3つの直線に接する円は一般には下図の通り、その3つの線の内接円が一つと傍接円が3つの合計4つの解が存在する。基本的な考え方は同じだが、念のため内接円と傍接円の場合とに分けて説明していこう。
・ 三角形ABDの内接円の作図(13手順)
条件:3直線 l , m , nが与えられている(赤線)
解の数:一般解は一つ
作図手順:
①直線 l , m, nの交点を A, B, Dとする(0)
②∠BADの二等分線 p を描く(4)
(「基本作図パターン集」ページの「角の二等分線を描く」を参照のこと)
③∠BDAの二等分線 q を描き、線 p と線 q の交点を点Xとする(4)
④点Xから直線 n に垂線を引き、交点をYとする(4)
(「基本作図パターン集」ページの「与えられた点から与えられた直線へ垂線を引く」を参照のこと)
⑤Xを中心として、半径XYの円Xを描く
その円X(青円)が直線 l , m, n に接する内接円になる。
・ 三角形ABDの傍接円の作図(9手順)
条件:3直線 l , m , nが与えられている(赤線)
解の数:一般解は 3つ
解の内の一つの作図手順:
①直線 l , m, nの交点を A, B, Dとする(0)
②直線 n 上のADの延長上の先をEとする(0)
③既に内接円の作図で作図済みの∠BADの二等分線 p を流用する(0)
④∠BDEの二等分線 q を描き、線 p と線 q の交点を点Xとする(4)
⑤点Xから直線 n に垂線を引き、交点をYとする(4)
⑥Xを中心として、半径XYの円Xを描く
その円X(青円)が直線 l , m, n に接する傍接円の一つになる。
・ 残り二つの傍接円の作図(18手順)
下図の左側と下側にある傍接円も、それぞれ同様に別の二等分線を使って描く。
・解説(内接円と傍接円)
三角形に内接する円の中心は、3つの角の二等分線が 1 点で交わる場所で、内心という。内心は各辺からの距離が等しい。つまり内心から各辺へ下ろした垂線の長さが同じ。よって、内心から各辺へ下ろした垂線との交点 3つを通る円は各辺に接する。そのため、内接円と呼ばれる。
一方、三角形の外角の二等分線の交点を傍心といい、傍心は 3つある。傍心を中心に 3つの辺の延長線に接する円が 3つ描け、それらの円を傍接円(傍心円とは言わないようだ)という。