ネットショップ担当者フォーラム

アニメ・ホビーの駿河屋が「eBay」へ出店。欧米向けアニメ・ホビー、ゲーム、アイドルグッズなどを展開

10ヶ月 3 週間 ago

アニメ・ホビー、ゲーム、アイドルグッズなどのECサイト「駿河屋」を運営するエーツーは、越境ECモール「eBay」への出店を開始する。

BEENOSグループで越境ECおよびジャパニーズコンテンツの海外進出をサポートするBeeCruisの支援を受け、「eBay」へ出店する。「駿河屋」の持つ商品データはeBayストアとAPIで自動連携。また、海外顧客からの問い合わせ対応や海外配送は、BEENOSグループが担う。

こうしたBEENOSグループの支援を受けることで、エーツーは少ない手間とリソースで「eBay」での販売を始める。

「駿河屋」の膨大な商品数と、BEENOSグループの越境ECノウハウを掛け合わせることで、世界中の顧客へ日本のカルチャーを広く紹介していく。「eBay」は190か国に展開し1億3200万人のユーザーを擁する世界最大級の越境ECモール。北米での利用率は73%、欧州は16%と、アジア(8%)よりも欧米で多く利用されている。

ECサイト「駿河屋.JP」の開設は1998年。月間訪問者数2756万人、2億2000万PV(2024年8月現在)と多くのユーザーが利用する。海外需要の高まりに合わせ、2019年には海外向けECサイト「駿河屋.COM」の運営を開始。2024年7月には、台湾に「駿河屋台湾ECショップ」、同12月には「駿河屋台湾POP UP ショップ」をオープンし、海外進出を進めている。

松原 沙甫

つまらないし派手じゃない?! それでもコツコツと+顧客に寄り添う「プチ改善」で実現するECでの「接客」とは【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

10ヶ月 3 週間 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2024年12月14日~2025年1月17日のニュース

上司から明確な理由もなく「そろそろサイトをリニューアルしようか」と言われている、迷えるEC運用担当者の皆さんこんにちは。今回は「プチ改善」をキーワードにお話ししていきます。「リニューアル VS プチ改善」という話になりそうですが、そういうわけではありません。感情面は一旦置いておいて、顧客ファーストの観点から「何故プチ改善が良いのか」を散りばめながらご紹介します。

お客さまのことを考えて「プチ改善」をコツコツと

ネットショップ運営者に伝えたい!「プチ改善がすごい」という話 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/250114-puchikaizen/

プチ改善は、ひとつひとつの施策効果は小さく、かつ即効性もないかもしれません。しかし、長い目で見ると、着実にお客さんのイメージアップの効果が得られるようになり「良いお店」と思ってもらいやすくなる点は、押さえておきましょう。

重要だと思う点は「効果は小さく」「即効性がない」という部分。ただし「ちりも積もれば山となる」というように、お客さまにとって何が大事で何が気になっているのか、この「何が」を日々しっかりと考えて小さい改善を繰り返していくことが、ECとしての接客ではないでしょうか。

また、この「何が」を理解するためにはCSの力も欠かせません。「Googleアナリティクス」などのデータを見ても想定はできますが、データと顧客の声をしっかり把握した上で、どうしたらよりお客さまにとって良い店と言えるのか、お客さまに「良いお店」と思ってもらえるのかをしっかり考えていくことが重要なポイントだと思っています。

プチ改善は、その名のとおり小さな取り組みですので、大掛かりな予算や時間といったものは基本的には必要としません。重要なメイン業務の合間に取り組めるほか、失敗した場合も影響が小さいため、リスクも低く、気軽に始めることができます。

リニューアルほどのインパクトは「プチ改善」にはありませんが、リニューアルのような大きな変化はUIが変わってしまうため、お客さまにとって使い勝手が悪いものになるかもしれません。しかし、売り上げが落ちた時に提案される言葉が大体「リニューアル」という呪文です。

それよりも、売り上げが伸びている時に「どうしたらもっと使い勝手が良くなるのか」「どうしたら顧客満足が向上するのか」などをしっかり考えていくことが重要だと思います。そういうことをチーム全体で日々考えることで「このほうが使いやすいよね」「こういう情報をもっと知りたいんじゃないか」などに気づき、小さな「プチ改善」を繰り返す。そうすることで、数年かけてリニューアルしたかのような姿になる、かつ激的なUIも変化がないため、お客さまにとってストレスのない方法ではないでしょうか。

なので運営スタッフみんなに自発的に考えてもらえると、フットワーク軽く進むようになります。スタッフ側としても自己効力感が高まりますし、より楽しんで仕事にも向き合ってもらえるようになる「すごい施策」といえるのではないでしょうか。

お客さまも十人十色です。会社の偉い人が出した答えだからと言って正解なわけではありませんし、トップダウンだからといって間違えないわけではありません。お客さまも十人十色なら、運営スタッフの皆さんも十人十色。各々の目で見て考えた「プチ改善」を持ちよって、「施策」を考えることは重要です。

もちろん、物事によってはトップダウンでないと動かないことも多いです。しかしまったく動かない施策でも、「プチ改善」を繰り返すことでまるで3年かけてリニューアルしたかのような姿に変えることもできると思います。それでいてチームの結束も強くなるなら?!

ちなみに「プチ改善」にもハイリターンのようなものはあります。ただし、SEOも売り上げもそうですが、特需のようなものがない限りいきなり上がることはありません(そんなテクニックがあれば、私も教えてほしいです)。そしてその特需は自分たちで作れないことが多いです。「SNSで今すぐバズらせたい!」と思っていてもバズらせられないように、人の気持ちはそう簡単にコントロールできるわけではありません。

ただ、お客さまのことを考えて、ゆっくりでも良いのでコツコツ改善していくと、ゆっくりと変わっていくと思います。ECで「接客」と言うと難しいですが、お客さまのことを考えて改善していくことで点と点が結びつき、いずれそれが「接客」になるのではないでしょうか。

要チェック記事

2024年にサービス終了・終了予告されたEC関連10サービスまとめ - うねり続けるEC業界の光と陰 | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/99885

トレンドの移り変わりや、技術の革新が早いITの世界。ECの世界もどんどん変化していきます。新しいサービスの登場や思わぬ黒船の来航、各社の思惑があるかも。さて、2025年はどんな変化をするのか。

はじめまして─約20年のEC運営から見えた“長く続く”店づくりとは─ | note | イシシ@ECマネージャー
https://note.com/akari_angel/n/neec8edc7ed9f

ECのビジネスが始まって25年以上の月日が経ったので、過去過ぎる事例は今使えませんが、概念や考えてきたことは重要だと思っています。今後の記事に期待したいですね。

Amazonから“まさかの箱”で荷物が到着 珍しすぎる光景に「剥き出しで届いたのかと」「これ欲しさで買い物する」の声 | ねとらぼ
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2501/07/news066.html

遊び心が入ったこういうサプライズはなんだか楽しそう! 流石に「ドラゴンボール」とのコラボBOXは無理でも、こういったサプライズは個店でもやろうと思ったらできますよね。ECでワクワクを。

アスクルグループの改正貨物自動車運送事業法で義務化の「実運送体制管理簿」への対応方法とは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/13351

運送会社の現状。やっぱり知らないことも多いですね。ECを支えている物流の動きを詳しく知る必要はないかもしれませんが、EC事業者としてある程度把握しておくことは重要ですよね。

楽天市場の店舗運営はAIの活用で20%効率化を目指す 進化を続ける「RMS AI アシスタント β版」の効果とは | ECのミカタ
https://ecnomikata.com/original_news/45637/

本格化していく「楽天市場」内のAI。2025年の展望記事でも書きましたが、モールもAI化が進んでいくでしょう。それをどう使うのか、その前にしっかりと理解していくことが重要ですね。2025年1月に行われる「楽天カンファレンス」で何が飛び出てくるのでしょうか。

ECサイトリニューアル成功のポイント|売上40%増の成功事例から手順・費用まで解説 | aiship
https://www.aiship.jp/ec-column/ec_renewal

リニューアルの失敗と成功、これまでに何度かピックアップしていますし、今後もこの話題はピックアップしていこうと思います。カートシステムの記事ですが、他との共通点も考えつつぜひ読んでみてください。

【「ECモール」2025年の展望】「au PAY マーケット」八津川博史氏『「ローソン」「Ponta」とのシナジー加速』 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/13350

個人的に気になる記事。10年ほど前から「コンビニ・携帯・EC・決済」と言っていましたが、全部そろったモールが遂に出てきました。どのようなシナジーでどう攻めるのか、個人的にちょっとワクワク。

今週の唸った・刺さった・二度見した

幸せを得るには、不幸を受け止める必要がある。不幸は幸福の母なのだ。 | 成田 修造(X)
https://x.com/shuzonarita/status/1875524775055094193

個人的には「幸せ」にフィーチャーしたいわけではありませんが、最近見た動画でも似たようなことを言っていて(多分、カラーバス効果だと思いますが)、「結局すべてが表裏一体で、「表(良いこと)」しか存在しないことはないんだろうな」とふと考えさせられました。

Xのフィードに流れてきた成田さんの言葉でしたが、皆さんはどう思いますか? 仕事もしかり、結構なんでも似たような感じではないでしょうか? 個人的には、朝からバタバタで疲労困憊の状態になりながら仕事を終えて、自分が運営している「オナジアナノムジナ」というバーで、北海道登別のブルワリーさんの「金鬼」というビールを流し込む時が最高に気持ちいい。まぁ「幸せと不幸せをどう定義するのか」ということはありますが。

今日は日常のなかでふと見つけたツイートからの引用でした。こういうのも時々はね(笑)

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

中林慎太郎

2025年のリテールメディア市場の見通し+10のトレンド+市場成長させる3つの主因

10ヶ月 3 週間 ago

Criteoは2025年のリテールメディア市場の見通し、10のトレンド、市場を成長させる主な3つの要因を発表した。リテールメディア市場は今後、主要なマーケティングチャネルとしてさらに存在感が増し、2028年まで2ケタの成長率を維持。市場成長にはAIの進歩などが影響すると予想している。

市場規模は2025年に1795億ドルの見込み

Criteoの発表は、Coresight Researchと共同で制作したレポート「リテールメディアを形成する10のトレンド」による。

レポートによると、世界のリテールメディア市場は2025年までに前年比15.4%増の1795億ドルに達すると予想。2028年まで2ケタの成長率を維持すると見込んでいる。広告市場におけるリテールメディアのシェアは、2024年の20.6%から2025年には23.2%に増加することが見込まれ、主要なマーケティングチャネルとしての存在感が増すと予想している。

売上アップにつながる強力なツールに成長

2025年のリテールメディアにおける10のトレンドは次の通り。

  • AIの役割の拡大
    AIベースのデータ分析と顧客セグメンテーションによって、消費者に合わせた広告を配信する小売業者の能力が最大限に高まり、広告の効率を大幅に向上させることができる。AIは広告の自動化などでますます高度な役割を果たすことが期待されている
  • 「プログラマティック広告」の購入が増加
    プログラムにより自動で広告枠を入札し、 ターゲットに適した広告を表示する「プログラマティック広告」は、リテールメディアネットワークの運用効率を向上させる。店舗内のデジタルサイネージなど、オフサイトのリテールメディアの拡大やさまざまな広告フォーマットが台頭し、「プログラマティック広告」購入の重要性が高まる
  • 広告フォーマットの多様化
    リテールメディアネットワークを提供する事業者は、スポンサード広告、オンサイトディスプレイのほかにもさまざまな広告フォーマットを導入。これにより、ブランドと消費者が新たにつながる機会が増える
  • 戦略的パートナーシップとオフサイトの成長
    リテールメディアネットワークを利用する事業者は、提供元の事業者のファースト・パーティデータと連携し、広告を通じて新たな消費者にリーチしている。これにより、オンサイトとオフサイトの両方のリテールメディアで、より広範な広告エコシステムの構築が可能になる
  • 「テスト・学習」段階にあるインストア(実店舗内)リテールメディア
    小売事業者はインストアリテールメディア戦略を再評価して改善し、継続的にテストすることが奨励されている。現在は、インストアマーケティングとリテールメディアの明確な区別することに課題があり、パフォーマンスを測定するために必要な指標も不足している
  • フルファネル広告ツールとしてのリテールメディアの役割を強化
    消費者の一部の行動だけでなく、全体の行動を考慮したマーケティング施策をめざすフルファネルマーケティングのブランドを実現するためには、オフサイト広告を拡大することが期待されている
  • ファースト・パーティデータの強化
    リテールメディアネットワークを提供する事業者は、AI駆動型のプラットフォームを通じてファースト・パーティデータを強化している。これにより、より洗練されたターゲティングとパーソナライズされた広告展開が可能になり、広告パフォーマンスの最大化に貢献する
  • 信頼と透明性の重要性
    リテールメディアの成功には、信頼と透明性が欠かせない。広告パフォーマンスの指標は、広告主と小売事業者の間の信頼関係の構築に役立つよう、明確かつわかりやすく提供される必要がある
  • パフォーマンス測定の標準化
    あらゆる関係者が広告キャンペーンの効果を明確に理解できるように、共通の指標と基準を確立することが重要になる。リテールメディアの開発において、パフォーマンス測定の標準化は課題となっている
  • 新たなリテールメディアエコシステムの出現
    各社の技術提携に基づく新たなリテールメディアネットワークの台頭は、リテールメディア市場全体に革新をもたらしている。既存の広告市場の競争環境を再形成する可能性がある

Cookie廃止の影響、AIの進歩、広告効果測定の進歩が要因に

2025年のリテールメディア市場が急成長する機会を後押しする主な要因は「ファースト・パーティデータ」「AI技術の進歩」「クローズドループ・アトリビューション(測定)」の3つと見込んでいる。

  • ファースト・パーティデータ
    サードパーティCookieが段階的に廃止されるにつれて、ファースト・パーティデータに基づく広告モデルの重要性が高まり、リテールメディアネットワークの重要性が高まる。
  • AI技術の進歩
    AIと機械学習は、膨大な量のデータを分析することで広告戦略の最適化に役立つことが期待される。広告の自動化、オーディエンスのセグメンテーション、パーソナライズされたターゲティングが可能となり、広告キャンペーンの効果を最大化できる
  • クローズドループ・アトリビューション
    リテールメディアネットワーク内の「クローズドループ・アトリビューション」により、広告主はキャンペーンが売り上げに与える影響を定量化でき、単純なクリック数だけにとどまらず、広告のROIをより明確に評価できる増分などの高度な指標が得られる

ブランドが今後リテールメディアで成功するには、予測分析と機械学習の進歩が不可欠です。これらの進歩により、各ブランドは消費者の行動を予測し、データに基づいた意思決定をリアルタイムでできるようになるでしょう(Criteo日本代表取締役グレース・フロム氏)

レポート作成にあたっての調査概要

  • 調査期間:2023年8月16日-29日
  • 調査対象:米国に拠点を置く100社のCPG(Consumer Packed Goods:消費財)や FMCG(Fast-Moving Consumer Goods:動きの速い消費財)のブランドメーカー
※レポート内に記載のデータは2024年12月5日時点
松原 沙甫

ターミナルのファッションBtoB-ECプラットフォーム「TERMINAL」の流通総額が1000億円を突破

10ヶ月 3 週間 ago

ターミナルが開発・運営をするファッション業界向けBtoB-ECプラットフォーム「TERMINAL」の2024年の年間流通額が1000億円を突破した。サービス開始から10年間が経過しており、現在の累計流通総額は5364億円に成長している。

ターミナルが2014年から提供している「TERMINAL」の年間流通額の推移
ターミナルが2014年から提供している「TERMINAL」の年間流通額の推移

ターミナルを設立した2014年に「TERMINAL」の提供を開始。2024年に設立10周年を迎え、累計導入ブランド数は1000ブランドを突破した。

「TERMINAL」を導入しているブランドの一部
「TERMINAL」を導入しているブランドの一部

利用ブランド数の拡大とともに、「TERMINAL」内での受発注金額も拡大。2024年の年間流通額は前年比34%増の1149億円となった。

ターミナルは今後、「TERMINAL」に蓄積されたデータを活用した、融資サービス、売掛保証サービスなどのファイナンスサービスの提供を予定。これらのサービスのリリースをめざし、調査、企画検討を開始している。

松原 沙甫

【2025年の通販・EC予測】市場は「拡大する」が5割、消費動向は「下向き」「横ばい」と約9割が回答した事業者アンケートを解説 | 通販新聞ダイジェスト

10ヶ月 3 週間 ago
2025年の通販市場展望と現状の消費動向について聞いたところ、企業からは「市場は拡大余地がある」「消費者は物価高による節約志向」という企業の声が多く見られた

通販新聞社は昨年12月に、アンケート調査を行った。2025年の通販市場の予想と、現状の消費動向について聞いた。通販市場の予測について、「拡大する」は50%で、前年同期の調査から2ポイントアップした。通販の利便性が認知され、利用が定着するとみるためだ。一方、消費動向は「下向き」と「横ばい」が合わせて87%となった。物価高の影響が続き、今後の消費動向は冷え込むとの見方が強い。

調査企業の半数が市場拡大見込む

アンケート調査は昨年12月に、通販・通教実施企業約600社を対象に実施した。2025年の通販市場の予測について当てはまるものを選んでもらいその理由を聞いた。

2025年の通販市場について「拡大する」との回答は50%だった。前年同期の調査から2ポイント増え、約半数で市場が拡大するとみている。

今後の通販市場の予測(上)、現状の消費動向(下)
今後の通販市場の予測(上)、現状の消費動向(下)

物価高も消費意欲は拡大。利用拡大を予想

主なコメントは「EC通販の利用が定着化しているため」(アスクル)、「EC通販の市場は引き続き拡大すると予想」(ベルーナ)、「物価高による家計負担増の影響で、通販を利用して少しでも安価な商品を探すといった消費行動になるのでは」(アプロス)、「やや拡大していくと考える。通販に代わるようなチャネルができない限り拡大していくと予測する」(ジャパンリミテッド)、「歯科関連商品の通販市場は年々徐々に拡大しており、今後も拡大余地があるため」(歯愛メディカル)など通販の定着や市場の成長可能性に期待する回答があった。

また、「物価高とは言え、各種調査によると消費者の購買意欲は拡大しているため。通販市場においても、拡大率が鈍化することはあっても伸長は続くと思われる」(田中貴金属リテイリング)、「個人消費が緩やかな増加傾向で推移しているため。また店頭回帰によりEC通販の伸び率は鈍化しているものの、コロナ禍で獲得したユーザーが定着しており、特に大手ECモールはコロナ禍を契機に生鮮品、日用品、消耗品等を購入する消費者が増え利便性も認知されており、緩やかな成長が続くと考えられる」(北の達人コーポレーション)など、消費意欲の高まりが市場拡大の追い風になるとの予想もあった。

デジタル化の加速がカギと見る企業も

「企業によって伸ばす企業と低迷する企業がより顕著になると予想。OMO施策やDX関連、インフラ投資の差によって顕著になると予想」(アダストリア)、「ECモールを中心に引き続き通販市場は伸長。広告はネット中心、OMO・DXなど各社デジタルの取り組みを強化していくトレンドはより一層強まることが想定され、通販市場はより一層活性化され伸長するとみている」(ファンケル)など、デジタル化の加速が市場の活性化につながると指摘する回答もあった。

「機能性のルール変更による影響が出る中でも、紅麹報道の影響の緩和への期待および美容健康への意識は引き続き堅調に伸びるものと推察」(ディーエイチシー)など、美容健康ニーズの高まりを期待する声もあった。

「横ばい」の市場予測は45%。2024年問題、サプリの信頼性などに課題

2025年の通販市場について「横ばい」と回答したのは45%だった。前年同期の調査から2ポイント増えた

主なコメントは「コロナによる巣ごもり需要が終焉し、物価高騰が個人消費を抑制させている。通販事業各社はそれを見越してコスパや希少性、アイデア性をうたった独自の商品の開発やタイムセール、積極的な広告宣伝などでしのぎを削っている。業界全体の顧客に対するアプローチの質があがっているので、通販の市場自体が縮小するとは考えていない」(全日空商事)、「通販利用の増加傾向は継続すると予想されるが、商品のカテゴリーによっては成長が鈍化する」(白鳩)、「競争の激化により優劣がつきはじめると思われ楽観視はできないが市場の急激な縮小は起きないと考えている」(ニッピコラーゲン化粧品)、「物流の2024年問題、機能性表示やサプリメントへの信頼性、物価の上昇などと課題がある。また、消費者の消費動向にあまり変化が見受けられないと考えるため」(八幡物産)など、競争激化や市場環境の変化を指摘する声もみられた。

「縮小する」との予想は0%だった。その他には「予測できない」とする声もあった。

現在の消費動向は「上向き」13%、「下がる」34%、「横ばい」53%

アンケート調査では現状の消費動向について当てはまるものを選んでもらい、その理由を聞いた。「上向いている」と回答したのは13%だった。前年同期の調査から8ポイント減少した。

上向きの理由は「会員売上の安定推移」「投資への関心が購入に影響」など

主なコメントを見ていく。「アンドエスティが好調。新規会員が増加。会員売上比率が約7割と安定的に推移。新たにグループに加わったブランドでも伸長」(アダストリア)、「市場全体でみれば物価高の影響による節約志向の強まりはあるが、当社顧客層の購買意欲に翳(かげ)りは見られない。将来の不安からくる貯蓄や投資への関心が、貴金属製品の購入につながる傾向もあり、その点も含め消費動向は上昇が継続するとみている」(田中貴金属リテイリング)など、足元の状況を踏まえたコメントがみられた。

下がっている理由は物価高+節約志向の高まり

「下がっている」と回答したのは34%となり、前年同期の調査から9ポイント増加した。

主なコメントを見ていく。「なかなか給料も上がらない中で、今後も物価高が続くと見込まれるため。家計を守ろうとする心理が強く働くのでは」(アプロス)、「物価上昇により消費マインドが低迷」(ベルーナ)、「必要なものは購入されていると思われるが、節約志向が高まっていると考えられるため」(八幡物産)など、物価高による節約志向の高まりが影響するとみる。

消費動向、半数の企業が「横ばい」と感じる理由は?

支援拡充も物価上昇に追い付かない

「横ばい」と回答したのは53%。前年同期の調査に続いて半数を超えた。

主なコメントは「外国人観光客が増加傾向にあるが、物価高による消費者の節約意識は高い」(アスクル)、「所得増加の一方、物価上昇影響で堅調」(ユナイテッドアローズ)、「世の中全般的に値上げの波が続いており、消費動向が上向いているとは感じにくいものの、大きく落ち込む動向も特段みられないため」(歯愛メディカル)などがあった。

また、「賃上げ、定額減税、子育て世帯への支援拡充などはありつつも、これまでの物価値上がり、電気料金値上がりなどで実質賃金増とは言い難いこと、さらに今後の値上がりへの懸念などから大枠での国内消費動向は横ばいとみている。全体では横ばいとみているが、その内訳である商品・サービスの内容やお客さま層などによって上向き、横ばい、下向きは異なると考える」(ファンケル)、「所得拡大の政策などはみられるが、消費者が物価の上昇には追い付いていないため」(白鳩)、「雇用や所得環境の改善により消費活動の活発化が期待されている一方、特に個人消費については物価上昇や円安の影響が大きいほか節約志向も強く、減少まではいかないものの急激な増加は難しいと考えるため」(北の達人コーポレーション)との声もあった。

購入回数減少も、客単価は上昇傾向の企業も

このほかに、「リアルの市場が戻ってきている分、通販市場は苦しくなると感じているが、一方で通販は消費者の購買行動の一つとして根付いているため」(ニッピコラーゲン化粧品)、「購入する回数は減っているが、客単価は上がっている傾向がある」(バロックジャパンリミテッド)、「旅行やレジャーへの消費が高まっており、それらに関連した便利グッズの需要の高まりがみられる。買い物の目的や動機がBeforeコロナ→Withコロナ→Afterコロナで変化しているが消費ポテンシャル自体はあがっているとも下がっているとも言えず、横ばいと考える」(全日空商事)とするコメントがあった。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

フューチャーショップ、越境EC支援サービス「ZenLink」「ZenPromo」と連携

10ヶ月 3 週間 ago

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは、ZenGroupが提供する越境EC支援サービスとの連携を始めた。

フューチャーショップの「futureshop」「futureshop omni-channel」と、ZenGroupの「ZenLink(ゼンリンク)」「ZenPromo(ゼンプロモ)」が連携。「futureshop」「futureshop omni-channel」の利用企業は、既存ECサイトで越境EC対応から海外プロモーションなどの機能を活用できるようになる。

「ZenLink」は、既存ECサイトに専用のHTMLタグを挿入すると、海外からのサイト訪問者に海外専用バナーを表示、商品選定後に専用バナーで注文へ進むボタンを押すと決済できるようになる。初期費用・月額費用は0円。

海外から購入された商品は、国内倉庫に送るだけでZenGroupが海外配送を代行。さらに19言語対応のカスタマーサポートがあり、各国に合わせた150種類の決済システムにも対応しているため、従来のECの工数を変更することなく海外販売をスタートできる。

この「ZenLink」について、「futureshop」「futureshop omni-channel」利用者向け特別プラン「ZenLink for futureshop」を用意した。

「ZenPromo」は、月間150万ビューの購入代行サービス「ZenMarket」への商品掲載、「ZenMarket」会員250万人に向けたメルマガ配信など購買意欲の高い既存会員へリーチするなど、プロモーションを支援。34か国から集結した19か国語のネイティブマーケターが、EC事業者の商品に適した市場をリサーチし、価格設定からクリエイティブ監修まで細かいアドバイスも提供する。

松原 沙甫

通販・EC会社など関係者の1100票から選ばれた優れたCRM実施企業は「タマチャンショップ」【JAPAN EC 大賞 2024】

10ヶ月 3 週間 ago

一般社団法人日本通販CRM協会が主催したる「JAPAN EC 大賞 2024」で、自然食品や健康食品などを扱うECサイト「タマチャンショップ」を運営する九南サービスが「総合大賞」を受賞した。

「JAPAN EC 大賞 2024」は、深い知見を持つEC関係者がCRM(顧客との関係値構築)の観点で注目するEC企業や通販企業に投票するアワード。全国のEC事業関係者、EC業界の発展に貢献している人物19人からなる総投票数約1100票から受賞企業を決定した。

5つの「部門賞」を用意しており、「総合大賞」のほか、CRMにおいて重要な要素である「顧客対応」「商品・サービス」「PR」「ブランド」「人材活躍」の部門で企業を選出した。受賞企業は次の通り。

「総合大賞」

  • 「タマチャンショップ」を運営する九南サービス
九南サービスのCRM施策が高い評価を受けた
九南サービスのCRM施策が高い評価を受けた

「顧客対応部門賞」

  • ベビー服ブランドのECサイト「Haruulala(ハルウララ)」を運営するSunday Morning Factory。「Haruulala」はオーガニックコットンの生地と、オリジナルのテキスタイルが特徴
「顧客対応部門賞」は「Haruulala」の運営企業
「顧客対応部門賞」は「Haruulala」の運営企業

「商品・サービス部門賞」

  • ミスト型のビタミンCサプリメントなどを取り扱うECサイト「IN MIST(インミスト)」を運営するゼロワンブースター。
「商品・サービス部門賞」はミスト型サプリメントを展開する企業
「商品・サービス部門賞」はミスト型サプリメントを展開する企業

「PR部門賞」

  • 宅配冷凍総菜のECサイト「三ツ星ファーム」を運営するイングリウッド
「三ツ星ファーム」のイングリウッドが「PR部門賞」を受賞
「三ツ星ファーム」のイングリウッドが「PR部門賞」を受賞

「ブランド部門賞」

  • 「タマチャンショップ」を運営する九南サービス(「総合大賞」と「ブランド部門賞」を両方とも受賞)
九南サービスは「総合大賞」と「ブランド部門賞」をダブル受賞
九南サービスは「総合大賞」と「ブランド部門賞」をダブル受賞
  • 衣料品や雑貨など、工芸品のECサイト「中川政七商店」を運営する中川政七商店
中川政七商店も「ブランド部門賞」を受賞
中川政七商店も「ブランド部門賞」を受賞

「人材活躍部門賞」

  • ローヤルゼリー、青汁、男性向けサプリメントなどの健康食品を展開するECサイト「すこやか工房」を運営するすこやか工房
「人材活躍部門賞」はすこやか工房が受賞した
「人材活躍部門賞」はすこやか工房が受賞した
◇◇◇

「JAPAN EC 大賞 2024」の表彰式・懇親会は2025年1月29日、16:00から東京都内で実施する。場所は神田明神文化交流会EDOCCO STUDIO 地下1階イベントホール。受賞企業、日本通販CRM協会の会員企業など約70人が参集する。

松原 沙甫

クルーズがファッションECモール事業から撤退。「SHOPLIST」を「nugu」運営の韓国企業MEDIQUITOUSに売却

10ヶ月 3 週間 ago

クルーズは1月17日、連結子会社でファッションECモール「SHOPLIST」を運営するCROOZ SHOPLISTの全株式を、韓国発のファッションECサイト「nugu(ヌグ)」を運営するMEDIQUITOUSに売却すると発表した。

クルーズは1月17日、連結子会社でファッションECモール「SHOPLIST」を運営するCROOZ SHOPLISTの全株式を、韓国発のファッションECサイト「nugu(ヌグ)」を運営するMEDIQUITOUSに売却すると発表
売却を決めた「SHOPLIST」(画像は「SHOPLIST」から編集部がキャプチャ)

クルーズグループは従前、ファッションECモール「SHOPLIST」を中核とする「SHOPLIST事業」をメイン事業に据えていた。現在はIT人材業界におけるエンジニア人材の不足という市場課題解決を目的にしたシステムエンジニアリング事業(SES事業)を中心に、人材×IT領域を対象にする「ITアウトソーシング事業」をメインに事業展開している。

グループの再成長を見据えた選択と集中の観点で、「SHOPLIST事業」から今後も成長が見込まれる「ITアウトソーシング事業」に経営資源を集中させることがグループ全体の成長に寄与すると判断、CROOZ SHOPLISTの株式売却を決定した。株式譲渡日は2025年2月28日付を予定している。

なお、同日に実施したCROOZ SHOPLISTの取締役会では、SHOPLISTのクルーズに対する債権の一部を債権放棄することを決議した。急成長している自社アパレルショップ「Ada.(エイダ)」の「Ada.事業」は、クルーズグループで事業を継続していく。

株式を売却するCROOZ SHOPLISTの2024年3月期の業績は、売上高が前期比4.5%減の68億5000万円、営業利益は1億9600万円(前の期は9800万円の損失)、経常利益は2億1100万円(同1億3300万円の損失)、当期純利益は1億900万円(同1億1300万円の損失)だった。

「SHOPLIST」の取扱高は2021年3月期の約282億円をピークに減少が続き、2024年3月期は約172億円に落ち込んでいた。

「SHOPLIST」の取扱高、年間購入者数、取り扱い商品、年間出荷件数
「SHOPLIST」の各種数値(画像はCROOZ SHOPLISTのHPからキャプチャ)

クルーズは株式譲渡および債権放棄に伴い、2025年3月期第4四半期累計期間(2025年1-3月期)の個別財務諸表において約7億500万円を関係会社株式売却益、約3億1100万円を債務免除益として特別利益に計上。連結財務諸表においては約2億4300万円(概算)を、関係会社株式売却損として特別損失に計上する見込み。

株式売却先のMEDIQUITOUSは、2020年10月にファッションECサイト「nugu」を日本でオープン。2023年の年間取引総額は50億円規模。東京・新宿と大阪に実店舗も開設している。「nugu」の特長はインフルエンサーが選んだアイテムの販売で、「nugu」内にインフルエンサーがショップを出店し、自身がセレクトした商品を自身がPR。購入された商品は「nugu」が顧客に発送し、インフルエンサーは報酬を受け取るビジネスモデルを採用している。

MEDIQUITOUSは売上高1000億円を目標に掲げており、CROOZ SHOPLISTの買収で規模拡大を加速する。

売上1000億円めざす人気の韓国発ファッションEC「nugu」とは? Z世代の女性から人気を集めるビジネスモデルをCOOに聞いてみた

mediquitousが運営するアパレルEC「nugu」は20代女性から人気を集める。成長をけん引するのは、SNS感覚で顧客が流入しファンになるインフルエンサーマーケティング。その仕組みとは?
小林 香織[執筆]2024/7/10 8:00 1 11 3
松原 沙甫

Instagram、LINE、YouTube……顧客を自社ECサイトに導く集客施策+成功事例をfutureshopが解説

10ヶ月 3 週間 ago
ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の安原氏が、ECにおける集客施策の最新トレンドを解説
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Googleなど検索エンジンからのアクセスやリスティング広告、アフィリエイトやオウンドメディア、Facebook、Instagram、X、LINEといったSNS、YouTubeやTikTokといった動画媒体など、顧客がECサイトにアクセスするまでの経路は多様化している。一方、事業者にとっては経路の多さを集客のチャンスと捉えることもできるが、集客施策は複雑化。各媒体の特性を知り、自社商品との相性を考慮した上で施策を打つのは容易ではない。

SaaS型ECプラットフォーム「futureshop」を展開するフューチャーショップの安原貴之取締役(セールス・マーケティング部 統括マネージャー)が、SNS時代におけるEC集客施策の最新動向を解説した。

フューチャーショップの安原貴之取締役

多様化する顧客接点で、注意すべきは「一貫性」と「双方向性」

ECを巡る情勢として安原氏がまず掲げたのが、顧客接点の多様化だ。自社のECサイトに顧客を集める導線は、検索エンジンからの自然流入やリスティング広告(検索連動型広告)が主軸だが、そこへアフィリエイト、オウンドメディア(ブログ)、そしてSNSも加わってきている。SNSはFacebookやX(旧Twitter)などテキスト・画像主体のサービスもあれば、TikTokのように動画中心のものもある。

顧客はどれか1つ、あるいは複数のチャネルを通じてECサイトを訪れ、購買へと至る。安原氏は、すべての顧客接点において留意すべきポイントが2つあると指摘する。1つ目は一貫性だ。すべての接点で、一貫したブランドメッセージと顧客体験を提供することが重要だという。

SNSの担当者、ECサイトの担当者、ブランドサイトの担当者、実店舗がある場合は店舗の担当者といったように、担当者がみな別々にSNSを運用しているケースは多いが、ブランドとしての一貫性が保たれていないと、消費者は違和感を覚える。(安原氏)

フューチャーショップの安原貴之取締役(セールス・マーケティング部統括マネージャー)
フューチャーショップの安原貴之取締役(セールス・マーケティング部統括マネージャー)

2つ目が双方向性である。SNSは企業から発信するだけではなく、消費者側からのコメントなど、コミュニケーションの機能を備えている。消費者のSNS上の発信は、まさに「お客さまの声」。しっかり耳を傾けて改善に生かす必要がある。

すべての顧客接点で一貫性と双方向性に留意し、企業・ブランドのファンになってもらうことをめざすべき

こうした顧客接点の多様化を踏まえた上で、自社ECサイトそのものの構築法や運営スタイルもまた変化している。フューチャーショップには、「ブランドサイトとECサイトを一緒にしたい」という相談が多く寄せられるようになった。これまでは、ブランドサイト(コーポレートサイト)、ECサイトを分けて運用する企業が多かったが、これを統合する動きが広がっている。

集客施策は各施策の特性を理解して選択する

このような環境下の集客施策はどうあるべきか。一般的には、SEO施策、ショッピング広告、リスティング広告、アフィリエイト、SNS運用、SNS広告の6種類があるとされるが、次の図のようにコストや効果の出やすさに違いがある。そのため、その特性と自社ECのタイプを考慮して選択すべきだと安原氏は説明する。

集客施策はそれぞれ特性が異なる

SNSで欠かせないショッピング連携

SNS運用やSNS広告については、SNSごとの特徴も考慮すべきだ。Instagramであれば、写真を中心としていることから、ビジュアルでの共感を生みやすく、またショッピング機能やライブ配信も活用できる。またLINEならば会員IDと別途連携させ、クーポンオファーなどへ発展できる。安原氏によると現在、Instagramの運用・広告にチャレンジする企業が増加しているという。

Instagramでは文中にURLがあってもタップによる画面遷移が発生しないため、外部のECサイトへ直接誘導することはできない。従って、気になった商品があった場合、ユーザーはInstagramアプリをいったん離れて検索し直さなければならない。

この状況に対して「futureshop」では、Instagramの「ショッピング機能」に標準で対応。商品カタログ情報を事前に登録しておけば、画像内にタグを付与でき、このタグからECサイトへと誘導できるようになる。

商品データはInstagramの「ショッピング機能」に1日2回、自動で連携される

このほか、FacebookとInstagramで利用できる「コンバージョンAPI機能」も有用だという。自社ECサイトでのコンバージョン(最終的な購入の発生)を広告プラットフォーム側に通知すると、受信側はこれを学習。AIによる分析などを経て、より効果の期待できる顧客へと広告を出し分けるといった運用ができるのだ。

Cookie規制によって広告の効果測定が困難になりつつある現在の環境では、広告の出稿精度を高める意味でも、コンバージョンAPIが正しく機能する設定や運用が求められている。なお、同様の枠組みはGoogleも実施している。多くのECプラットフォームには、SNS連携機能が実装ないし有料オプションとして用意されており、これらを積極的に活用すべきだと安原氏はアドバイスする。

「futureshop」ではInstagramのショッピング機能への対応やLINEのアカウント連携などが可能

YouTube動画からの商品ページへの導線作りが実現

そして今、急激に増加しているのが、YouTubeにおけるショッピング連携だ。「futureshop」でも2024年夏に対応。これまではYouTube動画で紹介した商品に案内したくても、「概要欄を見てください」「検索して商品を探してください」と案内するしかなかったが、コンテンツに表示されるショッピングボタンや動画の下、YouTubeチャンネルの「ストア」タブなどに、動画商品サムネイルを入れて商品ページに飛ばす導線が作れるようになった

実際には、チャンネル登録者数や再生回数などの基準を満たしている場合にしか有効化できない機能ではあるが、関連商品のリンクを貼れるという意味では利用意義が大きい。

YouTubeの視聴画面からECサイトの商品ページへ誘導することも可能になった

アパレル以外にも広がるオムニチャネル

実店舗を運営している企業にとって、自社ECサイトと実店舗との連携は大きな課題だ。両販売チャネルの顧客リストを統合的に管理し、より機動的にマーケティングに活用したいと考える担当者は多いだろう。

こうしたニーズに応えるために開発したのが「futureshop omni-channel」だ。サービスとしての柱は、実店舗とECのポイント制度を共通化する機能だ。すでに130のブランド、2474の実店舗が活用しているという(2024年6月時点)。コロナ禍をきっかけに導入数が一気に増え、利用傾向にも変化があった。

もともとは店舗とECの両方を持つ、アパレル分野のお客さまによる利用がほとんどだった。しかしコロナ禍以降、食品、アウトドア、ホビーなどさまざまな分野の事業者にお使いいたただくようになった。(安原氏)

「futureshop」のオムニチャネル機能「futureshop omni-channel」は近年、アパレル系以外の食品・スイーツ系、ガーデニング、ギフト、ペットフードなどの商材にも広がりをみせている

たとえば、「司」「祢保希(ねぼけ)」の名称でレストランを11店舗展開している土佐料理 司では、店舗で飲食した客に対して独自アプリによるポイント制度を展開。割引キャンペーンなどでアプリのインストールを促進し、貯まったポイントはECサイトでも利用できる。アプリはインストールするだけで仮会員として扱われ、個人情報を登録せずにポイントは貯まる。ポイント利用時は登録が必須となり、同時にECサイトの登録も完了するようになっている。

土佐料理 司では、展開する11店舗でアプリ会員証を導入

成功のカギは、店舗/ECの垣根を越えたスタッフの連携

検索中心型集客からSNSとオムニチャネルありきの時代へとトレンドが移り変わるなかで、成功事例にはいくつかの共通点があるという。安原氏が示したのが、次の図だ。

オムニチャネルの成功事例の中心には会員基盤がある

オムニチャネルを考える上では、やはり実店舗とECで共通の会員基盤を作っていかなければならない。コロナ禍のように実店舗での接点がなくなって「ECに来てほしい」と伝えたくても、共通の会員基盤がないと手段がない。(安原氏)

オフライン・オンライン共通の会員基盤があれば、打ち手は広がる。独自のアプリがなくてもLINEを使う手段もあるし、商品情報やセールの情報、ブランドメッセージなどを顧客へ届けることができる。

その上で、「店舗担当とEC担当の連携こそが最も重要」と安原氏は説明。メッセージ配信担当者は多くの場合、EC関連部門に所属しているので、意識的に実店舗担当部門と協力しなければ、たとえ店舗訪問客にアプリのダウンロードやLINEの友だち登録を促したとしても、顧客に届く情報がEC寄りに偏ってしまう。実店舗の利用が中心の顧客には、それに合わせた情報を届けるべきで、そのためにはスタッフの連携が欠かせない。

日本にフィットしたライブコマースとは

安原氏が今後の注目事例としてあげたのがライブコマースだ。配信者と視聴者がコミュニケーションを取りながら、その場で購買してもらうという仕組みであり、特に中国圏でメジャーな手法だ。1回の配信で爆発的な売り上げを記録するKOL(Key Opinion Leader)の事例がたびたび報道されている。

しかし、中国と日本では商環境や商慣習が違う。日本におけるライブコマースは、ライブコマース単体の収益を考えるのではなく、企業とファンである消費者とのコミュニケーションの場として捉え、店舗での日々の接客に相当するような、親密なコミュニケーションをオンライン上で再現する感覚で実施するのが適しているのではないかと安原氏は語る。

なお、「futureshop」ではライブコマース機能「Live cottage」をすでに提供。配信動画から商品購入ページの導線も構築できる。

日本市場にフィットしたライブコマース像
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森田 秀一

フードロスECのクラダシが物流代行サービスに参入。物流業務を丸ごと請け負う「物流代行サービス」をスタート

10ヶ月 3 週間 ago

フードロスの削減などに取り組むクラダシは、物流業務を丸ごと請け負う「物流代行サービス」の提供を始める。専用のサービスサイトを1月16日にオープンした。

物流サービス事業への参入は、2027年6月期を最終年度とした中期経営計画で掲げている「サプライチェーンにおける機能拡張」の一環。主軸のEC事業の拡大に加えて、新規事業の探索を進めている。

顧客企業の物流戦略をトータルでサポートする物流代行サービスをクラダシがスタート
顧客企業の物流戦略をトータルでサポートする物流代行サービスをクラダシがスタート

クラダシが提供を始める物流代行サービスは、物流のアウトソーシングと物流に関するコンサルティングが中心。物流アウトソーシングでは、クラダシが運営する食品ECサイト「Kuradashi」で培った3温度帯対応、賞味期限の迫った食品管理などのノウハウを生かし、メーカーや卸業者に物流代行サービスを提供する。

物流代行サービスのサービスサイト(画像はサイトから編集部がキャプチャ)
物流代行サービスのサービスサイト(画像はサイトから編集部がキャプチャ)

物流代行サービスでは、全国150拠点を超える提携倉庫網(2024年12月末時点)とクラダシの物流ノウハウを活用し、メーカーや卸業者の物流課題解決と余剰在庫の解消(フードロス削減)をめざす。余剰在庫が発生した際には、クラダシが顧客企業に在庫の買い取りを提案。顧客企業の余剰在庫を解消することで在庫の適正化、保管費の低減を図る。これにより、顧客企業はフードロス削減の取り組みとしても利用できる。

専用サービスサイトでは、クラダシが提供するサービス内容の詳細の他、EC事業を始めたい事業者や物流についての情報を知りたい事業者に向けたさまざまな物流コラムを配信。物流課題に悩む事業者に向けて、物流戦略をトータルでサポートする。

クラダシは2024年7月から社内カンパニー制を導入し、物流事業を担うロジスティクスソリューションカンパニーを発足した。

松原 沙甫

生成AI活用、物流2024年問題、ノーコード決済――2024年の注目トピックス振り返り。2025年も「新しい技術の取捨選択+コツコツ改善」が大切 【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

10ヶ月 3 週間 ago
ネットショップ担当者が押さえておくべき2024年のトピック振り返り+2025年にやらなければいけないこと

お正月休みでなまった身体を一生懸命温めている皆さん、あけましておめでとうございます。お正月休みから約2週間が経ちました。本年も「はっ!」と気付きのあるネタを発信したいので、頑張ります。

2024年のトピックを振り返りつつ、2025年のECを予測する――ということで、まずは2024年の振り返りをして、その後に"中林・ノストラダムス・慎太郎"の大預言ばりに、2025年を予測していきたいと思います。

生成AI、物流問題、決済など、2024年を振り返る

毎年ですが、"ラットイヤー"なITの世界は日々劇的に進化していきます。想像よりも流れが早く、追いつけないですよね。ただ、やること・できることは限られているので、はやり廃りではなく、しっかり自分たちのビジネスや業務を見据えた上で「自分のお店に何が必要なのか」を取捨選択し、情報を得ることが重要です。

毎回同じことを言っていますが、基本的にやること・考えることは同じ。一発逆転ホームランなんてありません。勉強をしていない凡人が、東大なんて受かりません。

話題の「ChatGPT」こんなに使えたら本当にすごい! 目からウロコの使い方を解説|GPTs活用事例も | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2024/01/24/46177

生成AIで変わるコンテンツ制作効率化 Googleからの低評価を防ぎ、SEOで成果を出す方法 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2024/09/20/47719

2024年は「ChatGPT」などの生成AIを筆頭に、さまざまなAIの仕組みを業務に使い始めた年ではないでしょうか。「Gemini」で構成されたデータベース「Google NotebookLM」もあったり、「bolt」のようなシステム生成があったり。ただし、AIは業務遂行ツールという使い方ではなく、業務を補佐し時短ツールとして使っており、人間がまだ介入する必要もあります。

「Chat GPT」が本格的に世の中に出てきてから、GoogleはAIが生成したSEOコンテンツに対して「ポリシーに違反する」と言っています。あくまでも業務改善ツールの枠のなかでいかにAIを活用してあげるか、どうシステムを使いこなすか、上手に使うことが重要ですね。まぁSEOコンテンツの生成はまだまだウエットな部分がなく、温度感を感じられないので、AIでコンテンツを生成しても結果的に効果が……となりそうですしね。

何をしたいのか、目的を考えながらしっかりとAIと向き合いましょう!

ECサイトを作るほどではないけれど……テスト販売・カスタムなど柔軟な売り方をかなえる中小向け決済とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/15709

【ここがすごい】オンライン決済Stripeとは?初心者向けにわかりやすく解説 | Rabiloo
https://rabiloo.co.jp/blog/online-payment-stripe

個人的にはゆっくりと注目されてきたと思う「決済」。2024年末の記事でも書きましたが、ECもリアルのビジネスも、どんどん垣根がなくなってきたように思います。今後フィーチャーのされ方によっては、簡単に決済を実装できるシステムがより利用されるようになってくるのではないでしょうか? 実店舗へのバーコード決済の導入など、デジタル化がリアルの世界でもどんどん進んできていますが、その波と同じような流れかもしれません。

ECも進化しています。プラットフォームがなくてもECサイトが作れる、ブログでも簡単にカートが設置できる、そんな世界がもうすぐそばにきていますね。アイデアを駆使して自由なECの体験を作り出すことも可能な世界になっています。

楽天オプティミズム2024まとめ | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/240926-optimism2024/

楽天オプティミズム2024 ~「楽天市場」2024年下期戦略共有会~【参加レポート】 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/54470

2024年度下半期も後半にさしかかり、いろいろなサービスがリリースされているタイミングではないでしょうか。それによる弊害、よりお客さまにプラスになること、いろいろあると思いますし、さまざまなサービスがリリースされると思うので楽しみです。また1月末には「楽天カンファレンス」も行われるので、どのよう内容がリリースされたのかも確認できますね。

さて、「各サービスをしっかりと自分達のビジネス上の影響を考えて運用していますか?」という点から、この2記事をピックアップ。知らないうちに変わっている部分もあると思いますが、しっかりと確認しておくことが必要です。「楽天カンファレンス」に出席する・しないにかかわらず、システムのアップデートを再度見直してみましょう! 使っていない新機能があるかも?!

「Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス」終了のお知らせ | ヤマト運輸
https://business.kuronekoyamato.co.jp/news/20241120/index.html

ヤマト運輸、Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス終了を発表【2025年2月20日まで】 | ECのミカタ
https://ecnomikata.com/ecnews/45274/

"EC×物流問題"という点から見ると、このサービスの終了は非常にショッキングでした。楽天の「RSL」やAmazonの「FBA」のような形をめざしていたと思うのですが、残念でしかありません。

確かにECの物流はかなり煩雑化しており、「おもてなし」がサービス運用に負荷をかけているのも間違いないでしょうし、かなり難易度が高いと思っています。「大手だからできない」こともあるとは思うのですが、サービス過剰なのか、そもそも「おもてなし」は必要とされているのか。バックヤードを自社で運用するにしても委託するにしても、非常に重要な部分だと思っています。

事業規模が大きくなってくると、感情面も含めてロジカルにしっかりとサービスを見直して、システムにある程度組み込むことも重要だと思っています。これはCSの部分も同様です。

物流2024年問題、通販・EC企業の7割が「影響あり」。対策は運賃交渉、運送費の値上げ、配送会社の見直しなど | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/12875

「物流業界の2024年問題」 EC業界に与える影響を物流スペシャリストが解説! | ECのミカタ
https://ecnomikata.com/column/43202/

ECの世界ではもはや当たり前となった物流問題。しかし、あまり自分ごと化できていないEC事業者さんも多いのではないでしょうか? 物流費の値上げや遅延など、引き続き2025年も物流クライシスは継続すると思われます。ECモールなどの対応、そして自社サイトでも対応する必要が出てくると思われます。

現状、人海戦術の物流はどうしてもサービスを充実させるとコストが増加してしまいます。今後、コスト以外にも影響が出てくる恐れがある物流問題。2025年も何かしらの波がくる可能性がありますね。

2025年のECはどう変わる?! 2025年にやらないといけないこと。

つまらないかもしれませんが、2025年も相変わらず「未来で何が起こったとしても、基本的に新しいモノはECではあまり使えません」という回答です。はやりの情報に乗っかるのは良いですが、既に出ている技術をしっかりと理解した上で身に着けることが重要です。

そもそも「2025年の予測」という話題が出た際に、「魔法使いや占い師じゃないので、未来予測なんて……」とは思ったのですが、未来予測が当たろうが当たらなかろうが、ここでしっかりと書くことも重要かなと思いまして。

自分たちのビジネスに沿った、お客さまのニーズに合わせた今ある技術をしっかりと見据え、価格と相談しながらきちんとテクノロジーを使いこなしてください!」というのが答えになります。

「こんなところでそんな回答……」と思うかもしれませんが、基本的な部分は特に変わりません。カスタマー対応が重要なこと、マーケティングという統計学が中小企業ではあまり使えないこと、マーケティングとブランディングがごちゃ混ぜになっていること、エモーショナルを無視したマーケティング、数字だけの統計学――いつの時代も同じだと思っています。

AIの技術は会議やマーケティング、情報のまとめなどには役立ちそうですね。そして、何をどう使うのか、どの技術を取捨選択するのか。自分の行っているビジネスや興味・関心のあることも含めて色々調整すると、時間短縮にも使えると思います。

「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「amazon.co.jp」などモールの動きもいろいろありますね。AIの導入で今後変わっていくこともありますし、それによって組織の形も変わってくると思います。さらにモールの動きが変われば、本店(自社ECサイト)の運用の仕方も変わってきます。

パソコンだけだったものが、スマートフォンの普及により作業が2倍になっている今。「どうすればコスパが良いのか」も含めて、技術の革新と技術の介入と「それらを自分たちはどうするか」の取捨選択を行う。

「昔はこうだった」ではなく、「今はこういうニーズ」と考える。足し算ばかりではなく、引き算もしっかり行う。2025年も変わらず、熟考しながら日々の業務をコツコツと改善しつつ、新しい技術の情報を得ながら導入して進めつつ、しっかりと業務の基礎を固めて、取捨選択しながら日々の業務を邁進してもらえればと思います。

2025年も上手に技術と向き合ってECを運用しながら、3人のリレー記事を楽しく読んでもらえたらと思います。今年もよろしくお願いいたします。

毎回、編集者に「早く書け」と突っつかれている中林慎太郎でした。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

中林慎太郎

ファンケルとアテニアが「置き場所指定サービス」で日時指定。配送従事者の負担を軽減につなげる

10ヶ月 4 週間 ago

ファンケルと子会社のアテニアは2月12日から、商品配達時の「置き場所指定サービス(置き配)」で日時指定ができるようにする。「置き配」の利用促進で配送事業者の負担軽減につなげる。

「置き配」対象となるのは通販で購入した商品。対応事業者は日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便。「置き配」での日時指定を可能にすることで、「製品が外に置かれている時間を短くしたい」「日中の炎天下での置き配を避けたい」といった顧客ニーズに対応していく。

物流の人手不足が懸念されている「物流2024年問題」では、再配達による配送従事者の負担増大も課題の1つになっている。何も対策を講じなければ2030年度には34%の輸送力が不足する可能性があると言われており、ファンケルグループは業界に先駆けて1997年から「置き場所指定サービス(置き配)」を導入、配送従事者の負担軽減をめざしてきた。

「置き配」スタートについて、ファンケルでは次のようにコメントしている。

今後も通信販売事業者として荷主企業の責任を果たすべく、重要な社会インフラとなっている物流を持続させていくための取り組みとして、「置き場所指定サービス(置き配)」を推進し、物流課題解消のために積極的に取り組んでまいります。

松原 沙甫

体験価値をUP、LTVを高める会員特典とは? アクションのスコア化、毎月ステージUPなどファンケルの新メンバーズサービス

10ヶ月 4 週間 ago

ファンケルは登録者数260万人のメンバーズサービスを刷新、新たな特典サービスの提供を4月1日から開始する。

現状の購入金額に応じた割引ポイントの付与に加え、最上位ステージとして「ロイヤル」ステージを追加。ステージアップの機会を年1回から月1回に変更する。顧客のアクションをスコア化して集計するなど、LTV(顧客生涯価値)を高めるサービスへと進化させる。

ファンケルの新たなメンバーズサービス
新たなメンバーズサービス

購入金額によるポイント付与に加え、購入金額(税込)1円ごとに1スコアがたまる会員ステージの設計へと変更。現行の5ステージに加え、15万スコア以上の顧客を対象に最高ランクの「ロイヤル」ステージを新設する。「ロイヤル」ステージには、ポイント還元率を9%に設定する他、特別なセールや限定イベントに招待する特典を付ける。

商品購入金額に加え、顧客がアプリやメルマガ登録、口コミ投稿、容器回収などのアクションもスコアのステージ集計に加える。

現行のメンバーズサービスと同様に、ステージごとに異なるポイント還元率や特典を用意。新メンバーズサービスでは、ステージアップクーポン、特別なセールやイベントへの招待といった特典を新たに用意する。

ステージが上がる機会は現行の年1回から月1回に変更。ファンケルとの関係を深める狙いから変更することにした。

なお、前年度購入累計金額9999円以下のステージ「パール」を廃止、新メンバーズサービスでは「0~1万9999スコア」までを「ブロンズ」にした。最上位ステージについて、現行制度では前年度購入累計金額10万円以上が「ダイヤモンド」だったが、新メンバーズサービスでは15万スコア以上で「ロイヤル」となる。

ファンケルのメンバーズサービス
現行のメンバーズサービス(画像は編集部がファンケルのECサイトからキャプチャ)

新たな特典サービスの提供により、現行の購入金額に応じた割引ポイントを付与する「経済的価値を提供するサービス」から、顧客とのアクションやつながりを活性化し、顧客体験価値を高める「LTV(顧客生涯価値)向上をめざす」メンバーズサービスへと進化させていく。

松原 沙甫

ファーストリテイリングが最大で年収54%UPの新報酬制度に/ASKUL LOGISTの「実運送体制管理簿」への対応方法とは【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

10ヶ月 4 週間 ago
2025年1月10日~2025年1月16日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ファーストリテイリング、最大で年収54%UPの新報酬制度。「意欲と能力のある従業員にしっかり報いられるようにする」

    本部・営業の正社員の報酬を年収で最大11%引き上げる。個々の抜擢や要職への登用によっては最大54%アップする。

    2025/1/10
  2. アスクルグループの改正貨物自動車運送事業法で義務化の「実運送体制管理簿」への対応方法とは

    アスクルグループ傘下のASKUL LOGISTは、全国15か所の物流センターにおいて、2025年4月施行の改正法で作成が義務化される「実運送体制管理簿」に対応する。輸送管理業務の効率化にもつながるという、ASKUL LOGISTの対応方法とは?

    2025/1/10
  3. 「資生堂オンラインストア」が始めた新たな有料会員プログラム「Member's+」の内容は?

    買い物の際にさまざまな特典を利用できる資生堂の有料会員プログラム「Member's+(メンバーズ プラス)」は、年会費として1100円(税込)を徴収する。

    2025/1/10
  4. 2025年のECとSEOは「圧倒的なリアルとライブ感」がカギ! ありのまま発信で顧客との結びつきを強化する【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2024年のSEO振り返り+2025年の成長のポイント

    2025/1/15
     
  5. EC業界の2024年ニュースの振り返り+2025年に起きそうなこと&気を付けたいこと

    2024年に起きたEC業界のニュースを月ごとに振り返り。2025年の展望もお話しします

    2025/1/14
     
  6. ベルーナ、UI・UX改善でECサイトを「商品の魅力を伝える場」から「お客さまのニーズに応える場」へ

    ベルーナはECサイトに顧客体験アナリティクスプラットフォームを導入、UI/UXの改善を進めている。ECサイトを「商品の魅力を伝える場」から「お客さまのニーズに応える場」へと進化させる。

    2025/1/14
     
  7. 漢方薬メーカー大手のツムラが自社ECサイト「ツムラオンラインショップ」を開設、ECプラットフォームに「ecbeing」を採用

    ツムラは2024年に開設した「ツムラオンラインショップ」のサイト構築にあたり「ecbeing」を導入した。ECサイトでは商品の販売だけでなく、健康に役立つコンテンツの配信や、データ活用による顧客1人ひとりに合わせた提案を予定している

    2025/1/10
     
  8. SNSを活用して海外ユーザーに向けて発信することが大切――ジグザグが語る越境EC成功のポイント

    コロナ禍やインバウンド復活により越境ECを利用する海外ユーザーが増加している。EC事業者のなかでも注目度が高いが、成功につながるポイントは何だろうか? 「WorldShopping BIZ」を提供するジグザグに聞いた

    2025/1/14
     
  9. 不正ログイン被害は2社に1社が経験、不正注文被害額は年間25万-50万円の被害が最多【EC事業者実態調査】

    かっこの調査結果によると、二要素認証などを用いた不正ログイン対策を多くの事業者が実施している一方で、調査対象のうち約半数が不正ログインの被害にあっていることがわかった。被害額、被害内容など詳細を調査結果からまとめる

    2025/1/15
     
  10. カスタマーエクスペリエンスの低下で売上高585兆円を失う可能性。顧客と従業員に優れた体験を提供するための5つの方法とは

    カスタマーエクスペリエンスの低下は、企業の売上高に大きな影響を与える。調査結果とともに、カスタマーエクスペリエンスを改善するための方法を紹介する

    2025/1/15
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

ワールド、AIファッションプラットフォームのOpenFashionを完全子会社化

10ヶ月 4 週間 ago

ワールドは、持分法適用関連会社でAIファッションプラットフォームを提供するOpenFashion(オープンファッション)の全株式を取得し、2月28日付で完全子会社化すると発表した。

OpenFashionはファッションに特化した生成AI活用支援サービス「MaisonAI(メゾンエーアイ)」を提供するファッションテック企業。市場ニーズに応じた機動的なシステム開発力、AIなど先端技術のエンジニアを含むスタッフなどを有している。

OpenFashion株式の追加取得により、ワールドグループ傘下でECサイトの構築や運営支援などを行うファッション・コ・ラボとのシナジーを見込む。

「MaisonAI」のイメージ。AIを使ったさまざまなデザインの作成、AIエージェントの利用、AIを活用した商品紹介文章の作成などを可能としている(画像は「MaisonAI」サービスサイトから編集部がキャプチャ)
「MaisonAI」のイメージ。AIを使ったさまざまなデザインの作成、AIエージェントの利用、AIを活用した商品紹介文章の作成などを可能としている(画像は「MaisonAI」サービスサイトから編集部がキャプチャ)

ワールドは顧客のニーズに応じたデジタルサービスの提供だけにとどまらず、他のファッション企業や親和性ある異業種企業にも、OpenFashionのサービスをデジタルプラットフォームとして提供することも構想している。中長期ビジョンに掲げる「世界に唯一無二のファッション・エコシステム」の構築をめざす。

ワールドが中長期ビジョンに掲げている、持続的成長とともにファッションの多様性の実現に貢献する「世界に唯一無二のファッション・エコシステム」(画像はワールドのIR発表資料から編集部がキャプチャ)
ワールドが中長期ビジョンに掲げる「世界に唯一無二のファッション・エコシステム」(画像はワールドのIR発表資料から編集部がキャプチャ)
ワールドが掲げる中長期のロードマップ(画像はワールドのIR発表資料から編集部がキャプチャ)
ワールドが掲げる中長期のロードマップ(画像はワールドのIR発表資料から編集部がキャプチャ)

OpenFashionが提供する生成AI支援ツール「MaisonAI」は今後、新会社のAuthenticAI(オーセンティックエーアイ)に事業を分割する。AuthenticAIは、生成AI市場において自由度の高い経営、資金調達を図るためにワールドグループの連結対象外として設立する新会社。ファッション業界だけでなく、「MaisonAI」の成長を加速させる。

新たに設立したAuthenticAI(画像はAuthenticAIのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
新たに設立したAuthenticAI(画像はAuthenticAIのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

OpenFashion(旧社名オムニス)は2014年、デジタルベンチャーとして設立し、Webサイトを通じてユーズド(古着)衣料の買い取り・販売サービスを開始。サブスクリプション型ファッションレンタルサービスの提供も手がけるようになり、2018年3月にワールドの持分法適用関連会社となった。

その後、生成AI市場の急速な拡大を背景に「MaisonAI」を開発。2023年7月には社名をOpenFashionに変更している。

松原 沙甫

【食品EC調査】購入頻度は「1か月に1回」が最多、7割が「普段の食事用」、重視するのは「価格」が5割

10ヶ月 4 週間 ago

データ分析やEC関連ソフトウエアの開発・販売などを手がけるシナブルが実施した「食品ECサイトの利用実態調査」によると、食品をECで購入する頻度は「1か月に1回」が最も多かった。購入目的は「普段の食事用」に7割超が回答。購入する際に重視することは「価格」だった。

調査期間は2024年12月9日~11日で、調査人数は1065人。「ECサイトで月1回以上食品を購入する」と回答したモニターを対象としている。

ECサイトで食品を購入する頻度で最も多かったのは「1か月に1回」で35.9%。それに続くのが「1週間に1回」の17.6%、「2週間に1回」の15.9%となっている。

ECサイトで食品を購入する頻度
ECサイトで食品を購入する頻度

ECサイトで食品を購入する目的は、「普段の食事用」が74.9%で圧倒的な1位。「自分へのごほうび」が27.5%、「特別な食品のお取り寄せ」が25.9%で続いた。ECサイトで食品を購入する理由は「外出せずに購入できるから」が54.2%、「いつでも注文できるから」が46.0%、「自宅まで届けてくれるから」が44.5%だった。

ECサイトで食品を購入する目的(左)、購入する理由
ECサイトで食品を購入する目的(左)、購入する理由

ECサイトで食品を購入する際に重視することで最も高かったのが「価格」で56.1%。「送料」44.2%、「ポイントが付くかどうか」が29.5%で続いた。送料が無料かどうかについては、「とても重視する」が52.9%、「やや重視する」が37.8%。全体の約9割が送料無料であるかどうかを重視していることがわかった。

ECサイトで食品を購入する際に重視すること(左)、送料が無料かどうかをどれくらい重視するか
ECサイトで食品を購入する際に重視すること(左)、送料が無料かどうかをどれくらい重視するか

1回あたりのECサイトでの食品購入金額は、「3000~5000円未満」が最も多い35.8%、次いで「1000~3000円未満」(24.4%)、「5000~8000円未満」(19.6%)となっている。

ECサイトで食品を購入する際、どのくらいの配送日数なら購入するかを聞いたところ、「2日~3日」が34.9%、「4日~5日」が34.3%、「6日~7日」が19.0%で、「1日」は6.7%だった。

ECで食品を購入する際に不満に感じていることは、「送料が高い」が28.1%、「価格が高い」が23.0%、「商品の実際の大きさや量がわかりにくい」が20.9%、「商品の鮮度や品質が確認できない」が20.5%となっている。

ECサイトで食品を購入する際に重視すること(左)、送料が無料かどうかをどれくらい重視するか
どのくらいの配送日数なら購入するか(左)、購入する際に不満に感じていること

ECサイトで購入することが多い食品についてエリア別で聞いたところ、各エリアとも「米・雑穀」「総菜・レトルト・インスタント・冷凍食品」を購入している比率が高かった。ECサイトでこのような商品を購入する理由として、回答者は「重いものを配達してもらえる」「居住地では手に入れられないものを購入できる」などの利点をあげている。

【調査概要】

  • 調査期間:2024年12月9日~11日
  • 調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
  • 調査人数:1065人
  • 調査対象:調査回答時にECサイトで月1回以上食品を購入すると回答したモニター
  • 調査元:シナブル
  • モニター提供元:PRIZMAリサーチ
松原 沙甫

平和堂グループ、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定

10ヶ月 4 週間 ago

総合スーパーを展開する平和堂は1月14日、顧客や取引先から受ける嫌がらせや過度のクレームといったカスタマーハラスメントについて、「平和堂グループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定した。

カスタマーハラスメントについては、厚生労働省の「カスタマーハラスメント企業対策マニュアル」に基づき、「お客様からの要求・言動のうち、要求の内容に妥当性を欠くもの、または当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、平和堂グループの従業員の就業環境が害されるもの」と定義。

具体的には、顧客による電話や対面での長時間拘束、威嚇、脅迫行為、要求の過度な繰り返しや、常識の範囲を超えた電話や来店など、不当・過剰な要求、人格を否定する発言、差別的な発言、従業員のプライバシーを侵害する言動、つきまとい行為、暴力行為、店外拘束、店舗からの不退去、SNSやインターネット上での誹謗中傷やその行使をほのめかす言動などをあげている。

総合スーパーを展開する平和堂は1月14日、顧客や取引先から受ける嫌がらせや過度のクレームといったカスタマーハラスメントについて、「平和堂グループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定した
店頭ポスターのイメージ

カスタマーハラスメントに関する顧客への対応

  • カスタマーハラスメントに関するポスターなどを店内に掲示し、理解と協力を求めていく
  • カスタマーハラスメント発生の対応体制を構築し、組織で対応する
  • カスタマーハラスメントとグループ各社において判断した際は対応を打ち切り、以降の来店・来社を断る場合がある
  • さらに悪質と判断した場合は、警察、外部の専門家に連絡の上、適切に対処する

従業員への対応

  • カスタマーハラスメントに関する知識および対処方法の研修を実施
  • カスタマーハラスメントに関する相談窓口をグループ各社に設置
  • カスタマーハラスメントにより心身ケアが必要な従業員に対し、平和堂 健康サポートセンターがフォローする
  • カスタマーハラスメントへの対応について記載したポスターを掲示する

カスタマーハラスメントは、グループ内で該当する可能性の高い事例を確認しているという。顧客からの常識の範囲を超える意見や要望、従業員の人格を否定するような言動は、グループで働く従業員の心身の健康と安全を損ない、就業環境が害される一因となる恐れがあることを懸念。基本方針を策定することにした。

松原 沙甫

「無印良品」の良品計画が再生可能エネルギー発電設備投資、発電事業の本格検討を始めた理由とは

10ヶ月 4 週間 ago

「無印良品」を展開する良品計画は、自社の温室効果ガス排出量を2030年までに2021年比で50%削減することをめざし、再生可能エネルギー発電設備への投資および発電事業の本格検討を開始した。

屋根に太陽光発電設備を設置している「無印良品」の単独店は現在25店舗にまで拡大した。しかし、良品計画が直接電力供給契約を締結していないテナント店では、別途環境価値を生み出す取り組み、その他のCO2削減活動が必要となっている。

テナント店の電力使用に伴うCO2排出量は、出店や事業拡大によって増加。現状のまま無施策の場合、2030年時点でCO2排出量は約8.6万トンに増大すると推定している。そのうち目標達成のためには、これまでの取り組みに加え新たに4万トンのCO2削減施策が必要になるとする。

良品計画は、太陽光発電による追加性のある環境価値を創出、耕作放棄地などを活用した発電所の建設、営農型太陽光発電による雇用や生産面で地域社会への貢献をめざし、2026年春の事業開始に向け本格的に検討を開始した。

ちなみに、良品計画の目標達成に必要な約4万CO2削減のすべてを太陽光発電で賄う場合、203年までに必要な電源開発量は約60メガワットになると試算。第1弾として検討している発電事業は、事業開始から1年間で約12メガワット規模の発電設備の開発で、開発費用は約36億円になると見込む。

生み出した電力は日本卸電力取引所(JEPX)で売却し、良品計画は環境価値を取得する事業スキームを検討している。

良品計画は2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ社会の実現に向けて、2023年12月に国内における「自社グループの事業活動で消費する電力の再生可能エネルギー100%達成に向け、2023年までに店舗への再生可能エネルギー導入100%、自社の店舗設備での太陽光パネル設置100%」を掲げている。

松原 沙甫

平均年収10%アップ、新卒採用人数34%増。オンワードHDが取り組む働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」とは

10ヶ月 4 週間 ago

オンワードホールディングス(HD)が推進している働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」。業務効率化とワーク・ライフバランスの実現によって生産性を向上させるのが目的で、成果が出始めているという。

グループの中核事業会社であるオンワード樫山で2019年8月からスタートし、週に1度、普段一緒に仕事をするチーム単位で「自分たちがより良い働き方をするために何をすべきか」を考える会議(通称:カエル会議)を中心に、業務効率化に伴う残業時間削減や休日取得日数の増加につなげている。仕事とプライベートの相乗効果(ワーク・ライフシナジー)の実現によるビジネス面での成果も出始めている。

オンワードホールディングス(HD)が推進している働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」。業務効率化とワーク・ライフバランスの実現によって生産性を向上させるのが目的で、成果が出始めているという

働き方をデザインするための第一歩として、管理職の意識改革を行うために外部コンサルタントによる管理職研修を実施。「同じ条件の人がなるべく長時間働く人口ボーナス期のマネジメントから、多様な人がなるべく短時間で働く人口オーナス期のマネジメント」に変化していくマインドセットからスタートし、2年にわたって継続的に実施している。

カエル会議での成果を報告する情報共有会では役員も参加。役職を越えてこれからの働き方について議論し、フラットな立場で自由闊達なコミュニケーションができるようになっているという。

販売職では上限なく高い給与水準をめざすことが可能な仕組みへと変更。平均年収が10%、2025年卒採用から新卒初任給が16%アップ、新卒採用人数は34%増えた。努力に応じた給与アップが仕事のモチベーションにつながっているとする。全職種対象の生産性向上を目的とした「働き方デザイン」プロジェクトを通じて、業務効率化とワーク・ライフ・バランスを実現。残業時間も41.2%削減した。

給与体系とインセンティブ制度の見直しも実施。新たな給与体系では、おもてなしのプロフェッショナルとして必要な項目を評価し、グレード別に処遇するセールススキル給を採用。役職など関係なくセールススキルの向上に伴い、誰でも高い給与をめざせるようにした。

インセンティブ制度では、所属する店舗の予算達成率や自身のコーディネートをEC上に投稿することで生じる売り上げなどに応じたインセンティブを支給。これらの変更により、平均年収10%アップを実現、より高い目標をめざすモチベーションの向上につながっている。

さらに優秀な店舗を評価し、好事例を共有する「BEST SHOP AWARD」も毎月実施。定年を迎えた社員が適切な待遇で長く働き続け、そのスキルを継承していく「ストアマイスター制度」を導入し、次世代への技術継承にも力を入れている。

こうした働き方改革が評価され、マイナビが運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」主催の給与アップ・働き方改善・キャリア支援に取り組む企業を表彰する「マイナビ転職BEST VALUE AWARD」において「アワード大賞」を受賞した。社員が主体的に働き方の改善に取り組める仕組みの導入は、心理的安全性の点でも高い評価を得たとしている。

 

松原 沙甫

中国EC大手の京東集団(JD.com)、日本に初の自社運営の物流倉庫を開設

10ヶ月 4 週間 ago

中国EC大手である京東集団(JD.com)傘下の物流会社、京東物流(JD Logistics)は、日本で1か所目となる自社運営倉庫を開設した。今後2~3年で日本と韓国に複数の自社運営倉庫を開設する予定。多国間物流ルートを構築することで、アジア太平洋地域において「2~3日」のリードタイムで配達できる物流サービスの実現をめざす。

京東物流が開設した東京1号倉庫(画像は京東物流のコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
京東物流が開設した東京1号倉庫(画像は京東物流のコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

千葉県浦安市に開設した倉庫は、数百万点の商品を保管する能力を実装。倉庫内に数百台の倉庫ロボットや仕分けロボットを配置している。従来の手動方式と比較して作業効率は100%以上向上。保管効率は50%、ピッキング効率は35%ほどアップしているという。

高密度コンテナを活用した「コンテナから人への自動化ソリューション」を採用しsており、ロボット技術によって倉庫上部スペースを最大限に活用。入出庫の運搬速度を向上させている。

商品の保管能力と作業効率が優れている東京1号倉庫(画像は京東物流のコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
商品の保管能力と作業効率が優れている東京1号倉庫(画像は京東物流のコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

千葉県浦安市にの倉庫を核とし、京東物流は日本、韓国、中国を結ぶ効率的な越境物流サービスを構築する計画を掲げる。日本、韓国、東南アジアの中核都市をカバーする物流ネットワークを構築し、顧客企業のサプライチェーン効率を向上させる。

2025年末までに、グローバルの自社運営倉庫も総面積を倍増させ、世界19か国で50以上の海外自社倉庫を運営する予定。

松原 沙甫
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