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「Guardian Chalkboards」に見るすぐれたコンテンツの力

コンテンツは王様だ。その好例を英国ガーディアン紙がスタートしてサッカー向けFlashアプリに見てみよう。
Distilled
SEOmozは英国Distilled社と提携し、検索エンジン市場のニュースと情報を提供している。この記事はDistilled.co.ukに勤務する協力者から提供されたもので、内容はすべて筆者自身の見解であり、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。

今のこの時代とインターネットの力は、ときとして僕を驚かせる。そうした驚くべきものの中には、共有する価値のある情報が何かしら見つかるけれど、今回紹介するのもその1つ。必ずしもSEOに直接関係しないにせよ、驚嘆すべきインターネットマーケティングの好例になっているし、データと独創的なコンテンツがどれほどの威力を持っているかに改めて気付かせてもくれる。

これから話をするのは、英国の新聞ガーディアン紙が最近リリースした「ガーディアン・チョークボード」というサッカーのアプリケーションだ。

これは、過去3年間にわたる英プレミアリーグの全試合データを収めたオンラインアプリケーションで、パス、シュート、スローイン、シュート阻止、ドリブラーへのタックルなど、全出場選手のあらゆるプレイも網羅している! これはすごいデータ量で、仮想チョークボードを描いて試合や選手を比較できる仕組みになっている。

ここで、お料理番組風に一言、「はい、あらかじめ作っておいたものがこちらにあります

上部の訳:

2009年2月1日
リバプール 2 (0) チェルシー 0 (0)
S・ジェラード | シュート数 | すべて | 0分~90分

全シュート数:3
ゴール:0
枠内:1
枠外:0
相手によるブロック:2

リバプール

下部の訳:

2009年1月28日
ウィガン・アスレチック 1 (0) リバプール 1 (1)
S・ジェラード | シュート数 | すべて | 0分~90分

全シュート数:2
ゴール:0
枠内:0
枠外:2
相手によるブロック:0

ウィガン・アスレチック

これは基本中の基本、ごくサワリのような例だけど、アプリのコンセプトは伝わったんじゃないかな。

この種のコンテンツはとてもうまくできていて、チョークボードを作成するためのインターフェイスもよくできている。要するに、ちゃんと機能するってこと。ガーディアン紙はこれから当分の間、このアプリのおかげでリンクをかき集められるだろうし、それだけじゃなく露出度やブランド力も向上するだろうと思う。サッカー関連のあらゆる掲示板、ブログ、サイトは、もしまだなら今後数週間のうちにこのチョークボードを取り上げるだろうし、そこから得られるものはリンクだけにとどまらないだろう。

とはいえ、オンラインでの実装について何の批評もしないのは、SEO業界人の名がすたるというもの。そこで、まずはこのチョークボードについて僕が大いに気に入った点をいくつか挙げよう。

  • よくできていてる。インターフェイスがきちんと機能する(ごく小さな問題がちょっとあるが、それについては後述)。チョークボードの作成に問題はほとんどなく、作業手順の全体がほんの1〜2分で完了する(これには僕がアカウント登録に要した時間も含まれるので、次回以降はその分の時間がさらに減ることになる)。もちろん、だからといって一瞬しか楽しめないわけじゃなくて、望むならばこのデータで何時間も遊べる! うーん、とにかくすごいデータ量だ。

  • サイトの他の部分にうまく統合されている。各チームのページをちょっと見てみよう(たとえばここ、アーセナルのページだ)。ページ上部の目立つ場所に、チョークボードアプリケーションへのリンクがうまく置かれている。

  • ウィジェットとして利用できる! つまり、埋め込み可能ということ! しかも、ガーディアン紙のサイトへのHTML形式のバックリンク付き! ページ読み込みやクリックのたびに、トラフィックが増える。だから僕はウィジェットが大好きさ。

  • バイラルなコンテンツになっている。各ボードの下部に「自分自身のボードを作る」(Make your own)や「コメントする」(Comment)のボタンがあり、訪問者に行動を促す。どちらもユーザーに対してコンテンツへの参加を呼びかけるもので、ユーザー参加こそがバイラルコンテンツの鍵となる。

  • 賞品がもらえる。サッカーの熱狂的ファンには、データ遊びにインセンティブがどうしても必要であるかのように、ガーディアン紙は最優秀チョークボード賞を設けて、サイン入りのプレミアリーグのユニフォームを進呈している。

  • ソーシャルネットワーク的な機能を備えている。各チョークボードには自由にコメントを付けられる。これが議論や意見交換を生み、チョークボードについてのクチコミを助ける鍵になる。可能なかぎり、健全な議論を奨励しよう。各チョークボードへのコメントは、ユーザーのプロフィールページにも表示される(これが僕のページだ)。たしかに、プロフィールページのデザインはちょっと素っ気ないけれど、アイデアはいい。

  • チョークボードごとにURLが異なっている。これは基本だけど、いかに多くの人がここれを誤解しているかを知ったらきっと驚くよ!

  • 最後になったけれどやはり大切なのが、提供すると約束したものをちゃんと提供していること。成功するにはこれが決定的に重要で、ガーディアン紙はきちんと実行しているようだ。作業中にイライラや混乱を感じることはなかったし、データも信頼できそうだ。よくやった、ガーディアン。

オーケー、ガーディアン紙をほめるのはこの辺でいいだろう。今度は、もっとうまいやり方があるんじゃないかと思った点を挙げよう(このうちの多くが多分まだ開発段階にあるのは十分わかっているけど、ここで議論してみんなに知ってもらうのも有意義だろうから)。

  • Flashが大きすぎる。アプリケーション自体がFlashなのは当然としても、操作手順を何から何まで、これほど大きなFlashを使って説明する必要があるんだろうか。チョークボードの作成を促すボタンが、画面に収まらず下に隠れてしまっている。しかも、Flashが最初にロードされるときには、このボタンはページ上に存在すらせず、遅れて表示される! リンクジュースの面で損をするのは言うまでもない。これが大きな問題ではないのはわかるけど、個人的には気に入らない。

  • 「www.guardianchalkboards.com」というドメインに置かれているページが若干ある(たとえば、http://www.guardianchalkboards.com/clubchalkboards.aspx?clubname=arsenalなど。どうやら、スパイダーがクロールしやすいようにするためらしい)。僕にはこれは不必要に思えるし、これらのページはすべてメインのサイトに移すほうが価値があるだろう。繰り返すけど、これはたぶん開発中の問題なのだろう。

  • コード共有の方向性がまずい。ウィジェットの「Share」(共有する)をクリックすると、Diggやredditへのリンクがずらっと並んだリストが表示される。でも僕が思うに、このページがDiggやredditで評判になる可能性は、きわめて低いだろう。というのは、米国人の大半はサッカーが何たるかすら知らないし、ましてやそれぞれのボードなんて気にするはずがない。もっと、人々がこのコンテンツを共有してくれそうな媒体、たとえば電子メール(現状では、複数の人に自分のチョークボードのことをメールで知らせる簡単な方法がないし、何通送ったかを追跡する方法もない)やFacebookなどに照準を合わせるほうがずっといいと思う。サッカー業界では掲示板も大きな地位を占めているいるから、チョークボードの画像だけを示してそこからリンクさせる掲示板用の「軽量版」埋め込みコードを提供して、ネットユーザーがあちこちにコードを埋め込めるようにするのが有効だと思う。

  • コピー&ペーストするのがめんどくさい。これは些細な不満だけど、僕は非常に煩わしく感じていて、これが唯一、操作全体の中で本当にイライラする部分だ。チョークボード用のコードをコピーしようとすると、これがかなり面倒だ。埋め込みコードを、(1)自動でハイライト(すべて選択)して、(2)自動でクリップボードへ貼り付ける、という方式で提供してはいけないってきまりなんかはどこにもないはずだし、(3)クリップボードにコードをコピーするボタンを用意すべきだ。ユーザーが手作業でコードを選択してコピー&ペーストしなくちゃいけないのは、このアプリケーションを使いにくくするだけで、まったく不要な手間だ。私見だけどね。

  • チョークボードを共有するためのリンクはたくさんあるのに、パーマリンク(固定リンク)を提供するフィールドがどこにもない。これは絶対にどこかに作るべきだと思う。アドレスバーのURLをコピー&ペーストするのは簡単だけど、それだってひと手間になる。手間は省こう! それから、Twitterへの投稿はどうなってるのかな? パーマリンクはTwitterに貼り付けるのに最適だ。

  • もっとリンクを! ウィジェット内のリンクを簡明なHTML形式で提供しているのはいいが、サイト内にあるチョークボードのページに対してもリンクを張ったらどうだろうか? そうすれば、ガーディアン紙はリンクを稼げるし、ユーザーにとっても使いやすくなる。ページにすぐ飛べるようになり、コメントやチョークボードでのやり取りが活発になるはずだ。

  • タイトルタグを何とかしてほしい。おそらくガーディアン紙には、こうしたチョークボードで検索上位を獲得したいという気持ちがあまりないのだろうけど、タイトルタグをユニークなものにしてはいけない理由はない。結局、こうしたページがリンクを獲得していくんだし、リンクの付いているページは、そのリンクのおかげで検索順位も上がる。特に新聞社のサイトの場合は、ページビューと広告収入がすべてなんだから。

以上がガーディアン・チョークボードに対する僕の意見だ。ここからみんなが何かを学べることを願うよ。つまり、コンテンツは王様で、人を動かす絶対的な力があるってこと。結局のところ、コンテンツが僕にリンクを張らせるわけだから。さて今度は誰か、この手のNFLバージョンやNBAバージョンをぜひとも作ってくれないかな?

お断り:ガーディアン紙は当方のクライアントではありません。僕は単にこのチョークボードが大好きで、ぜひそのことを書きたいと思っただけです!

用語集
Facebook / Flash / HTML / SEO / クチコミ / クロール / コンテンツ / スパイダー / バイラル / パーマリンク / ページビュー / リンク / 固定リンク / 検索エンジン / 訪問者
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