ライブコマースはどうやったら良い? ライブ配信の始め方やコツ、メリットや成功事例を解説【2023年版】 | E-Commerce Magazine Powered by futureshop | ネットショップ担当者フォーラム

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コロナ禍で実施企業が増えた「ライブコマース」。売り上げアップにつながる効果的なライブ配信の運用事例などを紹介します

Eコマースの新しい販売方法として注目を集めている「ライブコマース」。アパレル、コスメ、家具・インテリア、食品など幅広いカテゴリーでその活用が広がり始めました。実店舗への集客や、ユーザーとのつながり強化、そしてECサイトの売り上げを伸ばすために、ライブコマースを活用していきたいと考えている企業もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ライブコマースを事業として取り組むにあたって、実現方法や注意点、必要な準備、自社ECサイトにおける成功事例などを解説します。

Contents
ライブコマースとは

ライブコマースとは、インターネットを使ったライブ配信とEコマースを組み合わせた販売手法のこと。具体的には、InstagramなどのSNSやライブコマース配信プラットフォームサービスを使ってライブ配信を行い、商品を紹介して視聴者をECサイトへ誘導するといった方法があります。

ライブコマースは配信者と視聴者のコミュニケーションを通じて、消費者の購買意欲を高めていきます。たとえば、視聴者からコメントで寄せられた質問を配信者が読み上げ、その場で回答しながら商品について説明するなど、リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションが成立するのがライブコマースの特徴です。

ライブコマースが注目されている理由とメリット

EC事業者や実店舗を持つ小売企業がライブコマースに取り組むメリットは、次の3点です。

  1. 商品の魅力を伝えやすい
  2. 購入前の不安をその場で解消できる
  3. 接客で顧客との結びつきを強めることができる
商品の魅力を伝えやすい

ライブ配信なら、ECサイトの文章や写真だけでは伝えきれない商品の魅力を伝えることができます。たとえば、衣類を販売する場合、布を引っ張って見せることで伸縮性を直感的に伝えることが可能ですし、スカートを着用して歩けば素材のふんわり感を伝えることもできるでしょう。衣類以外にも、家具の組み立て方や調理器具の使い方などを実演形式で説明することも可能です。

また、商品の売り手や作り手が、自分の言葉で商品について説明することのメリットも決して小さくはありません。店舗スタッフや商品開発者などが表情豊かに視聴者に語りかけ、身振り・手振りを交えて商品を紹介すれば、作り手や売り手の商品に対する想いや熱量が伝わりやすくなるでしょう。

購入前の不安をその場で解消できる

コメントで視聴者から寄せられた質問に、配信者がその場で回答すれば、購入前の消費者の疑問や不安をリアルタイムで解消することができます。

消費者がECサイトで商品を購入する場合、商品の素材や使い方といった「商品そのものに関する情報」を知りたいのはもちろんのこと、過去に購入した商品との相性や、自分の身長や体型に商品サイズが合っているかなど、さまざまな疑問が湧いてくるものです。ECサイトで利用できる決済方法や返品ルールなど、買い物に関する決まりごとも確認しておきたいでしょう。

ライブコマースなら、実店舗で店員さんに相談しながら買い物をするのと同じような感覚で、配信者に質問や相談を行いながらオンラインショッピングを楽しむことができます。この特徴を踏まえ、配信者が視聴者としっかりコミュニケーションを取ることがライブコマースを成功させるポイントです。

接客で顧客との結びつきを強めることができる

売り手が顔を出し、肉声で視聴者に語りかけることで、売り手に対する親近感を抱いてもらう効果も期待できます。配信者がコメントを読み上げ、「○○さん、ご質問ありがとうございます」などとアカウント名を呼んで話しかければ、顧客との心理的な結びつきを強めることもできるでしょう。

そもそも、消費者がライブコマースを視聴するのは何故でしょうか。その理由を突き詰めると、次の2点が考えられます。

  1. ECサイトで買い物をする前に、商品や買い方について詳しく聞きたい
  2. ブランドまたは配信者のファンで、ライブ配信そのものを楽しみにしている

1つ目は「買い物」が目的ですが、2つ目は「配信者との交流」が目的です。つまり、ライブコマースは単に商品を売るためのものではなく、売り手(配信者)と顧客(視聴者)がつながる機会を創出する場でもあるのです。

非対面で商品を販売するECにおいて、顧客と直接深いつながりを持つことができるチャネルは貴重です。2020年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって実店舗における対面販売が制限を受けました。外出機会も減るなか、どこにいても店舗スタッフが顧客とつながるチャネルとしてもライブコマースは重要でしょう。

ライブコマースのデメリットや注意点

ライブコマースは、さまざまなメリットがある一方でデメリットや注意点もあります。主なものは次の4点です。

  1. 視聴者を集める集客施策が不可欠
  2. 配信者はスキルが必要
  3. 配信環境の整備や、不測の事態への備えが必要
  4. 配信内容によってはブランドイメージの低下を招く

ライブコマースを実施する際は、上記のデメリットや注意点を踏まえた準備が必要です。準備の具体的な内容は「ライブコマース開始に向けた準備」の章で詳しく解説していますので参考にしてください。

ライブコマースの市場規模と事例

近年急速に広がっていると言われるライブコマース市場ですが、日本においては黎明期であり市場規模はまだ小さいと思われます。

日本国内におけるライブコマースの市場規模に関する政府統計などの公式データは、2022年11月時点では見つけることができませんでした。ただ、多くの企業がライブコマースに参入していることを踏まえると、これから市場が拡大していく可能性は高いと考えられます。

コロナ禍で多くの企業がライブコマースに取り組むようになりました。たとえば、2020年3月以降にビームス、ベイクルーズ、資生堂、ジーユーといった大手が続々とライブコマースに参入しています。

ライブコマースは中国で先行

ライブコマースは中国で先行して普及しました。日本貿易振興機構(JETRO)が2021年7月27日に公開したレポート「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」で言及されているデータによると、中国におけるライブコマースの市場規模は2021年時点(予測値)で1兆9950億元(1元=20円なら約4兆円)。5年で50倍以上に拡大しています。

EC先進国である中国でライブコマースが急速に広がっていることを踏まえると、日本でも数年遅れでライブコマースがトレンドになるかもしれません。

※出典:日本貿易振興機構「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」

ライブコマースに向いている業界・商材は?

ライブコマースは化粧品やアパレル・ファッションなど、商品の見栄えが消費者の購入意欲に影響する商材に向いています。メイクの実演や衣類を着用してのウォーキングなど、ライブ配信ならではの演出で商品の魅力を伝えることができるためです。それ以外の商材では、家具やインテリアの組み立て方やコーディネートを紹介する、調理家電の実演を行うといったことも効果的でしょう。

なお、SNSのライブ配信機能を使ってライブコマースを行う場合、SNSごとの利用者属性(年齢層や性別など)にマッチした商材を選ぶこともポイントです。たとえばInstagramは10代~30代の女性利用者が多いとされていますので、その年代をターゲットにしたコスメやアパレルなどとの相性が良いと考えられます。

こだわり商品や訳あり品

ライブ配信は口頭で商品について詳しく説明できるため、製法にこだわった商品や歴史のある特産品、ニッチなニーズに応える商品などを販売することにも向いています。高額商品やB級品など、消費者に納得してもらうために十分な説明が必要となる商材も、ライブコマースであれば対面販売のような感覚で売ることができます

ライブコマース開始に向けた準備

ライブコマースを成功させるには販売者側の事前準備が大切です。配信方法、たとえば配信機材や通信環境を整えるのはもちろんのこと、出演者の人選や在庫の確保、スムーズな購入導線の整備、視聴者の集客、想定質問への回答マニュアルなども必要です。

ライブコマースに必要な準備
  1. 配信機材
  2. 通信環境
  3. 配信者
  4. 商品在庫と購入導線
  5. 視聴者の集客施策
  6. 想定質問への回答
  7. 台本・トークマニュアル
配信機材

ライブコマースはスマホ1台あれば実施することが可能です。ただ、商品や配信者の顔を綺麗に見せたい場合など、一定以上の画質を保つには撮影用のカメラや照明、マイクといった専用機材を使用した方が良いでしょう。

また、音声や映像が乱れた、照明が暗くて配信者の顔や商品が見えにくいなど、ライブ動画配信中にトラブルが起きた際のマニュアルも作っておくと安心です。

通信環境

生配信が途切れないように安定した通信回線を使用することも重要です。本番前に必ずテスト配信を行い、音声や映像に問題がないか確認してください。

配信者

カメラに向かって語りかけ、次々と流れてくるコメントを読み上げてその場で回答するなど、ライブコマースの配信者には相応のトークスキルが求められます。社員が配信者を務める場合は慎重に人選を行い、慣れるまでは台本を作って練習の時間を十分に設ける、コメント読み上げを別の担当者に行ってもらうなど、トレーニング環境を整えることが必要です。

そもそもカメラの前で会話をしながら商品を説明すること自体、簡単なことではありません。ライブ販売は長期的な視点で、配信者を育てる意識を持つことも大切です。

社員だけで配信することが難しい場合には、タレントやインフルエンサーをゲスト起用することも選択肢に入ります。ライブ配信を生業とする「ライバー」や、ライブコマースの出演で稼ぐ「コマーサー」と呼ばれるインフルエンサーに依頼するのも良いでしょう。

ただし、配信者が「仕事で商品を紹介している」という態度が透けて見えてしまうと、視聴者はがっかりしてしまいます。外部のインフルエンサーなどに出演を依頼する場合には、普段から商品を愛用している人など、紹介するブランドや商品のことを十分に理解している人を選びましょう。

商品在庫と購入導線

ライブコマースで紹介する商品は、過剰在庫を避けつつできるだけ機会損失を防ぐために、予想される視聴者数から必要な在庫数量を逆算して在庫を確保しておきましょう。もちろんですが、古着やジュエリーなど一点物の場合はその限りではありません。

スムーズな購入導線を整えておくことも、コンバージョン率向上のために重要です。SNSでライブコマースを行う場合はライブ配信の視聴者を誘導するランディングページを準備するなど、買い物しやすい環境整備を行いましょう。

ライブコマース限定キャンペーンなどを実施する場合には、視聴者からの問い合わせがコールセンターに寄せられる可能性も考慮し、あらかじめカスタマーサポート担当者と情報を共有しておくなど関係部署と連携して準備を進めましょう。

視聴者の集客施策

ライブ配信を行う際は、事前にメルマガやSNS投稿、LINEなどで告知することが不可欠です。ライブ配信を視聴する動機付けとして、限定ポイント倍率アップ特典や限定商品の販売などイベントを実施するのも良いでしょう。

ただし、集客施策を行うには、メルマガ会員やSNSアカウントのフォロワー、LINEでのお友達がある程度の人数に達していることが前提となります。ECサイトでメルマガ会員の獲得を図る、SNSで情報発信やフォロワーと交流するなど、普段から顧客リストの蓄積に取り組むことがライブコマースの成果につながるでしょう。

想定質問への回答

ライブコマースの醍醐味は、視聴者から寄せられたコメントに配信者が即答する「ライブ感」と「双方向性」です。想定される質問への回答をあらかじめ準備しておくと、視聴者からの質問にスムーズに回答できます。配信者がコメントを拾いきれなかった場合、ディレクターなどがフリップで配信者に指示を出すなど、サポート体制を整えておくのも良いでしょう。

台本・トークマニュアル

配信者の言動や態度に問題があると、ライブコマースを実施した結果、ブランドイメージが低下する可能性があります。丁寧な言葉遣いで話し、差別用語などを使わないのは当然のこと、視聴者からのコメントへの反応や態度にも注意が必要です。トークマニュアルを作って失言を防ぎ、配信者の発言に問題があった場合には即座に訂正する体制を整えておくと良いでしょう。

ライブコマースを始める際に必要なシステム

ライブコマースの配信方法は大別すると2種類あります。1つ目は、Instagram、Facebook、YouTubeといったSNSのライブ配信機能を使う方法。2つ目は、ライブコマース配信プラットフォームサービスを使用する方法です。それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

SNSのライブ配信機能 【主なSNSプラットフォーム】

Instagram、Facebook、YouTube、LINE

メリット

SNSのライブ配信機能を使えば、手軽にライブコマースを始めることができます。スマホ1台で撮影し、配信そのものは無料もしくは安価に実施できます。また、InstagramやYouTube、LINEなど多くのユーザーが日常的に使用しているアプリを使うことで、ターゲットとなる視聴者に専用アプリを入れてもらう手間も省けます

デメリット

視聴者が商品を購入するにはSNSからECサイトに遷移する必要があるため、画面遷移の際に視聴者が離脱する可能性があります。また、ライブ配信をスマホで視聴している場合、ECサイトに遷移するとライブ配信を視聴できなくなるため、配信を見続けたい視聴者がECサイトに遷移しない可能性もあります。

ライブコマース配信プラットフォーム 【主なサービス】

HandsUP、Livekit、ライコマ

メリット

ライブコマース配信プラットフォームは、ライブ配信中に画面内に商品情報を表示し、そのままカートに投入できるなど、ライブコマースに役立つさまざまな機能を備えています。視聴者はライブ配信を見ながら商品をカートに投入できるため、画面遷移による離脱が起こりません

デメリット

ツールの初期費用や月額費用などがかかります。固定費が発生することを踏まえると、月に数回、継続的にライブコマースを実施する企業に向いています。

ライブコマース配信プラットフォームで購入までできる場合は、商品登録や受注処理など、新たに覚えないといけないことが出てくるため、慣れるまで時間が必要でしょう。

ライブコマースのコツ

最後に、ライブコマースを行う際のポイントを紹介します。

顧客との交流を大切に

ライブコマースは顧客との交流を通じてファンを増やしていくことが大切です。ライブ配信限定のイベントを開催したり、配信中はコメントを通じて積極的に交流したりするなど、配信そのものを楽しんでもらえるように心がけると、長い目で見た際、視聴者数や売り上げの増加につながります。

ライブコマース視聴者は、そもそもファンなどブランドや商品の興味度合いが高い傾向にあります。そのため、ライブコマースでは既存顧客とコミュニケーションを深める場として、コミュニティ化をめざすのも戦略の1つです。

達成しやすい目的(KPI)を設定

ライブコマースの目標数値(KPI)を設定する場合、売上高だけを目標にすると計画未達が続いてモチベーションが下がる可能性があります。ライブコマースは最初から商品がたくさん売れるとは限りません。まずは「隔週、決まった曜日に定期的に配信する」「視聴者数100人をめざす」など、売り上げ以外の目標を設定すると続けやすいでしょう。

限定感や特別感の演出

ライブコマース先行販売や視聴者限定クーポンのオファーを出すなど、限定感や特別感を演出して購入の後押しをするのも成功につながるでしょう。ECでの販売方法を工夫することで、相乗効果が生まれます。

販売データやコメントを分析

ライブコマースで売れた商品の傾向を分析し、次回以降の配信に生かすなど、PDCAサイクルを回すことも重要です。コメントで寄せられた質問の内容を分析して顧客のニーズを把握し、プロモーションや商品開発に生かすこともできます。

まとめ

実店舗やECサイトを持つ企業にとってライブコマースは、売上拡大や顧客との関係強化を図るための重要な手段であり、挑戦する価値がある手法です。中国など海外ではライブコマースが急速に広がっています。日本は黎明期だからこそ、他社に先んじてライブコマースに取り組めば先行者利益を得られるのではないでしょうか。

また、ライブコマース開催の目的は、ブランドのファンや実店舗の常連の方々を対象につながりを深め、顧客のコミュニティ化を実現するといった一面もあります。テレビショッピングのように不特定多数に向けた開催ではなく、参加者が誰かわかるくらい配信者を限定し、顧客1人ひとりとさらにつながりを深めるのも効果的なライブコマースの開催方法です。

ECに限らず、これからの物販は「人に顧客がつく時代」とも言われています。実際、アパレル業界などで導入が進んでいるコーディネート投稿ツール「STAFF START」を活用し、販売員さんが1人で月間1億円以上をECで売り上げるといった事例も出てきました。

「人」が主役となって商品を売るこれからの時代には、顧客との双方向のコミュニケーションが可能なライブコマースの重要性が一層高まっていくでしょう。

※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ライブコマースはどうやったら良い? ライブ配信の始め方やコツ、メリットや成功事例を解説【2023年版】 | E-Commerce Magazine Powered by futureshop
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この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

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