帝国データバンクが実施した2024年度(2023年4月~2024年3月)の賃金動向に関する企業意識調査によると、2023年度と比較した2024年度の総人件費について「増加」を見込んでいる企業は72.1%で前年比2.5ポイント増、「減少」は5.3%で同0.5ポイント減だった。
その結果、総人件費は前年度から平均4.32%増加すると見込まれる。このうち従業員の給与は平均4.16%増、賞与は平均4.04%増、各種手当てなどを含む福利厚生費も平均4.06%増加すると試算している。
2024年度の総人件費の見通し
2024年度の賃金改善について、59.7%の企業が「改善見込みがある」と回答。これは、前年度比3.2ポイントの増加となる。「賃金改善の見込みがない」と回答した企業は13.9%で同3.4ポイント減。「分からない」は26.4%で同0.1ポイント増だった。
2024年度の賃金改善の見込み
業界別では「製造」が64.7%で最多。「運輸・倉庫」が63.7%、建設が62.5%で続いた。小売業は48.8%。2024年4月から時間外労働の上限規制が始まるトラックドライバーや建設業界などで、賃金改善を実施する企業の割合が増えている。
2023年と2024年の賃金改善見込みの比較(業界別)
2023年と2024年の賃金改善見込みの比較(規模・従業員数別別)
賃金改善の具体的な内容では、「ベースアップ」が53.6%で前年比4.5ポイント増、「賞与(一時金)」が27.7%で同0.6ポイント増だった。「ベースアップ」は過去最高となった前年の49.1%を上回り、3年連続で調査開始以降の最高を更新、初めて半数を上回った。
2024年度に賃金改善が「ある」企業にその理由をたずねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が75.3%で最多。「従業員の生活を支えるため」は63.7%となり、前回調査よりは低下したが依然として6割を超える水準だった。
賃金改善の理由
一方、賃金を改善しないと回答した企業にその理由を聞いたところ、「自社の業績低迷」が56.3%、「物価動向」が17.8%、「人的投資の増強」が13.6%などとなっている。
賃金改善をしない理由
調査概要
- 調査期間:2024年1月18~31日
- 調査対象:全国2万7308社で、有効回答企業数は1万1431社(回答率41.9%)。なお、賃金改善はベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は賃金改善に含めていない
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オリジナル記事:2024年度は6割の企業で「賃上げ」。給与は平均4.16%増、総人件費は平均4.32%増の見込み
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