機能性表示食品制度に対する“今さら”聞けない4つの疑問にわかりやすく答えます。 | 健康・美容業界の今を知る! | ネットショップ担当者フォーラム | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2015年4月17日(金) 08:00
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健康食品や化粧品にかかわる法律、規制などについてわかりやすく噛み砕いてご紹介します(連載第10回)

4月1日、ついに機能性表示食品制度が解禁となりました。制度解禁を受け、食品の表示の方法が大きく変わろうとしています。そんな今、“聞くに聞けない”素朴な疑問についての回答をご紹介致します。

Q:機能性表示は、エビデンスさえあれば良いって本当?

エビデンスがあれば良い、というわけではありません。最終製品を用いた臨床試験。もしくは、ルールにもとづいた手順に従い、世のなかの文献を検索した結果から、総合的に評価を行う研究レビュー(システマティック・レビュー)のどちらかが必要です。

総合的に評価を行わず、肯定的な論文のみを用いたりすることは認められていないことに注意が必要です。たとえば、学会発表だけの内容や有識者の談話だけでは成り立たないということです。

なお、システマティック・レビューを行う際には2人以上で行い、結果に差異が生じ検討の結果、解決できない場合には別のもう1名以上が仲裁に入るとされているので、評価を1名のみが行うことも不可となります。

また、導き出した結果及び結果に至るまでのプロセスは詳細に届出を行う必要があり、かつ第三者が再現できなければいけないため、デタラメなものは必然的に認められません。

Q:機能性表示が4月1日に解禁されたって聞いたけど、まだ商品が出てないのはどうして?

販売する商品ごとに必要書類を整備し、販売(予定)日の60日前までに消費者庁長官に届け出ることとされています。おおよそ6月1日近く(計算上、4月1日起算の60日後は5月31日)に商品が登場してくるということになります。

なお、上記で示すところの届出日とは書類を提出した日ではなく、届出が受理され、届出番号が発行された日です。

届出そのものが殺到するなど事務処理が追いつかない場合には、その分、届出番号の発行が遅くなるということも想定されます。

気になる機能性表示食品制度の広告ですが、これは60日後からということではなく、届出が受理され届出番号が発行された時点で、広告展開などの販促活動を開始することは差し支えないとされました(※1)。

※1)3月17日に大阪で開催された、消費者庁食品表示企画課による機能性表示説明会の質疑応答のなかで明らかにされました。

また、消費者庁に提出した資料は、商品が販売される前に消費者庁ホームページ内で公開されることになっています(※2)。どんな機能性を持つ商品なのかを、決定付ける臨床試験や研究レビュー(システマティック・レビュー)の抄録を含め、事前に把握することができます。

※2)この記事を執筆している4月8日現在、まだ公開されていません。

Q:機能性表示の届出はどうやって提出するの?

何十種類にも及ぶ届出に関する必要書類をまとめて、消費者庁食品表示企画課へ郵送で送付します。

持参してその場で確認してもらい、届出番号を得ることはできません。消費者庁食品表示企画課では届出内容の不備等を確認し、問題が無ければ(※3)届出番号を記入した写しが返送されるという流れになります。

※3)あくまでも事務手続き上の“確認”です。内容をくまなく見て、その内容に“許可”を与えるものではありません。

なお、機能性が問題無く受理されるか不安ということから、何種類かの機能性を想定した結果複数の申請を行いたいと考える場合もあるかもしれませんが、このような併願的な申請は認められていません(※4)。

※4)JADMA主催「機能性表示食品制度」前夜祭における東京農業大学・上岡洋晴教授の談話

1商品に付き1つの申請ということになることにも注意が必要です。

Q:機能性表示の“機能性”として表現できる範囲が特定保健用食品(トクホ)って聞いたけど、今後トクホは無くなってしまうの?

変わらずに特定保健用食品(トクホ)は運用されます。審査や許可手続きにかかる期間が今よりも短くなる見通しとなり、国としてもトクホに対する前向きさを感じることができます。

機能性表示食品が、時間や費用が多くかかるトクホと同程度のことが表現できるとなると、トクホの意味が無くなってしまうのでは…と思ってしまう所ですが、大きい違いは「国の許可」の有無です。

機能性表示食品はあくまでも届出制であり、国が評価をする(お墨付きを与える)ものではありません。あくまでも企業側の自己責任です。一方、トクホはそのマークが示すとおり「消費者庁許可」が掲げられるということになりますので、ここが大きな違いです。

企業側の戦略として、はじめは機能性表示食品として販売し、トクホの許可が下りたらトクホにスイッチして販売を行っていくということもできるということになります。

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稲留 万希子
薬事法広告研究所 副代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画。

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