
EC業務管理ソフトを提供するサイオは1月14日、受注管理システム「速販」シリーズの全バージョンで「Qoo10モール」に対応した。「Qoo10モール」に出店しているショップの受注データを、他のECサイトとまとめて管理できるようになる。
2015年12月に「速販」「速販コネクト」で、2016年1月に「速販C2」でも「Qoo10」への対応が完了した。全ての「速販」シリーズで、「Qoo10」の受注と他モール・カートの受注をまとめて管理することができるようになった。
これにより、楽天市場、ヤフーショッピングなど13のモール・カートの受注データを一括で管理することができる。
「速販」「速販コネクト」での「Qoo10」オプションの利用料金は月額1000円(税抜)。「通販C2」は全オプションを含む利用料金体系で提供しているため、追加料金は発生しない
「速販」シリーズでは2015年9月に「アマゾンFBA注文取込」へ、12月に「アマゾン商品管理」へ対応。ユーザーのニーズを反映させながら開発を進めており、「Qoo10」への対応もユーザーのニーズが大きかったため対応した。今後も、ユーザーのニーズの高い機能から順に開発していきたいとしている。

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オリジナル記事:「速販」全シリーズでQoo10の受注処理対応を完了、サイオ
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ジャパネットたかたを一代で通販・EC業界を代表する企業に育てた高田明氏。ラジオショッピングから始まり、テレビショッピング、カタログ、そしてインターネット――さまざまな媒体で消費者にアプローチし、消費者はいつの間にか「ジャパネット」の世界へ引き込まれる。だが、昨今は物があふれ、消費者の好みは多様化、IT化によって情報は氾濫……そしてネットショップの台頭。消費を巡る激動の時代、モノが売れない時代でも、なぜジャパネットに消費者は引きつけられるのか。高田明氏が考えるモノ売りの神髄に迫る。写真は浦川祐史(うらかわスタジオ)
高田明氏が「ジャパネットたかた」を立ち上げたのは1986年。カメラ店ソニーショップとして事業を展開し、ラジオショッピングでカメラを販売したことが通販ビジネスへと事業展開するきっかけとなった。1990年のことだ。
1991年にラジオショッピングの全国ネットワークを完成し、1994年には深夜の30分番組で「ジャパネットたかたテレビショッピング」をスタート。テレビショッピング事業に乗り出した。
翌年には顧客会員向けに通販カタログを発行、新聞折り込みチラシも始めた。この頃にはすでに、現在の事業の核となるメディアミックスの基礎を構築。2000年にネット通販を始め、2010年12月期には売上高1759億円を計上した。
その後、地上デジタルテレビの反動で、売上高は2012年12月期に1170億円に激減。「(2013年12月期に)過去最高の経常利益を達成しなければ社長を退任する」と明言した翌年の2013年12月期は、売上高1425億円、経常利益は過去最高となる150億円を計上した。
そして2015年1月にジャパネットたかたの代表取締役を退任。社長の座を長男の髙田旭人氏に託した。高田明氏は今、2016年1月までのテレビショッピングへの出演という期間限定の条件で、ジャパネットたかたの事業に携わる(2016年1月15日のテレビ出演が最後になる予定)。

――ネット通販の台頭で、価格競争、商品のスピード配送など、通販を巡る環境が大きく変わりつつあります。
“価格”を求める人は価格比較サイトを見て安値の商品を探しますし、早さを追求する人は、早く届けてくれるサイトで買うのでしょう。お客さまが求める価値は変化していますし、これからますます変わっていくはずです。結局は、消費者の選択なのです。
ただ、その選択というものの中には、価格や配送スピード以外のものもあります。「誰が」「どのような想いで商品を作り」「どのようなアフターケアをしているのか」といったバックヤード関連の価値です。私が考えるところ、これからは、こうしたトータルの価値を求める消費者が増えてくると思います。
価格勝負、配送のスピード化……時代がこんな流れだからといって、右向け右で追随していく必要はないと思うんです。流行と同じように、変わるものと不偏なものがある。お客さまが何を重要視して購入するのか、結局はお客さまの選択なのですから。
価格やトレンドなどは変わりますが、変わっていけないものがあります。その1つが企業としての考え方です。たとえば、「高くて高品質なものを売るのか」「低価格でそれなりの品質のものを売るのか」――。消費者にどんな商品を販売するのか、それは企業としてのコンセプトや理念につながりますから。
――ご自身は「価値」というものをどのように考えていますか。
結論は、お客さまが商品の対価として支払った金額に見合った価値があるかどうかです。価値の考え方というのは、「支払った物に対する価値を消費者がどのように感じるか」ということに尽きる。だから、商品を選ぶ目線は「利益よりも、商品の支払い価値に見合った品質」という、お客さまから見た目線を事業者側が持つことが重要なのです。
テレビもラジオもネット通販も、伝えたつもりになってはいけません。私の経験則上、後から「伝わらなかったかな」と思ったときなど、伝えたつもりになったときは商品の価値や品質が伝わらず、まったく売れません。逆に「伝わったかな」と感触を得たときは、90%くらいの確率で売れますね。
伝えたつもりにならないためには何が重要か。それは、自分の価値を強制しないことです。特定業界に携わっていると、一般的にはおかしなことが、当たり前になっていく。でも、業界の常識は消費者の常識ではないんです。自分の価値をお客さまの価値と考えてはいけません。一方的に価値を伝えるだけでは、支持を得られないし、何も伝わらない。
――テレビショッピングもラジオショッピングも、ネットショップも、モノを買ってもらえるように「伝える」ことは難しい。
だからこそ、モノ売りには「伝える」ということがすごく大切なんです。だから私は、「伝えたつもりになるな、本当に伝わったか検証しなさい」と自分自身に言い聞かせています。そのためには立ち位置が重要です。
だから、「お客さまが私たちに何を求めているのか」と常に考えなければならない。「お客さま」を自分に置き換えれば、自身の目でさまざまなことを確かめなければなりませんよね。それができないと、伝えたつもりになってしまうのです。
近年はネット社会ということもあり、さまざまな情報が氾濫していますよね。どんどん世の中が変わってきていますが、この消費世界で変わらないこともある。それは、人は「生活を楽にしたい(させてあげたい)」「幸せになりたい(してあげたい)」という欲求です。
商品も消費行動もさまざまなことが変わっていく中で、企業として「不変なもの」を持ち続けている企業は、これまで100年も200年も続いてきたでしょうし、これからも生き残っていくのでしょう。そうした企業は、「お客さまが何を求めているのか」ということを考え、お客さまの立場でビジネスを展開している。
→ 後編は1月18日(月)に公開予定です。
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オリジナル記事:ジャパネットたかた創業者の高田明氏が語る「モノ売りが大切にすべきこと」(前編) | 『ECトップランナー8社が語るネット通販の未来 + 関連サービス250まとめ』ダイジェスト
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イオンが「AEON.com(イオンドットコム)」を開設しました。イオングループのECサイトを集めたポータルサイトです。セブン&アイ・ホールディングスの「omni7(オムニセブン)」をどう追撃するのか、注目が集まります。

楽天ID決済の提供を拡大、楽天がショッピングカートなどとの連携を強化

倒産するネット通販企業が増加傾向/オウンドメディアの効果測定

ネット広告規制は見送られた消契法改正案だけど…定期販売などのECは規制されるかも
2016年にネット通販事業者が注目する施策は「オムニチャネル」「越境EC」など

2016年の3大モールの動きと中小EC事業者が打つべき施策 など14記事【ネッ担まとめ】

働きながらECの知識を学ぶ「ストアディレクター養成プログラム」を開始、Eストアー
※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。
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オリジナル記事:グループ29サイト横断通販サイト開設。イオンの「デジタルシフト」 | 週間人気記事ランキング
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ネットショップ総研は12月24日、エクセルベースの楽天ショップ運営ツール「ECセル」の提供を開始した。
日常の更新作業をすべてエクセルで制御できるツールで、HTMLがわからないため更新作業ができないという出店間もないEC事業者向け。頻繁に更新できるようにして、スタート後すぐに売り上げ拡大につなげられるようにする。初年度100社への導入を見込む。
「ECセル」は「シンプル」「簡単」「安く」をコンセプトに、ネットショップ総研が運営支援した1000件超のノウハウを詰め込んだ。運営作業の無駄を削ぎ落とし、見栄えに力を入れないことで低価格を実現した。
価格は初期導入費用2万円(税別)。更新するパーツの多さに合わせて月額6800円~1万2800円(税別)という利用料金。
日常の更新作業を行えるほか、商品説明文やHTMLメルマガ作成補助、日時指定アップなどの機能を搭載。このツールを使うことで、約70%の作業が圧縮できるとしている。
導入する際、どんなデザインのページにするかはカスタマイズすることが可能。最初のページ制作作業に関してはネットショップ総研が請け負い、「ECセル」で制御できるようにする。その後、導入ショップはローカルPCで「ECセル」を動かし、更新作業を行っていく。
まずは、楽天市場に対応。近日中にYahoo!ショッピングにも対応するとしている。
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オリジナル記事:エクセル作業で更新作業が行える「ECセル」の提供を開始、ネットショップ総研
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パンダアップデートがコア ランキング アルゴリズムに組み込まれた。コア ランキング アルゴリズムに組み込まれたことで、リアルタイムではないにせよパンダアップデートは完全に自動更新になったのか? そもそも“コア ランキング アルゴリズム (Core ranking algorithm)”とは一体何なのか? コア ランキング アルゴリズムに組み込まれていないアルゴリズムとはどのように異なるのか?
- コア ランキング アルゴリズムに組み込まれたパンダアップデートは完全に自動更新になったのか? そもそもコア ランキング アルゴリズムとは? -
Posted on: 海外SEO情報ブログ - SuzukiKenichi.COM by Kenichi Suzuki
イオンリンクはネット販売事業を強化している。昨年12月に、グループで通販事業を行うイオンダイレクトを吸収、ネット販売のポータルサイト「AEON.com」を開設した。「チャネルが多いほどオムニチャネルによってお客様は便利になる」と語るジェンク・グロル社長に、イオングループが目指すネット販売やカタログ通販、オムニチャネルの方向性について聞いた。
――小売業界でオムニチャネル化が進んでいる。どのように考えているか。
「オムニチャネルはお客様が欲しい商品を、最適なチャネルや条件で購入できることだと考えている。つながっているチャネルが多ければ多いほどお客様は便利になる。イオンは総合スーパーやスーパーマーケット、専門店など多様なチャネルを持ち、アイテム数が多い。このため、これらをつなぐことはとても複雑で時間がかかる。だが、衣食住すべてをカバーできた時に、お客様の買い物は大変便利になると思う。有店舗小売がオムニチャネルを実現できれば調達力と開発力、安全性で、成長スピードが速いIT企業に対して優位になると考えている。そのためには、まずはネット販売を成立させることが先決だ」
――イオングループのネット販売の状況は。
「昨年は人員を強化し、ネット販売の基盤やフロント、バックオフィスなどコア部分の内製化を進めた。ネット販売で勝つには、ベンダー依存型の体制から脱却し、自社でスピーディに低リスクで開発する必要があると考えたためだ。昨年12月にはショッピング玄関サイト『AEON.com』を開設した」
――「AEON.com」とは。
「グループのネット販売のポータルサイトと位置付けるものだ。グループの商品を集約し、お客様は商品を横断的に閲覧できるようになった。商品だけでなく、サービスも探しやすくなれば、イオングループそのものがお客様の近くに集約されることになる。今後は、支払いを一本化することや、商品の受け取り方法を選べるようにすることなどを段階的に進めたいと考えている」
――イオングループのメリットは。
「プラットフォームを共通化しているので、お客様がどういった買い方をして、どのような商品が売れるのかを把握できるようになった。すべてのカテゴリーで、お客様の消費行動を解析して、カテゴリーごとに強化していくことになる。データが貯まってお客様のことを分かれば、いろいろなサービスが開発できるようになる」
――「AEON.com」の顧客数は。
「『イオンスクエア』の顧客1400万人からスタートする。店舗の年間ビジター数は何十億人規模なので、それを活かせばもっと増やせる」
――集客策は。
「SEOや、『イオンスクエア』経由の集客などさまざまだ。検索ワードによって購買行動が違うため、キーワード分析は重視しているものの1つ。様々なキーワードから『AEON.com』に辿りつけるようにし、滞在時間などの解析につなげる」
――イオングループには玄関サイト「イオンスクエア」がある。分けた理由は。
「『イオンスクエア』はキャンペーンサイトとして、ネットと店舗の連動を行っている。ただ、『イオンスクエア』を利用するお客様の情報と購買データが紐付いていなかった。キャンペーンから購買への引き上げが難しいなどの課題があった。
今回、『AEON.com』と『イオンスクエア』の基盤を裏側で連携させ、購買データとキャンペーンデータを紐付けた。セグメントしたお客様に最適な商品やサービス、情報をピンポイントで配信する。例えば、お客様が反応するキャンペーンが分かれば、その人にだけ配信するといったパーソナライズ化を進める」
――昨年12月にイオンダイレクトを吸収した。狙いは。
「イオンダイレクトの持つ通販の商品開発力や調達力、カタログビジネスのノウハウと、イオンリンクのITのノウハウを合わせて、デジタルカンパニーの中核を目指していく。さらに、ノンストアビジネスを集約することによって、商品力とコンテンツ力をもっと強化できる」
――カタログは継続するのか。
「カタログは続ける。イオンダイレクトは、グループの戦略の1つである『シニアシフト』を担っていた。これまで、シンプルなカタログの発行や部数をテストして最適な量を検証してきた。今後も食品やおせちなど、カテゴリー別のカタログを発行し、ターゲットに最適な情報を届けていく。将来的には、お客様に合わせてカスタムメイドすることが理想だ。デジタルを活用すれば、コストをかけずに実現できると考えている」
「通販新聞」掲載のオリジナル版はこちら:
ジェンク・グロル社長に聞く イオンリンクの次の一手は?(2016/01/14)
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オリジナル記事:イオンがオムニチャネルに力を入れる理由 | 通販新聞ダイジェスト
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ドロップシッピングサービス「もしもドロップシッピング」を運営するもしもは1月12日、「もしもドロップシッピング」で構築したECサイトの決済方法として、「Amazonログイン&ペイメント」の提供を始めた。
「Amazonログイン&ペイメント」は総合オンラインストア「Amazon.co.jp」のアカウントでログインと決済ができる決済サービス。
「もしもドロップシッピング」を利用する会員は現在43万人。「もしもドロップシッピング」で構築したECサイトの約53%がスマートフォンからの購入という。
もしもによると、「Amazonアカウントを保有する消費者が来店した際に入力の手間を減らすことで、購入率を高めることを期待できる」としている。

もしもは、「Amazonログイン&ペイメント」の継続的な利用と消費者への安定的な利便性提供のため、会員向けに「Amazonログイン&ペイメント」に関するガイドラインを新たに設定。もしもが許可する表記・パーツであれば「Amazonログイン&ペイメント」対応の表記が利用できる。
なお、「Amazonログイン&ペイメント」を巡っては2016年1月、ECサイト構築サービスなどを提供するNHN テコラスが「Amazonログイン&ペイメント」の実装を始めている(詳しくはこちら)。
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オリジナル記事:「もしもドロップシッピング」が「Amazonログイン&ペイメント」を搭載
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この10年ほどは、マーケティングが時代の変化に直面して、その対処に追われ、またさまざまな混乱を生んできたように思います。
ようやく、私たちが直面している本質的な課題が何なのかの共通認識が生まれはじめてきているのではないでしょうか。

さて、現代のマーケティングが直面している大きな課題は、ライバルとどう差別化するかから、製品やサービスの成熟やコモディティ化の脅威から抜けだすのかに移ってきました。
残念なことに、日本では、かつては世界を席巻した「技術や品質」へのこだわりから、さらに一歩踏み出すことに成功していません。しかし、今は「技術や品質」だけでは売れない時代です。
いかに「新しい価値」の実現へ方向転換させるか。また、その「新しい価値」を消費者にどのように体感してもらい、共感・共有してもらうのかに焦点が移ってきています。
そして、かつての「製品の時代」に確立したマーケティング・ミックスの時代からは比較にならないほど、専門的で複雑化してきたマーケティングをどのように統合するのか。これまでのマーケティングとは異なるマネジメントが求められてきているのです。

そこで必然的に注目されてくるのが、ビジョンやミッションなどのシナリオを描き、マーケティングの全体と細部にまで一貫性をつくりながら、「新しい価値」の創造と体感の場を組み立てていく「プロデューサー」。オーケストラでいえば「指揮者」の役割をこなす人材です。
コトラーの言葉を借りれば、「マーケティング1・0」は時代製品の品質や機能を売ることにありました。それから、消費者の嗜好にあわせたベネフィットを発掘し、提供する「マーケティング2・0」の時代へと移り、現在は、新しい意味を創造し、消費者と価値を共創していく「マーケティング3・0」の時代への進化が求められています。まさにその流れが急速度にやってきています。

マーケティングの中核となる「What to sell(なにを売るのか)」のWhatが、「モノの価値」から「モノが存在する意味や価値」にシフトしました。
また、「How to sell(いかに売るのか)」のHowも、「マーケティング1・0」や「マーケティング2・0」の時代とは比較にならないほど複雑になってきました。
そんな変化に対応して、新しいステージに立てるかどうか。現代は、その競争の時代に入ってきたとすら言えるのでしょう。
それを象徴するのがスマートフォンにおける競争でした。従来の競争をめぐる常識では考えられない象徴的な出来事がスマートフォンの市場で起こったのです。
アップルのスティーブ・ジョブズはたびたび、市場のシェアは眼中になく、完璧な製品をユーザーに提供することを目指していると言っていました。一方で、アンドロイドOSを搭載したサムスンなどのライバルは、販売数量や市場シェアを追求してきました。
そして、多くの人が、スマートフォン市場で、アンドロイドがOSの80%を超えるシェアを獲得したときに、アップルのiOSの敗北、なかんずく、首位の座についたサムスンの勝利、つまりiPhoneの敗北に見えたのです。
しかし、実際に起こった新しい現実は、シェアで言えば17%程度のiPhoneが、スマートフォン市場の全メーカーが得る利益の9割以上を占めているということです。
アップルは「体験」を売り、APPストアやiTunesなどのエコシステムにうまく消費者を囲い込んで、アップル・ブランドとの絆を築いてきました。それに対し、ライバル企業は、規模の経済効果を求め、「機能」と「価格」で激しく競い合って売るステージから抜け出せなかった。それが、この結果です。

スマートフォン市場が見せてくれているのは、品質や機能の競争だけでなく、異なるビジネス・モデル間の競争。そして、「マーケティング3・0」のステージに立つマーケティングが実現できるかどうかを競い合う時代に入ってきているということではないでしょうか。
インターネットがメディアとしてパワーを持ちはじめ、SNSやモバイルの進化がそれを加速してきました。
インターネットが広告メディアとしても2014年に一兆円を超え、日本の総広告費の17%を占め、29.8%を占めるテレビに次ぐポジションとなりました。
それよりも今後を占う上で重要なのは、メディアとの接触時間で、「パソコン」「タブレット」「携帯・スマホ」の合計時間が伸びてきましたが、2014年に東京地区では161.3時間となり、「テレビ」の156.9時間を上回ったことです。
それらの利用がすべてインターネットではないとしても、それらに投入される広告費と、ユーザーの接触時間にまだギャップがあり、まだまだネットの効果を追求していく余地があることを物語っています。つまり、ネット利用の高度化が、現在よりも加速する可能性を十分に感じさせます。
インターネットはメディアの勢力地図に変化を起しただけではありません。広告を見て、検索で確かめ、ほかの商品と比較して購入を決める。このように、購買行動の動線を変えてきたこと。さらに、ユーザーの体験がインターネットで共有されることで、商品価値をも左右するようになってきています。

直接はコントロールが出来ない消費者が、マーケティングのなかで重要なポジションを占めるようになた以上、商品やサービスの魅力や価値は、売り手からの一方通行だけでは成り立たちません。
否が応でも、商品やサービスの価値を消費者とともに創造していく時代なのです。
インターネットは売り手と消費者をつなぎ、消費者との絆を深めるための「場」として、その意味は大きくなってきます。
ネットでコンテンツのリッチ化、「場」の臨場感を高める流れが当然起こってきます。その鍵をにぎるのが動画であり、体験の共有ができる「場」のオープン化でしょう。
ネットの特性を生かそうとしたさまざまな試みがなされてきました。アクセス獲得を狙った手法に振り回されたり、さまざまな混乱もありましたが、ようやく本質的な課題に焦点が集まり始めていると感じます。
こういったメガ・トレンドのなかで、マーケティングの世界で求められるもの。
それは、消費者の心と共鳴できるパワーをもったビジョンや理念、また世界観を生み出し、それを体感できるユーザー体験の舞台を、商品やコミュニケーションを通じて組み立てる能力だと感じます。
とくに、優れたマーケティングは、優れたビジョンやミッションのシナリオを持つことから生まれます。

そのことは、赤字化したユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再建したドラマが物語っています。入場者増の快進撃が続き、2015年10月の入場者数は175万人。開業以来の記録を達成したばかりか、東京ディズニーランドの同月の入園者数160万人を上回る快挙でした。
その快進撃を実現したリーダーは、プロクター&ギャンブルから転職し、USJの執行役員マーケティング本部長となった森岡毅氏。
そのドラマは著書『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』でリアルに伝わってきます。森岡氏がどのようなUSJを実現するのかでビジョンの転換がすべてのスタートだったのです。それをご本人が語っておられます。
・・・私は社内にはびこる最大の敵「間違ったこだわり」に、まず宣戦布告することにしたのです。それはハリウッド映画のテーマパークとして始まったユニバーサル・スタジオ・ジャパンのブランドを、長期的に生存可能なように再定義すること。
つまり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというブランドを、「映画の専門店」という妄想から、「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることでした。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
森岡毅著・角川書店より引用
ビジョンやミッションのシナリオを描き、そこに焦点をあて、現場の技術やアイデアを引きだすプロデューサーの姿を感じます。
それはまさにスティーブ・ジョブズが行ってきたマネジメントであり、優れた起業家が行ってきたマネジメントに共通するところです。
断片的な手法が先行するのではなく、複雑化し、高度化してきたマーケティング要素を有機的に統合する。そして、「新しい価値」を創造することにむかってマーケティングが変わっていく。それが大きな時代の潮流になってくるものと思います。
(文=大西宏)
もう一度目を向けるべき!ブランディング動画の2つの「当たり前」
YouTube、Facebook、Instagramの各SNSで効果を出す動画広告のクリエイティブとは
加熱する動画ストリーミングアプリ市場、”Blab”が主役に?

バレンタインデーはチョコではなくリポビタンDはいかがですか――。
大正製薬が主力商品「リポビタンD」のバレンタイン限定版「リポビタンD バレンタイン限定ボトル」を通販サイト「大正製薬ダイレクト」で1月14日から販売を始めた。期間限定で2月5日まで。
「リポビタンD バレンタイン限定ボトル」は2015年、通販サイト「大正製薬ダイレクト」限定で発売。2016年はコンビニエンスストアでも展開する。
「リポビタンD バレンタイン限定ボトル」はラベルにバレンタインの“ワクワクドキドキ感”を表現した赤いハートをデザイン。「幅広い世代の方の目を惹く、色鮮やかなパッケージデザイン」にしたという。

大正製薬によると、「『リポビタンD バレンタイン限定ボトル』が、いつもとは違うバレンタインを演出する」としている。
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オリジナル記事:チョコの代わりリポビタンDはいかが―。大正製薬がバレンタイン限定商品をネット通販
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家電購入は、実店舗で選んだ商品をネットで買う「ショールーミング」が進んでいる――。公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が実施した調査から、63.3%の消費者がリアル店舗で実物を見てネット通販で購入した経験があることがわかった。20~40代の経験率は7割を超えている。
JADMAでは量販店における消費行動を次のように分析している。
リアル店舗と通販サイトの連携により、量販店の通販サイトの活用は今後さらに広まっていくことが予想される。

ショールーミング経験者のうち、リアル店舗で実物を見てその店の通販サイトで購入した経験がある人は60.1%。
通販サイトで商品を比較し、事前に価格や評価などの情報収集をしてからリアル店舗に行った経験がある人は72.0%。

ネットで価格を比較した後、店舗で価格交渉をしたことがあると答えた人は43.4%だった。30~40代では5割を超える経験率。

通販サイトを活用しながら店頭交渉を行うことで、最安値で購入するといった購買行動が浸透してきている。
ちなみに、ヨドバシカメラは2015年、店頭での撮影行為を解禁し、価格比較やSNS投稿などの利用を促進する取り組みを始めた(参考記事はこちら)。「ショールーミング」を歓迎する体制を進めているのだ。一方の他店では、価格調査対策として「基本的に店内の撮影は禁止」としているケースが多い。
JADMAはこうした傾向について次のように説明している。
購入検討のあらゆる段階でネット・リアル問わずに情報収集を行い、最適な購入チャネルを選択、併用することが消費者の間で一般化してきています。こうした消費者のニーズに応えるために、事業者はリアル店舗とネット通販を融合させるオムニチャネル化の取り組みを、今後益々積極的に進めていくと考えられます。
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オリジナル記事:ヨドバシが歓迎する「ショールーミング」…家電購入時に経験した人は6割を超える
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