先日オープンしたブルーボトルコーヒーが話題の今日このごろですが、なにも寒い中並ばなくても、自宅で最上級のコーヒーを楽しめるんです。キーワードは「スペシャルティコーヒー」。今回は東京都中央区の舘田(たてだ)珈琲焙煎所さんで、大好きなコーヒーについて勉強してきました! 記事の最後にプレゼントのお知らせがあります! 写真◎吉田 浩章
豆選びから焙煎、おいしいいれ方までを体験させてもらいました!
スペシャルティコーヒーとは?
「コーヒー豆ってピラミッド状に4つランクがあるんです。その中の一番上のランクが「スペシャルティコーヒー」。栽培、品質、流通などの管理がきちんと行われ、飲んで明らかに美味しいと分かる風味が特徴の最上級のコーヒー豆のことで、全生産量の5%しかないと言われています。うちではこのランクの豆しか扱っていません。コーヒー豆って1袋約60kgの麻袋が取引単位なんですが、スペシャルティコーヒーは本当に生産量が限られていて、品種によっては世界中で在庫が麻袋1つしかないものもあるくらい。そういう希少な豆に特化してやっているんです。
僕は本当においしいもの、本当に素晴らしいものは大量生産できないって思っていて、よそでも売っている商品は値下げだとかポイント何倍だとか、過当競争に陥るじゃないですか。でも本物は価格競争に巻き込まれません。それに、飲んだ人のなかで、好きになってくれる人が必ずいる。コーヒー豆って気に入ったらリピートしてもらえるので、後発で参入して安売りしなくても、自分が好きなコーヒーっていう分野で長く商売を続けていけると思ったんです。」(舘田さん)
舘田珈琲焙煎所の舘田 智 さん。2013年に見学に行った京都の制御器メーカーで素晴らしい焙煎機と出会い、同時期にコーヒー豆の仕入れルートとも縁ができ「これはもう焙煎所をやるしかないな」と思ったとか。
ECのセオリーよりも、まず「体験してもらう」ことから
実は20年近くIT業界で働いている舘田さん。現在もネットマーケのコンサルや動画スタジオの運営、専門学校の講師などを手がけています。ネットでやるべき施策はもちろん知っているのですが、舘田さんがまず始めたのは「IT関連のイベントでのサンプリング」というアナログな手法でした。
「いくらネットで『良い豆なんです』って言っても限界があるので、飲んでもらうのが一番だと思ったんです。普通に街頭でサンプリングしても良かったんですが、それよりも昔からSNSを使ってるし、業界の知人も多いので、まずはIT業界から行こうと。ということで、「Web担当者Forumミーティング」でサンプリングさせてもらいました。
飲んでもらえばおいしいと思ってもらえるという自信はありました。本当においしいものって、施策がどうだろうと変わらないじゃないですか。それをちゃんと自信を持って提供し続けていけば、評価してくれる人はいる。その人がまわりの人に勧めてくれる。イベントでサンプリングしたなかから、気に入ってくださった方から注文いただいたり、『うちのイベントにも来てよ』って声を掛けていただいたりしました。」
セールはしない、ポイントもない。ネットで売る前にサンプリングから始めちゃう。一般的なネットショップのアプローチの真逆をやっているのに、注文数は毎月伸びているそうです。
「普通にECの方がやっているようなリスティングとかの広告手段も、まだ一切やってないんです。人のことはコンサルしてるくせに、自分の所はまだぜんぜんやってなくて。もっと言うと、焙煎所を始めた頃はネットで買えなかった(笑)。買えないのにサンプリングしてどうするんだって話もあったんですけど、Facebookのメッセージで注文をもらっていました。さすがに『いつネットで買えるようになるの?』って言われるようになって、Yahoo!ショッピングにお店を出したのが2014年の11月。最近なんです。続いてAmazonにも出店を始めました。」
買ってもらうことよりもまず飲んでもらいたい、という思いが強いんですね。「これおいしいから飲んでみて!」という舘田さんのストレートな思いが、コーヒー好きに伝わるんでしょうね。
ちなみに現在、月曜日のみカフェを営業中。お得な価格で焙煎したてのコーヒーを味わえます。
場所は東京メトロ有楽町線新富町駅から10分くらいの所です。また、舘田珈琲焙煎所ではオリジナルブレンドの相談も受け付けています。例えば「うちで扱っている和菓子にピッタリのブレンドを作りたい」とか「うちのブランドのイメージでオリジナルブレンドを作りたい」なんて相談をしてみると、おもしろいブレンドができるかもしれませんよ!
「焙煎したて」がおいしさの決め手
ところで、舘田さんが思う「おいしいコーヒーって」どんなコーヒーなんでしょうか。
「豆自体の品質もありますが、おいしさを左右するのは焙煎してからの鮮度だと思います。スーパーなどで売られている豆を見ると、賞味期限は書かれていても、いつ焙煎したかはほとんど書かれてないんです。うちは作り置きを一切しません。「今すぐコーヒー豆ください」って言われても、「10分待ってください」って待ってもらわないと。100gの注文でもオーダーを受けてから焙煎します。焙煎してからの時間が短ければ、挽いて粉にした後でも、それなりにおいしさは保てるんです。それでも最高のおいしさが持続できるのは豆で1か月。挽いた粉だと2週間くらい。だから、2週間で飲みきる分量だけを買ってもらいたいんですよね」(舘田さん)
シーンごとのオススメは、「朝食後に飲むならスッキリしているパプアニューギニア(左)。ランチの後ならちょっとビターなマンデリン(中央)。仕事中に飲むならすんなり飲めて冷めてもおいしいウガンダ(右)」とのことでした。生豆の状態では見分けが付きませんが……。
「はぴさやブレンド」に挑戦です!
舘田さんに教えていただきながら、スペシャルティコーヒーのはぴさやブレンドを作ることになりました。
20数種類の中から、ブレンドに使う豆を選びます。私はコスタリカのコーヒーが好きなので、ベースはコスタリカの「ジャガープロジェクト」に決定です。この豆の売り上げは野生のジャガーの保護に使われるそうです。
ベースを決めたらコロンビアかブラジルなど、マイルドな豆と、アクセントになるような風味の違う豆を選ぶのがコツだとか。コスタリカブレンドにするなら、30%以上入ってないとコスタリカブレンドとは言えないそうです。
100gを基準に、コスタリカを30g、イエメン(モカ)を20g、コロンビアを50g、はかりで量っていきます。
いよいよ焙煎機の出番です
舘田さんが出会ってしまって惚れ込んだ焙煎機「NOVO MARK II」。浅煎り〜深煎りなどの設定は右下のタッチパネルで行います。今回は普通にドリップで飲む用にセット。焙煎中に剥けた表皮が右側の丸い部分にたまっていきます。
うすーい緑色だった生豆が…
ぐるぐる回りながらこんがりと焙煎されていきます。
10分も経たないうちに焙煎終了。終わると自動で豆が下に落ち、ふわっと湯気が出ます。そのままでは熱すぎるので、下から空気を吸って2分間豆を冷やします。
はぴさやブレンド(豆)のできあがりです。
おいしいコーヒーの入れ方を教えてもらいました
舘田さんが持っているのは液温計。おいしいコーヒーのためには温度も重要なのです。熱湯はNG。舘田さんのおすすめは86度。湯煎しているときに86度ぴったりだと、コーヒーをいれるときには下がってしまうので、ちょっと高めの87度〜88度まで熱します。
ペーパーフィルターが湿るに程度にお湯をかけておきます。ついでにポットも暖まるので一石二鳥。
人数分の豆を挽きます。
あまりに早く挽き終わったのであわててしまいました!
いよいよ抽出。真ん中にゆっくり注ぎ、コーヒーが下に落ちてきたら30秒間蒸らします。お湯を注ぐのをやめてもモコモコと粉が盛り上がります! これが新鮮な豆の証拠。蒸らし終わったら、500円玉くらいの大きさの「のの字」を書くようにゆっくり注ぎ続け、人数分抽出します。
さて、お待ちかねの試飲タイムです!
カップに口をつけた瞬間、思わず笑いがこみ上げてきてしまいました! 初めて本格的な焙煎をして自分でいれた珈琲、おいしさを言葉で表現できません。温度も味も香りもすべてが最高。酸味が少なくすっきりとしていて、少し冷めてもおいしかったので、仕事をしながら飲むのにもとても合いそう! 究極の一杯を、ごちそうさまでした。
残りの豆も挽いて、持ち帰り用に袋に入れます。この袋は、酸化を防ぐために酸素を遮断し、焙煎すると出てしまう炭酸ガスを外に逃がすという特殊なコーヒー専用の袋です。焙煎したての状態を少しでも長く保持できるように、袋もこだわっているそうです。
シーラーで封をし、オリジナルのラベルを貼ってできあがりです!
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コーヒーは国境をこえて世界中で愛される嗜好品。ブレイクタイムに欠かせないだけでなく、「お茶をしよう」の一言でコーヒーを飲みながら会話が生まれます。もはや世界共通のコミュニケーションツールだと思います。
私も毎日飲む大好きなコーヒーを、最上級の豆をブレンドして自分で焙煎する日が来るなんて、思ってもいませんでした。
「ここでは本物のコーヒーの味をみなさんに知ってもらうだけじゃなく、自分好みのオリジナルブレンドを作る場所にもしていきたいんですよ」と舘田さん。
焙煎したコーヒーをパッキングして、自分のネーム入りでステッカーを作ってくれるので、まさに世界に1つだけのスペシャルティコーヒーを作れます! 自分へのご褒美や、大切な人へのプレゼントなどにも最上級の一品になること間違いなしです。
コーヒー1杯でこんなに幸せな気持ちになれるなんて……。贅沢の極みがある秘密基地発見です!
読者プレゼントのお知らせ
舘田珈琲焙煎所のスペシャルティコーヒーで作った「はぴさやブレンド」を5名様にプレゼント! 詳しくはこちら!
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オリジナル記事:ブルーボトルもいいけれど、コーヒー好きに知ってほしい「スペシャルティコーヒー」の世界 | はぴさやがゆく! ネットショップの裏側探検記 | ネットショップ担当者フォーラム
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