KDDIがECモールの運営に本腰を入れる。ディー・エヌ・エー(DeNA)からECモール「DeNA ショッピング」と「au ショッピングモール」(KDDIと共同で運営)を2016年12月に引き受け、ネットショッピング事業に本格参入。1月30日に両ブランドを統合し、モールの名称を「Wowma!」に変更する。
今後、KDDIは新モール「Wowma!」をどのように展開していくのか。出店者が期待する流通額の拡大はどうなるのか。「Wowma!」の運営主体として新たに設立したKDDIコマースフォワードの八津川博史社長、KDDIの勝木明彦 金融・コマース推進本部長に話を聞いた。
「本気でネットショッピングモール事業に取り組むつもり」
――KDDIがDeNAからネットショッピングモール事業を買収し、本格的にECショッピングモール事業へ取り組む経緯と理由を教えてください。
勝木明彦金融・コマース推進本部長(以下勝木):DeNAと共同展開してきたショッピングモール事業で、KDDIはauユーザー向けに「auショッピングモール」の販促施策を行い、DeNAは主にドコモやソフトバンクユーザー向けに「DeNAショッピング」で販促施策を行ってきました。
ただ、限られたターゲットに対して集客施策を行うと、どうしても分割損が出てきてしまい、大規模な販促を行うことがなかなかできませんでした。コマース領域も優勝劣敗が進んできているため、戦い方を変え、本格展開しないと、今後戦えなくなると考えました。共同展開ではなく、KDDIが主体となって1つのプラットフォームでネットショッピングモールを運営することを決めました。
KDDIは今回、本気でネットショッピングモール事業に取り組むつもりです。大きな資本力を使い、グループのさまざまなサービスと積極的に連携し、新モールを成長させていくつもりです。
――出店者への出店条件に変更などはありますか。
八津川博史社長(八津川):出店者との契約関係に変更はありません。今まで通りの条件で販売できます。事業移管にあたり、DeNAでショッピングモール事業部に所属していたメンバーがKDDIコマースフォワードに移りました。モール運営のノウハウなどはすべて継承し、コンサルタントによる店舗へのフォロー体制は変わりません。
出店者にとってプラスになる面は多いでしょう。たとえば、キャンペーンに関して。「auショッピングモール」と「DeNAショッピング」のキャンペーン時期は異なっていたので、それぞれ対応するのは煩雑でした。今後は1つのプラットフォームで運営できるので、煩雑な作業が少なくなと思います。
KDDIの勝木明彦金融・コマース推進本部長(右)とKDDIコマースフォワードの八津川博史社長(左)
丸井、AOKIホールディングス、GDOなど大手も出店
――KDDIが本腰を入れて事業展開していくということですが、変わる部分は。
八津川:まずは品ぞろえ強化を進めます。商品ラインナップ、出店者数などはまだまだ他モールに比べて足りていません。丸井、AOKIホールディングス、ゴルフダイジェスト・オンラインなど、これまで出店していなかった大手企業も参加。KDDIが本気でモール事業に乗り出すということで、出店していただけるようになりました。今後もこうした大手企業の出店が増えと感じています。
サービスも強化していきます。「auショッピングモール」「DeNAショッピング」の2つのプラットフォームがあったことで、検索エンジンの評価が割れてしまっているところがあった。コンバージョンにつなげるためのサイトの見せ方やリテンションの使い方など、改善できる点はまだあると思っています。
2月以降に出店予定の企業。すでにいくつかの大手企業の出店が決まっている
――出店者から集客力のアップを期待する声が多く出ています。集客施策についてはどのように考えていますか。
勝木:KDDIの各種サービスから送客を進めていきます。たとえば、auスマートパスプレミアム会員に対して、毎週土曜日に15%のポイントを付与するほか、約2000万人のau WALLETカード会員が、WALLETカードを使って貯めたポイントを「Wowma!」で使えるようにします。
「au STAR」は長期間、携帯電話契約していただいているお客さまに特典を与える制度ですが、「Wowma!」で利用できるギフト券を贈ることで、auユーザーを送客する予定です。KDDIグループの多様なサービスとつなぎ、流通額の拡大をめざします。
「Wowma!」という1つのプラットフォームにしたことで、テレビCMなども展開しやすくなります。今後、従来はできなかった施策を積極的に展開していくので、出店者は楽しみにしてほしい。
これまでと次元の違う出店者、流通額をめざす
――流通総額、出店者数などの目標数値は。
八津川:KDDI本社と目標数値を詰めているところ。少なくとも、今までとは次元の違う数字を達成できると考えています。長い期間をかけて達成するのではなく、スピードを重視しながら盛り上げていきます。
――新モールの名称は「Wowma!」となりました。この名称に込めた思いは。
八津川:消費者に驚きや感動を提供していきたいと考え、その感情を示す「Wow」という文字を入れました。サブキャッチも「毎日が『Wow』になる」です。毎日お客さまに訪問してもらい、購入だけではなく、訪問自体を楽しんでもらえるようにしようと。毎日新しいものを提案するという気持ちを込め、こうした名称にしました。
「Wowma!」のロゴ
――「Wowma!」の展望についてお聞かせください。
勝木:すでに高い流通額を誇るモールがいくつもあり、正面から勝負できるようになるにはどうしても時間がかかってしまいます。ゆくゆくはそうした勝負ができるような規模にしていきたいとは考えていますが。当面は他のサイトにはない楽しめるECモールにしようと考えています。
他モールに比べて流通額が劣っている中、出店者は一緒に頑張ってきてくれていました。こうした絆を大事にして、出店者に今まで以上に喜んでもらえるようなモールにしていくつもりです。
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オリジナル記事:KDDIが本気でECモール「Wowma!」を運営するワケ。集客・販促・出店施策を聞いてきた
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