メルカリ総合研究所は、「フリマアプリ市場の成長背景には金銭的な利益を得ること以外に多様な利用目的がある」という仮説を立て、全国のフリマアプリ利用者1030人を対象に「100円以下の利益でフリマアプリに出品する利用者」の意識・実態調査を実施した。
今回の調査では、100円以下の利益で出品する利用者を「少額取引利用者」、1000円以上の利益を見込んで出品する利用者を「高額取引利用者」と定義し、それぞれの傾向についても調査。結果を受けて、マーケティングライター/世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が分析を行った。
少額取引利用者と高額取引利用者ではフリマアプリに求めるものが違う?
1.約4人に1人が100円以下の利益で商品を出品
「100円以下の利益でフリマアプリに出品する頻度」について、約4人に1人(利用者の22.0%)が、3回に1回以上の頻度で商品を出品。そのうち少額取引利用者は男性が36.7%、女性は63.3%。年代別にみると30代(35.1%)が最も多く、20代(24.3%)、40代(22.5%)が続いた。
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100円以下の利益でフリマアプリに出品する頻度
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
2.「捨てることがもったいない」少額取引利用者
「フリマアプリの利用目的」は、少額取引利用者、高額取引利用者共に1位は「不用品を処分する」。しかし、「捨てることがもったいない」「節約、お得に買い物をする」「誰かの役に立つ」の3項目では両利用者間で回答率に大きな差が生じた。
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フリマアプリを利用する目的(少額・高額取引利用者別)
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
もともと少額取引利用者は物を捨てることに対する罪悪感が強いのではないか。また、社会的貢献欲求が強く、サステナビリティやSDGsの志向を持つ、環境意識の高い消費者の傾向がある。(牛窪氏)
3.売れることが「嬉しい・楽しい」意識が罪悪感の喪失につながる
「出品物が売れた瞬間の感情」については、少額・高額取引利用者を問わず「嬉しい・楽しい」(74.5%)が1位に。
「嬉しい・楽しい」と回答した利用者にその理由をとう質問では、少額取引利用者は「使えるモノを捨てる罪悪感がなくなる」(63.6%)が1位。高額取引利用者は「儲かったと感じる」(72.4%)となった。2つの回答に対し両利用者間で大きな意識差が生じており、罪悪感がなくなることへの差は23.9%、儲かったと感じることへの差は19.9%となった。
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出品物が売れた瞬間に「嬉しい・楽しい」と思う理由(少額・高額取引利用者別)
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
また、少額取引利用者が「嬉しい・楽しい」と思う理由を男女別にみると、男性は「他者に評価されたと感じるから」という回答が多く男女差は22.8%、女性は「使えるモノを捨てる罪悪感がなくなるから」という回答が多く、男女差は8.7%という結果になった。
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出品物が売れた瞬間に「嬉しい・楽しい」と思う理由(男女別)
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
物を捨てることへの罪悪感から解放されることがフリマアプリの大きな特徴、メリットだと考えられる。(牛窪氏)
4.少額取引利用者の方がフリマアプリにハマりやすい?
「フリマアプリの出品にハマっていると思うか」という質問に対して、少額取引利用者は59.8%、高額取引利用者は42.5%の結果になり、その差は17.3%となった。
5.フリマアプリの出品を通して承認欲求が満たされる
少額・高額取引利用者を問わず、「どのようなことで自身の承認欲求が満たされるか」という質問について、1位は「給料が上がること」(83.6%)、次いで「家族に褒められること」(76.1%)「フリマアプリで出品した商品が売れること」(70.3%)「誕生日を祝ってもらうこと」(60.3%)「SNS投稿にコメントが入ること」(55.7%)となった。出品した商品が売れることで得られる承認欲求の充足率はSNSでコメントが入ることより高く、14.6%の差があった。
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どのようなことで自身の承認欲求が満たされるか
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
フリマアプリに出品する際自分で値付けをして、自身の使用例などが記載できる。その内容を見た他人からいいねが付くことで「誰かが認めてくれた」と感じられる。さらに商品が売れれば自分が「これだけ価値がある」と思った商品が、他の人にも「それだけのお金を払う価値がこの商品にはある、だから買う」と思われたと感じるようになり、その経験が給料が上がることに近い体験を得られるのではないか。(牛窪氏)
6.全回答者の5割以上が「身の回りの売れるモノ」を探し始める
少額・高額取引利用者を問わず、フリマアプリ利用後の意識・行動の変化については、「身の回りの売れるモノを探すようになった」(53.3%)「売ることが楽しくなった」(48.0%)「売ることを意識して購入し大切に扱うようになった」(34.8%)となった。
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フリマアプリ利用後の意識や行動の変化
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)
2年ほど前、一部の男女の間で“メルカリハイ”と呼ばれる心理状況が発生していた。これはメルカリに出品していたものが売れると「嬉しい・楽しい」と感じ、人から評価されたと感じるようになる。その体験をもう一度経験したいと思い、身の回りにある売れる物を探すことにつながっている。(牛窪氏)
調査実施概要
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2019年11月14日~11月15日
・調査対象:全国、12歳~59歳、男女1030人
・留意事項:「100円以下の利益で商品を出品するフリマアプリ利用者」515人、「最低1000円以上の利益を見込み商品を出品するフリマアプリ利用者」515人
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オリジナル記事:フリマアプリは利益だけが目的じゃない?利益が100円以下でも出品する人の心理とは
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