。2020年7月 代表取締役社長就任、自ら指揮を執り全社DXを推進すると共に次世代ビジネスモデルの創造に邁進中。
柿尾正之事務所 柿尾正之氏
柿尾正之事務所 柿尾正之氏
大学卒業後マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務を経て、1986年4月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。主に調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年6月に退任。2016年12月、合同会社柿尾正之事務所を設立。現在、企業顧問、社外取締役を中心として活動。

見どころ⑨ 売上70億円のヒット商品を生むファン作りの秘訣~「マナラ化粧品」のランクアップ創業者が語る熱狂的なファンの創り方~

10:30~11:15 C2-1 オープニング基調講演

ランクアップの主力商品は、全社売上の半分を占め、年間70億円以上売れている「ホットクレンジングゲル」。多数の雑誌でも紹介されているヒット商品の裏側には“熱狂的なファンの存在”があります。

広告費が高騰化するなか、ランクアップは独自のマーケティング戦略を展開。売上の構成比がほぼ既存顧客に支えられており、顧客維持率、ロイヤルカスタマー人数も右肩上がりで増加、新規顧客獲得に依存せずに売り上げを伸ばしています。

「顧客に長く愛される製品開発」「顧客満足度アップにつながるファンコミュニケーション」「熱狂的なファンを作るブランディング」について、具体的なデータを交えて日高氏が詳しく解説。ランクアップの今後の成長戦略についても語ります。

「自社ECグロースのヒントを得たい」「顧客との関係構築に悩み・課題を抱えている」という事業者さん必聴です!

株式会社ランクアップ 取締役副社長 日高由紀子氏
株式会社ランクアップ 取締役副社長 日高由紀子氏
前職の広告代理店時代、多くの通販クライアントを担当する。そこで代表の岩崎氏と出会い、2005年にランクアップを設立。また、同時に広告代理店を起業した経験を持つ。現在は、製品開発、広告宣伝、カスタマーサービス、システム、フルフィルメントなどの部署を統括。その他、新ブランド「アクナル」や新規事業の学童「クレイバーキッズ」も管轄し、マナラ事業以外の展開にも力を入れている。

見どころ⑩ ユナイテッドアローズのOMO戦略

10:30~11:15 C2-1 オープニング基調講演

ここ数年、IT投資を重ね基盤を整えてきたユナイテッドアローズ。この先のグロースフェーズで、何をドライバーにし、どう成長させていくのか? そして、お客さまにはどのような価値を提供し続けていくのか?

OMOを推進していく理由、その実践方法、リアルとデジタルの融合、「何から動かすべきか」の社内調整法などを解説。アプリ改善、集客、顧客化、運用に関するEC戦略における売上最大化につながるヒントを解説します。

株式会社ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長 岩井一紘氏
株式会社ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長 岩井一紘氏
1977年埼玉県生まれ。ダイレクトマーケティング、デジタルマーケティング、EC事業のコンサルティング業務に従事。2012年よりシャトレーゼにて販売企画部を管轄。デジタルマーケティングで実績を作り、事業開発などを行う。2021年より富澤商店にてマーケティング部の立ち上げ、ブランド開発、コミュニケーション領域の事業開発を行う。現在は、ユナイテッドアローズにてOMO本部を統括。デジタル戦略として、CRM、EC、アプリ、広告、PR、データーマネージメントを統括的に推進し、店頭オペレーションの改善までのOMO推進を実践している。
ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋
◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

東京都、美容ECなどの3社に特商法違反などで業務停止命令。理由は定期解約条件の記載不備、誇大広告など

1 year 1ヶ月 ago

東京都は11月1日、美容液や育毛剤などを販売する通販・EC事業者3社に対し特定商取引法に基づき3カ月間の業務停止命令と電話勧誘販売業務の改善指示を行った。あわせて3社すべての代表者である高橋史弥氏に対して3か月間の業務禁止命令を出した。

業務停止命令を受けたのはLIALUSTER(リアラスター)、hairju(ヘアージュ)、TRIBE(トライブ)の3社。3社はそれぞれの代表者である高橋史弥氏の出資で設立、リアラスターは主に美容液、ヘージュは主に育毛剤の通販などを手がけていた。

トライブは、リアラスターとヘアージュの購入者に向けて定期購入内容の切り替えを案内するといった電話勧誘販売業務などを展開。消費者に対してはリアラスターまたはヘアージュを販売業者として表示していた。こうしたビジネスモデルを踏まえ、都ではリアラスターとトライブ、ヘアージュとトライブをそれぞれ実質的に一体であると認定した。

都は3社に対して、通販・ECについては「誇大広告」「広告表示義務違反」、電話勧誘販売については「書面記載不備」「迷惑解除妨害」の違反認定を行った。

誇大広告は「●●●で大ヒット」「2023 年●●●で爆売れ」など、あたかも著名な大規模小売店舗などで取り扱いがあり、売れ行きが好調であるかのような表示をしていたが販売実績はなかったという。その他、商品には含まれていない成分を広告に表示し、美容液では「たるんだフェイスラインごと深いシワを持ち上げる」などと表示。育毛剤についても「白髪染めの代用品が凄い」などと表示していた。

東京都、美容ECなどの3社に特商法違反などで業務停止命令。理由は定期解約条件の記載不備、誇大広告など
リアラスターとトライブが行っていた美容液の広告の例(画像は都の公表資料から編集部がキャプチャ)
東京都、美容ECなどの3社に特商法違反などで業務停止命令。理由は定期解約条件の記載不備、誇大広告など
ヘアージュとトライブが行っていたヘアケア商品の広告の例(画像は都の公表資料から編集部がキャプチャ)

広告表示義務違反では、定期購入の契約の解除に関する事項の表示として不備を認定。「特定商取引法に基づく表記」の通信販売に関する業務の責任者として、従業者でもなく通信販売に関する業務を全く行っていない人物の氏名を表示していた。書面記載不備については、商品に同梱した書面に、法人名や代表者名などの記載がなかった。迷惑解除妨害については、消費者から電話によるクーリング・オフの申出を受けた際、商品を受け取り使用するよう勧め、受け取らない場合でも商品代金相当額の支払いを求める旨を伝え解除を妨げていたという。

都によると、リアラスターとヘアージュには過去5年間に1161件の消費者相談が寄せられていたという。リアラスターは過去5年で271件、ヘアージュは890件だった。トライブは消費者に事業者名を明示していないため相談件数はなかった。

リアラスターの契約者の平均年齢は53.1歳、平均契約額は1万9012円。ヘアージュの契約者の平均年齢は64.1歳、平均契約額は2万9187円だった。

東京都、美容ECなどの3社に特商法違反などで業務停止命令。理由は定期解約条件の記載不備、誇大広告など
リアラスターとヘアージュには過去5年間に1161件の消費者相談が寄せられていた(画像は都の公表資料から編集部がキャプチャ)
ヤマダデンキ、DHC、ハルメクHD、プラス、TSI、赤ちゃん本舗、ユナイテッドアローズ、花王、ロート製薬など登壇のECイベント11/19~20開催【読者の皆さんへのお知らせ】

ネットショップ担当者フォーラムでは11/19(火)~20日(水)に、オフライン開催のECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2024 秋」「EC物流フォーラム2024」を開催します。

ユナイテッドアローズのOMO戦略、TSIの買い物体験改善策、ディーエイチシー(DHC)会長CEOのセッション、ハルメクホールディングス社長による戦略など、あなたの会社経営やECビジネスに役立つセッションを多数用意しています。

DHC、コーセープロビジョン、ハルメクHD、ヤマダデンキ、プラスなど登壇全50超講演【11/19~20虎ノ門リアル開催】

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鳥栖 剛

キャンセル落ちユーザーを再購入に導く新たなマーケティング「キャンセルリカバリー」とは? TシャツECの後藤社長に聞く | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

1 year 1ヶ月 ago
Tシャツ専門のECサイトを運営するTshirt.stの後藤鉄兵代表取締役を、11/20に授賞式を開催する第2回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。売上アップや顧客の利便性アップにつながっている、Tshirt.stならではの取り組みを本人にインタビューした。<第2回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第3弾>

Tシャツ専門のECサイト「Tshirt.st」を運営しているTshirt.stの後藤鉄兵代表取締役は、購入をキャンセルしたユーザーに対する再購入を促す新たなマーケティング「キャンセルリカバリー」の実践、バックヤードのシステム化による改善など、EC業界でも先進的な取り組みに着手している。後藤氏に、独自の取り組みによる高い再購入率、業務効率化につながっている理由を聞いた。

株式会社Tshirt.st 代表取締役 後藤鉄兵氏
株式会社Tshirt.st 代表取締役 後藤鉄兵氏
1999年からEC事業に関わり2002年には自社製造アパレルブランドの販売をするなど、日本のEC黎明期から活動を続ける。Shopifyはまだ日本語版も日本法人も存在しない頃から独自のローカライズで運用。現在は年間140万枚30万件のECサイトを運用している。

キャンセル後の購入につながるマーケティングに強み。約7割が再購入するワケとは

年間約140万枚のTシャツを販売。「年中無休のキャンセル対応」「キャンセルリカバリー」に特徴

――Tshirt.stの特長を教えてほしい。

Tshirt.st 後藤氏(以下、後藤氏):「Tshirt.st」は、国内最大規模の業務用Tシャツ専門店24時間365日、キャンセル手続きを自動で受け付けて、ユーザーの買い物体験向上を図っている。キャンセル手続きは、スタッフがすべてを対応するのではなく、システムで自動処理できるようにしている。キャンセルしたユーザーには、クーポンを付けたメールを配信するなどして再購入を後押しするマーケティング「キャンセルリカバリー」を実践している。「Tshirt.st」では“キャンセル落ち”ユーザーの6~7割が再購入につながっている。

EC専業で年商規模は約13億円。売上高は毎年前年比5~10%増で推移している。年間販売枚数は約140万枚で、出荷件数は約30万個。ある程度のマーケットシェアを獲得していると認識している。

ECサイト「Tshirt.st」
ECサイト「Tshirt.st」

従前は一定の割合で発生するキャンセルが運営上の課題となっていたが、自動キャンセル対応を整えたことで、キャンセル処理をするスタッフのコストは導入前と比べて60%減、再注文も大幅にアップした。再注文は、システムの開発当初から6割ほどだった。現在は7割を超えており、成長し続けている

現在、スタッフの数はアルバイトを含めて12人。少数精鋭で運営できている。

――ECを運営する上で重要視していることは。

後藤氏:注文件数や出荷件数が多いお客さまから出荷前の段階でキャンセルの要請があった場合、出荷をきちんと止めること。キャンセルの要求を受け付けていない事業者が多いが、Tshirt.stではそれはしない。事業を円滑に運営していくためには、お客さまが「いらない」と言ったものは出荷前に止めることが大切だと考えている。

「Tshirt.st」で公開している自動キャンセルの流れ
「Tshirt.st」で公開している自動キャンセルの流れ

自分は代表取締役として企画、商品開発、SNSアカウント運用などEC事業全体の統括と、バックヤードの効率化に注力している。

――EC業界での自身の強みや、成果をあげた事柄、実績について教えてほしい。

後藤氏:たとえば、自分でカートをカスタマイズしてバックヤードの改善に努めている。EC事業には、2000年前後の国内黎明期からこれまで24年間携わってきたので、カートもさまざまなタイプを運用してきた。「Tshirt.st」で運用しているカートは、ECプラットフォームShopify(ショッピファイ)が提供する「Shopify Plus」。2018年からは上位プランで運用している。

2023年には、Shopifyが導入企業のなかから、一定の実績を満たした事業者を讃える「Shopify Milestones(マイルストーン)」の「シルバー」を受賞した。「Tshirt.st」の受注規模を実績として評価いただいた。実績は今後さらに伸ばしていきたい。

これまでに積み上げたEC事業運営のノウハウは、外部と共有・公開していきたいし、一部はサービス化していきたいと考えている。その一環として、別会社のリターンズで、「Tshirt.st」で実装している自動キャンセルの仕組みを、他のEC事業者も利用できるようにしたSaaS型サービスを外販している。

バックヤードの改善がもたらす3つのメリット

――EC事業における自身の実績やチャレンジについて教えてほしい。

後藤氏:取り組んでいるのはバックヤードの改善、特に仕入れや補充など在庫に関連する対応のシステム化だ。一般的に、人間でないと判断できない仕事だと思われがち。しかし、ECの長期的な事業運営には、判断をシステム化していくことが重要だと考えている。EC業界全体で見ても課題がある部分だと思う。「Tshirt.st」では仕入れの自動予測などすでに在庫処理のシステム化ができているので、他業態でも使えるようにシステム化し、支援できるサービスの提供を準備している。

――24時間365日のキャンセル受け付けや、在庫処理のシステム化といったバックヤードの改善がもたらすメリットとは。

後藤氏:大きく3つある。まず、現場担当者の負担軽減につながることだ。

2番目に、お客さまに喜んでもらえること。バックヤードは注文が発生した後、お客さまとののやり取りが続く業務。バックヤードの改善はCXの改善にもつながる。結果として、お客さまに喜んでもらえることにもつながっていく。

3番目に、一度注文をキャンセルした顧客のうち6~7割が再購入につながること(「Tshirt.st」の実績値)。24時間365日のキャンセル受け付けは、ECモール、他社のECサイトではまだほとんど実現できていないと思う。

バックヤードの改善を通じて見えてきたECの本質

――海外は日本に比べて返品率が高く、たとえば米国は小売業全体で18%程度、ECでは20%超となっており、キャンセルリカバリーを意識している事業者も多い。一方で、国内は小売業全体で見て3~5%程度、ECでは6~7%程度となっており、キャンセルリカバリーの実例は少ない。Tshirt.stが取り組もうと思った理由を教えてほしい。

後藤氏:「キャンセルリカバリー」をはじめ、バックヤードの改善に取り組むようになったのは、主力商品のTシャツが粗利の少ない商材だから。他社との差別化で、配送料を安くするか受注処理のオペレーションを省力化しないと利益が出にくいため、効率を上げる必要があった

システム化、効率化など各種取り組みによるコスト改善効果
システム化、効率化など各種取り組みによるコスト改善効果

こうした取り組みを進めるなかで、ECの本質だと思える部分が見えてきた。キャンセルしやすい購入体験は顧客ファーストと言えるし、バックヤードのシステム化は今後ますます必要とされる。これからのECがめざすべき領域ではないかと思う。

国内で取り組みを先行しているTshirt.stは、数少ない事例企業になれると思うので、他の事業者にもぜひ注目してほしい。

◇◇◇

この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた後藤氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。

「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式は11月20日、16:15から「虎ノ門ヒルズフォーラム」にて開催。聴講無料、事前登録制です。ふるってご参加ください!

詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください。

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画像をクリックで「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式の詳細ページにアクセスします
松原 沙甫

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