ブランディングやプロモーションの新たな手段として、WebCMの制作を検討している企業は増えています。ですが制作したいと思いつつ、何からどう手を付けたらいいかわからない企業様も多いのではないでしょうか。
本記事では、WebCM動画の作り方をはじめ、「制作のポイント」「他社と差が出る注意点」まで詳しく解説します。「WebCM動画の制作を検討している方」「WebCMで効果を出したい方」に向けた記事となっています。
そもそもCMとは
一般的に「CM」と聞くと、テレビCMを想定する方も少なくないでしょう。この章では、そもそもCMとはどのようなものかについて簡単に解説します。
CMとは、特定のサービスや商品、およびイベントをはじめとする商用コンテンツを告知・宣伝するためのひとつの手段です。
その告知・宣伝を行うメディアは、テレビをはじめ以下のように多岐にわたります。
- テレビ
- ラジオ
- インターネット
- Webサービス
- プロモーションメディア
電通が行った調査によると、2020年の広告費は6兆円。連続成長以来、はじめてのマイナスを記録しました。主な原因として、新型コロナウイルスの影響でリモート勤務や自粛ムードが浸透したことがあげられます。
CMの意味・定義について
CMとは、Commercialize Message(コマーシャライズメッセージ)の頭文字をとった造語です。主に特定のサービス・商品・イベントを告知するための宣伝手法のことを指します。
身近な具体例を挙げると、テレビCMやラジオCMなどが挙げられるでしょう。テレビCMやラジオCMなどが例としてあげられます。
主に視聴者の興味を惹きつけ、販売促進や売上を向上する目的で放映されています。また企業のブランディングやマーケティングの目的で利用されることも少なくありません。
そのため各企業はさまざまな工夫を凝らし、商品の内容や価格・アピールポイントを短い映像に凝縮させています。
WebCMを制作する際のポイント
WebCMを制作する際のポイントとして、以下のとおりご紹介します。
- 目的を明確にする
- 予算を決める
- ターゲット層を明確にする
- 配信する媒体に合わせた動画を制作する
- プロモーションメディア
効果的なWebCM制作の実現において、すべてが重要なポイントです。それぞれ順を追って見ていきましょう。
目的を明確にする
WebCMを制作するなら、まず目的を明確にすることが重要です。
WebCMを通して「自社の何をどのように視聴者へ伝えたいのか」が明確になっていないと、視聴者に「伝えたいことが伝わらない」WebCMになってしまいます。
「目的」を明確にするためには、情報を整理する作業が必要です。具体的には、以下のような項目を具体化しましょう。
- なぜWebCMを作るのか考える
- 客層・ターゲットを絞る
- どのメディアで配信するのか決める
WebCMを制作する理由やターゲットを絞ったら、どのメディアで配信するのが効果的であるかをあらかじめ決定することがポイントです。
予算を決める
予算を明確に決めておくことも、WebCMの制作において重要なポイントのひとつです。
たとえばテレビCMの場合、尺の長さ(放映時間)が長いほど高額になります。逆に短ければ安価にはなるものの、伝えられる情報量は限られるでしょう。また放映する時間帯によっても前後するのが現状で、19〜21時などのゴールデンタイムに放映する場合、金額は高くなる傾向です。
もし予算を削った制作をする場合、より伝えたい情報を絞り、短い尺の中で伝えられるよう工夫しなければなりません。そのため、優先度を考慮して制作する必要があります。
ターゲット層を明確にする
ターゲット層を明確にすることも、WebCM制作において重要なポイントとなります。
せっかくWebCMを制作するなら、「なるべく多くの人に幅広く届けられる内容にしたい」と考えるのが普通でしょう。しかしある程度ターゲット層は明確にした上で限定しないと、効果は薄れてしまうものです。
流行ったり、爆発的に拡散されるコンテンツは、万人受けを狙ったものではありません。傾向として、特定の少数の人に深く刺さる内容のものが大半です。
WebCMとして大きな効果を出すために、ターゲット層は明確に決める必要があります。
伝えることはひとつに絞る
伝えることをひとつに絞ることは、WebCM制作において必須となるポイントです。
高いお金をかけてWebCMを制作することもあり、多くの情報を詰め込みたい気持ちもあるでしょう。しかし、情報を多くすればするほど、視聴者に伝わりにくいWebCMが出来上がってしまう原因になります。
またWebCMは、尺の長さにも制限があります。さらにスキップされることも念頭に置き、制作することが重要です。
伝えたいことは「ひとつ」に限定し、全力で伝えるシナリオを作るように心がけましょう。
商品直接型・商品間接型かを決める
WebCMのポイントとして、「商品直接型」か「商品間接型」かを明確に決めておくことも重要です。
商品直接型とは、商品がもつ特徴や魅力を全面的に出し、直接視聴者に伝える手法のことを指します。商品の魅力や特徴をダイレクトに主張するため、視聴者に伝わりやすい点がメリットです。
もう一方の商品間接型とは、WebCM全体の物語やストーリー性を前面に出す手法です。肝心の商品は脇に添え、間接的に伝えるイメージと考えていいでしょう。商品の主張は控えめなので、視聴者に「どんな商品なんだろう」と興味を持たせることができます。
配信する媒体に合わせた動画を制作する
WebCMは通常、特定の媒体を使って放映します。その媒体に合わせた動画に仕上げることも、制作においてたいへん重要なポイントです。
たとえばスマホアプリ向けの媒体で放映するWebCMの場合、スマホ画面は小さいので、文字を大きくするなどの工夫が必要です。
逆にPCユーザーがメインの媒体で放映するなら、PC画面の大きさを考慮した動画に仕上げる必要があります。
同じ内容のWebCMでも、使っているデバイスによって見え方も変わるものです。その点を念頭に置いておかないと、見にくさなどの影響からまったく響かないWebCMができてしまいます。
またYouTubeなどの動画メディアで利用する広告の場合、スキップされる前提で「音」の使い方に工夫が施されているといわれています。このように、媒体に合わせた動画を考えることが大切です。
webCMのルールを理解することも重要
WebCMには、一定のルールがあります。それを理解しておくことも、制作において重要なポイントのひとつです。
たとえば具体的なルールとして、「WebCMの開始0.5秒と終了0.5秒には、音声を入れてはいけない」などがあげられます。この他にも「削除を前提としたカット準備」など、WebCMにおけるルールはたくさんあるのが現状です。
WebCMの制作会社に依頼する場合、こういったルールは打ち合わせの時点でひととおり教えてもらえます。とはいえ、ある程度理解のうえ頭に入れておくことで、よりスムーズなWebCM制作が実現できます。
多岐にわたるWebCMのルールは、覚えておいて損はありません。社内でも知識としてしっかり把握し、適切な動画制作に役立てることが重要です。
制作会社と入念な打ち合わせが重要
WebCMは、制作会社と入念な打ち合わせが必要です。
WebCMを通じて伝えたいことや細かな要望は、認識の相違なく伝えることが大切です。また不明点があれば知ったかぶりをせず、必ず理解するまで確認するようにしましょう。
入念に打ち合わせを行ってお互いの認識を共有しておかないと、制作途中に大幅な変更や工程が止まってしまうトラブルが発生する可能性を高めてしまいます。
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WebCM制作の流れ
ここまで、WebCMを制作する上での重要ポイントをまとめてきました。
この章では、具体的なWebCMの制作の流れをご紹介します。この章を読むことで、WebCMの動画制作に着手する前の打ち合わせから納品に至るまで、一連の制作フローを把握することができます。
WebCMの動画制作を依頼する場合にも、全体的な作業の流れを把握しておくことで作業を進行させるために役立ちます。スムーズな制作のために把握するようにしましょう。
全体の制作スケジュール
WebCMの制作における全体のスケジュールは、おおよそ以下のようになります。
- お打ち合わせ
- WebCM制作の目的
- ターゲット層
- 予算・納期
- WebCMの表現方法
- 配信媒体の決定
- 企画・シナリオ・絵コンテの確認
- 撮影/イラスト・素材作成
- 編集
- 納品
制作会社やWebCMの内容によって多少は異なりますが、一般的にはこのような流れで制作が行われると考えて良いでしょう。
とくに打ち合わせのフェーズは、目的の定義からターゲット・予算・表現方法までを決めるため、一連の流れの中でもとても重要です。
それぞれのフェーズごとに、詳しくご紹介します。
お打ち合わせ
WebCMを作るとなった場合、まず行われるのが「制作会社との打ち合わせ」です。
制作会社は、企業様が求めている成果やWebCMに求める結果などをヒアリングし、要件の整理を行います。
制作会社が企業様にヒアリングする内容としては、主に以下のとおりです。
- WebCM制作の目的
- 狙うターゲット層
- 予算や納期
- WebCMの表現方法
- WebCMを放映する配信媒体
これらの中でも、「1、WebCM制作の目的」「2、狙うターゲット層」「3、予算や納期」の3つは、制作会社とのヒアリングの前に社内で決定しておくとスムーズに進行ができます。
「4、WebCMの表現方法」「5、WebCMを放映する配信媒体」については、主に制作会社と相談のうえ決定するケースが大半です。
この打ち合わせにおいて、制作会社から問われる内容をそれぞれ詳しく見ていきます。
WebCM制作の目的
先述のとおり、まずは「なぜWebCMを作るのか」目的を明確にするところから始まります。
WebCMの制作の目的はさまざまです。しかし最終的に突き詰めると、「認知拡大」「顧客獲得」の2つに大別されるケースが大半です。
「認知拡大」および「顧客獲得」どちらの目的を選ぶかによっても、WebCMの内容は大きく変わります。しっかり目的を達成できるよう、まずは打ち合わせの前に社内で目的を明確化し、固めておくことが大切です。
ターゲット層
次に打ち合わせで明確に固めておく点は、ターゲット層です。
ターゲットは、なるべく狭く絞ることが大切です。具体的には、以下のようなターゲット層の絞り込みが好ましいでしょう。
- 何歳くらいの男性・女性向けか
- どこに住んでいる人か
- どんな仕事をしていている人か
- 家庭環境はどんな感じか
- 仕事でどんな悩みを抱えているか
- プライベートではどんな悩みがあるか
ターゲット層によって、WebCMの内容や表現方法は180度変わります。できるだけ細かく設定したほうが、顧客に深く刺さる内容の動画に繋げられます。
予算・納期
予算や納期も、打ち合わせで明確にしておくべき重要な内容です。
WebCMの尺の長さや放映する時間帯によっても金額は変わります。また期間限定のイベントなどのWebCMを作る場合、納期はよりシビアです。
納期や予算は、制作会社とのヒアリングの前に、あらかじめ明確にして伝えることが大切です。
要望と予算は、なかなかマッチしないケースが大半を占めるためおおよその相場を把握したうえで制作会社と相談し、最終的な金額や予算を決定することがおすすめです。
WebCMの表現方法
制作会社との打ち合わせにおいて、WebCMの表現方法も大切です。
社内でイメージしているWebCMなどが決まっている場合、制作会社にしっかり共有します。実写かアニメによっても費用や納期は大きく前後するためです。
WebCM制作会社は、公式サイトなどで公表していない事例などの制作も可能なケースが大半です。あらかじめ参考となる動画を選定し打ち合わせ時に見せることで、作りたいWebCMを相談しやすくなります。
また参考となる動画を見せることは双方で表現方法などの認識のズレをなくす効果もあります。可能な限り具体的な要望を伝えることが必要です。
配信媒体の決定
WebCMを放映する媒体も、打ち合わせにおいて明確にすべきポイントとなります。放映の媒体によっても、内容や表現方法は大きく変わります。
もし、あらかじめ希望の媒体があるなら、制作会社に伝えておくといいでしょう。
また、WebCMにおける放映媒体として、大きく以下のような媒体があげられます。
- YouTube
- Facebook
- Instagram
- Twitter
それぞれの媒体に特徴や向き不向きがありますので、それぞれ解説します。
YouTube
日本国内だけでも利用者6000万人以上を誇る、世界シェアナンバーワンの動画プラットフォームです。見たことのある方も多いと思いますが、動画の再生前や途中で差し込まれる形で広告が配信されます。そのため最後まで視聴してもらいやすく、認知度を高める目的に向いています。
Facebook
Facebookはいわずと知れたアメリカの大手IT企業、Facebook社(現在の社名はMeta)が運営するSNSプラットフォームで、世界中で大きなシェアを誇ります。実名、お住まいの地域や年齢・職種などの情報をもとにした正確なターゲティングが可能です。
WebCMにおいても高い効果を期待でき、ビジネスシーンで活用される事例も増えています。
Instagram
Instagramは、主に写真と動画をシェアするSNSプラットフォームです。
前述で紹介したFacebook傘下の企業のため互換性に優れ、ユーザー層に合わせたWebCMの放映が期待できます。参入する企業も多く、ファッション業界からグルメ・自動車・家電メーカーなど、今や業界を問わず幅広い告知が可能です。
Twitter
Twitterはテキストや画像・動画を自由に投稿できる、現代においても大きな影響力をもつSNSプラットフォーム。自動車大手テスラのCEO、イーロンマスク氏が買収したことでも話題となりました。
ユーザーの趣味や興味に基づいたターゲティングに優れています。ツイートの内容やフォローしている人の共通点、また目を止めるツイートの内容などの情報から最適なアプローチが期待できます。
企画・シナリオ・絵コンテの確認
WebCM制作会社との打ち合わせが終了したら、企画・シナリオ・絵コンテの確認作業に移ります。
「コンテ」とはWebCMの設計図のようなものを指します。WebCMの内容に合わせた制作の全体の流れ、キャストやスタッフの動き方、具体的なセリフ、その他制作における重要な情報が記載されています。
この絵コンテを軸に制作作業が進められ、WebCMが完成するのが主な流れです。もちろんこの絵コンテは、制作会社のみならずWebCMを発注した企業様にも共有されます。
絵コンテも重要な作業工程のため入念にチェックをすることが大切です。認識のズレや疑問がないように確認することが重要です。
撮影/イラスト・素材作成
絵コンテの確認が終了したら、撮影やイラスト・素材の制作作業です。
実写のWebCMの場合、実際に撮影の作業が行われます。撮影自体は1〜3日程度で終了するケースが大半です。しかしキャストの選定や撮影場所の決定やスケジューリングも含め、全体では約1ヶ月程度の期間を要することが一般的となっています。
またアニメーションなどのWebCMの場合、イラストや素材を集めたり、必要に応じてCGなどを用いた制作などを行います。
撮影よりも短い期間で終わると思われがちですが、同様に1ヶ月程度の期間を要するケースが大半です。よりオリジナリティを追求したWebCMを作る場合、イラスト制作会社への発注が必要となる可能性もあります。
編集
撮影やイラストの素材制作などが終了したら、次に行われるのが編集作業です。撮影した映像、および制作したイラストや素材を絵コンテの内容に合わせて編集します。
編集とは主に、必要に応じて部分的に映像を切り取ったり、テロップや音声などBGMを加えてWebCMを完成形に仕上げていく作業を指します。
ちなみにこの編集段階では、発注した企業様が編集について指示を出すことが可能です。BGMの雰囲気、テロップの大きさや色合いなど、少しでも気になった点は遠慮せず、気軽に伝えることをおすすめします。
納品
編集作業が完了したら、いよいよWebCM動画の納品です。もちろん動画は、希望するファイル形式で納品されます。
【他社と差がつく】WebCM動画制作の注意点
WebCM動画制作において、他社との差別化を図るために注意したい点は、以下のとおりです。
- ストーリー性のある動画構成になっているか
- 冒頭にインパクトがあるか
- テンポの良い編集になっているか
それぞれご紹介します。
ストーリー性のある動画構成になっているか
WebCMで他社との差別化を図る際、「ストーリー性のある動画構成」に注意するようにしましょう。
Webが媒体となるWebCMの場合、なおさらストーリーに基づいた動画構成にこだわる必要があります。
ストーリー性にこだわった構成にしないと、なかなかユーザーは興味をもってくれません。企業独自のストーリーに基づいた動画構成にし、他社との差別化を図りましょう。
冒頭にインパクトがあるか
冒頭にインパクトがあるかどうかも、差別化のために注意したいポイントです。
WebCMを視聴するユーザー層は、とにかく「待つこと」「焦らされること」を嫌うためです。YouTubeで動画を視聴するユーザーからすれば、広告そのものが待ち時間という認識でいます。
そのため、最初の2〜3秒で視聴者を惹き付けるようなインパクトを出せるかどうかが、WebCMの成否を分けるといっても過言ではありません。
現代のWebCMはどれも、冒頭の2〜3秒に注力しています。他のWebCMを参考に、冒頭のインパクトにこだわってみてください。
テンポの良い編集になっているか
他社との差別化を図るなら、テンポの良い編集がされているかも、注意して見ておきたい点としてあげられます。
ただでさえ待つのが嫌いなWebユーザーなので、なおさらテンポよく情報が頭に入るよう工夫を施す必要があります。テンポがよくないと即座にスキップされてしまう上、視聴者にまったくインパクトを残すことができません。
視聴者が短時間でスムーズに情報が得られるよう、テロップやBGMの使い方を工夫のうえ、テンポのいい編集に注力してみましょう。無駄な部分を削ったり、テロップを目立たせたりといった工夫が効果的です。
まとめ
ここまで、WebCMの一般的な制作の流れや制作のポイント・全体の流れや注意点について紹介してきました。
現代ではWebとテレビの2分化が進んでいることもあり、WebCMは認知度や売上の拡大のために欠かせない広告手段となっています。より効果の高いWebCMをスムーズに制作できるよう、重要なポイントや注意点をあらかじめ押さえておくことが大切です。
本記事をきっかけにWebCMの動画制作を検討する方が増えてもらえたら幸いです。