Web担当者が知って得するインフラ基礎知識ー「クラウド型レンタルサーバー」とは
コロナ禍でオンライン上の情報の重要性が急速に高まり、Webコンテンツがビジネスの成功を左右する時代となった。実業務との関係もより深まるなかで、Webサイトにはさらに高い安定性が求められている。
安定したWebサイトの運営に必須となるのは、より良いレンタルサーバーを見分ける目だ。ニューノーマル時代に選ぶべきレンタルサーバーとは?
レンタルサーバーでのWeb運用に潜む問題点
新型コロナを機に、人との接触回避と事業継続を両立させる手段としてWebサイトの重要性が増している。動画を使ったインパクトのある製品紹介や、顧客とコミュニケーションしながらの販促活動など、Webの活用法もどんどん進化し続けている。
そんな企業のWebサイトを支えるインフラとして浸透しているのが「レンタルサーバー」だ。Web公開に必要なサーバーやOS、回線などの一式を貸し出し、運用までを事業者が面倒を見る同サービスにより、Webサイトにまつわる手間やコストを大幅に抑えられる。
しかし、実はそのレンタルサーバーにおいて隠れた課題を抱えている企業は少なくない。
レンタルサーバーは多くの場合、サーバーや回線を複数ユーザーで共有する方式を採用している。その仕組みから安価ではあるものの、ほかのユーザーの影響を受けやすいため安定性に欠け、必要なリソースを確保しにくいという弱点がある。
また、中小企業では、専任インフラ担当者がいないことも多く、コンテンツ製作など他の仕事も山積みで、トラブル予防に割ける時間も知識も限られている。
そうした状況の中で、「サイトが重い」「突然のアクセス急増で“503エラー”が出た」「サーバーで障害が起きたのか、いきなりアクセスできなくなった」などのトラブルに見舞われたとしても、どう対応していいかわからず、とりあえず放置しておくしかないこともしばしばだろう。それ以上の対応を忙しいWeb担当者に求めるのは酷だと言える。
しかし、コロナ禍によって訪れたニューノーマル時代において、Webサイトの停止が事業リスクであることは間違いない。では、企業、特にインフラ専任担当者を置けない中小企業は、どんなレンタルサーバーを選べばこの課題を解決できるのか。
レンタルサーバーを15年以上提供し続けてきたIDCフロンティアの黒田克之氏の答えは明快だ。
企業が選ぶべき“良い”レンタルサーバーとは、放っておいても安定して動き続ける、Web担当者がその存在を忘れて使い続けることができる、そんなレンタルサーバーです(黒田氏)
そして、そんな安定したレンタルサーバーとして黒田氏が提案するレンタルサーバーの新しい形態が、「クラウド型レンタルサーバー」だ。
クラウド型レンタルサーバーとは?
一般的な共有レンタルサーバーは、1つの物理サーバーの上に複数の企業がそれぞれのスペースを確保する形で運用されている。例えるならば、“シェアハウス”のような形だ。当然ながら、“家の設備”――つまり、下記のようなサーバーリソースも複数の企業で共有する形となる。
- 物理ハードウェア
- OS
- CPU・メモリ
- IPアドレス
- Apacheなどのサーバーアプリケーション
一方で、クラウド型レンタルサーバーとは、複数の物理サーバーから成るインフラ上に、仮想技術を利用して、各ユーザーに対してそれぞれの専用環境を構築し、あらゆるリソースを占有的に提供するという形だ。広い敷地内にたくさん家を建て、一軒ずつを貸し出すイメージである。当然、“家の設備”、つまり、OSやCPU・メモリ、IPアドレスやアプリケーションなどはユーザーごとに固有のものとなる。
クラウド型レンタルサーバー5つの強み
クラウド型レンタルサーバーは、一般的なレンタルサーバーの持つ強みである「運用管理の楽さ」はそのままに、下記のような強みを備えている。
強み その① 他社の影響を受けにくく安定性が高い
一般的な共有レンタルサーバーは、その仕組み上、同じサーバーを共有する他社の影響を受けやすい。他社にアクセスが集中したり、他社が重い処理を行っていたりすると、自社には何の関係もないのに自社サイトが重くなってしまうようなことも珍しくない。
一方で、クラウド型レンタルサーバーは事業者が用意する仮想サーバーを丸ごとユーザーに貸し出すため、リソースを独占的に利用でき、他ユーザーによる自社システムへの悪影響はそもそも発生しない。自社の状況だけを見て安定的に利用できる。
強み その② メモリやCPUなどのリソース調節が簡単
Webサイトに用意するリソースの見極めは大切だ。少なければレスポンスの悪化やアクセス集中時のサイトダウンなどのビジネス機会ロスが、多すぎれば余分なコストが発生してしまう。費用対効果の観点からは、継続的に見直したいところだ。
しかし、一般的な共有サーバーの場合、そのリソースが物理サーバーの制約を受けるため、思い通りに調節できないことがある。例えば、「ここのところ自社サイトへのアクセス数が増えている」「新しいキャンペーンを行うため来月からアクセス増が見込まれる」などの理由でアップサイジングをしたいと思っても、物理サーバーのキャパシティがいっぱいだった場合、いちいちサーバーの引っ越しなどの余分な作業が必要となってしまう。
一方、クラウド型であれば、ハードによる制約が存在しないため、リソース増強に伴うシステムの乗り換え作業も発生しない。リソース調整もWebから簡単にシームレスに行えて、もちろん引っ越し作業なども生じないため、システム停止も避けられる。
少額からスモールスタートして、少しずつスペックアップしたり、試しにプランを上げて様子を見てやっぱりダウンサイジングするような調整も、より気軽に行えるというわけだ。
強み その③ 個別のカスタマイズやチューニングに対応してもらえる
一般的なレンタルサーバーでは、ハードウェアからサーバーアプリまでを複数ユーザーで共有するため、自社だけ特別な仕様にしてもらうことはそもそも技術的に難しい。
しかし、クラウド型であれば、仮想サーバーを丸ごと利用するため、利用するコンテンツに応じたミドルウェアパラメータに調整してもらうことも可能となる。
さらには、「この仮想サーバーはこういう用途で使う」ということがわかっていれば、忙しいWeb担当者に代わって、提供側のプロがその用途に合わせて仮想サーバーを細かくチューニングするようなことも可能となるのだ。
強み その④ 高いセキュリティ
共有サーバーでは、あるユーザーがセキュリティホール(脆弱性)を持った状態で運用していると、それが他のユーザーにも影響を及ぼすことがありえる。自社の関与しないところにセキュリティに穴が出来てしまう可能性があるのだ。
クラウド型サーバーは、ユーザー別にOSから分離されているため、あるユーザーのセキュリティホールが他の環境に影響を与えることがない。また、WAFやアンチウィルスソフトがサーバーに標準装備されているため、攻撃を受けるリスクも下げられる。
強み その⑤ 費用対効果が優れている
共有サーバーの安価さは、1つの物理サーバーにより多くのユーザーを収容することで成り立っている。いわば性能や利便性と引き換えに安価な料金を実現しているとも言える。低価格のサービスでは、同一サーバーに数百ユーザーが収容されているケースもあるという。
クラウド型レンタルサーバーは、仮想技術によって、仮想サーバーを支えるIT基盤の利用効率を高めることで安価な料金を実現しています。そのため、高い性能と利便性を確保できるんです(黒田氏)
IDCFクラウドが安定性と柔軟な拡張を支える
もっともクラウド型レンタルサーバーを提供するには、仮想技術に関する高度な知識やノウハウ、安定したインフラ環境が必要なため、国内で提供されているサービスの数は現状そう多くない。
その1つが、IDCフロンティアが提供する「Zenlogic ホスティング」だ。
Zenlogicホスティングは、過去5年以上にわたって、AWSなど他社クラウドを基盤としたクラウド型レンタルサーバーを提供している。2019年5月にはラインナップに、自社クラウド「IDCFクラウド」を利用した「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud(ICシリーズ)」を加えた。
IDCFクラウドという基盤上でZenlogic ホスティングを提供するメリットは下記だ。
メリット その① データセンターからレンタルサーバーまで垂直統合による高いサービスレベルの実現
IDCFクラウドは、国産クラウドとして高い性能と安定性を誇っている。そうした基盤の上にクラウド型レンタルサーバーを構築することで、IDCFクラウドの高性能さをそのままレンサバでも享受できるというわけだ。
こうした高性能の鍵は、IDCフロンティアが自社で管理・提供しているデータセンターと大容量ネットワークの上に基盤構築しているところにある。
自社で管理していないパブリッククラウドの上にシステム基盤構築した場合、ハードウェアの稼働状況こそモニターできるものの、データセンター内の運用状況はブラックボックスのままだ。障害が起きたとしても、現場で何が起こっているのかの把握もままならない。
しかし、IDCフロンティアの自社基盤であれば、サーバーや回線がどこでどう管理され、どこまで作業が進んでいるかまでを詳細に把握できる。「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」の運用オペレーションも、レンタルサーバーレベルではなく、データセンターを含むサービス全体を垂直統合で管理することでサービスレベルが格段にアップしたのだ。
IDCFクラウドを基盤とすることで、採用前よりもディスクのパフォーマンスが上がって、体感ですが、社内でのベンチマークでは10倍程度くらいはサクサク動くようになりました。速くなっていることを確認してます。一方で、基盤を起因とするトラブルや障害などの問い合わせは激減しましたね。ユーザーが問い合わせをする必要もなく順調に動作しているということで、何よりも喜ばしいことです(黒田氏)
メリット その② ビジネスの成長に併せて最適なインフラを選択できる
最初はスモールスタートしたサービスであっても、長く利用し、規模が一定以上のレベルに達した場合、レンタルサーバーからクラウドなど別のインフラ形態に移行したいと思うことも出てくるかもしれない。そこで、データセンターからクラウドまで、幅広いサービスを提供しているIDCフロンティアが強みを発揮する。
IDCフロンティアの藤本京子氏は、「ビジネスを長く維持していると、自社のビジネスの伸長や変化に合わせて最善のインフラを選択しなければならない日が来るかもしれません。IDCフロンティアには多様なインフラの選択肢と長年のノウハウがありますから、お客様から寄せられる相談に対して、ご利用用途やシステムに合わせた構成、セキュリティ要件などを踏まえ、クラウドへの移行の良し悪しについてもサポートできます」と説明する。
メリット その③ CDNもワンストップで提供
「ここのところサイトの表示がずっと遅い」「自社商品がテレビで紹介されたらサイトにアクセスが集中してダウンしてしまった」など、サーバーへの一時的・継続的な負担が大きくなることでWebサイトへのアクセスがしづらくなることがある。しかし、特に中小企業では、管理者の知見やリソースが足りず、なかなか解決に至らないケースもある。
そうした状況を解決できるのがCDN(Content Delivery Network)だ。CDN側に配置されたキャッシュサーバーが大量のアクセスを肩代わりすることで、大元の企業Webサーバー(オリジンサーバー)の負荷は大幅に下がり、サイトがアクセス集中で落ちることがなくなる。サイト表示速度も速くなるという仕組みだ。
IDCフロンティアでは、「IDCFクラウドCDN」を提供している。
IDCFクラウド CDNは、グローバルで豊富な実績を誇るFastlyのエッジクラウドプラットフォームを基盤に採用しています。そのUIを日本語化し、知識のない方でも使いやすいようにカスタマイズして、初期費用無料、利用期間のしばりなし、コミットなしの完全従量課金という使いやすい形態で提供しています。
CDNまで提供するレンタルサーバー事業者は多くはありません。我々はワンストップ、そしてサポート込みで提供しています。コロナ禍でWebサイトへのアクセスが増えている今、必要性の高まっているサービスだと思います(IDCフロンティア 荒木健至氏)
IDCフロンティアのクラウドCDNについて詳しく知りたい方はコチラ。
メリット その④ 無料証明書の提供やCent OSサポートなどユーザーに負担をかけない工夫
IDCフロンティアでは、ユーザーがなるべく何もしなくても安定してWebサイトの運用が続けられるような数々の工夫を行っている。
例えば、古いAndroid端末に対応している証明書の無料提供だ。Android 7.1.1以前を搭載するスマホは、とあるSSL証明書の有効期限切れにより、2022年末から世界中のWebサイトの約3分の1と通信できなくなってしまう。Web担当者にとってこれはアクセス減に直結する大きなリスクと言える。
「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」はデジサートグループが提供するSSL証明書を標準機能として追加費用なしで提供している。この証明書は99%以上のAndroidに対応しており、その利用によりアクセス減を回避できる。
他にも、Webサーバーで広く用いられているCentOS 8のサポート期限は従来2029年5月までと発表されていた。それが、2020年末にいきなり「2021年末でサポートを終了する」と変更された。IDCフロンティアはこれにも即座に対応、2029年5月末までCentOS 8を提供できる体制を整え、既存ユーザー向けのOSアップデートも準備中とのこと。
当社ではユーザーに極力負担をかけず、レンタルサーバーを借りていることを意識することなく使い続けられるようなサービスの提供を常に心掛けています。それこそが“良いサービス”だという思いがあるからです(黒田氏)
多くのユーザーに選ばれる「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」
これらのメリットを高く評価し、「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」を採用する企業は業種・業態を問わず数多い。
我々は、長年レンタルサーバーを提供してきた過去の経験から、レンタルサーバーは果たしてどうあるべきかということを考え抜き、再定義を試みました。その結果としてたどりついたのが、物理のサーバーを捨て、クラウド型という形で、手軽さはそのままに、自由度と安定性を両立させた「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」なんです(黒田氏)
Webサイトと事業の結びつきが深まる中、手間なく安定したシステムを実現する基盤として、「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」の存在感は今後、さらに増すことになりそうだ。
- とにかく高性能で安定したサーバーを選びたい
- 柔軟性や拡張性に優れたインフラを選びたい
そんなWeb担当者は「Zenlogic ホスティング on IDCF Cloud」を検討してみてはいかがだろうか。
- IDCフロンティアZenlogic ホスティング on IDCF Cloud
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