Aggregator

5分でわかる改正特商法! 定期購入やサブスクなど通販(D2C)事業者への影響と対策を深掘りして解説

3 years 6ヶ月 ago
6月に施行される特定商取引法について、売れるネット広告社の加藤公一レオ氏が解説!

改正特定商取引法(特商法)が2022年6月1日に施行される。特商法は過去に何度も改正されてきたが、今回の改正は通販(D2C)事業に特化したさまざまな規定が新設されており、オンライン・オフラインを問わず通販(D2C)事業者に与える影響が非常に大きい内容となっている。

Q&Aでわかる改正特商法。通販(D2C)事業者向けに改正のポイントを解説!」に続き、通販(D2C)ビジネスにどのような影響があるのか、どのように対応すれば良いのかについてお伝えしたい。

① 最終確認画面の表示が複雑になる

今回の特商法改正は詐欺的な定期購入商法による被害を未然に防ぐことを念頭に置いたものだが、定期購入の通販(D2C)を行っている事業者に限らず、通販(D2C)事業者全般が改正特商法の規制対象となる。そのため、改正特商法が施行されるまでに、すべての通販(D2C)事業者は、最終確認画面で以下の6つの事項を消費者が簡単に確認できるよう表示しなければならない

  • 分量(数量・回数・期間など)
  • 販売価格・対価
  • 支払時期および支払方法
  • 引渡時期
  • 申込期間の定めがある場合、その旨と内容(あるとき)
  • 申し込みの撤回・解除に関する事項(あるとき)

特にフルスクラッチで自社ECサイトを構築している事業者の場合、非常に重い改修が必要になる可能性がある。ECプラットフォームを利用している場合、最終確認画面の改修自体はベンダーが対応するものの、自社サイトの最終確認画面をチェックし、追記修正が必要な箇所を洗い出し、表示の修正を行わなければならない。

また、ECモールに出店している場合も、自店舗のカート最終画面が改正特商法の定める表示項目を満たしているかどうか確認する必要がある。

② 定期購入の場合は追加の表示事項に注意

前述の通り、今回の特商法改正はすべての通販(D2C)事業者を規制対象としたものだが、定期購入契約の場合は特に表示内容が複雑になる。最終確認画面で表示が義務付けられる6つの表示事項のうち、定期購入の場合に特に注意が必要な事項は以下の通りだ。

  • 分量(定期購入契約の場合は各回の分量を表示。初回と2回目以降の商品の分量が異なる場合は、各回の分量を明確に表示する必要がある)
  • 販売価格・対価(定期購入契約の場合は2回目以降の代金も表示。初回と2回目以降の代金が異なる場合、各回の金額を明確に表示しなければならない)
  • 支払の時期・方法(定期購入契約の場合は各回の請求時期を表示する必要がある)
  • 引渡時期(定期購入契約の場合は次回分の発送時期等について表示しなければならない)

今回の特商法改正によって、最終確認画面の表示事項が膨大になることが予想されるため、すべての説明を最終確認画面上に表示するとかえって消費者にわかにくくなる場合には、消費者が明確に認識できることを前提として、「最終確認画面にリンクを設置し、消費者がリンク先のページで当該表示事項を確認できるようにしておく」「最終確認画面上にクリックにより表示される別ウィンドウ等を設置してそこで詳細を表示する」といった対応をとっても良いことになっている。

ただし、申し込みの撤回・解除に関する事項について、以下のような解約方法の限定がある場合は、リンク表示等にゆだねるのではなく、最終確認画面で明確に表示しなければならないとされているため、注意が必要だ。

  • 消費者が想定しないような解約方法に限定する場合(電話した上でメッセージアプリを操作する、本人確認を理由に運転免許証等の追加の個人情報の提出を求めるなど)
  • 解約受付を特定の時間帯に限定する場合
  • 申し込みを行った消費者が容易に解約できると考えられる手段で、解約の連絡を受け付けない場合

なお、解約の条件や方法に制約がある旨を最終確認画面に表示したとしても、表示が免罪符となってその制約が法的に有効になるとは限らないことを理解しておこう。改正特商法が定める最終確認画面での表示義務を満たしていたとしても、消費者の権利を不当に制限するような条項は、消費者契約法などによって無効とされる可能性があるからだ。

通販(D2C)事業者は、解約条件の設定にあたって、消費者に不利益が発生することがないよう配慮する必要がある

③ 定期購入で「お試し」の文言を使うのは事実上不可能になる

近年、「お試し」「トライアル」といった文言で消費者を惹きつけ、そうとわからないような形で定期購入契約に誘導する詐欺的な定期購入商法、いわば“なんちゃってモニター”が社会問題化した。

なんちゃってモニターの例
詐欺的な定期購入商法の例

こうしたことを受け、改正特商法では、定期購入契約で「お試し」「トライアル」といった文言を強調することは「人を誤認させる表示」に該当するとして禁止している

従って、今後は定期購入契約において「お試し」「トライアル」といった誘い文句を使うことは事実上不可能になったと考えるべきだ

ただし、「お試し」「トライアル」といった表現が事実であり、本当に1回試すだけの契約であれば、改正特商法の施行後も「お試し」「トライアル」といった文言を使うことができる。

④ 「ワンステップマーケティング」がさらに難しくなる

一時期、記事広告をフックにした「ワンステップマーケティング」が大流行した。「ワンステップマーケティング」とは、新規の消費者に対していきなり本商品の定期購入をオファーするビジネスモデルのことである。

記事広告と初回特別価格をフックに、一時はネット広告からの新規獲得施策の主流となっていた「ワンステップマーケティング」だが、最近は薬機法の厳罰化や媒体の自主規制強化などによって、記事広告の出稿や“定期縛り”そのものが難しくなっていた。

ただでさえ瀕死の状態にあった「ワンステップマーケティング」は、今回の特商法改正によって完全にオワコンとなるだろう。

これまで、「ワンステップマーケティング」においては、新規の消費者をいきなり定期購入に誘導するため、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に違反するような過激な広告表現や、今回の特商法改正につながった詐欺まがいの定期購入商法が横行していた。

特商法改正によって、消費者に「定期購入ではない」と誤認させるような表示をすることや、必要事項の表示をしないことが明確に禁止されることは、「ワンステップマーケティング」にとどめを刺す結果になるはずだ。

従って、これまで「ワンステップマーケティング」を行っていた事業者は、1日も早く新規獲得施策を切り替える必要がある。「ワンステップマーケティング」に替わるモデルとして有効なのが、ズバリ「ツーステップマーケティング」である。

ワンステップマーケティングとツーステップマーケティングの違い
ワンステップマーケティングとツーステップマーケティングの違い

「ツーステップマーケティング」とは、5日分や7日分の「無料モニター」や「500円モニター」をフックに、まずは見込客を集めることに特化し、アップセルや引き上げで定期購入へと誘導するビジネスモデルである。一見まどろっこしく感じるかもしれないが、「ワンステップマーケティング」に比べ入口のハードルが低いため、圧倒的に多くの見込客が集まる。

その結果、コンバージョン率はもちろん、CPOで見ても「ツーステップマーケティング」の方がはるかに良い結果になる。しかも、一度モニターで商品の良さを実感してから定期購入に申し込むため、継続率が高くLTVが最大化するというメリットもある。

さらに、「無料モニター」や「500円モニター」を入口とする「ツーステップマーケティング」は、消費者にとってほとんど経済的なリスクがないため、商品を良く見せるために過剰に広告表現を“盛る”必要がない。

また、詐欺まがいの“なんちゃってモニター”とは異なり、そもそも即定期ではないため、改正特商法で「定期購入ではない」と誤認させるような表示が禁止されても、ビジネスモデルそのものは打撃を受けない。

今回の特商法改正は定期購入かどうかにかかわらず、あらゆる通販(D2C)ビジネスが規制対象となるが、「ワンステップマーケティング」に比べると「ツーステップマーケティング」は法改正の影響を受けにくい。

「低価格有料」から「無料お試しモニター」へ

これまで、売れるネット広告社では、過去のクライアント実績から、「無料モニター」あるいは「100円モニター」をおすすめしてきた。CPOで見ると、大手の単品通販(D2C)会社の場合は「無料モニター」が最も効率が良く、中小の単品通販(D2C)会社の場合は「100円モニター」が最も効率が良かったからである。

ところが、最近は「100円」や「500円」といった低価格有料モニターに対する不信感が高まっているため、従来は「100円モニター」の方が効率が良かった中小の単品通販(D2C)会社でも、「無料モニター」の方がCPO効率が良くなる傾向が出てきている

消費者心理の変化から、現在は過去のA/Bテスト結果とは異なる傾向が出る可能性が高いため、現在低価格有料モニターで「ツーステップマーケティング」を行っている単品通販(D2C)会社は、改めてA/Bテストを行って「無料モニター」に変更することを検討してほしい。

また、「無料モニター」の場合、定期購入ではないことを強調するために、オファー名称を「無料お試しモニター」にするとさらにコンバージョン率が上がることもわかっている。

無料お試しモニターの例

6月に改正特商法が施行されると、「無料」や「お試し」といった文言で定期購入に誘導する“なんちゃってモニター”戦法は事実上使えなくなるため、「無料お試しモニター」というオファー名称は、本当に「無料」、本当に「お試し」だからできる差別化表現になるだろう

◇◇◇

今回の改正特商法は、最終確認画面の表示の修正など、通販(D2C)事業者の負荷となる要素が多いのは事実だ。一方で、“なんちゃってモニター”のような詐欺まがいの定期購入商法をやっていたような悪質な競争相手が排除されることは、誠実なビジネスを行ってきた善意の通販(D2C)事業者を守ることにもつながるはずだ

世のなかの善良な通販(D2C)会社の方々は、いち早く改正特商法に対応した戦略を取ることがチャンスにつながると考えて、前向きに対応してほしい。

加藤 公一 レオ
加藤 公一 レオ

オイシックス・ラ・大地、フラクタ、ビービーエフと考える、物流費高騰化など2022年問題に立ち向かうヒント【全28講演のECイベント5/26の見どころ】

3 years 6ヶ月 ago
【全28講演すべて無料】EC事業者限定で有名企業の成功事例が聞ける! ECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2022 春」を5月26日(木)・27日(金)の2日間にわたって開催

5月26日(木)・27日(金)の2日間で開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2022 春」では、カインズ、ヤッホーブルーイング、ハルメク、オイシックス・ラ・大地、Google、ZOZO NEXT、資生堂といった有名企業が登壇。

「2022年問題を乗り越えるヒント」「ファンマーケティング」「シニア攻略法」「ニューノーマル時代に向けた新しい顧客体験」「DXとオムニチャネル戦略」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。ECサイトを運営する企業のみが参加できるイベントで、28講演すべて【無料】で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、28講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2022春

見どころ④ 物流費、原材料などの高騰化にどう立ち向かう? 2022年問題を乗り越えるヒントをお伝え!

物流費、原材料、仕入れ原価の高騰……大きな逆風に打ち勝つには?
~ECの専門家、EC事業者などと考える2022年問題を乗り越えるためのヒント~
17:10~17:55 K1-8 クロージング講演

ウクライナ情勢によるガソリン高、コロナ禍によるサプライチェーン混乱に端を発した原材料や円安による仕入れ原価高騰など、2022年はメーカー、卸事業者、ネット通販事業者に大きな逆風が吹いています。

販売価格の値上げ、送料無料の撤廃などに踏み出す企業も増えており、企業はどのように課題を乗り越えればいいのでしょうか。

フラクタの河野貴伸氏、オイシックス・ラ・大地の奥谷孝司氏、ビービーエフの安住祐一氏がディスカッションを行い、2022年問題を乗り越えていくためのヒントをお伝えします。

株式会社フラクタ 代表取締役 河野貴伸氏
株式会社フラクタ 代表取締役 河野貴伸氏
Shopify日本初代エバンジェリスト。株式会社Zokei 社外CTO。ジャパンEコマースコンサルタント協会講師。元株式会社土屋鞄製造所 デジタル戦略担当取締役(~2020/3/31)
1982年生まれ。東京の下町生まれ、下町育ち。2000年からフリーランスのCGクリエイター、作曲家、デザイナーとして活動。美容室やアパレルを専門にデジタルコミュニケーション設計、ブランディングを手がける。現在は「日本のブランド価値の総量を増やす」をミッションに、ブランドビジネス全体とD2Cブランドへの支援活動及びコマース業界全体の発展とShopifyの普及をメインに全国でセミナー及び執筆活動中。
ネットショップ担当者フォーラム2022春 フラクタ
フラクタの公式サイト https://fracta.co.jp/より
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 Chief Omni-Channel Officer、 株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 Chief Omni-Channel Officer、 株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司氏
1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後2年ドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後「World MUJI企画」を運営。2003年良品計画初となるインハウスデザイナーを有する企画デザイン室の立ち上げメンバーとなる。2005年衣服雑貨部の衣料雑貨のカテゴリーマネージャー。現在定番商品の「足なり直角靴下」を開発、ヒット商品に。2010年WEB事業部長。「MUJI passport」のプロデュースで14年日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の第2回WebグランプリのWeb人部門でWeb人大賞を受賞。
2015年10月よりオイシックス株式会社(当時)入社。現在、執行役員 店舗外販事業部 部長、COCO(Chief Omni-Channel Officer)を務める。2010年早稲田大学大学院商学研究科夜間主MBAマーケティング・マネジメントコース(守口剛ゼミ)修了。2015年4月日本マーケティング学会常任理事就任。2016年8月 NRI Digital オムニチャネル研究会 アドバイザー。2016年11月Prismatix社 Engagement Commerce Adviser就任。
ネットショップ担当者フォーラム2022春 オイシックス・ラ・大地
オイシックス・ラ・大地の公式サイト https://www.oisixradaichi.co.jp/より
株式会社ビービーエフ デジタルマーケティング推進担当 情報セキュリティアドミニストレータ 安住祐一氏
株式会社ビービーエフ デジタルマーケティング推進担当 情報セキュリティアドミニストレータ 安住祐一氏
2016年1月より現職。大手スポーツブランドや、国内外のハイブランドの自社ECをフルフィルメント~マーケティングまでサポートする。BBFにて、販売拡大、デジタルマーケティングの支援を担当。
2015年12月まで、有名下着通販の通販部 部長。Webサイトやスマホアプリの開発・構築、スマホUI最適化など数々のプロジェクトのプロジェクトマネージャーを担当。DMP導入やUI改善グロースハックプロジェクトなどを主導。2011年以降、デジタルマーケティング、Web広告、インバウンドマーケティングなどを兼任。通販部門において、WEB戦略、CRM戦略全般に関わる。
ネットショップ担当者フォーラム2022春 ビービーエフ
ビービーエフの公式サイト https://www.bb-f.co.jp/より
ネットショップ担当者フォーラム 2022春

「ネッ担 Meetup」(オンライン懇親会)を開催!

5月26日(木)18:30~20:00に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(ギフト券、ワイヤレスイヤホン、カニなど)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2022春 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

若年層の開拓、ライフスタイルのトータル支援、デジタル戦略の強化――佐伯社長が語るキューサイの事業戦略とは | 通販新聞ダイジェスト

3 years 6ヶ月 ago
2022年3月25日付で、キューサイの代表取締役社長に佐伯澄氏が終任。前期は4%増と回復基調に転じるキューサイの今後の戦略を佐伯社長が語りました

キューサイは3月25日付で、代表取締役社長に佐伯澄氏が就任した。売上高は、20年12月期を底に前期は4%増の256億円と回復基調に転じている。佐伯社長に今後の成長戦略を聞いた。

MOAのEC強化などを評価され、代表取締役に就任

――就任の経緯は。

キューサイ株主であるアドバンテッジパートナーズに、(家電通販の)MOAのEC強化など実績を評価してもらった。同じく株主のユーグレナの成長戦略の説明を受け、昨年10月に依頼された。

――健康食品、化粧品通販の経験は。

リピート通販はない。食品分野では「アマゾンフレッシュ」の立ち上げ、テレビ通販はジュピターショップチャンネルで事業戦略の立案、タイ事業の立ち上げに関わった。

――ここ数年、青汁のブランドイメージから脱却し、ケールを軸とした「ケール事業」への転換を進めていた。評価は。

青汁というベースがあることは強みだ。製販一体で高い品質の商品を提供できている。ただ、1つの商品でお客さまの健康すべてを支援できる時代ではない。購買行動も変化している。テレビ通販、コールセンターという接点だけでは成長に限界がある。

通販新聞 キューサイ 代表取締役社長の佐伯澄氏
キューサイ 代表取締役社長の佐伯澄氏

40代~50代へのアプローチ、システム投資に注力

――ここ数年は若年層の開拓にも力を入れていた。

まだ成果は出ていない。顧客基盤は65歳以上が8割を占めている。主要チャネルからシフトできておらず、伸びしろがある。

――前期は増収に転じた。回復の要因は。

デジタルへの着手、戦略商品への広告投資などやるべきことを適切に進めてきたことに尽きる。底を打った。ただ、資産である顧客基盤の活用の本格化はこれから。今期以降、成果が出始めると考えている。

――25年12月期に300億円の売り上げを計画している。何に取り組む。

1つは、現状よりやや若い層へのアプローチ。デジタルの売り場、接点強化に取り組む。収益性を高める上でも必要だ。すでにインスタライブなどSNSを活用したマーケティングも着手しているが、あらゆるチャネルで同じ顧客体験ができ、商品、情報の面で満足度を高めることができる接点を作らなければ若年層を引きつけることはできない

もう1つは、その実現のため、段階的に基幹、フロントサイトのシステム投資を進める。すでに着手しているが、年内に一定の成果が出したい。適切なCRMを確立できれば、膨大な顧客基盤を生かし、個別最適のサービス展開が可能になる。

ライフスタイルをトータルで支援していく

――ターゲットとする顧客層は。

40~50代の開拓を進めたい。主観年齢と実年齢の差を感じ始めるのが40代とされる。年齢を重ねることを前向きにとらえてもらうための商品、サービスを提供できている会社はまだ少ない。心身の健康を保ち年齢を重ねる「ウェルエイジング」を支援する企業として社会への浸透を図る。

――これまでと何が変わるのか。

ウェルエイジングを具体的に解釈した言葉として「“人生初”の体験をいつまでも」というメッセージを発信していく。年齢を重ねても人生初の体験に前向きに取り組めるような心身が充足した状態だ。

これまでのビジネスは商品を通じたケアなど対症療法的だった。たとえば、測定サービスを通じて心身の状態を自覚できれば、ケアすべきポイントを見える化できる。体験価値の提供を含め、食習慣、生活習慣、ライフスタイルに踏み込んでトータルで支援したい

通販新聞 キューサイグループのミッションとビジョン
キューサイグループのミッションとビジョン(画像は編集部が「キューサイ」サイトからキャプチャ、追加)

――個々のニーズは多種多様だ。現状の商品、サービスでは不足がある。総合サプリメント企業をめざすのか。

マルチチャネル、マルチプロダクトで顧客層を広げていく道もある。商品面の充実も必要だが、優先順位を定め展開していく。2年前に始めた医薬品通販もウェルエイジングの実現のなかで果たす役割は大きく、投資領域の1つ。

ユーグレナ社の知見も生かし、将来的には海外進出も視野に

――「ケール事業」は継続するのか。

ケールという軸は重要だ。ただ、健康への訴求だけでは響かない。他社とのコラボレーション商品、若年層向けの商品開発などを進める。事業は踏襲しつつ、健食、化粧品に続く第3の柱の育成が必要だと考えている。

通販新聞 キューサイが販売するケール商品
キューサイが販売する商品「ザ ケール」
(画像は編集部が「キューサイ」公式通販サイトからキャプチャ、追加)

――デジタル以外のチャネル開拓は。

ケールは、美容・健康意識の高い層にスーパーフードとして認知されている。これらの層と接点が多い美容室やヨガ教室も販路を開拓したい。GMSなど大手流通も拡大の余地は十分ある。また、原材料としてのニーズもある。将来的には海外販売も見据えたい

――ユーグレナ社とのシナジーは。

リテールビジネス、海外進出の知見は豊富なため、連携を進めたい。研究・商品開発でも協業を模索したい。

――ユーグレナ社の傘下に入り企業風土に変化はあるか。

九州地場でじっくり顧客に向き合い事業を構築してきた。反面、大人しさというか、対外的に打ち出していくエネルギーは弱かった。ベンチャー精神を持ち、スピード感を持って事業展開するユーグレナ社に学ぶ点も多い。就任と前後して、CRMやブランディングの担当役員の選任など新たに経営体制を構築した。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

通販新聞

EC事業者らが選ぶ優れた通販サイト5選。ネットショップグランプリ受賞店に学ぶサイト作りのポイント

3 years 6ヶ月 ago
優れたネットショップ/通販サイトを選ぶ「第14回 ネットショップグランプリ」受賞店5店舗の受賞理由などから、サイト作りの参考ポイントなどをまとめた。

EC事業者など“その道のプロ”が選ぶ優れたECサイトは、どんな点が評価されているのか? EC事業者などが審査して評価した「第14回 全国ネットショップグランプリ」(一般社団法人イーコマース事業協会主催)の表彰店舗5サイトには、他のECサイトも参考にできる成長のヒントがある。EC事業者らが認めたECサイトから、サイト作り、商品開発、戦略作りなどのヒントを表彰ポイントからまとめた。

第14回を迎えた「全国ネットショップグランプリ」は自薦・他薦含めて200店舗の応募があり、関係者がそのなかから優秀店舗5サイトを表彰した。

イーコマース事業協会の会員による投票、専門家・学識経験者・有識者を交えた審査委員会にて審査し、表彰店舗を決めた。主な審査基準は次の通り。

  • アイデアのユニークさ、目新しさ
  • 一般の顧客ユーザー(利用者)への情報提供の適切さ
  • 各デバイスでのデザイン性の高さ・操作性、動作確認

グランプリ

ブラデリスニューヨーク(ゴールドフラッグが運営) | https://www.bradelis.shop/

評価ポイント

女性向けのインナーを取り扱うネットショップとして、安心できるデザイン。随所に差し込まれているイラストも含めてトンマナが意識されており、心地よい。

ブラデリスニューヨーク(ゴールドフラッグが運営)

動画をうまく組み合わせ、商品特性を伝える工夫がされている。写真のクオリティも高く、イラストを組み合わせるなどの表現の工夫が多く確認できる。

ブラデリスニューヨーク(ゴールドフラッグが運営)

「初めての方へ」のコンテンツとその後の導線が素晴らしい。とてもスムーズに、顧客の課題解決や迷い・悩みをナビゲートしてくれる。

ブラデリスニューヨーク(ゴールドフラッグが運営)

女性下着特有の正しいサイズの測り方・着用方法・お手入れ方法など、ピンポイントで一番必要な解説を考え抜いてセレクトしてある印象。顧客からのアクセスしやすさも、フリーダイヤルおよびチャット対応など万全で、とてもユーザーフレンドリーなショップ感を与えている。

ブラデリスニューヨーク(ゴールドフラッグが運営)

受賞者コメント

私たちは、“下着を通じて、お客様と喜び、感動を共有する”を常に意識し、全国リアル店舗、ECサイトに来訪いただくお客さますべてにシームレスかつ献身的なサービスで寄り添うための改善改革を、日々行なっています。今だ道半ばではありますが、これからもさまざまなことにチャレンジし、業界の流れを汲み取りながら、何よりもブランドストーリーを大事に1人でも多くのお客さまに支持される“ブラデリスニューヨーク”に成長できるよう走り続けたいと思います。

ゴールドフラッグ 田村和義氏(マーケティング本部 EC部 部長)
ゴールドフラッグ 田村和義氏(マーケティング本部 EC部 部長)

準グランプリ

京都北山マールブランシュ(ロマンライフが運営) | https://www.malebranche-shop.jp/

評価ポイント

菓子、器、パッケージなどの写真を主役として引き立たせるデザイン。うまくレイアウトされており、商品選び・吟味に集中できる。

京都北山マールブランシュ(ロマンライフが運営)

贈答品として購入されることを踏まえ、目的(シーン)はもちろん、相手の家族構成や価格帯から商品選びができるように配慮が行き届いている。

京都北山マールブランシュ(ロマンライフが運営)

商品紹介と購入が連動しており最低限のアクションで移動できるところが購入までの顧客行動に添ったデザイン。生産者、素材から製品までのプロセスをわかりやすく丁寧に情報表現、提供しているところが高く評価できる。

京都北山マールブランシュ(ロマンライフが運営)

菓子・スイーツらしい美味しそうな写真を使用。京菓子を上手く連想させるお洒落で清楚なブランドイメージ、必要十分な切り口別の商品提案、カテゴリページ遷移後の商品提案の工夫とカートへの入れやすさ、電話・FAX・メール・チャットでの万全の顧客対応感など、とてもしっかり運用されている信頼感のあるサイトと印象付けられる。

京都北山マールブランシュ(ロマンライフが運営)

受賞者コメント

京都北山マールブランシュは実店舗中心のブランドで、京都のみに店舗を運営している。全国のお客さまに向けてサービスを展開できるのはお取り寄せ係(オンラインショップ)のみ。コロナ禍は観光で京都を訪れていただける機会が減ったため、オンラインショップ内でいかに「マールブランシュ」の接客を表現できるか追求しました。

画像でメイン商材を伝えながら、シンプルな遷移画面を意識し、お客さまが買い物しやすくなるようにしています。お困りごとを解決するコンテンツを新たに設置し、ギフトを送る際の素朴な疑問に答えるようにしています。

コンテンツの内容は店舗で接客している際に質問が多かったことを中心に、コロナ禍であることを掲載。オンラインショップであっても、BtoCの基本は接客であることを忘れないように作り上げてきた物が、評価いただけ嬉しく思っています。イーコマース事業協会に入会しなければ、この考えには到達せずに結果を残せていなかったです。

ロマンライフ あお(木へんに青)松大氏(営業部 お取り寄せグループ兼営業サポートグループ長)
ロマンライフ あお(木へんに青)松大氏(営業部 お取り寄せグループ兼営業サポートグループ長)

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営) | https://jamtrading.jp

評価ポイント

古着という1点ずつ異なる商品が検索できるように、検索デザインに工夫がある。通常のカテゴリーに加えて、ブランド、色、動物などユーザーの検索の手がかりをうまく提供できている。

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営)

コンディションの表現も工夫があり、ECサイトと現物とのギャップを埋める工夫を感じられる。

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営)

グローバルナビにある「スタッフおすすめコーディネート」と「古着に関する情報BLOG」が、しっかり顧客の興味を引くいいコンテンツとなっている。

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営)

レコメンドなど、ECサイトのコンテンツのボリューム感も程よく、バランスがいい。すぐに、サイトの全容および何がどこにあるかを把握できる。ユーザーにとって非常にわかりやすい構造のになっている。

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営)

また、PCサイトに掲げている「古着屋 JAM(ジャム)サイト概要」も、目立たないがこだわりと信頼感を増す良い宣言だと感じた。

古着屋 JAM(JAM TRADINGが運営)

受賞者コメント

このような賞を受賞できたのは、日々、直接対面出来ないお客さまに喜んでいただくことを模索して運営しているスタッフと、弊社を信頼してご利用いただいているお客さまがいてこそだと、改めて気づかせていただきました。

弊社は本気で“日本一ファンの多い古着屋さん”をめざして、日々ワクワクしながら業務に励んでいます。今回の受賞の気持ちを大切にしながらも現状に満足せず、今後もさらに全国のお客さまに愛着を持ってご利用いただけるショップをめざします。

JAM TRADING 福嶋政憲社長
JAM TRADING 福嶋政憲社長

特別賞(日本ネット経済新聞賞)

ノットオンラインショップ(Knotが運営) | https://knot-designs.com/

評価ポイント

「ノット」は自由に盤面やベルトなどを組み合わせできる腕時計ブランド。カスタムオーダーのECサイトで最も難しいのは、「組み合わせを試してもらうというハードルをどう越えてもらうか」。「ノットオンラインショップ」では、サイトに動きを持たせ、自動的に組み合わせのイメージを伝えている。一目でカスタムオーダーのおもしろさを表現しており、自分で「カスタムしてみたい」という思いを喚起できるようにしている。

ノットオンラインショップ(Knotが運営)

カスタマイズ画面では、組み合わせた腕時計を手の画像にはめた形で確認できる。着用のイメージをリアルに伝えることで、ユーザーの「これ欲しい!」という感情を効果的に湧かせることができている。

組み合わせた腕時計の画像をシェアできる機能も良い。

ノットオンラインショップ(Knotが運営)

カスタムオーダーの商品は、ペアやギフトの購入が少し難しい面がある。組み合わせのイメージをシェアできることで、特別な体験をシェアでき、ペアやギフトの購入も特別なイベントとして盛り上げることができる。

スタイリングや製作秘話などのコンテンツも豊富で、興味を持ったユーザーがどんどんブランドを好きなる仕掛けも秀逸。

ノットオンラインショップ(Knotが運営)

受賞者コメント

弊社は8年前に東京の吉祥寺に生まれた、創業して間もない会社。社内一丸となり、がむしゃらに走ってきた結果を評価いただき、大変うれしく思う。これからも、お客さまへ楽しんでいただけるサイトを作るために精進していきます。

Knot 岩石智明氏(営業部 国内EC運営)
Knot 岩石智明氏(営業部 国内EC運営)

特別賞(ネットショップ担当者フォーラム賞)

職人醤油(伝統デザイン工房が運営) | https://www.s-shoyu.com/

評価ポイント

大きな評価点は2点。

1つ目は豊富なコンテンツ。商品の仕入れ先である蔵の訪問コンテンツでは、「人」にフォーカスして、醤油造りというストーリーを発信している。

職人醤油(伝統デザイン工房が運営)

また、醤油を使ったレシピ、豆知識などのコンテンツを配信しており、醤油メディアとも言えるサイトになっている。「醤油 通販」といったビックワードでの検索でも上位表示されるのでSEO効果の高いコンテンツになっている。

職人醤油(伝統デザイン工房が運営)

もう1点は、100を超える蔵を訪問し、すべての商品を100mlの商品として販売、それをギフト商材として販売することで仕入れ商品に“ギフトという付加価値”を加えていること。

職人醤油(伝統デザイン工房が運営)

肉や魚に合うなどの切り口で最適な消費を提案している。

職人醤油(伝統デザイン工房が運営)

そして、もっと一升瓶でほしい、という消費者に対してはメーカーさんを紹介するようにし、メーカーの商材を広める役割をになっている。、メーカーと小売が一緒になって醤油を広げようとするECサイトと言える。

職人醤油(伝統デザイン工房が運営)

受賞者コメント

思い返せば、精密機器の営業マンから醤油の世界に飛び込み、15年ほど経ちます。当時は醤油の製法も知らない素人でした。各地の醤油蔵を訪問し、職人たちにやさしく、時に厳しく教えていただいて、今日に至りました。

手探りでサイトを立ち上げ、一貫して社内のスタッフと修正を繰り返しています。他社のサイトを見るほどに、すごいなぁと感じていましたので、今回このような賞を受賞できたことは大変励みになります。

伝統デザイン工房 亦野美穂氏(番頭)
伝統デザイン工房 亦野美穂氏(番頭)
瀧川 正実
瀧川 正実

成城石井がAmazon上のネットスーパーの配送エリアを拡大、神奈川県でも展開

3 years 6ヶ月 ago

「Amazon.co.jp」上に「成城石井ネットスーパー」を3月に開設した成城石井。「Amazon.co.jp」のAmazonプライム会員向けサービスとして、東京都の一部地域(スタート時は世田谷区など7区)にAmazonの配送ネットワークを通じて注文から最短2時間で配送していたサービスの対象エリアを、5月11日に拡大した。

神奈川県での提供を新たに開始し、神奈川県川崎市(麻生区、高津区、多摩区、宮前区)、横浜市(青葉区、旭区、港北区、都筑区、緑区)の2市を配送エリアに加えた。

5月11日時点での配送エリアは東京都10区2市、神奈川県2市。対象地域のAmazonプライム会員は、「Amazon.co.jp」のECサイト、はAmazonショッピングアプリ上の「成城石井ネットスーパー」で、成城石井の配送拠点店舗で扱う野菜、果物、精肉、鮮魚などの生鮮食品、自家製惣菜・デザート、パン、直輸入ワイン、成城石井オリジナル商品など約4000点を購入できる。

成城石井のダイレクトマーケティングは、自社店舗配達(一部店舗のみ)、ECビジネス、店頭受取Web予約サービス、フードデリバリー・サービス、Amazonを通じたネットスーパーを展開。ダイレクト販売チャネルの売上高は、2023年度に20年度比約5倍へと拡大する。

Amazonは、プライム会員向けサービスとして、東京・神奈川・千葉の一部エリアにおいて直営ネットスーパーの「Amazonフレッシュ」を展開。食品スーパーのライフとの協業で、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫の一部エリアにてライフネットスーパーを手がけている。また、スーパーマーケットのバローとも協業。愛知の一部エリアにおいてバローネットスーパーを展開。大手スーパーとの連携で、ネットスーパービジネスの拡大を進めている。

Amazonのネットスーパーサービス
Amazon上で展開しているネットスーパーサービス

 

瀧川 正実
瀧川 正実

アイリスオーヤマが10%以上の値上げへ。原材料や原油価格の高騰、物流費の上昇が主因

3 years 6ヶ月 ago

アイリスオーヤマは2022年6月1日以降に出荷するコンシュマー向け製品について、販売価格を値上げする。

値上げ幅は現行価格の10%以上。対象カテゴリーは、家電製品、ホーム・ハウスウェア、ヘルスケア、収納・家具インテリア、ガーデン・エクステリア・ハード、ペット用品・ペットフード。

アイリスオーヤマ 2022年6月1日以降に出荷するコンシュマー向け製品について、販売価格を値上げする
アイリスオーヤマのお知らせ(画像はアイリスオーヤマのHPからキャプチャ)

世界的な半導体不足と原材料価格・原油価格の高騰、物流費の上昇、円安の為替影響が値上げの主因。商品の安定供給を図るために実施するとしている。

生産性の向上や物流の効率化などに取り組んできたものの、自助努力だけでは現行の製品価格を維持できなくなったという。

瀧川 正実
瀧川 正実

「もぉ~! FAQに書いてあるから問い合わせないでよ!」この一言が閑古鳥を呼ぶ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

3 years 6ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2022年5月9日〜15日のニュース

お客さまはわからないから聞いているんです。調べて解決しようとしても見つからなかったから聞いているんです。聞かれるのはこちらの準備や発信が足りないと思えば改善できますよね。

「質問想定シート」というコンテンツを活用!

GW。混んだ店とスカスカな店の、接客の違い | 平山枝美の販売ブログ
https://ameblo.jp/jatamansi1012/entry-12741854792.html

その店では強化商品が送られてきたとき
その商品について
「質問想定シート」にスタッフがそれぞれ記入し、みんなで
「いざ質問になった時、どのように答えればいいのか」
を考えるようにしていました。
このシートには、店でよく聞かれることを項目にして
それに対し、スタッフがどのように答えたいか
また、実際スタッフがどのように答えたらお客様から喜ばれたか、などを書き込んでいました。

実店舗でのリアル版FAQといった感じですね。これをネットショップでやるにはどうすればいいのか? と考えた時に、単純にFAQに載せればいいと思ったらそれは大間違いです。FAQを見ない人の方が圧倒的に多いですから「FAQに書いてあるから見てよ!」とグチグチ言うだけになるでしょう。

正解は「質問想定シート」というコンテンツをそれぞれの担当がどう見せるのか、どう発信するのかを考えることです。商品登録担当ならよく聞かれることを商品ページに入れる。リンクを設定したくなりますが、1クリック増えるだけで見てもらえる確率が下がるのでダメです。

SNSの担当なら「この商品が人気!○○が気になっても安心です。△△すればOK」のような発信をする。メルマガ担当なら人気商品でよく聞かれることみたいなメルマガを出す。つまり、お店として発信内容をそろえて各チャネルから伝えるということです。

混んでいる店はこちらからの質問に対して答えられるし
それをもとに会話をふくらませることができるので
芋づる式にお客様が入っている状態を作れています。

どこに問い合わせが来ても即答できるから回転が良くなるということですね。「商品ページに問い合わせは来ないよ?」と思った人、そうじゃないです。見た人が悩みそうなことがあったら先回りをして書いておくのが接客です。全商品に反映させるのが無理なら、在庫が多いものや定番商品で在庫切れがないものを重点的に改善すれば良いでしょう。

サポート部署がやればいい、FAQを作るところがやればいい、聞かれたら考えればいい、という考えは捨てて当事者意識を持って取り組まないといけません。良い対応をしていればじわっとお客さんが増えるはずです。

今週の要チェック記事

アパレル通販での返品交換「したくない」が最多!【アパレル通販での返品交換に関するアンケート調査】 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/17951

送り状が入っていて、そのままの箱で送ればいいとわかっていても面倒なんですよね~。ユーザーのこの悩みをどうするかを、最初の記事を読んで考えてみるといいかも。

カラクリ、売らないウェブ接客ツール開始 「返品・交換」「決済」などEC利用者の困りごとをAIが解決 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/11335

前述の悩みの解の1つがこれ。

提案型の商品でお客様に価値を提供 神戸フランツのブランド作りとEC運用体制・雇用への考えかたに迫る | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/11199

良いスタッフを雇用するために組織を柔軟にする。できそうでできないことだから差別化につながっているんですね。

【楽天市場】今のスマホTOPページは年内に終了し、作り直しが必要!GOLDも来年前半まで。スマホTOPリニューアルの対応方法を解説 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/220509-smartphone-renewal/

店舗ごとの個性がどんどん出しづらくなりますが、買う側はわかりやすくなっていきますね。この変化に対応しましょう。

アマゾンが「Amazon.co.jp」の支払い方法に「PayPay」を追加。「Amazonポイント」「PayPayポイント」二重取りも可能 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/9753

Amazon Pay、日本でのサービス提供から7周年 プライム会員向けにギフト券でのポイント還元率アップ | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/11349

Amazonっぽく売れるためなら何でもするというスタンスを感じますね。

越境EC支援のジグザグ、コマースOneホールディングスグループと資本業務提携を開始。拡大する越境EC需要に応えるためfutureshopを利用する国内EC事業者向け海外販売支援を強化 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/17974

futureshop、GENIEE SEARCHと連携を開始し、目的に合わせたサイト内検索結果の最適化を強化 | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/76849

futureshopと提携しているサービスってたくさんありますよね。アプリだと思うとわかりやすいかも。

【2022年6月1日施行】特定商取引法改正とは?EC-CUBEで対応すべき内容を解説 | EC-CUBE
https://www.ec-cube.net/know_how/tokuteishoutorihikihou_kaisei.php

EC-CUBEを使っている人は必読です。

今週の名言

「落ち込むことはよくある」 とろサーモン久保田かずのぶ流、感情コントロール術 | ニュー アキンド センター
https://new.akind.center/torosalmon-kubota/

子どもの絵を見るたびに思うんです、下手やなあって。でもその下手が美しいですよね。

会社から外部に発信するのは綺麗なものでないといけない? そんなことはないです。拙いからこそ綺麗に見えるものってあります。子どもの下手な絵がなぜ美しく見えるのかを考えてみると答えがわかるはず。

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

この本をAmazonで購入
森野 誠之
森野 誠之

三越伊勢丹HDのEC売上は372億円で18.1%増(2022年3月期)、3年後は600億円の計画

3 years 6ヶ月 ago

三越伊勢丹ホールディングスによると、2022年3月期のEC売上は前期比18.1%増の372億円だった。デジタル事業は化粧品、食品を中心に売り上げが拡大。化粧品ECサイト「meeco(ミーコ)」では、高単価のスキンケアアイテムや限定品の売り上げが堅調だった。

デジタルの推進として、顧客データの蓄積と利活用によるリアル店舗とヒトを融合したマーチャンダイジングを実行。ECではベストセラー商品の拡大、店頭受取サービスの拡充、地域店サイトと三越伊勢丹オンラインストアとの融合に取り組んだ。三越伊勢丹オンラインストアのEC売上は前期比17.6%増の120億円。

三越伊勢丹ホールディングスの2022年3月期実績 オンライン・EC売上
EC売上の推移(画像は三越伊勢丹HDのIR資料から編集部がキャプチャ)

RFM分析とAIデータ抽出によるデータマーケティングを推進。分析結果をスコア化し、AI自動抽出でマッチング化を図った。抽出した結果を基に販売員や外商セールスが顧客に対して営業活動の最適化を行う。

次なる取り組みとして、「仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム」がコンセプトの、VRを活用したスマートフォン向けアプリ「REV WORLDS(レヴワールズ)」で、出店ブランド数や出店アイテム数の拡大を見込む。

ギフトECサイトの「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマークバイイセタン)」は、気軽に贈り物ができるソーシャルギフトとして、上質かつ幅広いテイストの品ぞろえが20~30代の女性を中心に支持。会員数、売上高ともに大きく伸長した。

「レヴワールズ」では、出店ブランド数が約450、出品アイテム数は約1250に拡大。2022年3月期は、百貨店店舗と連動した化粧品、クリスマスキャンペーン企画などの展開、外部企業との連携によるコンテンツの拡充にも取り組んだ。

三越伊勢丹ホールディングスの2022年3月期実績 デジタル推進について
デジタル推進について(画像は三越伊勢丹HDのIR資料から編集部がキャプチャ)

三越伊勢丹HDが策定した「2022~2024年度 中期経営計画」では、社会の変化を機会とリスクとして捉え、基本戦略を「高感度上質消費の拡大席巻 最高の顧客体験」とした。その実現に向けた重点戦略は「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」「連邦戦略」だ。

「個客とつながるCRM戦略」では、つながる個客の“母数”の拡大、つながる個客の“利用額・頻度”向上に向けて、「百貨店レベルCRM」「グループレベルCRM」「決済インフラ整備」「インバウンド戦略」を拡充していく予定。

三越伊勢丹ホールディングスの2022年3月期実績 CRM戦略について
CRM戦略について(画像は三越伊勢丹HDのIR資料から編集部がキャプチャ)

2022年3月期はコロナ期間中にアプリを開発し普及。デジタル会員数は前期比68%増、年間100万円以上エムアイカード会員売上高は同33%増に拡大した。

従来、顧客とのコミュニケーション手段は、カード顧客はDM、それ以外の顧客は新聞やチラシといったマスメディアが主流だった。現在はアプリを含めたデジタル顧客が370万人、エムアイカード顧客を抜きで277万人とつながっており、アプリによるプッシュ通知、メール販促をすることが可能となっている。

石居 岳
石居 岳

アクセス集中時に待ち人数を表示し購入機会損失を防止する新機能「カラーミー待合室」、「カラーミーショップ」に追加

3 years 6ヶ月 ago

GMOペパボはネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」に、アクセス集中時の待機人数を可視化してサイト離脱を防止する新機能「カラーミー待合室」の提供を開始した。

「カラーミー待合室」とは

ECサイトへのアクセスが集中した際、ショップページが表示されるまでの待機人数を可視化する機能。現在の待ち人数をカウントし、順番が来ると自動的にショップページに切り替わる「カラーミーショップ」独自の機能となる。

カラーミーショップ GMOペパボ カラーミー待機室のイメージ図
新機能「カラーミー待機室」のイメージ図

「カラーミーショップ」利用企業側で設定の必要はなく、全ショップに必要なタイミングで自動的に適用される。機能実装により、下記のメリットがあるという。

購入機会損失の減少

ECサイトにアクセスが集中して商品ページが表示されない場合、どのくらいの人数が待機しているか、自分が何番目かを確認できることで、ユーザーのストレス軽減、購入離脱防止につながる。

転売目的の買い占め対策

転売目的の自動購入botによる商品買い占めが問題になっており、ネットショップ運営者に対応が求められているが、システムの規模や設定に起因することが多く、運営者自身での対応が難しい状況が続いている。

botはアクセスが成功するまで何度もリトライするため、「待つ」という行為が行われていない。「カラーミー待合室」の実装後はbotが待機ページにアクセスする度に待機順が最後尾になるため、転売目的の自動購入botによる買い占め対策として期待できる。

藤田遥
藤田遥

平安伸銅工業が語るファンマーケティング、ハルメクに学ぶデジタル時代のシニア戦略【全28講演のECイベント5/26の見どころ】

3 years 6ヶ月 ago
【EC事業者限定】有名企業の成功事例が聞ける! 全28講演すべて無料で視聴できる ECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2022 春」を5月26日(木)・27日(金)の2日間にわたって開催

5月26日(木)・27日(金)の2日間で開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2022 春」では、カインズ、ヤッホーブルーイング、ハルメク、オイシックス・ラ・大地、Google、ZOZO NEXT、資生堂といった有名企業が登壇。

「ファンマーケティング」「シニア攻略法」「ニューノーマル時代に向けた新しい顧客体験」「DXとオムニチャネル戦略」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。ECサイトを運営する企業のみが参加できるイベントで、28講演すべて【無料】で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、28講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2022春

見どころ② 「突っ張り棒」トップシェア平安伸銅工業のファンマーケティング施策とは?

老舗メーカー社長が語るデジタル活用&ファンマーケティング
~「突っ張り棒」トップシェア「平安伸銅工業」のEC+SNS+動画活用事例~
13:25~14:10 KA1-4 ゼネラルセッション

ネットショップ担当者フォーラム2022春 平安伸銅工業
平安伸銅工業のオンラインショップ https://ec.heianshindo.co.jp/より

「突っ張り棒」国内トップシェアの平安伸銅工業。社長自らスケバンのコスプレで製品をPRした「ツッパリ嬢」のSNSキャンペーンは大きな話題となった。大手メーカーと異なり、大規模な広告予算を捻出できないコモディティ商品を扱うメーカーが、いかにしてエンドユーザーから「指名買い」してもらえる環境を作ろうとしているか。

ネット時代だからこそ企業の規模を問わず実践できるデジタルマーケティング手法を、竹内香予子氏(代表取締役)が実例を交えてお伝えします。

平安伸銅工業株式会社 代表取締役 竹内香予子氏
平安伸銅工業株式会社 代表取締役 竹内香予子氏
1982年兵庫県生まれ。大学卒業後、新聞社で記者として警察・行政の取材を担当。2009年に退職し、翌年父親が経営する平安伸銅工業に入社、2015年に32歳で代表取締役に就任。つっぱり棒の企画開発で培ったノウハウを活かし、「つっぱり棒研究所」を設立し『つっぱり棒博士』としてメディアにも多数出演、2021年に関西財界セミナー賞2021「輝く女性賞」を受賞

見どころ③ ハルメクが解説! デジタル時代におけるシニア層のネット行動とは?

シニア通販の雄「ハルメク」に学ぶデジタル時代のシニア攻略法
13:25~14:10 KB1-4 ゼネラルセッション

ネットショップ担当者フォーラム2022春 ハルメク
ハルメクの公式通販サイト https://ec.halmek.co.jp/shop/default.aspxより

ハルメクホールディングスは50代からの女性を対象とした出版、通信販売、店舗、講座イベントなどの各種事業を展開。雑誌「ハルメク」の定期購読者には、通販カタログ、オンラインでの商品販売を行っています。ハルメクは前身を含めシニア向け通販歴20年以上という“シニア通販の雄”だ。

今セッションでは、ハルメクのシンクタンク「生きかた上手研究所」とシニア層特化広告支援企業の「ハルメク・エイジマーケティング」が蓄積している最新インサイトからデジタル時代のシニア像を解説、それを踏まえてデジタル時代におけるシニア層のネット行動、ハルメクの「アナログ+デジタル」の事例を踏まえたシニア攻略法を披露します。

株式会社ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役 木船信義氏
株式会社ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役 木船信義氏
大学卒業後、食材通販企業で11年間、マーケティング課長等を経験。2014年にハルメク(前:いきいき)に入社。CRMマーケティング責任者、新規事業開発責任者を経て2018年4月に株式会社ハルメク・エイジマーケティングを設立。シニア市場開拓を狙う業界大手様を中心に支援中。
株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所 所長 梅津順江氏
株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所 所長 梅津順江氏
大学卒業後、ジュジュ化粧品(現・小林製薬)に入社。ジャパン・マーケティング・エージェンシーを経て、2016年3月から現職。年間1000人近くのシニアを対象にインタビューや取材を行い、誌面づくり、商品開発・広告制作に役立てている。『この一冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本(日本実業出版社)』『シニア市場の正体(毎日新聞)』『ときめく! シニア女性マーケ(日経MJ)』などの著作物や連載がある。
ネットショップ担当者フォーラム 2022春

「ネッ担 Meetup」(オンライン懇親会)を開催!

5月26日(木)18:30~20:00に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(ギフト券、ワイヤレスイヤホン、カニなど)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2022春 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る