アスクルが商品の仕入れ先のコクヨグループと組んで、コクヨの物流子会社がアスクルへの納品商品と一緒にアスクルの物流拠点間の横持ち商品をトラックに“合積み”して、配送効率化や二酸化炭素排出量削減をめざす取り組みを進めている。年間で輸送車両の積載率は従来比9%上昇、CO2排出量は同18.7トンの削減と成果を見せている。
共同配送で「積載率アップ」「効率化」「コスト削減」などに手ごたえ
両社は大阪→九州間の配送路線が共通
従来、コクヨの物流子会社、コクヨサプライロジスティクス(=KSL)がコクヨ製品をアスクルの福岡の物流拠点「ALP福岡」に納品する場合、大阪市内に構えるKSLの物流拠点「近畿IDC」からチャーター便を手配して、同じくKSLが佐賀県内に構える物流拠点「九州IDC」に在庫輸送し、そこから「APL福岡」に納品する形だった。
一方、アスクルでも需要変動や必要に応じて西日本の基幹拠点である大阪市内に構える「大阪DMC」から「ALP福岡」と在庫を移動させるため、路線便を手配して横持ち配送を行っていた。
合積みで「納品」「横持ち」を同一トラックに
「(九州の)コクヨ側の拠点とアスクルの拠点が非常に近いこと。また、最終的に両社とも『ALP福岡』に向けて同じような輸送経路を行っているのであれば両社輸送を共同で行うことで輸送車を集約して効率化できるのではないかと考えた」(アスクル)として、2021年9月からアスクルとKSLが共同輸送の実証実験をスタート。
KSLがアスクルの大阪および福岡の物流拠点へコクヨ製品を納品するために手配したチャーター便の輸送過程において、KSLの「近畿IDC」で納品分のコクヨ製品を積み込んだのちに「大阪DMC」で納品後、「ALP福岡」へ納品に向かう際にトラックの空きスペースに、アスクルが「大阪DMC」から「ALP福岡」へ在庫移動したい商品を合積みして、「納品」と「横持ち」を同一トラックで行う取り組みを始めた。
同取り組みでは10トンチャーター便を毎日1便固定で走らせることにし、近畿IDC、大阪DMC、ALP福岡を通って納品および横持ちを行う。
なお、固定チャーター便の手配のために配送委託先へ支払う費用はKSLにアスクルが一部を支払う形で負担するという。
アスクルではこれまでのコクヨ製品の出荷実績から合積みが可能な上限量を算出しつつ、前日までに翌日の製品と合積みの物量の見込みをKSLに提示して、横持ち品を積み込む。納品量などが多く横持ち商品がチャーター便に乗りきらなかった分については、アスクルが従来通り、横持ち用の路線便を手配して輸送する。
また、KSLの「近畿IDC」から「九州IDC」への在庫補充はアスクルの納品分以外の物量で継続する。
共同チャーター便でコスト削減+効率化アップ
同取り組みにより、アスクルは大阪から福岡までの横持ち分の多くを共同チャーター便で賄うことで独自に手配する路線便の回数や輸送車サイズを最小化。また、「ALP福岡」で荷受でこれまではKSLのチャーター便とアスクルの路線便がそれぞれ着荷していたが、共同チャーター便1台での納品が主となったことで荷受け作業工数が短縮され荷受けバースの占有時間の削減に寄与、受入効率が向上したという。
KSLは「ALP福岡」への納品に関して、自社の拠点「九州IDC」を経由せずに直接、輸送できるようになったことや大阪から九州までの輸送を行うチャーター便の費用をアスクルが一部負担するようになったことで効率化やコスト削減などに寄与したという。
チャーター便の活用による共同配送(画像はアスクルの発表資料から編集部がキャプチャ)
トラック積載率は9%向上
また、共同輸送実施で合積みすることのよるトラックの積載効率向上や輸送車両台数を減らせたことによるCO2排出量の削減が両社ともに図れたという。
具体的には21年10月1日から22年9月30日までの1年間のアスクルおよびKSLの大阪・九州間における取引に関する輸送関連のCO2排出量は129.5トンとその前の1年間の排出量である148.1トンに比べて13%(18.7トン)減となり、トラックの積載率も67%と実施前の1年間の積載率58%と比べて9%向上したという。
積載量アップとCO2排出量削減の成果(画像はアスクルの発表資料から編集部がキャプチャ)
同条件で他地域、他企業とも協業を検討
1年間の実証実験を経て一定の成果を上げたことから、両社は昨年10月から本格的に同取り組みを開始しており、現状、両社の物量調整を実施しながら取り組みを継続しているという。今後は大阪・九州以外の地域でも条件などが合致した場合、同様の取り組みを検討していく考え。また、コクヨグループ以外の取引先のサプライヤーなどとも共同配送を検討していくとしている。
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オリジナル記事:【アスクルとコクヨグループの共同配送】積載率向上+CO2排出量ダウンなどさまざまな効果を生むその取り組みとは? | 通販新聞ダイジェスト
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