企業生命のピンチを救ったレジェンドCMは、私たちに何を教えてくれるのか? | VIDEO SQUARE

VIDEO SQUARE - 2017年5月11日(木) 13:00
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愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ…。ビスマルクの名言です。

歴史に名を残したTVCMは多くありますが、今回はその中から、地に落ちてしまったブランドイメージを回復させたTVCMを2本ご紹介します。

私たちはそこから何を学べるでしょうか。

Cadbury “Gorilla” – エンターテイメントが導いたブランドエンゲージメント20%向上

Cadbury’s Gorilla 60 second commercial

このTVCM”Gorilla”がリリースされた前年の2006年、キャドバリーは製品にサルモネラ菌が混入したことによる、合計2千万ポンド(約24億円)分の製品回収を行いました。
更に問題の報告及び対応の遅れから、罰金百万ポンド(約1億2千万円)の支払いを裁判所に命じられ、そのブランドは地に落ちた状態であり、名実ともに窮地に陥っていました。

その窮地を救うことが目的だったこのキャンペーンは、再びブランドエンゲージメントを高めることが目的とされました。

キャンペーンを主導した広告代理店であるFallon Londonは、伝統的な広告手法(製品を全面に押し出すこと)の代わりに、より多くの消費者へアピールできる「エンターテイメント・ピース」を作り出すし、消費者から口コミで広がっていくーバイラルマーケティングを提案しました。

ファロンの提案を元に制作されたこのTVCMは、「すべてのコミュニケーションは、チョコレートバーを食べることと同じくらい楽しいものでなければならない。」という考えに基づいており、インパクトのある映像を作るために、その演出は緻密に計算されました。

ゴリラスーツなどの外見や表情を作るためのしかけや、ドラムパフォーマンスを完璧にするための調整などを含め、その制作期間は実に数ヶ月にも及んだそうです。

リリース後、たちまち話題になったこのCMは、イギリスの有名TV番組でパロディーされたり、いくつもの広告賞を受賞しました。

結果として、広告のリリース後、商品Daily Milkの販売数は2006年の同時期から9%増加し、市場調査会社YouGovの公表によると、キャドバリーのブランドに対する市民の意識は20%向上したと述べています。

ストーリーはシンプルそのもの。ゴリラがドラムを叩いた後に商品が登場するだけで、コピーさえありません。

しかし、作品を見た時の衝撃とワクワクする感覚は、本作品がエンターテイメント•ピースとして成功していることを確かに証明しています。

このキャンペーンが成功した理由は、これまでの同社がとってきたプロモーション戦略を大胆に一変し、製品を全面に押し出すことをせずに、視聴者を驚かせ、心から楽しませることにフォーカスしたーつまり、まずはブランドイメージを向上させることにフォーカスした結果と言えるでしょう。

消費者心理とキャドバリーの当時の立場を十分に把握した、一見大胆なようでいて実のところ非常に慎重且つ戦略的な手法であったと言えます。

Apple “think different” – 研ぎすまされたメッセージこそブランディングの始まり

Apple CM think different

伝説とも言えるほどの高い評価を持つTVCMであるため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

1997年のAppleのスローガンとして作成されたThink different。
このCMは、1996年にNeXT社を売却すると同時にAppleへ戻ったスティーブジョブズが、当時業績不振に陥っていたApple社の再起をかけて制作された一連のキャンペーン”think different”の中のTVCM版です。

このCMも上記で紹介したキャドバリー”Gorilla”と同様に、製品はほとんどどころか全く出て来ないのが特徴です。

1985年にスティーブジョブズがAppleを退任する前の同社のイメージは、革新的でいつも新しいものを生み出すことにどん欲な、まさにスティーブジョブズ本人のイメージであったとも言えます。

世界を変えた偉人達の映像と、彼らを賞賛し、自分たちもその同胞であることを伝える一連の静かなナレーション。その2つだけで構成されている非常にシンプルなこのCMは、スティーブジョブズの復帰と共に、再びAppleの躍進が始まる事を消費者にはっきりと伝えました。

当時のAppleの状況やスティーブジョブズのイメージを正確に認識できていた点と、伝えたいメッセージが非常に研ぎすまされていたことが、このキャンペーンを成功に導いた理由と言えます。

まとめ

要素の一つ一つがより際立ちやすいため、シンプルな構成はより制作が困難ですが、手を抜かずにきちんとそこに取り組む真摯な姿勢、また、製品を売りたい時にそれを全面に押し出すことなく、敢えて逆の手法を取ることは、簡単なようでいて実際に実行するには難しいことでもあります。

企業生命を救う程のTVCMは、ブランディングの重要性とその企業の現在の立場を謙虚に理解し、そのシンプルさ故に、消費者に伝えるべきメッセージを正確且つ確実に伝えることに成功している、と言えるでしょう。


Cadbury “Gorilla”についての記事参照元:
Spot the link between a gorilla and chocolate Archived 6 July 2008 at the Wayback Machine., The Independent, 14 May 2007. Retrieved 6 November 2007.
Coronation Street loses sponsor, BBC News, 14 November 2006. Retrieved 8 November 2007
.Cadbury fined £1M over salmonella, BBC News, 16 July 2007. Retrieved 8 November 2007.
Walsh, F; Product recall costs Cadbury £20M, The Guardian, 2 August 2006. Retrieved 6 November 2007.
Cadbury issues Easter egg recall, BBC News, 10 February 2007. Retrieved 8 November 2007.
Cadbury agrees to improve tests, BBC News, 6 July 2006. Retrieved 8 November 2007.
Fallon and MPC ‘Go Ape’ for Cadbury’s Dairy Milk, The Moving Picture Company. Retrieved (via Internet Archive) 23 February 2009).Cadbury’s ape drummer hits the spot, Media Week, 25 September 2007. Retrieved 8 November 2007.

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