消費者庁の新井ゆたか長官は3月21日の記者会見で、「No.1」表示について実態調査を行う意向を明らかにした。
新井長官は会見で、客観的な調査に基づかない「No.1」表示が多く散見されると指摘。2023年度は景品表示法、特定商取引法の違反などで消費者庁が行政処分を下した事業者は14社にのぼる。新井長官はこうした状況を踏まえ、次のように指摘する。
これらの案件の多くは、事業者のWebサイトなどのリンクを列挙して、商品あるいはサービスの「イメージ」を尋ねた結果をもって「満足度No.1」と表示するなど、客観的な調査に基づくとは言えないものであった。このようなNo.1表示は、いろいろな商品やサービスが幅広く行なわれている。
こうした案件では、調査会社による営業活動を受けて、問題となる「No.1」表示を行ったケースも見られていると新井長官は説明。こうした状況を踏まえ、「No.1」表示に関する実態調査を通じて、問題となる「No.1」表示の考え方を示すという。
また、安易に「No.1」表示を行わないように注意喚起。消費者に対しても根拠のない「No.1」表示に注意するよう周知していく考えだ。調査結果は今秋にも公表する予定。
「No.1」表示に関する実態調査は主に3点を計画している。
1つ目は、事業者や事業者団体へのヒアリングで、調査会社あるいは広告媒体会社に対して、「No.1」表示の実態、在り方について調査する。2つ目は消費者にWebアンケートで「No.1」表示の実態を調べる。3つ目は、実際の「No.1」表示広告のサンプル調査で、現在さまざまな広告媒体で掲載されている「No.1」表示がどのような根拠に基づいているのか、実態を調べていく。
新井長官は「No.1」表示の実態調査について次のようにコメントしている。
「No.1」表示については、しっかりとした根拠のない表示が多い。調査会社が個々の事業者に働き掛けて「No.1」表示をしている事例も見られる。これらの実態を踏まえて、消費者に適切に判断してもらえる表示に努めていくということで(調査を)決断した。
「No.1」表示については、小さな文字で満足度をたくさん並べるといった形での広告媒体が非常に増えている。広告主がしっかりと調査設計をしないで、調査会社が調査するサンプルを恣意的に選んでその結果を報告、広告主がそれを鵜吞みにして「No.1」表示をしている実態が多く見られた。このようなビジネスモデルについて業界全体の質を高め、正すということも必要だと判断、実態調査に着手する。
多様な「No.1」表示が散見されるので、それらをどういう形で適正化していくことが消費者の自主的かつ合理的な選択に資するのか、今後幅広く検討していく。
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オリジナル記事:消費者庁、「No.1」表示を実態調査へ。「問題となるNo.1表示の考え方を示す」
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