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売上1000億円めざすライフがAmazonで展開のネットスーパー、東京・埼玉・千葉で配送エリアを拡大

3 years 9ヶ月 ago

ライフコーポレーションは7月28日、実店舗で扱っている生鮮食品や惣菜などをAmazon上で展開するライフネットスーパーの販売エリアを拡大した。

7月26日から、東京都の多摩市、八王子市、町田市を新たに配送エリアへ追加。7月28日から、埼玉県の春日部市、川口市、越谷市、さいたま市岩槻区、草加市、吉川市、千葉県の市川市、鎌ヶ谷市、船橋市、松戸市を配送エリアに加えた

現在の配送エリアは、東京23区・16市、神奈川県9市、千葉県13市、埼玉県10市、大阪府26市・1郡、京都府3市、兵庫県6市。

対象エリアのプライム会員は、ライフの実店舗で取り扱っている野菜や果物、精肉、鮮魚、「ライフプレミアム」「スマイルライフ」といったプライベートブランド(PB)商品など、計数千点の商品をAmazon.co.jpのWebサイト、Amazonショッピングアプリを通じて購入できる。

ライフコーポレーションの2022年2月期におけるEC売上高は前期比81.1%増の約96億円。EC売上高は、自社による「ライフネットスーパー」と、Amazon上のライフネットスーパーの合計売上高。

2023年3月期のEC売上高は200億円、2030年度には売上高1000億円をめざす。

ライフコーポレーションの2022年2月期におけるEC売上高は前期比81.1%増の約96億円
ネットスーパー売上高の推移と計画(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
瀧川 正実

プレステージ化粧品のNPS1位は日本ロレアル。品質や商品性、企業や商品のイメージ、信頼性がロイヤルティ醸成に寄与

3 years 9ヶ月 ago

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」によると、顧客ロイヤルティを測る指標の「NPS(ネットプロモータースコア)」が最も高いのは日本ロレアルだった。

調査対象の化粧品会社6社うち、NPSのトップは日本ロレアルで3.6ポイント。2位はイプサで-2.5ポイント、3位はP&Gプレステージ-8.6ポイント。6社のNPSの平均は-7.9ポイント、トップ企業とボトム企業との差は20.9ポイント。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 NTTコム オンライン NPSベンチマーク調査2022(プレステージ化粧品)
NTTコム オンライン NPSベンチマーク調査2022(プレステージ化粧品)

プレステージ化粧品のロイヤルティの要因

16項目で分析したところ、「効果・効能」「自分に合った商品がある」「使い心地の良さ」といった化粧品の品質や商品性に対する評価、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」「商品の信頼性・安全性」といった企業や商品のイメージの良さや信頼性に関連する項目が、ロイヤルティを醸成する結果となった。

また、「肌悩みなどのヒアリング力の高さ」「自分に合った商品の提案力」「お手入れ方法など商品以外の提案力」といったビューティーアドバイザー(美容部員)の対応力に関連する項目も評価が高い。

「有効成分の含有量」についても利用者における関心が高い項目となり、今後は利用者の期待に応えていくための背景要因を探索していくことが期待される結果となった。

一方、「コストパフォーマンス」は、推奨度との相関が最も低く、ロイヤルティに与える影響が少なかった。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)

日本ロレアルは、「効果・効能」「使い心地の良さ」「自分に合った商品がある」といった品質や商品性に関連する項目の評価が高い。

2位のイプサは「肌悩みなどのヒアリング力の高さ」「自分に合った商品の提案力」「お手入れ方法など商品以外の提案力」といったビューティーアドバイザーの提案力や対応に関連する項目の評価が高かった。

3位のP&Gプレステージは化粧品の商品性に関連する項目のほか、「専用機器による肌診断の精度の高さ」の項目で高評価となった。

プレステージ化粧品を利用する決め手の情報源

1位は「無料のサンプルセット」(22.0%)、2位は「友人・知人からのお薦め」(口コミ)(20.8%)、3位は「口コミサイトや比較サイトでの評価」(19.6%)。

年代別に情報源を分析したところ、20代以下や30代の若年層は「友人・知人からのお薦め」。20代では「SNS」や「YouTubeなどのコスメ関連動画」、30代では「口コミサイトや比較サイトでの評価」がそれぞれ高く、SNSを主な情報源としている。

また、40代から60代以上は、「対象ブランド・会社のビューティーアドバイザーからの提案・お薦め」に加え、「テレビやラジオの番組や広告」、「女性誌や美容専門紙の記事や広告」「折り込みチラシやDMなど」といったマスメディアの媒体や広告を情報源としている傾向ある。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 化粧品全般に関する普段の情報源
化粧品全般に関する普段の情報源

化粧品全般に関する情報収集では、全体は「アットコスメ」が48.1%と最も高く、「友人や知人からの口コミ」(40.3%)、「メーカーのサイト」(24.9%)、「Instagram」(21.5%)と続いた。特に20代以下や30代の若年層では「Instagram」「YouTubeのコスメ関連動画」「Twitter」などが突出して他の年代に比べて高い。

ロイヤルティ向上はSNSがカギ

該当のプレステージ化粧品利用者におけるSNS利用について調査したところ、SNSを利用・閲覧したことがある利用者は全体の72.9%、SNSでのメイクやコスメに関する情報を閲覧したことがある利用者は全体の56.2%となった。

SNSで該当のプレステージ化粧品について調べたり情報を閲覧した経験は「対象ブランドの商品情報を閲覧した」が最も高く38.5%。「対象ブランドの公式アカウントの情報を閲覧した」(28.2%)、「対象ブランドの利用者の口コミ情報を閲覧した」(28.1%)と続いている。

SNSによる対象のプレステージ化粧品の情報閲覧などの利用経験別にNPSを分析したところ、いずれのSNSの経験においても、経験がない利用者に比較してNPSが高くなった。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 SNSの利用経験別NPS
SNSの利用経験別NPS

企業がSNSを用いて利用者との接点を持ち、適切な情報発信を行っていくことがロイヤルティ向上につながることが示唆されている。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 推奨セグメント別継続利用意向
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が実施した「NPSベンチマーク調査2022 通販化粧品部門」 NPSセグメント別過去1年間のポジティブな口コミの件数
NPSセグメント別過去1年間のポジティブな口コミの件数

調査概要

  • 調査対象企業(アルファベット順、50音順):P&Gプレステージ(SK-Ⅱ)、イプサ(IPSA)、花王・カネボウ化粧品(DEW SUPERIOR、est、KANEBO、LISSAGE、TWANY)、コーセー(DECORTÉ、INFINITY)、資生堂(HAKU、SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、ベネフィーク、リバイタル、リバイタル グラナス)、日本ロレアル(LANCÔME、イヴ・サンローラン、シュウ ウエムラ、ヘレナ ルビンスタイン)
  • 調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち、上記化粧品会社の化粧品の利用者
  • 調査方法:NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間:2022年6月20~27日
  • 有効回答者数:1836人
  • 回答者の属性:性別は女性が100.0%、年代は20代以下が16.1%、30代が18.0%、40代が21.0%、50代が17.8%、60代以上が27.1%

NPSとは?

推奨度が高ければ高い顧客ほどリピート率が高く、クチコミによる新規顧客の獲得にもつながるため、企業はNPSを向上させることで収益を上げることができるとされている。

NPSは次のように計測する。

「友人に(特定商品などを)すすめたいと思いますか?」と顧客に質問し、0~10点で推奨度を計測。次のように分類する。

  • 0~6点を付けた人 → 「批判者」
  • 7~8点を付けた人 → 「中立者」
  • 9~10点を付けた人 → 「推奨者」
ネットショップ業界(EC業界)のNPSに関する調査結果
NPSの計測方法

NPSは、「推奨者」の割合(仮に40%)から「批判者」の割合(仮に25%)を引いた数値(40%-25%=15%)のことを指す。「推奨度」を聞くことで、顧客がどれほど企業・ブランドに対してロイヤルティがあるかを数値化する。

石居 岳

【企業様向け】「この内容で相談できる?」SEO会社の上手な活用方法とは

3 years 9ヶ月 ago

こんにちは、アイオイクスの豊藏です。 この度、ホワイトペーパー「SEO会社の上手な活用方法」を作成・リリースしましたのでお知らせいたします。 ※ダウンロードはこちらから アイオイクスには、常日頃からSEOを中心に様々なお … 続きを読む

投稿 【企業様向け】「この内容で相談できる?」SEO会社の上手な活用方法とはSEO Japan|アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ に最初に表示されました。

ファンケルのライブショッピング、2年で約45万人が視聴

3 years 9ヶ月 ago

ファンケルは、「ライブショッピング」の延べ視聴者数が約45万人に達したと発表した。

「ライブショッピング」のスタートは2020年7月。これまで累計106回の配信を実施してきた。新型コロナウィルス感染症拡大を受けて、オンラインを使用したコミュニケーション方法として実施している。

ファンケルの「ライブショッピング」はすべて内製。構成内容や出演、本社社屋に専用のスタジオを設置し、自社内から配信している。また、直営店舗で配信する回もある。

ファンケルは、「ライブショッピング」の延べ視聴者数が約45万人に達したと発表
「ライブショッピング」のPCサイト(編集部がキャプチャして追加)

毎回テーマに沿った製品を、企画、研究、相談窓口、店舗スタッフ、商品PRといった担当者が、製品特長から開発経緯、お勧めの使用方法、お得な情報などを紹介している。

ライブコマースは、自宅のパソコンやスマートフォンでライブ動画を閲覧しながら、リアルタイムで製品を購入できるショッピング方法。ライブ中には視聴者からのコメントや質問にもリアルタイムで対応している。

なお、ライブコマースのプラットフォームは「HandsUP(ハンズアップ)」を活用している。

瀧川 正実

ラストワンマイル物流のエニキャリが5.5億円の資金調達、即時配達型物流を強化

3 years 9ヶ月 ago

短距離・ラストワンマイル物流に特化した物流ソリューション事業を展開するエニキャリは7月、ベンチャーキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって、総額約5億5000万円を調達した

短距離・ラストワンマイル物流に特化した物流ソリューション事業を展開するエニキャリは7月、ベンチャーキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって、総額約5億5000万円を調達

エニキャリに出資したのは、伊藤忠テクノロジーベンチャーズが運営管理するテクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合、ENEOSイノベーションパートナーズ、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合、JA三井リース、りそなキャピタル6号投資事業組合。これにより累積資金調達総額は約12億5000万円となる。

調達資金は物流ソリューション事業へ投じ、配送エリアの拡大、即時配達型物流プラットフォームのシステム開発、人材採用の強化につなげる。

エニキャリは、店舗から消費者へのクイックデリバリー(短時間配達)を必要な時だけ利用でき、利用した分だけ料金が発生するオープン型配達インフラ「DeaaS(Delivery as a Service=デリバリー・アズ・ア・サービス)モデル」を提唱している企業。

「オンラインとリアル」「企業とヒト」「ヒトとヒト」をつなぐ、短距離・ラストワンマイルに特化した物流サービスを展開している。

フードデリバリーなど即時配達の注文管理に必要な機能を搭載した「注文受付サイト構築サービス」、配達情報における始点(ピックアップ)・終点(お届け先)の地点情報を基にする「自動配達管理システム」、既存ECシステムと連携した配達代行を委託したいといったニーズに対応する「ドライバーインフラ」を提供している。

短距離・ラストワンマイル物流に特化した物流ソリューション事業を展開するエニキャリは7月、ベンチャーキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって、総額約5億5000万円を調達
エニキャリが展開する3サービス
石居 岳

電気自動車の導入を急ぐAmazonなど環境問題に取り組む米国のEC関連企業のいま | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

3 years 9ヶ月 ago
Amazonは電気自動車を100以上の都市で運行する予定。WalmartはEVスタートアップ企業のCanooから4500台の配送バンを購入することに合意しています

Amazonは2022年末までに、電気自動車メーカーRivian社の電気自動車を100以上の都市で運行する予定です。現在、配送車両をガソリン燃料から電気技術に移行させようとしている企業は、Amazonだけではありません。

Amazonは2022年末までに、電気自動車メーカーRivian社の電気自動車を100以上の都市で運行する予定

アマゾンの会員サービス「Amazon Prime」で荷物を届けるとき今後、配送車が停車する音が聞こえくなるかもしれません。

その理由は、オンライン小売業界の巨人であるAmazonが、EVスタートアップのRivianがオーダーメイドで製造した、全電気配送トラックの最初の1台を使ったサービスを正式に開始したからです。最終的には、10万台の電気トラックが活用されるようになるでしょう。

Amazonは2022年末までに、電気自動車メーカーRivian社の電気自動車を100以上の都市で運行する予定
Alexa(アレクサ)を搭載し、経路情報や最新の天気情報にハンズフリーでアクエスできる(画像は編集部が追加)

Amazonは1年以上前から、Rivian社のプロトタイプをテストしてきました。このほどボルチモア、シカゴ、ダラス、カンザスシティ、ナッシュビル、フェニックス、サンディエゴ、シアトル、セントルイスなどの市場で、このEVトラックを使って正式に事業を開始したと発表しました。

Amazonは2022年末までに、電気自動車メーカーRivian社の電気自動車を100以上の都市で運行する予定
3談の棚がある荷物室は開け閉めしやすいドアで仕切られている(画像は編集部が追加)

2022年末までに100都市へ拡大。その後もEVトラックの保有台数を増やしながら、成長につなげます。また、欧米の自動車メーカーStellantisのトラック部門であるRamにも小規模の発注を予定しています。

Rivian社がオーダーメイドで製造した配送トラック(編集部が追加)

環境面でのメリット

この動きは、「Amazon Prime」や競合他社が直面している一部批判への対処に役立つでしょう。米国の消費者はオンラインショッピングを受け入れていますが、道路を徘徊する大量の配送トラックは、地球温暖化ガスやその他の有害な排気ガスを大量にまき散らしています。

EVトラックの利用開始を「重要なマイルストーン」と位置付けたAmazonのアンディ・ジャッシーCEOは、声明のなかでこう言います。

気候変動の影響と戦うには、絶え間ない革新と行動が必要であり、Amazonは環境への影響を最小限に抑える新しい方法を発明する、という情熱を共有する企業と提携していきます。

Amazonは2019年2月、Rivianから電気トラックの小規模な台数を購入する計画を初めて発表し、その後すぐに2030年までに購入するトラックの数を10万台に拡大するとしています。

これは、2021年12月に納入を始めたピックアップ「R1T」とスポーツ・ユーティリティ・ビークル「R1S」という2つの小売向け商品ラインの開発にも着手していた新興のEVメーカーRivianにとって、大きな一歩となりました。

Amazonは、Ford Motor社を含む著名な支援者たちとともに、Rivianに投資する計画を発表。その後、Ford Motor社はRivian社への出資比率を引き下げ、新商品の共同開発計画も断念しましたが、現在も約8690万株(9.7%)を保有しています。

写真下:Amazonは現在、Rivianと共同開発した電気自動車配送トラックの第1段を使用しています

大きなEVトラック市場

配送車両をガソリン燃料から電気技術に移行させようとしている企業は、Amazonだけではありません。市場調査会社のBlueWeave Consultingが2021年1月に発表した調査によると、EVトラックの世界市場は2021年に214億ドルへ到達。2028年末までの年平均成長率は14.6%で、市場規模は423億ドルに達すると予測されています。

一方、多くの新興企業やレガシー自動車メーカーが現在、そのビジネスを巡って争っています。

UPSとFedExも電動化を進めています。FedExはすでにGMの子会社PrideDeopから数台の電気トラックを購入。また、UPSはガソリンエンジン搭載のトラック車両を購入する計画に対する批判に屈しました。UPSは現在、その膨大な保有車両の40%を電気自動車にすることを計画しています。

Amazoがタッグを組んだRivian社の競合

FordとGeneral Motorsは、新しいEVトラックの子会社を立ち上げ、かなりの受注を獲得していると言います。一方、Mercedezは、欧州のAmazonに自社のEVトラックを提供する契約を締結しました。

Walmartは7月、EVスタートアップ企業のCanooから4500台の配送バンを購入することに合意。さらにこの取引を1万台まで拡大する可能性があると説明し、Canooを救済しました。その数週間前、Canooは投資家に対して、2021年後半に予定通り生産を開始するための十分な資金がないと警告していたばかりだったからです。

Amazon側は、新しいRivianのトラックは環境に優しいだけでなく、ドライバーの仕事をより簡単かつ安全にするはずだと説明します。このトラックは、ドライバーが荷物を預けに行くときに自動的にロックされ、戻ってくると開錠されます。

バルクヘッドドアは手動式ではなく、電動式にすることで、より簡単に荷物を手に取ることができるようになりました。また、外側のドアは衝突に耐えられるように強化し、キャビンエリアは人間工学に基づいたデザインに変更しました。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

再配達率が低下したワケは?置き配、宅配ロボット、デジタルキー活用など多様化する宅配便の受け取り方 | 通販新聞ダイジェスト

3 years 9ヶ月 ago
コロナを機に宅配便の受け取り方法の多様化が大きく進展、再配達率が低下しています。2025年度に10%程度までの目標を達成することはできるでしょうか

コロナ禍における2年間で宅配便の受取方法の多様化が大きく進展した。置き配が一気に普及したことに加え、宅配ロボットの実証実験やスマートキーを活用したオートロック式集合住宅への置き配など新たな取り組みも試行されるようになっている。併せて多様化の目的としている宅配便の再配達の削減も一定の成果を上げているように見られる。この2年間の受取方法の多様化の動向を振り返るともに、今後のさらなる再配達の削減が可能なのかを探る。

宅配便の再配達削減に向け、宅配事業者や楽天グループなどが参加する「置き配検討会」を設立

通販新聞 置き配 再配達率 受け取り手順の多様化を巡る動き
受け取り手段の多様化を巡る推移

国土交通省などが「置き配検討会」を立ち上げたのは2019年3月。その約1年後に新型コロナウイルス感染症が国内でも広がり始めることになった。

それまで盗難などを不安視して一般ユーザーに受け入れられにくかった置き配だが、検討会も当初は予想もしなかったであろうほどに、置き配に対する見方が大きく変化することになる。

「置き配検討会」は、その前身となる「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」において宅配便の再配達の削減に向けて①宅配事業者とEC事業者とのデータ連携の推進 ②再配達の実態の詳細分析 ③多様な受取方法の推進を行うことが決定し、③を具体的に進める狙いで立ち上がった。

置き配に積極的な日本郵便といった宅配便事業者、アマゾンジャパンや楽天グループといった仮想モール事業者、ファンケルなど通販事業者などがメンバーだった。

検討会は21年3月までに5回開催し、「置き配の現状と実施に向けたポイント」をまとめるに至った。まさに新型コロナウイルス感染症が拡大し始め、最初の緊急事態宣言が発令される直前でのとりまとめだった。

再配達率、緊急事態宣言の発令で8.5%まで低下

国交省が17年10月分から、4月分とともに調査するようになった宅配便の再配達率に関する調査では、15~16%(全体)で推移していたのが、20年4月の結果は4月7日に7都府県、4月16日に対象を全国に拡大した緊急事態宣言の発令から一気に8.5%(同)と10%未満まで低下した。

通販新聞 再配達率の推移 国土交通省の調査
宅配便の再配達率の推移(国土交通省の調査)

この再配達率は、20年度に13%程度と掲げていた目標を大きく下回るもの。外出自粛や非対面・非接触という行動様式の必要性から、置き配をはじめとした受取方法の多様化への対応が大きく進展したためと言える。

再配達率は、その後に10%を下回ることはないが、11%台(同)が続き、直近の今年4月は11.7%になっている。新たな再配達率の目標である25年度に10%程度の達成まで約2ポイントという状況だ。

宅配大手、いずれも置き配を実施

住居の玄関前や自転車のカゴのなかなどへの置き配は大手宅配便事業者のなかでも日本郵便が先行しており、積極的に取り組んでいた。

一方、ヤマト運輸や佐川急便はセキュリティなどの課題などもあるためか、コロナ以前に大々的に実施するにはいたらなかったようだ。むしろヤマト運輸はオープン型(複数の宅配便事業者が活用可能)の宅配便ロッカーへより注力する姿勢を示し、同ロッカーが受取の多様化の急先鋒としての施策としていた。

ところが、2社とも非対面・非接触の要請から、配達先でインターフォンを通じて、玄関前などに荷物を置くことを依頼されるといったケースが増えるようになった。そして、佐川急便は20年5月に置き配の「指定場所配達サービス」を開始し、ヤマトも同年6月にEC専用の配送商品である「EAZY(イージー)」をスタート。両社とも正式に置き配に取り組むこととなった。

通販新聞 ヤマト運輸のEC専用の配送商品「EAZY(イージー)」
ヤマト運輸が提供するEC専用の配送商品「EAZY(イージー)」で選べる受け取り方法
(画像は「ヤマト運輸」サイトから編集部がキャプチャし追加)

このうちヤマト運輸の「イージー」は、配達直前での配達先変更、受取時間の変更も行えるといった新たな機能を有するのが特徴。置き配だけでなく、対面での受け取りでも受取手の利便性を向上したものとした。

いずれにしても宅配便大手3社のいずれもが置き配へ大きく舵を切ったことが、コロナ禍において非対面・非接触の購入手段として通販・ECの需要が増えることに伴い、荷物量が増加するなかでも、ほぼ宅配便が逼迫することがなかった大きな要因と見られる。

新たな再配達率目標の“10%”へ

25年度を目標とする再配達率10%程度に達するには、11%台となっている現状より2ポイント近い低減が求められる。コロナ禍で大きく低下した再配達率だが、今後、さらに2ポイントの低下というのはそう簡単にクリアできるだろうか。

前回の目標だった15%程度は21年度の4月、10月、22年度の4月のいずれとも下回る状況が続いている。今後のコロナの収束はまだ見通せる状況でなく、通販・EC需要の変動、さらにリモート勤務から出勤へのシフトも徐々に進展しているだけに、直近の11%台という再配達率を維持することができるかは定かではない。

通販新聞 置き配のようす
玄関前に配送する「置き配」のようす

オートロック式集合住宅の置き配、宅配ロボットなどの実験が進む

しかし、置き配に関しても新たな取り組みや実験が相次いでいて、再配達の削減を重視するところは多い。

ヤマト運輸は2月からデジタルキーを活用した「車内への置き配」の実証実験を開始。受取手の自家用車にデジタルキーで解錠可能な専用でデバイスを設置してデジタルキーによりトランクなどを開けてECサイトで購入下商品を置くという取り組みだ。

また、同社は3月から、複数のデジタルキーを一括管理できるシステムを開発し、デジタルキーを提供する5社と連携して、オートロック式集合住宅などのエントランスを解錠して、事前に指定を受けた場所へ置き配を可能にした

また、宅配ロボットについては、4月に国会で道路交通法改正案が可決し、その中で自動配送ロボットも「遠隔操作型小型車」として位置付けられている。1年以内の施行予定で、来年4月以降に、登録制で公道での走行が可能になる

また、国交省は非接触・非対面型輸配送の推進のためのモデルを構築する調査・事業を基に「手引き」などを取りまとめ、ホームーページ上で公開している。「手引き」では、再配達の削減に向け、集合住宅におけるオートロック解錠デバイスの活用、多様な受取方法や関係者の連携などの取り組みなどを紹介し推進している。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

青森県から沖縄県で翌日配送の提供体制を構築、アマゾンが全国18か所にデリバリーステーションを新設

3 years 9ヶ月 ago

アマゾンジャパン7月27日、配送拠点のデリバリーステーションを全国18か所に開設すると発表した。青森県、岩手県、秋田県、埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、愛知県、香川県、愛媛県、高知県、徳島県、熊本県、沖縄県にデリバリーステーションを2022年内に設置。当日配送、翌日配送、「置き配指定サービス」を拡充する。

アマゾンジャパン7月27日、配送拠点のデリバリーステーションを全国18か所に開設すると発表

「北は青森、南は沖縄まで、700万点以上の商品を翌日にお届けすることが可能になった」(アマゾンロジスティクス ディレクターのアヴァニシュ ナライン シング氏)。また、青森県、岩手県、秋田県、長野県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、熊本県、沖縄県でも「置き配指定サービス」を提供する。

デリバリーステーションは、注文を受けた商品を全国のフルフィルメントセンターなどから集約し、周辺地域の消費者の玄関先まで届けするラスト・マイル・デリバリーの起点となる場所。18拠点の新設で、日本国内は45拠点以上のデリバリーステーションを展開することになる。

新たに設置するデリバリーステーション

また、一部地域では正午12時までの注文商品を、同日午後10時までに届けることが可能になった。東京都のプライム会員は、当日中の受取時間を2つの時間帯(16~20時または18~22時)で選択できる。東京、神奈川、大阪、京都、福岡、宮城、福島、埼玉、千葉、神奈川、愛知などの地域では、「お急ぎ便」「お届け日時指定便」の利用も可能。

デリバリーステーションの新設で、「5000人以上に多様な働く機会を創出し、『Amazon Flex』(個人と直接契約する配送委託制度)の配送ドライバーとして数千人へ柔軟に働く機会を創出する予定」(アマゾンジャパン)としている。
 

瀧川 正実

ECサイトの決済与信落ち客に「自動再オーソリ」提供で売上機会損失50%改善

3 years 9ヶ月 ago

D2C支援事業やEC基幹システム「ecforce(イーシー・フォース)」を提供するSUPER STUDIOは、ECサイト上の購入におけるクレジットカード決済や後払い決済の仮与信作業を一定期間自動で行う「自動再オーソリバッチ機能」を開発した。売上機会損失の最小化、業務効率の向上などに寄与する機能という。

D2C支援事業やEC基幹システム「ecforce(イーシー・フォース)」を提供するSUPER STUDIOは、ECサイト上の購入におけるクレジットカード決済や後払い決済の仮与信作業を一定期間自動で行う「自動再オーソリバッチ機能」を開発
「自動再オーソリバッチ機能」の仕組み

「再オーソリ」とは「再オーソリゼーション」の略で、オーソリゼーション(仮与信)をシステム上で再度試みることを指す。

ECサイトで消費者がクレジットカードで商品を購入する際、購入手続き段階で仮与信が行われるのだが、仮与信が通らず消費者からの変更対応が得られなかった場合、購入失敗の状態となってしまうため機会損失が発生することになる。

仮与信の一般的な流れ

  1. 消費者が購入手続き画面にクレジットカード情報を入力
  2. カードの有効期限や利用可能残高などをクレジットカード会社の情報から参照
    1. 仮与信に問題がなければ購入が確定
    2. 仮与信に不備があった場合、再度別の支払い方法へと設定変更依頼をメールなどで依頼➝決済情報の変更と再度仮与信に成功すれば、購入が確定
  3. 商品発送確定のタイミングで本与信を実施、支払いを確定

「自動再オーソリバッチ機能」はこの機会損失の抑制を目的に開発した機能。商品購入から30日間、一定間隔で仮与信の通信を行い、登録されたクレジットカードまたは後払い決済が利用できる状態になると、その場で購入を確定できる。

従来、「再オーソリ」は機会損失を防ぐ有効な手法と理解されていたが手動で行う必要があった。手間がかかるため、事業者での活用があまり進んでいなかったという。

この機能を先行導入したメーカーでは「再オーソリ」の成功率は52.4%に達し、100万円〜1000万円もの売上向上に成功している。

D2C支援事業やEC基幹システム「ecforce(イーシー・フォース)」を提供するSUPER STUDIOは、ECサイト上の購入におけるクレジットカード決済や後払い決済の仮与信作業を一定期間自動で行う「自動再オーソリバッチ機能」を開発
先行導入したメーカーの例①
D2C支援事業やEC基幹システム「ecforce(イーシー・フォース)」を提供するSUPER STUDIOは、ECサイト上の購入におけるクレジットカード決済や後払い決済の仮与信作業を一定期間自動で行う「自動再オーソリバッチ機能」を開発
先行導入したメーカーの例②

「自動再オーソリバッチ機能」は、追加開発なしで利用できるオプション機能として7月26日から提供を開始した。利用料は月額3万円(税別)。

石居 岳

創業大正2年の老舗木材企業がBtoC-ECを始めた理由&BtoBビジネスにもシナジーを生み出したネット通販の効果

3 years 9ヶ月 ago
木材の生産・販売、建築資材製造、緑化造園などBtoBビジネスを行うイワクラがBtoC向けECサイトを開設した理由や、大口取引にもつながった商品開発とは?

北海道苫小牧市に本社を置くイワクラは、木材の生産・加工・販売、建設資材製造、緑化造園、環境事業などを行っている大正2年(1913)創業の老舗企業。なかでも森林の育成過程で生じる間伐材や林地残材、製材工場などから発生する樹皮、のこ屑、端材などを生かす木材リサイクルのパイオニア企業としても有名だ。メイン事業はBtoBビジネスだが、「震災」をきっかけにBtoC商品「スモークチップ 燻助(くんすけ)」、猫用トイレの木質ペレット「ネコペレ」を開発した。

BtoB企業がなぜBtoCビジネスへ? BtoC向け商品の開発からECサイトを立ち上げた経緯、取り組み、成功事例、今後の展望などを倉知英治氏に取材した。

ECサイト開設、きっかけは「震災で出た倒木をBtoC向け商品に活用」

イワクラの木材関連の事業部は4つ。バイオマスエネルギーの原料調達・生産・販売を行う環境事業部、伐採や森林管理を行う林材事業部、パーティクルボードを製造する建材事業部、建築資材を提供する住宅事業部だ。いずれも取引先は国や企業のBtoBビジネスである。

イワクラは5~6年前から新規事業としてBtoCビジネスを視野に入れていたが、本格的にBtoC向け商品を開発したきっかけは、2018年に起きた北海道胆振東部地震だった。

震災で出た倒木を燃やすだけでなく、きちんと商品価値のある物作りができないか。」

こう考えたイワクラは、BtoB向けの木材として引き合いもあった倒木をBtoC向け商品の材料にすることにこだわった。木材を細かく粉砕しバイオマスエネルギーの原料とし電気にしたり、木質ボイラーの燃料として木質ペレットとして活用したりしていたが、スモークチップやスモークウッドといった燻煙材を生み出していった。

これらの商品は、2020年春に開設したイワクラ初のBtoC向けECサイト「IWAKURA ONLINE SHOP」で販売している。「IWAKURA ONLINE SHOP」は新規事業として立ち上げたものだが、社内ではBtoCビジネスとECサイトに対する理解が不足しており、開設までの道のりは平坦ではなかったという。

現在ECサイトの責任者である倉知氏も、オンラインショップの種類といった基礎から勉強。その上で、倉知氏は社内の理解を得るための説明に時間と労力を費やしたという。

社内では「BtoCビジネスはわからないこと」なので、興味を持たない、触れない空気もありました。BtoBビジネスと比較すれば、BtoC向けの売り上げ見込みは小さい。その将来性を疑われることもあったかもしれません。

そこで、ECサイトを開設することで、地元の企業や今まで取引がなかった企業にアピールできること、「イワクラがどんな会社で、こういう事業も始めている」ということを知ってもらえるのだと、具体的な可能性や未来を社内に積極的に伝えていきました。(倉知氏)

イワクラ EC担当 倉知英治氏 IWAKURA ONLINE SHOP 自社ECサイト開設 STORES
イワクラ EC担当 倉知英治氏

「イワクラらしさ」を表現できることから自社ECサイトをスタート

ECサイトの構築・運用のノウハウはなかったが、イワクラはモール型のECサイトへ出店するのではなく、自社ECサイトの開設を決断した。

ポイントになったのは初期投資の費用。売り上げから算出される手数料をトータルで見た結果、自社ECサイトを開設するメリットが大きかったのだ。また、自社ECサイトならイワクラらしさを表現できることも魅力だったという。

繰り返しになるがイワクラ内にはノウハウがなかった。そこで倉知氏は「受注から顧客への発送までを管理できるように」、そして「1人でマニュアルを作れるところまですべてを理解する」と決意し、じっくりと経験を積むことにした。

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOPのTOPページ 自社ECサイト開設 STORES
「IWAKURA ONLINE SHOP」のTOPページ(画像は「IWAKURA ONLINE SHOP」からキャプチャ)

「商品の良さをしっかり体感すること」でユーザーにきちんと魅力を伝える

BtoC向けECサイトを運営するなかで課題となった点を、倉知氏は「販売ページ用の写真撮影やテキストを書く業務は初めてだったので、時間をかなり費やしました」と話す。しかし、倉知氏の過去の職業で得た実績が、ECサイト立ち上げ時に役立ったという。

以前、飲食店を経営していたことがあるんです。何かを作ることに対する原価管理といった数字も扱ってきたので、経験ゼロというわけではなかった。

商品の製造に関しては一部パートさんにお願いしていますが、それ以外はすべて私が携わっています。商品の取り扱い、販売ページの制作、仕入れ、販売まで責任を持って見ています。(倉知氏)

また、「商品の良さは自分で体感しないといけない」と倉知氏は考えている。

たとえば飲食店ならその店の料理を理解し、言葉でお客さまに伝えられるようにしなければなりません。商品について、使い方を含めて自分がはっきり理解していないとお客さまに魅力を伝えられない

特にBtoCは顔が見えず、お客さまがどんな人かわからないため、商品の良さを伝えることが難しい。商品理解を深めることに時間をかけているため、商品選定から販売までには時間がかかります。取り扱う商品は増えていきますので、ここは課題ですね。(倉知氏)

商品やECサイトの告知のためにInstagramを運営。運営や商品の撮影はすべて倉知氏1人で行っているが、フォロワーの協力を得てコンテンツの充実化を図っている

Instagramのフォロワーの方に商品サンプルを渡し、使用している写真を提供していただき、商品ページに掲載しています。私が撮影した写真だけでは同じような構図になりがちなので、非常に助かっています。フォロワーの方の写真は、商品の特徴がわかりやすく、とっつきやすさがありますね。(倉知氏)

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOP Instagramページ 自社ECサイト開設 STORES
「IWAKURA ONLINE SHOP」のInstagramページ
(画像は「IWAKURA ONLINE SHOP」のInstagramよりキャプチャ)

倉知氏が注力した点は、ECサイトやInstagramの運用だけではない。「BtoC向けのECサイトを始めれば、『イワクラはどういう企業なのか』とWebサイトを見る人もいるはず」と考え、イワクラのWebサイトリニューアルも行った。

当時のWebサイトは少し古さを感じるデザインでした。ECサイトから興味を持ってイワクラのWebサイトを訪れた際、信用を得るため、またイメージアップにつながるようにサイトリニューアルを行いました。簡単ではなかったですが、非常に重要だったと思います。(倉知氏)

イワクラのリニューアルしたWebサイト IWAKURA ONLINE SHOP 自社ECサイト開設 STORES
リニューアルしたイワクラのWebサイト(画像は「イワクラ」のサイトからキャプチャ)

会長の夢がこもった燻製チップと夏の売り上げを支える猫用トイレペレットが主力商品

BtoC向け商品を開発するにあたりイワクラがこだわったのは「木材に関連したものづくり」「商品の原料は北海道産」の2点。イワクラは創業から100年以上の長い歴史のなかで、変わらず木材を扱ってきており、「木材のプロである自分たちは木材のビジネスで勝負する」という確固たる意志があるのだ。

「IWAKURA ONLINE SHOP」の主力商品の1つが「スモークチップ 燻助(くんすけ)」。この商品を開発した理由は原料である「蝦夷山桜」。

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOP スモークチップ 燻助 自社ECサイト開設 STORES
北海道で伐採した天然の蝦夷山桜を使用した「スモークチップ 燻助」
(画像は「IWAKURA ONLINE SHOP」からキャプチャ)

イワクラの取締役会長 後藤英夫氏には「燻製用の原木として『蝦夷山桜』を取り扱って販売したい」という夢があった。倉知氏は会長から直々に手紙を受け取り、商品開発に着手。「スモークチップ 燻助」は会長の思いや、地震による倒木で「蝦夷山桜」が手に入るという機会が合致して生まれた商品なのだ。

蝦夷山桜はタール分が少なく、燻した時のえぐみが少ないという特徴がある。さらに「スモークチップ 燻助」は香りが高く、クセの強い肉にも負けない香りが付けられる。購入者からは好評で「燻製初心者でも失敗しにくい」という声があがっている。

北海道産のマツを原料にした木質ペレット「ネコペレ」もこだわりのアイデア商品。こちらはストーブの燃料になる木質ペレットがベースになっている。

ペレットは冬の時期はよく売れるものの、気温が上がると消費が減る。自社のペレット工場で夏場の仕事を安定させること、夏の売り上げ減少にどう対応するかは以前からの課題だった。そこで倉知氏が気付いたのが“馬の敷きわら”である。

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOP 猫ペレ 自社ECサイト開設 STORES
北海道産の木材(トドマツ、カラマツ)を細かく砕いてペレット状にした「ネコペレ」
(画像は「IWAKURA ONLINE SHOP」からキャプチャ)

苫小牧には競走馬の育成牧場がある。そこでは馬の“敷きわら”の代わりにペレットを使うことがあるという。そこから着想を得て「猫砂がBtoC商品になるのでは?」という発想につながった。

濡れたペレットは「おが粉」という粉状になる。粉になる仕様は、細かい穴の開いたトイレ用のスコップや猫のシステムトイレと相性がいい。さらに「ネコペレ」は化学物質不使用で安全性が高く、フィトンチッド(植物が自身を守るために出す物質、虫よけなどにも使われている)の効果による消臭・抗菌作用もあり、香りもきつくなく飼い主にも猫にも優しい。

「スモークチップ 燻助」も「ネコペレ」も、木材のプロが木材の長所を生かした商品といえる。

BtoC商品をきっかけに大口取引が成立、顧客とのつながりが生まれる

社内で不安視されていたBtoC向け商品だが、大きな商談につながった事例がある。

木質ペレットを使うストーブのメーカーに、イワクラが燻製用チップの製造・販売の話をしたところ、実はそのメーカーが全国展開しているアウトドアショップを運営しており、商品を取り扱ってもらえることになった。倉知氏が「年間の販売計画の約半分という金額になりました」と話すほど、大口の取引につながった。

さらに「IWAKURA ONLINE SHOP」のユーザーには、長年燻製を行っている人が多く、燻製チップを口コミでアウトドア仲間に紹介する動きもあるという。購入者は商品への満足度が高ければ自慢したくなり、他の人にオススメするというサイクルが生まれるのだ。

さらに、購入者同士のつながりから燻製作りをしている企業、水産加工会社などに燻製チップを紹介したこともあったという。また、紹介経由で「燻製メニューを出したい」というホテルとの契約にもつながった。

大口の契約はやはりBtoBではあるものの、BtoCらしい購入者同士のつながりから販路拡大に成功し、新しい販売ルートが構築できた。「BtoBからBtoCという新しいつながりを生み出すことも、イワクラがECサイトを開設する上で戦略の1つだった」と倉知氏は話す。

BtoC商品とECサイトを通じて地域復興へ貢献

イワクラはBtoC商品を扱うECサイトを運用するなかで、地方復興を意識している。前述した地元北海道産の木材にこだわっているのもその1つだ。

新たな商品を生産することになれば、工場周辺で新たな雇用を生み出せる。現役の働き手が地方に増えると、周辺の街や村が活気づく。さらにECサイトを通じて商品と地元を全国にPRもできる。「物を通じて全国に魅力を発信することは、その地域の認知を高めることにつながり、『北海道に行ってみたい』という方が増えていくかもしれない」(倉知氏)。

また北海道胆振東部地震で出た倒木を利用した「スモークウッド 燻助」という商品がある。イワクラはこの商品の売り上げが寄付金になる計画を進めている。苫小牧を中心とした地域の森林関連企業の組合を通して、森作りに役立てる寄付を行う予定だ。

木は木材にできるまで育つのに40年~50年はかかる。だから森林をきちんと作っていく必要があります。私たちはBtoC商品とECサイトを通じて、未来にお金をかけられる体制作りを考えています。(倉知氏)

BtoCからBtoBにつながるECサイト運営&商品開発をめざす

イワクラが今後注力したい商品として、前述の「スモークウッド 燻助」をあげた。この商品は2021年9月に完成し、一般販売前に「Makuake(マクアケ)」を利用して先行販売を行った。その売り上げの使い道は「北海道胆振東部地震で被災した森に役立てる費用」だと明記していた。

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOP Makuakeで実施したプロジェクト 自社ECサイト開設 STORES
「Makuake」で実施していたプロジェクト(画像は「Makuake」からキャプチャ)

商品のキャッチコピーは“100年以上山と向き合ってきた木材のプロが研究した、誰も失敗しない《燻製スモークウッド》”。燻製による調理のうち、練り物、チーズのような加工済みの食材、サーモンのようにあまり火を通したくない食材を燻すのに適している燻煙材がこのスモークウッドだ。

イワクラ IWAKURA ONLINE SHOP スモークウッド 燻助 自社ECサイト開設 STORES
北海道の蝦夷山桜を使用した「スモークウッド 燻助」
(画像は「IWAKURA ONLINE SHOP」からキャプチャ)

専用の燻製器がなくてもダンボールを使うことで燻製が楽しめるのが特徴で、気軽に燻製にチャレンジしてもらい、燻製ファンのすそ野を広げていきたいと考えている。

また、伐採した木を山から下ろす際、「運搬コストがかかる」という理由で丸太以外の枝や葉は山に置いてきてしまう。こういったものにも価値をもたせて商品化するというアイデアもある。林業従事者の女性向けに、マツの精油を抽出した化粧品や木の香る虫よけスプレーも取り扱っており、将来的には商品がいつでも買える実店舗を持ちたいという。

最後に倉知氏は次のように語った。

BtoCのCは単なる個人ではなく、いずれかの企業の一員だと思っています。つまりtoCからtoBにつながることもあるはずで、その可能性を考えて商品開発とECサイト運営を行っていきます。これからも、まずは自分が良いと思える北海道産の商品を発見していきたい。(倉知氏)

小林 義法

JR東日本と千趣会、資本提携の背景とは? それぞれの課題と将来に向けた変革

3 years 9ヶ月 ago
JR東日本と千趣会は資本業務提携以降、相互の経営資源を活用したコマース事業を展開している。両社の描く戦略と未来について、JR東日本の事業創造本部で千趣会への出資を主導し、現在は千趣会の取締役に就いた佐野太氏が講演

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、グループ経営ビジョン「変革2027」で、データベースを起点とした脱「鉄道」ビジネスの構築をめざしている。その一環として2020年9月に千趣会と資本業務提携した。JR東日本が千趣会に出資した背景やねらい、そして千趣会が手がけていく事業・サービスとは何なのか。JR東日本の事業創造本部で千趣会への出資を主導し、現在は千趣会の取締役の佐野太氏が解説する。

株式会社千趣会 取締役 ベルメゾン事業本部副本部長 OMO推進担当 佐野 太氏
株式会社千趣会
取締役 ベルメゾン事業本部副本部長 OMO推進担当 
佐野 太氏

2020年9月、JR東日本と千趣会が資本業務提携

千趣会は2020年9月に東日本旅客鉄道(JR東日本)と資本業務提携を実施。顧客との多様なリアルの接点を持つJR東日本と、顧客に寄り添った商品開発力を持つ千趣会が双方の強みを融合し、相乗効果を高める施策を次々と展開している。

資本業務提携の際、両社が取り組む大きなテーマには以下の4つを掲げた。

  1. 駅ビル・エキナカへのベルメゾン出店
  2. JR東日本のECモール「JRE MALL」へのベルメゾンの出店
  3. ポイントプログラムの連携
  4. ベルメゾンの公式サイトにおけるJRE CARD(ビューカード)決済特典
提携概要
JRE MALL、JRE POINT、JRE CARDを軸に、両社の強みを融合する協業を目指した

提携の背景にあるのは「駅利用者層の女性化」

JR東日本を取り巻く環境を見る上で、「就業者数の推移」が1つのカギとなる。近年は女性や65歳以上の就業者が増加したため、就業者数自体は増加傾向にあるが、特筆すべきはその内訳だ。

2001年以降、男性の就業者数が約74万人減少する一方で、女性は約339万人増加している。この推移を考慮すると、駅を利用して通勤する層が女性化していると考えられる。

2000年までは男性客が新聞、タバコを補給する場

2000年頃までは会社で働く人の多くは男性で、駅はいわゆる「男性サラリーマンの補給場」だった。このため、駅では新聞・雑誌、タバコ、酒類、アメ・ガムなど、瞬間的に消費ができる、比較的男性が好みやすい商品が販売されていた。

エキナカの変遷
駅の利用者層に応じて変遷してきたエキナカ

2000年〜2010年、仕事帰りに立ち寄る「ハレ消費」の場

2000年〜2010年にかけては女性の社会進出が本格化し、駅を利用する女性の数が増加。当時はまだ働き方改革という言葉自体がなく、女性も「バリバリ働く」という時代だったため、駅は疲れた自分に対する癒しや発散できる商品など、“ハレ消費”をする場へと変わっていった。

その象徴が、エキナカ商業空間の「エキュート」だという。有名洋菓子店のスイーツや、総菜、ワイン、花、女性向け雑貨などを取り扱い、会社の帰りに気分転換ができるような消費の場として、現在でも多くの人に利用されている。

生活を効率化させる場へ(2010年〜2020年)

さらにその後、2020年にかけても駅というマーケットは変化した。そのキーワードの1つが「共働き化」だと分析する。子どもが小さいうちから女性が働きに出たり、早期に復職したりする傾向が昔に比べて大幅に高まり、仕事も生活も効率化してくれる役割が駅に求められるようになったという。

この頃からJR東日本は新規事業として宅配物が受け取れるロッカーや、ボックス型のシェアオフィス「STATION WORK」などを設置するなど「効率化サービス」に力を入れるようになった。また、セルフレジや無人決済店舗の設置も進めているほか、地方で獲れた海産物が新鮮なうちに駅で受け取れるような新幹線輸送も始めている。

これからは「いろいろな情報を得られる場」へ

2020年以降はさらに「働く」ということが変化する時代に突入した。コロナ禍の影響を大きく受けたことで仕事の在宅化が定着し、今後は仕事の多拠点化が進むと想定。さらに、ネット通販が一般化したことにより、これからますます情報を得る場所と購入する場所が分離していくと予測している。

ネットで何でも買えてすぐに届く時代でも、やはりリアルにも強い面はあるので、すべてがネットに流れることはないと思っている。ただ、これはあくまで個人的な見立てだが、その場で見てその場で購入するというスタイルから変わらない消費者が多いとしても、「駅で情報を得たけど、購入はネットでする」という傾向は強まっていくと考えられる

そうなると、駅は「モノを売って、そこから賃料をいただく」だけではなく、「いろいろな情報が得られる場」となっていくだろう。時代そのものがモノからサービスに移行しているので、「モノを買う」というよりは「気持ちが充足される」、そんな場として駅が認識されていくのではないだろうか。(佐野氏)

駅利用者のライフイベントと駅との関係

JR東日本を利用する顧客のライフイベントを見ると、駅を多く利用するのは「通学」〜「就職・通勤」の層と、「成熟」〜「引退・老後」の層だ。通学や通勤で駅を利用するようになり、Suicaや定期券を持ち始め、それらをお得に購入するためにビューカードを入手する人も多い。さらに、通学・通勤中にエキナカ、駅ビル、自販機などで消費もするようになる。

また、子育てが一段落した世代や仕事を引退した世代になると、スポーツクラブや旅行を楽しむようになり、駅の利用が増える傾向にある。その象徴として、中高年向けの会員特典「大人の休日俱楽部」は、強い顧客接点になっているという。

しかし、「出産・育児」の段階では、特に女性は自宅中心の生活にならざるを得ず、あまり駅を利用できなくなってしまう。復職しても育児で忙しい間は通販や郊外の商業施設で買い物をすることが多くなるため、「出産・育児」の段階はJR東日本にとって顧客離れを起こしやすいポイントになっているという課題認識があった。千趣会がこの「出産・育児」の層との接点を補完すると期待した。

駅の利用者推移と提携意義
生涯の中でも「出産・育児」の段階で駅の利用が減り、JRE POINT離脱につながりやすい

「ベルメゾン」は、マタニティーウエアの購入を機に入会する顧客が多く、ベビー用品やキッズ・ジュニア向けの商品まで、子育て世帯を中心に長年にわたって利用されている。JR東日本が持つサービスと、「ベルメゾン」が持つサービスを組み合わせると、お客さまがあらゆるライフイベントを経るなかでも生涯を通してつながりが持てると仮説を立てたという。

「ベルメゾン」の通販でも「JRE POINT」が貯まったり使えたりできれば、「出産・育児」の層が駅に来られなくても接点が維持できる。それだけでなく、千趣会との協業によって駅ビル・エキナカで共働き世帯を応援する商品・サービスの充実化が図れれば、復職などで再び駅を利用し始めた「出産・育児」の層が、より便利に駅を利用できると考えた。

千趣会との提携の意義
「出産・育児」の層との接点が強い千趣会と協業し、生涯を通じたつながりを維持

協業の一例として、2021年の春、品川駅で20日間にかけて「Disney Fantasy Shop by BELLE MAISON」というポップアップイベント開催した。若年層やベビーカーを押す女性など、子育て世帯を中心に約4000人の顧客が利用し「駅のなかで開催したポップアップとして、記録的な実績となった」(佐野氏)と話す。

品川駅でのポップアップ
20日間で約4000人が利用した品川駅でのポップアップイベント(2021年春)

“これまで”と“これから”のJR東日本グループの事業構造

JR東日本の1日あたりの輸送人員は約1780万人(2020年3月末時点)にのぼる。多くの利用者が駅に集まるため、駅自体が媒体価値を持って広告ビジネスが展開できるほか、駅ビルやコンビニ、ホテルを備えるなど、これまでのJR東日本はリアル・プラットフォームベースの事業群で、不特定多数の利用者との接点を直接収益化するビジネスを展開してきた。

これまでのJR東日本の事業構造
これまでのJR東日本の事業

しかし、今後を見通すと駅を取り巻く環境は大きく変化すると考えられる。そのなかで、特に以下の5点が鉄道事業者の課題としてあがるという。

  1. 駅の顧客の変化
  2. 人口減少(鉄道の集客力の減衰)
  3. 人口減少(慢性的人手不足。販売員の減少)
  4. デジタル化・スマホ化
  5. 新型コロナ禍で上記の状況が悪化、変化、不透明化

1の「駅の顧客の変化」は、前述の通り、共働き世帯の増加と駅の利用者層の多様化に通じる。

2、3に2つの意味の「人口減少」をあげている。1つは、人口減少による集客力の減衰だ。鉄道の利用者が減れば、駅ビルや駅構内のコンビニなどのポテンシャルが下がると考えられるため、客数に依存した事業で業績を伸ばしていくことは難しくなる。このため、今後は客単価やLTVを伸ばす施策に変化していかなければならないという。

もう1つの「人口減少」は、人手不足を意味する。駅は多くの販売員によって成り立っているが、今後ますます販売員の数が減少すると懸念されるため、急務の課題だ。店舗のセルフ化、無人化、自動化、ロボット化を進めるほか、ネット通販を活用した無店舗化にビジネスを移行せざるを得ないと考えている。

④の「デジタル化・スマホ化」は、駅や電車内の広告ビジネスの在り方に大きく影響する。電車の待ち時間や乗車中にスマホを見る乗客が多く、中吊り広告や駅のポスターを見る機会が減少するなかでは、広告や販促手法をDX化し、マス広告からOne to Oneの訴求に切り替える必要があると捉えている。

⑤にコロナ禍で上記の状況が悪化、変化、不透明化したことをあげている。こればかりは誰にも先が見通せないが、「1つ言えることは、ビジネスモデル転換をスピードアップすることが鉄道グループには必要」(佐野氏)と断言する。

ステップ① JRE POINT、JRE CARD、Suicaの顧客を共通IDで会員化

大きく5つあげた課題に対し、まずは①駅ビル・エキナカで使える「JRE POINT」 ②クレジット決済「JRE CARD」 ③鉄道やコンビニで使える「Suica」――という各事業の顧客を共通IDで会員化することから始めるという。

JR東日本のこれからの事業構造
課題解決に向けてJRE POINT、JRE CARD、Suicaの顧客を共通IDで会員化
「JRE POINT」とは

JR東日本の駅ビルやエキナカで使えるポイントシステム。店舗でカードかアプリバーコードを提示する仕組み。現在、ECモール「JRE MALL」を含め、142館で利用できる。クレジットカードの「JRE CARD」を特定の優待店で利用すると、ポイントが3倍貯まる。

またWebから登録しておけば、Suica決済でもJRE POINTを貯めることができる。Suica決済は店舗や自販機、ホテル、レンタカー、スポーツクラブなど、利用できる場所が多岐にわたるため利便性が高く、エキュートなど特定の場所ではSuica決済でポイントカードも提示すれば、ダブルでポイントが貯められる。

JR東日本は、JRE POINTをチケットレス化やカードレス化、セルフ購入の促進にも役立てている。鉄道乗車時のSuica利用でポイントを付与することでチケットレス化を進め、さらにカードタイプよりモバイルSuicaの方がよりポイントが貯まりやすくすることでカードレス化も進めている。Suicaを用いたセルフ購入も、ポイントで誘導している形だ。

JRE POINTについて
鉄道サービスでJRE POINTが貯まる仕組みにより、チケットレス化、カードレス化、セルフ購入を推進

ステップ② 顧客を共通化したJRE POINT・IDを活用し、ネット上でも事業を拡大

各事業の顧客を共通化した「JRE POINT・ID」が進めば、デジタル上のプラットフォームも構築でき、今までのようにリアルだけに頼った事業のみならず、ネット上でも事業が拡大していけるようになる

「JRE MALL」をはじめチケット予約の「えきねっと」やロッカー予約の「To Locca(トロッカ)」など、ネットやスマホで予約する各種サービスの利用にもポイントで誘導しやすい仕組みが実現できると構想する。

JRE POINT・IDを活用してネット上のサービスに顧客を誘導
各事業の顧客を共通化したJRE POINT・IDを活用してネット上のサービスに顧客を誘導
「JRE MALL」とは

「JRE MALL」は、ポイントが貯まって使えるECモールとして2018年3月にサービスを開始。JRE POINTの会員が貯まったポイントを消費する場として利用する傾向にあるという。サービス開始時は鉄道グッズを中心に取り扱っていたが、2021年3月に「ベルメゾン」が出店してから女性向けの商材が一気に増加し、現在は女性購入者の比率が拡大している。

2021年9月(単月)の実績では、売り上げが前年同月比250%、新規会員登録数は同176.9%に伸長。ベルメゾン店の売り上げシェアは10.54%を占めている。

「JRE MALL」の実績
「JRE MALL」の実績(2021年9月)

千趣会との協業メリットは“リアルの場”と“JRE POINT会員の融合”

一方、千趣会にとってのJR東日本との協業の意義は何か。まず、協業の背景となる通販・EC事業者が抱える課題として、以下の5点をあげている。

  1. 通販・EC市場の競争激化
  2. 購入前に手に取って確認できない
  3. 購入した商品をなかなか受け取れない
  4. 働きの増加(カタログやPCを見る時間の減少)
  5. 客の価値観の多様化(大量生産大量消費、大量破棄への罪悪感)

1点目の課題に「通販・EC市場の競争激化」をあげた通り、通販・EC市場は成長を続けている反面、多くの事業者が参入している状況だ。そのなかで消費者に想起されて選ばれるためには、これまで以上にブランディングが重要となる。しかし、ネット広告だけではブランディングがしづらく、新規顧客を獲得する手段をより多角化していく必要があると実感しているという。

2、3点目の「購入前に手に取って確認できない」「購入した商品をなかなか受け取れない」はまさに通販特有の課題と言える。体験を提供するためのリアルの場や、強いPR要素を持つポップアップを展開して、事前に商品を確認したい消費者の悩みを解決したい考えだ。

さらに、働き方の多様化やコロナ禍による生活様式の変化、SDGsへの意識の高まりなどを背景に、4、5点目の課題が浮上。コロナ禍を経て、通勤と在宅ワークのバランスがどうなっていくかは今後も注視が必要としながらも、「カタログ通販事業者の立場で考えると、消費者のカタログを見る時間が減った場合に備えておく必要がある」(佐野氏)としている。

エキナカ・駅ビルを活用し、ベルメゾンのブランディングとサービスを強化

先ほどの課題の1点目にあげた通り、通販・EC事業者にとってブランディングの重要性は増している。千趣会は前述した「Disney Fantasy Shop by BELLE MAISON」のポップアップのほかにも、エキナカ・駅ビルを活用した新規顧客獲得のタッチポイントを強化する施策を次々と展開している。

2021年5月に品川駅で開催した、汗取りインナー「サラリスト」のポップアップショップでは男性向け商品が人気を集めた。「ベルメゾン」で購入する顧客の98%を女性が占めるなか、新しい層の顧客にアプローチできたと実感している。

八王子駅や大宮駅などの郊外でもポップアップを開催し、地域性や曜日による購買層、売れ筋の違いなどを分析。このほか、テーブルやベッドなど、その場で持ち帰れない大型商品を展示し、「JRE MALL」への誘導も図っている。

駅を活用したブランディング
ポップアップショップで大型商品を展示し、「JRE MALL」に誘導

東京駅構内の「グランスタ東京」には、「ベルメゾン」の常設店を出店し、千趣会のシューズブランド「BENEBIS(ベネビス)」などを販売している。「BENEBIS」はカスタムオーダーに力を入れているが、リアル店舗で顧客とコミュニケーションをとるなかで、カスタムオーダーは「小さいサイズ」「幅の狭いサイズ」への期待が高いと判明した。

一般的なリアル店舗では在庫を置くスペースに限りがあるため、売れ筋のサイズを大量に販売する傾向にあるが、通販にはサイズ展開の豊富さが期待されていると実感したという。ニッチな顧客ニーズにも対応することで、その顧客のリピート購入が見込まれると捉えている。

また、東京駅では改札内にも「Disney Fantasy Shop by BELLE MAISON」の常設店を開業。アプリの「JRE MALL MY LIST SHOPPING」と連動し、気になった商品をアプリにストックして後で購入できる仕組みも始めた。この店舗の開業により若年層にもアプローチできたほか、「ベルメゾン」のディズニーカタログの表紙をモチーフにした商品が人気を集め、大きなPR効果が発揮できたという。

エキナカ・駅ビルでのポップアップや常設店は、「JRE POINT」が貯まって使えることをベースに展開している。従来のエキナカ・駅ビルは「集まってくる人に販売する」スタイルだったが、ポイント会員にはメルマガも配信できるので、こちらから集客を図ることも可能になる

人口減少に伴いお客さまの数も減ることを見越すと、駅であっても自ら集客をしなければならないと考えている。ポップアップや常設店で施策の検証を続けている。(佐野氏)

特典やJRE POINT交換用の買い物券で、JRE POINT会員をベルメゾンに誘導

両社は協業の当初から、JRE POINT会員をベルメゾンのECサイトに誘導するため、「ベルメゾン」での買い物でJRE CARD(ビューカード)決済を使うとベルメゾンとJRE双方のポイントがアップする特典を実施。また、たとえばJRE POINTを8400ポイント貯めると1万円分のベルメゾンの商品券と交換できるといった、JRE POINT交換用の「割増お買物券」も設定している。

ベルメゾンにおけるポイント連携
JRE POINT会員をベルメゾンの通販に誘導する仕組みを協業当初から開始

こうした取り組みの結果、資本業務提携から1年後の2021年9月時点で、JRE POINT会員のベルメゾンにおける購入金額(月額)は前年同月比の179.4%に増加。JRE POINT会員がベルメゾンを新規で利用した人数の割合も15.8%(単月)に達し、新規購入者の獲得にもつながっている。

ベルメゾンの実績
ベルメゾンの実績(2021年9月期)。JRE POINT会員がベルメゾンで購入する人数の割合、金額ともに増加している

これまで実施してきた施策の結果を踏まえ、JR東日本と千趣会は今後、以下の取り組みに力を入れていくという。

  • JR東日本チャネル向けのオリジナル商品の開発
  • カタログ+ネット+エキナカを想定した販売戦略・施策の実施
  • リアルで体験し、ネットで販売するショールーミング業態の開発
  • 人材交流の強化によるノウハウの融合

両社は文化的にもまだまだ融合していけると思っている。人材の交流を強化して、ノウハウを融合しながら新しいものを作り出していきたい。(佐野氏)

この記事は2021年11月17日に「ネットショップ担当者フォーラム2021秋」で行われた講演をまとめたものです。

朝比美帆

EC検索エンジンと連携できる検索連動型広告ソリューション「デクワス.LISTING」

3 years 9ヶ月 ago

サイジニアのグループ会社でデジタルマーケティングを手がけるデクワスは、検索連動型広告ソリューション「デクワス.LISTING」の提供を始めた。

ECの商品検索エンジンと連携できる検索連動型広告ソリューションで、ECサイトやリテールメディアなどのサイト内検索を通じた収益拡大を支援する。

サイジニアグループでEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を提供するZETAと連携する。

処理するECサイトの検索クエリ数が年間1000億クエリを超える「ZETA SEARCH」には、潜在的にリテールメディアのリスティング広告在庫と紐づくキーワードがあるという。「ZETA SEARCH」との連動で、デクワスが配信する広告のコンバージョン効果は通常のリターゲティング広告に比べて高くなることが期待できるとしている。

「デクワス.LISTING」は「ZETA SEARCH」以外の検索エンジンとの連携も可能。サイトへのスムーズな導入・工数削減を実現するという。なお、販売代理店向けのOEM提供なども行う予定。

瀧川 正実

EC支援のEストアーがアパレル事業の志風音を買収、EC事業会社のM&Aを続ける理由

3 years 9ヶ月 ago

EC支援のEストアーは、アパレル事業を手がける志風音(SHIFFON)を買収すると発表した。志風音の普通株式50.2%を16億7000万円で取得、連結子会社化する。7月25日に基本合意契約を締結。株式譲渡日は8月31日を予定している。

志風音はリテール事業、スポーツライフスタイル事業OEM、海外事業、スクールサプライ事業、ホールセール事業を展開。アパレル、ランドセル、スキー、スノーボードウェア、スポーツウェアといったカテゴリーを販売している。

EC支援のEストアーは、アパレル事業を手がける志風音(SHIFFON)を買収する
志風音が展開するブランドの例

2022年3月期の売上高は47億100万円(前期比34.6%増)、経常利益は5億2200万円(同30.5%増)、当期純利益は3憶4800万円(同94.4%増)。

志風音の業績推移
志風音の業績推移

Eストアーは、データ分析の技術とマーケティングノウハウ、志風音のサプライチェーンを融合。海外EC向けの新たなプラットフォームの新設など、志風音をDX(デジタルトランスフォーメーション)化が徹底された新しいジャンルの企業に進化させるとしている。

志風音の西村健太代表取締役CEOは引き続き代表を務め、Eストアーの経営にも積極的に関与していく予定という。

Eストアーは中期経営計画で、自社EC支援を20年以上にわたって展開しているノウハウや人的リソース、資金を投下してEC関連ビジネスの成長を促しリターンをめざす事業「ハンズオンDX事業」の成長を掲げている。

その一環がEC事業会社のM&Aで、第1弾は卓球情報ポータル「ミングルス」の運営やEC物販を行うFPCと資本業務提携を締結。EストアーはFPCにECノウハウ、ECソリューション、人的リソース、資金投入などを「ハンズオンDX」として提供し、FPCと共にプラットフォーム型EC事業に取り組んでいる。

現在、「ハンズオンDX事業」では7案件が進行中。今後もEC企業のグループ化を検討していく。

Eストアーの業績計画
Eストアーの業績計画
石居 岳

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